吉野林業発祥の地、奈良県吉野郡川上村。

 

弊社の支援先である吉野かわかみ社中発足から間もなく3年目へ突入する節目を前に、今回は近隣地域との繋がりから、吉野林業と川上村について辿るツアー「産地巡礼」の様子をお届けしています。前編・中編と終えて、いよいよ川上村の山林へ。旅気分でご覧ください。

 

歴史の証人へ会いに行く

温泉で昨日の疲れを癒し、目覚めの良い朝は、早起きをして山へ。日本最古の人工林と言われる400年生の山林を目指します。その山林は、川上村下多古地区にあり、通称「歴史の証人」と呼ばれます。江戸時代初期に植林されたといわれる約3,700㎡の山林は、現在は村有林として管理されています。

 

 

 

山道を1時間ほど歩いて出会える巨大な吉野杉は、推定樹齢395年が3本、257年が7本、さらに檜は257年が42本、まさに歴史を見てきた証人のような高齢樹が現存しています。人工造林約500年の歴史がある川上村の中でも、最古の人工林であり、文化財修理に適した木材を供給し、研修林としても活用しようと文化庁が定める「ふるさと文化財の森」にも登録されています。

 

 

村有林前に立てられる看板

 

村有林までの約1時間の登山中にも、吉野林業ならではのいくつかの発見がありました。まずは、山の境界を示す「書付」。道中では、所有者の異なるいくつかの山林を通り抜けます。林相を見ても大きな木が林立するもの、若くて細い山林など見て違いが分かりますが、その山の所有者を示すために、境界ごとに山林の所有者情報を示す「書付」が、太い木に記されています。

 


山の境界にある書付

 

続いては、吉野林業ならではの密植林。まるで竹林のように、細くまっすぐに伸びる若い杉林ですが、狭い間隔で植林することで、林内が適度に暗くなり、出てきた枝は光不足で枯れ、自然落下します。将来的に無節の材を収穫することを目的とした吉野ならではの施業です。全国平均で杉の場合、植林本数は1ヘクタールあたり3,000~5,000本と言われるところ、吉野林業では、8,000~10,000本を植林することからも、その特異性がわかります。

 

 

吉野林業の密植林

 

最後は、歴史の証人の森で見つけた、ムササビの巣穴。この木は以前、伐採する計画がありましたが、この森はSGEC認証( Sustainable Green Ecosystem Council、和名:『緑の循環』認証会議)を受けており「林内に野生動物が相当数生息し獣害の恐れのある場合、その森林の成長及び生物多様性に及ぼす圧力を軽減する防護手段を講じなければならない」といったルールがあるため、ムササビのために伐採が行われなかったというエピソードがあります。

 

樹上にあるムササビの巣穴

 

たった1時間程の登山中にも、いくつもの面白い発見に出逢いました。そんな川上村の村有林では、建築士を対象とした視察ツアーを開催したり、都市部の学生が修学旅行に訪れたりと、新しい視点から人を迎え入れる流れができています。

 

 

源流の村の朝市を訪ねる

 

新しい人の流れと言えば、欠かせないのが、源流の村の朝市です。川上村には2013年から10人以上の地域おこし協力隊が赴任していますが、その中で「地域の資源を活かした仕事づくり」をテーマにしたプロジェクトに取組むのが、この「やまいき市」です。村内で生産された源流野菜を集荷し、また、「源流の村づくり」の理念を体現するために、紀の川(吉野川)流域から仕入れた野菜を、毎週土曜日の朝から販売しています。

 

やまいき市 ホームページより引用

 

 

 プレミアムな産地をつくる

弊社では、一般社団法人吉野かわかみ社中の構想策定から設立支援、経営支援を通じて、吉野林業の振興をサポートしています。今回は、周辺地域から吉野林業を辿るレポートをお届けしてみましたが、いかがでしたか?林業産地の下流地域を訪れてみると、吉野杉そのものではなく、源流の村のファン、サポーターとなる関係者の幅広さに気付きます。林業を生業とする川上村から、周辺地域とのかかわりを見ると、また少し違った視点から、吉野材や風景、歴史、源流の村の資源等に気付き、様々な新しい提案をこの周辺地域に投げかけて下さいます。

 

はたして、「林業や地域の振興」とは、何でしょうか? 川上村と川上村吉野林業の振興を応援して下さる人々に会い、色々な表現に触れた1泊2日の旅の終わりに、考えてみたいと思います。

それは、

①地域の点を強くすること

まずは、その地域の「点」を強くし、地域1番企業を作ること。それは、地域全体を牽引するプレーヤーを育て地域ブランドを作るためにも、弊社がコンサルティング支援の上で心掛けてきた原則の一つです。

 

 ②「点」から「面」を作ること。

 

地域全体を牽引する点が生まれた次に生まれるのは、「面」のブランドです。地方創生に注目が集まる近年、地域の「点」となるプレーヤーが集い、「面」で地域のブランドを作る潮流が顕著なことは、既にお気付きの通りでしょう。弊社でも数々の地域ブランド策定の支援をして参りましたが、その際、行政区分に捉われ過ぎず、川上~川中~川下の広域的な繋がりを持ってプロジェクトを進めることの価値を、今回のツアーレポートをきっかけに、お伝えできればと思います。

 

③新たな人材の交流を作ること。

 

最後に、地域の発展や振興を持続可能なものにするには、常に交流を生み出すことです。そこには、移住定住に繋がる交流もあれば、ビジネス上の交流も含まれます。歴史ある地域に交流をきっかけとした新しい「知」が付加されることで、常に代謝の良い地域の風土ができ、廃れないブランドが確立されてゆくことでしょう。弊社では、地域おこし協力隊制度を利用し、この地域でチャレンジしたいという人材の起業支援を行っています。また、自らが起業者にならなくても、中間組織に所属して地域内の事業体を支え、地域や林業振興を担う選択肢もありますね。弊社の支援先である吉野かわかみ社中も、このような立ち位置にあります。結果、土地に縁がなかった人達と、地元出身の人たちとの新しい交流で、価値観が再設計され未来への行動が喚起されていきます。

 

改めて、今回旅した、吉野林業エリアにおいても、源流の村に何らかのルーツを持ち、敬意を表して、川上村の林業へ新たな投げ掛けをして下さるプレーヤーに多く出会いました。また、林業とは違った角度から、地域や森、山村文化の魅力を表現していく力を教わりました。

 

直接的に林業木材業の従事者でなくても、食や旅、観光等、様々な切り口から林業産地を応援する方々との繋がりを大切に、彼らが林業振興、山村振興の場面でも活躍できる場を作り、「面」でプレミアム産地の礎を作ること。弊社ではこれからも、このような支援を目指してまいります。

 

今回、1泊2日で吉野林業を巡った旅ですが、2017年もこのような「産地巡礼」のツアー開催を予定しています。「この林業産地を見てみたい」といったご要望がありましたら、お問合せフォームから、ご意見お待ちしています。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

旅する産地 編集室

林業木材業の選ばれる産地づくりを目指して。地域密着型支援コンサルティングを行う、古川ちいきの総合研究所の視点から私たちが出逢った林業産地の風景や物語をお届けします。

 

 

 


 

 

 

 

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吉野林業発祥の地、奈良県吉野郡川上村。

弊社の支援先である吉野かわかみ社中発足から間もなく3年目へ突入する節目を前に、今回は近隣地域との繋がりから、吉野林業と川上村について辿るツアー「産地巡礼」の様子をお届けしています。前編では桜井市を巡りましたが、続いては吉野町へ。どうぞご覧ください。

 

貯木のまち・吉野町へ

 

ランチを堪能した後は、貯木のまち・吉野町へ向かいました。

言わずと知れた、吉野山の桜の名所であると共に、吉野の山から切り出される吉野杉・吉野檜が製材される集積地でもあります。

 

吉野町内をゆったりと流れるのは吉野川。上流へ進むと行き着く先は、紀の川(吉野川)源流であり吉野林業のメッカ、川上村です。全国的にも有数の多雨地帯で知られる大台ケ原を源流に、川上村を経て和歌山県へ流れ、紀の川と名前を変えて最後は和歌山市加太の海へと注がれる紀の川(吉野川)。

奈良県内では吉野川との通称で親しまれるこの川ですが、上流の山々から伐り出された丸太は、かつては吉野川を通り筏流しで下流へ運ばれ、吉野町で製材されてきました。

 

川上村から吉野町へ続く、吉野川(紀の川)

 

遡れば、大阪城や伏見城の築城にも使われたという吉野材の歴史。その際にも丸太は吉野川を下り、都市部へ運ばれたとの記録がありますが、製材工業団地として吉野町が本格的に整備されたのは、昭和20年代。木材協同組合が発足されると、上流の集落で林業や樽丸製造業を営んでいた人々が製材業へ参画し、今日の貯木のまち・吉野町が築かれてきました。

 

表のカラフルな木の正体は?

 

吉野川からほど近くに位置するのは、吉野町の原木市場・吉野木材協同組合連合会。広い土場には月に2回、高齢級の杉檜を中心に吉野材が集まりセリにかけられます。市場を抜けて、製材工場が立ち並ぶ貯木エリアへ。足を踏み入れた瞬間、木の香りに包まれ、機械の音と働く人々の威勢の良い声が聴こえ、至る所でフォークリフトが行き交っています。煙突からは端材を燃やす煙が立ち昇って、貯木の町にやってきたことを肌で感じます。

 

たくさんの工場が集まる製材工業団地。通りを歩くだけでも、さまざまな屋号や看板があり、工場の雰囲気も変化があり、発見に満ちています。そんな中でも、異色を放つ工場が目に留まりました。小割にされた木材の木口が、なんともカラフルに着色されています。まるでアートのようにも見えますが、これは何でしょう?さっそくお話を伺いました。こちらの製材所は、坂本林業。工場を案内して下さったのは、坂本林業2代目の坂本好孝さんです。ちなみに坂本林業という社名ですが、業種は製材業を営んでおられます。ちなみに大手企業の住友林業も、主力事業は建設業および不動産業ですね。林業と山を想い、度々川上村にも足を運んでおられる坂本さんに、お話を伺いました。

 

カラフルな木が積まれた製材工場

 

 

坂本林業2代目 坂本好孝さん

 

現在は吉野町で製材業を営む坂本家ですが、元々は川上村のご出身だそうです。好孝さんの曾祖父は、川上村高原にて、樽丸の製造販売業「丸師」を務めておられました。好孝さんのお父様の代で吉野町へ移り、貯木での修行を経て製材業として暖簾分け。屋号の「龍」は、創業時、父・龍亮さんの名前から取り、約40年の歴史があります。

 

坂本家と同様に、吉野貯木の中には「先祖は川上村で林業を営んでいた」というお家は多くあります。昭和20年代に吉野木材協同組合連合会が設立され(前身の吉野材木同業組合連合会は明治35年創業)、川上村で山守を務める家系の次男、三男にあたる方々が吉野貯木で製材業を立ち上げたのです。それ故に山側と顔の見える関係を持ち、どこの山で、どの山守が、どんな施業管理をしてきたか、山守の顔を知る木のプロたちが刻印を見分け、目利きをして原木を選んでいます。

 

坂本林業もまた、原木品質にこだわった製品をつくる会社の一つ。高齢級の吉野檜を中心に製材し、化粧材を製造し、一枚板を店舗へ納材したりと、意匠的に木を用いるところへ販路を拡げています。「育った山と育てた山守、それから、伐採日と伐採者。素材にこだわるからこそ、1本の丸太に関する情報を全部分かるのが、一番理想的かもしれません。」と、好孝さんは話します。これほどまでに、丸太が育った背景を見て、素材と対話した製品づくりを続けておられます。

 

 


坂本林業の事務所

 

屋号の「龍」が目印

 

カラースプレーの理由は、木の出処を区別して木色を合わせるためでした。まず原木の仕入れ時に、木口をカラースプレーで着色します。すると、製材~天然乾燥という工程を進めても、同じ丸太から割った製品がわかり、商品束を最後にまとめることができるのです。同じ木から取った商品で束を作ることで、全体の木色が揃い、意匠的に美しい状態でお客様に届けるための工夫なのでした。

 

このような坂本さんの心遣いは、整理整頓された美しい工場の至るところに表れていました。山を想いながら、丸太を製材し、日本の暮らしへ木材を届ける、貯木の人々。源流の村を少し出てみると、外の地域にも見えない繋がりで、川上村を応援してくれているプレーヤーの存在に気付きます。では、素材を供給する川上村からできることは何か?問いかけをいただいたような時間でした。

 

Airbnb×吉野杉のゲストハウス

 

坂本林業の工場を出て、歩くこと約10分。吉野川のほとりに新しく出来た「吉野杉の家」を案内いただきました。こちらは、吉野杉・檜で作られたゲストハウス。空いている部屋を国内外の人々へ貸し出し出来るサービス「Airbnb」の仕組みを使って、宿泊客を集めています。東京を拠点に活躍する建築家の長谷川豪氏が設計を手掛け、吉野貯木の製材所が納材し、坂本さんをはじめとする吉野町の方々がホストとして活動中。新たな交流拠点づくりを通じて、今までになかった吉野材を活かすコミュニティが生まれています。吉野杉の家は、1泊9,996円から宿泊できます。AirbnbのWEBサイトからご覧ください。
「吉野杉の家」で検索すると、プランを選択できます。

 

吉野杉の家

 

こけら葺き風の屋根
外壁も耳付きの吉野杉

下市町の家具工房「市-ichi-」の椅子

 

まるで秘密基地のような空間で、机を囲む

 

 宙へ上がるような不思議な階段

 

 2階には2部屋の寝室とPC作業スペース、本棚が配置

 

吉野川を眺める縁側は、夏にはBBQも可◎

 

ちなみに、吉野杉を取り囲む大きなケヤキは、かつて筏流しで丸太を運んだ時代、この木に縄を括って筏を繋留させるために残されたそうですよ。船場で言う、ボラードですね。吉野杉の家の縁側で、目の前の川を丸太が流れた時代に想いを馳せながら、いつもと違う時間を過ごすのも、いかがでしょうか?

 

大きなケヤキに囲まれた、吉野杉の家

 

筏場跡地を示す看板にも注目。

 

林業地域の木工業

 

あえて下流地域から、吉野林業を知る旅を続けてきましたが、ここでようやく上流の村へさかのぼりましょう。造林について日本最古の歴史が残る、川上村。代々、山主が所有する山林を山守が管理し、密植、長伐期、多間伐による大径木施業を続けてきた、吉野林業のメッカです。

 

良い丸太を育て川下へ届けることを使命としてきたこの地域ですが、丸太生産のみならず、2016年から新たな取組みも始まっています。その名は、「吉野かわかみ杉こけら舎」。年輪の詰まった大径木という吉野杉の特性を生かして、社寺仏閣の屋根に用いる「杮(こけら)」の製造を始めるチームが発足されたのです。

 

特別に、こけら修行に勤しむ練習場へお邪魔しました。旧小学校校舎である木匠館の教室を利用して、県外からこけら職人の先生を招き、日々鍛錬を重ねておられます。この日は約5名が教室に集い、もくもくと作業を続けておられました。用いる丸太は川上村の原木が出荷される市場で購入した、高齢級の一等級品。直径の大きな丸太から、柾目取りできるように材を割っていきます。

 

 

 

こけら修行に励む方々は、今でも川上村にて現役で活躍する山守でもあります。山を知る彼らが、吉野杉の丸太と対話して、加工にも踏み出しているのです。ちなみに最近は、刃物の柄にテニスラケットのグリップテープを巻くのが流行っているとのこと。道具を大事に、自分の使いやすいよう工夫する姿は、山仕事をされている時と共通するのかもしれません。

 

これから納品される、こけら板

 

丸太を伐って搬出する素材生産のみならず、樽丸生産や狩猟など、山の資源を加工し複数の収益源から生業を作っていたのが、山村集落の人々。川上村では再び、杮を通じて木材加工をリスタートし、木の付加価値を高めて売っていく仕組みへの挑戦が始まりました。

 

温泉と食を味わう

 

川上村の夜、旅の疲れを癒すのは、吉野の温泉と食事です。今回は、川上村の「湯盛温泉 ホテル杉の湯」へ宿泊しました。杉の湯は、ミシュランガイド奈良2017で、快適度が最高の「非常に快適」との評価で選ばれています。ベッドを備えた和洋室には、吉野杉のフローリングが使われ、客間は全てエメラルドグリーンのダム湖を眺める作りとなっています。夕食のコース料理では、吉野杉の器へ綺麗に盛られた食事が。杉の湯へご宿泊の際には、季節折々のお料理と、山並みの景色が美しい露天風呂をお楽しみください。

川上村は、古くは大峯山への参拝者が訪れる行者宿として栄えた地でもありました。そのため、村内には大正時代に建築された旅館を始め、かけ流し温泉宿、民宿など、小さいながらも真心のこもった宿泊施設が点在しています。いずれも星空の絶景が楽しめるような、夜は暗闇の深くなる静かな場所に位置しています。

 

 

ダム湖と四季折々の風景が一望できる客室

 

 

お料理の中にも、春を感じる演出

 

川上村内の木工房でつくられた、吉野杉の器

 

吉野杉の桝で日本酒をいただく

 

  もちろんお箸も吉野杉

 

朝食の茶粥は、奈良の名物

 

朝食の器に、吉野杉。

 

さぁ、いよいよ次は、川上村の中でも最古の人工林「歴史の証人」を訪ねて。
続きは吉野林業を巡る~後編~をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

旅する産地 編集室

林業木材業の選ばれる産地づくりを目指して。地域密着型支援コンサルティングを行う、古川ちいきの総合研究所の視点から私たちが出逢った林業産地の風景や物語をお届けします。

 

 

 


 

 

 

 

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脱サラ=ダサイ?

 

「脱サラ」この言葉をきくと、どんなイメージがありますか?

「ローカルベンチャー」この言葉をきくと、どんなイメージが浮かびますか?

脱サラ⇒ダサイ?脱・脱サラ?

ローカルベンチャー⇒カッコイイ?

では、「リンス」と「トリートメント」と「コンディショナー」の違いは?

「修繕」「リフォーム」「リノベーション」の違いは?言葉が変わって、カッコわるいが、カッコいいに変わっただけでしょうか?

 

 

上記の図には、修繕→リフォームとありますが、今や、リフォーム→リノベーションと言葉が推移していますよね。「建築した時の元々の状態に戻すのがリフォーム」、「付加価値を加えるのがリノベーション」、と厳密にいえば定義が異なります。しかし、本質と装飾(言葉)のどちらが変わったのでしょうか?言葉が変わるという、飾り以外の本質とは何でしょうか。

では、話戻って脱サラについて。

・社会の歯車のような毎日の繰り返しを辞めたい!

・やりたいことがやれないから、自分の意思で、自由に生きたい!

 

このようなネガティブイメージからの脱却として「脱サラ」という言葉が流行した時代もありました。しかし結局は、何をするのかが重要であり、本質の議論となります。その一つの手段に台頭してきたものが、近年では「地域ビジネス」「ローカルベンチャー」と称される仕事ではないでしょうか。

 

地域ビジネスの”カッコいい”は何か?

 

結局、どんな言葉であっても、言葉の流行廃れではなく、フリーランスとしてどう生きるかという意味では、「起業する」「独立する」といった生き方として、共通します。

 

「脱サラしてラーメン屋始めました。」

「脱サラして地域ビジネス始めました?!」

 

つまり、言葉は異なりますが、ラーメン屋も地域ビジネスの一つであると考えます。実際に私は、実家の近く、相模原にある某ラーメン屋が大好きで、これは地元の誇りと思っています。すると、カッコイイって何だろう?と考えます。「(見た目の)デザインが良い」「地域資源を使って持続可能な社会に貢献」「人間関係が良くていい」と地域ビジネスの魅力が語られることもありますが、それよりも大事なことがあるのではないでしょうか?ラーメンがカッコイイとか、カッコ悪いとか、商品サービスの庶民性がダサイとか言いたいのではなく、その答えは自分の生き方、ビジネス経営の方針(志)、暮らしの方向性にあるような気がします。

 

 

「デザインが少々悪くても、一緒に汗をかいて、緊張感ある仕事ができる人間関係を持ち、自分がブレずに、地域で仕事(ビジネス)をすること」が大事で、地域ビジネスの本質とは、ここにあるのではないかと考えています。結果、それが誰かが言うカッコいいに繋がるということ。どうしても、人は、流行り廃れに動かされ、自分軸ではない、他人からの評価軸で動いてしまいがちで、だからこそ、表現(言葉の装飾)での変化だけに敏感になりすぎているのではないでしょうか。

 

4つの幸せ軸から”カッコいい”を読む

 

必要なのは、何をもって自分が楽しく、何をもって幸せと感じるかということ。最後に、ある人から教えてもらった”4つの幸せ軸”を紹介したいと思います。

 

■4つの幸せ軸

①自己実現(やりたいことができているか)

②感謝(人との繋がりがあるか)

③楽観思考(プラス発想であるか)

④自立ができているか(健康、経済、安心があるか)

 

 

総じて、食べる力、生きる力から幸せの基礎が形成されるわけです。他方で、大企業のサラリーマンには、生存実感が薄く、4つの幸せ軸を満たせない不安、不満の募る人が多いとも言われます。戦後日本の教育では、サラリーマン造成を施してきた結果、新たな時代の変化に個人が適応できにくくなったと言われますが、今や、インターネットを使いグローバル社会の中で、東京やニューヨークを介さずとも、ローカルtoローカルへ簡単に繋がるように時代は変化しました。そして、教育方法も学校経営も新しいフェーズに移っています。脱サラとか、ローカルベンチャーとか言葉の装飾は置いておいて、カッコイイってのいうのは「自分がこう思うこと」という「生きる力」の表れなのです。地方は、過疎を問題や課題として捉え、人口増加のみを求めるのではなく、「生きる力」を作っていくこと。地域ビジネスという言葉が認知度を上げつつある一方で、私自身、まだまだ努力が足りないということを強く思ったわけです。みなさまいかがでしょうか。

 

 


代表取締役 | 代表コンサルタント 古川 大輔  Daisuke Furukawa

twitter: @daisukefurukawa

blog: 地域再生・森林再生コンサルタント日記

新潟県生れ、東京都町田市育ち。大学院時代、全国の農山村地域を巡り、研究の道を捨て博士課程中退。㈱船井総合研究所主任、㈱アミタ持続可能経済研究所客員主任研究員、㈱トビムシを経て独立し、㈱古川ちいきの総合研究所を設立。船井総研時代に「地域ブランド創造チーム」設立。以後、地域ブランド創造を切り口に、地域再生、森林再生に携わる。㈱トビムシでは、ニシアワー(森の学校)設立前支援、高野山・高野霊木プロデュース、経営実践研究会の実施等を行い、全国の林業木材業・地域づくりに関わる支援実績、講演多数。奈良県川上村観光PRかみせ大使、高野山金剛峯寺境内案内人。

 

 


 

 

 

 

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コンビニの商品棚に注目!

 

この6月、コンビニエンスストア最大手のセブンイレブンの商品棚で、ある変化があったことにお気付きでしょうか?それは、紙パック飲料の裏面での出来事でした。お茶やジュース等プライベートブランド1000mlの紙パック全てに、森林認証PEFCのロゴが入ることとなったのです。他にも、「キリングループがすべての紙製の包装容器を2020年までにFSC認証紙に切り替え」の方針を示すなど、CSRを重視する世界的企業を中心として、森林認証紙の導入が徐々に広まりつつあります。市場を世界に土俵を置いた場合、「違法伐採が多発し過ぎている。」「自国の自然資源利用について法律的規則が厳しい」「エコグループ団体からの風当たりが強い」といったたような世界的企業は、マーケットアクセスプレミアム=“その市場に入るために最低限必要なチケット”として企業は認証制度に則った資源利用経営へ乗り出しています。つまりこの場合は森林認証材が市場の土俵に入るためのプレミアムとして寄与しているのです。

 

【プライベートブランド商品の裏面に注目!】

 

森林認証材利用が進まない問題

 

一方で、倫理的基準で商品を選ぶ「エシカル消費」について、一般消費者視点から見ると、その購買欲求につながる差別化要素としては、「美味しそう!」「かわいい!」「便利!」といった要素と比べて5番目か6番目と順位が下がるものでしょう。そこで今回は、「森林認証材利用が進まない問題」についてお話したいと思います。結論から言うと、

① 必要性がないから

② 費用対効果がないから

 

現場では、この2点の答えに尽きるのです。

 

森林面積シェアから認証林を読む

 

それでは、日本国内の森林認証を見てみましょう。輸出を除いて、「森林認証材利用が何故進まないか問題」解決の糸口は見つかるのでしょうか?現在、日本の森林面積のうち、森林認証林のシェアを見ると、

2015年は、約3~4%(FSC、SGECの認証林合計)

2016年は、約7~8%(FSC、SGECの認証林合計)

と、微増しており、FSC、SGECの認証林を合計すると、拠点シェア(3%)存在シェア(7%)をついに超えたところです。しかしながら市場への影響を生み出すと言われる影響シェアと言われるのは、11%。ここまで認証林を普及させるには、

 

①QCD(製造業の基本3要素)を遵守すること

 

②必要性、欲求性を満たす高付加価値商品を作ること

 

③シェアの理論で戦略を立てること

 

この3つが肝要となるのではないでしょうか。森林面積ではなく、認証材の製品シェアで戦略を立てる必要もありますね。これから何処までのシェア拡大を目指すのか、あるいは、マイノリティであり続けることで、差別化要因として森林認証を利用するのか。ここがポイントでしょう。森林認証制度は、行政主導で導入へと盛り上がり、結局のところ、審査を務める会社やコンサル会社が儲かっているだけではないかといった批判も見受けられます。

 

「認証」をニーズからウォンツへ

 

 

森林認証をどのように利用するか、この議論になれば、面白い。

 

一部の国では“それがなければ市場に参入できない”というビジネス上の厳しい法規制があれば、森林認証はマーケットアクセスプレミアムとして機能しますが、原則として既述の通り、「QCD(品質、価格、納期)の約束ができること」がなければ、そもそも話が始まりません。安定供給といった企業(事業体)の基礎力と言いますか。特に国内の場合は、QCDを満たすことで、森林認証であるか否かに関わらず、マーケットニーズプレミアム(市場に必要とされる差別化)を付けることができます。

 

このマーケットニーズプレミアムに続いて、BtoCビジネスにおいては、「その木材を使うことで、一般顧客にとって魅力を感じられる要因は何か」といった議論が進みます。特にBtoCビジネスにおいては「カッコいい」「かわいい」「美味しそう」「お得」といった欲求性が重要で、それができるとマーケットウォンツプレミアム(顧客にワクワク感を与える差別化)で付加価値が高まります。その流れがあってこそ、差別化の最後に、森林認証が倫理的消費や物語性といったマーケットストーリープレミアムとして森林認証が活躍します。

 

すなわち、使い手側に掛かっているのです。

 

①マーケットアクセスプレミアム(法律) →森林認証の土台

②マーケットニーズプレミアム(QCD)

③マーケットウォンツプレミアム(暮らしのデザイン)

④マーケットストーリープレミアム(倫理的消費)→森林認証の価値

 

 

やること、できること、まだまだ沢山ありますね。経営力の基盤づくりという視点から見て、本質的に認証を活用するには、各々の立ち位置からみた認証の価値を表す必要があります。例えば、規制や法律面からみると、「アクセスプレミアムにするにはどうしたらいいか」。BtoBの民間事業者視点でみると、「如何にしてニーズに対し安定的に応えるか」。BtoC企業からみると「一般消費者に対するウォンツをどう生み出すか」、消費者視点でみると、「倫理的消費にどのように参加するか」。これらに重きを置きながら、それぞれのプレーヤーが、それぞれの価値創造と将来に何を残していくかという本質的な豊かさの意義を見出していく必要があるのではないでしょうか。

 

 


 

代表取締役 | 代表コンサルタント 古川 大輔  Daisuke Furukawa

twitter: @daisukefurukawa

blog: 地域再生・森林再生コンサルタント日記

新潟県生れ、東京都町田市育ち。大学院時代、全国の農山村地域を巡り、研究の道を捨て博士課程中退。㈱船井総合研究所主任、㈱アミタ持続可能経済研究所客員主任研究員、㈱トビムシを経て独立し、㈱古川ちいきの総合研究所を設立。船井総研時代に「地域ブランド創造チーム」設立。以後、地域ブランド創造を切り口に、地域再生、森林再生に携わる。㈱トビムシでは、ニシアワー(森の学校)設立前支援、高野山・高野霊木プロデュース、経営実践研究会の実施等を行い、全国の林業木材業・地域づくりに関わる支援実績、講演多数。奈良県川上村観光PRかみせ大使、高野山金剛峯寺境内案内人。

 


 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 6月 26, 2017 Under pick up, ちいきのコラム, 未分類, 雑談

 

2017年6月23日(金)は岩手県岩泉町にて、新会社「株式会社岩泉フォレストマーケティング」の設立総会が行われました。FSC森林認証林の拡大や、広葉樹資源の活用、流通整備による町産材の価値創造を目指し、「岩泉の明日の林業をつくる会」が発足したのは3年前の平成26年。ちょうど3年前から弊社はサポートとして岩泉町に携わっています。
これまでは任意団体として、町内の林業、木材加工、工務店、行政関係者が一丸となり森づくりのビジョン策定、シンボルマークの作成、勉強会を重ね、ステップアップしてきました。さらに、昨年8月30日の台風10号による甚大な被害を乗り越え、現在に至ります。今後は新会社が「岩泉の明日の林業をつくる会」の運営支援をしながら、様々な事業を展開していく形になります。弊社は、オフィシャルパートナーとして、今後も岩泉の取組をサポートして参ります。是非今後の「株式会社岩泉フォレストマーケティング」の動きに、ご注目下さい!
●岩泉の明日の林業を作る会
https://iwaizumi-forest.jp/

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 土曜日 6月 24, 2017 Under pick up, すべての記事, プロジェクト活動記

吉野林業を巡る

 

吉野林業発祥の地、奈良県吉野郡川上村。

 

弊社の支援先地域の一つである川上村では、2015年6月28日に川上村(行政)と林業4団体から成る「吉野かわかみ社中」が結成され、丸2年が経過しました。地域林業の中間組織となる吉野かわかみ社中は、小規模林業事業体各社のインキュベーション機能を持つと共に、自らの組織においても地域おこし協力隊制度を活用して職員を採用し、現在は営業、広報、森林プランニング分野それぞれに専門知識あるスタッフが集まるチームが構成されています。

吉野かわかみ社中発足から間もなく3年目へ突入する節目を前に、今回は近隣地域との繋がりから、吉野林業と川上村について辿るツアー「産地巡礼」へ出掛けてみたいと思います。林業の切り口から巡る、1泊2日の奈良吉野旅、どうぞご覧ください。

 

「山行さん」と巡る原木市

 

年1度、最も優良な材が集まる特別市「奈良の木まつり」

 

 

奈良県中部に位置する、桜井市。日本最古の神社といわれる三輪の大神神社を始めとして、由緒ある社寺も数多く残る地域です。この日は、桜井駅から車で約20分、桜井市内の原木市場「奈良県銘木協同組合」を訪れました。こちらは奈良県内に5つある原木市場の中でも、特に高単価の原木が集まることで有名な市場です。この日は、年1度、最も優良な原木が集まる「奈良の木まつり」の開催日でありました。県内に留まらず、全国から高品質な吉野材を求めて買い方が集まります。

 

奈良県銘木協同組合

 

ここで特別に、川上村で林業(素材生産業)を営む中平林業の中平武さんに、市場を案内していただきました。彼は、外周5m超、直径約180cmの大径木伐採や、神社仏閣に使用される木の伐採経験を持ち、若手林業家の筆頭として、川上村を拠点に吉野林業を担っています。ちなみに吉野林業では、林業従事者のことを役割に応じて、山守(ヤマモリ)や山行(ヤマイキ)と呼ぶのです。中平さんも“山行さん”の一人です。

 

中平林業 中平武さん

 

中平さんの解説を受けながら市場に並ぶ丸太を見ると、木口にはそれぞれ「伝票」と「刻印」が記されていることに気付きます。「伝票」には、樹種、材積、長さ、末口直径と共に、産地が明記されていました。そして「刻印」とは、山守が所有し丸太に押印する印のこと。吉野の山守は世襲制のため、山守権と共に刻印が継承されてきました。また、多くの山を管理する山守の場合は、山によっても複数の刻印を使い分けています。つまり吉野林業を知り尽くした買い方は、刻印を見ることで、その丸太を管理した人(山守)と山の情報を辿ることができるのです。

 

真剣な眼差しで丸太を選ぶ買い方の皆さん

 

「あの地域の山の木は育ちが良い。産地と刻印を見て決める。」とある買い方が言いました。ここに集まる丸太は、どれも決して安い素材ではありません。実際に製材しないと中の状態が目に見えないからこそ、丸太の外観のみならず、森林の所在地、出荷者への信頼から予想される施業履歴を考慮して、その木を買うか否か決めるということです。これこそが、刻印の示すトレーサビリティですね。

 

刻印を見つつ山行の中平さんから、丸太に関するストーリーを教えてもらいます。「この刻印は、誰々さんとこの山やなぁ~」等と賑やかに話しながら歩いていると、中平さんの周りに人が集まってきました。「お~Aさん、こんにちは~!しかしアレ(あの木)は凄いですなぁ。どないして伐ったんですか?!」と笑顔で会話が交わされます。市場には、直径が人の背丈を超えるような巨大な丸太も並んでいますが、相手はその木の伐採者さんの様子。市の日は、買い手だけでなく丸太の出荷者も気になって様子を見に来ているようです。 “この木はいくらで売れるだろう?” “誰々さんは、どんな木を出してるんやろう”と、丸太の出荷者にとっても、原木市場はお祭りのような「非日常」のある一日なのですね。

末口直径60cm超の丸太

 

 

景色・素材厳選のオーベルジュ

 

 

取材に熱中する中、ふと原木市場近くの丘の上を見上げると、真新しい木造の建物を発見しました。

 

オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井

 

「あの建物は何だろう、行ってみよう!」と移動。そこで出会ったのは、2016年に開業したばかりのお店「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井 」でした。オーベルジュとは、フランス語で「宿」という意味。レストランと9部屋の客間が揃った、お宿です。桜井駅近くの中心街から離れた、車がないと行けない場所で、里山に囲まれた広いレストランが私たちを迎えてくれました。

訪れたのは、初春。まだ風は冷たく、景色は冬の色をしていました。そんな季節のテーブルには、真ん中に一本のサクラの丸太が立っていました。

 

 

コースが始まると、ガラスの器が運ばれてきて、完成したのは…吉野桜に見立てた前菜でした。「どうぞお花見をお楽しみください。」の一言と共に、思わず歓声が溢れます。

 

 

一品目のアミューズ「吉野桜のお花見」

 

次々と出される料理の数々には、味わいと美しさはもちろんのこと、林業視点からも、見逃せないおもてなしに満ちていました。例えば、お花見をイメージした前菜と共に提供されたのは、お花見弁当に見立てた突き出し。お弁当箱のような器は、吉野地域の木工家さんの作品で、吉野杉の美しい赤柾材が用いられています。

 

 

突き出し料理は、吉野の木工作家が作ったお弁当箱でいただく

 

メインのお肉料理の一皿は、「味噌でマリネした五條の猪のロースト」。素材の味をワイルドにいただく山の中でのBBQも絶品ですが、上品に焼き上げられた猪肉にも、ジビエの新たな可能性を感じます。

 

 

味噌でマリネした五條の猪のロースト

 

食後のコーヒーと共に出てきたのは、和菓子が入っているかのような、小さな木箱。中には可愛らしいマカロンとトリュフの洋菓子が収まっていました。

 

 

木箱に入ったデザート

 

最後まで趣向が凝らされた数々のお料理をいただき、目もお腹も、心までいっぱいになりました。「木」という素材には、温もり・優しさという質感の他に、“加工の幅広さ”が大きな魅力ではないでしょうか。切り株や枝を丸のまま使ったり、板にしてメニューの表紙のように使ったり、あるいは木箱や器として細かく加工してみたり・・・、割る、輪切りにする、彫る、板挽きする、一度刻んでから再び組む等々、幅広い加工の可能性を秘めているからこそ、扱う者のセンスを問われる素材であるとも言えましょう。料理にも似ているのかもしれませんね。料理と木の関係も奥が深そうです。

ふとレストラン内を見回すと、食を楽しむ空間の中にも所々に木があしらわれています。

例えば、客人を迎える入口のテーブルには、輪切りの丸太。その日の料理に使う、シェフが厳選した野菜が並べられています。料理や食材のみならず、木製の建具やメニューの背表紙等の小物にも、随所に吉野杉や桧を使って、「地域産の素材」にこだわった空間演出が施されていました。

 

輪切り丸太の上に、その日仕入れてきた素材が揃う

 

メニューの表紙は、杉の薄板と和紙

 

もちろんお箸は、吉野杉

 

木格子の建具が、和モダンな空間を演出

 

オーベルジュがある立地は、大神神社や箸墓古墳(一説には卑弥呼の墓ではないかと言われる)を見渡しながら、原木市場も一望できる、オーシャンビューならぬ“ウッドビュー”。ついさっきまで居た市場の威勢良い声が聞こえそうな眺めです。

 

 

 

細やかな演出に心までいっぱいになったところで、続いては貯木のまち・吉野町へ足を伸ばします。
吉野林業を巡る~中編~をご覧ください。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

旅する産地 編集室

林業木材業の選ばれる産地づくりを目指して。地域密着型支援コンサルティングを行う、古川ちいきの総合研究所の視点から私たちが出逢った林業産地の風景や物語をお届けします。

 

 

 


 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 6月 23, 2017 Under — ちいきの地域, — 産地ブランド・選ばれる林業会社, すべての記事

京都駅から車で30分程の山村地域、北山三村(小野郷、中川、雲ケ畑)は、弊社が、平成24年度から2年間、京都市北区「北部山間地域まちづくりビジョン策定業務」を受託し、住民や行政の方々と共に、「北山三学区まちづくりビジョン」の策定やホームページづくりをお手伝いさせていただいた地域です。この「北区山間地域まちづくりビジョン」は、北区基本計画の取組のひとつとして位置づけられ、平成24~25年度の2年間にわたって、各学区での座談会(まちづくり部会)における議論、住民全員に対するアンケート(638名分)、先進地の視察などを経て策定されました。

 

■北山三学区まちづくりビジョン策定について(京都市北区ホームページ)

 

■過去のプロジェクト関連ブログ

「北部山間地域まちづくりビジョン策定事業」進行中!

「北山三学区まちづくりビジョン発表会 開催しました」

■コンサルティング事例(概要)

 

そして、ビジョンの中で掲げられた「まちづくりの基本―7つの行動指針」の一つが “交流人口から定住人口へつなげます”といった内容です。ビジョン発表会の開催から約3年。今でも地域の方々が主体となり、四季と共に自分たちの暮らしが伝わるホームページ(ブログ)を更新しつづけ、ファンを増やしているところです。また同時に、まちあるきツアーやホタル観賞会等のイベントを開催し、地域内外での人々の交流を育んでおられます。

 

■北山三村~小野郷、中川、雲ケ畑~ 公式ホームページ

 

そんな北山三村についての情報が集まるホームページ(ブログ)ですが、各学区へ移住して来られた方々にお話を伺い、インタビュー記事が掲載されました。弊社では、2年ぶりの取材と記事の作成をお手伝いさせていただきましたので、ご紹介いたします。

 

まず、北山三村のひとつ「小野郷」地区からは、2015年に移住して来られた坂本和夫さん・美栄さん。京都市内から、この小野郷に夫婦で移住し、山間地域に住んで街中へ通勤されています。

 

■町も山も変わらない、普通に暮らせる小野郷です。
 http://kitayama3.jp/onogo/interview/sakamoto/

 

 

次に、「中川」地区からは、京都市内に住まいを置き、週末のみ北山へ通って、週末限定の古民家レストラン「山の麺処」を営む店主の村上さんにお話を伺いました。

 

■北山杉の里には、現代の日本人に必要なものがあります。

http://kitayama3.jp/nakagawa/interview/murakami/

 

 

最後に、「雲ケ畑」地区です。ここには、旧街道に美しい陶器を作られている窯があります。その名は、「村田製陶所」。この地に移住された作家の村田森(むらた・しん)さんと代表の榮木扶佐子(えぎ・ふさこ)さんにお話を伺いました。

 

■鴨川源流が、私たちの仕事場です。
http://kitayama3.jp/kumogahata/interview/murata-egi/

 

3地区、3者のご紹介をいたしましたが、

北山三村に住まいを持ち、街中へ通勤するひと、

京都市内に住まいを持ち、週末限定で北山にて仕事をするひと、

住まいも仕事も北山三村に置いて暮らすひと。

 

まさに、三者三様のライフスタイルをお届けしましたが、いかがでしたか?

“京都の街から30分、こんなところに、ありました。”というキャッチコピーの通り、街中と山村暮らしの比重を選べるところも、北山三村の魅力ではないでしょうか。

 

ワークショップの時に住民から出た大事にされたコンセプト。「街に近くてちゃんと田舎な北山三村。」そのコンセプトを大事にしながら、今後ホームページでは、空き家情報等も拡充される予定です。引き続き、日々のブログをご覧ください。

 

Posted by wpmaster on 木曜日 6月 22, 2017 Under — ちいきの地域, pick up, すべての記事

 

一昨年度(平成27年度)の2月、代表・古川が
「奥出雲仕事塾」の講演で訪問させていただいた、島根県は奥出雲町へ。
二度目の訪問となりました。

 

この地域では、現在16名の地域おこし協力隊が活動中ですが、
その中から卒業後に起業を目指す方々6名への起業支援アドバイスを
務めさせていただくこととなりました。

 

 

奥出雲町の町花は、石楠花(シャクナゲ)です。
訪れた6月中旬には、庁舎前(横田庁舎)に立派な花が咲き誇る見ごろでした。

 

 

アドバイザリーを務めさせていただくこととなった6名は、
ゲストハウス経営、語学教室の開業、自然学習体験の普及、
空き家の利活用促進、古民家活用&地域の手仕事品販売等と、
奥出雲町ならではの地域資源を活かしながら、異なる切り口での事業づくりを目指しておられます。

 

全5~6回/年の訪問支援を予定している、
今回の奥出雲町における起業型地域おこし協力隊アドバイザリー事業ですが、
初回訪問の今回は、まず6名全員の個別面談を行い、それぞれの原体験や経営理念、
事業ビジョンについてヒアリングさせていただきました。

 

今回のご依頼に関しましては、奥出雲町地域おこし協力隊の皆さまに、
既に専属のアドバイザーS様が着任し、日々の業務に対する伴走型支援を続けておられます。

そのS様から全体のコーディネートをいただきながら、
弊社からは、起業に向けた地域ビジネスの経営視点に特化したアドバイスを
務めさせていただきました。

 

 

また、訪問2日目の午後からは、ミニセミナーを開催。

他地域においても地域おこし協力隊のアドバイザリー支援を務めさせていただいている弊社より、
それぞれの地域からの許可をいただき、他の地域での活動・事業をご紹介させていただきました。

 

収益の作り方、商品開発や、地域の方々と協業による1年間の使い方等、
地域は違っても事業化に向けて取組むべくポイントは、共通する部分も多々あります。
後日、個別面談させていただいた協力隊の方々からは、

 

「何気なく投げていただいた質問に答える事によって
私自身普段何を考えているのかが整理できました。
そして、自分は何がしたいのか、何が課題なのかが明確に認識できました。」

 

「自身のプランを再考する良いきっかけとなりました。
また、その道のプロにチェック頂けることはとても心強い限りです。」

 

「今回の面談内容で個人的に一番印象的に残ったのが“理念と利益のバランス”でした。
特に組織的に活動していく場合は、理念の実現を持続可能なものにしていく為に
利益目標をしっかり話し合う必要があると改めて認識する良い機会になりました。」

 

といった感想をいただきました。

 

“こんな事例を聞きたい”とのご要望についても、第2回までに準備を進めてまいります。

 

 

そして、「ぜひ視察へ行って、協力隊の皆さまとお会いしたいです!」との声が集まり、
近日中にも奥出雲町の方々を訪れて、弊社がお付き合いある地域へと訪問され、
交流していくこととなりそうです。

 

最後に、2日間の個人面談&ミニセミナーを経て、
起業に向かって進む6名の奥出雲町地域おこし協力隊の皆さまには、
目指したい理念、とりたい収益、戦略的な事業の進め方をまとめ、
各人へのToDoリストをご提案しました。

 

地域ビジネスにおけるマーケティングエッセンスや経営戦略を作るための
ビジネスフレームをオリジナルに加工し、各人にあったアドバイスをさせていただきました。

毎回の訪問に、これらの進捗を確認し、事業化に向けた有意義な1年間を
共に歩んでいきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

最後になりましたが、2日間サポートいただいたご担当者様、
そして、懇親会で我々を出迎えていただいた地域の皆さまにも、心より御礼申し上げます。

 

 

 

 

さて、最後にご紹介。奥出雲と言えば、「神話とたたら製鉄」のまち。

あらゆる場所にストーリーが詰まっていて、日本の神話を読み返したくなる出会いでした。
Iターンの方が古民家を使って経営されるカフェも、とっても素敵な空間でした!

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 6月 5, 2017 Under — ちいきの地域, pick up, すべての記事, 講演&研修 報告