移動中の高速道路で大粒の雨に降られましたが当日の目的地、新庄村に到着してみると雨もぴたっと止み所々晴れ間ものぞいて秋の気配を感じる爽やかな気候となった8月30日。

今年度第4回勉強会を開催しました。

 

(色づいた稲穂:8月も終わりに差し掛かり、新庄村特産のヒメノモチも収穫の時が近づいています。)

 

今回は前回の勉強会で皆さんとディスカッションを行い、詳細を詰めた本プロジェクトのロゴマークの仮決定版の発表と勉強会メンバーを中心に構成されるチームがこの先展開してゆく活動についてミニビジネスという観点からアイデア出しを行っていただきました。

 

勉強会の役割とは?

「勉強会」、各地や社内でもよく行われていることだと思いますが、皆様の中で勉強会というとどのようなものをイメージするでしょうか?

新庄村のように、地域の林業関連業者が集まり、その地域の森林林業の課題や現状を把握し将来どのような森づくりを行うか、共通理念を定め、その理念に向かって取組を進めていく場合、勉強会において以下の3つの機能(役割)を参加者の皆さまに活用いただきたいことをお伝えしました。

1.村での情報共有の場

2.お悩み相談の場

3.ビジネス提案の場

 

これまでも多くの地域をコーディネートさせていただいておりますが、地域内の同業者、隣接異業種の皆様は交流が深いと思いきやそうでもない、という地域は少なくありません。

また、地域内外からゲストを招き講座を行うことで他地域事例からの学びや自社経営の悩みについて相談(質問)機会を設けること、自社だけではできないことをチームで実施するビジネス提案を行う機会を設けることが勉強会では可能です。チームとしての以前に「個」の経営強化につなげることも勉強会にとって重要な要素です。

 

 

ついに、ロゴマーク完成。解禁間近!

昨年から、新庄村の森林ビジョンは何かということから、森林ビジョンを体現するためのチームの1つの顔ともいえるロゴマークについて参加者の皆さまとワークショップを重ねてきました。

更に、前回の勉強会からは、村内の道の駅のロゴデザイン作成や現在も村内のまちづくり事業に携わるデザイナーにご協力いただき、ロゴマーク及びビジョンのデザイン化をしていただいています。

 

今回の勉強会で、ロゴマークが確定し、今後はコンセプトブックの作成などに移っていきます!ということでロゴマークをお披露目したいところですが、解禁まで今しばらくお待ち下さい。

今回のロゴのポイントだけ、ご紹介すると

・汎用性を高くするフレキシブルデザイン

・村全体のブランディングに繋げられる(道の駅のロゴとの整合性等)

・新庄村の山、木、水がテーマになっていること

となります。コンセプトブックの紹介と同時にロゴマークも解禁される予定です。公開まで、お楽しみに!

 

 

チーム作りと情報発信体制~弊社事例をもとに~

今後本プロジェクトをチームとして展開していくにあたり、皆さんに具体的なイメージを持っていただくために弊社がコーディネートに携わる3地域の事例をお話しました。

1.長野松本:一般社団法人ソマミチ

2.岩手岩泉:岩泉の明日の林業をつくる会

3.愛知豊田:一般社団法人ウッディーラ豊田

 

これまでも弊社ブログやSNSでもご紹介してきた事例ですが、改めて今回勉強会の参加者の皆さまには具体的にどのように情報発信をしているか、理念と利益の体現のためにどのような活動/イベントをしているかを中心にご紹介しました。具体的な他地域事例があることで、今後の新庄村での活動がイメージしやすくなったのではないでしょうか?

次に参加者の皆さんからそれぞれが取り組まれているイベントについて情報共有をいただきました。各林業事業体様も子供向けのイベントであったり、林業機械の展示であったり村民や住民へ向けたイベントを毎年開催されていることがわかりました。

また、木工に取り組まれている方もおり、今月末に行われる新庄村のトレイルランニングの大会のメダルを作成しているとのことで、既に動いている魅力的な活動が新庄村には多くありますが情報発信についてはそれぞれが個別に行っている場合が多いことも分かりました。

 

現在の時点で様々な活動をしておられる方がいらっしゃる新庄村の可能性と今後の展開に期待が膨らむとともに、チームとして統一デザインで情報発信をすることで個々の活動において相乗効果を生み出すことが出来るでしょう。

 

 

5つの視点からみる「ミニビジネス」アイデア

林業活性化において、素材生産の体制や木材利用の直接的な対策は重要ですが、雇用や移住定住など地域全体の暮らし、経済を顧みた際には素早く始められる小さなビジネス、ミニビジネスの存在も重要となります。

勉強会の後半では、今後チームで取り組む、ミニビジネスに向けて5つの視点

1.直近のトレイルランニングにむけて出来る事

2.“〇×〇”のコラボで出来る事

3.小さく始められること

4.短期的にできること

5.中長期的にやりたいこと

 

からアイデア出しを行いました。

 

思考の幅を広げ、初めの一歩を小さくすること、さらに具体的な事例を見て、触ることで様々な意見やアイデアを発想しやすくなります。ということで、弊社のオフィスから全国各地のクライアントの皆様の木工事例を持参しました。皆さん実際に手に取って、会話をしながら木を触りながらのアイデア出しを行いました。

 

 

現在村内で取り組んでいることをベースに様々なアイデアが出てきました。

<トレイルランニングにむけて>

・カホンをブブゼラのように応援に使えないか?

・大会の参加者の名前を木札に書いてみたら面白いのでは?

 

<短期的に>

・杉玉づくりワークショップ

・音の鳴る応援グッズ

 

<中長期的に>

・カホンを加えた金管バンド

・6歳になったら机を作ろうプロジェクト

・ふるさと納税の返礼品に使えそうなもの

 

<小さく始める>

・目に触れる名札やバッジ作成

・ノベルティとして配布可能なもの

・普段使いできるもの(Tシャツなど)

 

<〇×〇>

・トレラン×サウナ

・森林セラピー×サウナ

・麻×杉玉

 

個々ではできないこと、思い付かないこともチームで考えれば実現可能に!アイデアは出して終わりではもったいないので、まずはやってみよう精神で、今後は実行に移していく予定です。

 

 

さいごに

第1回の勉強会から積み重ね、今回の勉強会が第4回。昨年度から数えると7回の勉強会が終了しました。

今回でチームの形や方向性が固まりましたので、これから皆さんの目に触れる形で活動できるよう準備を進めていきます。

次回は9月の下旬頃に中間報告会という形でロゴマークやチームのお披露目、今後の取組について関係者のみだけではなく村民の皆様も対象にご報告します。新庄村の本プロジェクトがより良いチーム作りができますよう弊社一同全力で動き、サポートして参りますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。新庄村のこれからの動きに、是非ご注目ください!

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 8月 30, 2019 Under — ちいきの地域, pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

 

2年ぶりとなる、現地研修会を開催しました。
今回は、「関係人口創出による地域信頼ビジネスとは?」をテーマに
弊社研究会のメンバーでもある、平田木材店様の拠点である、
福井県高浜町を訪問しました。

・地域づくりと環境認証ブルーフラッグの紹介
・若狭和田浜の海の家、大阪からIターン者が起業したイタリアンカフェ見学
・地域材(京若狭材)利用の高浜町役場、分譲地等の見学
・平田木材店工場案内
・日本初のブルーフラッグ環境認証の海でBBQも!?

と、ボリュームたっぷりの1泊2日で開催しました。

 

===
<福井県高浜町の概要>
人 口:10,401人(令和元年7月現在)
森林面積: 5,336ha
森林率:73.7%
町木:トチュウ
町花:ハマナス
(高浜町HPより)
===

 

それでは、現地研修会の様子を一部ご紹介していきます。

 

 

ゲストスピーチ「地域づくりとブルーフラッグ認証」

まず、高浜町のまちづくりにおいて欠かせないキーワードとなる、「ブルーフラッグ」を絡めた取組を一般社団法人若狭高浜観光協会の高田慎平様にご紹介いただきました。

 

「ブルーフラッグ」?初めて聞いた。

という方も多いかもしれませんが、ビーチやマリーナを対象に水質、環境マネジメント、安全性・サービス、環境教育・情報の項目で審査される環境認証です。1985年にフランスで始まり、世界で最も歴史のある国際環境認証の一つとして、ヨーロッパでは浸透しており、認証を取得しているビーチにしか行かないという一般観光客もいるとのことです。ここ若狭和田ビーチは2016年にアジア初の取得をしました。

 

高浜町は、昔から海水浴やサーフィンなど海のアクティビティで訪れる観光客が多く、1978年に海水浴客数がピークとなり年間120万人であったといいます。しかし、以降海水浴客は減少し、2015年にはピーク時の6分の1の21万人となっていました。民宿など宿の減少など周辺産業にも影響が出ており、海岸のごみ問題や設備不良など問題も出てきていたため、行政、有識者による検討会議を重ねブルーフラッグを取得する運びとなりました。

 

現在は、「100年後も綺麗な海を子供達へ」をコンセプトに、環境教育やファーストビーチなどのイベント、清掃活動や安全運動なども強化しているとのことで、ビーチを訪れる顧客層も良い方向に変わってきたとのことです。

 

地域のメインの資源を復活、活用したまちづくりの良い事例に触れることができました。

 

 

納材・施工事例見学

【神谷ビル】

 

 

ゲストスピーチを行った会場、神谷ビルは2階がフリースペースとなっており、1階は、観光協会のオフィス、飲食店が併設しています。

改修を行う際に、平田木材店が基本設計・納材・施工をおこなっており、店舗の一部はDIYで施工したとのこと。

1階も、2階も、美しい京若狭材のフローリングが敷かれており目を奪われます。

 

【高浜町庁舎】

 

2016年9月に竣工した高浜庁舎。平田木材店からは構造材を納品。中央エントランス部分は吹き抜けで大きな梁桁が目を惹きます。

中大規模建築には珍しく、細かな加工は地元大工が刻み加工をほどこしている点に、参加者の皆さまは驚かれていました。

 

【浜茶屋 小松ボート】

 

今年の6月に竣工したばかりの浜茶屋(海の家)。浜茶屋といえば、夏だけの営業をイメージしますが、ここ小松ボート様は、

年中営業を想定し平田木材店が設計、施工をしました。内装、特に天井には平田木材店の木材がふんだんに使われています。

これから迎える、初めての冬の雰囲気もまた楽しみで、さらにおでん定食が定番ということで、まさにぴったり。

 

【ウッドロード(和田高浜ビーチの木道)】

 

ビーチの真ん中に、海辺へとすっと伸びる木道。これも平田木材店様の納材事例です。水中用車いすやベビーカーでも、水際まで行けるように設計されており、

ブルーフラッグ認証のユニバーサルデザインのチェック項目に寄与しており、太陽の日差しが強く砂浜が暑い時の移動にも便利ですね。

 

 

平田木材店工場見学

1日目は、地域の納材事例の見学などがメインでしたが、2日目は、実際に製材品が生まれる現場、平田木材店様の工場を見学しました。平田木材店様の工場、事務所は若狭和田駅のすぐ隣、国道沿いに位置し高浜町の一等地一番地、まさに高浜町の顔としての存在感があります。

 

一足工場内に足を踏み入れると木材のよい香りがふわりと広がっており、工場内で毎日目立てをされた鋸がイキイキと回転する台車で次々に丸太が挽かれていきます。

工場の壁を取り外すと6m以上の長さの丸太も製材可能ということで、様々な需要に応えることが可能です。高浜庁舎の立派な梁桁も、この工場があるからこそ地元で提供できたということですね。

 

 

 

(モルダーの説明をする平田社長)

 

台車のある第一工場を離れ足を進めると、第二工場に。こちらでは、ここ数年でモノづくり補助金を活用し導入したモルダー、乾燥機、ヒートローラーによる乾燥、加工が行われています。新しい機会を導入し、加工力が高まったことで、施主への提案の幅が広がったとのこと。特にヒートローラーはフローリング材に圧迫しながら熱を加えることで浮造り風の手触りになる加工が可能となり、より強く無垢フローリングの魅力を施主へ伝えることができ、施主からの評判も良いとのことです。

 

1日目の夜の懇親会や視察場所など、まだまだお伝えしたいことがありますが、今回はここまで。

 

原木の目利き、製材、加工、納材、設計、施工とワンストップで商品、サービスを提供できる平田木材店様だからこその提案力を確実に高めており、地域づくりに欠かせない企業となっています。

また参加者の皆さまにとっては、平田社長の地域との関わり方・姿勢、事業の展開など刺激になったポイントが多くあったようです。各地域に戻り皆様の事業で少しでも実践できることがありましたら幸いです。

 

 

参加者の声(一部ご紹介)

A様(機械問屋)
平田社長の謙虚な姿勢、地域で生きるためのバランス感覚を学びました。
また、祖業の製材業から川下に事業を拡大し、建築関係までワンストップで対応可能にすることで、地域の様々な課題(案件)に対応可能になり、地域の活性化に深く関与することによって案件を獲得し商圏人口の狭さをカバーすることが出来る事も学部ことが出来ました。自身の事業においても、少しずつ地元との関りを増やし露出度を高めていきたい。

 

B様(木材加工業)
「モノづくり補助金が通ってから次々と状況が変わった」と平田社長はおっしゃっていたことが印象に残っている。やはり行動することで次の展開が生まれる。現状維持が一番危険であると感じた。また、ホームページを整備してから大阪などからも問い合わせがあり、実際に関西圏の施主も生まれたということで、外部とのコミュニケーション(特に顧客開拓や採用活動)において、ホームページは有効であること(社内説得に苦労する(笑)が、生き金になる)を学んだ。自社でもホームぺージの拡充に努めたい。

 

C様(工務店)
今回の視察では、人間の内面の部分を特に勉強させていただいた。人間性の部分ということで、すぐに自分に落とし込めるかは心配であり、特に平田社長の謙虚さと素直さと、当たり前のことを当たり前にやる実直さはすぐに真似でき無いが、今後の事業の骨格づくりに参考にさせていただこうと痛感した。

 

 

さいごに

今年度は、現地研修会を2回、開催予定。
次回は、山口県(長州)あるいは高知県(土佐)を予定しています。
詳細は追って、本ブログ等でご案内させていただきますので、
お楽しみにお待ちください。

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 8月 26, 2019 Under pick up, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

 

秋雨前線近づく8月24日(土)、

新大阪にて今年度初めての大阪経営実践研究会を開催しました。

今回は兵庫、京都、大阪、滋賀、福井、岐阜、愛知の7府県から13名の方にご参加いただいただき、公共建築の地域材利用や住宅リテラシーなどをはじめとしたテーマで開催しました。

 

 

今回のメニュー

【1】ちいきの総研より情報提供

・販促EXPO、100年古民家プレミアム納材

・A材利用の新ビジネス&販路拡大(林野庁補助事業)

・市町村森林経営管理、林業事業体の経営力調査事業 ほか

 

【2】参加者近況報告

 

【3】林業マーケティング講座

・森林/林業統計から学ぶ国産材ビジネスのミカタ

 

【4】ゲスト講座・参加者プレゼン/ディスカッション

・参加者プレゼン①:「理念策定/事業概要デザイン」

・参加者プレゼン②:「公共建築木材等への木材利用促進勉強会を経て」

・ゲスト講座①:「日本の住宅リテラシーとは」

・ディスカッション:「木材の良さ」とは何かとその伝え方

 

【5】古川ちいきの総研講座

・インターン5か月の学び

・ちいきのメソッド基礎フレームと新たなミッション

 

【6】まとめ

・改めてSDGsって何?東京五輪、大阪万博後、2030年に向けて我々がやるべくこと。

 

いつもの研究会よりも多めの内容となりました。

今回も一部抜粋して、当日の内容をご紹介します。

 

 

林業マーケティング講座

弊社高田より、「森林/林業統計から学ぶ国産材ビジネスのミカタ」をテーマにお話させていただきました。

いきなりですが、皆さんは以下の問いに答えられますか?

・林業の市場規模はどれくらい?

・自身が住む都道府県の素材生産量はどれくらい?

・生産された木材はどのような用途でどれくらい使われている?

・「林業は儲からない」はよく聞く言葉だけど、本当?どれくらい儲かっていないの?

 

いずれの問いも林業、木材業に携わる方であれば最低限知っておきたいことではないでしょうか。なぜなら、自分が仕事で戦うフィールドの大きさの目安となるからです。誰と、何で戦うのか?見失わないためにも最低限の数字(統計)は知っておきたいところです。ということで今回は基本的な統計資料を基に、今回参加者の皆様の地域に合わせた分析した結果をお伝えしました。

 

具体的な数字は今回は省略しますが、ポイントとしては3つあります。

1.体積(㎥)よりも金額(円)ベースでみる事

<体積よりも売上、売上よりも粗利が経営において重要なためです>

2.林業の市場規模を見る時は一次産業におけるポジションで印象に残す

<同じ一次産業のくくりでも、規模感は都道府県によって全く違う>

3.用途別素材生産量で地域の需要を知る

<用途別素材生産量を見ると影響力のあるプレーヤーが見えてくる>

 

今後、弊社で統計に関するまとめは定期的に発信していく予定ですが、自身で調べる際には6月に政府が出す統計が多いことやお勧めする民間企業がまとめるユニークな統計についてもお話しました。是非、統計の見方を知り、数字を味方に経営に生かしていただきたいところです。

 

 

ゲスト講座

某住設メーカーのプロダクト設計担当者にご参加いただき、「日本の住宅リテラシー」をテーマにお話しいただきました。
まず、導入としてバブル崩壊前後のインテリア消費者の性質について教えていただきました。バブル崩壊前は「こだわりよりも便利さ(決まったモノをまとめ買い)」を重視する傾向が強く、バブル崩壊後は大きく3つのパターンに消費者は分かれていきます。

Aパターン:必要最小限、実用性重視(全体の70%程度)

Bパターン:関心は高いが手ごろな価格帯が多い(25%)

Cパターン:気に入ったものを追求する、高くても時間がかかっても良い(5%)

 

Aパターンが多い=市場が大きいからこそ、大企業の営業のほとんどがターゲットとしてきたが、昨今はB,Cパターンの人が増えてきているのではないかと言います。

SNSでの拡散力が上がるにつれて、憧れる暮らし、ライフスタイルを真似する消費者が増えたことも後押ししていると考えられます。

 

大企業は大企業、中小企業は中小企業の役割があるものの、

いずれにしても今後はモノを売るのではなく暮らしを売る方向によりシフトしていくのではないでしょうか。

 

 

ディスカッション

参加者プレゼンの中で行政職員向けの勉強会を実施した話の流れから出てきた「木の良さ、地域材が良いということはどのように伝えれば良いか」という点について参加者同士で意見を出し合いました。

・そもそもすべてのモノを木にする必要はない、ということが前提。

(それぞれの産地の名産、特色を生かし公共施設を作ればよい)

 

・とはいえ、令和時代に入りますます、建築業界は鉄骨造よりも木造がカッコよいでしょ?という価値観が強くなるのではないか。

 

・行政へは地域経済(地元民間企業)への効果を示したいと考える

(地域内の加工場を経由して材料提供する、など)

(GDPへの効果を示せれば行政担当は納得する場合が多い)

 

・先行事例を見て、うちの自治体でも同じようなモノを作りたい、となることが多い

(行政自体には木を使いたいという考えはない場合がほとんど、実際プロポーザルなどでは100点満点の内、地元木材の利用は10点以下程度)

(山がある自治体と、山が無い自治体によって対応は異なる)

 

・木とそれ以外の素材で出来た建築を見せ、どれが良いか地元住民にアンケートを取り1つの参考資料としてはどうか

 

と様々な意見が出てきました。今回だけでは明確な答えまでは詰められなかったものの、木材利用(建築)に係る共通課題と、課題解決に向けて1つの答えを見出す必要性の高さを共有することが出来ました。今後の研究会の重要テーマとして企画に盛り込んでいきます。

 

 

ちいきの総研よりまとめ

SDGs、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標でありますが、この「持続可能な開発」について林業、木材業では何が考えられるでしょうか。環境配慮の面で考えると「木材の方が石油由来の材料が環境に良い」というイメージは多くの方が持っていると思いますが、果たして、どうして木材を使うことが良いのか、についてこれ以上の説明は無いよなというところまで詰められているでしょうか?

また森林林業、木材業界への影響が大きい、建築業界を見ると、10~20年後を目途に空き家率30%へと増え、住宅着工戸数は50万戸へと縮小する予想があります。この現実を目の前にして「持続可能性」についてどのような答えがみいだせるでしょうか?

木材活用について、マーケットインに寄りすぎず、かといってプロダクトアウトに寄りすぎないまとめも必要でしょう。今回出た課題やテーマについては、本研究会で今後追求していく内容としていきます。

 

 

参加者の声

【F様(木材流通)】

初めての参加でしたが、大変良かったです。公共建築をはじめ、地域産材の利用促進に関して「木は良いよ」という点をどう説明するかについては、木材業界全体の悩みだと思いました。また、木材の良さについてのまとめをこれから本研究会で作ることになることについて、まさにあれば良いと思っていたものですので、期待しています。

 

【K様(住設メーカー)】

日本の各地域には、顧客と共に創り上げていくような美しいサービスが沢山あることを知りました。大企業のやってきた、大量生産大量消費モデルがもはや成立しないのは間違いないが、地域の小さなスケールだけですべてが回るわけでもない。うまいバランスを探ることを目指したい。

 

【T様(木工機械流通)】

自社の事業に落とし込めるヒントを多くいただきました。消費の3要素のうち、物語性+欲求性で売り出していく手法に新しさを感じ、消費者にはおおよそ3層のパターンがあることも学べました。何より、顧客への啓もう、信頼獲得、教育が重要であり、サービスや商品も売って終わりではなくアップデートし続けることが重要だということが分かりました。

 

 

さいごに

今年度最初の研究会が終わりました。

翌日から2日間は本研究会にもご参加いただいている、

有限会社平田木材店様の本社がある福井県高浜町を視察しました。

視察の様子は以下のURLよりご覧ください。

https://chiikino.jp/blog/?p=10170

 

 

また、次回の研究会は10月26日(土)に開催予定です。

詳細が決まりましたら、弊社ブログ、SNS、メールにご案内させていただきます。次回も多くの方にご参加いただけること、楽しみにしております。

今回は参加できなかった方、初めて研究会を知った方も、参加をご検討いただけますと幸いです。

研究会内容の詳細は、以下のURL(大阪・経営実践研究会紹介ページ)からご覧ください!

https://chiikino.jp/blog/?page_id=187

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 土曜日 8月 24, 2019 Under pick up, お知らせ, すべての記事, セミナー報告, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

 

長く続いた梅雨が明け、本格的な暑さが迫りつつある令和元年7月29日。

 

三重県熊野市にて、弊社代表 古川が講演をさせていただきました。

 

テーマは「地域ブランド工務店になるための戦略とその実践」

 

古川と出会って10年になる野地木材工業株式会社 野地伸卓氏からお声がけいただき、お話しさせていただくことになりました。

ご用命ありがとうございます。

 

本講演は、野地様が事務局を務められている「みえ木の家ネットワーク」総会の基調講演でした。

当日は、工務店や製材業、行政の方など約30名の皆様にご参加いただきました。

 

 

「5つの価値観」と「情熱」

 

2時間の本講演は、前半と後半の2部構成としました。

前半部は古川の自己紹介を基軸に、<理念>をテーマとして「5つの価値観」を提示し、お話をしました。

 

「5つの価値観」

・源

・時間観

・土地観

・経済観

・キャリア観

 

また、古川の幼少期から、大学時代の川上村での体験を基盤とした、軸と理念とその根本にある「情熱」について、

 

“人生を変えた2枚のチラシ”

“持続可能な企業と世界のための理念と利益”

 

などの切り口でお話しさせていただきました。

 

そのような古川の原体験を基軸に、インターネットやAIが主流となり世界的ビッグデータを活用できる企業が覇権をなす世界であっても「5つの価値観」が大事であることをお伝えし、オリンピック・万博が過ぎ去ったあとも残り続ける「日本人の心」「これからの和」を創成するために京都北山で取り組んでいる事例などをご紹介しました。

 

 

 

立米で語るより、億で語れ!

 

前半部は「理念と価値観」についてテーマとしましたが、後半部は“製材、工務店 × マーケティング“というテーマでお話しさせていただきました。

 

 

まず、理念を守り、企業を継続させていくためには、理念と利益の共存が大事であること、一方で多くの企業が販売不振で倒産する現実を見ながら、林業木材に関わる我々として、いかに木を使ってもらえるようにし理念を具現化するためには、単なるセールスではなくマーケティングが必要である、ということなどをお話ししました。

 

 

そのうえで、日本の産業別の市場規模、林業分野の都道府県別の市場規模(生産額)を比較しながら「林業・木材業界では生産量(立米)を指標に考えることが主流になっているが、経営をしていくうえで重要なのは生産量よりも売上、売上よりも粗利である」ということの解説をしました。

 

 

林業と他産業、三重県と他府県の比較を生産額から見ることで、全体の規模感がつかめたかと思います。

このように市場の中でのポジショニング、立地によるポジショニングを把握したうえで、マーケティングを考えるきっかけになったのではないでしょうか。

 

 

 

 

そこから、工務店として顧客視点を改めて考えなおすため、“住宅10ニーズ”のフレームワークを行いました。

 

 

“住宅10ニーズ”は、顧客が住まいを決める際には何が決め手になるかということを古川が独自にまとめたフレームです。

 

 

また、3Cから自社の強み、地と図の関係から顧客意識が変化していくことなどお話しし、顧客から選ばれるブランド工務店になるための要素についてもお伝えしました。

 

 

そこから、弊社クライアントの取組より事例を紹介しました。

「どんな住宅に住みたいか」だけではなく「この地域で暮らしたい」というニーズが高まる中で、現地ツアーを開催したり、行政とタッグを組んで地域の発信をするなど、理念と利益を両立させた経営とともに、地方創生に積極的に取り組んでいる企業様の事例です。

このように地域の工務店として地方創生の役割を担うことも、新築着工戸数が激減していく中、2030年を見据えた行動として重要であることをお伝えしました。

 

お客様の声

 

講演会参加者の皆様よりご感想をいただきましたので、ご紹介させていただきます。

 

「マーケティングとは何か、という基礎の部分を自分が知らなかったので入り込みづらいところはあったが、事例を見ていくと、こう売り出していけば良いんだな、ということが分かってきた。参考にして自社経営に活かしたい」(工務店経営&設計士A様)

 

「今回の講演を聞いて、みえの木の家ネットワークで国産材ブランドをつくり、全国の工務店にPRしていきたいと思った。」(工務店経営&設計士B様)

 

「モノを売るときには、顧客の立場に立って明確にニーズをつかみ、そのうえで自分たちの独自性を探し、アピールすることが大切だと講演を聞いて感じた。」(行政職員C様)

 

「話に引き込まれ、あっというまに終わってしまった。これから何十年とこの仕事と向き合っていくなか、(今回の講演会が)大きなポイントになりそうな気がしている。また、自分たちが尾鷲檜に縛られつつも守られつつ取り組んでいることも、この講演で見えてきた。今後はマーケティングフレームも使いつつ、顧客視点で経営を考えていきたい。」(製材業D様)

 

「理念の話がよかった。今の時代、講演で話された5つの価値観を持てるかどうかということはとても大事だ!『理念』『5つの価値観』というテーマで、いろんな会社が集まり、ディスカッションする場が今後あれば良い。」(製材業E様)

 

お伝えしましたマーケティングフレームを、一つでも多く参加者の皆様の実際の経営のヒントとしてご活用いただければ幸いです。

 

古川ちいきの総合研究所は、林業・木材、建築、マーケティング、これからの地方創生など、広く皆様にお伝えし議論を深め、理念と利益が共存した地域づくり、社会づくりをしていきたいと思っております。

 

講演のご相談等は、お問合せフォームからお受けしています。
ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。
過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。

https://chiikino.jp/blog/?page_id=193

 

Posted by wpmaster on 金曜日 8月 2, 2019 Under すべての記事, 未分類, 講演&研修 報告
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