7月度の経営実践研究会[国産材ビジネススクール]を開催しました。
10名を超える参加者で、素材生産業、製材業、木材流通業、工務店と、
川上~川下のメンバーが揃い、活発なディスカッションが行われました。
毎回、メンバーからそれぞれ議題を提案していただきますが、
今回は、木材に関するクレームに対して、どうすれば未然に防げるか、
また起こってしまった場合、具体的にどんな言葉で説明すればよいか、など、
メンバーの実体験を交えて、様々な「答え」を聞くことができました。
さらに、木材流通の重要性について、特に小売店の役目を、
昔の街の「魚屋さん」にたとえて、再確認をしました。
昔の魚屋さんというと、店頭に大将が立っていて、買い物に行くと
「今日はこんなネタが入ってるよ!」
などと言って、お刺身用に裁いてくれたり、焼き魚用におろしてくれたり、
その場でプチ加工もしてくれたものです。
(といっても、私が生まれてからは、ほとんど見かけたことがありませんが・・・)
以下、木材小売店の役割を、整理してみました。
スーパーに並んでいる魚を買うのと、
店頭におじさんが立っている魚屋さんで買うのと、何が違うか。
魚屋に来るお客さんには、ざっくりと分けて、3種類あります。
①お刺身が食べたい、煮付け用の魚を探している、など、
レシピをある程度決めている。
②今日は絶対、これが食べたい!ある特定の魚がほしい。
③夕食のメニューも決まっていない、なんでもいいけど、なんとなく来た。
それぞれに、どう対応したらよいでしょうか?
①「今日もアジはあるかしら。」
お客様のニーズがある程度決まっているので、
オーソドックスなものを薦めること。
それぞれ用途に合う数種類を、納得性のある価格で、
常に同じものを用意しておく。
「いつものあれちょうだい」 に、答えていくこと。
これは、どちらかというとスーパーの得意分野です。
安定供給、価格明朗。
これは商品ラインナップのベースになるものですが、
ここばかり強化しても、隣のスーパーに負けてしまいます。
②「今日はどうしても鯛がほしい!」
たとえば事前にお客様からの声があれば
「今度宴会で●●が食べたいから、あれ仕入れておいてよ!」
に対して、市場で探してくることができる。
特注品に対して、オーダーメイド的に対応ができます。
これが、大きなスーパーだと難しいところ。
個別の注文に対応できることが、
小回りの利く魚屋のメリットです。
③「なんでもいい、お魚じゃなくてもいいんだけど。」
そんな人には、「レシピ」から紹介する。
「これやったら簡単に作れます」
「ちょうどこの魚があるから、この料理法が合います」
「こんなレシピが、すごく美味しくておすすめ!」
これは、スーパーにも最近、レシピが置いてあることもありますが、文字だけでなく
「俺は昨日食べたが、うまかった」
「魚をこうやって処理すれば美味しい」
リアルな現場の情報が、
プロの口から伝えられるのが、魚屋の売りですね。
では、
「いい木材入れてる材木屋」の 役割とは何か。
大型スーパーと、どのようなディテールで差別化できるのか、
魚に当てはめてみると、見えてきますね。
① 安定供給
② オーダーメイド
③ 用途提案
上記3つのパターン、
すべてに対応していかなくてはならないと思います。
異業種から学ぶ、考察してみること。
これがひとつ、気づきです。
それから・・・
いわばこの研究会は、
漁師(素材)と、卸業者(製材業)と、魚屋(小売)と、寿司屋(工務店)
これが一緒に、今後の漁業について話し合っている、という
感じです。
漁業では、こんな場があるのだろうか。
この研究会の貴重さと、業種の垣根を越えることが大事であることも、
同時に感じます。
それから、やはり「魚屋さん(小売)」の重要さ。
家庭での食文化をつくっている、提案できるのは、ここですもんね。
「お客さんに木を提案できる
まともな材木屋がいなくなったから、林業がだめになった」
とは、某、材木屋さんの社長のお言葉でしたが、
そんなことを感じた研究会でした。
これからも、研究会は毎月開催していきます。
業種の壁を越えて、議論できるこの場。興味のある方は、ぜひお越しください。
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今月末には、8月31日-9月1日と、研究会メンバーを中心に発表する
「産地共催交流セミナー」も開催します!
こちらも、ぜひ一度お越しください。
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(岩井)