令和6年5月23日(木)、
高知県本山町にて本山町地域おこし協力隊を対象にした勉強会を行いました。
本勉強会は全5回で構成しており、協力隊の任期終了後の独立、経営に向けた内容となっています。今回は、そのうちの1回目、
テーマは「ビジョンとマーケティング3つの基本ポイント」です。
当日は本山町に住んでいる協力隊員を中心に9名の方にご参加いただき、
自己分析を踏まえた理念・ビジョンづくりやマーケティングの基礎勉強に取り組みました。
本山町地域おこし協力隊を対象にした勉強会の第1回目ということもあり、初めはお互いを知るために自己紹介から始めました。
各々の自己紹介をした後には、印象を強めて人に覚えてもらう要素をレクチャーし、「1分間で印象に残るスピーチ」を最初のワークとして行いました。
突然始まったワークに参加者の皆さんも頭を悩ませながら取り組んでいましたが、レクチャーを踏まえながら、まずは練習として5分間で原稿に起こして1分間で印象に残る自己紹介スピーチをしていただきました。
自己紹介から始まった勉強会ですが、本題である「ビジョンとマーケティング」に関する話に入っていきます。
初めはビジョンの話です。
何をするのにも「将来どうなっていたいか」というビジョンは必要で、ビジョンがあることで「これからどのように動いていけば良いか」という人生設計をすることができます。それはどんな産業でも地域おこし協力隊でも学生でも同じです。
例えば、地域を支える産業である林業で考えてみます。林業は他の産業と違って、課題解決だけで継続することは難しく、しっかりと社会の流れやビジョンを把握する必要があります。
しかし、実際はどうでしょうか。
「林業は50年後や100年後を見据えた行動が必要であるのにも関わらず、そのビジョンを捉えられていないところが多い」
「最初はビジョンを想像できていたが、現実を知って進むべき道を見失ってしまうことが多い」
「木材の産地間だけでは競争が足りず、全てが同じブランドになってしまい産業自体が盛り上がらない」
と社会の流れやビジョンを考えられていないのが現状です。
そんな林業のリアルから講義は始まり、「皆さんはどうですか。このように将来に対する妄想と顧客創造ができていますか?」といった問いかけから、自身のビジョンへと繋がっていきました。
ビジョンを考えるためには、自分に秘めている「価値観」を知る必要があります。そんな価値観は5つ(情熱、土地観、経済観、仲間観、時間観)で構成されおり、それぞれを組み合わせることでビジョンが明確になるということを弊社ではルール化しています。ます。
参加者の皆さまも自分に秘めている5つの価値観について考え、自分の内面を考えるきっかけを得ていただきました。
5つの価値観の中でも「情熱」に関しては「情熱方程式」という独自のフレームも提供しました。
弊社古川より、例として「最近の人は怒っていない。その情熱が足りていない」と審判に怒ることで有名だった星野監督のエピソードから、自分の夢や目標を達成し続けるための情熱は「好き×憤り」で表現されることをお伝えしました。
参加者の皆さんにも過去の実体験をもとに「好き×憤り」を把握して、自分の中に秘めている「情熱」を考えていただきました。
「お金を稼ぐことは楽しいが、税金として多くを持っていかれるのが悔しい」
「安定への恐怖や仕事のなさ。最終的には収まるところに収まってしまうやるせ無い気持ちがあり、自分ごとしか考えていない憤り。」
参加者の皆さんからはそんな「好き」や「憤り」が発表され、過去を棚卸しすることで自分が秘めている「情熱」を考えるきっかけになった事と思います。
ここまでで、自分の「情熱」を明確化し、「理念とビジョン」を考え、将来設計を行うための自己理解という基盤ができました。
ビジョンが決まれば、そのビジョンを達成するための道筋を立てる必要があります。
その道筋を歩いていくための手段として「お金」が必要になり、そのお金を稼ぐためには、価値を届けたい人に届ける・伝えるための「マーケティング」が必要です。
続いては、そんなマーケティングについての講義をしました。
初めに、マーケティングで必要な外部環境をすることで、強いては自分の立ち位置を理解することにも繋がります。
例えば、自分が地域おこし協力隊として本山町で林業を事業として回していくとします。
50年後のビジョンが生まれたあと、自分がどのような状況に置かれているかを把握することは必要です。その際に考えるのが全国と本山の林業産出額です。
全国的には70兆円あると言われている林業ですが、中でも高知県は93億円だそうです。
そのマーケットで自分が働いていることを知っているだけで、外部環境の把握になるので今後の行動が大きく変わってきます。
その産業で勝負をするのか、本山町産のものを活かして他の地域で勝負をするのか。
そんな本山町にある林業の市場理解、外部環境の把握からマーケティングの話をした後に
マーケティングの基礎フレームを実際にクイズ形式のワークをしながら理解を深めていきました。
今回は「ホットドック屋さんの横で自分のホットドック屋さんを開くなら?」「地域で採れた大きなシイタケを売るなら?」という2つのワークを行いました。
ここまで学んできた「市場理解」「外部環境」を活かしながら、3C分析や5F(ファイブフォース)分析といったマーケティングのフレームワークに当てはめ、「他者と差別化するには何を・どのように販売する必要があるか」というマーケティングの基本を学んでいきました。
自己紹介から、事業を行っていくために必要なビジョンやマーケティングについて講義を行い、今回も6時間走り切ることができました。
全体を通して、事業をしていく上で大切な内容がたくさん詰まっている講義でしたが、参加者の皆さんも今までは気づくことができなかった「自分」という内面的な理解をしながら、経営者としての知識を高めることができ、学びのある講義になりました。
以下、参加者からの感想です。
【アンケート回答より抜粋】
・公憤を強く持ち続けることで、私的な取り組みのみに終わらず、公的な取り組みと連動させることで町の活性化に結びつける活動につなげていきたいと感じた
・5つの価値観を参考にした自分の価値観の深堀りや過去の棚卸を通して、自分の情熱や理念を言語化するのにつなげていきたい。そして自分のポジショニングを明確にしたい!
・個人的にもコンサルティングをお願いしたいと思います。今後とも御指導よろしくお願い致します。
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ここでの学びや気づきが、少しでも皆様のお役に立てていましたら嬉しいです。
マーケティングはもちろん、財務や人材採用など広く経営に関してや、地域づくりや森林ビジョン策定の際の考え方や手法などについても、実践を元にした講演がご好評いただいています。
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