5月11日(土)、今年度第1回の大阪経営実践研究会を開催しました。コロナ明けから開催頻度を減らしていた研究会の本格的な復活、さらに研究会でも長年お世話になっているエネキコリの久米歩さんの書籍出版記念イベントも同時開催ということで、いつもにまして賑やかな回となりました。それでは、当日の様子を一部、ご紹介します。

 

 

今回のメニュー

■各社近況報告&自己紹介

–各社報告

–インターン生自己紹介

■最新情報&話題提供

–自治体事例(兵庫県佐用町のユーカリ植樹と生物多様性の今)

■“手取り2倍”になるための、地方で林業・製材業にかかわる
“企業&経営者”になる為のレッスン

–最近の林業ベンチャーの事例
–会社勤めと個人事業主・法人の保険の違い

 

 

最新情報ー自治体事例と生物多様性の今ー

■兵庫県佐用町の事例

まず背景の共有としまして、令和元年から森林環境譲与税が各自治体に分配されるようになり、今まで以上に自治体単位での林業施策の実行が求められる(しやすい)環境となったこの数年。独自の「森林・林業ビジョン」を策定している自治体は特にその色を強く出している事例も増えてきました。

その中でも、弊社がビジョン策定(改定)のサポートをさせていただいた地域でもある「兵庫県佐用町」は全国に先駆けて「町有林の増加」を推進するべく寄付や森林買取を積極的に受け付けています。さらに、町有林とした森林の一部に早生樹を育て、10~20年サイクルで回る経済林の試験も産学官連携で進められています。そこに植える樹種として「ユーカリ」を選択し進めている所なのですが、「外来種」を植えること、「生物多様性」を損なうことの懸念から地域住民の反発が発生しているという事例を報告させていただきました。

いつの時代も起こる「開発と保全」の論争ですが、

・市町村独自のビジョンと森林ゾーニングの必要性

・合意形成(議会、委員会、情報開示)の重要性

・地域性(バイオマス発電などの産業需要や、自治区の関係性、地域外の企業との資本関係等)の違い

を大事なポイントとしてお伝えしました。

 

■地域づくり、地域の森林を見る上で外せない「生物多様性」

先にご紹介した兵庫県佐用町の事例を受け、特に「生物多様性」については、近年の国の方針として「30by30」の目標や、三重県亀山市の「かめやま生物多様性区域」の設定などの事例をご紹介し、地域で森林づくりを進める上では外せない要素であることをお伝えしました。

参加者とのディスカッションでは、早生樹(外来種)を導入した全国の先進事例に関する情報提供、森林のみならず都市部の緑化や、海域での生物多様性保全に関する取組まで領域を広げて「開発と保全」について議論を深めました。

 

 

“手取り2倍”になるための、地方で林業・製材業にかかわる
“企業&経営者”になる為のレッスン

■最近の林業ベンチャーの事例

弊社高田からは、近年の林業ベンチャーの傾向について、情報提供をさせていただきました。具体的に先進的なモデル事例を3社(今回のゲストでもある久米さんの会社も含む)を共有し、その後に近年の事例として9社をご紹介させていただきました。

先進事例に共通する「地域(資源)に根差した事業」「多角経営」という視点を大事にしつつ、近年の事例では特に「異業種での経験」を強みにしながら「業界の隙間」をついた多角的な事業を展開している事例が増えていることをお伝えしました。参加者の皆さんにとってはこれから自社の事業展開や、自社だけではなくともパートナーシップを組んで地域の森林経営に取り組むためのヒントになったかと思います。今回は業界の「隙間」を埋める事例が多かったこともあり「大手企業(異業種含む)」の動きも知りたいという参加者の声もありましたので、また情報を整理して研究会でお伝えする機会を作れればと思います。

 

 

■会社勤めと個人事業主・法人の保険の違い

弊社野間からは、「会社勤めと個人事業主・法人の保険の違い」と題して、基本的な保険や年金や税金等について、従業員と経営者の違いに関する情報共有をした上で、「人生と仕事」のバランスについてまでに話題を広げて参加者の皆さんとディスカッションをしました。また、今回のテーマの1つでもある「地方で“手取り2倍”になる」ために必要なからくり(考え方)について具体的なお話をできたことで、地方ではたらくとは何か、3つのしごと(私事・仕事・志事)についても考える機会となっていれば幸いです。

 

 

参加者の声

■今回もお疲れ様でした。知り合いも増えて楽しい会でした。インターン生の話を聞いていてこんな人間とどうやったら会えるかと。やっぱり都会の生活をしてきたことが地方に行きたいと思わせるなら名古屋や大阪、東京でリクルートするのが正解か?人材不足が深刻化しているので考えさせられました。

 

■色んな方が色んな方法で林業へ関わってきていると思いました。研究会の皆さんの話を聞いていると、今までに考えてこなかったことも、可能になるチャンスやネタがあると思いました。

 

■林業はもはや木材生産のみを指すのではない、ということがこの研究会では当たり前になりつつありますね。

 

■自分の理解ですが、ただ単に売り上げを上げ、従業員を増やし年収を稼ぐことが『手取り2倍』ではなく、経営者としてどう経営していくのかが大切であると受け止めました。

 

■久米さんの「いつまで読んでる?早く書け」(複数名が同様の回答) という言葉が印象的でした。自分は、発信する側の人に対する憧れはある一方で、受け止める側・消費者のままでいることの楽さに浸っていたいと思っているフシがあります。しかし、そのままではいけないので、まずは身近なイベント事での発信側に立ってみようかと思います。

 

最後に

今回は、本研究会メンバーとしても長く参加いただいている久米歩さんの書籍出版イベントも併せての開催をさせていただきました!弊社代表古川が共著で出版した『森ではたらく!27人の27の仕事』が出版されてから10年という節目でもあり、この書籍で「森を伐る人」としてご紹介させていただいた久米さんのこれまでの歩みをたっぷりと知っていただけたかと思います。また、大変ありがたいことに今回も11の都道府県という全国各地からの参加者にお集まりいただき、毎回アツい情報共有と対話を繰り返し共に高め合う機会を継続させていただけていることに感謝申し上げます。

改めまして、今年度は隔月の開催を予定しており、次回は「7月27日(土)」となります。

皆さまのご参加を、心よりお待ちしております。

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 木曜日 5月 30, 2024 Under すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告
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