(株)古川ちいきの総合研究所へインターンに来て、早くも半年と2週間が過ぎようとしていた、7月13日金曜日。今回は、業務同行ということで、朝9時に古川社長と社員の高田さんとともに、新大阪を出発しました。

しかし、この日は朝からいつもの業務同行と違う雰囲気。というのも隣にいらっしゃるのは、2tトラックを運転する古川さんだからです。そして、この後、古川ちいきの総研の仕事がどんどん何屋さんかわからなくなってくるのですが、そんなことをこの時は知るよしもなくトラックはどんどん進んでいきました。

 

 

1.慈尊院

新大阪を出発し、移動すること2時間半。ホームセンターによって備品購入後、古川さんが突然と「ちょっと寄ってみるか!」といって、トラックが着いたのは、仕事場ではなく、和歌山県は九度山町にある高野山真言宗の寺院の「慈尊院」でした。

 

「九度山町は、真田幸村ゆかりの地で有名ですが、その地名の九度というのは、弘法大師空海が慈尊院に住むお母様のもとへ月に九度通ったことに由来しています。なぜ空海が自ら慈尊院へ通われたのか。高野山は女人禁制ゆえに、お母様は慈尊院までしか来ることができなかった。空海は母が大好きだったと言われており、母を慕って、自らは母の居る慈尊院まで月に九度通われ、そのことが九度山の地名になったんだ。」

と、気が付くと古川さんに説明していただきながら案内されていました。さらに、慈尊院は空海のお母様がいらっしゃったということで、絵馬は女性を象徴した乳房型のものになっていて、「子どもが欲しい」や「乳がんを治したい」というようなお願い事をされる場所となっています。

 

そして、奥に進んでいくと階段があり、半分くらい登ったところに「町石」という石柱があります。「高野山には高野七口といって、7つの入口があり、そのうちの1つがこの慈尊院から出発するルートになっていますが、その道には1町(約109m)ごとに町石が置いてあり、高野山の壇上伽藍の大塔が0で、慈尊院の階段の途中にあるのは180町石といって最後の町石なのです。」とここでも、高野山の金剛峯寺境内案内人の古川さんが、教えてくれます。

さて、その町石を見に階段を上ったのですが、そこには意外な出会いがありました。その町石の下にはなんと宝石の様に輝きを放つタマムシがいたのです。残念ながら生きてはいませんでしたが、死して直一層の輝きを放つタマムシの姿に見とれていました。古川さんと幼少時代の子供の虫採り遊びの話題が広がり、盛り上がりました。

 

 

2.丹生都比売神社

早く今日の現場へ向かわなければと言いつつも、時間があるとのことで、慈尊院から車で約15分、次に立ち寄ったのは丹生都比売(にうつひめ)神社でした。

 

古川さんによると丹生都比売の「丹生」というのは、水銀などの希少金属が山の中にある地域で、全国に「丹生」の付く地域があるとのこと。また、丹生の付く地域には昔、丹生一族という金属を扱えるお金持ちの人たちが住んでいたそうです。

そして、丹生都比売神社に祭られている、丹生都比売大神というのは天照大御神の妹分に値し、地主の神なのです。空海は、真言密教の修験の道場として高野山を開くとき、地の神さまを祀り、敬意を払って来たのです。

そのような歴史ある丹生都比売神社の入口の鳥居をくぐると、目の前に綺麗なアーチを描いた輪橋がありました。私は今まで見たことない大きな反りに感動していましたが、それより古川さんが見ていたのは、輪橋の下の構造の部分でした。よく見ると、縦の柱は石でできており、横の柱は木でできていたのです。この木組みと石組みの融合について、ご説明された古川さん。気付けば、境内の中へと移動されていました。

 

その後、神社の奥へと入りお参りを済ませると、次はおみくじのコーナーに古川さんの姿が。丹生都比売神社には巨大なおみくじがあって、それを肩に担いで全身全霊でおみくじを引く古川さん。その姿に思わず、インターン生としてシャッターが止まりませんでした。おみくじの結果にはそっと触れずに、次はようやく本日の本題へと向かうのでした。

 

 

3.芝製材所へ

丹生都比売神社からさらに車で20分程山道を上がった先に高野山があり、高野山に唯一ある製材所、「芝製材所」様にやってきました。本日の目的は、高野山付近の観光ではなく、この製材所にありました。

 

到着するなり、目に飛び込んできたのは、約10枚が2列に重ねられた、杉の一枚板でした。木口は大体30cm、長さは2mで製材されていました。実はこの材は高野山の木。古川さんが金剛峯寺山林部・高野山寺領森林組合と共に手掛けられた、「高野霊木」です。この高野霊木を古川さん自ら、山林の土場にて一本ずつ選ばれて、直接に仕入れさせていただいたものを板材にしていただいていたのでした。

 

板をもってみると、まだまだずっしりと重たく、製品にするには乾燥が必要な状態でした。しかし、古川さんによると高野山は少し湿度が高く乾燥にあまり向いていないため、これから奈良県は吉野郡へと場所を移し、天然乾燥の準備をするということでした。朝、新大阪を出発した時から感じているいつもとは違う違和感。そうです、この板を運ぶためのそのための2トントラックだったのです。

 

芝製材所代表の芝様の巧みなロープワークにより、しっかりとトラックに高野霊木を固定していただき、製材所を後にしました。

 

 

4.奈良県吉野郡 某所へ

高野山にあるコンビニでお昼ご飯を買って腹ごしらえをしつつ、高野霊木を吉野へと運ぶべく、再び高野山の山道を降りていきます。山道はカーブが多いため、古川さんのハンドルもせわしなく回転してきます。「おお~さすが山道だな」とそのハンドルを見ていると、なんとその右手にはファミチキ、左手には赤飯のおにぎりが。山道運転テクニックと同時に素早い食事テクニックを学びました。

余談ですが、後日、別の方(古川総研のお客様)にその時の古川さんの手元の写真を見せると、左手の赤飯のみで古川さんと気づかれていました。「古川くん、このおにぎりよく食べるよね笑。」っと、この時に古川さんが赤飯おにぎり好きだということを知るのでした。

 

話は戻り、高野山から山道を下り、車を走らせること約2時間。吉野で活動をされているとある木工工房へ到着しました。この倉庫の一角をお借りして、高野霊木を乾燥させます。

 

トラックから板を運び出し、積み上げていく単純作業でしたが、まだ生木に近い状態でたっぷりと水を吸っているため、とても重重く、さらには初夏の暑さにやられ汗だくになりながらの作業となりました。しかし、なんとか古川さんと高田さんと板を運び切りこの日のメインの仕事を終えることができたのでした。

 

 

5.エピローグ

1日を思い返してみれば、古川さんは何屋さんなのだろうと混乱しっぱなしの1日でした。大学での講演や業界向けのセミナーをやっているイメージが強いのですが、今日の朝はトラックの運転手。かと思えば、昼前には慈尊院と丹生都比売神社の案内人で、原木は買い付けているし、製材所の方ともっぱら専門用語で喋っているから材木屋さんかなと思ったり、高野山から川上村へと木材をトラックで運ぶからやっぱり運送屋さんだったり、でもトラックの中で話していることは運んでいる材の立米単価の話や林業ビジネスなどの会計・経営にまつわる話で、やっぱりコンサル屋さんなのかと再認識したり。

 

様々な方が古川さんに「何をされているんですか?」と質問をされるシーンをこれまでのインターンでよく見かけてきました。

経営コンサルタントではありますが、今回の1日を過ごし「1日中密着して、その目で確認するのが面白いですよ。」と私なら言うだろうと思うのでした。

さて、今日も古川社長は、オフィスにいません。今日の古川さんは一体どこで何屋さんになっているのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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皆さんこんにちは。
この冬から活動に参加しております、インターン生の田畑です。
今回は、京都の市街地から北へ車で約30分進んだ場所にある3つの集落「北山三村」を訪れました。初めての北山訪問と地域のホームページ運営会議に参加した感想をお届けしてまいります。

 

京都の街から30分、こんなところに、ありました。

 

まず始めに、北山三村の地域についてご紹介します。
北山三村とは 、京都市北区の山間部にある中川、小野郷、雲ケ畑という三学区の総称です。三学区合せて人口800人あまりの地域は、古くから北山林業で知られ、また鴨川、清滝川の源流に位置します。人口減少や産業の縮小が進む中、この地域では平成24~25年度の2年間にわたって「北区北部山間地域まちづくりビジョン策定事業(京都市北区)」が行われました。各学区での座談会における議論、住民全員に対するアンケート、先進地の視察によって「北山三学区まちづくりビジョン」が策定され、三学区に「北山三村」の総称を名付け、ビジョンに沿って共同での情報発信を続けておられます。三学区共通のキャッチフレーズは、「京都の街から30分、こんなところに、ありました。」と掲げているように、京都市内の市街地から30分で行ける場所に、原風景と自然に根差した暮らしが残っていること。意外と京都市内の方々にも知られていないライフスタイルを地域の方々によるブログによって発信されています。

参考:
北区北部山間地域まちづくりビジョン策定事業(京都市北区)
http://www.city.kyoto.lg.jp/kita/page/0000163658.html
北山三学区まちづくりビジョン
http://www.city.kyoto.lg.jp/kita/cmsfiles/contents/0000163/163658/MATIDUKURIBIJYONN.pdf
北山三村ホームページ
http://kitayama3.jp/

 

私がインターン生として所属する古川ちいきの総合研究所では、平成24年から外部コンサルタントとしてビジョン策定に携わり、以後、ホームページの運営管理を中心に情報発信のサポートを継続しています。今回もこのような業務の一環でインターン生としてホームページ運営会議へ同席させていただきました。

 

 

 

 

 

会議の前に、まちあるきへ

 

今回の会議は、北山三村を構成する一つ「中川学区」で開催されました。よって、会議の前に集落を歩いて散策しました。中川は川端康成の小説「古都」の舞台にもなった、北山林業の里です。古くは仁和寺領、高雄山神護寺領を経て、磨き丸太や垂木(タルキ)生産を行う「北山林業」発祥の地として数百年の林業の歴史があると言われていて、地域のロゴマークは台杉をモチーフにしています。

小説「古都」を読んだり、古川ちいきの総研のプロジェクトの話を聞いたりしてきた私ですが、実際に産地を訪れたのは今回初めてでした。
国道162号線の途中を右へ曲がると、すらりと伸びた木が小さな帽子をかぶったような北山杉が立ち並ぶ集落の風景が広がっていました。
京都の市街地から30分とは思えない光景ですね。

 

 

 

次に目に飛び込んできたのは、こちらの倉庫群 。
北山杉の加工(磨き作業)、乾燥、保管の機能を持つ倉庫が集落の入り口に立ち並んでいて、「倉庫群」と呼ばれています。北山丸太の製造過程を網羅する機能を持った建築物は、近年、文化財としての評価も高く、地域のまちあるきツアーでは欠かせないスポット。倉庫群のある風景を守ろうと地域の方々が活動しておられるそうです。

 

 

 

 

続いて、まちあるきで訪れたのが、こちら。
みなさんはこのような木をご存知ですか?実は、樹種は杉ですが、人が意図的に仕立てたこのような形の杉は「台杉」と呼ばれています。
台杉とは、一つの株から何本もの細い丸太を効率的に収穫することを目的に編み出された形だそうです。
今では観光名所となっている、北山大台杉の樹齢は、なんと400年以上!江戸時代に編み出された栽培方法と教わり、技術の継承の時間の長さを感じ、感慨深くなりました。 実際に地域を訪れる中で、昔の方々の知恵に驚かされることが多々ありました。

 

 

こちらは集落の神社である中川八幡宮にある、北山杉の母樹です。樹齢は約600年と推定される大杉ですが、挿し木で広がった北山杉の母樹として今でも神社の境内で大切に祀られています。

 

 

そして北山三村ホームページの運営会議へ

 

続いて、今回の北山訪問の目的である、ホームページ運営会議の様子をお届けします。会議への参加レポートの前に、ホームページ自体についてご紹介します。

 

 

小野郷・中川・雲ケ畑。
ビジョン策定を通じて、この三学区からなる北山三村エリアの魅力を発信しようと、約5年前にオリジナルのホームページが立ち上げられました。
実際のホームページはこちら からご覧いただけます。

 

北山三村ホームページ
http://kitayama3.jp/

 

この日の会議では、まちづくり活動の中心メンバーであり、ホームページ運営に携わる関係者として自治会長、ブログを更新されている地域ブロガーの方々、京都市北区の方々、そして現地で暮らしや地域づくり活動をサポートする北区の各出張所長さんが一同に会しました。

 

ホームページ活用の話題の前に、最近のまちづくりに関わる情報交換を行いましたが、次々に前向きな意見や率直な思いも聞かれ、終始温かい雰囲気であったことが印象的でした。また、せっかく地域の方々で活用されているホームページを長く使い続けるために、セキュリティ対策を始めとするサイト自体の時流適応についても議論が交わされました。

 

北山三村が秘める可能性

 

会議に出席された方々の生の声を聞く中で、2つの切り口から新たな可能性を切り拓けることがわかりました。

 

①既存の資源の活用
②新規の価値の創造と発信

 

 

①の例としては、空き家・北山杉が挙げられます。
実際に産地を訪れ、風景と商品を見る中で、特に磨き丸太は、独特の光沢や手触りを武器に
まだまだ需要を伸ばせる余地を感じました。

他にも、田舎暮らしを好む若者や外国の方々に向けて、
暮らしの場を提供したり、北山杉そのものからクリスマスツリーを作ったりと
今までにない利用方法で価値を再発見できます。

 

 

②の例としては、喫茶店や商店など観光地の新設やイベントの開催が挙げられます。今回私が訪れた中川では、週末限定で麺屋さん「山の麺処」がオープンしています。この人気店は、まちづくりビジョン策定を皮切りに、地域の方々がまちづくり活動へ積極的に取り組み始めた頃、集落におばあちゃん家があるというお孫さんが古民家(おばあちゃんの家)を使って、兼ねてから魅力を感じていた地域へ足を運んでもらえる様にと、お店屋さんを開業されるに至ったそうです。

 

このように、最初から定住する方のみにアプローチするのではなく②新しい価値の創造や発信を通じて裾を広げて少しずつ地域外の方々との交流を深めていくことで、何度も地域へ通い、将来的には、移住や定住を考えるような地域のファンが少しずつ増えていくのだろうと実感いたしました。

 

実際に3/31(土)にはDongree Camp Market in 雲ケ畑 が大々的に開催される予定です。食・モノづくり・音楽・体験と幅広く楽しめそうです。

 

Dongree Camp Market in 雲ケ畑

https://www.dongree.work/blog/dongree-camp-market-in-yun-ketian-3-31-kai-cui-jue-ding

 

会議でも新しいアイディアを歓迎する発言が目立ち、今後の動きに期待が高まりました。「一番心配なのは、地域が忘れ去られてしまうこと」と話す、自治会長さんたち。「現在は地方創生の流れもあって地域への注目が集まる雰囲気であるが、この流行もいつまで続くかわからない。」と、一本の木を生産するのに30年は掛かる林業の地、北山ならではの数十年先を見据えた切実な思いが聞かれました。だからこそ、先ほど挙げさせていただいた2つのアプローチが重要な鍵を握るのだと私は考えます。これからも様々な地域を訪問し、自分の目で見てお話しさせていただく中で私なりにできることを探っていきたいです。まずは森林・林業について学ぶ大学の友人を北山三村の地域へ今度は私が案内することでしょうか。

 

 

これからもまた、地域の皆さんにお会いできると嬉しく思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

以上、インターン生田畑による報告でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 3月 16, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事

 

 

この日、激しい雪の中、向かったのは、吉野林業発祥の地としても有名な奈良県吉野郡川上村。雪で車がスリップしないかと不安になりながら、往路での一枚…

 

 

というわけで、皆さんどうもこんにちは!

愛媛大学2回生。現在大学を1年間休学し、日本を駆け巡りたいインターン生の谷口です。

 

今日川上村にお邪魔したのは他でもありません。

金剛寺で執り行われる「朝拝式」に参加するために来たのです!

以前、川上村にお邪魔した際に、村の方に「朝拝式を見においで!」と誘っていただき

そして来ちゃいました。

 

川上村で続く、「朝拝式(ちょうはいしき)」とは?【過去】

皆さん、朝拝式という行事をご存知でしょうか?簡単に説明すると、南朝崇拝のために、西暦1459年(長禄3年)から川上村の金剛寺で継承されてきた儀式です。日付は毎年、2月5日。なんと今年で561回目を迎えました。

南朝崇拝って何?と疑問に思われる方のために、さらに詳しく説明しますと…

 

~南北朝時代の始まり~

 

1.天皇が2人⁈
時代は約680年前、南北朝時代と呼ばれる時代に遡ります。
当時、室町幕府を開いたことでも有名な足利尊氏は、京都に攻め入り、後醍醐天皇を比叡山まで追いやると、後醍醐天皇の在位中にも関わらず、新しく光明天皇を立てました。そして、2人の天皇が存在する空前絶後の異常事態となり、武家政治をしたい足利側と天皇政治をしたい後醍醐天皇側の対立が始まりました。

 

 

2.そして朝廷が2つに
その後、光明天皇に正統性を持たせるため、尊氏は3種の神器を後醍醐天皇から奪おうと、京都に幽閉してしまいます。しかし、これを予期していた後醍醐天皇は、偽物の神器を渡した上で、秘かに奈良県の吉野へ脱出されました。ここに北朝(京都)と南朝(吉野)が誕生しました。

 

そして、その後約60年もの間、両者は戦い続けました。

 

 

 

~南北合一と裏切り~

 

1.北朝の裏切り
そして長い争いの後、1392年(明徳3年)足利義満によって「今後、南朝と北朝が交互に天皇を立てる」という約束が取り決められました。そうして南北合一がなされ、三種の神器は南朝から北朝へと移りました。しかし、足利側の目的は本物の三種の神器を手に入れることであり、神器の権威を得た北朝が約束を守ることはありませんでした。

 

 

2.川上村へ
その後、この扱いに納得しなかった南朝の後亀山天皇の子孫が北朝より3種の神器の1つ「神璽(しんじ)(八尺瓊(やさかにの)勾玉(まがたま))」を奪って川上村に入り、子孫の1人である尊義王に譲りました。そして尊義王が後南朝を立てると、その子どもである尊秀王(地元では自天王と呼ばれている)と忠義王が継ぐことに。

 

 

 

~南朝最後の悲劇~

 

しかし、次は赤松家の家臣がその神璽を奪い返しに尊秀王と忠義王の2つの御所を襲い、尊秀王の首級と神璽を持ち去ってしまいます。

その惨事を知った川上郷士たちは、逃走する赤松家の家臣を追跡した後に迎え討ち、首級と神璽を取り戻しました。その後、神璽はまた赤松家に奪われてしまいますが、川上郷士たちは、「尊秀王こそ我らが天皇」として彼を自天王と讃え、首級を金剛寺へ厚く葬りました。

 

 

~朝拝式の始まり~

 

三之公の河原にて行われた自天王の即位式の折、高座で見せた王のうれしそうな笑顔が忘れられず、この儀式を再現すれば亡き王の霊も喜ぶだろうということで郷士たちが吉野川の河原で始められたのが由来とされています。今年561回目を迎えた朝拝式には、このような物語がありました。

朝拝式が執り行われるここ金剛寺には、南朝最後の皇子「自天王」と「忠義王」が祭られています。

 

 

 

変わりゆく朝拝式の今【現在】

 

 

朝拝式では、村の男性たちが裃(かみしも)を身に纏い儀式を行います。

この裃姿がより一層、朝拝式の歴史の深さを想起させます。

 

 

そして特徴的なのが、国の重要文化財にも指定された自天王の遺品である兜や鎧への参拝のシーンです。

遺品に息がかからないように、榊の葉を口にくわえ、行われるのです。

 

 

 

 

 

 

沈黙が、緊張感を生み、式をより神聖なものにしていくと感じました。

このようにして、561年間続けられてきたと言われる朝拝式。
集まった人々を見渡してみるとざっと50人の方々が参加しておられました。
今でこそ村民、私のような村外の者と問わず、誰もがその場へ集まることのできる朝拝式ですが、元々は「筋目」と呼ばれる刺客を討った郷士の子孫のみが参加を許された行事でした。ソトモノはおろか、村人でさえ「筋目」の者でないと見ることが許されない儀式だったということです。
ところが、近年の過疎化や高齢化が加速する時代においてお、伝統儀式存続のために2007年より一般公開が始まりました。このような決断に至るまでには、10年以上の議論が重ねられたと言います。

 

 

~想いを繋ぐために~

 

ここで今回のタイトル【変わらないために、変わり続ける】に帰ってきます。

朝拝式には

① 変わらない「想い」

② 変わりゆく「繋ぎ方」

この2つを感じました。

 

 

 

 

①には

  • 自天王という先祖が大切にしてきた方への祈り
  • 歴史ある川上村民としての誇り

があるのではと感じたものがありました。

この先人たちから受け継がれてきた、変わらぬ「想い」には何年先も変わらぬ「価値」があり、人々の誇りとなるものではないかと、そう感じたのです。

 

 

しかし②です。

変わらぬ「想い」を取り巻く環境は変わっていきます。ここで、考えなければならないのは「何を変えたくないか」ではないでしょうか。

今回の朝拝式であれば、

 

変えたくないもの=想いを伝承することで変わらぬ価値を誇りに思うこと

 

ではないかと思います。

そうなれば、まず伝承することが必至です。以前のように筋目の方たちだけじゃ、いずれ途絶えてしまう。じゃあ、もっと広く伝えるようにしよう。

そうして、時代に合った「繋ぎ方」に変える。

 

 

つまり、「変わらないために、変わり続ける」と感じたわけです。

 

 

 

これからの朝拝式のカタチ【未来】

 

朝拝式が今後どのように今の社会に浸透していくのかが気になるところではありますが、先ほどの

「変わらないものを残していくために、やり方を変えていく」

というのは、今の私に必要な教訓なのではないかと感じました。

 

私に当てはめて考えてみると…

 

  • 変えたくないもの=冒険心、探求心
  • そのために変えていくもの=視点、思考、居場所

 

なのかもしれません。

朝拝式を見に行ったはずが、自分のあり方を見つめ直す体験になりました。

 

さて、みなさんは「何かを変えないために、何かを変える」

こんな経験はありませんか?

是非私に、現地まで聞きに行くかせてください!

 

 

それにしても、やっぱり現地に赴いて肌で感じるっていいですね!

寒さもとことん感じてきましたが…

ということで今回は、川上村の朝拝式にお邪魔した体験をご紹介しました。

次は一体どこに出没するか是非お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 3月 7, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事

 

 

はじめまして。インターン生の田畑です。
初めてインターン生奮闘記を書かせていただくため、
まず簡単にインターン生になった経緯をご説明いたします。
自然が好きで森林について学ぶことにした私は、ビジネスと掛け合わせた 独自のアプローチを探っておりました。
そんなとき、図書館で偶然手に取った1冊。
「森ではたらく!27人の27の仕事」をきっかけに、古川ちいきの総合研究所の存在を知りました。
思いきってインターネット上の応募フォームより問い合わせたところ、ありがたいことにこの冬からインターン生として受け入れていただけることになったのです。
またみなさんの元にも出没するかもしれません。
今後ともよろしくお願いいたします。

 

はじめての川上村へ

それではインターン生奮闘記の本題へ!
今回は代表古川さんの原体験の舞台、川上村にはじめて足を踏み入れた一日を報告させていただきます。奈良県桜井駅から自動車で山道を行くこと約40分。ついに川上村にやってまいりました!遠い存在のような印象であった吉野林業ゆかりの地は、実際に足を運ぶと予想以上に近く感じられました。

 

 

初めてこの村のことを本で知ってから約半年。
当時、実際に訪れることになるとは少しも思っておりませんでした。
どこまでも青い空と連なる山々に迎えられ、不思議な心持ちでした。
そして、ご縁と社員の皆さんに感謝の念が込みあげてくるのでした。

 

今回の訪問では、「人との出会い」がテーマとなりました。

川上村で最初に出会ったのがこの方。

 

 

 

土倉翁こと、土倉庄三郎は吉野地域で継承されてきた独自の造林法について記した書籍「吉野林業全書」の編纂を支援し、吉野林業の体系化に 貢献しました。そして自らの財産を3等分し、国、教育、事業の為に1/3ずつ、私財を世の中へ還元するポリシーを持って、明治期の日本を支えた人物の一人としても知られています。

 

 

その功績をたたえ、岩壁には日本最初の林学博士・本多静六の呼びかけで彼の名前が刻まれています。ちょうど陽の光が降り注ぎ、なんとも神々しい風景ですね。

 

 

地域おこし協力隊活動報告会に潜入

 

 

いよいよこの日のメインテーマとなる、講演会場に入ります。
川上村長をはじめ、来賓の方々のあいさつの後、基調講演が行われました。
「交流がつくる未来」をテーマに、熱く語ってくださった早稲田大学名誉教授・宮口侗廸先生。異なる系統の者同士の付き合いによって、違う発想や知識に刺激され人は成長するといったメッセージが特に印象に残りました。そのうえで、川上村の交流に対する姿勢を高く評価されていました。地域おこし協力隊の方々がいい意味で村の方への刺激となり、新しい文化がまさに生まれようとしているのだと思います。

 

 

休憩時間には隊員の皆さんに関する展示品を見学することができました。
たとえば、こちらは独自の木工技術で作られた驚きの座椅子!

 

 

興味深く見ていると、村民の方が優しく声をかけてくださいました。
ここでも、村に快く迎え入れてくださる温かさに触れられました。

 

その後、地域おこし協力隊の8名の方々から活動内容や今後の展望について報告をお受けしました。
活動内容は想像以上に多岐にわたっていました。吉野杉をはじめとした木材の利用にとどまらず、森全体の自然を楽しめるエコツアー、地域で栽培された野菜、さらには水源地を生かした養魚場や文化・歴史に着眼した翻訳作家、村での暮らしそのものを体験できる民宿などです。地域おこし協力隊と聞いて、木材の加工や販売しか連想していなかった私の視野が一気に広がりました。

 

どの活動も協力隊の方々の個性が加わり非常に魅力的で、夢中になって聞いておりました。

 

 

最後の座談会では、それぞれの方からみた川上村の人々が主なテーマとなりました。今年で三回目(3年目)となる地域おこし協力隊の活動報告会。この報告会に参加し、取り組みが村で浸透し、広く受け入れられていることを実感しました。

 

わずか一日の訪問でしたが、滲み出る村の温かさに魅せられ、また訪れてみたくなりました。
次回は森に入り、木を間近にできるインターン活動に参加させていただきたいです。
川上村の魅力を肌で実感するときを楽しみにしております。

 

最後までお読みくださりありがとうございました!
以上、インターン生田畑による活動報告でした。

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 3月 6, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事

 

 

こんにちは!
愛媛大学2回生を現在1年休学中のインターン生、谷口です!

今回はモクコレ参加報告の後編です。
前回に引き続き独断と偏見で選んだ面白かった出展者を残り5つ紹介していきます!
尚、以後は敬称略にてご紹介させていただきます。
(掲載の写真は許可を得て撮影させていただいています。)

それでは早速!!

 

その⑥~夢も使う木もでっかく!~
福島県
株式会社 ダイテック

 

①商品
後編の最初は本当に私の趣味から選んでいきます…
会場を歩いていると、1枚の写真が目に飛び込んできました。

 

 

「ログハウス」「3階建て」
このパワーワードに吸い寄せられるようにブースにお邪魔しました(笑)

3階建てのログハウスという 別荘で仲間たちと過ごす休日…
そんなでっかい夢を見せてくださった、ダイテックさんは
これまた扱う木もでっかいようで…

お話を伺うと、ダイテックさんでは大径木(直径30センチ以上の原木)を、最大断面寸法 で製材し、強度を活かして学校等の公共建築物へと有効利用することを目指し、建築技術の開発・実用化・販売に 取組んでおられます。

 

 

②夢
担当の方からは、大きな木を扱われているダイテックさんらしい夢を語っていただきました。
それは「もっといろんなサイズの木が使われる選択肢を増やしたい 」というものでした。
実は、どんなサイズの原木でも有効に使われているということではないらしく、その木の持ち味を生かせぬままチップにされてしまうこともあるそうです。
そんな木たちをどうにか生かせないか。その想いが仕事にも繋がっているのだなと感じまいした。

自分たちの扱う木だけでなく、報われないすべての木に対するその「でっかい想い」に打たれ、選ばせていただきました。

 

 

 

 

 

その⑦~世界初!ライバルとの共存を可能にした技術~
大分県
有限会社カネサダ横尾木工所

 

①商品

 

 

 

世界初なんて言われたらそれは寄ってしまいますよね?
これまた気が付いたらブースの中でサンプルを触っている自分がいました。

 

 

これ、実は「木材とアクリルのハイブリッド集成材」なんです。
世界初の技術とは、木材とアクリルをくっつけて集成材にしてしまう技術だったんですね。
実は、このブースにお邪魔する前に、(誰から )こんな話を聞いていました。
「商業空間のアクリルを木材に変えたい」
そんな会話の記憶もあってか、より興味深く感じました。
これをおっしゃった方とは木材の用途が違うので、どちらが正しいとかではないですが
自分自身も木材を普及させるうえで、「木材VS他素材」という構図を勝手に頭の中でつくってしまっていました。
そんな概念を吹き飛ばしてくれる商品でした!

 

 

②夢
そんな商品を扱われている、担当の方は「木材の良さをもっと知ってほしい」。世界初の技術という切り口でもいいし、アクリルとの組み合わせが良いという切り口でもいい。どこかのタイミングで木の良さを知ってほしい。そう仰っていました。

 

 

 

 

 

その⑧~ボンドと木材の強力タッグ!~
京都府
辻井木材株式会社・日本シーカ株式会社

 

①商品

 

 

 

ん、接着剤?
木材の展示会になぜ接着剤が…
と思いながら凝視していると、担当の方が声をかけてくださいました。

 

 

「この接着剤を使って床にフローリングを直張りできるんです!」
建築の知識が全くなかった私はどういうことか分からず戸惑っていると、とても丁寧に説明していただきました。普通、フローリングを張る際にコンクリートと床板の間にスポンジを媒介させるそうですが、それをボンドに変えて、コンクリート面に床板を直接貼れば、その分のコストを減らせるということでした。海外では当たり前にやっている施工方法であるにも関わらず、まだ日本では浸透していないそうです。このボンドと木材の組み合わせで、もっと簡単に部屋を木質化できるようになると仰っていました。

 

 

②夢
「夢は、この技術が広く知れ渡ること」と話してくださいました。2つの業界で攻めていくからこそ、お互いのネットワークを利用でき、より多くのお客様に届くのかもしれません。

 

 

 

 

 

その⑨~液体ガラスで不死身の木材⁉~
千葉県
亀村木材株式会社

 

①商品
千葉県のブースに何やら人が集まっている場所がありました。
そこには「液体ガラス」の文字が。
…液体ガラスってなんだ⁉またまた吸い込まれるようにブースへ。

 

 

 

 

早速サンプルをいただき、説明していただきました。簡単に説明すると、液体ガラスなるものを木材に塗布または注入し、木の組織の間をガラス質で満たすことで、木を丈夫にするという技術でした。

具体的にはどんな特徴があるのかというと

1.撥水性
2.防汚性
3.高耐久性
4.不燃性
5.紫外線カット

などが挙げられていました。これらの効果により、木が劣化せず、腐らなくなるというのです!
まさに「不死身の木材」と化します。それでいて、ベンゼンなどの芳香族系溶剤を使っておらず安全性もあったり木の呼吸を保つこともできるのです。雨風にさらされることでの劣化の心配がなくなると、さらにいろんな場所に木材が使われることになるかもしれないと思いました。これからの可能性に期待です!

 

②夢

 

こちらの担当の方も「夢は、この技術がもっと広まること」と仰っていました。こういった技術のおかげで、どんどん木材が使いやすくなっていけば、川上の山の管理にまでいい影響が及ぶのかなと思いました。

 

 

 

 

 

その⑩~全国の木でできることを。WOOD.ALC~
福島県
協和木材株式会社

 

①商品
いよいよラストです!
こちらの協和木材さんで紹介されていたのは「WOOD.ALC」というものです。

 

 

この、ネームプレートの下にある木がWOOD.ALCです。
これは、国産材を活用した外壁用木製集成材だそうです。
このALCのいい所は大きく2つ!
1. 施工が簡単
2. 全国の木でできる
と教えていただきました。

 

1.について
こちらはALCの裏の写真なのですが、このように、とてもシンプルな工法で済むそうです。それでいて強度もあり、担当の方は「コンクリートの外壁をALCに置き換えたい!」と仰っていました。

2.については担当の方夢に繋がっていきます。

 

 

②夢
ALCの全国の木でできるという点について、「このALCが全国に広まることでもっと地域の木を使ってほしい」と仰っていました。自分たちの地域の木を使ってほしいという方が多い中で、地域の木を使いやすくするために自分たちの技術を使ってほしいという考え方は新鮮でした。ALCの技術とともに、こういった考え方が広まればいいなと感じ、選ばせていただきました。

 

 

 

これにて10選すべて出揃いました!
今回は、あえて10個に絞って紹介させていただきましたが、他の出展者の皆さんも本当に面白い取り組みをされていました!

 

そしてなにより、商談をメインとした展示会において、私のような直接利益に結び付かない学生に、貴重な時間を割き最後まで丁寧に説明していただいたり、照れながらも夢を語ってくださったりした多くの方々に、この場を借りて心より御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

 

さて、次の総括では、【モクコレに参加して見えた3つの「今」】と題して、今回のモクコレ2018全体を振り返ってお話したいと思います!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 3月 6, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事, 未分類

 

 

初めまして、インターン生で愛媛大学2回生の谷口です!
まず最初に簡単に自己紹介させていただきますと
私は、大学で経営について学んでいたところ、勉強していることと現場がどれだけ繋がっているかに疑問を持ったことがきっかけで、自転車で日本一周をする!と大学を飛び出し、2017年の10月から旅をしていました。
古川ちいきの総合研究所については、休学直前に読んだ山崎真由子さん著の「林業男子」にて認識しており、とても面白いことをしている人たちがいる!大阪に着いたらぜひ会いたい!と思っていました。

そして、旅を始めて1週間。広島で出会った方に紹介していただいた「お友達」というのが、何を隠そう、古川ちいきの総合研究所社員の高田さんだったのです。この運命的な出会いを逃すまいとすぐにインターンシップの問い合わせをし、現在インターン生としてお世話になっています。

持ち前の行動力で日本全国いろんな人に会いに行きたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします!

ということで、今日は!
大阪から夜行バスに揺られること約7時間…

 

 

東京にやってきました!!
(実は初めて。)
20歳にしてようやく日本の首都にたどり着きました。

しかし!今日は渋谷のスクランブル交差点を渡りに来たわけではありません!!

どん!

 

 

 

やってきました、東京ビッグサイト!

なぜ東京ビッグサイトかというと…
そうです!WOODコレクション~モクコレ2018~です!

 

 

会場の東7・8ホールに足を踏み入れた瞬間、そこはすでに木の香りに包まれていました。大都会東京で思わず深呼吸。

さて、今回のモクコレ2018とは、平成30年秋に東京都で開催される「全国育樹祭」の記念行事として開催され、過去最多の全国33都道府県から324の起業・団体が出展した木材製品展示会のことです。

そこで!今回のブログでは…

「モクコレ参加報告!大学生が独断と偏見で選ぶ、面白かった出展者10選」

をお送りしたいと思います。そして今回のブログでは前編と題して、5社分を紹介させていただきます。

 

今回のモクコレ2018では、約40の企業・団体様にインタビューをさせていただき、主に
① 会社・団体の出展する商品や情報
② 出展者の皆さまの「夢」について

この2つにテーマを絞って、お話を聞かせていただきました。そのインタビューをもとに、特に面白いと感じた10社を恐縮ながら、私の独断と偏見でご紹介させていただきます!
なお、以後は敬称略にてご紹介させていただきます。
(掲載している写真は、許可を頂戴し撮影しております。)

それではいきますよ!

 

 

その①~技術力で産地を売る!コンプウッドシステム~
岩手県
地方独立行政法人 岩手県工業技術センター

①商品

それは、岩手県工業技術センターのブースを通りがかった時のことでした。視界に自転車の泥除けの部分のようなものが見えた気がしました。

 

 

 

泥除けでした。
自転車で泥除け⁉と思い、吸い込まれるようにブースへ入っていきました(笑)

岩手県工業技術センターでのキーワードは「コンプウッドシステム」です。
実は、この自転車の泥除けをはじめ、写真にある「時計」や「電気スタンド」の曲線は削られたものではなく、コンプウッド処理を施され、曲げられたものなのです。(コンプウッド処理とは熱処理をした木材に縦方向の圧力をかけることです。)

この曲げ方、とにかく曲がるんです!
それがよくわかる写真がこちら。

 

 

 

曲がっているというか、もはや捻じれてます(笑)

しかし、このコンプウッドシステムの真髄は「常温で長時間曲げられる」というところにあるのだそう。スチーム曲げ木加工法とは違い、冷めるまでに曲げなければならないというような時間の制約がないそうです。
実際に曲げ途中の木を触ってみると、とても柔らかく簡単に曲げることができました。

このシステムに木材の新たな使い道の可能性を感じました。
これからどんな所にコンプウッドシステムの技術が応用されていくのか楽しみです。

②夢
岩手県工業技術センターの出展担当の方に夢をお伺いしたところ、「岩手は木材は有名なんだけど、木工のほうは有名でなくて、木工産業をこの技術で盛り上げたい」と仰っておられました。
その熱い思いと、初めて知った技術に感動し選ばせていただきました。

 

 

その②~伝統と木材で日本を染める⁈藍染の挑戦~
徳島県
大利木材株式会社

 

 

①商品
モクコレと題するだけあって、周りを見渡してみればたくさんの木材に囲まれており、会場は木の色に染まっていました。
しかし、そんな中でも、周りに染まる前に自分たちで染めてしまえ!と言わんばかりに、ひと際目立っていたのがこちらのブースでした。

 

 

 

こちらは、徳島県の大利木材の藍染め杉のブースです。
そうなんです。この落ち着いた色合いは「藍」の色なんです。徳島県は「藍染」が有名で、これまた徳島県の「徳島杉」との組み合わせで生まれたものなんです。

木の内装や木工品と言えば、木本来の明るい色のイメージが強かったので、とても新鮮でした。フローリングや壁に使うと、部屋の雰囲気が引き締まり、とても高級感のあるものに仕上がります。
また、木本来の色とも相性が良く、どの程度藍色を取り入れるかなどの楽しみ方もできそうです!

②夢
大利木材の担当の方にも夢を聞いてみると「地域から多分野で日本を活性化させたい」とのこと。木材と伝統の藍染という二つの分野を組み合わせた活動をされており、すでに一歩踏み出しておられます。

地域の伝統と木材とがとてもいい形でマッチしていたので選ばせていただきました!

 

 

その③~こだわりで勝負!木製窓枠とは~
長野県
株式会社 山崎屋木工製作所

①商品
続いては、長野県エリアにブースを構えておられた、山崎屋木工製作所。
こちらが展示されていたものの一部ですが

 

 

 

私が一番興味を持ったのはこちら!

 

 

何か分かりますでしょうか?!

正解です!!
ヨーロッパでは割と一般的に使われているのに、まだ日本ではそのコスト面の問題から浸透していない断熱性抜群の「木製の窓枠」です!!

すみません、言いたいことすべて言ってしまいました。

木製の窓枠を正直見たことがなくて、びっくりしたというのが第一印象です。その温かみのある、木ならではのデザインも去ることながら、熱伝導率が低いという木の特徴を活かした「断熱性」も兼ね備えている優れモノなのです!

 

②夢
そして、今回山崎木工製作所を選ばせていただいたのは、社長さんのこだわりに感銘を受けたからです。
担当の方が社長さんについてお話してくださったのですが、社長さんは使う人の顔が見えないのが嫌な方で、すべて特注で作っているとのことでした。「これからも、使う人の喜ぶ顔が見えるものづくりをしたい。」その想いは私も同じですと担当の方も仰っていました。

 

 

その④~貼るだけで本物の木に変身⁉ウッドメイク~
静岡県
オールスタッフ株式会社

 

①商品
お次は静岡県に飛びます!
こちらで紹介されていた商品がこちら!

 

 

 

ウッドメイクというシート状の極薄突板です!
私が感じたこの商品のすごい所は
「本物の木でできていること」です。

最初に紹介したようにこの商品は極薄突板、つまり薄―――くスライスされた木の板なんです!
そして本物だと何がいいのか。それは「木の香りがする」ということです。
木目調の「なんちゃって木製家具」には出せない、柔らかな木の香りがしてきます。
それでいて後からウッドメイクを貼って木質化できるのですから
手軽に木質化したいという方は、外側だけでもウッドメイクで本物の木にしてしまうのがいいのでは⁉と思いました。

 

 

そして、この商品のおかげで
① 家具や使うものを木製に
② 壁紙を木製に
③ 構造材を木製に(木造化)
と木質化も段階を踏めるようになったのではと感じました。

 

 

②夢
こちらの担当の方にも夢を伺いました。
「掛川市の木をカフェなどのみんなのいる場所に使うようになってほしい」
と仰っておられました。
木の良さを知っている身だからこそ、みんなにも知ってほしいという想いが伝わってきました。

 

 

その⑤~音と遊ぶ!吸音パネル~
福岡県
日進防火板工業株式会社

①商品
前編最後を飾るのは、福岡県ブースで紹介されていた「ひのき音響調整版」です!
突然ですが、皆さん「最適残響時間」ってご存知でしょうか。
部屋の用途に応じて、それぞれどの程度の音が響けば一番心地良いのかが違うのですが、それを数値化して表したものが「最適残響時間」だそうです。
そして、この「ひのき音響調整版」にはその音の響きをコントロールするはたらきがあるのです!

 

 

 

(出典 http://www.nissin-boukaban.com )

木の板に穴が開いているのですが、その穴の大きさによって音の響きをコントロールしているというわけです。
適正な音の響きで、なおかつヒノキの香りに包まれる。
ステキな空間だと思いませんか?

しかし、ステキなのはこの空間のみにあらず!

 

②夢
ここの担当の方の夢が本当にステキでした。
私が夢なんですかと聞くと、笑顔で
「僕は、音と遊べたらいいなと思ってるんですよ」
と答えてくださいました。
自分の手掛ける空間で音と仲良くなる。そしてその空間で子どもたちが快適に遊んでくれたらいいな。そんなことを話されていました。

 

 

いかがだったでしょうか!
以上が前編の5社でした。
林業も木材も専門ではない私にとって、

① 木そのものの機能・良さ
② 人の技術により広がる木の可能性

を見られたことがとても面白かったなと感じました。
そして、この2つの要素をうまく料理して出されていた逸品たち。
これだからものづくりの世界はおもしろい!

 

そしてその商品たちに惹き付けられる私。
つい担当の方に質問攻めをしてしまうことだらけでした(笑)

そんな面白い出展者の皆さまを後編でも、ご紹介していきます!

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 2月 13, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事

こんにちは、インターン研修中の森です。

春の芽吹きがおいしい匂いを運んできました。
奈良県吉野郡川上村では、芭蕉菜(ばしょうな)収穫期のピークを迎えています。

 

 

芭蕉菜(ばしょうな)とは、高菜漬けで有名な野菜「高菜」のことです。
川上村では「芭蕉菜」という名前で親しまれています。

芭蕉菜は収穫後、直ぐに水洗いし塩漬けにする保存食として愛されていて、
この季節欠かせないご飯のお供です。

現在、川上村地域おこし協力隊が取組む村のセレクトショップ「やまいき商店」では、
芭蕉菜を使った食品の商品化を目指して試作中とのことです。

本日はインターンシップ体験の一環として山村の暮らしを学ぶため、
地域おこし協力隊のメンバーに密着し、収穫から漬けるまでの作業を見学しました。

~~~

試作用の芭蕉菜は、川上村民であるYさんの畑から収穫させていただきました。
急斜面の畑で、今日も元気に草抜きをされるYさん、なんと御年89歳。
旅行が趣味で、姿勢もきれいで本当にお若い!
ご親切に色々と教えて頂きました。

肥料は酵素を使用していて、環境にも食の安全にも配慮されています。
収穫中、生の芭蕉菜を少し味見させてもらいました。後味がピリッと辛く、お酒の肴に良さそうです。
ごま油で炒めて食べると美味しいそうです。

 

 

さて、収穫した芭蕉菜は、萎れる前に直ちに漬ける必要がありますが、
やまいき商店の自慢は「木桶」で漬けるというプレミアです。

この「木桶」は、この土地の吉野杉をいかした伝統の和樽です。
年輪が揃い、木目が細かい吉野杉は、高い強度があり、
豊かな木の香りや殺菌力を持っていて、発酵食品を入れる和樽造りには最適です。

漬けこみ方法は、同じく村民のAさんに教えていただきました。
ご夫婦仲良く迎えて下さったAさん、
優しい笑顔と可愛い「ほうかむり(頬被り)」がとても素敵でした。

Aさんのおすすめは、一度塩漬けた芭蕉菜を今度はぬか漬けにする二度漬けです。
保存も効き、とてもおいしいとのことです。

芭蕉菜はまず、水を溜めた「たらい」でよく洗います。
葉にはナメクジや虫もついているので、しっかり点検します。

 

 

そして、再度きれいな水で洗います。

 

その後、桶に仕込んでいきます。
塩は都度振りいれ、芭蕉菜を互い違いに入れて、平らにします。

 

 

 

 

 

木の板で蓋をして、重りを載せたら、漬けこみ完了です。

できあがりは8~10日後とのことですが、今年は暖かいので、まずは2~3日で様子を見るそうです。

時々裏返して、芽が出てしまうのを防ぎます。
できあがりが待ち遠しいです。

地域おこし協力隊が運営している、川上村のセレクトショップ「やまいき商店」では、
ゴールデンウィーク頃から、今回の芭蕉菜漬けの店頭販売を予定中とのことです。

みなさん、お楽しみに!

 

Posted by admin on 火曜日 4月 5, 2016 Under — インターン生奮闘記, — ちいきの地域, pick up, すべての記事

 

こんにちは。インターン生の野坂です。
もう、10月も半分が過ぎ、インターン開始から半年と半月が過ぎました。

 

大学を休学している私は、毎日がインターン業務。
出張に同行させていただいたり、オフィス業務のお手伝いや、セミナーのスタッフもさせていただき、
議事録の作成、資料作成、1分スピーチ…色々な業務を経験しました。

仕事としての成果物は、求められる完成度も、必要なスキルも、
学生のレポートとは、全く別物。

毎日が勉強の日々とあって、時間はあっという間に過ぎていきます。  

気がつけば冬の足音が近づきつつあります。

 

奮闘記上半期

 

 

この半年の間は、新しい出会い、新しい経験が満載でした。

 

インターン生活の中で、度々お邪魔している吉野林業発祥地・川上村。
林業再生に向けた会議のお手伝いだけでなく、林業の現場、木材加工の現場にお邪魔させていただき、
「吉野林業」という日本の林業発祥地で、美しい森、美しい木に触れられたことは、
林業を初めて学ぶ私にとって、とても重要な経験です。

 

さらに8月には川上村主催の「地域づくりインターンシップ生」としても2週間滞在。
村の皆様に大変親しくしていただき、日本の山間部の魅力や課題を肌で感じました。

 

川上村

(川上村の美林、吉野林業らしい真っすぐな幹)

 

吉野杉

(年輪が密で美しい吉野杉を、樽丸用にミカン割。吉野林業のルーツ)

    

 

川上村インターン

(地域づくりインターンの仲間と、スギ林を歩く)

 

川上村インターン

(川上村名物「吉野川にかかる虹を橋から見下ろす」の図)

 

また、古川ちいきの総合研究所主催の研究会、セミナーで議事録・テキスト作成をお手伝いする傍ら、
熱いハートをお持ちの経営者の方々、林業への問題意識の高い同世代の方々と、
日本各地の林業事情、新しい事業について、教えていただきました。    

 

人生の先輩方からは、林業だけでなく、
働くこと、人生のことについても学ぶことがたくさんあり、これも貴重な経験です。

(いつも大盛り上がりの懇親会の様子をお見せできず、残念です…)

 

セミナー

(東京でのセミナーの様子。他のインターン生とのチームワークです。)

 

オフィスでは、
先輩陣に林業、マーケティング、仕事の基本について指導していただき、
山や、製材所では、
現場のプロの皆様に、林業・木材の知識、日々の業務についても教えていただきました。    

 

原木市場

(最高級の原木品質を誇る原木市場)

 

 

川上村

(川上村の山は、一面が吉野杉。)

 

今年の4月から、林業について学び始めた私ですが、
第一線で活躍している方々に直接お会いでき、
林業の面白さ、楽しさ、そして現実の厳しさをも教えていただきました。

大学の林学科に進学しても、得られなかったであろう学びです。

同時に、これから林業を盛り上げていこう!という方々にお会いできたことで、
林業は逆風だけではなく、追い風も吹きこみつつあると感じています。

私も微力ながらも、追い風の一筋になりたいものです。 

 

今年度も残り半年となりました。
気持ちは新たに。過去の経験は忘れずに。

 

今後ともよろしくお願いします。

野坂恵

(古川ちいきの総合研究所インターン制度の概要はこちら

Posted by admin on 金曜日 10月 17, 2014 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事