皆さんこんにちは。
この冬から活動に参加しております、インターン生の田畑です。
今回は、京都の市街地から北へ車で約30分進んだ場所にある3つの集落「北山三村」を訪れました。初めての北山訪問と地域のホームページ運営会議に参加した感想をお届けしてまいります。

 

京都の街から30分、こんなところに、ありました。

 

まず始めに、北山三村の地域についてご紹介します。
北山三村とは 、京都市北区の山間部にある中川、小野郷、雲ケ畑という三学区の総称です。三学区合せて人口800人あまりの地域は、古くから北山林業で知られ、また鴨川、清滝川の源流に位置します。人口減少や産業の縮小が進む中、この地域では平成24~25年度の2年間にわたって「北区北部山間地域まちづくりビジョン策定事業(京都市北区)」が行われました。各学区での座談会における議論、住民全員に対するアンケート、先進地の視察によって「北山三学区まちづくりビジョン」が策定され、三学区に「北山三村」の総称を名付け、ビジョンに沿って共同での情報発信を続けておられます。三学区共通のキャッチフレーズは、「京都の街から30分、こんなところに、ありました。」と掲げているように、京都市内の市街地から30分で行ける場所に、原風景と自然に根差した暮らしが残っていること。意外と京都市内の方々にも知られていないライフスタイルを地域の方々によるブログによって発信されています。

参考:
北区北部山間地域まちづくりビジョン策定事業(京都市北区)
http://www.city.kyoto.lg.jp/kita/page/0000163658.html
北山三学区まちづくりビジョン
http://www.city.kyoto.lg.jp/kita/cmsfiles/contents/0000163/163658/MATIDUKURIBIJYONN.pdf
北山三村ホームページ
http://kitayama3.jp/

 

私がインターン生として所属する古川ちいきの総合研究所では、平成24年から外部コンサルタントとしてビジョン策定に携わり、以後、ホームページの運営管理を中心に情報発信のサポートを継続しています。今回もこのような業務の一環でインターン生としてホームページ運営会議へ同席させていただきました。

 

 

 

 

 

会議の前に、まちあるきへ

 

今回の会議は、北山三村を構成する一つ「中川学区」で開催されました。よって、会議の前に集落を歩いて散策しました。中川は川端康成の小説「古都」の舞台にもなった、北山林業の里です。古くは仁和寺領、高雄山神護寺領を経て、磨き丸太や垂木(タルキ)生産を行う「北山林業」発祥の地として数百年の林業の歴史があると言われていて、地域のロゴマークは台杉をモチーフにしています。

小説「古都」を読んだり、古川ちいきの総研のプロジェクトの話を聞いたりしてきた私ですが、実際に産地を訪れたのは今回初めてでした。
国道162号線の途中を右へ曲がると、すらりと伸びた木が小さな帽子をかぶったような北山杉が立ち並ぶ集落の風景が広がっていました。
京都の市街地から30分とは思えない光景ですね。

 

 

 

次に目に飛び込んできたのは、こちらの倉庫群 。
北山杉の加工(磨き作業)、乾燥、保管の機能を持つ倉庫が集落の入り口に立ち並んでいて、「倉庫群」と呼ばれています。北山丸太の製造過程を網羅する機能を持った建築物は、近年、文化財としての評価も高く、地域のまちあるきツアーでは欠かせないスポット。倉庫群のある風景を守ろうと地域の方々が活動しておられるそうです。

 

 

 

 

続いて、まちあるきで訪れたのが、こちら。
みなさんはこのような木をご存知ですか?実は、樹種は杉ですが、人が意図的に仕立てたこのような形の杉は「台杉」と呼ばれています。
台杉とは、一つの株から何本もの細い丸太を効率的に収穫することを目的に編み出された形だそうです。
今では観光名所となっている、北山大台杉の樹齢は、なんと400年以上!江戸時代に編み出された栽培方法と教わり、技術の継承の時間の長さを感じ、感慨深くなりました。 実際に地域を訪れる中で、昔の方々の知恵に驚かされることが多々ありました。

 

 

こちらは集落の神社である中川八幡宮にある、北山杉の母樹です。樹齢は約600年と推定される大杉ですが、挿し木で広がった北山杉の母樹として今でも神社の境内で大切に祀られています。

 

 

そして北山三村ホームページの運営会議へ

 

続いて、今回の北山訪問の目的である、ホームページ運営会議の様子をお届けします。会議への参加レポートの前に、ホームページ自体についてご紹介します。

 

 

小野郷・中川・雲ケ畑。
ビジョン策定を通じて、この三学区からなる北山三村エリアの魅力を発信しようと、約5年前にオリジナルのホームページが立ち上げられました。
実際のホームページはこちら からご覧いただけます。

 

北山三村ホームページ
http://kitayama3.jp/

 

この日の会議では、まちづくり活動の中心メンバーであり、ホームページ運営に携わる関係者として自治会長、ブログを更新されている地域ブロガーの方々、京都市北区の方々、そして現地で暮らしや地域づくり活動をサポートする北区の各出張所長さんが一同に会しました。

 

ホームページ活用の話題の前に、最近のまちづくりに関わる情報交換を行いましたが、次々に前向きな意見や率直な思いも聞かれ、終始温かい雰囲気であったことが印象的でした。また、せっかく地域の方々で活用されているホームページを長く使い続けるために、セキュリティ対策を始めとするサイト自体の時流適応についても議論が交わされました。

 

北山三村が秘める可能性

 

会議に出席された方々の生の声を聞く中で、2つの切り口から新たな可能性を切り拓けることがわかりました。

 

①既存の資源の活用
②新規の価値の創造と発信

 

 

①の例としては、空き家・北山杉が挙げられます。
実際に産地を訪れ、風景と商品を見る中で、特に磨き丸太は、独特の光沢や手触りを武器に
まだまだ需要を伸ばせる余地を感じました。

他にも、田舎暮らしを好む若者や外国の方々に向けて、
暮らしの場を提供したり、北山杉そのものからクリスマスツリーを作ったりと
今までにない利用方法で価値を再発見できます。

 

 

②の例としては、喫茶店や商店など観光地の新設やイベントの開催が挙げられます。今回私が訪れた中川では、週末限定で麺屋さん「山の麺処」がオープンしています。この人気店は、まちづくりビジョン策定を皮切りに、地域の方々がまちづくり活動へ積極的に取り組み始めた頃、集落におばあちゃん家があるというお孫さんが古民家(おばあちゃんの家)を使って、兼ねてから魅力を感じていた地域へ足を運んでもらえる様にと、お店屋さんを開業されるに至ったそうです。

 

このように、最初から定住する方のみにアプローチするのではなく②新しい価値の創造や発信を通じて裾を広げて少しずつ地域外の方々との交流を深めていくことで、何度も地域へ通い、将来的には、移住や定住を考えるような地域のファンが少しずつ増えていくのだろうと実感いたしました。

 

実際に3/31(土)にはDongree Camp Market in 雲ケ畑 が大々的に開催される予定です。食・モノづくり・音楽・体験と幅広く楽しめそうです。

 

Dongree Camp Market in 雲ケ畑

https://www.dongree.work/blog/dongree-camp-market-in-yun-ketian-3-31-kai-cui-jue-ding

 

会議でも新しいアイディアを歓迎する発言が目立ち、今後の動きに期待が高まりました。「一番心配なのは、地域が忘れ去られてしまうこと」と話す、自治会長さんたち。「現在は地方創生の流れもあって地域への注目が集まる雰囲気であるが、この流行もいつまで続くかわからない。」と、一本の木を生産するのに30年は掛かる林業の地、北山ならではの数十年先を見据えた切実な思いが聞かれました。だからこそ、先ほど挙げさせていただいた2つのアプローチが重要な鍵を握るのだと私は考えます。これからも様々な地域を訪問し、自分の目で見てお話しさせていただく中で私なりにできることを探っていきたいです。まずは森林・林業について学ぶ大学の友人を北山三村の地域へ今度は私が案内することでしょうか。

 

 

これからもまた、地域の皆さんにお会いできると嬉しく思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

以上、インターン生田畑による報告でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 3月 16, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事

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