吉野林業発祥の地、奈良県吉野郡川上村。

 

弊社の支援先である吉野かわかみ社中発足から間もなく3年目へ突入する節目を前に、今回は近隣地域との繋がりから、吉野林業と川上村について辿るツアー「産地巡礼」の様子をお届けしています。前編・中編と終えて、いよいよ川上村の山林へ。旅気分でご覧ください。

 

歴史の証人へ会いに行く

温泉で昨日の疲れを癒し、目覚めの良い朝は、早起きをして山へ。日本最古の人工林と言われる400年生の山林を目指します。その山林は、川上村下多古地区にあり、通称「歴史の証人」と呼ばれます。江戸時代初期に植林されたといわれる約3,700㎡の山林は、現在は村有林として管理されています。

 

 

 

山道を1時間ほど歩いて出会える巨大な吉野杉は、推定樹齢395年が3本、257年が7本、さらに檜は257年が42本、まさに歴史を見てきた証人のような高齢樹が現存しています。人工造林約500年の歴史がある川上村の中でも、最古の人工林であり、文化財修理に適した木材を供給し、研修林としても活用しようと文化庁が定める「ふるさと文化財の森」にも登録されています。

 

 

村有林前に立てられる看板

 

村有林までの約1時間の登山中にも、吉野林業ならではのいくつかの発見がありました。まずは、山の境界を示す「書付」。道中では、所有者の異なるいくつかの山林を通り抜けます。林相を見ても大きな木が林立するもの、若くて細い山林など見て違いが分かりますが、その山の所有者を示すために、境界ごとに山林の所有者情報を示す「書付」が、太い木に記されています。

 


山の境界にある書付

 

続いては、吉野林業ならではの密植林。まるで竹林のように、細くまっすぐに伸びる若い杉林ですが、狭い間隔で植林することで、林内が適度に暗くなり、出てきた枝は光不足で枯れ、自然落下します。将来的に無節の材を収穫することを目的とした吉野ならではの施業です。全国平均で杉の場合、植林本数は1ヘクタールあたり3,000~5,000本と言われるところ、吉野林業では、8,000~10,000本を植林することからも、その特異性がわかります。

 

 

吉野林業の密植林

 

最後は、歴史の証人の森で見つけた、ムササビの巣穴。この木は以前、伐採する計画がありましたが、この森はSGEC認証( Sustainable Green Ecosystem Council、和名:『緑の循環』認証会議)を受けており「林内に野生動物が相当数生息し獣害の恐れのある場合、その森林の成長及び生物多様性に及ぼす圧力を軽減する防護手段を講じなければならない」といったルールがあるため、ムササビのために伐採が行われなかったというエピソードがあります。

 

樹上にあるムササビの巣穴

 

たった1時間程の登山中にも、いくつもの面白い発見に出逢いました。そんな川上村の村有林では、建築士を対象とした視察ツアーを開催したり、都市部の学生が修学旅行に訪れたりと、新しい視点から人を迎え入れる流れができています。

 

 

源流の村の朝市を訪ねる

 

新しい人の流れと言えば、欠かせないのが、源流の村の朝市です。川上村には2013年から10人以上の地域おこし協力隊が赴任していますが、その中で「地域の資源を活かした仕事づくり」をテーマにしたプロジェクトに取組むのが、この「やまいき市」です。村内で生産された源流野菜を集荷し、また、「源流の村づくり」の理念を体現するために、紀の川(吉野川)流域から仕入れた野菜を、毎週土曜日の朝から販売しています。

 

やまいき市 ホームページより引用

 

 

 プレミアムな産地をつくる

弊社では、一般社団法人吉野かわかみ社中の構想策定から設立支援、経営支援を通じて、吉野林業の振興をサポートしています。今回は、周辺地域から吉野林業を辿るレポートをお届けしてみましたが、いかがでしたか?林業産地の下流地域を訪れてみると、吉野杉そのものではなく、源流の村のファン、サポーターとなる関係者の幅広さに気付きます。林業を生業とする川上村から、周辺地域とのかかわりを見ると、また少し違った視点から、吉野材や風景、歴史、源流の村の資源等に気付き、様々な新しい提案をこの周辺地域に投げかけて下さいます。

 

はたして、「林業や地域の振興」とは、何でしょうか? 川上村と川上村吉野林業の振興を応援して下さる人々に会い、色々な表現に触れた1泊2日の旅の終わりに、考えてみたいと思います。

それは、

①地域の点を強くすること

まずは、その地域の「点」を強くし、地域1番企業を作ること。それは、地域全体を牽引するプレーヤーを育て地域ブランドを作るためにも、弊社がコンサルティング支援の上で心掛けてきた原則の一つです。

 

 ②「点」から「面」を作ること。

 

地域全体を牽引する点が生まれた次に生まれるのは、「面」のブランドです。地方創生に注目が集まる近年、地域の「点」となるプレーヤーが集い、「面」で地域のブランドを作る潮流が顕著なことは、既にお気付きの通りでしょう。弊社でも数々の地域ブランド策定の支援をして参りましたが、その際、行政区分に捉われ過ぎず、川上~川中~川下の広域的な繋がりを持ってプロジェクトを進めることの価値を、今回のツアーレポートをきっかけに、お伝えできればと思います。

 

③新たな人材の交流を作ること。

 

最後に、地域の発展や振興を持続可能なものにするには、常に交流を生み出すことです。そこには、移住定住に繋がる交流もあれば、ビジネス上の交流も含まれます。歴史ある地域に交流をきっかけとした新しい「知」が付加されることで、常に代謝の良い地域の風土ができ、廃れないブランドが確立されてゆくことでしょう。弊社では、地域おこし協力隊制度を利用し、この地域でチャレンジしたいという人材の起業支援を行っています。また、自らが起業者にならなくても、中間組織に所属して地域内の事業体を支え、地域や林業振興を担う選択肢もありますね。弊社の支援先である吉野かわかみ社中も、このような立ち位置にあります。結果、土地に縁がなかった人達と、地元出身の人たちとの新しい交流で、価値観が再設計され未来への行動が喚起されていきます。

 

改めて、今回旅した、吉野林業エリアにおいても、源流の村に何らかのルーツを持ち、敬意を表して、川上村の林業へ新たな投げ掛けをして下さるプレーヤーに多く出会いました。また、林業とは違った角度から、地域や森、山村文化の魅力を表現していく力を教わりました。

 

直接的に林業木材業の従事者でなくても、食や旅、観光等、様々な切り口から林業産地を応援する方々との繋がりを大切に、彼らが林業振興、山村振興の場面でも活躍できる場を作り、「面」でプレミアム産地の礎を作ること。弊社ではこれからも、このような支援を目指してまいります。

 

今回、1泊2日で吉野林業を巡った旅ですが、2017年もこのような「産地巡礼」のツアー開催を予定しています。「この林業産地を見てみたい」といったご要望がありましたら、お問合せフォームから、ご意見お待ちしています。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

旅する産地 編集室

林業木材業の選ばれる産地づくりを目指して。地域密着型支援コンサルティングを行う、古川ちいきの総合研究所の視点から私たちが出逢った林業産地の風景や物語をお届けします。

 

 

 


 

 

 

 

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吉野林業発祥の地、奈良県吉野郡川上村。

弊社の支援先である吉野かわかみ社中発足から間もなく3年目へ突入する節目を前に、今回は近隣地域との繋がりから、吉野林業と川上村について辿るツアー「産地巡礼」の様子をお届けしています。前編では桜井市を巡りましたが、続いては吉野町へ。どうぞご覧ください。

 

貯木のまち・吉野町へ

 

ランチを堪能した後は、貯木のまち・吉野町へ向かいました。

言わずと知れた、吉野山の桜の名所であると共に、吉野の山から切り出される吉野杉・吉野檜が製材される集積地でもあります。

 

吉野町内をゆったりと流れるのは吉野川。上流へ進むと行き着く先は、紀の川(吉野川)源流であり吉野林業のメッカ、川上村です。全国的にも有数の多雨地帯で知られる大台ケ原を源流に、川上村を経て和歌山県へ流れ、紀の川と名前を変えて最後は和歌山市加太の海へと注がれる紀の川(吉野川)。

奈良県内では吉野川との通称で親しまれるこの川ですが、上流の山々から伐り出された丸太は、かつては吉野川を通り筏流しで下流へ運ばれ、吉野町で製材されてきました。

 

川上村から吉野町へ続く、吉野川(紀の川)

 

遡れば、大阪城や伏見城の築城にも使われたという吉野材の歴史。その際にも丸太は吉野川を下り、都市部へ運ばれたとの記録がありますが、製材工業団地として吉野町が本格的に整備されたのは、昭和20年代。木材協同組合が発足されると、上流の集落で林業や樽丸製造業を営んでいた人々が製材業へ参画し、今日の貯木のまち・吉野町が築かれてきました。

 

表のカラフルな木の正体は?

 

吉野川からほど近くに位置するのは、吉野町の原木市場・吉野木材協同組合連合会。広い土場には月に2回、高齢級の杉檜を中心に吉野材が集まりセリにかけられます。市場を抜けて、製材工場が立ち並ぶ貯木エリアへ。足を踏み入れた瞬間、木の香りに包まれ、機械の音と働く人々の威勢の良い声が聴こえ、至る所でフォークリフトが行き交っています。煙突からは端材を燃やす煙が立ち昇って、貯木の町にやってきたことを肌で感じます。

 

たくさんの工場が集まる製材工業団地。通りを歩くだけでも、さまざまな屋号や看板があり、工場の雰囲気も変化があり、発見に満ちています。そんな中でも、異色を放つ工場が目に留まりました。小割にされた木材の木口が、なんともカラフルに着色されています。まるでアートのようにも見えますが、これは何でしょう?さっそくお話を伺いました。こちらの製材所は、坂本林業。工場を案内して下さったのは、坂本林業2代目の坂本好孝さんです。ちなみに坂本林業という社名ですが、業種は製材業を営んでおられます。ちなみに大手企業の住友林業も、主力事業は建設業および不動産業ですね。林業と山を想い、度々川上村にも足を運んでおられる坂本さんに、お話を伺いました。

 

カラフルな木が積まれた製材工場

 

 

坂本林業2代目 坂本好孝さん

 

現在は吉野町で製材業を営む坂本家ですが、元々は川上村のご出身だそうです。好孝さんの曾祖父は、川上村高原にて、樽丸の製造販売業「丸師」を務めておられました。好孝さんのお父様の代で吉野町へ移り、貯木での修行を経て製材業として暖簾分け。屋号の「龍」は、創業時、父・龍亮さんの名前から取り、約40年の歴史があります。

 

坂本家と同様に、吉野貯木の中には「先祖は川上村で林業を営んでいた」というお家は多くあります。昭和20年代に吉野木材協同組合連合会が設立され(前身の吉野材木同業組合連合会は明治35年創業)、川上村で山守を務める家系の次男、三男にあたる方々が吉野貯木で製材業を立ち上げたのです。それ故に山側と顔の見える関係を持ち、どこの山で、どの山守が、どんな施業管理をしてきたか、山守の顔を知る木のプロたちが刻印を見分け、目利きをして原木を選んでいます。

 

坂本林業もまた、原木品質にこだわった製品をつくる会社の一つ。高齢級の吉野檜を中心に製材し、化粧材を製造し、一枚板を店舗へ納材したりと、意匠的に木を用いるところへ販路を拡げています。「育った山と育てた山守、それから、伐採日と伐採者。素材にこだわるからこそ、1本の丸太に関する情報を全部分かるのが、一番理想的かもしれません。」と、好孝さんは話します。これほどまでに、丸太が育った背景を見て、素材と対話した製品づくりを続けておられます。

 

 


坂本林業の事務所

 

屋号の「龍」が目印

 

カラースプレーの理由は、木の出処を区別して木色を合わせるためでした。まず原木の仕入れ時に、木口をカラースプレーで着色します。すると、製材~天然乾燥という工程を進めても、同じ丸太から割った製品がわかり、商品束を最後にまとめることができるのです。同じ木から取った商品で束を作ることで、全体の木色が揃い、意匠的に美しい状態でお客様に届けるための工夫なのでした。

 

このような坂本さんの心遣いは、整理整頓された美しい工場の至るところに表れていました。山を想いながら、丸太を製材し、日本の暮らしへ木材を届ける、貯木の人々。源流の村を少し出てみると、外の地域にも見えない繋がりで、川上村を応援してくれているプレーヤーの存在に気付きます。では、素材を供給する川上村からできることは何か?問いかけをいただいたような時間でした。

 

Airbnb×吉野杉のゲストハウス

 

坂本林業の工場を出て、歩くこと約10分。吉野川のほとりに新しく出来た「吉野杉の家」を案内いただきました。こちらは、吉野杉・檜で作られたゲストハウス。空いている部屋を国内外の人々へ貸し出し出来るサービス「Airbnb」の仕組みを使って、宿泊客を集めています。東京を拠点に活躍する建築家の長谷川豪氏が設計を手掛け、吉野貯木の製材所が納材し、坂本さんをはじめとする吉野町の方々がホストとして活動中。新たな交流拠点づくりを通じて、今までになかった吉野材を活かすコミュニティが生まれています。吉野杉の家は、1泊9,996円から宿泊できます。AirbnbのWEBサイトからご覧ください。
「吉野杉の家」で検索すると、プランを選択できます。

 

吉野杉の家

 

こけら葺き風の屋根
外壁も耳付きの吉野杉

下市町の家具工房「市-ichi-」の椅子

 

まるで秘密基地のような空間で、机を囲む

 

 宙へ上がるような不思議な階段

 

 2階には2部屋の寝室とPC作業スペース、本棚が配置

 

吉野川を眺める縁側は、夏にはBBQも可◎

 

ちなみに、吉野杉を取り囲む大きなケヤキは、かつて筏流しで丸太を運んだ時代、この木に縄を括って筏を繋留させるために残されたそうですよ。船場で言う、ボラードですね。吉野杉の家の縁側で、目の前の川を丸太が流れた時代に想いを馳せながら、いつもと違う時間を過ごすのも、いかがでしょうか?

 

大きなケヤキに囲まれた、吉野杉の家

 

筏場跡地を示す看板にも注目。

 

林業地域の木工業

 

あえて下流地域から、吉野林業を知る旅を続けてきましたが、ここでようやく上流の村へさかのぼりましょう。造林について日本最古の歴史が残る、川上村。代々、山主が所有する山林を山守が管理し、密植、長伐期、多間伐による大径木施業を続けてきた、吉野林業のメッカです。

 

良い丸太を育て川下へ届けることを使命としてきたこの地域ですが、丸太生産のみならず、2016年から新たな取組みも始まっています。その名は、「吉野かわかみ杉こけら舎」。年輪の詰まった大径木という吉野杉の特性を生かして、社寺仏閣の屋根に用いる「杮(こけら)」の製造を始めるチームが発足されたのです。

 

特別に、こけら修行に勤しむ練習場へお邪魔しました。旧小学校校舎である木匠館の教室を利用して、県外からこけら職人の先生を招き、日々鍛錬を重ねておられます。この日は約5名が教室に集い、もくもくと作業を続けておられました。用いる丸太は川上村の原木が出荷される市場で購入した、高齢級の一等級品。直径の大きな丸太から、柾目取りできるように材を割っていきます。

 

 

 

こけら修行に励む方々は、今でも川上村にて現役で活躍する山守でもあります。山を知る彼らが、吉野杉の丸太と対話して、加工にも踏み出しているのです。ちなみに最近は、刃物の柄にテニスラケットのグリップテープを巻くのが流行っているとのこと。道具を大事に、自分の使いやすいよう工夫する姿は、山仕事をされている時と共通するのかもしれません。

 

これから納品される、こけら板

 

丸太を伐って搬出する素材生産のみならず、樽丸生産や狩猟など、山の資源を加工し複数の収益源から生業を作っていたのが、山村集落の人々。川上村では再び、杮を通じて木材加工をリスタートし、木の付加価値を高めて売っていく仕組みへの挑戦が始まりました。

 

温泉と食を味わう

 

川上村の夜、旅の疲れを癒すのは、吉野の温泉と食事です。今回は、川上村の「湯盛温泉 ホテル杉の湯」へ宿泊しました。杉の湯は、ミシュランガイド奈良2017で、快適度が最高の「非常に快適」との評価で選ばれています。ベッドを備えた和洋室には、吉野杉のフローリングが使われ、客間は全てエメラルドグリーンのダム湖を眺める作りとなっています。夕食のコース料理では、吉野杉の器へ綺麗に盛られた食事が。杉の湯へご宿泊の際には、季節折々のお料理と、山並みの景色が美しい露天風呂をお楽しみください。

川上村は、古くは大峯山への参拝者が訪れる行者宿として栄えた地でもありました。そのため、村内には大正時代に建築された旅館を始め、かけ流し温泉宿、民宿など、小さいながらも真心のこもった宿泊施設が点在しています。いずれも星空の絶景が楽しめるような、夜は暗闇の深くなる静かな場所に位置しています。

 

 

ダム湖と四季折々の風景が一望できる客室

 

 

お料理の中にも、春を感じる演出

 

川上村内の木工房でつくられた、吉野杉の器

 

吉野杉の桝で日本酒をいただく

 

  もちろんお箸も吉野杉

 

朝食の茶粥は、奈良の名物

 

朝食の器に、吉野杉。

 

さぁ、いよいよ次は、川上村の中でも最古の人工林「歴史の証人」を訪ねて。
続きは吉野林業を巡る~後編~をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

旅する産地 編集室

林業木材業の選ばれる産地づくりを目指して。地域密着型支援コンサルティングを行う、古川ちいきの総合研究所の視点から私たちが出逢った林業産地の風景や物語をお届けします。

 

 

 


 

 

 

 

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吉野林業を巡る

 

吉野林業発祥の地、奈良県吉野郡川上村。

 

弊社の支援先地域の一つである川上村では、2015年6月28日に川上村(行政)と林業4団体から成る「吉野かわかみ社中」が結成され、丸2年が経過しました。地域林業の中間組織となる吉野かわかみ社中は、小規模林業事業体各社のインキュベーション機能を持つと共に、自らの組織においても地域おこし協力隊制度を活用して職員を採用し、現在は営業、広報、森林プランニング分野それぞれに専門知識あるスタッフが集まるチームが構成されています。

吉野かわかみ社中発足から間もなく3年目へ突入する節目を前に、今回は近隣地域との繋がりから、吉野林業と川上村について辿るツアー「産地巡礼」へ出掛けてみたいと思います。林業の切り口から巡る、1泊2日の奈良吉野旅、どうぞご覧ください。

 

「山行さん」と巡る原木市

 

年1度、最も優良な材が集まる特別市「奈良の木まつり」

 

 

奈良県中部に位置する、桜井市。日本最古の神社といわれる三輪の大神神社を始めとして、由緒ある社寺も数多く残る地域です。この日は、桜井駅から車で約20分、桜井市内の原木市場「奈良県銘木協同組合」を訪れました。こちらは奈良県内に5つある原木市場の中でも、特に高単価の原木が集まることで有名な市場です。この日は、年1度、最も優良な原木が集まる「奈良の木まつり」の開催日でありました。県内に留まらず、全国から高品質な吉野材を求めて買い方が集まります。

 

奈良県銘木協同組合

 

ここで特別に、川上村で林業(素材生産業)を営む中平林業の中平武さんに、市場を案内していただきました。彼は、外周5m超、直径約180cmの大径木伐採や、神社仏閣に使用される木の伐採経験を持ち、若手林業家の筆頭として、川上村を拠点に吉野林業を担っています。ちなみに吉野林業では、林業従事者のことを役割に応じて、山守(ヤマモリ)や山行(ヤマイキ)と呼ぶのです。中平さんも“山行さん”の一人です。

 

中平林業 中平武さん

 

中平さんの解説を受けながら市場に並ぶ丸太を見ると、木口にはそれぞれ「伝票」と「刻印」が記されていることに気付きます。「伝票」には、樹種、材積、長さ、末口直径と共に、産地が明記されていました。そして「刻印」とは、山守が所有し丸太に押印する印のこと。吉野の山守は世襲制のため、山守権と共に刻印が継承されてきました。また、多くの山を管理する山守の場合は、山によっても複数の刻印を使い分けています。つまり吉野林業を知り尽くした買い方は、刻印を見ることで、その丸太を管理した人(山守)と山の情報を辿ることができるのです。

 

真剣な眼差しで丸太を選ぶ買い方の皆さん

 

「あの地域の山の木は育ちが良い。産地と刻印を見て決める。」とある買い方が言いました。ここに集まる丸太は、どれも決して安い素材ではありません。実際に製材しないと中の状態が目に見えないからこそ、丸太の外観のみならず、森林の所在地、出荷者への信頼から予想される施業履歴を考慮して、その木を買うか否か決めるということです。これこそが、刻印の示すトレーサビリティですね。

 

刻印を見つつ山行の中平さんから、丸太に関するストーリーを教えてもらいます。「この刻印は、誰々さんとこの山やなぁ~」等と賑やかに話しながら歩いていると、中平さんの周りに人が集まってきました。「お~Aさん、こんにちは~!しかしアレ(あの木)は凄いですなぁ。どないして伐ったんですか?!」と笑顔で会話が交わされます。市場には、直径が人の背丈を超えるような巨大な丸太も並んでいますが、相手はその木の伐採者さんの様子。市の日は、買い手だけでなく丸太の出荷者も気になって様子を見に来ているようです。 “この木はいくらで売れるだろう?” “誰々さんは、どんな木を出してるんやろう”と、丸太の出荷者にとっても、原木市場はお祭りのような「非日常」のある一日なのですね。

末口直径60cm超の丸太

 

 

景色・素材厳選のオーベルジュ

 

 

取材に熱中する中、ふと原木市場近くの丘の上を見上げると、真新しい木造の建物を発見しました。

 

オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井

 

「あの建物は何だろう、行ってみよう!」と移動。そこで出会ったのは、2016年に開業したばかりのお店「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井 」でした。オーベルジュとは、フランス語で「宿」という意味。レストランと9部屋の客間が揃った、お宿です。桜井駅近くの中心街から離れた、車がないと行けない場所で、里山に囲まれた広いレストランが私たちを迎えてくれました。

訪れたのは、初春。まだ風は冷たく、景色は冬の色をしていました。そんな季節のテーブルには、真ん中に一本のサクラの丸太が立っていました。

 

 

コースが始まると、ガラスの器が運ばれてきて、完成したのは…吉野桜に見立てた前菜でした。「どうぞお花見をお楽しみください。」の一言と共に、思わず歓声が溢れます。

 

 

一品目のアミューズ「吉野桜のお花見」

 

次々と出される料理の数々には、味わいと美しさはもちろんのこと、林業視点からも、見逃せないおもてなしに満ちていました。例えば、お花見をイメージした前菜と共に提供されたのは、お花見弁当に見立てた突き出し。お弁当箱のような器は、吉野地域の木工家さんの作品で、吉野杉の美しい赤柾材が用いられています。

 

 

突き出し料理は、吉野の木工作家が作ったお弁当箱でいただく

 

メインのお肉料理の一皿は、「味噌でマリネした五條の猪のロースト」。素材の味をワイルドにいただく山の中でのBBQも絶品ですが、上品に焼き上げられた猪肉にも、ジビエの新たな可能性を感じます。

 

 

味噌でマリネした五條の猪のロースト

 

食後のコーヒーと共に出てきたのは、和菓子が入っているかのような、小さな木箱。中には可愛らしいマカロンとトリュフの洋菓子が収まっていました。

 

 

木箱に入ったデザート

 

最後まで趣向が凝らされた数々のお料理をいただき、目もお腹も、心までいっぱいになりました。「木」という素材には、温もり・優しさという質感の他に、“加工の幅広さ”が大きな魅力ではないでしょうか。切り株や枝を丸のまま使ったり、板にしてメニューの表紙のように使ったり、あるいは木箱や器として細かく加工してみたり・・・、割る、輪切りにする、彫る、板挽きする、一度刻んでから再び組む等々、幅広い加工の可能性を秘めているからこそ、扱う者のセンスを問われる素材であるとも言えましょう。料理にも似ているのかもしれませんね。料理と木の関係も奥が深そうです。

ふとレストラン内を見回すと、食を楽しむ空間の中にも所々に木があしらわれています。

例えば、客人を迎える入口のテーブルには、輪切りの丸太。その日の料理に使う、シェフが厳選した野菜が並べられています。料理や食材のみならず、木製の建具やメニューの背表紙等の小物にも、随所に吉野杉や桧を使って、「地域産の素材」にこだわった空間演出が施されていました。

 

輪切り丸太の上に、その日仕入れてきた素材が揃う

 

メニューの表紙は、杉の薄板と和紙

 

もちろんお箸は、吉野杉

 

木格子の建具が、和モダンな空間を演出

 

オーベルジュがある立地は、大神神社や箸墓古墳(一説には卑弥呼の墓ではないかと言われる)を見渡しながら、原木市場も一望できる、オーシャンビューならぬ“ウッドビュー”。ついさっきまで居た市場の威勢良い声が聞こえそうな眺めです。

 

 

 

細やかな演出に心までいっぱいになったところで、続いては貯木のまち・吉野町へ足を伸ばします。
吉野林業を巡る~中編~をご覧ください。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

旅する産地 編集室

林業木材業の選ばれる産地づくりを目指して。地域密着型支援コンサルティングを行う、古川ちいきの総合研究所の視点から私たちが出逢った林業産地の風景や物語をお届けします。

 

 

 


 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 6月 23, 2017 Under — ちいきの地域, — 産地ブランド・選ばれる林業会社, すべての記事

弊社が事務局を務める、Clubプレミアム国産材(http://club-premium-wood.jp/)が主催し、

12の木材産地共催でお届けしたライフスタイル展示会「木のある暮らし展2017~旅する日本の森と産地~」(3月29日開催)について、

多数のメディアでご紹介していただいております。

 

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【1】建材ダイジェスト

出展12社について、各社の記事を書いていただいております。

どの記事もタイトルがキャッチ―で、内容は業界の方から一般の方まで、どのような方でも読みやすい内容となっております。

 

現在6社まで公開中!今後随時、記事が公開されていく予定ですので、

その都度こちらのページでも追記で紹介して参ります。是非これからもご注目いただければと思います。

 

 

『これまで見向きもされなかったカラマツが、なぜ外壁材で最近人気なのか?』<ソマミチ>

https://kenzai-digest.com/karamatsu-ttpanel/

 

 

『公園で使われている、あの丸い木材の正体とは?』<木原木材店>

https://kenzai-digest.com/kihara-wood/

 

 

『自由に棚をレイアウトできる、国産ひのきの壁面材「Ur」』<影山木材(株)>

https://kenzai-digest.com/ur/

 

 

『家の木材というと、杉・ひのきだけじゃないの…?』<竹下木材(有)>

https://kenzai-digest.com/japanese-pine/

 

 

『砂浜に敷き詰められた木材、その目的とは??』<(有)平田木材店>

https://kenzai-digest.com/kyowakasa-wood/

 

 

『樹齢200年の吉野杉をつかった最高級建具「二百年の扉」』<(一社)吉野かわかみ社中>

https://kenzai-digest.com/200years-ceder-door/

 

 

『世界遺産が自宅に!?柱になった高野山の木「高野霊木」』<高野山寺領森林組合>

https://kenzai-digest.com/jiryou-koyasan/

 

 

『母の日のプレゼントにおすすめの“本格”おしゃれ木製雑貨とは?』<ばうむ合同会社>

https://kenzai-digest.com/baum/

 

 

『一枚で5つ楽しめちゃう国産広葉樹のフローリングを見つけた♪』<岩泉の明日の林業をつくる会>

https://kenzai-digest.com/iwaizumi/

 

 

『1年かけて天日干しする天然乾燥材「東濃杉」とは?』<㈱山共>

https://kenzai-digest.com/yamakyo/

 

 

『【アパートの空室対策にも】無垢材リノベーションの施工事例 ~with 飛騨五木~』<飛騨五木㈱>

https://kenzai-digest.com/hidagoboc/

 

 

『”この惑星ではおおげさなオフィスが必要なくなりそうだ”と気づく施工事例~with ユカハリタイル~』<㈱西粟倉・森の学校>


https://kenzai-digest.com/comfortable-office/

 

 

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【2】リフォーム産業新聞

4月25日号で取り上げていただきました。

 

 

↓↓↓画像では見にくいという方は以下URLのPDFからご覧ください↓↓↓

https://chiikino.jp/data/170425_reformsangyo-cpw.pdf

 

掲載直後に参考資料請求のお問い合わせをいただき、

早速反響も見られています。

 

 

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【3】日刊木材新聞

4月8日号で取り上げていただきました。

↓↓↓画像では見にくいという方は以下URLのPDFからご覧ください↓↓↓

https://chiikino.jp/data/170408_nikkanmokuzai-cpw.pdf

 

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【4】朝日新聞(関西夕刊)

5月13日号で取り上げていただきました。

↓↓↓デジタル版の記事もあります。↓↓↓

http://www.asahi.com/articles/ASK515FJBK51PLBJ002.html

 

 


 

これからも日本全国、プレミアム産地は旅をしながら木のある暮らしをお届け致します。

ご興味やご質問がある設計・工務店の方、もちろん一般の皆様もお気軽にご相談ください。

お問い合わせ・ご相談はClubプレミアム国産材HPページお問い合わせフォームから===

http://club-premium-wood.jp/?page_id=104/

 

「木のある暮らし展」当日の様子を知りたい方は下記URLの記事をご覧ください。===

https://chiikino.jp/blog/?p=7107

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 日曜日 4月 30, 2017 Under — メディア掲載, — 産地ブランド・選ばれる林業会社, pick up, お知らせ, すべての記事, セミナー報告

 

3月29日、大阪淀屋橋駅近くのギャラリーを貸し切り、

Clubプレミアム国産材、12の木材産地共催でお届けするライフスタイル展示会

「木のある暮らし展~旅する日本の森と産地~」を開催しました。

 

 

~~~イベント概要~~~

■開催日時:2017年3月29日(水)10:00~17:00

■会場:大阪市中央区高麗橋3-1-8カルボ高麗橋ビル1F 高麗橋BLACKBOX

■参加無料・申込不要

 

■プログラム
①産地からの空間提案展示(常時展示)
②特別無料セミナー「プレミアム国産材で工務店経営をプレミアム化するセミナー

講師:(株)古川ちいきの総合研究所 古川大輔

 

③トークショー「国産材LIVE!」(毎時開催)

 

Clubプレミアム国産材についてはこちらから=== === === === === =====

・Clubプレミアム国産材コンセプト:http://club-premium-wood.jp/?page_id=98/

 

過去の開催イベントに関するブログはこちらから=== === === === === ===

・第4回産地共催交流セミナー(2015年):http://club-premium-wood.jp/?p=837

・Japan Home & Building Show 2013(2013年):http://club-premium-wood.jp/?p=671

 


 

 

 

産地共催のイベントとしては今回で5度目となる今回は、

今までのプレゼン・セミナー中心に内容から一転、空間提案を行うブース展示をメインとしました。

 

1日を通して、100名を超える方にお越しいただき、複数のメディア取材もあり、

多くの出会いある賑やかな春の1日となりました。

 

 

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【1】ブース展示

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“木”は全て同じものなのでしょうか?

スギ、ヒノキ、アカマツ、カラマツ、そしてさまざまな広葉樹と、樹種によって木目やかたさなどの材質が違います。

 

また、同じ樹種でも、品種や育った山の自然環境、そして育て方による産地のバラエティがあります。

十人十色という言葉があるように、木材にも一本一本、地域ごとの性格があり、様々な表情を見せてくれる奥深い世界があるのです。

また、柱、床、壁、家具、小物と使い方によっても雰囲気は変わります。

 

そんな多様性のおもしろさを感じさせてくれるブースをのぞいてみましょう。

 

===J1メンバー===

 

桧の可能性を無限に広げる。【影山木材株式会社(富士山麓)】

 

「Ur(ユーアール)」という国産ヒノキを使用した壁材を中心とした空間提案。

U型の溝を施した壁材とr型の金具の付いた取付家具を組み合わせて、壁を自由なレイアウト空間に変えます。

 

 

木を使う社会の仕組みをつくる。【ソマミチ(信州松本)】

全国でも生産地が一部に限られる「カラマツ」を使用した外壁材「T&Tパネル」を主体としたブース。

ブルーステイン(赤松)を使ったスツールやカラマツのカッティングボードなど、暮らしのアイテムも多数。

 

希少価値の高い国産地松を島根より【竹下木材有限会社(石見出雲)】

地松に特化した羽目板や数種類の厚さのフローリングを展示。。

地松の素材感が引き立つシンプルisベストな展示となりました。

 

癒しと信仰の高野山、千二百年の森から。【高野山寺領森林組合(高野山)】

高野山真言宗総本山・金剛峯寺が所有する森林から産出される「高野霊木」を使用した、柱、テーブル、フローリング、ミニ床の間をご紹介。

森林セラピーもおすすめの高野山、その魅力を映像で伝えています。

 

 

コンパクトな流通で森からの地域づくり【ばうむ合同会社(土佐嶺北)】

多くのブースが建材を中心としている中、「もくレース」コースターをはじめとした、木製小物を展開。

木材を提供している自伐林家もいっしょにPR。

 

日本一おもしろい材木屋ベンチャー【株式会社西粟倉・森の学校(岡山西粟倉)】

大ヒット商品「ユカハリ」の複数バリエーションに、新商品の「カベハリ」も加わりユニークな空間に。

家具、小物も含め、一般のお客様も使いやすい商品がずらりと並んだブース展示になりました。

 

 

晴れの日も日常も、五木のある暮らし。【飛騨五木株式会社(飛騨高山)】

スギ、ヒノキ、クリ、ケヤキ、ヒメコマツの5樹種の木が社名にもなっている「飛騨五木」。

とにかく多くのアイデア商品がラインナップ。衣食住に木のある暮らしを提案しました。

 

東濃発、木材業界のパイオニア【株式会社山共(岐阜東白川)】

パネル、チラシ、映像のみで、木材製品をあえて持ち込まない展示。あとは社長が語ります!

自らの熱い想いを語ることで産地、木材をPRする独自のスタイルの展示でした。

 

 

日本最古の林業から、上質な素材を。【一般社団法人吉野かわかみ社中(吉野川上)】

吉野林業のメッカ、川上村からの出展。柾目が映える扉をメインに、柱、フローリング、どの製品を見ても緻密な年輪が刻まれています。

日本三大人工美林のパワーを感じさせる空間提案でした。

 

===J2メンバー===

今回は、Clubプレミアム国産材のメンバー以外にも、次なるプレミアム産地として「J2」出展枠を設けました。

3つの産地をご紹介します。

 

【岩泉の明日の林業をつくる会(岩手岩泉)】

昨年8月の台風10号被害の復興支援として特別出展をいただきました。岩泉町は広葉樹×FSC森林認証が魅力の産地。

今回は復興プロジェクトで制作したちゃぶ台と、広葉樹ユカハリを展示。シンボルマークも人気のブースとなりました。

 

【木原木材店(兵庫播州)】

「製材をしない製材屋です!」が合言葉。関西随一の丸棒工場からの出展です。

丸棒1つとっても加工の幅は広い。それをうまくブースで表現しています。

 

【有限会社平田木材店(福井高浜)】

サーファーな雰囲気が漂う展示。ブルーフラッグという浜辺の国際認証を取得している福井県高浜町から

京都材と若狭材のブレンド「京若狭材」をPR。「木」×「海」のユニークな展示でした。

 

 

「同じ木材、樹種でも全く違う、それがとてもオモシロく、興味深い。」

この言葉は、長年木材に関わってきた方、木材の事は今まで良く知らなかったという方まで多くの来場者から頂いたご感想です。

 

午前10時に開場したイベントは午後5時の閉会まで、途切れることなく各ブースから熱のこもった会話が飛び交い、

終始賑やかな展示会となりました。

 

 

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【2】トークショー「国産材LIVE!」

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樹種によって、産地によって、さまざまな表情を見せる木材。確かに間違いありません。

さらに、それを届ける‟人”の存在が、より木材を魅力的にするのです。

 

同会場のステージで各産地の出展者から、木材への想い、今までの背景、取り組みを5~10分で語っていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

産地の熱い想いが伝わるセンスの光るプレゼンが繰り広げられ、

プレゼンの世界では有名なTEDカンファレンスにも負けない、まさに林業版TEDを体現したひと時でした。

 

 

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【3】セミナー「プレミアム国産材で工務店経営をプレミアム化するセミナー」by古川大輔

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午前の部、午後の部それぞれの締めくくりとして、

弊社代表古川より、木材製品を実際に扱う工務店の方に向けたセミナーを開催しました。

 

まず、林業、製材の現場を見たことが無い工務店の方はいますか?と聞くと多くの人の手が挙がるのが現状です。

自分が扱っている製品はもちろん見るが、実際に作られている現場は知らない、見たことがない、という方も多いのです。

 

しかしながら、林業と消費者、産地と暮らしをつなげることが出来るのも、地場工務店の魅力です。

そのうえで、林業、製材業へのアプローチの必要性、絞り込んだスタイル・プラン提案の重要性など、

基本的な経営から応用まで、10個のポイントを中心にお伝えしました。

 

プレミアム工務店になるためには、どのようなことが必要なのか、存分に知っていただき、

1つでも実際のアクションに繋げて頂き、地域の林業製材業との繋がりが広がれば幸いです。

 

 

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【4】交流会・林業Bar

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会場での会話に華を添えるドリンクもご提供。

「お酒を通じて、山や木の世界に出会う」をコンセプトに活動している、「林業BAR」が駆けつけてくれました。

バーテンダーは、日頃から木材や建築に携わりながら、ユニークなカクテルで出張BARを展開している竹内優二氏です。

今回は日中開催のために、ノンアルコールドリンクの新メニューも開発していただきました。

 

木材は、見て、触れて楽しむだけではないのです。香りを楽しみ、味わうこともできる。

展示会、トークショーの合間にほっと一息、五感全てで楽しんでいただけるイベントとなったのではないでしょうか。

 

展示終了後は、出展者と来場者の交流会を開催しました。

森と木をめぐる話はいつまでも尽きません。

 

 

 

 

さて、「木のある暮らし展~旅する日本の森と産地~」1日限定のイベントは終了しましたが、

ご興味を持たれた方は、出展者が取り扱う商品を‟お取り寄せ”していただけます。

 

 

A:お気に入り産地から一棟分お取り寄せ

B:イチオシ商品をリピート使用

C:色々なプレミアム産地から部材を集めてそろえる

 

と3種類のお取り寄せパターン、あなたはどれがお好みですか?

また、

 

D:産地と一緒に商品を作る!

 

という選択肢も実はあり、「この人と組みたい!」という出会いから可能性を広げていただきたいと思います。

 

さっそく、展示会終了後に、具体的な商談やご相談が相次ぎました。

ご興味がある設計・工務店の方、もちろん一般の皆様もお気軽にご相談ください。

 

お問い合わせ・ご相談はClubプレミアム国産材HPページお問い合わせフォームから===

http://club-premium-wood.jp/?page_id=104/

 

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これからも日本全国、プレミアム産地は旅をしながら木のある暮らしをお届け致します。

また皆さまにお会いできますこと、新しい出会いが生まれること、楽しみにしております。

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 3月 29, 2017 Under — 産地ブランド・選ばれる林業会社, — 選ばれる製材メーカー, pick up, お知らせ, すべての記事, 講演&研修 報告


名古屋にて、これまで非公開で重ねてきた林業経営者によるディスカッション型の研究会。
今後は広く参加者を募集し、開催することとなりました。

 

本日は、

 

●人材採用と育成

●所有と管理の在り方

●林業会社の商圏設定とミッション

 

をテーマに議論いたしました。

 

特に人材採用については、どの事業体も

今後はWEB等による理念反響型の情報発信と、

学校機関の研修やインターン等を通しての採用にシフトしていく模様です。

 

「林業をやりたい」

ではなく

「この会社ではたらきたい」

 

と言われるような魅力的な企業になるためには?

その差別化戦略についても議論しました。

 

 

一口に林業会社といっても、スタイルは様々。

参加しているメンバーは、型に捉われ過ぎないフリースタイル林業を実践しています。

 

・Iターン者による林業サービス業ベンチャー

・製材と林業を持つホールディングス会社
・90年を超える美林を持つ15代続く林業家
・林業から木工まで行う森林組合発ベンチャー
・広葉樹施業と販路開拓に挑戦する林業会社
・都市型林業を実践するアーバンフォレスター
・森林信託から施業、製材で地域材住宅を手掛ける工務店
・独自の伐採手法を開発した現場のプロフェッショナル
・若者が多く集まる老舗の製材林業会社
・役場と連携し百年の森づくりをめざす森林組合

 

日本一面白い林業経営者が集まる研究会です!

 

同じようでそれぞれに異なる立ち位置、
また東海や関西などエリアによる事情も異なる中で
みずからを客観視しながらディスカッションができるのが特徴です。

 

「この研究会に来るとニュートラルになれる」

というお声もありました。

 

次回の開催が決定し次第、参加者募集のご案内いたします。

ご期待ください。

Posted by wpmaster on 土曜日 1月 28, 2017 Under — 産地ブランド・選ばれる林業会社, 【名古屋】林業経営実践研究会, pick up, すべての記事, セミナー報告, 講演&研修 報告

 

9月2日(金)、新たなプロジェクトが始動。

その名は「豊田市産材利用拡大プロジェクト」

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愛知県豊田市では、平成12年の東海豪雨、平成17年の市町村合併で広大な森林面積を有したことから、

平成19年に「豊田市100年の森づくり構想」を策定、森林管理を促進してきました。

 

「クルマのまち」のイメージが強い豊田市ですが、

豊富な森林資源を有する、「林業のまち」でもあります。

 

次なるステップとして、地域材の利用拡大や地産地消の実現に向けて、本プロジェクトが始まりました。

 

地元の建築設計・デザイン事務所が豊田市からの委託を受け、

弊社もメンバーの一員として推進していく体制となっております。

 

 

さて9月2日はキックオフイベントということで、豊田森林組合を会場に

「豊田市地域材利用拡大プロジェクト 事業説明会&講演会」が行われました。

 

 

まず市役所からの事業説明、

そして事例発表として、
●豊田の森から顔の見える流通をつくる取り組み「人と木をつなげるプロジェクト」

●地域の木を使った家づくりを手掛ける「水嶋建設㈱」

●平成30年に豊田市で製材工場を設立予定の「西垣林業㈱」

の3名の方に活動紹介をいただきました。

 

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また基調講演として、弊社代表古川が

『「地域材、いま何故チャンスか。」~全国の先進事例を基に~』

と題して講演をさせていただきました。

(photo by 永田ゆか)

 

今回のプロジェクトの目的は、地域材ブランドとマーケットを創造すること。

とはいえ、単に「●●県産材」「○○市産材」と名前をつけるだけでは

ブランドたりえません。

 

改めて日本各地の林業産地を紹介した上で、

ブランド=見た目、ではなく、

素材をつくる施業の在り方、加工品質、営業品質までを含めて

ブランドが形成されていることをお話させていただきました。

 

「素材力、加工力、営業力」の3つの力を分析し、

さらにめざすべき地域の目標林型、森林ビジョンの達成に向けた

「企画」と「規格」が必要とご紹介しました。

 

 

遠くは県外から、定員の80名を超える参加者が集まった講演会。

感心の高さがうかがえました。

 

後半のディスカッションでは、会場からのご質問も多く飛び交い、充実した時間となりました。

 

 

本プロジェクトとしましては、まずは関係者ヒアリングを実施し、豊田市産材の生産・加工・流通、住宅建築の現状を把握し、

10月以降は具体的な活用策にむけて計3回のワークショップを開催予定です。

 

①コンセプト&ツールを作り

②商品開発

③運営方法や組織

 

それぞれテーマを変えて、回会を重ねるごとにリアリティが増し、

地域内のプレーヤーを知り、繋がり、実行へつなげる未来を見据えた設計となっております。

 

市内、市外からの参加も可能で、メンバーは随時募集して参ります。

今後にご期待ください。

 

★プロジェクトのfacebookページはこちら

https://www.facebook.com/tlwpj/

Posted by wpmaster on 金曜日 9月 2, 2016 Under — 産地ブランド・選ばれる林業会社, pick up, すべての記事, プロジェクト活動記, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

 

名古屋にて、東海エリアを中心に

若き林業経営者が集まり開催している、林業経営実践研究会。

7月度は新たなメンバーも迎え、開催しました。

 

今回の内容は

【1】各社報告

【2】ドイツ林業視察報告

【3】200年林業に学ぶ

【4】山林の所有と管理の在り方

 

盛りだくさんでお届けしました。

 

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【1】各社報告

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新たに愛知県からのメンバーも迎え、各社の近況報告。

決算の結果、バイオマス事業への参入、木工メーカーとの連携、インターンシップの受け入れなど、

それぞれに独自の事業展開が、着々と進んでいる報告がありました。

 

 

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【2】ドイツ林業視察報告

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6月にドイツ林業&林業機械展の視察に参加したメンバーから、

そのご報告をいただきました。

 

機械化された林業やフォレスターのイメージが強いドイツ林業ですが、

その人材育成は幼少期から始まっている事を、

森林公園で見られた数々のユニークな教育の「仕掛け」から感じることができました。

 

 

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【3】200年林業に学ぶ

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研究会の前日に、弊社一同で、メンバーであるA氏の山林を視察させていただき、

その現場写真とともに、A氏の山林経営についてディスカションを行いました。

 

約1,500haの所有山林を自社で管理する、「所有」と「管理」が一体となった経営を実践。

200年前から植林を始め、所有林のおよそ半分は、すでに高樹齢の「いつでも好きなように伐り出せる」「手のかからない」山林になっています。

 

 

先祖の作り上げた山林資源をいかすべく、

建築設計者とともに立木伐採から始める家づくり等にも取り組まれています。

 

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【4】山林の所有と管理の在り方

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A氏の林業スタイルを踏まえながら、

林業経営における「所有」と「管理」の在り方について議論しました。

 

一口に林業といっても

 

・所有と管理を一体に行う林業

・山林以外の収益を得ながら行う林業

・所有せず管理に徹する林業

 

など様々です。

 

ある参加者からは、

 

「これまでは、所有林を持たないながらも、地域の山に根差し、地域に貢献することを理念としてきたが、現状ではほとんど地域外の仕事を受けている。

そのような状況の中で、愛着がある山を持つと、かえって自滅するのではないかと思う。ぶれない軸として持つべきか?

それは、地域、業界に貢献するというビジョンではなく、山で働きたい人材をつなぎ、林業技術者を育て、田舎で楽しく暮らす人を育てる会社になるということ。

教育・人材育成を意識してやっていきたいという自分の立ち位置が明確になって来た。」

 

という発言もありました。

 

林業スタイルとは、必ずしも「所有しているかしていないか」や「自分で管理しているか」

で語られるものではなく、もっと多様な形があるということ。

まさに”フリースタイル林業”の世界観を、この研究会から、もっと表現していきたいと思います。

 

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★次回の開催は、9月10日(土)を予定しています。(座学ではなく実地研修の可能性もあります)

ご興味のある方はお問い合わせください。

Posted by wpmaster on 土曜日 7月 9, 2016 Under — 産地ブランド・選ばれる林業会社, pick up, すべての記事, セミナー報告