涼しく過ごしやすい時間帯が多くなり、秋本番を間近に感じる10月12日(火)。

 

大阪木材仲買協同組合と大阪木材青年経営者協議会からのご依頼により、弊社代表の古川が講演をさせていただきました。

 

大阪木材仲買協同組合と大阪木材青年経営者協議会が昭和49年から今年まで47年継続して協同開催している「教育情報講座」。今年度の講座テーマには「新たな自社価値」が掲げられ、ポストコロナ、ポストウッドショックの世界での事業活性化の契機にしていくことが狙いにあります。

そのため今回の古川の講演は「ウッドショックに負けない 我社のブランドづくり」と題し、受講者の皆さんに自社ブランディングに向けて必要な思考や行動について、約90分熱くお伝えしました。

 

実は古川が大阪木材青年経営者協議会主催の講演会に登壇するのは11年ぶり。

冒頭の挨拶では、古川が当時の会長、担当者には大変お世話になったこと、そして受講者から「大阪の笑いを覚えてこい!(古川は東京育ち)」と愛のある叱咤激励をいただいたという思い出話がありました。

 

開催形式はリアル会場(大阪木材仲買会館)とZoom併用。

リアルの会場では席数を減らすなどして、新型コロナウイルス感染拡大予防対策を万全にして臨みました。

当日は、大阪府内の製材業者をはじめ、工務店、設計士などの木材加工、利用に関わる方々がリアル会場で24名、Zoomで37名の合計61名が受講されました。

 

講座の概要、全体図

今回の講座は、企業をブランディングするにあたり3つの段階「価値観」「位置」「創造」があり、それらの重要性と関係性についてお伝えしました。

弊社メソッドの根幹である「5つの価値観」「情熱方程式」といったマインド面と、林業における理念と利益のリアルな数字面(市場規模)をお伝えしつつ、マーケティングのフレーム、全国のブランド化事例への展開、随時クイズや質問を交えることで、受講者が自分事化することを重要視した内容、形式で進めて参りました。

 

また今回も、Googleフォームによるアンケートを行いました。

マーケティングの認知度、重要度、期待感、現在の業績状況等について、その場で回答(グラフ)をお示しし、参加者がご自身の「位置」を確認しながら学ぶことができるような構成にし、またデジタルツールを活用するメリットについてもお伝えしました。

 

 

問1と問2では、講義前に確認しておきたい参加者のマーケティング(ブランド化)への意識について質問。

問1ではマーケティング(ブランド化)の知識について55.9%の方が「何となくしか知らない」、17.6%の方が「全くわからない」と回答。

しかし問2ではマーケティング(ブランド化)の重要性について82.4%の方が「重要だと思っている」と回答。この2つの質問の回答から、受講者の方々のマーケティングを学ぶ意欲がいかに高いか、ということが伺えます。

 

 

また問4と問5では事業の状況や今後について。

問4では最近の事業の近況について32.4%の方が回答した「増収増益」に注目。ウッドショックを利益向上の機会として生かしているのでしょう。

問5の今後の方向性については半数近くの44.1%の方が「拡大志向」と回答されたことに驚き。SDGsや脱炭素など世間での環境問題への意識が高まる今の状況は木材業界にとって追い風。業界を盛り上げていく上で積極的姿勢の方が多いのはとても心強いことです。

 

価値観

価値観では弊社メソッド「5つの価値観」と、川上から川下までを見据える「トータル林業」の2つをお伝えさせていただきました。

 

前者の「5つの価値観」とは、古川が自身の原体験から感じた、考えたことを軸にできた弊社メソッドの根幹と言えるものです。「5つの価値観」は「源」「時間観」「土地観」「経済観」「仲間観」から構成されます。具体的には例えば、源≒原体験、時間観は長期軸と短期軸、土地観は都市か農村(地方)か、経済観は理念と利益、仲間観は地元組か進学組かというように、それぞれ類似・対比・因果の関係で自己や企業を整理する際に有効です。

 

価値観が理念を規定する。その理念が経営を規定し、そして組織を動かすのです。この「5つの価値観」は、会社のビジョン(展望)を整理するための「理念設計」の際にも有効なフレームですので、自社(自身)の理念の言語化の為にも、受講者の皆様には活用いただきたいところです。

 

後者の「トータル林業」とは、木材利用の一工程(業種)だけに留まらず、木材利用バリューチェーン全体(「植林・育林・伐採」→「素材」→「部材」→「消費財」→「空間」→「ライフスタイル」)を俯瞰し、その繋がりを直観的に表現した概念です。

 

「トータル林業」の概念を持つことで、川上から川下までの繋がりを把握することはもちろん、バリューチェーン内での自社の役割や新たな可能性を見直すことになり、それによって確かな自社の値価値見直しや新規事業展開を検討することが可能になります。

 

位置

位置ではマーケティングフレームを4つ(「5フォース」「3C」「B2C 消費の3要素」「B2B 法人営業方程式」)ご紹介しました。

 

「5フォース」とは、自社がさらされている脅威(フォース)を5つに分類し、それぞれを分析することで、業界の収益構造を明らかにするとともに、自社の競争優位性を探ることを目的としたフレームです。5フォース分析を活用することで業界の動向や周囲の脅威を読み誤りを回避し、自社にとって適切な取り組みが何かを把握することが可能になります。

 

「3C」とはCompany(自社)、Competitor(他社)、Customer(顧客)の関係性を整理することで、自社の強み(弱み)を把握し、業界内の競争で自社が優位に立つことが可能な位置、領域を明確化することを目的としたフレームです。他社との比較や顧客のニーズを自社に照らし合わせることで、客観的に自社を分析することが可能になります。

 

「B2C 消費の3要素」とは、商品の消費価値を「必要性」「欲求性」「物語性」の3要素に分解し、それぞれの要素をどの程度有しているかを分析することが目的のフレームです。商品が消費のどの要素を満たしているか(欠けているか)を知ることで、商品のPRポイントや届けたい顧客を明確にすることが可能になります。

 

「B2B 法人営業方程式」とは、「品質・価格・納期」×「情報発信」×「使い方提案」×「儲け方提案」の4つで構成され、顧客の視点でのメリットを考えることを考えることを目的としたフレームです。自社商品の客観視し、商品自体だけでなく付加価値を見出すことが可能になります。

 

これらマーケティングフレームは自社がどの領域に位置し、その中でどのような強みを持っているかを把握する上で有効なツールです。

受講者の皆様には是非これらのフレームワークを通して自社の強みを発見し、ブランディングに向けての第一歩を踏み出していただけると幸いです。

 

創造

創造では理念の細分化と利益の管理を両立する重要性についてお伝えしました。

 

企業理念といえばコーポレートメッセージが想起されやすいですが、理念は1つのスローガンに留まらず「ヴィジョン」「ミッション」「ポリシー」等に細かく分解することができます。

それにより企業理念がどこで何を目指すのかを明確にすることができ、具体的に日々の業務で起こすべきアクションまで掘り下げることが可能になります。

 

利益の管理とは具体的には「管理会計」を指し、売上、粗利、自己資本比率といったお金の動きを把握、管理を徹底し、理念経営を進めるために有効な予算活用方法を考える上で必要不可欠なものです。

目先の利益に惑わされずに長期的な理念を実現するためにも、理念から逆算した管理会計の見直しを、受講者の皆さんには改めて実践していただけると幸いです。

 

全国の事例

過去に当社がコンサルティング支援で携わった、現在地域で躍動するいくつかの企業、組織をご紹介させていただきました。斜陽産業と呼ばれ、課題も少なくない林業、木材業界ですが、確かな理念を掲げて利益を上げ地域に貢献する企業は少なくありません。

また業界内に留まらず、異業種の事例を見ることも、自社のブランディングについて考える上でとても良い参考になりますので、是非アンテナを広げていただけたらと思います。

 

参加者の声

【A様】

講師の方がとても木材業界に愛があり、マーケティングや経営について話されていることがとても分かりやすかった。

 

【B様】

木材のブランドづくりは世の中ではまだまだこれからで、チームで作っていくなど、講師の方の思いが伝わる講演で勉強になった。

 

【C様】

マーケティングについて、5 フォース分析、3C 分析などの重要性を理解することができた。

 

【D様】

ビジョンを持ち、夢の実現に向けて情熱をもって仕事に取り組むことが大切だと学んだ。

 

【E様】

自社の価値をもう一度見直し、見直すところはたくさんあるのではないかと考えるきっかけになった。

 

最後に

 

ブログでは抜粋してまとめましたが、上記以外にもたくさんのことをお話しさせていただきました。

 

古川にとって大阪とは、会社のオフィスを構える土地であり、かつ吉野、伊勢、高野といった歴史ある地域が集う紀伊半島の帰結点であることから、大阪への想いには強いものがあります。また講演内で何度もお伝えしたように、林業、木材業界の視点から見ても、北山や吉野といった歴史ある林業地との交流が古くからあり、今も昔も「木材流通・加工・消費の地域」として大阪は重要な役割を担っています。

 

そのような大阪でご活躍される皆さまが、この講座内容を自分事化し、新しい企業価値の創造やブランディングに繋がれば、これほど嬉しいことはありません。講義終盤にご紹介した「自社の価値(ブランド)リスト」の7つを実践され、より良い仕事と企業づくりをされていくことを願っています。

 

コロナの状況に気を付けながらにはなりますが、大阪の皆様と交流し、共に明日の大阪の木材業界の未来を考えていけたら幸いです。

 

講演のご相談等は、お問合せフォームからお受けしています。

ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。

過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 10月 22, 2021 Under pick up, すべての記事, 未分類, 講演&研修 報告
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