夏の名残と秋の空気の混在が心地よい10月26日(土)、新大阪にて今年度第2回目の大阪経営実践研究会を開催しました。

 

今回は兵庫、大阪、広島、高知、岐阜、愛知、長野、福岡の8府県から9名の方にご参加いただきました。

森林環境税や全国の最新情報の提供から、「なぜ、地域材か(総集編)」「まちづくりと林業、食と農と観光への事業連携」の2つのテーマを軸とした構成の研究会となりました。

 

今回のメニュー

【1】参加者近況報告

 

【2】ちいきの総研より情報提供

・某都道府県の林業事業体の経営力アンケートより

・森林環境税、山林所有者への意向調査から

・「顔の見える木材での快適空間づくり事業」から最新情報

 

【3】テーマ①「なぜ、地域材か。(総集編)」

・古川による「地域材利用の意義」フレームワーク化と解説

 

【4】テーマ②「まちづくりと林業、食と農と観光への事業連携」

  1. 一般社団法人ソマミチ トークイベントを終えて

 

  1. ゲスト講座

「食と酒からみた、まちづくり、~もう一度「農林漁」をつなぎましょう~」

 

【5】ディスカッション

 

 

【6】まとめ(古川)

 

 

手前味噌ではありますが、いつもに増して刺激的かつ有機的な情報とディスカッションの詰まった研究会になりました。

 

今回も一部抜粋して、当日の内容をご紹介します。

 

 

テーマ①「なぜ、地域材か(総集編)」

前回の研究会で参加者から問題提起されたこのテーマ。

 

「地域材を使うことの意義は何か?どのように説明したら良いか?」

「使い手、エンドユーザーが地域材を選択するために必要な要素とは?」

 

前回研究会では、全国から参加の皆様より、自らの実績や経験を踏まえたコメントを多くいただき、白熱したディスカッションが繰り広げられました。

 

そんな前回のディスカッションと、今までお仕事させていただいてきた全国の事例、自らのマーケティングメソッドなどから複合的に考察し、今回古川が「地域材利用の意義」についてフレームワーク化、解説をさせていただきました。

 

キーワードは

「環境、SDGs」

「国土保全」

「地域経済」

「雇用」

「水源、流域」

「マテリアル」

「PEST分析」

「マーケティングメソッド(古川オリジナルメソッド)」

「顔の見える関係」

「トータル林業」

「事例」

「カッコよさ、感覚に訴える」

 

これらを図解した一大フレームが出来上がり、参加者からも「よく分かった」の声をいただくことができました。

 

「なぜ、地域材か」というテーマについては、これで完結ではなく、このフレームワークを活用しながら今後も議論を深めていきます。

「どんなフレームワークか気になる!」という方は、是非研究会にご参加ください!

そんな想いのあなたとも、議論を交え、地域材の可能性を広げていきたいと思っております。

 

テーマ②「まちづくりと林業、食と農と観光への事業連携」

1.一般社団法人ソマミチ トークイベントを終えて

古川がサポーティングコーチとして理事を務める、長野県松本市の一般社団法人ソマミチ。

ソマミチウェブサイト https://www.somamichi.com/

 

一般社団法人設立2年の節目に、トークイベントを開催したことは、このブログでもご紹介したところです。

ちいきのブログ(令和元年10月23日)

https://chiikino.jp/blog/?p=10212

 

今回の研究会には、ソマミチ代表の原 薫様のご参加があったこともあり、古川とこのトークイベントを終えての所感と、ソマミチの活動の意義などについてご紹介いただきました。

 

ソマミチは、木を使う社会の仕組みをつくることを目指し、「山が基準」をキーワードに活動するチーム。林業、製材、設計、家具木工・指物師、建築まちづくりディレクターなど、多彩なメンバーで構成されています。多彩であるがゆえに、チームとして協業しながらも、それぞれの専門分野での活動が主になることで、全体としてのソマミチを伝えるのが難しくなってしまっていることが一つの課題でした。

 

そこで開催されたこのトークイベント。

山での体験イベントから建築、木工まで多様なソマミチメンバーの活動をトータルでご紹介することで「ソマミチとはどんなチームなのか」「何を目指しているのか」ということを伝えられたことは、大きな成果の1つであったといえます。

 

今まで「名前は聞いたことあって、森や木のことで何か良いことをしているようだけど、よくわからないから」と参画するまでに至らない人たちが多かった中、トークイベント後に「ソマミチがどんな想いで、どんな取り組みをしているか、全体像が見えた。ぜひ、参画したい!」という入会希望の反響がいくつもあり、単なる「打ち上げ花火」的なイベントに終わらず、さらなる広がりに繋げることができました。

 

また、ソマミチのこれからの活動の方向性についても参加者から質問があり、「山と食文化」「感動をベースに」「遊び場からビジネスへの導線」「国交省制度の活用」など、ソマミチだけでなく、各参加者の事業にも参考になる情報と議論を交わすことができました。

 

2.ゲスト講座「食と酒からみた、まちづくり ~もう一度「農林漁」をつなぎましょう~」農業と漁業と林業のいい関係づくり 地域経済をうまく回すには

 

百貨店の鮮魚コーナー勤務からまちづくり、IT企業、輸入商を経て、現在は食と農のマーケティングからまちづくりまで、自治体の仕事、大学講師など幅広く担う、まさに専門家かつ複業家の片桐 新之介様よりご講義をいただきました。

 

専門性と外部視点の客観性の両立。

掛け算による独自性の創出。「シナジーキャリア」

 

「ハモの骨きりが出来るマーケターは自分くらいではないか」という多才な片桐様。

多様な実績のうち、いくつかの事例を交えながらお話を繰り広げられました。

 

「もう一度、農林漁業をつなぐ」

「6次産業化の商品づくりにおいて大事な7つのこと」

「ユーザーエクスペリエンス」

「人を巻き込むことで、売れる仕組みが自ずとつくられていく」

「これからの新しい循環」

「コミュニティが支援する農林漁業」

「環境の自分事化」

 

刺激的かつユニークでありながら、まちづくり、マーケティングをはじめ、複業家ならではのスキルを活かしたビジネスづくり。

また、農林漁業を俯瞰した視点と、現場の人たちと協業し意思疎通してきたからこその温度感のある取り組みは、林業・木材業に携わる我々にとっても、大いなるヒントとなりました。

 

片桐様の手がける今後のビジネスについてもオフレコで教えていただきましたが、こちらもなんとも興味深い!!このような情報を得ることができるのも、研究会の醍醐味ですね。

 

隣接異業種、リアルなビジネス実践からのヒント、それだけではなく、片桐様の柔軟な発想からも、得るもの多きゲスト講座でした。

参加者の皆さまにも大変ご満足いただけたようです。

 

ちいきの総研よりまとめ

今回の研究会では「なぜ、地域材か。(総集編)」として、「地域材利用の意義」について再度テーマとし、ディスカッションした内容とこれまでの知見から、フレームにまとめさせていただきました。ですが、ここで終了ではありません。このフレームを使い、自らにとっての地域材利用の意義について、定期的に考察することが重要です。参加者の方からも「その時々の状況で、学ぶこと、見出すことは違ってくる」というコメントもありました。研究会では、「なぜ、地域材か。」を永久的なテーマとして、継続的に追いかけていきます。

 

また、今回のもう一つのキーワード「複業」。

弊社が実施した某都道府県の林業事業体経営力調査から「林業以外のサブビジネスを持っていること」と「増収増益」の相関性が見えてきました。また、ゲスト講師の片桐様のお話でも「複業」による「シナジーキャリア」の形成というお話が出てきました。この「複業」こそ今後のビジネス展開において重要な要素であり、これからのプロフェッショナル像といえるでしょう。それは、地域において自らが「ペルソナ」(消費者のモデル的存在)となるとともに、「プロデューサー」(事業者のモデル的存在)にもなるということであります。ソマミチの多彩なメンバーも、地域の「ペルソナ」であり「プロデューサー」であるからこそ、理念が反響してファンが増え、活動もビジネスも広がっていく。

この「複業」についても重要な視点として位置づけ、今後も深堀りをしていきます。

 

 

参加者の声

【U様(国産材建具メーカー)】

久しぶりに参加しましたが、各地での国産材の活路の見出し方を学べ、方法、手段、観点の違いを感じることができ、非常に勉強になりました。改めて「地域材とは」ということを考え直すきっかけとなり、なぜ必要なのかをより地方(地元)自治体に伝えていくことで、まちづくりの流れが変化していくことを強く感じました。

 

【S様(都市計画系コンサルタント)】

まちと自然の関わり、都市空間と林業の関わりは、地方都市でこそ進めていくべき取り組みだと思います。都市計画でも10~20年の視点はあります。今はタクティカルアーバニズムという言葉で、暫時的、戦略的に進める重要性が言われることが多いですが、森林資源の持続性と時間軸で考える超長期的(都市計画的には)な視点は斬新でした。

 

【I様(工務店)】

各種ディスカッション&レク、楽しかったです。なぜ、どう地域材を使うのか、フレームワークで理解できました。片桐さんの取り組みについて、経済性も含む持続性の担保は色々な課題があるとは思いますが、尖った企画でより良くなるといいなと感じました。パワフルな取り組みが参考になりました。

 

さいごに

令和に入って第2回目の研究会。

いつも以上に濃く、ビジネスのヒント、原動力になる内容であったのではないかと自負しております。

この勢いのまま、これからも走り続けたいと思います。

 

次回の研究会は12月21日(土)に開催予定です。

 

詳細が決まりましたら、弊社ブログ、SNS、メールにてご案内させていただきます。次回も多くの方にご参加いただけることを楽しみにしております。

 

今回は参加できなかった方、初めて研究会を知った方も、参加をご検討いただけますと幸いです。

 

研究会内容の詳細は、以下のURL(大阪・経営実践研究会紹介ページ)からご覧ください!

https://chiikino.jp/blog/?page_id=187

 

Posted by wpmaster on 水曜日 11月 20, 2019 Under pick up, お知らせ, すべての記事, セミナー報告, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)
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