はじめまして、古川ちいきの総合研究所で社会人インターン中の、森と申します。
木材を扱う会社に3年間勤めた後、今はこちらで色々と勉強させて頂いております。
よりいっそう「木材」を身近に、魅力に感じている今日この頃です。
さて、3月度の経営実践研究会について、レポート致します。
今回の研究会のテーマは「製鉄業と製材業」。
製鉄業も、木材と同じように、大きな素材を小さく切り分け、二次加工において付加価値をつけていく、「素材を加工」する業界です。
2つの業界の同じ点と違う点から、木材業界に還元できるヒントを探っていきます。
午前中は鉄鋼会社S社の製鉄所見学、午後は座学での研究会となりました。
■午前の部:製鉄所見学
S社は、東京ドーム約128個分の敷地をもち、日本鉄鋼業シェアのおよそ1/3を占めます。
また、特徴的な商品として、鉄の「高級薄板」があります。
見学させて頂いたのは、厚さ約20cm、畳1畳程の鉄の塊(スラブ)が約数mmの厚さまで伸ばされ、鋼板(薄板の原料)となる工程です。
3階程の高さの点検用の廊下から見学していたのですが、1200度まで加熱されたスラブがラインを通るとその熱風で真夏のような暑さでした。
24時間稼働のこちらのラインは360mあり、要所ごとに設置されたカメラを通して、管制官で制御しています。1日にだいたい500~600本のスラブが製造されています。
お客様の注文に合わせて、薄板の厚みは1/100mmの単位で調整されます。
大まかな工程は
鉄の塊(スラブ)=素材
↓
加熱
↓
粗圧延
↓
連続熱間圧延
↓
鋼板=完成品
となります。
木材業界と同じように、鉄鋼業界にもバブル直後には需要が落ち込む冬の時代があったそうで、様々色々な異業種の事業にも挑戦しながら、付加価値化を行い生き残ってこられたそうです。
新規参入した事業のうち、現在も発展している部門もあります。
木材も製品そのものの価値を高めるとともに、小さな可能性をとりあげ、一見まったく違う分野にも飛び込んでみる事で新たな成長が期待できるかもしれません。
また、安全面での注意喚起が欠かせないのも木材業と同じ所でしょう。
見学の前に拝見したVTRでは、「安全への取組」が終始一貫して丁寧に掲げてありました。
個人的に特に印象深かったのは、
① エネルギーを自社で発電、循環している点
② 工程ででる廃棄物は全てリサイクルしている点
さらに木が好きな私として、外せない魅力が、
③ 敷地内の植木がきちんと手入れされている事。でした。
玄関には庭木、川沿いには松、工場内も所狭しに、ケヤキやサンゴジュ、色々な種類の植木が青々としていました。
きっと専門の方が毎日手入れされているのでしょう。また、きれいに草刈りもされており、熱い鉄を移送するときに引火しないためという意図もあるそうですが、「安全」に対する配慮は、働く社員の「環境を整えること」にまで及んでいました。
■午後の部:研究会(座学)
参加者様の近況報告、前回のN社様視察についての考察、午前中の製鉄所見学の考察、そして古川総研社会人インターンS様の「林道」についての講義となりました。
今回のセミナーには初めて参加下さる方、そして滋賀からお越しの方が多くおられました。
皆さまいつも遠い所からお越し下さり、どうもありがとうございます。
まずは、先月の振り返りとして、製材の付加価値化について、
①素材力
②加工力
③営業力
の3つの視点から分析し、さらにそれを製鉄業と比較しました。
考察のまとめとしまして、「製材業」も「製鉄業」も、経営の持続のためには
顧客ニーズに合わせて、商品や会社の方針を変化させている、という共通点がありました。
どれだけお客様の目線で商品を企画できるか、その想像力が鍵となるでしょう。
例えば
① 加工性の向上
② お客様の工程省略に役立つ商品提供
③ 素材の開発から加工技術まで、お客様のお役に立ちたいという表現
等を具体的に考えていく必要があるとのことです。
S様からは「林業バリューチェーン~基盤整備による付加価値について~」講義頂きました。
林道には大きくわけて2つのパターンがあります。
① 低コストで短寿命な林道=作業道
② 高コストで長期優良な林道=林業専用道
そしてさらにその林道の数により、有用性が決定します。
「基盤整備」は林業の「環境を整えること」に他なりません。
何か不具合のある環境であれば、そこに無駄や隙が生まれ、パフォーマンスの低下は元より、大きな事故に直結しかねません。
まずは現場従事者にとっての環境を盤石なものとする点でも、「基盤整備」がもとめられるようです。
S様には具体的な数字と案件をもとに、講義頂きました。また後日、さらに踏み込んだお話も聞けるとのことです。
次回以降もご期待下さい。