今年度最終回となる第4回国産材ビジネスセミナーを開催しました。

テーマは、「利益を生み出すビジネスモデルを作ろう!~千円の柱を10万円で売る方法~」と題し、

地域でビジネスを始めたい、経営のヒントや事例を探しているという方を主な対象にしておりましたが、

今回も行政の方から、異業界の方まで、幅広い層の方々にご参加いただきました。

 


【第一講座】 株式会社古川ちいきの総合研究所 古川・老籾より

第一講座はまず弊社代表取締役の古川より、

①マーケティングコンセプト・概要

②国産材売上方程式

③事業計画の立て方

の3つのポイントを中心にお話しました。

 

①マーケティングコンセプト・概要

さて、アメリカ新大統領、トランプ氏の就任演説はご覧になりましたか?

世界から注目される中、「理念よりも自国優先主義を貫く」という強いメッセージが込められた演説内容でした。

ビジネスの世界においても「やりたい理念」と「とりたい利益」のバランス、考え方は様々ですが、

そんな切り口でご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。

 

そして利益とは、価値観の「差」から生まれるものです。

それでは価値観とは何でしょうか。

戦後の高度成長期と平成の時代との違いを背景に、

大量生産大量消費から、マーケティングがどう変遷してきたかを価値観の相違、暮らし方、生き方まで掘り下げて説明をいたしました。

 

 

そして利益を生み出すマーケティングの講座に入る前に、まずは頭を柔らかくしていただくためにクイズを出題!

「100円のコーラを1,000円で売るには?」

という、ビジネス書のタイトルにもなっている有名な問ですが、

会場の皆さんからは、

 

・砂漠の真ん中で売る

・高級グラスにおいしい氷を入れ、美しい女性がサーブする

・工場で最初にできた缶をプレミアを付けて売る

 

といった回答がありました。

ビジネスに完璧な答えはありませんが、必要性、欲求性、物語性の消費の3要素を切り口とすると、ヒントが得られます。消費の3要素については、市場規模とは何か、ライフサイクルとは何かということまでの経営のフレームワークをお伝えし、林業界の6次産業化のヒントも提供しました。

 

その他、3C、4P、5フォース、AIDMAといったマーケティングの基本を解説し、

顧客中心に見たビジネスについて、みなさまと共に考え、知っているだけでは意味が無い、自社にどう落とし込むかという術を提供しました。具体的な事例を、どう各社の営業(販促)計画に当てはめていくかが肝要です。

 

 

②国産材売上方程式

国産材の売上をアップするには、いったいどうすればよいでしょうか。

漠然としがちな売上計画を、分解することで筋道を立てることができます。

 

ここでは売上を導く、5つの方程式をご紹介。

ビジネス形態、ランチェスターの法則等を踏まえ、木材業界に当てはめた方程式であり、

①のマーケティングコンセプトに加え、事業計画を数字に落とし込む際に使える式をお伝えしました。

 

 

③事業計画の立て方

むずかしく考えがちな事業計画や数値計画ですが、

たまたまで売上や粗利の高い低いを判断するのではなく、目標に対しての評価(改善)を徹底することが経営というものであると説明した後、

重要なポイントは大きく2つ

 

1)売上ではなく、「粗利」管理に集中する。

2)販管費を3つに分け、その戦略的な使い方こそ、経営の面白みである。

 

そのために売上目標は、自身の得たい給与から、マーケットシェアから、競合比較から、といったいくつかの視点から決めることや、損益分岐点とは何かを、ラーメン屋に例えつつ、林業木材産業であれば、地域における林業バリューチェーンを整理したうえで、木材の歩留りから目標と評価の設定を行うことが重要であるとお伝えしました。

 

 

続いて老籾より、マーケティングについてよりわかりやすく理解いただくための、具体例をいくつかご紹介。

 

たとえば、「歯磨き」に関わる必要性・欲求性・物語性を訴求した製品をピックアップ。

シンプルな歯間ブラシからフレーバー付の「歯の香水」まで、マーケット(消費の3要素)の展開事例としてご紹介。

 

街中で新商品や売れている商品を見つけたとき、

それがなぜかを整理するためのビジネスフレーム(ルール化・一般化)を持っていると、

誰に、どのようのな要素を満たすために作られ売られているモノなのかが分かり

日々自身が消費するモノと照らし合わせながら、自社の製品を顧みることもできるようになります。

林業界の事例だけでなく、異業界からのヒントを取り入れて、自社に応用していくということは、弊社の常なるメッセージとして、セミナーのみでなく、様々な現場で具体的なレクチャーをしております。

 

 


【第二講座】カントリージェントルマンたれ!地域と生きる木材ビジネスはこんなに面白い 

株式会社山共 代表取締役 田口 房国 氏 より

 

 

第二講座ではゲスト講座として、(株)山共 代表取締役 田口房国氏をお招きしました。

田口氏は弊社が大阪で主催している経営者向けの勉強会「経営実践研究会」の第一回からのメンバーでもあり、

産地連携により、国産材に新たな価値を与え、国産材を愛する顧客と産地とが出会う、新たなマーケットを作り出すための共通ブランド、

Club プレミアム 国産材のメンバーでもあります。

 

そして、今回の講演テーマは「カントリージェントルマンたれ!地域と生きる木材ビジネスはこんなに面白い」。

 

岐阜県東白川村で林業・製材業を営む田口氏が、

新しい木材のブランド化を実現し、世界にも日本の木材を広げようと活動するに至ったその志、地域での経営の面白さについて

テレビ番組「しくじり先生 俺みたいになるな!!」風の進行でユニークにお話していただきました。

 

田口氏の高いプレゼン力、面白さはその場にいた方にしか味わえない魅力ですが、

ブログをご覧の皆さんにも一部ですが、ご紹介していきます。

差別化戦略

現在ほとんどの業界で企業のWEBページを整備することは当たり前に思うかもしれませんが、まだまだ林業・木材業界はWEBページが無い企業が多く、10年前はさらに少ない時代。その時から先んじてWEBページによる情報発信をおこない、さらに「単価表」を整備。

また、割れがあり、乾燥に時間がかかるといったデメリットから大手ハウスメーカーには使いにくい天然乾燥材。しかし、ねばり、つや、香りが残る木材になるメリットをニッチなニーズととらえ、生産・販売。他の製材所がやらないことをすることで、差別化を実現しました。

 

しかし、広報活動を情報誌、展示会、体験ツアーと展開していったところ、普段の業務に加えて一人でこなしていたこともあり、疲弊する結果に・・・。

これが田口氏の「しくじり」の1つでした。

 

 

東京の商社との出会い:「念願の東京進出」

みなとモデル二酸化炭素固定認証制度をきっかけに、東京への納材が増加。

制度開始から初の港区立の建物へ納材の案件で求められたのは経験したことがないスピード、高い品質、ボリュームへの対応・・・。

そこで、周囲の製材所との連携に踏み切り無事乗り越えることができました。

 

また東白川の木で家具づくりに取り組む「コダマプロジェクト」では、デザイナーや観光など、それぞれの得意分野を持つ人材と連携するようになりました。

 

クリエーター業界で良く使われる言葉「ポートフォリオワーク」。目的に合わせて様々な商品を組み合わせて最適なものをつくることを指しますが、連携を通して実現している事は、まさに「ポートフォリオワーク」と言えます。

メインである製材業に加えて、サイドプロジェクトで、それぞれに得意な人を取り込み、「チーム東白川」として連携することでどんな仕事も可能にしているのが1つの売りとなりました。

最初に壁にぶつかった情報誌やツアーも、いつの間にか出来てしまっており、楽しめています。

 

 ■カントリージェントルマンたれ!

 自分が主役になるのではなく、まず脇役になり自分の専門に徹し、まずはメインビジネスに信頼を持ってもらうこと。

そして、面白い、一緒に仕事したいと思ってもらえる人材になること。田舎で信頼関係を構築することも重要。そのために、残業をせずに地域活動に参加すること。それはある意味で田舎の残業であり、都会とは違った形での残業を通じて信頼性を結んでいく。

 

単なる田舎者ではビジネスでうまく付き合えません。もう一歩先に進むために思い描くのは気品、礼節、礼儀のあるカントリージェントルマン。

都会の経営者から「行きつけのバーに連れて行きたい」と思われるような人材になるためにもカントリージェントルマンになるべきです。

 

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以上のように、「しくじり」を経験し、乗り越てきた田口氏。

「個」の成長があり、「チーム」の力を知り、地域で大きな仕事を動かしてきた10年間の物語に、参加者は感銘を受けていました。

経験した人しか語ることの出来ない、地域で働く面白さ、貴重なお話を聞かせていただきました。

ありがとうございました。

 

 


 【まとめ講座】株式会社古川ちいきの総合研究所 古川

最後に弊社代表古川からまとめ講座。

第一講座、第二講座を踏まえ、

 

「好き」と「憤り」から起こる情熱を、まずやってみる行動に。

答えを待っているのではなく、自分で動いて失敗して学び、

顧客視点と粗利管理を徹底し、この力を高めていく。そして唯一無二の存在に。

 

また、個の基本ができて初めて、ポートフォリオワークができ、チームになれる。

地域での仕事は“Think global, drink local.”が大事!というメッセージを送り、今年度の国産材ビジネスセミナーを締めくくりました。

 

7年目を終えた国産材ビジネスセミナー、

来年度も一味違った国産材×ビジネスの世界を皆様にお届けするべく企画中です。

お楽しみに!!!

 


 

【お客様の声】

~アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。~

 

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第一講座・まとめ講座について

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・5フォースに加えた6つ目の脅威「補助金」の話ではハッとした。つい日頃忘れがちだが、あくまで「補助」の「お金」であることを考えねばならないと思った。このセミナーに来ると普段触れない考え方、感性に触れられるので、とてもありがたいです。(行政関係A様)

 

・自社の粗利や経営の考え方を振り返る講座となりました。ありがとうございました。(バイオマス関係B様)

 

・カントリージェントルマン、とてもカッコいいと思うし、なりたい。今の自分の環境でどう仕事力を付けるか。そのためには、まずやってみる(素直)こと。今まで他人事のように聞いてしまっていたお話を、自分事に落とせそうな感覚が出てきた。これを機に行動に移したい。(林業関係C様)

 

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ゲスト講座について

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・プレゼンテーションも含めて楽しませて頂きました。ビジネスのグローバル化が進んでいる中で、自在だけで仕事するのではなく、チーム力が改めて大切な時代がやってきていると感じました。(バイオマス関係D様)

 

・多くの林業事業体や地域に欠けている視点が多く、マーケティングについて考えていない、意識していないところは多い。そういった考え方を変えるのに、「やりたい理念」と「とりたい利益」は大切だと感じた。自分が関わる地域で以下にストーリー性をつくるかが課題。(バイオマス関係E様)

 

・ご自身の経験、成功事例を分かりやすく紹介していただきとても参考になりました。しくじり先生の手法は良かったです!(飲料メーカーF様)

 

・製材業として、どう生き残っていくか、どう楽しく仕事をしていくのか聞けて良かったです。製材業・林業は単に一か所にまとめるだけではなく、連携も重要ということは参考になりました。楽しく仕事をされている感じも伝わってきて、それも良かったです。(行政関係G様)

 


 

無事、7年目を終えた国産材ビジネスセミナー、各回豪華なゲスト講師をお迎えし全4回のメニューをお届けしました。ご参加いただ皆様、誠にありがとうございました。

まだ出会えていない皆様も、今後の他セミナーで、どこかの地域で、お会いできることを楽しみにしております。

今後ともよろしくお願い致します。
★過去の開催ブログは、こちらから↓↓
【第1回】https://chiikino.jp/blog/?p=6031
【第2回】https://chiikino.jp/blog/?p=6205
【第3回】https://chiikino.jp/blog/?p=6505

 

 

Posted by wpmaster on 土曜日 1月 21, 2017 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 国産材ビジネスセミナー(東京)

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