今年度第2回の国産材ビジネスセミナーを開催しました。

 

テーマは

「地域と木材業の水平・垂直連携~林業を軸にした地域連携とまちづくり~」

 

今回は、地域連携のコーディネーターとなるべき、

行政職員やまちづくり関係の方を主な対象としましたが、

毎回のごとく、林業、製材業の経営者から異業種の方まで、幅広くご参加いただきました。

 

【第一講座】

近年、林業や製材業において、「水平連携」または「垂直連携」の取り組みが活発です。

弊はまずは弊社が全国で携わった連携事例をご紹介し、「連携」を類型化しました。

 

水平連携の中にも、

・森林所有者の連携(集約化など)

・素材生産業の連携(山守連携によるワークシェア、共同加工)

・製材業の連携(窓口化、規格化)

・工務店業の連携(共通ブランド化)

 

などがあり、さらに垂直連携については、

山側主導か、加工・消費側主導かといったパワーバランスにより

連携の仕方が異なります。

 

 

ところで、そもそもなぜ「連携」が必要なのでしょうか?

 

日本型と欧米型の「連携」「協力」を比較しながら、

①売上、②コスト、③リスク

の3つの視点から、連携のメリットを紐解きました。

 

 

さらに、地域連携においては、

外部人材の力をうまく活かした実例が各地域にあります。

 

産業のみならず、地域の社会基盤や生活基盤をつくるという

まちづくりの視点からも、「交流⇒移住⇒定住方程式」についてご紹介しました。

 

 

【ゲスト講座】㈱自然産業研究所 上席研究員 田村典江氏 「ここがヘンだよ!?林野行政」

 

さて、地域連携やまちづくりにおいて、公益的観点から、

行政がコーディネーターとなる場合が多くあります。

 

中でも、林野政策を担う林野庁、地方自治体について知り、

行政と民間の役割分担について考えることは、ビジネスにおいて重要な事ではないでしょうか。

 

今回はゲストに、林野政策の現場に携わる、田村典江氏をお迎えし、

行政機関の実態や、政策と現場をつなぐポイントについて、軽快なトークを交えてご講演いただきました。

 

 

今回のタイトルは「ここがヘンだよ、林野行政」。一見すると挑戦的なタイトルのようでありますが、

実際に、林野行政の数々の事業に携わっている田村氏だからこそいえる

オープンで、未来志向の内容です。

 

そもそも行政の役割とは何か、どのような事業をしているかといった

普段は触れることの少ない実態からレクチャーいただきながら、

 

たとえば林野庁においては5,000人の多様な専門的ノウハウを持った人材が、

適材適所に活躍していることをご紹介いただき、

まさに森林と林野行政への「愛があふれる」内容でした。

 

 

まとめとして、

民間の動きと、それに対する行政のサポート、そしてコンサルタント等の第3者が連携しうまくシナジーを生むためには、

お互いの限界や役割をしっかりと理解したうえで、

現場の情報、施策の情報を積極的なコミュニケーションで伝え合い、

それぞれの役割を果たしていくことが重要である、とご提言をいただきました。

 

 

また特別ゲストとして現役の林野庁職員の方をお迎えしたディスカッションでは、

参加者から率直な質問が多く飛び交い、

 

・国有林の経営について

・都道府県行政の役割について

・補助金の在り方について

 

など、さらにバイマス発電から「地域材」まで、

多岐にわたる議論ができました。

 

 

【まとめ講座】

 

改めて、行政の役割とは大きく4つに分類できます。

 

①【ビジョン】・・・地域や産業の将来像を長期的に描く

②【ブレーキ】・・・民間の経済活動が公益を害することないよう、規制をかける

③【アクセル】・・・民間だけではリスクを伴う挑戦に対し、補助する

④【トレーニング】・・・人材育成

 

このことを理解したうえで、

「プレミアムな行政職員とは何か?」を弊社からレクチャーし、まとめとさせていただきました。

 

また、改めて林業・木材の地域ブランドとは何か?として、

顧客不在、マーケット不在の、単なる地名を冠した「都道府県産材」や「地域材」を行政主導でつくるのではなく、

素材力をつくる施業の背景から、加工力、営業力をトータルで表現した

ブランド創造の必要性を整理しました。

 

 

小さな林業界、製材業界。

批判ではなく、よりよい関係づくりへ。

 

本日のレクチャーをヒントにしながら、

民間も行政も力を発揮しあえる”業界”を、作ってまいりましょう。

 

 

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【お客様の声】

・連携について、事例も含めて知ることができました。ふだん何となく「連携が必要」と思いながら、何が大事でどういう連携をすればよいのか漠然としていたので、少し整理できました。(林業従事A様)

 

・刺激的で、時間が短く感じた。林野庁や補助金の在り方についてもわかりやすく解説いただいた。補助金が事業者を弱くしているのではないか、補助金がなくなったらどうなるか、という話題を、帰ったら地域に投げかけたい。(行政職員B様)

 

・無益な縄張り争いや縦割りを防ぐためにも、民間や行政それぞれの役割を明確にすること、とくに行政の「顧客」が誰なのかを曖昧にしないことが必要と思いました。(コンサルタントC様)

 

・「理念なき利益は犯罪、利益なき理念は寝言」が印象に残りました。行政も民間も、理念と利益を両立させる施策、取り組みを考える必要があると感じました。(エネルギー関係D様)

 

 

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次回以降も、素敵なゲストをお迎えして「国産材ビジネスセミナー」をお贈りしていきます。

★次回予告★

2016年11月19日(土)14:00~18:00

「林業女子ガールズトーク!~女性目線をいかしたマーケティング&女性活躍のリアル~」

 

 

【基礎講座】
・共感力!マーケティング講座
~チラシ、WEB&SNSの書き方~
・林業人材の採用&育成のポイント
・林業女子のキャリアプラン~現場女子と総合職女子~・女性と向き合う経営者の心構え

 

 

【ゲスト講座】

㈱はぴきゃり 代表取締役 金澤 悦子 氏

「経営に女子力をいかすコツ~男女の目線の違いから~」

 

 

★詳細・お申込はこちら! https://chiikino.jp/blog/?p=6191

 

 

みなさまのご参加をお待ちしています!

 

Posted by wpmaster on 土曜日 9月 3, 2016 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 国産材ビジネスセミナー(東京)


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