梅雨の訪れを知らせるような強い雨が降った5月13日(日)、奈良県奈良市にあるぷろぼの福祉ビルにて開催された「奈良の明日の森を考える第6回学習会」の講師として弊社代表古川が登壇させていただきました。休日の足元の悪い中にもかかわらず40名の業界関係者をはじめ異業種の皆様にご参加いただきました。

 

 主催は、奈良県森林総合監理士会様と谷林業株式会社様。これまでの過去5回開催している学習会でも林業界で著名な方が登壇されている当会にお呼びいただき大変嬉しく思います。
今回は、「トータル林業の 理論と実践~全国の事例と共に~」と題し、全国の事例や近年のトレンド、統計から見る林業界の基本情報や木材の売り方について、ご紹介しました。

 

木を木だけで売ろうとしていませんか?

まず初めに、「国産材なんて何もしなければ売れない」という前提があります。
その上で皆さまは、木を木だけで売ろうとは考えていないでしょうか?

弊社としては木材の売り方についてポイントを5つでまとめており、今回はそのうちの2つ(補完財、ライフスタイル)をお伝えしました。

 

多くの方は木が欲しいのではなく、木を使った豊かな暮らしが欲しい、もしくは知りたいのです。

どういった時間を過ごしたいか、過ごせるかを想像させることが重要です。

例えば、木材をテーブルにしたときは間接照明や暖色の照明と合わせ、

夫婦でゆっくりとお酒を飲む空間を演出しても良いでしょう。

 

これからは、「金額シェア」ではない、「時間シェア」をどれだけ獲得できるかです。

その点では、林業のライバルはスマートフォンかもしれません。

どれだけスマートフォンの見ない時間を森林や木材から生み出すことが出来るかを考えるのです。

 

 

「ライフエリアバランス」の魅力を伝える

林業のライバルはスマートフォンと先述しましたが、

情報の入り口はやはりインターネット(スマートフォン)が多いのが事実です。

そこで、リアルとネットの掛け算が重要です。

 

そこで、生産者自身の暮らしを発信し、最終顧客に知ってもらい、共感や憧れを持っていただくことも1つの方法です。

インターネットが普及したことで一個人の発信力を高めることが可能となった現在は、

その一人の生き方に共感し、憧れを持つ人も少なくありません。

 

また現在は「ライフワークバランス」、つまりは仕事と日常の生活バランスを重視される傾向にありますが、

多くの人が起きている時間のほとんどを仕事に使う中では、「どこで」働くのかということが重要ではないでしょうか。

東京で毎日往復で2時間近くを満員電車に揺られ働く暮らしよりも、多少田舎でも近くに職場がある暮らしの方が良いという人も多くなっています。つまりは、「ライフエリアバランス」が重要であり、林業や木材業に携わる仕事をしている人が持つ「エリア」としての魅力を今以上に発信することで森林や木がある暮らしへの憧れる人も増え、林業、木材業に携わる仕事の誇りにつながるのです。

 

 

もし「エリア」の中で、一緒の志を持つ者がいればチームを作り、

オーナー、プレーヤー、スポンサー、ボランティアなど、様々な役割に誰があてはまるかを可視化し、

個から面へと広げ、素材生産業だけではない、トータルでの林業を行っていくことが重要です。

 

 

参加者の声

【素材生産業者:I様】

「ライフエリアバランス」という言葉が印象に残りました。普段は山にいることが多いですが、適度に非日常を作り出し、そこから日常に新鮮なアイデアを取り入れることを考えるきっかけになりました。また、山林での施業において、なんとなくの理念はあるが、それを実行することで明確にどのような利益を得られるのかは説明ができない状態です。悶々とした状態からなかなか前進していないので、一度会社の人間と「理念」を話し合う場を設けたいと思います。

 

【学校教員:K様】

異業種の参加者として今回、林業分野でどのような事業展開が可能かなどを考えるきっかけとなりました。具体的に各地の事業内容などを紹介していただきましたが、まだまだ成功者のご活動について深く聞きたいと思いました。

 

【設計:I様】

一次産業(林業、漁業、農業)の市場規模はとても印象に残りました。原木生産としては全国で2,000億円ほどという金額価値の少なさに驚きました。自身は、包摂力のある設計のあり方を探っており、設計自体を一般のユーザーが自分事化にできる状況を目指したいと考えています。そこから資源(山林)との繋がりが出来ればと思いました。

 

他にも多くの方に貴重なご意見をいただいておりますが、一部をご紹介させていただきました。

特に異業種の方にとっては、林業木材業に興味を持っていただくきっかけにもなったことと思います。

 

 

さいごに

​林業×マーケティング×リクルートに係るご相談・講演依頼等は、お問合せフォームからお受けしています。ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。
過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。
https://chiikino.jp/blog/?page_id=193

 

また、今回の講演については、奈良県森林総合監理士会様のFacebookでもご紹介されておりますので、是非以下URLからご覧ください。
https://www.facebook.com/NaraForestersAssociation/posts/1216539198483453

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 日曜日 5月 13, 2018 Under すべての記事, 講演&研修 報告

 

ついに平成31年度創設が決まった、森林環境税。今こそ、民間発・地域発での地域ビジョンを考え、交付税の使い方を自治体へ提案する機会ではないでしょうか?

 

①ルーラルデベロップメント創生塾(政策提言機能)

②カントリージェントルマン養成塾(タレント機能)

③コーチ&コンサルティング講師塾(ビジネス機能)

 

この3つの機能を携え新しく集まったチーム「地方創生・林業再生ビジネス協会 (通称:ウルフの経営)」。来たる5月東京都内にて、キックオフフォーラムを開催いたします。

 

日時:5月19日(金)13:00-18:00

会場:Basis Point Lab.〔新橋駅・汐留駅徒歩2分〕

(東京都港区東新橋 アソルティ東新橋10階)

参加費:1万円(税込)/人

懇親会5,000円/人(別会場 18時~20時)

定員:先着30名

 

内容や詳細は、こちらから↓↓

Facebookページ:https://www.facebook.com/events/186454365484445/

特設サイト:https://oimomi.wixsite.com/forest-wolf

ご案内チラシ(申込書):

https://chiikino.jp/data/180518_wolf.pdf

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 5月 1, 2018 Under すべての記事

 

山菜摘みと言えば、春の行楽の一つ。
そんな日の必須アイテムは、腰カゴ。
摘んだ山菜を入れるカゴも、山の名人手作りの逸品です。

可愛らしいタンポポも、この日は食材の一つになりました。

山遊び塾 ヨイヨイかわかみのホームページ

 

 

 

Posted by wpmaster on 日曜日 4月 29, 2018 Under すべての記事, ちいきのgraffiti~写真集~

 

奈良県川上村のダム湖に現れた虹。強風吹き荒れた後の風景でした。

龍がひょこっと顔を出しています。春の陽気が待ち遠しいですね。

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 4月 2, 2018 Under すべての記事, ちいきのgraffiti~写真集~

 

 

皆さんこんにちは。
この冬から活動に参加しております、インターン生の田畑です。
今回は、京都の市街地から北へ車で約30分進んだ場所にある3つの集落「北山三村」を訪れました。初めての北山訪問と地域のホームページ運営会議に参加した感想をお届けしてまいります。

 

京都の街から30分、こんなところに、ありました。

 

まず始めに、北山三村の地域についてご紹介します。
北山三村とは 、京都市北区の山間部にある中川、小野郷、雲ケ畑という三学区の総称です。三学区合せて人口800人あまりの地域は、古くから北山林業で知られ、また鴨川、清滝川の源流に位置します。人口減少や産業の縮小が進む中、この地域では平成24~25年度の2年間にわたって「北区北部山間地域まちづくりビジョン策定事業(京都市北区)」が行われました。各学区での座談会における議論、住民全員に対するアンケート、先進地の視察によって「北山三学区まちづくりビジョン」が策定され、三学区に「北山三村」の総称を名付け、ビジョンに沿って共同での情報発信を続けておられます。三学区共通のキャッチフレーズは、「京都の街から30分、こんなところに、ありました。」と掲げているように、京都市内の市街地から30分で行ける場所に、原風景と自然に根差した暮らしが残っていること。意外と京都市内の方々にも知られていないライフスタイルを地域の方々によるブログによって発信されています。

参考:
北区北部山間地域まちづくりビジョン策定事業(京都市北区)
http://www.city.kyoto.lg.jp/kita/page/0000163658.html
北山三学区まちづくりビジョン
http://www.city.kyoto.lg.jp/kita/cmsfiles/contents/0000163/163658/MATIDUKURIBIJYONN.pdf
北山三村ホームページ
http://kitayama3.jp/

 

私がインターン生として所属する古川ちいきの総合研究所では、平成24年から外部コンサルタントとしてビジョン策定に携わり、以後、ホームページの運営管理を中心に情報発信のサポートを継続しています。今回もこのような業務の一環でインターン生としてホームページ運営会議へ同席させていただきました。

 

 

 

 

 

会議の前に、まちあるきへ

 

今回の会議は、北山三村を構成する一つ「中川学区」で開催されました。よって、会議の前に集落を歩いて散策しました。中川は川端康成の小説「古都」の舞台にもなった、北山林業の里です。古くは仁和寺領、高雄山神護寺領を経て、磨き丸太や垂木(タルキ)生産を行う「北山林業」発祥の地として数百年の林業の歴史があると言われていて、地域のロゴマークは台杉をモチーフにしています。

小説「古都」を読んだり、古川ちいきの総研のプロジェクトの話を聞いたりしてきた私ですが、実際に産地を訪れたのは今回初めてでした。
国道162号線の途中を右へ曲がると、すらりと伸びた木が小さな帽子をかぶったような北山杉が立ち並ぶ集落の風景が広がっていました。
京都の市街地から30分とは思えない光景ですね。

 

 

 

次に目に飛び込んできたのは、こちらの倉庫群 。
北山杉の加工(磨き作業)、乾燥、保管の機能を持つ倉庫が集落の入り口に立ち並んでいて、「倉庫群」と呼ばれています。北山丸太の製造過程を網羅する機能を持った建築物は、近年、文化財としての評価も高く、地域のまちあるきツアーでは欠かせないスポット。倉庫群のある風景を守ろうと地域の方々が活動しておられるそうです。

 

 

 

 

続いて、まちあるきで訪れたのが、こちら。
みなさんはこのような木をご存知ですか?実は、樹種は杉ですが、人が意図的に仕立てたこのような形の杉は「台杉」と呼ばれています。
台杉とは、一つの株から何本もの細い丸太を効率的に収穫することを目的に編み出された形だそうです。
今では観光名所となっている、北山大台杉の樹齢は、なんと400年以上!江戸時代に編み出された栽培方法と教わり、技術の継承の時間の長さを感じ、感慨深くなりました。 実際に地域を訪れる中で、昔の方々の知恵に驚かされることが多々ありました。

 

 

こちらは集落の神社である中川八幡宮にある、北山杉の母樹です。樹齢は約600年と推定される大杉ですが、挿し木で広がった北山杉の母樹として今でも神社の境内で大切に祀られています。

 

 

そして北山三村ホームページの運営会議へ

 

続いて、今回の北山訪問の目的である、ホームページ運営会議の様子をお届けします。会議への参加レポートの前に、ホームページ自体についてご紹介します。

 

 

小野郷・中川・雲ケ畑。
ビジョン策定を通じて、この三学区からなる北山三村エリアの魅力を発信しようと、約5年前にオリジナルのホームページが立ち上げられました。
実際のホームページはこちら からご覧いただけます。

 

北山三村ホームページ
http://kitayama3.jp/

 

この日の会議では、まちづくり活動の中心メンバーであり、ホームページ運営に携わる関係者として自治会長、ブログを更新されている地域ブロガーの方々、京都市北区の方々、そして現地で暮らしや地域づくり活動をサポートする北区の各出張所長さんが一同に会しました。

 

ホームページ活用の話題の前に、最近のまちづくりに関わる情報交換を行いましたが、次々に前向きな意見や率直な思いも聞かれ、終始温かい雰囲気であったことが印象的でした。また、せっかく地域の方々で活用されているホームページを長く使い続けるために、セキュリティ対策を始めとするサイト自体の時流適応についても議論が交わされました。

 

北山三村が秘める可能性

 

会議に出席された方々の生の声を聞く中で、2つの切り口から新たな可能性を切り拓けることがわかりました。

 

①既存の資源の活用
②新規の価値の創造と発信

 

 

①の例としては、空き家・北山杉が挙げられます。
実際に産地を訪れ、風景と商品を見る中で、特に磨き丸太は、独特の光沢や手触りを武器に
まだまだ需要を伸ばせる余地を感じました。

他にも、田舎暮らしを好む若者や外国の方々に向けて、
暮らしの場を提供したり、北山杉そのものからクリスマスツリーを作ったりと
今までにない利用方法で価値を再発見できます。

 

 

②の例としては、喫茶店や商店など観光地の新設やイベントの開催が挙げられます。今回私が訪れた中川では、週末限定で麺屋さん「山の麺処」がオープンしています。この人気店は、まちづくりビジョン策定を皮切りに、地域の方々がまちづくり活動へ積極的に取り組み始めた頃、集落におばあちゃん家があるというお孫さんが古民家(おばあちゃんの家)を使って、兼ねてから魅力を感じていた地域へ足を運んでもらえる様にと、お店屋さんを開業されるに至ったそうです。

 

このように、最初から定住する方のみにアプローチするのではなく②新しい価値の創造や発信を通じて裾を広げて少しずつ地域外の方々との交流を深めていくことで、何度も地域へ通い、将来的には、移住や定住を考えるような地域のファンが少しずつ増えていくのだろうと実感いたしました。

 

実際に3/31(土)にはDongree Camp Market in 雲ケ畑 が大々的に開催される予定です。食・モノづくり・音楽・体験と幅広く楽しめそうです。

 

Dongree Camp Market in 雲ケ畑

https://www.dongree.work/blog/dongree-camp-market-in-yun-ketian-3-31-kai-cui-jue-ding

 

会議でも新しいアイディアを歓迎する発言が目立ち、今後の動きに期待が高まりました。「一番心配なのは、地域が忘れ去られてしまうこと」と話す、自治会長さんたち。「現在は地方創生の流れもあって地域への注目が集まる雰囲気であるが、この流行もいつまで続くかわからない。」と、一本の木を生産するのに30年は掛かる林業の地、北山ならではの数十年先を見据えた切実な思いが聞かれました。だからこそ、先ほど挙げさせていただいた2つのアプローチが重要な鍵を握るのだと私は考えます。これからも様々な地域を訪問し、自分の目で見てお話しさせていただく中で私なりにできることを探っていきたいです。まずは森林・林業について学ぶ大学の友人を北山三村の地域へ今度は私が案内することでしょうか。

 

 

これからもまた、地域の皆さんにお会いできると嬉しく思います。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

以上、インターン生田畑による報告でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 3月 16, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事

 

 

本日は島根県益田市にて、代表古川が講演を務めさせていただきました。今回は高津川流域林業活性化センター様、島根県西部農林振興センター様の主催により開催されました講演会にて「豊かな資源を活かし森ではたらく! ~人材確保に向けて~」とテーマを掲げて、お話させていただきました。数年前にも益田市にて、古川が講演にお招きいただく機会がありました。その後、「林業のライバルはパチンコ!?」のタイトルで古川がコラムを書いていますが、そのキッカケをいただいたのも、益田市の林業経営者からの一言でした。数年ぶりに益田市講演を務めさせていただきましたが、また経営者のAさんにお越しいただけたことを嬉しく思います。

 

林業界の担い手確保って??

 

「林業人材の担い手確保に向けた講演をお願いします。」

日本各地で講演を務めさせていただく弊社ですが、人材確保をテーマにした企画のご依頼は、販売促進を目的にする講演より多いといっても過言ではありません。

 

このような講演で私たちが最初にお伝えしたいことは、「“担い手の確保”と伝えている時点で、意欲ある人材は来ません!!」ということです。どんな視点で意欲ある人材と出会っていくか、ブログを通じて3つのポイントをお伝えしたいと思います。

 

①ライバルを定義する

人口減少時代を迎える日本。その中でも、過疎化の最先端を歩む島根県。まず大前提として、林業や一次産業の枠組みを超えて、中小企業は業種に関わらず人材獲得競争に晒されている状況と言えます。このような背景の下で、ライバルは隣の市町村の林業会社か、あるいは近くのパチンコ店か、東京に出た出身者なのか・・・。業種・市町村の枠組みを越えた人材獲得競争の中で、極端に言えば「人が足りないから、採用します。仕事があります、働きませんか?」といった姿勢では、この競争を勝ち抜けないことは明白です。来て欲しい人材とライバルを定義すること。そして、ライバルとなる他社、異業種にはない仕事と暮らしの面白さ、挑戦できるミッションが何か「強みの分析」を行うことが、共に働きたい同志を募るための第一歩ではないでしょうか。

 

 

②“3つの人”に伝えるメッセージをつくる

 

販売不振の課題解決のため、マーケティングの対象とは「顧客」の一択と思われている方へ。マーケティングには、「顧客」の他に「投資家」と「人材」の存在があります。3種類の方々へ共通して伝えられる企業理念はありますか?企業理念は言葉やデザイン、ツール(ホームページやチラシ、情報誌)を通じて、伝えたい相手へ届いていますか?そして、企業理念へ共感した方に対して、購入・投資・採用応募へ繋がる顧客導線を描けていますか?これらの視点から、改めて社是社訓と日々の業務、販促活動を見返していただければと思います。

 

③情報発信を継続する

 

前述の通り、人材獲得競争の時代です。WEB制作会社の方々からは、「最近のホームページ制作の依頼は、大半がリクルート(が目的)ですよ。」といった声をお聞きします。商品を売ることと同じくらい、欲しい人材の獲得のために時間とお金を掛ける異業種の中小企業がある中で、林業事業体は流れに乗れていますか?最近では低価格でホームページを作れるサービスや、無料で使えるSNSのように便利な手段が増えています。大金を掛けて大規模なホームページを作る前に、小さく初めて、継続する習慣をつけることが大切です。明日から出来ること、1年間で出来ること、計画的に予算を作って3年後にやりたいこと。期限と予算と共に、計画を立ててみてください。

 

 

さいごに

 

講演を聞いて下さった方々にとって「自分事化されたこと」は何でしょうか?記入用のワークシートをお配りしていますので、自社の経営へ落とし込んで、明日から出来ることへ「課題から行動へ」と分解していただければ幸いです。そして最後となりましたが、今回の講演にお越しいただいた方々、講演会を企画・準備して下さったスタッフの皆さまに心より御礼申し上げます。林業事業体のブランディングに携わる弊社ですが、「森ではたらく!」のような書籍、大学生への講義講演などを通じて、林業・木材業界・地域ビジネス全体の魅力を伝える媒介者としての役割も果たしていきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

また、林業×マーケティング×リクルートに係るご相談・講演依頼等は、お問合せフォームからお受けしています。ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。
過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。
https://chiikino.jp/blog/?page_id=193

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 3月 13, 2018 Under すべての記事, 講演&研修 報告

 

 

この日、激しい雪の中、向かったのは、吉野林業発祥の地としても有名な奈良県吉野郡川上村。雪で車がスリップしないかと不安になりながら、往路での一枚…

 

 

というわけで、皆さんどうもこんにちは!

愛媛大学2回生。現在大学を1年間休学し、日本を駆け巡りたいインターン生の谷口です。

 

今日川上村にお邪魔したのは他でもありません。

金剛寺で執り行われる「朝拝式」に参加するために来たのです!

以前、川上村にお邪魔した際に、村の方に「朝拝式を見においで!」と誘っていただき

そして来ちゃいました。

 

川上村で続く、「朝拝式(ちょうはいしき)」とは?【過去】

皆さん、朝拝式という行事をご存知でしょうか?簡単に説明すると、南朝崇拝のために、西暦1459年(長禄3年)から川上村の金剛寺で継承されてきた儀式です。日付は毎年、2月5日。なんと今年で561回目を迎えました。

南朝崇拝って何?と疑問に思われる方のために、さらに詳しく説明しますと…

 

~南北朝時代の始まり~

 

1.天皇が2人⁈
時代は約680年前、南北朝時代と呼ばれる時代に遡ります。
当時、室町幕府を開いたことでも有名な足利尊氏は、京都に攻め入り、後醍醐天皇を比叡山まで追いやると、後醍醐天皇の在位中にも関わらず、新しく光明天皇を立てました。そして、2人の天皇が存在する空前絶後の異常事態となり、武家政治をしたい足利側と天皇政治をしたい後醍醐天皇側の対立が始まりました。

 

 

2.そして朝廷が2つに
その後、光明天皇に正統性を持たせるため、尊氏は3種の神器を後醍醐天皇から奪おうと、京都に幽閉してしまいます。しかし、これを予期していた後醍醐天皇は、偽物の神器を渡した上で、秘かに奈良県の吉野へ脱出されました。ここに北朝(京都)と南朝(吉野)が誕生しました。

 

そして、その後約60年もの間、両者は戦い続けました。

 

 

 

~南北合一と裏切り~

 

1.北朝の裏切り
そして長い争いの後、1392年(明徳3年)足利義満によって「今後、南朝と北朝が交互に天皇を立てる」という約束が取り決められました。そうして南北合一がなされ、三種の神器は南朝から北朝へと移りました。しかし、足利側の目的は本物の三種の神器を手に入れることであり、神器の権威を得た北朝が約束を守ることはありませんでした。

 

 

2.川上村へ
その後、この扱いに納得しなかった南朝の後亀山天皇の子孫が北朝より3種の神器の1つ「神璽(しんじ)(八尺瓊(やさかにの)勾玉(まがたま))」を奪って川上村に入り、子孫の1人である尊義王に譲りました。そして尊義王が後南朝を立てると、その子どもである尊秀王(地元では自天王と呼ばれている)と忠義王が継ぐことに。

 

 

 

~南朝最後の悲劇~

 

しかし、次は赤松家の家臣がその神璽を奪い返しに尊秀王と忠義王の2つの御所を襲い、尊秀王の首級と神璽を持ち去ってしまいます。

その惨事を知った川上郷士たちは、逃走する赤松家の家臣を追跡した後に迎え討ち、首級と神璽を取り戻しました。その後、神璽はまた赤松家に奪われてしまいますが、川上郷士たちは、「尊秀王こそ我らが天皇」として彼を自天王と讃え、首級を金剛寺へ厚く葬りました。

 

 

~朝拝式の始まり~

 

三之公の河原にて行われた自天王の即位式の折、高座で見せた王のうれしそうな笑顔が忘れられず、この儀式を再現すれば亡き王の霊も喜ぶだろうということで郷士たちが吉野川の河原で始められたのが由来とされています。今年561回目を迎えた朝拝式には、このような物語がありました。

朝拝式が執り行われるここ金剛寺には、南朝最後の皇子「自天王」と「忠義王」が祭られています。

 

 

 

変わりゆく朝拝式の今【現在】

 

 

朝拝式では、村の男性たちが裃(かみしも)を身に纏い儀式を行います。

この裃姿がより一層、朝拝式の歴史の深さを想起させます。

 

 

そして特徴的なのが、国の重要文化財にも指定された自天王の遺品である兜や鎧への参拝のシーンです。

遺品に息がかからないように、榊の葉を口にくわえ、行われるのです。

 

 

 

 

 

 

沈黙が、緊張感を生み、式をより神聖なものにしていくと感じました。

このようにして、561年間続けられてきたと言われる朝拝式。
集まった人々を見渡してみるとざっと50人の方々が参加しておられました。
今でこそ村民、私のような村外の者と問わず、誰もがその場へ集まることのできる朝拝式ですが、元々は「筋目」と呼ばれる刺客を討った郷士の子孫のみが参加を許された行事でした。ソトモノはおろか、村人でさえ「筋目」の者でないと見ることが許されない儀式だったということです。
ところが、近年の過疎化や高齢化が加速する時代においてお、伝統儀式存続のために2007年より一般公開が始まりました。このような決断に至るまでには、10年以上の議論が重ねられたと言います。

 

 

~想いを繋ぐために~

 

ここで今回のタイトル【変わらないために、変わり続ける】に帰ってきます。

朝拝式には

① 変わらない「想い」

② 変わりゆく「繋ぎ方」

この2つを感じました。

 

 

 

 

①には

  • 自天王という先祖が大切にしてきた方への祈り
  • 歴史ある川上村民としての誇り

があるのではと感じたものがありました。

この先人たちから受け継がれてきた、変わらぬ「想い」には何年先も変わらぬ「価値」があり、人々の誇りとなるものではないかと、そう感じたのです。

 

 

しかし②です。

変わらぬ「想い」を取り巻く環境は変わっていきます。ここで、考えなければならないのは「何を変えたくないか」ではないでしょうか。

今回の朝拝式であれば、

 

変えたくないもの=想いを伝承することで変わらぬ価値を誇りに思うこと

 

ではないかと思います。

そうなれば、まず伝承することが必至です。以前のように筋目の方たちだけじゃ、いずれ途絶えてしまう。じゃあ、もっと広く伝えるようにしよう。

そうして、時代に合った「繋ぎ方」に変える。

 

 

つまり、「変わらないために、変わり続ける」と感じたわけです。

 

 

 

これからの朝拝式のカタチ【未来】

 

朝拝式が今後どのように今の社会に浸透していくのかが気になるところではありますが、先ほどの

「変わらないものを残していくために、やり方を変えていく」

というのは、今の私に必要な教訓なのではないかと感じました。

 

私に当てはめて考えてみると…

 

  • 変えたくないもの=冒険心、探求心
  • そのために変えていくもの=視点、思考、居場所

 

なのかもしれません。

朝拝式を見に行ったはずが、自分のあり方を見つめ直す体験になりました。

 

さて、みなさんは「何かを変えないために、何かを変える」

こんな経験はありませんか?

是非私に、現地まで聞きに行くかせてください!

 

 

それにしても、やっぱり現地に赴いて肌で感じるっていいですね!

寒さもとことん感じてきましたが…

ということで今回は、川上村の朝拝式にお邪魔した体験をご紹介しました。

次は一体どこに出没するか是非お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 3月 7, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事

 

 

はじめまして。インターン生の田畑です。
初めてインターン生奮闘記を書かせていただくため、
まず簡単にインターン生になった経緯をご説明いたします。
自然が好きで森林について学ぶことにした私は、ビジネスと掛け合わせた 独自のアプローチを探っておりました。
そんなとき、図書館で偶然手に取った1冊。
「森ではたらく!27人の27の仕事」をきっかけに、古川ちいきの総合研究所の存在を知りました。
思いきってインターネット上の応募フォームより問い合わせたところ、ありがたいことにこの冬からインターン生として受け入れていただけることになったのです。
またみなさんの元にも出没するかもしれません。
今後ともよろしくお願いいたします。

 

はじめての川上村へ

それではインターン生奮闘記の本題へ!
今回は代表古川さんの原体験の舞台、川上村にはじめて足を踏み入れた一日を報告させていただきます。奈良県桜井駅から自動車で山道を行くこと約40分。ついに川上村にやってまいりました!遠い存在のような印象であった吉野林業ゆかりの地は、実際に足を運ぶと予想以上に近く感じられました。

 

 

初めてこの村のことを本で知ってから約半年。
当時、実際に訪れることになるとは少しも思っておりませんでした。
どこまでも青い空と連なる山々に迎えられ、不思議な心持ちでした。
そして、ご縁と社員の皆さんに感謝の念が込みあげてくるのでした。

 

今回の訪問では、「人との出会い」がテーマとなりました。

川上村で最初に出会ったのがこの方。

 

 

 

土倉翁こと、土倉庄三郎は吉野地域で継承されてきた独自の造林法について記した書籍「吉野林業全書」の編纂を支援し、吉野林業の体系化に 貢献しました。そして自らの財産を3等分し、国、教育、事業の為に1/3ずつ、私財を世の中へ還元するポリシーを持って、明治期の日本を支えた人物の一人としても知られています。

 

 

その功績をたたえ、岩壁には日本最初の林学博士・本多静六の呼びかけで彼の名前が刻まれています。ちょうど陽の光が降り注ぎ、なんとも神々しい風景ですね。

 

 

地域おこし協力隊活動報告会に潜入

 

 

いよいよこの日のメインテーマとなる、講演会場に入ります。
川上村長をはじめ、来賓の方々のあいさつの後、基調講演が行われました。
「交流がつくる未来」をテーマに、熱く語ってくださった早稲田大学名誉教授・宮口侗廸先生。異なる系統の者同士の付き合いによって、違う発想や知識に刺激され人は成長するといったメッセージが特に印象に残りました。そのうえで、川上村の交流に対する姿勢を高く評価されていました。地域おこし協力隊の方々がいい意味で村の方への刺激となり、新しい文化がまさに生まれようとしているのだと思います。

 

 

休憩時間には隊員の皆さんに関する展示品を見学することができました。
たとえば、こちらは独自の木工技術で作られた驚きの座椅子!

 

 

興味深く見ていると、村民の方が優しく声をかけてくださいました。
ここでも、村に快く迎え入れてくださる温かさに触れられました。

 

その後、地域おこし協力隊の8名の方々から活動内容や今後の展望について報告をお受けしました。
活動内容は想像以上に多岐にわたっていました。吉野杉をはじめとした木材の利用にとどまらず、森全体の自然を楽しめるエコツアー、地域で栽培された野菜、さらには水源地を生かした養魚場や文化・歴史に着眼した翻訳作家、村での暮らしそのものを体験できる民宿などです。地域おこし協力隊と聞いて、木材の加工や販売しか連想していなかった私の視野が一気に広がりました。

 

どの活動も協力隊の方々の個性が加わり非常に魅力的で、夢中になって聞いておりました。

 

 

最後の座談会では、それぞれの方からみた川上村の人々が主なテーマとなりました。今年で三回目(3年目)となる地域おこし協力隊の活動報告会。この報告会に参加し、取り組みが村で浸透し、広く受け入れられていることを実感しました。

 

わずか一日の訪問でしたが、滲み出る村の温かさに魅せられ、また訪れてみたくなりました。
次回は森に入り、木を間近にできるインターン活動に参加させていただきたいです。
川上村の魅力を肌で実感するときを楽しみにしております。

 

最後までお読みくださりありがとうございました!
以上、インターン生田畑による活動報告でした。

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 3月 6, 2018 Under — インターン生奮闘記, pick up, すべての記事