「この山で一番自由な奴が林業王だ!!」

 

こ、このキャッチフレーズは・・・??
有名な漫画のセリフが林業版にアレンジされています。
このようなユニークなオリジナルポスターを作って、現在も求人募集を継続中の株式会社山共

現在、14名の社員が働いておられます。(うち2名はアルバイト期間中)
さらに、林業部門を運営する山共フォレストには5名が所属。
株式会社山共と株式会社山共フォレストを合わせて、19名の社員が所属し、
平均年齢38歳と、若いパワーが活躍される企業様です。

 

今回の産地巡礼では、田口社長による講演コーナーを通じて、
人材募集とキャリア育成について、教えていただきました。

 

 

変えていないのは、「木を扱う仕事」ということ。

現在、代表取締役を務める田口房国さんが
地元・東白川村に戻り、家業に入ったのは、
東京での大学生生活を終えた1999年でした。

 

現在、「山共=東濃スギ」と国産材を主に販売する山共ですが、
1999年当時の主力製品は、構造用ベイマツ。
近隣では、「ベイマツの山共」と呼ばれる会社でした。

 

家業経営者が集まる場で、
度々話題に出されるのが、先代からの守破離。
父親世代の経営から、守るところ、変えるべきところは何か、
今回の産地巡礼においても、同じような質問が交わされました。

 

そこで田口社長からの回答は、
「(経営では)変えられるところは、全て変えて来た!」
と。ただし、唯一変えていないところは何かと、改めてお聞きすると、

「木材を取扱って事業すること。
それだけが、先代の頃から、変えていない。」というものでした。

その答えの中には、
品質・納期・価格や人事考課制度の見える化、
経営方針そのものの転換など、変革を重ねてこられた田口社長のキャリアがうかがえます。

 

 

2011年~ 会社の旗を掲げる「理念」づくり

 

 

山共には、理念に共感し「この会社に入りたい」と
熱意を持った優秀な社員の方々が集まっていますが、
いずれも、ファーストコンタクトは会社のホームページから。

きっかけは対顧客のために刷新されたホームページですが、
そのターゲットはお客様に限りません。

 

 

マーケティングには、
・お客様
・投資家
・優秀な人材
と「3つの顧客」がいると言われますが、
ホームページに掲載されている企業理念や代表の想いが共感を得て、
その人柄と社風の下に、村内に限らず、地域外からも人材が集まっています。

 

例えば、人口約2000人の東白川村で、山共が20人雇用の企業とすれば、
村民のうち100人に一人は、山共の社員という計算になります。
つまり、企業の発展 ≒ 地域の発展。

単に事業の継続のみならず、地域雇用の中核を担う中小企業こそ、
「この地域で暮らしながら働きたい。」と理念の旗を掲げる必要性と
その影響力を感じるエピソードでした。

 

 

2017年~ 人材評価制度の体系化

 

今回、産地巡礼での視察の機会にご紹介いただいたのは、
最近、体系化されたばかりという、人材評価制度について。

田口社長が行ったのは、
・評価項目を社内公開すること
・定期的な個別面談を行うこと
・社員の給与を底上げすること   の3つでした。

 

賞与ではなく、給与の底上げを図った理由を聞くと、
「近年の経営状況をみると、ここで底上げできると判断したため。」

 

「会社として次のフェーズに進むために、
社員一人一人へ求めるレベルを上げたいと思っている。
そのためにはまず、会社として給料を上げることで、経営者の姿勢を示したかった。」
という2つの理由をお聞かせいただきました。

 

 

吉野林業全書を監修し、全国各地に植林指導、
林業普及を行った林業家の土倉庄三郎(1840年~1917年)は、
「利益は3等分し、国、教育、事業の為に1/3ずつ還元する」
といったポリシーを残しています。

彼のお金の使い方によって守られたものは、森林資源に留まらず、
近代日本の教育など、無形資産としても継承されています。

 

たまには皆でカレーを食べたり、子供を皆で見守ったり、
「家業」時代から培われた人間関係の風土を残しつつ、
「企業」としての成長を遂げる理由は、人材の評価制度と共に、
その根底を支える“会社のお金の使い方”にも秘訣があるのではないでしょうか。

 

 

田口社長の経営者マインドとは?

 

 

大学卒業後、すぐに家業へ戻り、
代替わりを機に、都市圏への新たな販路を次々に獲得し、
地域雇用を支えるトップランナーの一人として走り続けると共に、
地歌舞伎や消防団など、地域で暮らす一員としての役割も果たす、田口社長。

 

常に経営への変化を取り入れておられ、
林業木材業界では稀有な存在として語られる場面もあります。
しかしながらご本人に対して、経営者のマインドを尋ねると、
「自分にできることは、誰にでもできると思っています。」といった
意外な回答が返ってきました。

 

 

同時に、
「フロンティアとして、常に新しきを切り拓く役割に責任を持っている。
だからこそ、作った道に続く部分に関しては、信頼する社員に任せられるし、
それが、社員が働くやりがいになってくれると嬉しい。」

 

 

「景気が悪い、外材が悪いと文句ばかり言う人が多すぎる点に憤りを抱き続けていた。
その憤りを否定せず突き通すためには、全て自己責任でやっていくこと。
頼まれごとは、試されごとと思って、
“ここで躊躇って満足だろうか?”と自問自答しながら、
頼まれた立場を引き受けるようにしています。」
と、その心境をお聞かせいただきました。

 

 

また、田口社長はこのような視察を受け入れ、人前で講演を務めることに対し、
「人から見られている意識を持つことで、
常に変化・成長する覚悟を持てている。」と話して下さいます。

 

これまで10つの産地を訪れてきた、産地巡礼(旧 現地研修会)。
その地域ごとに、田口社長のような、
中小企業と地域の発展を担うキーパーソンに出会いながら、
学びをいただき、続けてくることが出来ました。

 

一つの節目となる開催10回目を経て、
弊社としても、その学びを体系化して、新たなサービスとして、
地域で事業を展開する経営者の方々と共に、地域の価値創造を図って参ります。

まずは、今回視察を受け入れて下さった先々の皆さまと共に、
参加者の方々にも、心より御礼申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 木曜日 12月 28, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

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