2024年11月30日(土)、青森県深浦町主催(後援/深浦町林業振興推進会議、つがる森林組合、㈱グリーンパワーインベストメント)の「令和6年度 深浦町森林講演会 森の力~未来の森と木が香る暮らし」にて、弊社高田が講師として登壇しました。

当日は、「林業の役割と可能性について~林業には、ロマンがある~」をテーマに、

普段は森林や林業と接点があまりない方を中心とした約40名の方にお話をさせていただきました。

 

 

 

「ロマン」に繋がる2つの価値観

「好き」と「憤り」

弊社の講演や研修にご参加いただいた方にはお馴染みになっているかもしれませんが、導入には必ず「情熱方程式」(好き×憤り=情熱)をお伝えしています。今回は、講演開催地の青森(津軽地方)出身である高田が、出生から現在森林・林業・地方に関わる仕事に関わるまでの原体験を元に、「好き」×「憤り」のお話をさせていただきました。

 

自然・野生動物が好きだった青森時代、大学進学で森林・林業に出会い学ぶ中で発生した憤りという原体験(一次情報)をお伝えしたからこそ、当日参加いただいた方には、ご自身が持っている情熱についても考えるきっかけになったかと思います。また、この人(もしくはこの地域・会社等)には「ロマン」があるなと感じる方には「好き」(長期的動機)と「憤り」(短期的動機)から湧き出る情熱が隠れているという事に気が付いていただけた方もいたのではないでしょうか。

 

 

「理念」と「利益」

続いて「理念」と「利益」についてお話しました。具体的に日本の戦前戦後~現在までの森林・林業の理念と利益のバランス感をお伝えした上で、理念だけでも、利益だけでも「ロマン」は成り立たず、バランス(両立)が大事という事をお伝えしました。

価値観について、今回はお時間の都合上2つに絞らせていただきましたが、本来もっとたくさんの要素が絡んでいますので、これはまたご機会があれば、ご紹介をさせていただければと思います。

 

 

「森のミカタ」

森の役割と市場の話

今回はなるべく森林・林業をかみ砕いて、身近に感じてもらうため、森の見方について、いくつかの視点をお伝えさせていただきました。その1つが森林の役割と市場規模のお話です。世界の森林は減少する中で日本は豊富な森林資源を有していることをお伝えし、「森林の有する多面的機能」の紹介をしました。特に水源涵養機能によって安定的に生活に使える水が使えること、さらには林業よりも身近である食に関わる農業や漁業にとっても川を伝って水や養分が供給されることを知っていただき、農・林・漁業が繋がっていることや皆さんの生活にとってかけがえのない存在であることをお伝えしました。

その上で、分かりやすい指標として「お金」つまりは市場規模のお話をしました。農林漁業の中で圧倒的に市場規模が小さい林業ですが、多面的機能を考慮した貨幣価値は大きいことを中心に、一次産業全体の規模感の見方(視点)をお伝えしました。

 

 

森は遠目&近寄って見る

続いて、一見同じように見える森も実際に多様であることを知っていただくために、2つの視点で森林を見てみましょう、というお話をしました。まずは「遠目」で見ること。山の稜線を見るだけで、なじみある方はどの山か判断をできるという事例をお伝えしました。青森県(津軽地方)にお住まいの方は岩木山が文化的にも景色的にもなじみ深く、日常となっていますので参加者の皆様は、特に納得いただけたかと思います。そして、山肌を良く見ると構成される樹種が地域によって異なり森の装いが変わるという事をお伝えしました。今回は岩手県岩泉町の広葉樹が豊富な森林、奈良県川上村の立派なスギヒノキが育った森を事例に挙げました。同じ事例で、続いて「近寄って見る」ことで分かること、普段の生活に使われる「木」まで見るとさらに文化的な視点まで見えてくるという事を知っていただけたのではないでしょうか。特に奈良県川上村を中心とした吉野林業が成す圧巻の200年生の森林やそこから生まれる製品を紹介した際には「おぉ!」(という声までは出ませんでしたが、参加者の表情)という反応が印象的でした。自分が生きる人生より長い時間をかけて成り立つ林業のロマンの一端を感じていただけた瞬間に立ち会えて、嬉しい限りでした。

 

 

ロマンあふれる事例紹介

3つの事例紹介

後半には、全国のロマンあふれる事例を紹介させていただきました。詳細の紹介は省略させていただきますが、弊社が関わる事業者や地域として①長野県松本市の林業会社と団体、②高知県本山町の森林・林業ビジョン、③弊社拠点「峠」と内装に使用している製品や繋がっている地域についてご紹介させていただきました。

いずれにも共通しているのが「ビジョン」を持って理念に共感する仲間と一緒に、成し遂げたい未来に向けて前に進んでいるという事です。冒頭の2つの価値観にも繋がりますが、林業の可能性を広げるために多くの場合でたりないのが「ビジョン」です。「林業の課題は?課題解決のためにしないといけないことは?」という前に、“どう在りたいか”というビジョンが大事であることをお伝えしました。

 

 

最後に

今回は、高田の講演の後、もう御一方、Garimpeiro de Aromasの團 涼子様のご講演もありました。アロマオイルの効果や木の香りを通した森林の可能性についても知るきっかけにもなり、深浦町のオリジナルブレンドのオイルを使ったワークショップで実際に香りについて触れることができたことも大変印象深く勉強になりました。

 

また、ご参加いただいた方からアンケート回答をいただきましたので、一部ご紹介させていただきます。

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・「ロマン」「ビジョン」のキーワードが印象に残りました!

・海と川とのつながり。なんでもOK。大変勉強になりました。ありがとうございました。

・幅広い年代の方が参加されていて林業ビジョンの共有、深化につながる良い講演会でした。普段課題探し、解決に集中しがちですが、ビジョンが重要との高田さんのお話にハッとさせられました。

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今回の1番のキーメッセージとして林業にはロマンがある、ロマンには「ビジョン」が大事であることをお伝えしましたが、実際に今年の3月には深浦町では「深浦町林業振興ビジョン」を策定され、一歩ずつ実行に移されている最中ということを、深浦町のご担当者からお聞きしました。今回は、そのスタートの一端に、「トータル林業」の一員として関われたことに大変嬉しく思います。

貴重な機会をいただきました深浦町様、そしてこの講演会に際して弊社のことを見つけていただき講演依頼をいただきました㈱グリーンパワーインベスト様、そして当日ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 12月 9, 2024 Under 未分類

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