プレミアム産地と出会い、知り、学ぶ旅。今秋(平成29年9月17日~19日)の産地巡礼~経営実践研究会 特別篇~は、岐阜県東白川村を舞台に開催します。訪れる企業は、東白川村で林業・製材業を営み、Clubプレミアム国産材のメンバーでもある株式会社山共。そして、地域の風景や文化・食を味わうツアーとしても人気の「産地巡礼」は今年で10回目を迎えましたが、やはり最たる醍醐味は、経営者の哲学に触れ、現場を見て、参加者と共に語らうことで、自社の事業へのヒントを得られるところにあります。
東白川村から、首都圏のみならず海外まで販路開拓を目指す株式会社山共ですが、代表・田口房国さんと弊社代表・古川の出会いは、当時2人が34歳、今から約6年前のことでした。古川が日本木材青壮年団体連合会の全国研修の講師をしていた時に出会い、あらゆるご縁があって今に至ります。今回のコラムでは、古川の日記を遡り、山共・田口代表が、古川と共に歩んできた戦略策定プロジェクト中のエピソードをお届けします。それは、田口社長が代表取締役に就任し3年目を過ぎた出来事でした。
経営者の責任。~コンサルなんていらねぇ!とドヤされて~。
2011年1月22日 古川の日記より編集
それは、まさに「青天の霹靂」でした。田口社長が工場で作業をしている時、私は山共の事務所でブランディングに向けた仕事でデスクワークを進めていました。その時突然、田口社長のオジイ様が私のところに来て、間髪いれずにこう仰いました。
「おい、アンタは何しに来てるんだ!」
あまりに突然で驚きましたが、それは、意思のある強いお言葉でした。その「おじい」様は、前々社長です。当時は経営権の全てを子へ、そして孫へと譲っていたオジイ様が、全身全霊で私に言葉をぶつけて来られました。「東京から来ているんだか知らんがね。こんなもん(パソコン)何が役に立つっていうんだ!」私は、誠心誠意お答えせねばならぬと思って耳を傾けていましたが、私が話せる隙はまったくありませんでした。その時、事務をされている田口社長の妹さんがすぐに工場に居る田口社長を呼び出してくれていました。そして社長が事務所に戻ってきました。当時34歳、社長になって4年目。89歳の先々代社長は、私への話を止めて、彼(田口社長)の方に向かって行きました。
先々代:「おい、このコンサルっていうのは、何なんだ。」
田口社長:「どうしたんだよ、オジイ、突然!?」
先々代:「コンサルなんてな、てめぇで騙して、自分のお金を取るもんだぞ!そんなもんいらないだろうが!」
田口社長:「なに言ってんの?」
先々代:「おまえの、自分の手前の発想で自分の智恵で考えてやれよ。自分の六感でやれよ。独りでやれ!」
田口社長:「第六感とか、何を言ってるんだよ。オジイは確かにそうやってきたかもしれん。それはそれでいいんだけど今は違う!」
先々代:「俺は古いかもしれんけどな!封建的かもしれんけど、俺の方が革新的だ!!」
田口社長:「いや、そうかもしれんけど、いまは時代が違うんだ。独りでやっていったって限界がある。いろいろな人に協力してもらうんだよ。おじいだって一人だけでやってきたわけじゃないでしょ?じゃぁ、このいまの時代、誰を見習えばいいの?トヨタ自動車は、全部、独りでやったのか?本田宗一郎はどうだったんだ?周りに優秀な人がいたんだ。オジイの発想は、オジイの発想で良いけど、俺の発想は、こういう古川くんみたいな人が必要だと思っているんだ。」
先々代:「何いってんだ、俺は今年の年始、遺言を書いたじゃないか!」
田口社長:「見たさ!会社を潰さないで欲しいという遺言だったよね。コンサルを使うなという遺言じゃなかったよね。」
先々代:「・・・」
田口社長:「俺は俺のやり方で経営をやれば責任を持つ。もちろん、俺は会社を潰さない。それが、俺のやり方ではないやり方でやれと言うなら、責任は持てない。こうやれ!あぁやれ!と指示されてやれというなら、責任持てない。俺に任せてもらえれば会社は潰さない!」
先々代:「違う、人に頼って会社を潰すのはいかん!と言っているのだ。」
田口社長:「それを決めるのは俺だろ?今はね、この村の中で、コツコツ台車を挽いて儲けられるだけの時代じゃない。甘い世の中じゃないんだよ。だから彼に智恵を借りるんじゃないか。彼は悪い人じゃないと思って、俺は信頼してるんだ。」
オジイさんが黙り始め、また田口社長は続けました。
田口社長:「俺はね、こういう事を話すのは大嫌いなんだ。オジイはそれで良いよね、俺に押し付ける必要はないでしょ?」
先々代:「でもな・・・そういうもんに頼らないようにやってもらいたい。」
田口社長:「だったら、盲目になって、我らが万歳~~!!!と言って、潰れてくのがいいんか?」
先々代:「・・・」
房国社長:「俺は、信じていくんだ。」
先々代:「よし!わかった!じゃぁ、任せる。ただな!数字だ。来年の今どうなっているかだ。3年してでも、数字が変わっていなかったら、おまえはクビじゃぞ。クビ!」
先々代は、ようやく私の方を向いてこう話しました。
先々代:「いや~、東京からきたアンタ。気分悪くしたかもしれんけど、あくまで、俺の話というだけだからな・・・。」
そして、その後一言もしゃべらず、山の施業のためにとチェーンソーを持って、事務所を出て行ったのです。当時89歳。頭脳明晰、言葉明瞭であり、背筋もピっとしていて健康万全です。その後、事務所にいた田口社長のお母さま、妹さん、そして田口社長の3人に謝られました。
「古川さん、ご気分を悪くされ、申し訳ありません・・・」
「いえ、こういう事よくありますから大丈夫ですよ。それよりも・・・」
「それよりも?」
「いえ、感謝しています。言い方が失礼ですが、感動すらしています。こんな素晴らしい祖父であり、先代(祖父)がいる。素晴らしいし、羨ましくもあります。そして言い合える関係も素敵です。」
その時、事務員である妹さんが言いました。
「だいたいね~、兄(田口社長)も、最初にもっとオジイに相談してあげたらよかったのに。」
すると田口社長は、こう答えました。
「いや、オジイには分からんことは分からんよ。今までだって似たようなことがあった。新しい製材機や加工機を入れた時もそうだし。ソフトのことなんて言っても全然ダメさ。だけど、結果出してみるからさ。結果出せば、言われないし。だったらクビだぁ!ってオジイは言っていたけど、社長やる人もいないし(苦笑)。俺はこの山共の船長だから。船が沈まぬようにやってくし、絶対に沈ませないよ。いや、帆を高くして、世界に出るんだから。」
この時、改めて凄いビジネスパートナーに出逢ったことを実感しました。オジイ様も若社長も正しい。そして私も今まで以上に結果にこだわることに緊張感をいただいた有難い経験でした。しかしです。その3か月後に、オジイ様は亡くなったのです。たまたま私は東白川村にいて、最期のお顔をみることができました。常に、この日の出来事が思い出されます。「まだ結果を見せることが出来なかったけれど、がんばろうね。」と田口社長と言い合ったことを思い出します。
2011.09.29 山共の工場前にて社員と共に。
どこの業界に行っても、どの産地でも抱えている、社長と会長などの事業継承や経営の決定権問題があります。特に家業の場合は、親子や祖父と孫という家族関係ゆえに、右か左、当代の意見のみでキッパリと決めにくい難しさがあるかと存じます。しかし、田口社長のように、一歩先を歩む30-40代の経営者たちは、それを乗り越えて、新しい販路と社内の体制を作っておられる点が共通しています。
冒頭で述べた通り、産地巡礼(経営実践研究会特別篇)の醍醐味とは、「経営者の哲学に触れ、現場を見て、参加者と共に語らうことで、自社の事業へのヒントを得る」といった学びの機会です。「色々と決断までに躊躇っていましたが、あの工場を見て、ウチ(自社)でも早く、このレベルまで行かないと、と決断できました!」参加者である経営者たちは、そう言ってそれぞれの産地へ帰られます。この初秋は、地歌舞伎鑑賞を併せて、地域づくり×会社づくり=「地域経営」をテーマにした産地巡礼として、東白川村を訪れてみませんか?田口社長に会いに行きたい!自分も、次世代の経営を司っていこう!そんな経営者や、経営者の右腕を目ざしたい経営幹部の方々のご参加をお待ちしています。
※大阪経営実践研究会 非会員の方もご参加お待ちしています。
チラシダウンロードは、画像をクリック↓↓
【見どころ1】樹齢千年の木曽ヒノキに会える!神宮備林見学
こちらの内容では、中津川市加子母村へ移動します。東白川村の隣の中津川市になりますが、伊勢神宮の式年遷宮にて納るためのヒノキ備林を現地専門ガイドにご案内いただきます。次回の式年遷宮を前に伐採を控えているため、この時期を逃すとチャンスがありません。神事ならではの特殊な伐採方法が継承されている場所ですが、まさに今年、これから伐採予定のお話が聞ける貴重な機会です!
【見どころ2】特別講座 経営セミナー&ディスカッション交流
大阪で隔月開催する「経営実践研究会」の特別編として、経営セミナーを開催します。田口社長を始め、Clubプレミアム国産材の経営者が集まる参加型ディスカッションも必見!下記のテーマを中心としたセミナーをお届けします。
★ Clubプレミアム経営者による特別講座(講師:株式会社山共 代表取締役 田口房国社長)
1)5期連続業績向上のヒケツ
2)首都圏への納材、香港等の海外展開について
3)森林組合と連携、新たな人材育成、副社長制度の取
4)clubプレミアム国産材、プレミアムとは何か
5)先代からの家業の継承と発展、その後の経営のウラ
6)東白川村の村づくりと自社経営
★ 株式会社古川ちいきの総合研究所 代表取締役 古川大輔 講
1)東京オリンピック後こそが勝負、地域ブランディン
2)財務と物流で、差別化すべく3つの経営ポイント
3)林業、製材業も人材募集や人材育成は戦略人事の時
★ 参加者ディスカッション&交流会
1)既存の研究会メンバーとビジョン&課
2)異業種の参加者にも内容をシェア⇒ディスカッション
3)最後に古川が「本日のまとめ」と題して、皆さまの経営へのメッセージを要約
+α:夕方からは、美味しい夕食と懇親会♪
【見どころ3】株式会社山共の製材工場見学
山林
【見どころ4】バイオマス発電所見学
東白川村の隣町、白川町へ移動し、東濃ひのき製品流通協同組合が運営するバイオマス発電所を見学します。ちなみに同組合は、株式会社山共の田口代表が現在、代表理事を務める団体でもあります。バイオマス発電事業のみならず、同組合で製造している小径木丸太や、杉の梁桁材の集荷の仕組みや加工の流れも見学させていただきます。
【見どころ5】懇親会&セミナー・ディスカッション
持つべきものは、「近くの異業種、遠くの同業種!」。全国から集まる遠くの同志と懇親会やディスカッションでじっくり語らう時間を設けています。地元や異業種の間では言いにくい経営の悩みも、この機会に経営者同士で相談、投げ掛けてみてください。
日付 | H29年11月17日(金)~18日(土) |
場所 | 岐阜県東白川村~中津川市加子母村 |
定員 | 先着15名 |
参加費 | 30,000円(税抜)【会員は無料】 ※交通費、宿泊費、懇親会費、昼食代は別途。 ※宿泊手配は、事務局が代行いたします。 |
キャンセル料 | 宿泊、交通などの手配により、開催日から逆算し 下記の通りキャンセル料が発生しますので、ご注意ください。 ・7日前まで(10日):宿泊費の20% ・6日前~3日前(11日~14日):宿泊費の20%+交通費 ・2日前~(15日~):宿泊費の30%+交通費+受講費 ・当日(17日):全額 |
お申込方法 | メール: info@chiikino.jp
お電話:06-7878-6376 FAX :06-7878-6326 |
お申込内容 | ①お名前 ②ご所属 ③業種(林業、製材業、木材流通業、建築業、その他) ④メールアドレス ⑤お電話番号 ⑥交通手段(自家用車・電車やバス) ※上記をメールまたはお電話、FAXでお伝えください。 |
締切り | 2017年11月8日(水)まで ※定員に達し次第募集を締め切ります。 |
下記のお問い合わせフォームから、『お申込内容』をご記入の上、お申込みください。