8月27日は広島県北広島町にて、
「中国山地(北広島町)の木をプレミアム化するマーケティング講座&ワークショップ」の
ファシリテーターを務めさせていただきました。

広島県木造住宅生産体制強化推進協議会事業の一環で開催される当講座は
全3回のプログラムで構成されており、今回は第2回講座となりました。

 

 

会場は、森のレストラン・ウェディング「farm NORA」にて。
島根県との県境近くの山里に佇むお店ですが、造船の設計を専門とするオーナーの自作で建てられた建物で、
木材、木皮から船に使われた窓まで、様々な素材を使われており、レストランの傍らにはピザ窯を併設。
温かみのある空間が広がっておりました。

 

 

なんと、敷地内にはオーナーの松本氏が自作された簡易製材機まで!
自動車のタイヤに刃を巻き付け、農機具のエンジンで回し、機械を押して製材していきます。

見事に丸太が板へと料理された瞬間には、思わず見学者一同から、感嘆の声が上がりました。

 

 

さて、farmNORAの施設見学を終えて、施設内の会場で講演へ。

今回の講座テーマは、「木材が選ばれる理由を定義しトータル林業について考える」と掲げて、
建築設計士、大工の方々を中心に約20名の参加者様にお集まりいただきました。

★第1回の様子は、こちらのブログをご覧ください↓↓
https://chiikino.jp/blog/?p=5858

 

今回の講座は、このようなメニューでお話しさせていただきました。

■講演のMENU
・木材、地域産材が選ばれる理由
・木材業界差別化の7要素~品質はタネから~
・3C視点で北広島町の林業木材業を差別化しよう
・他地域事例紹介
・トータル林業のススメ~規格と企画~
・コンセプト、コンテンツ、コンダクターをつくろう

 

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■3C視点で地域産材を差別化しよう

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マーケティング戦略を考え際の手法として、「3C分析」といったフレーム分析が使われます。

・Company(自社)
・Competitor(競合)
・Consumer(消費者)
と3つの「C」の切り口について扱うことから「3C」と名付けられています。

 

自社のブランド戦略を考えるにあたり、
“自社が持っていて、他者にはない、顧客が求めている要素”を探り、進展させるために行うフレーム分析です。

 

例えば地域産材の良さをPRする際に、「他社=他の地域産材」と比較すると、
「木目の手触りが温かい、自然素材だから落ち着く」といった営業ポイントのみでは、地域産材を差別化できないということが分かります。

他の地域にはない、北広島地域産材ならではの特徴であり、顧客に求められる強みとは何か?
地場産材のプレミアム化に向けて、まずは3C分析の視点をお伝えいたしました。

 

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■素材品質の特徴を伝える~品質は、タネから~

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とある養豚業を営む経営者は、自社から出荷する素材について、
5つの切り口に分けて紹介します。
そして、その切り口の一つが「品種(DNA)」。

厳選して育てる品種の特徴を示し、素材品質が良いと言える根拠を徹底的に説明できるのです。
他にも、育て方や風土、エサの違い等について掘り下げることで、5つの切り口から”素材品質が良い理由”をPRされています。

木材を料理して、建物空間の制作に携わる受講者の皆さまですが、
改めて、木材の素材品質について掘り下げていただきたく、木材業とDNAの関係について話題提供させていただきました。

 

ご存知の通り、森林には地域ごとの多様性があり、風土に応じて育まれてきた品種がありますが、
一方で、異なる地方から苗木を仕入れて、目的とする樹種を育成する木材生産も営まれています。
特に、戦後の拡大造林期には、少しでも早く目的とする木材生産をかなえるために、
同じ品種を効率的に植林した歴史もありました。

 

地場産材のプレミアム化を目指す本事業ではありますが、
改めて5つの切り口から分析して、北広島町産材の素材品質は、どのように説明することが出来るのでしょうか?

 

 

古川からによる講演の後は、ワークショップタイムへ。
「トータル林業のススメ~規格と企画~ コンセプト、コンテンツ、コンダクターをつくろう」をテーマに、
北広島町の地域産材を唯一無二のブランドにするために、どのようなアクションを起こせるか、チームごとにアイデアを出し合っていただきました。

序盤に見た自家製製材機に感銘を受け、「丸太を運んで、出前製材をやってみたら面白いのでは!?」といったアイデアまで、
自由なディスカッションとなりました。

一方で、「やはり地域の山の資源情報が分からないことには、具体的なアイデアが生まれない」といった感想も、多々寄せられ、
今後、さらに山側と共に地域産材のブランド化に向けて素材品質を見つめ直す必要性に気付くワークショップとなりました。
★チラシの詳細は、画像をクリックしてご覧ください。

 

 

本事業の第3回講座・最終回は、10月30日(日)。
「北広島町にとっての地域産材プレミアム化の目的と方法を描く」を講座タイトルに掲げて、
北広島町地域産材のプレミアム化に向けて、自社の関わり方とアクションを描くことを目的に開催いたします。

参加者の皆さまが、明日から取り組める地域産材の売り方、使い方、儲け方提案について、見出していただく講座にしたいと思います。
ぜひ、川上から川下の関係者様まで、お誘いあわせの上、ご参加くださいませ。

 

最後となりましたが、参加者様のアンケートから、一部をご紹介させていただきます。
アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

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■参加者様の声

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■A様
「前回より次のステップに進めたように思います。次は、北広島の山を見に行きたい」

 

■B様
「3C分析の視点がとても勉強になりました。」

 

■C様
「3C分析で、日ごろ着目している点の偏りに気付いたことが興味深かったです。
カスタマーの立場からの視点を技術面や競合他社を考えるところとは別に、 外の視点から考えるきっかけをいただきました。
北広島町の林業とカスタマーを誰がどのように繋いでいけるのか、次回のワークショップが楽しみです。」

 

■D様
「3C、差別化の7要素など、キーワードを使って分かりやすく考えるきっかけを説明していただいきました。
次回の展開が楽しみです。」

 

■E様
「前回、今回の講演&ワークショップを経て、知識やアイデアをもらおうといった意識が強かったです。
広島県産材の特性、特徴などは、次回までに知ってから臨みたいと思いました。

3C分析の考え方や差別化7要素は、林業だけではなく、デザイン業にも生かせそうだと思います。
ワークショップで生まれたアイデアも面白そうでした!

最終回のワークショップでは、実際に活動の形が生まれるような内容にしたいと思います。」

 

■F様
「マーケティングのフレームは林業に関わらず、たいていの分野で役に立つ学びでした。
トータル林業の考え方がプレミアム化の答えだと思いました。企画については、自団体の得意分野であり、強みですが
規格と結び付ける役割の方とうまく連携して、北広島町のトータル林業を目指したいと希望が見えました。
最後のワークショップに、わくわくしました!」

 

■G様
「北広島町の林業の情報をもっと知りたいと思いました。
産地のことを知らないと、議論ができないと感じました。」

 

■H様
「北広島町の住民でありながら、町の山のこと、木のことを知らない自分にショックを感じました。
特徴があまりない山林だと思い込んでいた自分が恥ずかしく、こういったワークショップは良い機会だと思いました。
次回のワークショップにて、地域の林業の方向性についての具体策が出ることを期待しています。」

 

■I様
「林業のブランド構成要素としての”品種(DNA)”を初めて意識しました。
普段は消費者との接点が少なく、やはり接点を持ち、評判(消費者の声)を聞いて、 業界を挙げて大きくPRしていく必要性を感じました。
ネーミングについても、木材の名前にこだわりすぎず、地域の道路や象徴的なものを使ってブランドづくりをしていく可能性に気付きました。」

 

■J様
「アッパー層は環境問題、環境配慮の理念を無視しない、とおっしゃったメッセージが心に留まりました。
誰に売るのか、ターゲットを絞ることが大切ですね。

豚やトマト等を例にとっての説明も分かりやすかったです。
私は農業も営んでおり、産直専門で商売をしていますが、自分の名前が入ったシールを貼って、値段も自身で決めています。
するとやはり、気が抜けないものです。木材の販売も野菜や豚と同じだと思いました。」

 

■K様
「差別化の7要素と3C分析は、どのジャンルにおいても当てはまることだと思い勉強になりました。
北広島町の例とした時に、山のことを知らないことが行き詰まる大きな要因であると再認識しました。
北広島町の山林資源マップを是非見たいですね!次回が楽しみです。」

 

■L様
「改めてマーケティング理論を知り、ものづくりを考え、整理する重要性を感じました。
特に今回はファームノラの会場で開催できて、とてもよかったです!

地域づくりやまちづくり、自然、歴史、文化と幅広い分野でとらえてブランド化を進める視点について
他のメンバーから提案された点が面白かったです。

北広島町の地域の人や山林、製材に関わる人と具体的なまとめが出来る最終回に期待しています。」

 

 

参加者様アンケートには、farm NORAが良かった!とのコメントも多数ありました。
ワークショップ中の休憩時間には、手作りのシフォンケーキ&珈琲までご提供いただきました。
改めて参加者の皆さま、そしてfarm NORAスタッフの皆さまに、心より御礼申し上げます。
第3回もどうぞよろしくお願いいたします。

 

Posted by wpmaster on 土曜日 8月 27, 2016 Under pick up, すべての記事, 未分類, 講演&研修 報告
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