いよいよ今年度最後の開催となりました、国産材ビジネスセミナー@東京、
最終回にも関わらず、ご新規の参加者にもたくさんお越しいただきました。
例のごとく、林業事業体、製材、森林組合、行政、学生と所属はさまざま、
「普段は山側にいるので木材流通などを勉強したい」
「色々な知見を得て自分の地域に還元したい」
など、参加の同機も色々です。
今回は2012年度の総まとめとして、4名の講師からそれぞれふりかえり講座となりました。
まずは古川より。
林業・木材業に対するニーズを顧客視点から細かく分類をし、
それぞれの業態がどの部分を担うのかを改めて整理し、ご説明をしました。
一口に木材といえども、「住宅10ニーズ」の中の一部の「素材」であり、
その「素材(部材)」の中にも、構造材、化粧材、下地材があり、他の新建材もありで、
それぞれの製品の品質も細かく分けて考えれば、切り口はいくつも存在します。
今自らが追及している品質、強みとは何なのか、
顧客(エンドユーザー)視点に立って、改めて考えていただけたでしょうか。
また自分のポジションを知ったうえで、年間250日出張の甲斐あって集めた
各地の最新事例を、動画や写真を交えて、ご紹介しました。
次に、岩井から女子目線から見た情報発信の5つのポイントをご紹介。
林業界で活躍できる女子力を独自に定義したうえで、
ビジネスに役立つ、身に着けるべき情報発信スキルをご提案しました。
まずはマーケティングの基礎中の基礎ともいえる、
「ターゲットを絞ること」
マーケティングとは文字通り「的(mark)に当てること」という意味です。
誰にでも受け入れられるモノ・コトは、裏を返せば誰にも響かないということ。
そのほか、ターゲットにメッセージを届けるときに、押さえておくべきテクニックをご紹介しました。
続いてトビムシ小林からは、
「国産材ビジネスの根幹 !!林地と林業の法知識」として、
林業施業にとっては必要不可欠である、地籍や権利関連の基礎をレクチャー。
所有権、地上権、使用(貸借)権、立木法による登記、入会権・・・
山林には様々な権利が複雑に重なり合っていますが、
ひとずつ紐解いていくことで、選ばれる 林業会社になるための
営業ノウハウにも結びつけることができます。
(トビムシ小林氏 当日のブログ http://tobimushilaw.jugem.jp/?eid=119 )
トビムシ西原からは、一年間の締めくくりとして、実践クイズを中心にまとめを行いました。
2つの含水率とは?材積の計算方法は?
みなさん覚えておられたでしょうか。
また二極化する消費者ニーズと林業形態として、
林業界を席巻しつつある二つの潮流
①少投資高付加価値林業
②ハイテク化、エネルギー化
を整理したうえで、
「各々の事業、活動の軸(強み)をきっちりと持ちつつ、
商品・サービスの編集力、発信力を磨き、
消費者に近い事業者・団体との連携を強めることで
消費者ニーズが多様化するが故に、多様な「答え」「アプローチ」が生まれ得る!」
とまとめました。
終わりに、古川からまとめ講座です。
これからの ビジネス(国産材マーケティング)は、
「売上シェアの奪還から時間シェアの獲得へ」
消費者ニーズが高度化する中、林業・木材業も単なる「素材」提供でなく、
素材から製品へ、製品から商品へ・・・そして「ライフスタイル提案」へと
領域を拡大していかなくてはなりません。
そのとき考えることは、
「ゆったりした時間を過ごしたい」「おしゃれな生活を送りたい」
そういった時間の使い方を提案し、創造し、選択していただくことです。
よく六次産業化という言葉が使われますが、
単に素材を加工すればよいというものでもなく、その先にあるコンセプトが大切です。
またその手法も 、自社1社のみですべてを担うだけが選択肢でなく、
理解ある「ちいきの」二次産業、三次産業の企業と連携することが近道にもなりえます。
そんな考え方をご紹介しつつ、本年のまとめ、
【林業四則演算とは】
Ⅰ.林業+α
林業だけではなく、
顧客が喜ぶ、付加価値をどう加えていくか。
Ⅱ.林業×β
林業という業種にこだわらず、
小売業、サービス業的な展開をし、
水平連携、垂直連携を
掛け算できるかどうか。
Ⅲ.林業÷γ
経営力ということで分解できるかどうか。
商品(施業)力、集客力、営業力、組織力
そのなかで競合他社と比較し
何を強化すべきか。
Ⅳ.林業-δ
どうしても取り除かなければならない
昔の商慣習や古い精神風土!
いかがでしょうか?
これで本年度は終了となりますが、2013年度も国産材ビジネスセミナーを開催予定です。
改めまして年間受講のお知らせもさせていただきますので、
ご期待ください!
ご参加いただいた皆様、一年間ありがとうございました。
★参加者からのご感想★
久々に参加させていただき、興味深い事例や考え方などを伺い、収穫になった。
今後、自分の経験もふまえて、今日の学びを自分のものにしていきたい。
(大学生A様)
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来年度は1年間通して参加してみたい!
(林業B様)
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初めての事ばかりでしたので、すべてが勉強になりました。
ここで学んだことをどう今後につなげていくか、
これでスタートラインにつけるといいです。
(林業C様)
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勉強好きになり、勉強にはげまなければ。
いずれはセミナーのみなさんに発信できる自信の持てる事業をできればと思いました。
(行政職員D様)
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林業というのはふだん生活する上ではあまり関わりの無いものだと感じていたが、住宅にも国産材がもしかしたら使われているかもと考えると何を使っているか興味がとても沸きました。
(大学生E様)
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最新の事例を聞けるのは非常に参考になります。
人脈づくりの価値も大きいと思う。
おかげでやっと、自分が一般のお客様に林業を伝える力がついてきました。
(会社員F様)
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参加者に若い人が多く、
まだまだ林業に興味を持っていることに頼もしく思いました。
地元の仲間にも伝えていきたい。
(林業・製材業G様)
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今回の「時間シェアの獲得」という考え方は確かに大事だと思いました。
家を建てるというのは人生の一大イベントですが、そのために使える時間は多くない。
その限られた時間の中で木について考えてもらう時間をいかに増やしていくのか。
まだまだ工夫できることってあるよな、と思いました。
(大学生H様)
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毎回新しい内容がきけて新鮮だった。
マクロの数字の紹介、法制度や政策との関連、具体的マーケティングが特に面白かった。
(商社I様)
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毎回わくわくして受講させていただき、多くの学びがありました。
今後は他産業の経営改善の取組をより詳しく教えていただきたい。
(行政職員J様)
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職場などで、いかに川上から川下までがつながっていないかを実感しています。
私の夢は「日本の森林に関わる人が笑顔で暮らす未来をつくること」
もちろん一人ではできないことですが、何か少しでもこの夢に向かって努力できたらと思います。
(林業関連団体K様)