平成29年1月30日(月)に

高知県立林業学校短期課程の講座の1コマを担当させていただくことになりました。

 

高知県立林業学校短期課程では、林業機械の運転技能研修や免許資格取得講習、

さらに木材流通や地域おこしまで多岐にわたる講習を実施しています。

 

===詳細===

【日時】

平成29年1月30日(月) 午後13時~16時予定

 

【場所】

高知城ホール(高知県高知市丸ノ内二丁目1番10号)

 

【参加費】

無料

 

【定員】

50名

 

【内容】

テーマ:「林業のリ・デザイン~全国の6次産業化事例と各種マーケティング手法から学ぶ~」

講師:古川 大輔((株)古川ちいきの総合研究所代表取締役)

 

=== === ===

↓取組・イベント詳細は、下のチラシをご覧ください。↓

チラシPDFのダウンロードはこちらから

https://chiikino.jp/data/kochi-chiikisozo.pdf

 

イベント情報、申込みはこちらから

 

【高知県林業労働力確保支援センターHP】

http://www.shien-center39.com/document/?group=grp010

 

 

受付締め切りはH29年1月16日(月)。

是非、お近くの方はお申込みください。

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弊社では、全国各地で、
林業、木材ビジネス、地域づくりをテーマにした講演や研修を実施しております。
イベントやフォーラムの企画・実行、コーディネーターもご用命ください。

Posted by wpmaster on 月曜日 1月 23, 2017 Under — セミナー、研修、講演のお知らせ, pick up, お知らせ, すべての記事, 講演・研修、コーディネーター

 

 

1月13日は、滋賀県高島市にて、
講演「日本の森を活かす挑戦~国産材から新商品&シゴトをつくろう!~」の講師を務めさせていただきました。
当講座は、平成28年度厚生労働省委託事業「林産加工新商品開発セミナー」の一環で開催されました。

 

講座のテーマは、
「林業/製材業は儲からないんじゃないんです。経営のやり方が、わからないだけなんです!
~ビジネスが大っ嫌いな方が、経営が好きになるセミナ~」と題し、
林業、製材業、建設業、木材流通業、商社、まちづくり関係、デザイン関係の方々まで幅広く
約20名の方々にお集まりいただきました。
★高島地域雇用創造協議会さまのWEBはこちら↓↓
http://www.takashima-shigoto.jp/h28_forest05/

 

講座では、
① 3割の事業者が知っているギョーカイの基本講座
② 2割の事業者が知っているマーケティングの3要素
③ 1割の事業者が知っている最新国産材ビジネス 10 事例

とテーマを作り、弊社の事例を交えて、林業とマーケティングについてお話させていただきました。

 

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今回の講座には、森林組合で林業に携わる方もあれば、異業種のため林業への接点は少ないものの、

地域資源を活かしたシゴトに関心があり参加して下さった方もあり、
林業に対するイメージについては多様で、林業・木材業の知識についてもバラつきがありました。

 

そのため、まずは「統計で見る、日本林業のウソとホント」と題し、マクロの視点から紹介した上で、
ご自身の事業領域の事として、自分事化するために、

 

●あなたの知っている「〇〇杉」を産地が思いつく限り書き出してみてください

●国産材の良さのPRポイントを思いつく限り発表してください

と2つのクイズを出題しました。

 

このようなPRポイントは、

・異素材と木材

・外国産材と国産材

・他産地と地域産材

・近くのメーカーと自社の木材

・隣の山とこの山の木材 等々・・・
比較することで、PRポイントすなわち「強み」が明らかになるものです。

 

本ブログをご覧いただいている皆様は、「国産材のPRポイント」をいくつ書き出すことができましたか?

なお、営業トークで”比較”を使われる際には、隣のA社を批判しないことも大切ですね。

 

一方では、
「隣のA社はこのような点が欠点ですが、当社の場合は~」と紹介する会社。

 

もう一方では、
「隣のA社もこのような点を使っておられ人気ですね!
但し当社では、××の点にこだわっているため、このような方法を用いています」と紹介する会社。

 

あなたは、どちらの営業マンの話を詳しく聞きたいと思いますか?
どちらの方が、信頼を置けると感じられるでしょうか。

 

人間関係と同じく、他人の悪口よりも、良いところを見つけつつ、
しっかりと自社をPRできる営業トークを目指したいですね。

 

講演の途中では、弊社の老籾より、住宅関係者に向けた情報誌からピックアップし、
人材募集と顧客獲得で伸びている工務店における取組みをご紹介しました。

 

 

1)まず社員自身が地域での暮らしを楽しむ
⇒自宅をDIYしたり、地域行事に参加し、理想的な暮らし方で社員の定着化に繋がる
⇒社員の周りに地域コミュニティが育まれる

 

2)実践に基づいた暮らしのアドバイスが信頼を結ぶ
⇒地域内で顔を合わせるため、ニーズがある人から相談を受けやすくなる

 

3)将来的に社員と顧客の獲得に繋がる
⇒「××さんのようなはたらき方をしたい」という社員候補、
「せっかく家を建てるなら、リフォームするなら、顔見知りの××さんに頼もう」という顧客の獲得に繋がる。

 

 

新規での顧客獲得にのみならず、企業間における人材の獲得競争は、今後さらに加速すると言われる中、
私生活においても家づくりが好きで、実践して楽しむ社員の働き方は、
人材の募集や定着化、さらには将来的な顧客獲得にも繋がるということ。このテーマについて、事例を交えてご紹介しました。

 

このような内容は、工務店に限らず他の職業においても共通するポイントですね。
林業であれば、チェンソーで木材生産に従事することに限らず、
狩猟をしたり、キノコや山菜を採って旬を味わうなど、その地域での仕事ならではのライフスタイルに憧れて、
森ではたらくIターン者が集う地域が生まれています。

 

なぜ森ではたらくライフスタイルを選んだのか?
森ではたらく27人の27通りの仕事を紹介した書籍も合わせてご覧いただければ幸いです。

★書籍「森ではたらく!27人の27の仕事」の販売ページへ↓↓
https://www.amazon.co.jp/%E6%A3%AE%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%8F-27%E4%BA%BA%E3%81%AE27%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B-%E5%8F%A4%E5%B7%9D-%E5%A4%A7%E8%BC%94/dp/476151339X

 

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その後も講演では、
全国の林業(木材)がいかに多様であるか、
例えば品種、環境、育て方によって、老舗の林業地域がなぜ有名になったのかを解き、
これからの国産材は、トータル林業、フリースタイル林業へと移行していきましょうと、
事例を交えて多数お伝えしました。

 

やはり、
林業者が丸太しかみていない、
製材所が木取りしかみていない、
工務店が部材としてしかみていない、ということは時代錯誤であり、
木材を持続可能な資源として、山をどう見て、木をどう活かすかを考えること。

 

 

そのために、山林に入り、立ち木を見て、葉や木の皮に触れる原体験を持つこと。
そして、原木、製品、設計から空間づくりという一連の流れを知ることで、新しく面白い世界が開かれるということ。
ほんの少し、隣の人がやっている仕事を知ることで、
地域で面白いトータル林業のチームが作られていくということを全国での事例を交えてご紹介しました。

 

高島市では、安曇川流域と共に育まれた林業の歴史を聞きました。
この講演をきっかけに、チームで連携し、地域の歴史を紐解くところから始まり、
古くて新しい木材産地として、高島ならではのトータル林業、フリースタイル林業が発展されることを願っております。

 

 

最後に、講演へお越しいただいた皆さまへ心より御礼申し上げます。

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 1月 20, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

1月7日(土)、キャンパスプラザ京都にて第6回シンポジウム「ライフ・アンド・フォレスト」が開催されました。

主催NPOの理事も務める弊社の岩井が、企画から、広報、当日コーディネーターとして参加いたしました。

2014年の第3回から数えて4年連続のコーディネートとなります。

 

★当日の様子はfacebookライブ配信から動画でご覧になれます。

前編 https://www.facebook.com/292740190784275/videos/1333819246676359/

後編 https://www.facebook.com/292740190784275/videos/1333916133333337/

 

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◆第6回「ライフ・アンド・フォレスト」◆

テーマ:広葉樹のある暮らし~森のデザイン、木のデザイン~

講演
・「広葉樹のものづくり」有賀建具店    有賀 恵一 氏
・「広葉樹の森づくり」 有限会社根尾開発 小澤 建司 氏
・「広葉樹のエネルギー」株式会社Hibana  松田 直子 氏

【日時】2017年1月7日(土)13:30~17:00

【場所】キャンパスプラザ京都4階 第3講義室

【主催】NPO法人才の木、NPO法人京都・森と住まい百年の会

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会場はほぼ満員。年始にもかかわらず100名以上の方が来場し、関心の高さをうかがわせました。

 

日本の林業と言えば針葉樹造林が主体であり、国内での広葉樹需要は輸入材に頼っているのが現状ですが、

今回は「広葉樹」にスポットを当て、広葉樹の面白さと課題、「森のデザイン」と「木のデザイン」のあり方について議論を深め、これからの日本の林業の新たな可能性を探りました。

 

まず最初に、三名のゲストの講演についてお伝えしていきます。

 

【1】「広葉樹のものづくり」 有賀建具店 有賀恵一氏

まずは、広葉樹のものづくりとして有賀建具店の有賀恵一氏がご登壇。

長野県伊那市から朝一番で車を出して京都入りしていただき、会場のあちこちに素敵な家具、サンプル木材を展示していただきました。

 

60種類以上の針葉樹や広葉樹を扱い、建具、キッチン、家具等を製作している有賀氏。

完全受注で作られる家具は唯一無二です。

 

端材を燃料とする、ペチカのある工房で。若手を含めた5名の職人から1つひとつの作品は作られています。

父代から続く建具職人の道を継いだ有賀氏は、初めは単一樹種で建具を仕上げるよう教え込まれましたが、1人のお客さまの

「失敗しても良いから様々な樹種でドアを作ってほしい!」という言葉から、多樹種の広葉樹を使った作品を手掛けるようになりました。

 

素材の調達は、チップ工場の丸太をはじめ、埋もれ木や工事現場の除伐材、素材生産者から直接購入、原木市場と

多様な調達先から「職人に見放された木」を集めておられます。

木材の乾燥は天然乾燥にこだわり、雨ざらしにして、木材内部の”アク”を抜くことで製材した時に美しい色が出るということも教えていただきました。

お客さまの要望を伺った上で、最終的な製品の樹種の並べ方は職人に任されており、職人によって風合いが異なる製品が生まれます。

しかしながら、塗装なしで自然の木の色をそのまま使用した製品は、どのような並びでも違和感なく仕上がるそうです。

 

お話の最後には日本の木の楽しみ方を教えていただきました。

「色、重さ、手触り、香り、味」が有賀氏の考える木の見分け方であり楽しみ方。

例えば、サクラなどのバラ科の樹種は良い香りがするいっぽう、ニセアカシヤやキハダはあまり良い香りがしない、

製材時に口に入るおが粉の味も、樹種によって違うなど、

五感を使った仕事の様子を語っていただきました。

 

多様な木を使ったドア。着色は一切しておらず、自然の色を活かした、落ち着きがありながら個性的なドアです。

 

椅子の素材はなんとキリ。タンスに使われる場面はあれど、椅子に使った事例はほとんど見かけません。

非常に軽くて丈夫なので、力の弱い方でも扱いやすい家具になるとのことです。

 

様々な樹種を組みわ合せた、カラフルな「いろいろタンス」。樹種の組み合わせは様々。

(弊社も当日1つ購入させていただき、オフィスに新しい木材のお仲間が加わりました。)

「トチの引き出しに○○入ってるから~」といった会話が想像できますね。樹種判別能力も高まる効果も期待できます。

 

 

 

【2】「広葉樹の森づくり」 (有)根尾開発 小澤建司氏

 

続いて岐阜県本巣市から、広葉樹の森づくりについて(有)根尾開発の小澤建司氏からのご講演です。

(小澤氏は、弊社主催の「林業経営実践研究会」in名古屋 のメンバーでもあります)

 

まず冒頭に、林業をやっていくには”歴史”が重要であり、次世代に繋げられるように魅力ある山づくりを目指しているというお話がありました。

そのために小澤氏の後継者として男の子2人は必要だと思っていたところ、いつのまにか5人のお子さんに恵まれたという自己紹介が、参加者の笑いを誘い会場はなごやかムードに。

 

ご長男は、なんと5歳からユンボ運転の練習中で、課題を与えて見守り、

「自分で考えて成長する」機会を大事にしているとのことでした。

 

そんな小澤氏の会社での人材育成指針もユニークです。

 

①完全出来高制の造林

造林部は、地拵えから伐採までを、植栽した人が担当となり管理、その出来高によって給与が決まるというものです。

枝打ち作業等も、各々がより効率的に現場を管理できるよう工夫するとのことでした。

 

②架線集材の復活

会社設立以来行っていなかった架線集材に平成25年から挑戦。

65歳のベテラン親方から39歳の若手社員が技術を後継し、その後は毎年架線集材を行う現場を計画し、素材生産を行っています。

先人の技術を途絶えさせてはいけないという小澤氏の考えもうかがわれます。

 

事務部、素材生産部、造林部、造園部、土木部がある(有)根尾開発では、

地域に貢献するさまざまな事業への「チャレンジ」の精神も大事にしています。

(Neo Woodsの積み木)

 

その1つの活動に「Neo Woods」プロジェクトがあります。

木材生産を(有)根尾開発、製材・乾燥を(株)カネモク、製造・販売・普及をオークヴィレッジ(株)が行う三者協定の広葉樹活用連携プロジェクトです。

これまで使われていなかった「規格外広葉樹」を活用し、根尾のブランドで木製品を送り出しています。

素材生産をする者が、自分達で育て伐採した木がどのような形に生まれ変わったかを、最後まで見届けることが何よりも重要であるとおっしゃっていました。

 

(有)根尾開発の広葉樹施業は択伐と皆伐の2種類。

3,000haの社有林の内、2,000haを占める広葉樹林を現場の状況や、需要先ニーズに合わせて施業を使い分けています。

また、一度手を加えた森は、どれくらいの大きさ、樹種の木がどれだけあるか、というデータを蓄積し、注文があった場合にすぐに伐り出せる「在庫化」を進めています。

 

最後に、今後は人材育成、販路開拓、地域連携により力を入れ、丁寧な仕事をして、次世代に繋がる山を作るとのビジョンを示し、

「お話だけでは伝わりにくい事も多いので、是非根尾の森を見に来てください、案内します!」という言葉で締められました。

 

 

【3】「広葉樹のエネルギー」 (株)Hibana 松田直子氏

 

最後に、(株)Hibanaの松田直子氏。

木質バイオマスに関する調査、普及啓発、薪炭や木製品の販売、ペレットストーブやボイラー等の導入支援、商品開発など、多岐にわたる事業を手掛けています。

京都市の寺町二条にある「京都ペレット町家ヒノコ」を拠点に、木と火のあるくらしを発信しています。

 

松田氏は、大学時代にアジア各国を訪問した際に、自分が日本の森のことを知らないこと気が付き、修士論文では木質バイオマスの地域利用をテーマとしたことが現在の事業に繋がっています。

 

講演の冒頭には、まず会場の皆さんに質問を。

「木の物を持ち歩いていますか?」

「木の家具を使っていますか?」

「では、薪などの木質燃料を使っていますか?」

 

 

木の物を持ち歩いている人はさすが、ライフ・アンド・フォレストということもあり参加者の大多数を占めていましたが、

薪などのエネルギー利用を日常的にしている人は意外にも少ないことに気が付かされます。

 

そして、針葉樹人工林の間伐遅れという問題に対して、

広葉樹はガスや石油へのエネルギー転換により里山が手入れされない課題を抱えていることに触れ、

火のある暮らしや小さな脱プラスチック運動をすすめるHibanaの活動をご紹介いただきました。

 

①薪、②ペレット、③炭、④チップ、という4大木質エネルギーの中から、特に身近に使いやすい①~③の燃料について、

ストーブの仕組みや燃料の特性について、わかりやすくご解説いただき、

 

さらに、「火」には単に照明や暖房の機能だけではなく、

人が集まる場を創造し、火を囲み考え議論する環境が新しい発見を生み出すという効果についても解説いただきました。

 

2000年以降、ペレットストーブやペレット製造の国産化が進み、各地域ごとに事業者が「ご当地型エネルギー」の商品展開しているお話は興味深く、

「街中でもこれだけ木質の燃料は使えるのだ、ということを感じてほしい」という松田氏の言葉には、

京都の街で事業を展開し、自身も火や木のある暮らしを実践し、ライフワークとしているからこそ伝わる熱がありました。

 

 

【4】パネルディスカッション

 

第二部は、まず初めに針葉樹と広葉樹の違いについて、樹木細胞学の視点から、

京都大学大学院の高部圭司教授からご解説いただき、その後にパネルディスカッションに移りました。

 

参加者から集めた質問票と、コーディネーターからの質問にパネラーが答える形式でパネルディスカッションは進行しました。

一部をご紹介します。

 

質問①:「一番好きな木は?」

有賀氏:みんな好きだが、色の濃い木「ホンウルシ」、「チャンチン」、「オニグルミ」などが好き。また、針葉樹よりも手がかかるからこそ、広葉樹が好き。

小澤氏:紅葉の色が美しい「カエデ」が好きです。長男の名前も「楓」にしました。ちなみにスラムダンク世代には馴染みがあると思います。

松田氏:「どんぐり」がなる木と、私の名字にもある「マツ」が好きです。どんぐりと松ぼっくりはシルエットが可愛いく、またエネルギーの視点から見て松ぼっくりは着火剤としても使えます。

 

質問②:「皆さんが思う、針葉樹と広葉樹の違いは?」

松田氏:広葉樹は多様性がある。国内でも、海外でも種類が多く、色も多様。エネルギーの視点では、針葉樹は火の着きが良いがすぐ燃え尽きる。広葉樹は火の持ちが良い特徴があります。

小澤氏:(森づくりの視点から見ると)針葉樹は人工林が多く、最後に伐採するまでずっと手をかけなくてはいけない。広葉樹(天然林)はある程度人の手を加えることも必要であるが、自然に成長する力が強い。また、広葉樹は樹種による値段の違いが大きく、変動もあり、博打的なところがあり、伐採の方法も多様で施業が確立していないという難しさがありますね。

有賀氏:まず一番に重さが違います。そして、広葉樹は狂いが大きく手がかかり、針葉樹はあまり狂わない。広葉樹は手がかかるがやはり好きです。

 

質問③「有賀氏に質問。山まで原木仕入に行くことは多いのか?」

有賀氏:山を見て買うことはほとんどしないが、山を見に行くこと自体はあります。行くとしたら近くの山です。銘木等にこだわらないので、とにかく山から木を出しましょう、なるべく多く使いましょう、という視点で原木は選んで購入しています。

 

質問④「小澤氏に質問。広葉樹の育成について、どのような樹種をどれくらいまで育てるのか?」

小澤氏:まず広葉樹の施業は、今のところ確立したものは一つもありません。行政や研究所に聞いても分からないので手探りです。作業班には針葉樹も広葉樹も、最初は悪いものから順番に伐るように伝えています。しかし、中には良い材も伐り出して、バランスを合わせています。また、できるだけ真っ直ぐに育つように択伐しています。木と木の間の距離を年ごとに変えながら成長の様子を見て、データを蓄積している状態。H25年に整備した場所は、注文があった際にすぐ伐採できるように、樹種と胸高直径、材積量を把握しています。

 

質問⑤「小澤氏に質問。現在日本は海外旅行者が増えているが、森林に招待して日本の林業を知ってもらい、海外に販路を広げるようなビジネスプランを考えていたりするか?」

小澤氏:今のところは考えていません。地元のことを優先して考えています。風土的に根尾と海外が合うかが分からないので、海外への販路よりも地元に素材は販売するようにしています。虫やカビの対策をするためにも、伐採したらすぐ加工が出来るよう、岐阜県内で何とかしたいと考えています。

 

質問⑥「木のある暮らしとして、どのような状態が理想的で心地よいと考えるか?」

有賀氏:意識しないである事が最も良い事、手で触れることが大事だと考えます。

小澤氏:有賀さんと似ていますが、身近にある事が最も良い。青山スパイラルでNeo Woodsの展示を行った際に見学に行きましたが、東京では土に触る機会はありません。現在、実は東京おもちゃ美術館との企画を進めていますが、おもちゃ美術館では生きている木に触ることはできません。自然の中で自分で工夫して遊ぶということが大事だと考えます。

松田氏:お二方と同じで身近で使うという状態がもっとも理想的だと思います。しかし、周りでペレットストーブ等を使用している方は少ないので、木のある暮らしは運動だと思っています。脱プラ、脱石油製品の運動であり、石油系由来のものを木に変えていくことが重要だと考えます。

 

質問⑦「松田氏に質問。エンドユーザーにエネルギーについて伝える際に気をつけている点は?」

松田氏:まずは、見えるということが一番大事です。実物に加えて、紙媒体、インターネットを使って情報発信します。また、小遣い稼ぎができるという切り口で関わる人を増やしていくことが重要で、そうすれば広がっていきます。ペレットの場合、流通が課題になります。使い続ける、消費するものなので、流通コストをどう下げるかが課題の1つとなっています。

 

質問⑧「有賀氏と小澤氏に質問。若い後継者がいるとのことでしたが、職人やその道のプロになるために必要なセンスやスキルはありますか?」

有賀氏:必要なセンスはありません。大体どういった人でも出来ます。しかし、作り手が「この木は狂うからだめだ」と決めつけて使わない材を選ぶ職人が多い中、使い手に多少の伸び縮みがある事を承知していただいくと充分使える木材がある事を理解し、考える職人を増やさなくてはいけません。現在5人の職人がいて、今まで独立したのは8人、そのうち女性は2人です。独立したみなさんは仕事があるようでお手伝いを依頼すると断られることもあります(笑)。

小澤氏:基本的に、山に興味がある人ではないといけないと思います。自社の魅力を発信し、興味がある人に来てもらわなければ技術力が付くまでに時間がかかります。最後は楽しく仕事が出来るような仕組みが出来れば活性化になります。素直な子が良いですね、現在社員募集中です。

 

質問⑨「素材生産側、木材加工側にそれぞれ期待することは?」

松田氏:「森のデザイン」である山側に期待することは、人材をどう育てるかに尽きると思います。みんなで参加できる企画を増やして、山に興味を持ってもらう人を増やすことが我々の仕事ですね。

有賀氏:小澤氏にやってもらいたいことは、真っ直ぐな木を育てていただきたい。曲がっている木はやはり使いづらい。山の状況もあり、難しい事ではあるが、是非頑張っていただきたいです。

小澤氏:急峻で雪が多い地域は真っ直ぐ広葉樹を育てることは難しいが、早めに手をかけて育てていくので、有賀氏にも、広葉樹に期待していただきたい。加工側の人には、山に来てもらって、立木の状況から見ていただき、この1本をどうしたいかというような愛着を大事にしてもらいたいです。市場ではなく、山から搬出される場を見ていただき、木そのものだけではない、雰囲気も大事にしてもらいたいですね。

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会場からの質問も多く、熱気のあるシンポジウムとなりました。

 

今回はメインテーマを「広葉樹のある暮らし」としながら、

サブタイトルである森のデザイン(施業、森林経営)、そして木のデザイン(利用、加工)について議論を深めました。

 

気候に恵まれ、多種多様な樹木が生育する日本の森林のポテンシャルを感じるとともに、

その価値を享受し大いに活かすためには、

 

●素材からエネルギーまでのカスケード利用

●適材適所での活用

 

をポイントにしながら、暮らしをつくること、

それが当たり前の存在になることが、地域文化ひいては日本の木材文化を作って行くことだと感じられました。

 

これまで未知であった広葉樹利用にも果敢に「チャレンジ」すること、

そして日本の森林のグランドデザインを、川上~川下が共に描いていくことに、大きな可能性を感じます。

 

そのために今後も、人が集い、お互いに理解を深めて議論する場を創出して参りたいと思います。

 

 

今回のシンポジウム開催に当たっては、ご登壇いただいた皆様、関係者・運営スタッフの皆様、そしてご来場者の皆様に心より感謝申し上げます。

今後もご期待ください。

 

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まちもくひろしま

 

10月30日は広島県北広島町にて、「中国山地(北広島町)の木をプレミアム化するマーケティング講座&ワークショップ」のファシリテーターを務めさせていただきました。
広島県木造住宅生産体制強化推進協議会事業の一環で企画された当講座は、今回を持って最終回となりました。

今回の講座テーマは、「北広島町にとっての地域材プレミアム化の目的と方法を描く~自社の関わり方と今後のアクション~」と掲げ、建築設計士、大工の方々を中心に約20名の参加者様にお集まりいただきました。
★これまでの講座&ワークショップ様子は、こちらのブログをご覧ください。
【第1回】https://chiikino.jp/blog/?p=5858
【第2回】https://chiikino.jp/blog/?p=6160

 

地域材のプレミアム化を目指すワークショップ

 

今回の講座は、このようなメニューでお話しさせていただきました。

■講演のMENU
① 前回の振り返り
② 地域材を定義し、プレミアム化とは何かを考えよう【ワークショップ】
③ 4つの事業計画から、今後のアクションを描こう【ワークショップ】
④ チームとして自分の役割を考えよう
・プロからボランティアへの多様な関係性
・今後のスケジュール設計

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■地域材を定義し、プレミアム化とは何かを考えよう
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「地場産材のプレミアム化を目指すこと」を目的に掲げる当講座ではありますが、
そもそも”地域材” ”地場産材”の定義とは、何でしょうか?

都道府県といったエリアに応じて補助金が施行されているのが
県産材といった地域材に関する一つの定義です。

とはいえ、資源の生産量から質まで様々な地域において、
量・素材品質のみではない、その地域ならではの付加価値化に向けた定義を
見出さなくてはなりません。

● 北広島町の地域材には、どのような特徴があるか。
● 特徴を生かしプレミアム化するために、何が必要か。

 

北広島から出材される資源は品質・加工を問わず全てブランド化させるのではなく、
1)北広島町地域に特化したプレミアム化

2)広島~島根といった広域での中国山地のブランド化

3)外材に対して、国産材という差別化

と分けた中で、素材品質、加工品質、営業品質を担保し、

”ターゲットに応じたブランド構築を目指すこと”をテーマに、ワークショップを行いました。

 

1)~3)のブランド化についてピラミッド図を書いてのワークショップ。
チームによって切り口の異なる答えが発表され、特色に富んだディスカッションとなりました。

 

まちもくひろしま ワークショップ

 

【Aチームの答え】 ポイントは、”資源”にあり!

「他人のアイデアをもらいに来ようと思っていましたが、やはり自分がやらねばと思いました。」と感想を述べられたのは、芸北地域で林業・畜産業・レストラン業を営む男性・Mさん。

・八幡高原では、標高1,000mのヒノキ人工林があり、高密度の素材で特徴的
・あのお寺が管理する松林では、色艶が良く腐りにくい”寺領松”の材がとれると有名

と、地域の山の資源について紹介されました。

同じチームには、プロダクトデザインや建築設計に関わるプロが集まり、
この素材へ特徴的な乾燥・輸送を施して高付加価値化するアイデアが起こされました。

 

まちもくひろしま ワークショップ

 

【Bチームの答え】 ポイントは、”伝統商品との繋がり”にあり!

このチームでは、
宮島杓文字、府中家具、けん玉、福山の琴、芸北地域の太鼓、仏壇等、
改めて地場産材を使って象徴的な商品を作るべきといったアイデアが出されました。
日本三景宮島で、もみじ饅頭と並ぶ人気のお土産『杓文字(しゃもじ)』。
この杓文字は、元々は戸河内(とごうち)の素材を使って生産されていたそうです。

このように林業産地の歴史とは、象徴的な商品と共に歩んできたとも言えます。
・樽丸(樽桶をつくるパーツ) と 吉野杉
・こけら板(屋根葺をつくる板材) と 天竜杉
・天井板と秋田杉

同じく北広島町においても、今一度伝統工芸品をリデザインし、
産地と共にPRしたいといったアイデアが掲げられました。

 
まちもくひろしま ワークショップ

 

【Cチームの答え】 ポイントは、”資源量調査と人材育成”にあり!

そもそも、北広島町の山々には、どのような資源が育っているのか。
どれくらいのペースで出荷すれば、安定的に必要な資源量を確保できるのか。
出荷された資源は、どのようなルートで差配すれば、最も効率的に活用できるのか。

 

まずは行政が一体となり、資源量を調査すること。
さらに、効率的に資源を差配するフォレストマネージャーを育てること。
そして、出荷された木を料理する、ウッドクリエーターが活躍すること。

このような体制づくりに関する意見を投じられました。

 

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今回をもってすべての講座を修了した当事業ではございますが、
最後のワークショップでは、集まったアイデアを中心として事業化に向けたディスカッションを行うことができました。

改めて参加者の皆さまに、心より御礼申し上げます。

ぜひともこういった勉強会が継続し、今後は事業発展につながりますよう、期待しております。

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9月2日(金)、新たなプロジェクトが始動。

その名は「豊田市産材利用拡大プロジェクト」

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愛知県豊田市では、平成12年の東海豪雨、平成17年の市町村合併で広大な森林面積を有したことから、

平成19年に「豊田市100年の森づくり構想」を策定、森林管理を促進してきました。

 

「クルマのまち」のイメージが強い豊田市ですが、

豊富な森林資源を有する、「林業のまち」でもあります。

 

次なるステップとして、地域材の利用拡大や地産地消の実現に向けて、本プロジェクトが始まりました。

 

地元の建築設計・デザイン事務所が豊田市からの委託を受け、

弊社もメンバーの一員として推進していく体制となっております。

 

 

さて9月2日はキックオフイベントということで、豊田森林組合を会場に

「豊田市地域材利用拡大プロジェクト 事業説明会&講演会」が行われました。

 

 

まず市役所からの事業説明、

そして事例発表として、
●豊田の森から顔の見える流通をつくる取り組み「人と木をつなげるプロジェクト」

●地域の木を使った家づくりを手掛ける「水嶋建設㈱」

●平成30年に豊田市で製材工場を設立予定の「西垣林業㈱」

の3名の方に活動紹介をいただきました。

 

P9020125

 

また基調講演として、弊社代表古川が

『「地域材、いま何故チャンスか。」~全国の先進事例を基に~』

と題して講演をさせていただきました。

(photo by 永田ゆか)

 

今回のプロジェクトの目的は、地域材ブランドとマーケットを創造すること。

とはいえ、単に「●●県産材」「○○市産材」と名前をつけるだけでは

ブランドたりえません。

 

改めて日本各地の林業産地を紹介した上で、

ブランド=見た目、ではなく、

素材をつくる施業の在り方、加工品質、営業品質までを含めて

ブランドが形成されていることをお話させていただきました。

 

「素材力、加工力、営業力」の3つの力を分析し、

さらにめざすべき地域の目標林型、森林ビジョンの達成に向けた

「企画」と「規格」が必要とご紹介しました。

 

 

遠くは県外から、定員の80名を超える参加者が集まった講演会。

感心の高さがうかがえました。

 

後半のディスカッションでは、会場からのご質問も多く飛び交い、充実した時間となりました。

 

 

本プロジェクトとしましては、まずは関係者ヒアリングを実施し、豊田市産材の生産・加工・流通、住宅建築の現状を把握し、

10月以降は具体的な活用策にむけて計3回のワークショップを開催予定です。

 

①コンセプト&ツールを作り

②商品開発

③運営方法や組織

 

それぞれテーマを変えて、回会を重ねるごとにリアリティが増し、

地域内のプレーヤーを知り、繋がり、実行へつなげる未来を見据えた設計となっております。

 

市内、市外からの参加も可能で、メンバーは随時募集して参ります。

今後にご期待ください。

 

★プロジェクトのfacebookページはこちら

https://www.facebook.com/tlwpj/

Posted by wpmaster on 金曜日 9月 2, 2016 Under — 産地ブランド・選ばれる林業会社, pick up, すべての記事, プロジェクト活動記, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

ご縁あって、私・岩井有加が三重大学生物資源学部の1年生向けに講義をさせていただきました。

「生物資源学総論」として、農林漁業全般についての講義の中で、

ゲスト回としてお招きいただきました。

 

林学出身の自分自身が、

「自分が学部生のときにこんな講義が聞けたらよかったのに」と思う内容をお届けしました。

 

タイトルは「森ではたらく!~林業の魅力とキャリアプラン~」。

 

私の経験上ですが、

大学の林学で教科書通りの勉強をしていると、

「林業はスギヒノキ⇒間伐せねば」という単純な方程式に凝り固まりがちで、

また右肩下がりのグラフばかり見ていると、「林業は暗い」という

”林業自虐史観”のようなものが、気が付いたら刷り込まれていることがあります。

 

また、林業と言われても、具体的にどのような人がどんな仕事をしているのか、

大学の授業では出会う場面が少なく、

なんとなく「木を伐ること(キコリ)が林業?」「大学を出たら就職先は公務員?」

くらいのイメージしかないものです。

 

そこで、

●スギヒノキだけではない、日本の林業の多様性

●そこに生きる「はたらき方」の多様性

 

を伝えるべく、お話しいたしました。

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テーマの一つ「学生時代に行っておくべき林業地10選!」では、
(といいながら15個くらい紹介したと思いますが)

 

私が実際に訪れた、各地の

著名な、また知られざる日本の林業産地をご紹介しました。

 

・日本三大美林&日本三大人工美林のどこか

・スギヒノキの中でも北山林業など特殊な施業

・カラマツ、アカマツ、アテなど多様な針葉樹林業

・広葉樹林業

・海外林業(どこか1つ)

 

を、学生時代のフラットな目で見て視野を広げておくことが大切と思います。

それに加えて、

 

・自分の身近にある山、ご縁のある山

 

と出会うこと。

これは、近所の山、家族が所有する山、サークルや研究で出会う山

どんなきっかけでも構いませんが、自分が林業を見るときの、軸足となる山です。
思えば私も学生時代には、

かなり色々な方々にお世話になり、各地の山に御邪魔しては勉強させていただきました。

しかし、仕事に就いてからも、まだまだ新しく出会うことばかりで、林業の世界は本当に広く、底知れず奥深いのです。

~~~

 

また、キャリアプランを描くべき参考図書として、

「森ではたらく!27人の27の仕事」をご紹介しました。

 

ここには、森の多様な資源をいかし、それぞれのライフスタイルを体現している27人が登場します。

木を伐る人や公務員だけでない、可能性を感じてもらえればと思います。

 

 

 

みなさんの「10選」はどこですか?

 

みなさんの「はたらく」は何ですか?

 

 

考えて頂くきっかけになれば幸いです。

お世話になりました三重大学の皆様、この度は誠にありがとうございました。

 

岩井有加

 

Posted by wpmaster on 火曜日 7月 5, 2016 Under — 大学連携, pick up, すべての記事, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

 

 

6月25日は広島県北広島町にて、
広島県木造住宅生産体制強化推進協議会事業の一環で、講演及びワークショップのファシリテーターを務めさせていただきました。
★チラシの詳細は、画像をクリックしてご覧ください。

 

 

 

 

なお、「中国山地の木をプレミアム化するマーケティング講座&ワークショップ」と題した当講講座は、
6月25日、8月27日、10月30日と、全3回のプログラムを予定しています。

 

初回は「日本の林業の概要を知り、プレミアム化とは何か考える」をテーマに掲げ、
建築設計士、大工の方々を中心に25名の参加者様にお集まりいただきました。

 

今回の講演は、このようなメニューで開催しました。

 

①日本の林業概要
・日本の木材と産地
・選ばれる製品(地域産材)、3つのポイント
・日本の森林概要
・日本林業の市場規模

 

②価値観とは何か
・自分軸と時間軸
・情熱方程式

 

③マーケティング講座
・消費の3要素
・ライフサイクル(地と図の関係)
・代替財と補完財
・セルフコントラスト

 

④ワインのような日本の林業~産地紹介~
・奈良県川上村 吉野林業について
・工務店主催の伐採見学ツアー
・林業の企画と規格

 

また、講演の間には「地場産材をプレミアム化するためのワークショップ」と題して、
参加者が3つのチームに分かれ、“住宅10ニーズ”についてアイデアを出し合いました。

 

 

今回のワークショップは、
1) 家づくりで重視されるポイントを優先順位の高い順に列挙し、ルール化
2)古川より「住宅10ニーズ」のフレームをレクチャー
3)「住宅10ニーズ」×「地域産材」の掛け算による売り方を提案

 

という手順で進行しましたが、日頃から家づくりに携わっておられる皆さまですので
住宅そのものの商品の他にも、立地、住宅保証やローン計画の提案といった、住宅販売に纏わる
重要なポイントを網羅的に書き出していただきました。

 

 

しかしながら、
「住宅10ニーズ」×「地域産材」の掛け算による提案となると、
「う~ん、とても難しい!」
「そもそも、このアイデアが弱いから、日本の木が売れない訳ですね!」
「正直なところ、自分が家を買うことをイメージしたら、より悩ましい」
といった反響がありました。

 

 

短時間のワークショップではありましたが、参加者様同士で話し合った後は、各チームによる発表会。
付箋に書き出したアイデアを発表していただきました。

 

 

 

全体的に設計士工務店関係の参加者様が多かったためか、
住宅10ニーズに対する理解が高く、地域産材を掛け算で売っていく必要性を意識されている一方で、
国産材を使った家づくりの提案については、
・地域資源の利用、環境保全等の大きな理念のため
・施主へ補助事業を提案できるため といった認識がありつつも、

 

 

一方で、

「地域産材の材料としての良し悪しを知らなかった」、
「地域産材の物語性について付加価値を掘り下げたことが無かった」等といった感想が挙げられました。

地域産材の強みや特徴とは、
異素材、他産地材と比較して見出されるものでもあります。

 

つきましては、次回8月27日(土)の講演&ワークショップでは、
「木材が選ばれる理由を定義しトータル林業について考える
~異業種、異素材、他産地の木材と比べて地場産材の強みを定義する~」をテーマに掲げ開催します。

 

今回のワークショップのテーマに掲げた「住宅10ニーズ」×「地域産材」の掛け算による売り方を宿題に、
アイデアを持ち寄って、さらに北広島町産材の強みについて、掘り下げていきたいと思います。
ぜひ、川上から川下の関係者様まで、お誘いあわせの上、ご参加くださいませ。

 

 

なお、講演終了後には、7名の方々に古川の著書「森ではたらく!27人の27の仕事」をご購入いただきました。
ご購入いただいた方にはサインを書かせていただき、それぞれの“森ではたらく仕事像”について、お話することができました。

 

講演中にも「林業・木材業の“担い手”で何が起こっているか?!」と題した内容をご紹介しましたが、
書籍の中では、森を伐る人、森を香らせる人、森で育てる人…27人の著者が自らの言葉で、等身大の想いを綴っています。

 

それぞれの目を通して見た、はたらく場としてのリアルな「森」像。
実際に森ではたらく方のみならず、山や森が好きな方、街に日常を置く方々にも、
仕事と暮らしの「日常」と「非日常」について、感じていただける一冊となっております。

 

★まだお読みでない方はこちら↓↓
森ではたらく!27人の27の仕事  販売ページ

 

 

最後に、参加者の皆さまからのアンケートから一部をご紹介いたします。

 

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講演受講者さまアンケート(一部抜粋)
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■建築設計事務所 A様
県産材の売り方について聞かれた時、そこが分からないのに気づかされた。
一般論で、地元の土地に地元の材料は、リーズナブルで安心とはいえるが、
本当の質については全く分かっていない。そこを探すことが大事。

 

 

■素材生産業 B様
林業の市場規模の話を聞き、広島の田舎で本当にその規模感を体感しています。
同時に、自分の価値観とは、立ち位置で変わるものだと実感しています。
今日も、講演の場で、情熱を持った同志と出会い、再会がありました!

 

 

■デザイン設計事務所 C様
単純に木だけでは売れないということを再認識しました。
何をもって売れるものにするか。(売れることは、プライドと継続性に不可欠)

デザインという自分の立場も踏まえつつ、考えていきたいです。

何度お聞きしても、マーケティング理論は勉強になります。
「なんとなく地場産材」からの脱却の重要性も認識しました。

 

 

■NPO法人 D様
消費の3要素がプレミアム化のヒントになりそう。
ストーリーをつくる具体例などをもっと知りたいです。
山林ツアーの事例紹介も、何をどう見せるのかと参考になりました。
町内同士でも知り合うきっかけが少ないので、参加者同士の交流から雰囲気づくりについても期待します。
また、日本林業の全体が見える講演でした。今後は、広葉樹の活用事例についても知りたいです。

 

 

 ■E様
価値提案のお話が良かったです。
立場を置き換え、WEB作成等と重ねて考えると、イメージが膨らみました。

 

 

■ F様
ワークショップを含め、参加者同士が会話をする時間をもっと取っていただいたらより面白くなると思います!
他の職業の人の考え方を聞くことで、木について理解できるのではと思います。
山を見る会、木を語る会の開催はいかがでしょうか!!

 

 

■工務店関係 G様
顧客目線のマーケティング、国産材の売り方等々、
新しい視点からのお話で、大変参考になりました。

 

 

■大学関係 H様
木材のブランド化のために必要な3要素のテーマが大変印象に残りました。

 

 

■行政関係 I様
初回、導入となる会でしたが大変楽しく、勉強になりました。
私の仕事である「町のブランディング」やマーケティングについてのお話、
価値の作り方、とても参考になりました。

 

 

■J様
予想外の講演でした。
範囲、掘り下げの深さ、視点…
気持ちよく聞けて満足です。

内容が多すぎて印象に残る点が絞り切れないくらいでしたが、

次回もよろしくお願いします。

 

 

■まちづくり関係 K様

トークのパワーとテクニックがすごいです。
伝えるごとに具体例があり、モデル図もあって分かりやすかった。
マーケティング論やスキルについても大変勉強になりました。

森林の土地利用としての役割とステージごとの条件について、
林業に適する山と不適合な山の条件などがあると思います。
そのような意味で、日本の山林はどの地域が好条件なのでしょうか?

建築用材の他に、強度を含めてスギの家具材やヒノキのプラスチック複合材などの加工方法もあるかと思いました。
このような使用事例の市場規模は小さいのでしょうか。
次回は、海外の林業事業やブランド化についてもお聞きしたいです。

 

 

■まちづくり関係 L様
話を聞くだけではなく、自分達で考え、楽しく参加できました。
地域の山を元気にするには、何をすればよいだろうか?

 

 

■都市計画関係M様
相変わらずのキレキレの語り口調で、端的に整理されていますね。
色々な経験が生かされていると感じました。

 

 

■建築設計業 N様
市場規模は小さいが、国土の大半を占める森林。
そのうち、植林地も多く、地産池消えるのために、林業の復活再生はとっても重要だと思っています。
その術を学びたいと思い受講しました。マーケティングの手法を知り、
上手に活用すれば、林業以外のビジネスでも活用できると思いました。

 

広島県産材の特徴を知る必要があり、国産材や他産地材、海外産材との違いを理解し
売り込みのアイデアを出すことも必要となるでしょう。
何に、どこに活用すれば材が光り輝くのか、次回の講座で考えたいと思います。

 

 

■建築設計業 O様
木材についての講座でしたが、それ以外にも通ずる内容で、興味深く聞きました。
私は主に、家屋調を生業としています。空き家や古民家に入ることが多くありますが、
古材の利用やリノベーションについても興味があり、知りたいです。

 

 

■NPO法人 P様

芸北の木をどう生かしていけるか、沢山の気付きを教えていただけたなと思います。
林業に関わらず、芸北地域を良くしていきたいと思っている人と第二回に参加したいと思いました。

 

 

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アンケートにご協力いただいた皆様に、心より御礼申し上げますと共に、
次回の講演についての参考とさせていただきます。

それでは、第二回8月27日(土)も、よろしくお願い申し上げます。

 

Posted by wpmaster on 土曜日 6月 25, 2016 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

5月21日、早くも夏を感じさせるほどの陽気の中、

「“国産材2.0”日本の森と暮らしをプレミアム化するマーケティングセミナー」を
開催致しました。

 

創業5年目を迎えた弊社の本拠地・大阪にて、

日頃からお世話になっている皆様からはじめてお会いするお客様まで、
幅広い層のお客様にとご用意した特別セミナーは、
開催1週間前から満席となり、結果43名もの方にご参加いただきました。

 

今回のセミナーのテーマは「国産材2.0」。

これまで、おもに建築家の呼びかけで進められてきた、国産材利用と産地連携を、

次の「第二世代」は、産地側が自ら発信し、

業種を超えてトータル林業により連携していく。

 

そのために、林業、製材、流通、工務店、そして行政がすべき「50の条件」をメイン講座でご用意いたしました。

内装に杉を利用した、バー風の空間で、
各プレミアム産地のサンプルや商品展示もご覧いただきながら、
セミナーが幕を開けました。

 

~本日のMENU~

【1】古川大輔 講演

【2】ゲスト講演「私達、これでプレミアムになりました!」

【3】公開レッスン

【4】懇親会&林業BAR

 

それでは、当日の様子をお伝えします。

 

【1】古川講演「明日からやれる!日本の森をいかすPremiumな林業会社、製材メーカー、木材流通店、工務店になるための「50の絶対条件」大公開!」

メインセミナーとなる弊社代表・古川大輔の講演。

これまで10年間の、各地でのコンサルティング経験から編み出した、

独自のマーケティング視点と、実践にすぐにつなげられる、経営の秘訣をお伝えしました。

 

まず第1講座は、「プレミアムとは何か?」を考えるための基本講座。

「自分軸と時間軸」、「情熱方程式」、「理念と利益」など、

利益の源泉となる考え方や、価値観についてレクチャーいたしました。

「あなたにとっての田舎はどこですか?」

「あなたにとって何が日常で非日常でしょうか?」

「本質的な自社の強み、3つ挙げられますか?」

 

日常と非日常の差異が、顧客に求められることで価値を生み出していく。

そのことに気が付くことから、すべてのビジネスが始まります。

 

 

そして第2講座は、

「明日からやれる!日本の森をいかすPremiumな林業会社、製材メーカー、木材流通店、工務店の50の絶対条件」と題して、

 

まず初めに、競合他社との差別化のための「7要素」をご紹介。

そして、業種別にそれぞれ10個、プレミアム企業になるためのポイントをご紹介しました。

 

 

 

【山から直接仕入れをせよ。】

⇒ただし、コストは上がります。それでも直接仕入れをする理由とは・・・!?

 

 

【品質基準書をつくるべし】

⇒品質基準は、JASだけじゃない!自社基準を明確にし、「約束」すること。

 

★つづきは・・・古川の講演を収録したDVDを後日販売予定です!詳細後日。

 

【2】ゲスト講演「私達、これでプレミアムになりました!」

次にゲスト講演として、弊社がプロデュースさせていただいた企業様から
過去、現在の取り組み、そして未来への抱負を語っていただきました。

 

プレミアム製材メーカーは、竹下木材有限会社様。

島根県で、地松を専門に製材されています。

 

実は以前は、マツよりもスギや外材を挽いていましたが、

理念を整理し、地松に特化して事業を進めていく覚悟を決め、

商品開発、顧客開拓、設備投資を重ねたことで、現在があることを

参加者の皆さまにお伝えいただきました。

 

 

次に、プレミアム林業会社からは、株式会社ソマウッド様。

静岡県にある全員がIターン者であり30代という会社です。

代表の久米さまからは、社員の幸せを軸にした、雇用体系やオリジナルの福利厚生、

そして情報発信、販路開拓について、試行錯誤しながらも前に進むその取り組みを、熱く語っていただきました。

 

「林業では珍しいから、ではなく、当たり前のことを当たり前のようにやろう」

というメッセージをいただきました。

他業界では当たり前のWEBサイトを作る、当たり前の正規雇用をする。
そこからさらに今後は、「当たり前+α」ができる会社を目指しているとのことでした。

さらに、当日参加できなかったプレミアム企業の皆様からは、

ビデオメッセージをお寄せいただき、上映させていただきました。

 

 

【3】公開レッスン

 

講演終了後、ご質問を募り、その場で古川と会場の皆様からアドバイスを行う、

ディスカッション形式の「公開レッスン」を行いました。

 

ご質問を頂いたのは、京都府からお越しの林業会社様。

「山林を手放したい」という所有者が増える中、自社で購入すべきか、

どのように所有者に利益を還元していけるのか、という問いかけに対し、

 

それはまさにビジネスチャンスであること、また

長期的視野に立ち、ビジョン=夢を描くことの重要性について、

会場も巻き込んでの議論となりました。

 

 

【4】懇親会&林業バー

セミナー後は、参加者の皆さまと、熱い懇親会です!

 

今回、「お酒を通じて、山や木の世界に出会う」を
コンセプトに活動している、「林業BAR」のお2人が駆けつけてくれました。

 

お二人とも、実際に林業や建築に携わりながら、

ユニークなカクテルで出張BARを展開されています。

 

当日も「クロモジントニック」、「山椒モヒート」、「ヒノキ角ハイボール」など、

普段は味わうことのできない林業にちなんだ森の味を楽しみました。

 

 

 

 

さらには、プレミアム産地の一員であり、

木工と酒造を手掛ける地域商社「ばうむ合同会社」様からは、

自社商品である本格米焼酎「天空の郷」の試飲や、

オリジナル木製品「もくレース」の争奪じゃんけん大会のサプライズもあり、

会場は大いに盛り上がりました。

 

 

 

 

 

今回、関西を中心に、新潟、東京、鳥取、宮崎などから、幅広い業種の方にお集まりいただきました。

普段会うことのない遠くの同志、そして異業種の方、
ホームページなどでお互いのことを知っていたが直接会うのは初めて、
といった参加者同士の出会いの場となりました。

~~~

おかげ様をもちまして、本セミナーを大盛況のうちに終えることが出来ました。

全国各地から多くの方にご参加いただき、感謝しております。

 

★★参加者の声★★

 

「工務店を進化させられる内容だと感じました。自分たちのスタイルや教育を見直す機会になればと思います。今回のセミナーでは全国各地で活躍されている方の話がきけたことが1番良かったです。」

 

「改めて、選ばれる林業会社を目指していくことを決意しました。」

 

「具体的な事例を紹介しつつ、概要をわかりやすくお話してくださり、まだまだ聞きたいなと思う内容でした。」

 

「初めて古川さんのお話を聞いて、まず刺激的でワクワクする気持ちと、実は林業界の現実は厳しいという背景がある中でのドキドキがある感覚を味わった半日でした。実際にできることがたくさんあることを、見える化していただいたので、具体的なイメージが膨らみました。」

 

「プレミアム○○のための絶対条件!で、具体的に提示して頂いた内容から、現在自社でできていること、中途半端なこと、やった方が良さそうだが目的と効果が不明瞭だったことがだいぶ明確になり、本腰を入れて取り組んでいこうと背中を押されました。ありがとうございました。」

 

「木が好きで設計の仕事をしていますが、今の建築業界は林業界には目を向けていない現実にどうしたらよいか考えていました。今回のセミナーで、林業界の現状を知ることができ、最終顧客に近い設計者こそ、林業界の方とコミュニケーションをとる必要性があるのではと感じました。」

 

「業界の垣根を越えてのセミナー、新鮮でした。次回も機会があれば参加したいと思います。」

 

他にも多くの嬉しいお言葉をいただきました。
この度の出会いを大切にし、今後も、このような学びと出会いの場を創造してまいります。
次は是非、皆さまの地域でお会いしましょう!

 

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今回のセミナーに参加したいのに行けなかったという方に、朗報です!
今回セミナーの内容を収録した、DVDを、数量限定で販売いたします!

★販売予定価格:12,000円(税込)★
★6月発売予定★

購入方法等の詳細は、後日弊社ホームページにて発表致します。
お楽しみに!!
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Posted by wpmaster on 土曜日 5月 21, 2016 Under — プレミアム流通店, — 地域ブランド工務店, — 産地ブランド・選ばれる林業会社, — 選ばれる製材メーカー, pick up, すべての記事, セミナー報告, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演・研修、コーディネーター