1月21日、長野県安曇野市もくりゅう館にて、

森林フォーラム「これからの森林経営と林業創生を考える~マーケティングの視点からみた林業創生と人材育成~」が開催され、

弊社代表の古川が講演を致しました。

 

長野県は県の面積に対し、森林が占める割合が実に78%に相当(高知、岐阜に次いで全国3位)する日本有数の森林県。「日本のへそ」とも言われる長野県はまさに「林業の中枢」を成しております。

 

今回の講演では、総勢100名近い行政、森林組合、民間林業者の方々にお集まりいただき、「マーケティング」という視点からの林業創生、活性化について学んでいただきました。

 

開催挨拶 長野県林務部長 山﨑様より

 

長野県林務部長 山﨑様より開会のご挨拶。

来年度よりはじまる森林経営管理法、森林環境税についてお話いただき、、年々関係が希薄となっている「森林」と「所有者」の問題を解決する一手として、長野県も多くの人が森づくりに参画しながら、森を活かす支援をしていきたいという力強いお話をいただきました。

 

古川講演~持続可能な経営マーケティングとは~

 

 

弊社代表 古川よりマーケティング視点での森林経営についてお話をさせていただきました。

 

トータル林業、フリースタイル林業

 

「林業者は業界を知りすぎてしまっている」

前例踏襲、仕方ない、こういうものだろう…

衰退が続く林業業界の根底にはこうした呪縛が存在するのではないでしょうか。

 

既存の枠組みに囚われない「フリースタイル林業」「トータル林業」で良いじゃないか。

 

例えばラーメン業界を例にあげると、「醤油ラーメン」もあれば「味噌ラーメン」も「塩ラーメン」もあるわけで、

経営者(店主)が好きなものを表現した結果、その集合体としての「ラーメン業界」が存在し、林業もまたいろいろな形があって良いということをお話させていただきました。

 

既存の素材生産という枠組みから、加工・販売、異業種とのコラボレーション、引いては地域づくり・コミュニティづくりまでを含めて「林業」と定義づけすることでマーケットも広がり、新たな業界の可能性が拓けてくるのではないでしょうか。

 

マーケティングとは

 

企業の倒産理由の66%は「販売不振」によるもの。

マーケティングの父フィリップ・コトラーはマーケティングのコンセプトを以下のように説いております。

 

‐今日のビジネス界が直面している中心問題は商品の不足ではなく、顧客の不足である。

‐マーケティングとは企業の顧客製造部門である。

‐マーケティングの目的は販売(セールス)を不要にすること

‐マーケティングの対象は3つ

①よい顧客

②よい資金(投資家、ファンド、金融機関)

③よい人材(社員、パートナー)

 

販売不振、物が売れない理由を考える時に、自社の商品やコストについて考える視点は当然重要ながら、

商品を買うのは「顧客」であり、自社の製品・商品が「過剰生産」となっている視点に立ち返り、「顧客を創造する」というのがマーケティングの基本的な考え方です。

 

さて、林業の世界における顧客とは。

原木市場?製材工場?バイオマス工場?山林所有者?行政(補助金)?

既存の販路では顧客の数は限られ、パイの奪い合いでは限界がありますし、各事業体、戦略によって異なるもの。

前述の通り、「トータル林業」「フリースタイル林業」の視点を持ち、新たな市場を創ることは、すなわち新たな顧客を創ることに繋がります。

 

経営とは?価値観とは?

 

「経営が分からずに事業をやるのは、運転の仕方を知らずに自動車を運転することに等しい」

 

「事業を営む」と「会社を経営する」は決して同義ではないのですが、多くの林業経営者の方々は素材を生産し、

木材を卸す事業=経営とはき違えてしまっているケースが多く存在するように見受けられます。

 

「経営」という土台があり、その上に「事業」は成り立ちます。

資金調達、運営管理、マーケティング、財務会計、情報収集、人事採用…

経営の要素は多岐に渡りますが、これらを理解せずに事業を進めることは、運転の仕方を知らずに自動車を運転すること、無免許運転(違反)に等しいのです。

 

そして、会社経営の礎を創るものは「理念」であり、「理念」を創るものは経営者の「価値観」であり、「情熱」。

情熱とは「好き×憤り」の方程式、そして自身の過去の原体験から生まれるものです。

 

「好き」は持続的に人や物事と向き合い続けることのできる動機付けとなり、

「憤り」は行動を起こすため、課題や試練と立ち向かうためのエネルギーとなります。

 

自身の持つ「情熱」を「理念」に。

そして、その「理念」を「経営」に。

 

産出額、市場規模について~長野県の林業の実態を知る~

 

会社経営をする上で、自身の業界を知る、地域の現状を知るという視点が非常に重要です。

「長野県の木材生産の産出額知ってますか!?」という問いかけに対して、会場では首をかしげる参加者も多く、業界の現状を数値でご紹介させていただきました。

■日本

【産出額】

林業生産額 4405億円(木材生産2135億円、栽培きのこ類2270億円)

漁業生産額 1兆236億円

農業生産額 9兆3053億円

【比率】

林業(原木)1:漁業5:農業44

■長野県

【産出額】

林業生産額552億(木材生産46億、栽培きのこ類506億)

農業生産額2,420億円

【比率】

林業(原木)1:農業53

※平成28年度 農林水産基本統計データより

 

数値で見ると改めて林業という市場が他の産業と比較し小規模であることが分かります。

重要なのはこの数値を見て、林業経営者がどのように受け取り、行動を起こすか。

 

数百年、数千年前から私たちの生活と密接に関わってきた森林。

数十年、数百年の時間をかけ先人たちの想いを継ぎ、育ててきた木。

これが大手企業1社の利益で回ってしまうという現実。

 

改めて業界を知るということが、前述の「憤り」にも繋がるのではないでしょうか。

 

平澤林産有限会社 平澤様 ~社内教育、安全管理の徹底~

 

小休憩をはさみ、第二部のパネルディスカッションでは、

長野県伊那市の林業経営者、平澤林産有限会社の平澤社長より自社の経営についてお話頂きました。

 

「林業において最も重要なのは無事故であること。事故が平然と起こるようであれば、林業なんてやらない方が良い。」

 

林業における労働災害の件数は他の産業と比較して、圧倒的に高く、平成29年度では約40人の方が命を落とされています。

(林野庁ホームページより:http://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/anzen/iti.html

 

県内一の社員教育の徹底を自負されている平澤林産では、安全管理に対する教育が徹底されており、この10年で起きた事故は1回。

(※打撲程度の軽い怪我のみ)

林業は、マーケティング第一ではなく、あくまでも、一番はやはり安全性であります。

そんな平澤林産様は、安全管理のみに限らず、社員に憩いの場を提供したり、またドローンを活用し安全かつ効率的に森林調査を行う等、活発に取り組まれており、パネルディスカションの前にご講和をいただきました。

 

「社員の環境整備(安全管理、教育、育成)が整っている会社が最後には勝つ!」と力強い言葉。そして、

平澤社長の強い理念、前述の「経営」という土台を意識して事業を営んでいることが強く伝わってきました。

 

 

パネルディスカッション~弊社代表 古川より~

 

パネルディスカッションでは古川より講演内容にあった「経営」「マーケティング」という考え方の具体的なアクションについて、

詳しく解説をさせていただきました。

 

まず経営にはいくつかのフレームがあり、それを知っているかどうかが重要であり、4つ、5つで構わないので、

経営者が自分事化でき、自社に当てはめることのできるフレームを知っていることが重要になります。

 

例えば「3C(顧客:Custmer,自社:Company,競合:Competitor)」というフレーム(考え方)があるが、それだけで自社の「強み」は見えてきます。

 

3Cのうちのひとつ、競合(ライバル領域)を考えた時、

例えば、林業では、A材、B材、C材というが、A材(製材用)のライバルは外材だけでなく、より広義的な見方をすれば鉄骨でもあるわけです。

 

B材(合板用)も、C材(チップ用)も、ライバルは異素材にもあるはずで、ライバルがどこにいるのか、

この視点を自身の業界のみの狭義的な視点で見るのではなく、異業種・異業界も含めた広義的な視点で捉えることが市場で生き残ることに繋がっていきます。

 

最後に、経営とは理念と利益の設計力。

マーケットニーズをとらえ、ライバルにない独自の商品力(製造力、サービス力)…

そして、それを売るための販促(広報、広告)、営業力(提案、対人)…

また、それらを、実行していく人材と組織(チーム力)、財務(資金繰り、管理会計)、固定客化…

そして、それを日々廻していく目標設計力とPDCAマネジメント。

 

これらは独立したものではなく、全部一緒であり、これが繋がっていなければ正しい経営とは言えません。

もし一部ができないのであれば、誰かに託す、任せる、委託するといった手段を取り、経営者自身が勉強し、自分の力にしていくことが必要です。

 

それこそが経営であり、どの業界・業種でも変わることはありません。

 

参加者の声

 

・情熱=好き×憤り、まさに記憶に残りました。生ける「シカバネ」にならないよう、いつまでもある程度の情熱は以て続けていきたいものです。

 

・経営意識と事業管理に関して、フォレストリーダーを通して、教育していく必要性を感じました。

 

・生産性とマーケティングの話はもっと聞きたい。まずは、顧客がどんなことを望んでいるか、洗いざらい出してみたいと思います。

 

・価値観を作るものが何か、考えさせられました。理念と利益。まさに、やはり補助金からの脱却がテーマです。

 

・運転免許がなく自動車を運転するがごとくという話にあったが、経営の事を知らず、林業の事を考えることがいかなる誤りかを知った。改めて、何が他の地域と違うのか、他の森林とどう違うのか、掘り下げたい。

 

・行政的に選定するとそうはならないでしょうが、「顧客が評価すべき!」という見方は良い!顧客が事業体をしっかり選び、委託できれば、それがより良い!

 

・まさに、経営感覚を持った社員の育てる方法、経営感覚が低い経営を変える方法をもっと知りたい。

 

最後に

 

今回のフォーラムでは大変多くの方々にご参加いただき、林業経営について学び、考えていただきました。

衰退産業と言われる林業界ですが、まずは「経営」を知り、業界を知り、異業種にもアンテナを張ることで、新たな市場を創造し、新たな顧客を獲得することが重要です。

 

現在、衣料品や雑貨のセレクトショップで有名なBEAMSが牛乳石鹸共進社とコラボレーションし、衰退が続く東京都内の銭湯の活性化のイベントを開催しております。

(BEAMSジャパンHP https://www.beams.co.jp/company/pressrelease/detail/311

 

「アパレル×銭湯」

まさに既存の枠組み、業界の垣根を超えた取り組みです。

 

「林業×〇〇」の無限の可能性を模索しながら、全国の林業地域活性化のための支援を今後も続けて参ります。

 

林業×マーケティング×リクルートに係るご相談・講演依頼等は、お問合せフォームからお受けしています。

 

ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。
過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。
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西日本では、紅葉が見ごろを迎え、立冬も過ぎ朝夕の冷え込みが厳しくなってきた11月18日(日)、大台町林業総合センター研修室にて、みえ森林・林業アカデミー第1回公開講座が開催されました。

(みえ森林・林業アカデミーFacebookページ:https://www.facebook.com/miemorimanabi/photos/a.260213024750158/344476132990513/?type=3&theater

みえ森林・林業アカデミー(三重県林業大学校)の来年4月からの開校を記念して、新たに始まる講座の一部を体験していただく機会として、誰でも参加可能の公開講座ということで、記念すべく第一回に、講師、全体コーディネーターとして弊社代表古川が登壇しました。また、他にも、宮川森林組合 林業振興課 中須真史 様、トヨタ自動車(株)社会貢献推進部社会貢献プログラム室  國友淳子 様、ノースジャパン素材流通協同組合 営業企画部 次長 八柳芳昭 様が講師として集まり、各講師の講演と参加者の質疑応答を交えたクロストークを行いました。なお、森林組合職員、素材生産業者、行政、その他含め約30名の方のご参加がありました。

今回のテーマは、「森林資源の新たな活用」。多様化する世の中の需要や、改めて見出される隠れた需要への対応がビジネスチャンスへとつながる中で、これまでとは違った新たな視点による森林資源の活用について考えました。

 

 

林業、地域、企業、自分を変える

林業の定義(領域)は、自分たちで決めよう。「日本の林業どうあるべきか」ではなく、「自分たちがどうありたいか」が重要であるというお話をさせていただきました。

「林業を変える」「地域を変える」というビジョンはもちろんありつつ、実際は、自分が作りたいもの、サービスを届けたい人に送るという「経営力」が重要であります。

そこで、一人、一企業だけで行うだけではなく、地域で関わり合う全員でチームとして動く必要が出てきます。自分の分野は、素材業だから、流通だから、加工メーカーだからと視野を狭めるのではなく、最終顧客に商品を届けるチームとしてブランドを確立していくことも1つの方法です。

また、ブランド=ビジュアル(見た目)ではないというお話もさせて頂き、林業のブランドを作るというのは、その土地、地域ごとの気候風土や樹種・品種、施業方法、時間軸(歴史)に基づいて、立地(商圏)・規模(物流)を考えて作り上げていくべきものであり、他地域の実際の経験してきた事例も一部紹介させていただきました。

 

収益機会のBefore⇒Future

素材生産業者の方は、丸太を原木市場に出すのかは仕事かもしれません。しかし、もっと森を楽しむ仕事はあるのではないでしょうか。

かつて(before)は、山には桜や紅葉、名所の借景などの文化・景観的要素、ハイキングやキャンプといった自然環境を活かしたアクティビティがありました。ただ、木材といっても、原木から構造用材になる以外に、今後(after)は、内装材、家具・小物(ノベルティ)、シロップや精油など様々な商品、森林空間の体験では、森林セラピーや森林浴などへとマーケット(顧客層)の展開、拡大すべくニーズが高くなっています。

全国では新しい森林の収益モデルが数多く生まれ始めています。森林には、林業におけるA材品質を高めることが重要(前提)としても、単に丸太を生産するだけではない、「自分の好き」から利益を生み出す可能性が秘められているのです。トヨタ自動車様(フォレストチャレンジ)、ノースジャパン素材流通協同組合様(薪ビジネス)、宮川森林組合様(アロマ、燻製チーズ)の新しい事例を踏まえ、

 

1)ニーズを聞いて、自らマーケットを作り、変革し動くこと

2)世間のニュース、流行、時流を捉えて、アンテナを張ること

 

をポイントとして、お伝えさせていただきました。なおクロストークでは、担い手の課題がでましたが、林業が、いつごろの原木単価に戻れば、補助金なく経営が出来るのかというのをまず計算し経営努力を日々行いつつ、そのうえで、林業だけで稼ぐというのでなく、自分自身が森ではたらく!楽しさを、色々な趣味をしていくことが大事ということも話題が広がりました。

講演後に、改めて、弊社としてまとめますと、

 

●野性(情理)をもって森と共に「多趣味」で仕事をする

●知性(合理)でもって経営を強く「多収益」を得る

 

そのための林業のプロたちだけではない、新たなマーケットは結果うまれてくるもので、まずは森に対して「交流人口」「参加人口」を増やそう!と、著書「森ではたらく!27人の27の仕事」を紹介しつつ、現在、全国で増加している林業大学校の中で、来年度の「みえ森林・林業アカデミー」の講座に期待すべくことをお伝えさせていただきました。

参加者の声

【県職員:Y様】

マーケティングの中身について、本講義の方で是非伺いたいと思いました。特に、マーケティング1.0~3.0を事業体にどう理解、実践してもらうかについて、掘り下げてみたいところです。また、県としても「定時、定量、定質」をキーワードに事業展開しようとする中で、QCDを林業でどのように実践していくかについても大変興味があります。

 

【市職員:U様】

トータル林業について、吉野林業などの全国の事例も参考になりました。市としては、尾鷲ヒノキの販路拡大をしたいが、構造材は頭打ちであるため、差別化された内装材に目を向けるべきか、木工製品なども含めて、具体的な事業に対する詳細をもっと知りたくなりました。

 

【公益社団法人職員:S様】

林業の顧客は誰なのか、今まで思っていた以上に様々な人が森を愉しむことが出来ても良いのではないかという視点が自分が関わる事業の参考になりました。あらゆる世代や地域を対象に、森や林業に親しみを持ってもらえる活動(森林環境教育や木育)を推進していきたいと思います。

 

 

さいごに

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全国的に暑さ続くお盆明けの8月20日(月)、

青森県弘前市は青森県武道館にて弊社代表古川が講演をさせていただきました。

今回は津軽流域林業活性化センター様主催の「林業のビジョンと地方の創生」にて、60名を越える青森県内の業界関係者の皆様に「地域独自の林業ビジョンと地方創生~これからの地域林業に大切なこと~」と題し、講演とワークショップをさせいてただきました。

 

全国の林業地、何か所訪れたことがありますか?

講演に先立ち、会場の皆様に「全国の林業地を3箇所以上訪れたことがある人!」と伺ったところ数名の方に挙手していただきましたが、他地域林業地を訪れたことが無い方も多かったため、吉野川上、信州松本、岩手岩泉など、全国の事例をいつもよりも多く紹介させていただきました。

 

孫子の言葉に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という一文がありますが、まさに己(自地域)を知るためにも他地域の状勢や活動を自身で見聞きすることが重要です。

 

また、他地域を知りインプットだけで終わるのではなく、良いところは素直に受け止め、真似ることも大事です。学ぶの語源は真似るにある(まねる→まねぶ→まなぶ)と言われていますが、是非地域林業のビジョンづくりをする際には、他地域の良さをと自地域の良さどのように掛け算できるか、検討してみたはいかがでしょうか。

 

弊社としましても、今後は「日本林業のおススメ視察先ランキング」を作成し、視察プランを提案していきたいと考えておりますのでお楽しみにお待ちください。

 

 

自身と自県の強みを説明できますか?

講演では、ライフシフト時代の価値観、情熱方程式、「理念」と「利益」など多岐にわたる話題を提供させていただきました。そこで、ワークショップでは、講演を参考にご自身の

・価値観

・情熱方程式

・理念と利益

を出していただきました。

 

「私の情熱方程式は、情熱=好き×好きで憤りなど無い。」

「やはり、儲かる林業が一番。もっと効率的に利益が欲しい。」

とユニークかつ正直な回答も多く、

普段はワークショップをしないという方からも、

自身の仕事を顧みる良い機会になったとのお言葉をいただきました。

 

さらに、自県の強みを出し合った際には、全国ブランドの青森ヒバをはじめ、松枯れ被害が出ていない地松があること、豊富な広葉樹資源を有することなどの自然環境の利点の他にも、「『青森』という県の名前から良い!」というまさに青森県だからこそ出てくる回答もあり、自県のポテンシャルの高さを会場の皆様と再発見することが出来たワークショップとなりました。

 

 

参加者の声

【林野庁職員 M様】

ワークショップの講評の際に、サッカースタジアムの建設事例を挙げて「森林所有者に夢を語ろう、私たちにはクリエイティブ性がまだ足りない」とお話をされたことが印象的でした。私たちにも、様々な事例からきっかけをつかむ、感性が必要だと感じました。

 

【県庁職員 N様】

「地域づくり」をいキーワードにした林業の講演は、県内ではあまり無かったため、勉強になりました。特に経済学的な視点が織り込まれた話題は非常に新鮮でした。

私自身は、①既に林業に携わっている方に対してこれからどのように所得を向上させていくか②現在林業に関連のない一般の方へ林業に対する理解を深めていただくにはどうするか、という2点を最近意識していますが、どちらにも関連のある話題で大変参考になりました。

 

【市役所職員 H様】

あまり深く考えず、講演会に参加したということもあり講演内容に衝撃を受けました。奈良県川上村における森林ツアーのお話や全国各地のフリースタイル林業の事例が参考になりました。現在の事業にとらわれず、「地域として」何をするかを考え実行し、情報発信をしていきたいと考えています。

 

【森林組合職員 Y様】

「理念と利益」のお話が印象に残りました。毎日の仕事では、理念と利益を考えつつ行っているつもりでしたが、いざ講演を受け、ワークショップで改めて考えてみると答えることが難しかったです。また、私自身も「今までこうだったから、こうやる」という固定が年が付いているので、新しい方法を取り入れていきながら、「理念と利益」を考えていきたいと思います。

 

【森林組合職員 H様】

他の自治体の事例をもっと聞いてみたいと思いました。いくつかの事例を聞く限り、やはり青森県はまだまだ林業に関して遅れているのではないかと痛感しました。私が勤務している地域は山林が多く緑豊かな所なので、自治体や私たち森林組合が主となって林業を盛り上げていきたいと思いました。

 

 

夜は別講演、「就職だけをゴールとしない、働き方、生き方とは?」

講演終了後の夜、この日はなんともう1箇所で講演をさせていただきました。

 

コラーニングスペースHeart Lighting Station 弘前様主催のイベントにて弊社代表古川と、スタッフの高田が「企業戦士から、地域戦士へ。~就職しても報われない時代に、自立と持続可能を「林業」から考える~」と題し、主に就活を控えた学生の皆様向けにお話をさせていただきました。

 

今回は、地域への愛、ビジネスへの傾倒、行動力に溢れる青森県内の大学院生・大学生・高校生が集まりました。講演後の質疑応答や懇親会では、自分の町への誇り、今後のキャリアプランについて、多数のご相談に答える機会となりました。学生以外にもお昼の講演から引き続き参加いただいた方、地元企業の経営者の方など、普段はなかなかお会いできない異業種の方にも多くご参加いただきました。

 

林業の50年、100年、1000年という時間軸、さらに素材生産以外にも多岐にわたる働き方があることを知っていただくことは、異業種の方にとっては新鮮だったようで、ご自身の業務に係る理念や利益、自身のライフスタイルに合わせたゴール設計を考えるきっかけにもなったことと思います。

 

今回の講演は、弊社代表古川の大学サッカー部時代の後輩であるT様とのご縁で実現しました。長い人生、色々な友達や交友関係がどこでどう繋がるかわからない。そんな中、この日は、高校野球の決勝前夜ということもあり、東北一丸となって秋田県代表の金足農業高校を応援しよう!と、懇親会で立ち寄った弘前市内の居酒屋では、「勝手に応援。金足優勝に向けて乾杯生ビール半額。」の特別メニューが登場していました。

改めて、地域は就職だけをゴールとしない、働き方、生き方とは何でしょうか?どこで繋がるか分からないご縁や日常の地域(故郷)の好きや憤り(原体験)を振り返ってみると、見つかるかもしれません。今回の講演によって、参加者の皆様がご自身なりの「答え」やその答えに繋がる「気づき」を得られていますと、幸いです。

 

 

さいごに

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8月9日(木)、10日(金)の2日間は、福井県高浜町。

弊社のコンサルティング支援先である平田木材店様のインターン研修にて

インターン生へのレクチャーを実施しました。

 

今回は、インターン生は学生が2人、今月の5日(日)から6日間のインターンプログラムに参加していただきました。

また、今回のインターンシップは平田木材店様が会社設立をした昭和35年以来、初めての実施となりました。

 

 

大学で学ぶ3つのこと

大学生で学ぶこと、それは何か。

弊社では大きくは3つあるとお伝えしています。

①インプット

②アウトプット

③ネットワーク

それぞれを細かく見ていくと、

インプットは、基礎教養や専門知識です。

いわゆる講義や実習で学びえることであります。

アウトプットはレポートや論文作成です。

論理的に言葉を組み立て、他者に説明する力ですね。

そして、ネットワークは交友関係です。

大学生で築いた交友関係は社会人になった後にも続く同世代の仲間となり、共に仕事をするBtoBフレンドにもなる人が出てくることでしょう。

細かく見ていくと、まだまだ学びえることは多い大学ですが、大きくは以上の3つとなります。

 

また、大学でアウトプット、その中でも卒業論文を作成する際には、「問題意識を持つ」、「課題解決する」という視点が必要になります。しかしながら、単に問題意識、課題解決と言われても何を指標にすれば良いか分からなければ何もすることが出来ません。

そこで、PEST分析の視点を持つこと、つまりは政治的(Politics)、経済的(Economics)、社会的(Social)、技術的(Technology)な要因から分析することが重要であることをお話し、今回のような地域企業へのインターンをすることによって、それぞれの要因で実際に現実で起きていることを体験することが出来るということを説明しました。

 

 

自分をデザインする

レクチャーのまとめとしては、

「自分をデザインするための7つのこと」

をお話しました。

・自分の「①好き」と「②憤り」を知る、掘り下げる。

・自分の「③やりたい理念」と「④とりたい利益」を明確にする。

・「⑤インプット」としては、大学の座学以外にも、「人と出会い、旅をし、本を読む」こと。

・「⑥アウトプット」としては、「日記、ブログ、SNS、レポート、論文」作成を積極的に行うこと。

・そして、「⑦少しだけお酒を覚えること(地域コミュニティに入り込んでみる)」

 

皆さんは7つのこと、すぐに答えることはできますでしょうか?

実際にできていますでしょうか?

 

今回はインターン生に向けた言葉としてまとめていますが、

普段会社勤めで日々業務をしている方、

経営者で自社の現在や今後を考えている方、

どのような方にとっても共通して大事なことです。

是非一度、7つのことを書き出してみてはいかがでしょうか?

当たり前だと思っていたことは実は大事なのだと知る、もしくは新しい自分に気が付くきっかけになることと思います。

 

 

インターン生によるアウトプット(報告会)

さて、レクチャーのまとめにもありました通り、「インプット」があれば「アウトプット」が大事ということで、インターン最終日には、インターン生による報告会を実施しました。

2人の学生から、学びをフィードバックしてもらう時間です。

 

今回のインターンシップでは、地元で有名な林業家の山を見て、平田木材店様の木材仕入れ、製材、建築・設計の現場を見学するというまさに林業バリューチェーンを全て体験したということで、それぞれの現場での学んだこと、人との出会い(出会った方の言葉や想い)を報告いただき、さらには平田木材店様の今後の事業に関する提案、インターンシッププログラム自体の提案まで発表していただきました。

発表の後は平田社長、一部の社員様、弊社から感想や提案に対するフィードバックを行い、今後はフィードバックをもとに修正を加えていただいたものを1つの報告資料として提出してもらうことになります。

 

普段は学生をしている2人が現場に足を運ぶことで、社内にも

変化があったということで、平田社長からは「社内にいつも以上の活気が出た」と社員の皆様にとっても刺激的なインターンプログラムでもありました。

 

 

さいごに

地域の企業で、学生インターンを受ける(受け入れる)メリットは、就職(採用)へ繋げられる事だけではありません。

学生側からすれば、
1.初めての体験(動く、見る、聞く)ができる
2.初めての価値観(仕事観、暮らし方観とは何か)を知る

企業側からすれば、
1.受け入れるための体制づくり
2.見られる(あこがれられる)企業づくり

というメリットへとつながります。

「企業を知る、地域を知る」

 

両方をしてこそ、働きかたや暮らし方が見えるのです。
採用が大事だという中で、採用を焦る前に、

まずは企業の力をつけ、企業の魅力を作りながら、
自分たちが学生に見てもらう、知ってもらう機会をつくり、企業側も新しい価値に気付き、社員や住民の活性にも繋がるのです。

 

今回のインターンプログラムは弊社が設計から関わり、この2日間の総括まで、担当させていただきました。弊社のコンサルティング支援内容には、今回のようなインターンシッププログラムの運営、採用支援まで実施することが可能ですので、是非ご興味がある方、人事採用にお困りの方はお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

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夏至が過ぎ、気温もだんだんと上がり初夏の暑さを感じられるようになってきた6月26日(火)、岐阜県立森林文化アカデミーにて、岐阜県地域森林監理士養成研修を受けられている12名の研修生の方々へ、弊社代表古川より『「林業ビジネス概論と実践」~短期マーケティングと長期フォレスターの融合~』と題して講演をさせていただきました。

平成31年4月から施行を目指している森林経営管理法において、意欲と能力のある林業経営者の定義について様々な議論がなされていますが、岐阜県ではそれを自ら定義し、山林を適切に管理するための様々な取り組みをされています。

そして本日の参加者の皆様は、岐阜県独自の地域型フォレスター制度である「岐阜県地域森林監理士」を目指す方々でした。

岐阜県地域森林監理士とは、地域における森林の管理や経営に必要な専門的知識を持っており、市町村の林務行政の支援や民有林経営への助言などを行う岐阜県独自の人材のことです。

本日は、岐阜県地域森林監理士を目指す皆様に、経営管理の視点から地域型フォレスターとしての役割についてお話させていただきました。

 

地域型フォレスターの役割とは ―①短期マーケティング―

まず、フォレスターの短期的な役割として、木材の有効利用による収益をあげるために木の売り方を知らなければなりません。そこで他の講演でもお話させていただいている、林業マーケティング基本3要素(3C分析、消費の3要素、ライフサイクル)を紹介しました。あくまでも林業は生業である以上、収益性を生むためのビジネスの視点が必要ですから、自社を分析し、より戦略的に木を加工し、付加価値を付けて売っていく力が必要となります。その後、異業界のマーケティングがよくわかる3冊の本も紹介しました。

基本的な、マーケティングフレームを自分の物にして使いこなすことで、世の中の流れを知り、その上でオリジナルの戦略を考えていく事ができます。

 

地域型フォレスターの役割とは ―②長期フォレスター―

持続可能な森林をつくるために、フォレスターにとっての長期的な役割は、何に木を使うのかということを考えて長い目でのビジョンをつくることです。

講演では「出口(利用目的)あってこその目標林型」と話をさせていただきましたが、木または山をどう使いたいのかというビジョンをもって森林計画に取り組むということがフォレスターには求められるのではないかと思います。

例えば、高野山での林道設計は100年ではなく1000年もつかどうかという話になります。それはこれまで高野山には1200年の歴史があり、この先も1000年規模での森の使い方を考えることができるからです。

吉野であれば、「一般社団法人 吉野かわかみ社中」が500年の歴史ある吉野林業を、次の500年に繋ぐということで「NEXT500」という言葉を掲げています。

西粟倉村では、50年前に子や孫へと木を植えた人々の想いをつなぐために、あと50年間は村全体で挑戦を続けようということで「100年の森林構想」を掲げています。

このように、少なくとも100年程度のスケール感でビジョンを持って森林を管理していく人材が必要です。

 

地域型フォレスターの役割とは ―③行政と民間の両方を知る―

地域型フォレスターの理想は、行政の予算と民間企業の財務状況の両方を見ることのできる人材です。

その上で行政の支援すべきところと、民間企業が自費で賄う(投資する)ところの判断ができるようになることがポイントです。

例えば、広告宣伝費などは本来、民間企業側が出すべき費用です。しかし、行政がその費用を出してしまうことで中途半端な平等性が求められてしまい、結局それぞれの差別化が出来ずに個別の宣伝は実はできていないというのが現状ではないでしょうか。

行政側にはもっと基盤整備へ予算を回していただき、民間企業はその上で理念と利益を回していくための費用を投資する。

そういった「行政側がお金を出すべきところ」と「民間企業側がお金を出すべきところ」の判断ができると補助金に頼らなくてもよい経営ができるようになります。

 

行政と民間が一緒になって『夢』を実現するために

前述したように、行政と民間の協業と分担により森林ビジョン、つまり「夢」を実現していけるかどうかが今後を左右するカギです。

 

そこで今回は、行政と民間がまさに協業と分担により「夢」を実現させた例として、「茨城県立カシマサッカースタジアム」を紹介しました。こちらのスタジアムは、鹿島アントラーズ(サッカーJ1クラブチーム)のホームスタジアムでスタジアムは茨城県が所有し、運営管理は株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーが行っています。

現在ロシアでサッカーワールドカップが開催されていますが、鹿島アントラーズからは3人の日本代表選手を輩出しているほどの強豪チームです。そんな鹿島アントラーズのホームスタジアムの設立の背景には行政と民間の協業と分担がありました。

工業地域として高度経済成長期から発展してきた鹿島でしたが、これからは工業だけでは持続できないと、サッカーと共に新しいまちづくりを進めるビジョンが策定されました。その後、スタジアム建設が進められたのですが、建設予定地には「先祖代々の土地を手放せない」という200人以上の地権者の方々がいました。そこで動いたのが行政職員でした。新しいまちづくりの「夢」を語り、地権者を説得して回られたそうです。その努力もあって、見事スタジアムは完成。その後は民間が運営をし、今では市民にとってなくてはならないものになっています。

 

このように行政は夢を掲げ、旗を振ることで基盤整備をし、その後は民間が主体的に運営をしていくことが必要で、これは林業施策に関しても同じことが言えるのではないでしょうか。そして、そもそも林業界で「夢」を持っている人が少ないのが問題です。

例えば、サッカーのJリーグは1993年の発足当初から、「100年構想」というものが掲げられており、これはサッカーのみならず、地域が主体となって、あらゆるスポーツを老若男女が楽しめる豊かな国を目指したいというJリーグの夢です。

林業界では、長野県松本市で弊社もメンバーとして共に活動をしている「ソマミチ」という一般社団法人があります。ソマミチではシェアフォレストという考え方をもって、みんなで遊べる森をつくったり、暮らし方を提案したりすることで「木を使う社会の仕組みをつくる。」という夢を掲げて取り組んでいます。

 

このように、夢を掲げて森と向き合い、その際に官民が正しく役割分担をすることで地域が主体的に課題解決を行っていくことが大切なのです。

 

参加者の声

【県職員:W様】

日頃凝り固まった世界で仕事をしていることを改めて思い知りました。

純粋に面白かったです。

 

【建築会社:T様】

大変ためになりました。物事を科学的に考えることは自分なりに行っていましたが、レベルの違いに感動しました。スッキリした気分になる話でした。

 

【素材生産業者:T様】

内容は非常に分かりやすく、今後の自分のためになりました。

また、林業に欠けているものをズバリ言い当てられていたと思います。

経営ではなく運営であったり、顧客が誰であるのかも理解していない場合が多いと思います。

 

さいごに

林業×マーケティング×リクルートに係るご相談・講演依頼等は、お問合せフォームからお受けしています。ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。

過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。

https://chiikino.jp/blog/?page_id=193

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 6月 26, 2018 Under すべての記事, 講演&研修 報告

 

5月25日(金)、兵庫県明石市に本社を構える工務店である日置建設株式会社様の「HK協力会」にて弊社代表古川が講演させていただきました。

日置社長とは、昨年12月に登壇させていただいた「ひょうご木の匠の会・県産木材供給促進協議会 合同セミナー講演会」(講演会の様子はこちらから:https://chiikino.jp/blog/?p=8967)にてお会いし、今年2月には、弊社大阪研究会にもご参加いただいたご縁があります。

 

まず、「HK協力会」とは日置建設様が日頃からお付き合いのある協力会社の会であり、建築技術・品質と顧客満足度の向上を目指しています。今回は総会ということで協力業者、社員の皆様、60名にお集まりいただき「地域プレミアム工務店になるためのチーム力~つながりと価値共有をどこに求めるか~」のテーマで講演をさせていただきました。

 

 

日本の国産材は、こんなに多様で、おもしろい

「チーム力」が今回の講演のキーワードとなりますが、

国産材を扱った家づくり、暮らしづくりに密着した業種の参加者が多いことから、

「そもそも、ブランドとは何でしょうか。」というお話をさせていただきました。

おそらく、多くの方が洗練された「見た目」のデザインを想像するかもしれませんが、

デザインとは「見た目」だけではありません。

・樹木が育つ気候風土

・樹種

・施業の時間軸(1年、10年、100年、1000年)

といった様々な要素が含まれます。

この様々な要素を言葉やイラスト、形、システム化したものをブランドと呼ぶのです。

 

また、ブランドは拡散し、広く認知され、他者から価値あるものと認識されて効果が生まれます。

認識してもらうという点でいうと、例えば、メディアに載せて拡散する方法があります。

昔は、他社メディア(新聞や雑誌、テレビ)などで情報が広がる時代でしたが、

現在は、現在はインターネット上で様々な情報を得る時代です。

自社メディアやソーシャルメディアを活用した情報発信が重要なのです。

当日は、上記の説明と合わせて全国各地の自社メディアの活用例や木材産地の事業を参考事例として紹介させていただきました。

 

 

チームには、何が必要か

ここで、「ブランドとは何か」、「ブランドを拡散するためのメディア活用」を知ったうえで、今回の命題である「チーム」に戻ります。

日大アメフト問題、ハリルホジッチ解任、長嶋茂雄と松井秀喜、箱根駅伝4連勝の青山学院原監督から学べることをお伝えし、

チームとしてのブランディングをするために、

「成功要素を持つ強いチーム」には5つのポイントがあることをお伝えしました。

 

本日お伝えした5つのポイントとしては、

①共通のビジョンを持っている。

②情熱方程式(情熱=好き×憤り)となる体験を持っている。

③勝利(利益)と主体(理念)が両立している。

④コミュニティ(強い個あってこその緩い面)を持っている。

⑤ビジネスにおける基礎練習をしっかり行っている。

が挙げられます。詳細は本ブログでは割愛いたしますが、

弊社が全国各地で講演やコンサルティング業務い学ばせていただいた中で出来た1つのルールです。

皆様のチームには、当てはまる項目はいくつあるでしょうか?

 

チームには、前提として共通ビジョン(価値観)と基礎練習(強い個)を有する必要があります。

さらに、働き方改革などと社会では大きく仕事(働く)ことへの意識が変化する中では、

作り手(主体)が何より楽しみ、コミュニティをつくることが重要なのです。

また、多くの方は会社・家庭・地域それぞれの顔があると思いますが、

それぞれの顔のバランスをとって自分流(チーム流)を作る、そして何より楽しむ。

そこから生まれるワクワク感が顧客接点を創造し、より強いチームと成長していくということをまとめとしてお話させていただきました。

 

改めて、日置建設株式会社の日置社長には、

貴重なご講演の機会をいただきましたこと、お礼申し上げます。

 

 

参加者の声

【建築会社 :S様】

現在、管理職であることから、コミュニティ作りや働き方改革のお話を興味深く聞いておりました。また、自分は元々将来の夢が無かったからかこれまでは視野が狭かったのだと思いました。視野を広げ様々なものに興味を持ち交流関係を増やし、忙しく直接人に会えない時もインターネットで様々な世界、自分が好きなこと以外にも気になることを手当たり次第にやり尽くしたいと思います。

 

【製造業:O様】

必要性、欲求性、物語性のマーケティング講座が参考になりました。今のところは、セールスと製造を両立しながら事業をしていますが、今後は、消費者の欲求性を掘り起こす仕掛けを考え、セールスの割合を下げても仕事につなげられるようにしていきたいと思います。

 

【製造業:T様】

今回の講演で木材への興味が高まり、国産材について、全国各地の産地について、もっと知りたいと思いました。普段から木製建具を製造していますが、今後はより多くの産地の木材を扱ってみたいと思います。経営に関しては、理念と利益の話がとても興味深く、両方のバランスが重要になることを学ぶことが出来ました。

 

 

さいごに

工務店様の業者会での講演も数多く行っております。また、林業×マーケティング×リクルートに係るご相談・講演依頼等は、お問合せフォームからお受けしています。ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。
過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。
https://chiikino.jp/blog/?page_id=193

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 5月 25, 2018 Under すべての記事, 講演&研修 報告

 

梅雨の訪れを知らせるような強い雨が降った5月13日(日)、奈良県奈良市にあるぷろぼの福祉ビルにて開催された「奈良の明日の森を考える第6回学習会」の講師として弊社代表古川が登壇させていただきました。休日の足元の悪い中にもかかわらず40名の業界関係者をはじめ異業種の皆様にご参加いただきました。

 

 主催は、奈良県森林総合監理士会様と谷林業株式会社様。これまでの過去5回開催している学習会でも林業界で著名な方が登壇されている当会にお呼びいただき大変嬉しく思います。
今回は、「トータル林業の 理論と実践~全国の事例と共に~」と題し、全国の事例や近年のトレンド、統計から見る林業界の基本情報や木材の売り方について、ご紹介しました。

 

木を木だけで売ろうとしていませんか?

まず初めに、「国産材なんて何もしなければ売れない」という前提があります。
その上で皆さまは、木を木だけで売ろうとは考えていないでしょうか?

弊社としては木材の売り方についてポイントを5つでまとめており、今回はそのうちの2つ(補完財、ライフスタイル)をお伝えしました。

 

多くの方は木が欲しいのではなく、木を使った豊かな暮らしが欲しい、もしくは知りたいのです。

どういった時間を過ごしたいか、過ごせるかを想像させることが重要です。

例えば、木材をテーブルにしたときは間接照明や暖色の照明と合わせ、

夫婦でゆっくりとお酒を飲む空間を演出しても良いでしょう。

 

これからは、「金額シェア」ではない、「時間シェア」をどれだけ獲得できるかです。

その点では、林業のライバルはスマートフォンかもしれません。

どれだけスマートフォンの見ない時間を森林や木材から生み出すことが出来るかを考えるのです。

 

 

「ライフエリアバランス」の魅力を伝える

林業のライバルはスマートフォンと先述しましたが、

情報の入り口はやはりインターネット(スマートフォン)が多いのが事実です。

そこで、リアルとネットの掛け算が重要です。

 

そこで、生産者自身の暮らしを発信し、最終顧客に知ってもらい、共感や憧れを持っていただくことも1つの方法です。

インターネットが普及したことで一個人の発信力を高めることが可能となった現在は、

その一人の生き方に共感し、憧れを持つ人も少なくありません。

 

また現在は「ライフワークバランス」、つまりは仕事と日常の生活バランスを重視される傾向にありますが、

多くの人が起きている時間のほとんどを仕事に使う中では、「どこで」働くのかということが重要ではないでしょうか。

東京で毎日往復で2時間近くを満員電車に揺られ働く暮らしよりも、多少田舎でも近くに職場がある暮らしの方が良いという人も多くなっています。つまりは、「ライフエリアバランス」が重要であり、林業や木材業に携わる仕事をしている人が持つ「エリア」としての魅力を今以上に発信することで森林や木がある暮らしへの憧れる人も増え、林業、木材業に携わる仕事の誇りにつながるのです。

 

 

もし「エリア」の中で、一緒の志を持つ者がいればチームを作り、

オーナー、プレーヤー、スポンサー、ボランティアなど、様々な役割に誰があてはまるかを可視化し、

個から面へと広げ、素材生産業だけではない、トータルでの林業を行っていくことが重要です。

 

 

参加者の声

【素材生産業者:I様】

「ライフエリアバランス」という言葉が印象に残りました。普段は山にいることが多いですが、適度に非日常を作り出し、そこから日常に新鮮なアイデアを取り入れることを考えるきっかけになりました。また、山林での施業において、なんとなくの理念はあるが、それを実行することで明確にどのような利益を得られるのかは説明ができない状態です。悶々とした状態からなかなか前進していないので、一度会社の人間と「理念」を話し合う場を設けたいと思います。

 

【学校教員:K様】

異業種の参加者として今回、林業分野でどのような事業展開が可能かなどを考えるきっかけとなりました。具体的に各地の事業内容などを紹介していただきましたが、まだまだ成功者のご活動について深く聞きたいと思いました。

 

【設計:I様】

一次産業(林業、漁業、農業)の市場規模はとても印象に残りました。原木生産としては全国で2,000億円ほどという金額価値の少なさに驚きました。自身は、包摂力のある設計のあり方を探っており、設計自体を一般のユーザーが自分事化にできる状況を目指したいと考えています。そこから資源(山林)との繋がりが出来ればと思いました。

 

他にも多くの方に貴重なご意見をいただいておりますが、一部をご紹介させていただきました。

特に異業種の方にとっては、林業木材業に興味を持っていただくきっかけにもなったことと思います。

 

 

さいごに

​林業×マーケティング×リクルートに係るご相談・講演依頼等は、お問合せフォームからお受けしています。ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。
過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。
https://chiikino.jp/blog/?page_id=193

 

また、今回の講演については、奈良県森林総合監理士会様のFacebookでもご紹介されておりますので、是非以下URLからご覧ください。
https://www.facebook.com/NaraForestersAssociation/posts/1216539198483453

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 日曜日 5月 13, 2018 Under すべての記事, 講演&研修 報告

 

すっかり春の陽気に包まれた4月23日(月)、向かいの山には茶畑が広がる、静岡県は島田市川根文化センターにて、森林組合おおいがわや掛川市森林組合、また地域の製材所の経営者の方など約30名の方々に、弊社代表の古川が「トータル林業のススメ~林業の四則演算~」と題して、講演を務めさせていただきました。

茶業の繁忙期であるこの時期には、普段は70名ほどいる森林組合の作業員は、約30名まで減ってしまうそうです。専業林業家だけでなく、お茶と林業の兼業・副業という暮らし方のお話を聞きながら、新緑輝く春の山を登り会場へ向かいました。

 

 

 

なぜトータル林業か

 

今回の大きなテーマの1つである、素材・販売業から加工やその先のサービスまでをトータル的に見て、産地とモノの繋がりを提供する「トータル林業」。今回は冒頭でも申し上げた通り、森林組合の方と製材業の方など隣接異業種の方もおられましたので、垂直連携をすることでお客様にどのような価値を提供することができるのかということを、この機会に紹介させていただきました。

 

林業の四則演算

 

林業の四則演算とは、林業にとって大事な
足し算、掛け算、割り算、引き算の4つの考え方のことです。

I. 林業+α
既存の林業(製造業・木材業)だけではなく、あらゆる顧客が喜ぶ付加価値(ありがとう&わくわく)をどう加えていくか。

 

 

II. 林業×β
製造業としての枠にこだわらず、小売(流通)業、サービス業的な展開をし、水平連携、垂直連携を、力相応に掛け算できるかどうか。

 

 

III. 林業÷γ
経営力とは分解すること。商品力(施業/加工/製造)力、サービス力、集客力、営業力、組織力。さらに分解し、その中のどこで競合他社と比較し、顧客ニーズに合った長所を伸展していくか。

 

 

IV. 林業-δ
どうしても取り除かなければならない古い商習慣や「あの頃はよかった」とだけ言う精神風土!

 

 

林業経営におけるヒントがこの4つには隠されています。
実は、講演前から「この四則演算ってなんですか?」と楽しみにされていた方もいらっしゃいました。

 

トータル林業・四則演算実践例

 

講演後半では、四則演算をクリアし、
トータル林業を実践されている2つの事例をご紹介いたしました。

まず一つ目の事例は、一般社団法人ソマミチ(信州松本)。
ソマミチは「木を使う社会の仕組みを作る」をミッションに掲げ、地域で林業、製材、木材加工、建築設計、家具木工に関わる人達が集まって任意チームを作るところから始まりました。そして昨年末に一般社団法人となり、活動を継続しています。

 

 

森づくりから加工、家づくり、家具や木工小物まで、森林を活かすプレーヤーが集い、サポーター制度を設けることで一般の方々にも”シェアフォレスト”として森と関わる機会を提供し、「森~町の繋がり」を伝えながらトータル林業を実践しているチームとして、ご紹介させていただきました。

 


 

 

そして、二つ目の事例としてご紹介したのは、有限会社平田木材店(福井高浜)。
こちらは昭和21年、製材業から創業された会社ですが、現在では製材部、建設部、建材サッシ部、不動産部、企画営業部と5つの部署が稼働し、さらに地元の林業家とも協力しながらトータル林業を実践されている企業です。

 

コーポレートメッセージを「京若狭の木と暮らす、森と生きる。」と掲げ、京都北部~福井エリアから目利きした原木を製材加工し、「京若狭材」と付加価値を付けてお施主様に提案しています。

 

 

ホームページをご覧いただけば分かる通り、地域の美しい森と海をPRし、自然と繋がるライフスタイル、この地域の面白さをお施主様、Iターン希望の方々に伝え、まちづくりまで取組む工務店と言えるでしょう。

 


 

 

2社の事例からお伝えしたトータル林業のポイントは、この2つです。

 

■ 森と繋がる機会:シェアフォレストの提供

 

■ 暮らしに自然素材を取り入れる住まい:ライフスタイル提案

 

普段、山で林業に携わる方々の仕事こそ、消費者にとって「今まで知らなかったモノづくりの背景」として付加価値を感じるストーリーでもあるのです。今回の講演においても、素材生産から製材加工の方々までお集まりいただきましたが、協業しながらトータル林業を実践するヒントを感じていただけましたでしょうか? 今回も講演にお集まりいただいた皆様へ心より御礼申し上げます。

 

最後に、弊社では、今回のようなセミナーの他に、地域企業向けのセミナーや社内向け、お取引様向けの講演会、大学講義など、内容もご要望に合わせた講演をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

 

 

過去の講演は以下のURLよりご覧ください。

講演依頼

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 4月 27, 2018 Under pick up, 講演&研修 報告