色濃さを増してゆく新緑の中、すっと心地よい風の吹く 岡山県 新庄村。

 

そんな2019年5月10日、令和初となる新庄村勉強会・ワークショップを開催しました。

 

(写真は、新庄村内のとある地域にある

「隠岐へ流される道中の後鳥羽上皇が 都を偲んで詠んだ歌が刻まれた石碑」

 

本日のテーマは「新庄村の森林ビジョンとゾーニング」について。

まずは弊社古川より、森林ビジョンとは何か、ゾーニングとは何かの説明をおこない、いくつかの例示をお話させていただきました。

会社でいうところの企業ビジョン、経営ビジョンにあたる、地域における森づくりビジョンとはなにか。新庄村の皆様が主体になって考えて自ら決めることで、親近感と緊張感とがあいまって気持ちが引き締まり、その実現に向けて参加者が具体的に動くようになる、という目的について、他地域の写真やゾーニング図をみせつつ話題提供をいたしました。

 

弊社クライアント先のとある自治体でも、森づくりビジョンをつくり、またそのビジョンに基づいて各種チームが派生し、その任意団体の中から、マーケティング会社(株式会社)を作ったという積極的な動きに繋がっている事例があります。

 

参加の皆さんがイメージしやすいよう、弊社より仮のビジョン案も提示させていただきました。このあとのワークショップは、最終的に森づくりビジョンを策定するためのいわゆる「材料集め」になります。

 

ワークショップ「新庄村の森ゾーニング」

「ゾーニング」 あまり聞きなれないこの言葉、「zone(ゾーン=区域)+ing」で「区域をテーマや用途に分けて考えること」という意味です。林業でも「施業の方向性を決める森林ゾーニング」を実施することがあります。

しかし、ここでは林業的(生産視点)だけの「ゾーニング」ではなく、「新庄村の森が、一般の人(村内・村外)も含む、すべての人にとって、どのような森(になりうる)か」という視点で、新庄村の森をゾーニングして「ゾーンごとに名前をつける」ということを目指します。

 

ワークショップの前に、ポイントは2点とお伝えし、

「本日は、肩慣らしとして、まずは気軽に取り組んでほしい」ということと、

「また、ゾーン(エリア)と捉えることは、その森林、その木材、その地域資源を、誰にどうやって伝えていくか、活かしていくかという顧客発想を基にしていくことで、その森林エリアの主観性に客観性を持たせ、マーケティング視点を生み出し、地方創生(地域活性化)に繋げていく」ということをポイントに、ワークショップを始めました。

 

そして、開始前に古川より以上のことをお伝えしたうえで、2グループにわかれ、ワークショップが始まります。

 

ワークショップは以下の流れで実施します。

 

・新庄の森マッピング →「点」で「新庄村の良いところ」を森林マップに落とし込む

・新庄の森ネーミング →落とし込んだ「点」の情報から「ゾーン」を決め、名前をつける

・まとめと発表

 

参加者の皆さんからは、「ブナ林」「トレイルラン」「しだれ栗「たたら製鉄跡」と言った村内ではよく知られているものから、「ヤマサンショウウオ」「土の性質:火山灰の山、鉄分の多い山、真砂土」「だるま杉」など、地元の人ならではの「良いところ」もいくつも出てきました。また「一般の人に来てもらえるような視点を持つのは難しいもんだなあ」という意見もありました。これから、弊社と一緒にマーケティング視点を育てていきましょう!

 

ネーミングでは、「点」で「良いところ(特色)」を落とすことはできても、その特色を「ゾーン」に広げることにためらいがあったり、また「これは村全体の森にいえることだしなあ・・」と、「新庄村の森」をよく知っているからこそ、苦戦されている方が多いように思いました。弊社もサポートさせていただき、いくつかゾーニング(ネーミング)の仮説を提示したのち、各グループの発表へと進みました。

 

林業、森林セラピーなどお仕事など立場によっても視点が違い、お互いのグループの発表を興味深く聞いているのが印象的。我々も新庄村は昨年よりお世話になっていますが、新しい新庄村の森の顔がたくさん見えてきて、わくわくする時間でもありました。きっと、私たちだけでなく、たくさんの人にも伝わる素敵なところです。どんな森づくりビジョンができるか、我々もこれからが楽しみです。

 

 

 

森づくりビジョンに向けて

 

発表ののち、古川より森づくりビジョンを作ることによる効果について改めてお話しをしました。

・「顧客」「人材(移住定住)」「投資」の3つのパターンに繋がること

・森づくりビジョンがあることで、村民にも村外の人にも取り組みを知ってもらえる

 

これまでに、古川が関係してきた地域でのゾーニング事例もご紹介しました。

 

〇岩手県 岩泉町様 あしたの森づくり http://iwaizumi-forest.jp/

・アカマツ林 100÷2=50

・スギ・カラマツ林 100=50÷2

・広葉樹林 ぼう芽更新 100×33×3×1   等

 

〇高野山の森林  5つのゾーニング

・木の文化伝承の森

・仏法僧の森

・高野六木の森

・彩の森

・共利群生の森

 

〇浜松市様 『森林・林業ビジョン』6つの「価値ある森林」

・安全で安心な林産物を供給できる「価値ある森林」

・水源をかん養し、山地災害を防ぐ「価値ある森林」

・森林を守り、美しい景観を創る「価値ある森林」

・森林や林業を学び、豊かな心を育む「価値ある森林」

・森林レクリエーションや山村との交流を楽しむ「価値ある森林」

・地域材を使い、生活に潤いを与える「価値ある森林」

 

地域や森、人により、ゾーニングにこのように違いが出てきます。

昨年度から、航測測量の森林データが新庄村に揃った為、樹種、樹齢、所有者界等の客観データをもとに、ゾーニングの精度を高めていく予定です。それにより、新庄村も新庄村ならではのゾーニング、そしてその先にある森づくりビジョンができることでしょう。

本日は、ウォーミングアップではありましたが、このワークショップで出てきた情報を起点に、これからの新庄村の森づくりについて新庄村の皆様と検討を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いします!

 

参加者の声

岡山県職員N様

今まで新庄村で行われたその他のワークショップにも参加してきたが、本日のワークショップは逆にゴールがみえづらくなって悩んでしまった。これからこの勉強会や他のワークショップに引き続き参加し、向かう方向を探していきたい。

 

岡山県職員Y様

本日初新庄村だった。新庄村の森の魅力を皆さん方たくさん教えていただき、これから是非いろいろ行ってみたい。

 

新庄村地域おこし協力隊T様

今までのワークショップの中で一番楽しかった。今までは自分に具体的に落とし込むイメージを掴みづらかったが、今日は具体的に森づくりとして向かう方向が見えて自分にも関わることができそうでよかった。

 

素材生産業者N様

今までこのワーキンググループでは、中間土場の新たな設置や流通の再編成など、林業の専門的なことについて話してきたが、今日は「新庄村のファンをつくる」という切り口で、新鮮だった。どちらもこれからの新庄村に大事なことだと思った。

 

新庄村職員I様

このようなワークショップなどの積み重ねで森づくりビジョンを明確にしていき、最終的にこのワーキンググループを基礎とした組織化につなげ、その組織では「森づくりビジョン」に基づきながらしっかり森林で収益を上げられるようにしたいと思っている。皆さんこれからも積極的によろしくお願いします。

 

次回は、6月中旬に、第2回の勉強会(ワークショップ)が行われます。

ビジョン構想⇒ビジネス計画⇒実行体制へと展開していきます。ご期待ください。

参加ご希望の方は、新庄村役場・産業振興課までご連絡ください。

 

Posted by wpmaster on 金曜日 5月 10, 2019 Under pick up, プロジェクト活動記, 講演・研修、コーディネーター

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