2014年8月から行っている、名古屋での林業に特化した経営実践研究会。
今年度も開講いたしました。
弊社では、林業に限らず異業種の方も参加している「国産材ビジネスセミナー」(東京)、
製材、流通、工務店の経営者を中心に行う「経営実践研究会(国産材ビジネススクール)」(大阪)を主宰しており、
名古屋では、林業経営に特化して、非公開で開講しております。
そして今回は、
【1】各社報告
【2】広葉樹林業と人材育成
【3】林業事業体チェックシート!
【4】林業バリューチェーンと林道
【5】台湾林業紹介
の内容で開催いたしました。
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【1】各社報告
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まず初めに各社から近況報告を行いました。
新入社員の紹介、補助金や今年度の施業計画、事業を行う上での資金確保や広葉樹の更新施業などに関する話題から、
森林組合との信頼関係構築や、設計士と直接相談しながら住宅建設を行う計画など、異業パートナーとの付き合い方についても話題が挙がりました。
それぞれに、素材生産のみならず、業態を超えて幅広くトータル林業を実践されている企業が一堂に会しています。
また、2014年の初回からご参加いただいている
A社代表からは、先日、香港で行った英語でのプレゼンテーションを披露される場面もありました。
国産材を国内のみならず、海外にPRする動きへと一歩前進し、
「メンバーが日々成長していることを実感し、刺激にもなった」
というお声もありました。
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【2】広葉樹林業と人材育成
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次に、研究会前日に弊社一同が訪問したB社について、その施業方法と人材育成について議論となりました。
訪問では、広葉樹施業の皆伐施業地、択伐施業地を見せていただき、樹性の違い、
森林の成長バランスに配慮しながらも、市場ニーズに応じて残す樹木を選んで施業する現場、
作業道1つとっても現場の作業員の通勤の便まで考えられている現場などを拝見しました。
また、社有林内のトチやケヤキの巨木といった素晴らしい木々や森を見せていただいた様子も研究会で紹介させていただきました。
また人材育成については、
B社の代表から、自社の人材育成手法についてのご紹介がありました。
素材生産班の給与体系は、単なる出来高制ではなく
・自分で植えた木は自分が世話をしていくという担当制にしている
・徹底的に施業地を確保し、仕事量を確保している
・自立、自発性を重んじ、裁量を現場に多く託している
・業務提携を行っている木工品ブランドのパンフレットには、現場の従業員を出し、現場が主役であることを主張している
といった
コーチング、マネージング、アドバイザリー
の要素が詰まった人材育成手法を紹介していただきました。
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【3】林業事業体チェックシート!
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まず弊社より「選ばれる林業会社」に必要な力、すなわち
①施業力:技術力、資格力、施業マナー力
②仕入力:計画立案力、コミュニケーション力
③販売力:選木力、営業力、輸送力
それに加え
④経営統括力
である。というレクチャーを行った上で、
皆様に上記の能力を数値化するべく
弊社が用意した「経営力チェックリスト」に記入していただきました。
記入結果は、研究会中に集計し、レーダーグラフを作成。
研究会の終盤で共有しました。
集計結果を皆様に見せると、
「手裏剣のような形をしているね。」
「C林業は施業マナー高い!さすが!うちはマナー悪いな。」
「全体的に前回より低い値になっている、自己評価が厳しくなったからかな。」
「ウィークポイントを改善してバランスの良い事業体になりたい。」
など、自社、他社のグラフを見比べて強み感想を共有されておりました。
選ばれる林業会社になるため、どのように経営の舵を切っていこうか、
と考えるとき、経営力の「見える化」が重要となります。
また、同じ指標で定点観測して経営力の変化を知るための有効なツールにもなるでしょう。
このチェックシートは、研究会の恒例として続け、ブラッシュアップしていく所存です。
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【4】林業バリューチェーンと林道
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続いてゲスト講師のD氏から、林業の基盤整備と経営に関する視点で
話題提供をしていただきました。
林道、林業専用道、林業作業道の規定といった基本的な事項から始まり、
崩れ落ちる作業道も多いという現実を写真により見せていただき、
基盤としての重要性についてレクチャーいただきました。
林道とは、林業における
①森づくりと商品作り
②環境保全と配慮
③安全対策
④顧客ニーズへの対応
⑤社会認知
の土台となっている、つまり林道の「付加価値」という切り口でまとめていただきました。
その後のディスカッションでは、
そもそも林道や作業道は素材生産のためだけではなく、
人命救急の対応や安全管理をするため、
通勤の快適さや現場の見廻りのしやすさの向上のためなど、
林道の多面的機能を掘り下げることができました。
林道をつくる土木業者との関わり方や、林道維持の責任管理は誰にあるのかなど、
ディスカッションの話題は多岐にわたりました。
収益性を前提としながらも、それだけではない公共の福祉、個人の幸せを合わせた
「夢」のために存在すると考えたいところです。
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最後に、弊社社員の視察報告として、
台湾林業についてのレポートも行いました。
今後の研究会でも、改めて広い視野で、日本の林業についてディスカションし、
実践につなげて参りたいと思います。
★次回は7月9日(土)に名古屋駅前で開催予定です。
ご興味のある林業経営者の方は、詳細についてはお問い合わせください。