1月19日(金)、穏やかな日和となった京丹波町にて、2018年初の講演を開催、今回は京都府立林業大学校「経営高度化コース」の講師を弊社代表古川が務めました。現在全国に17校ある林業大学校ですが、京都府立林業大学校は2012年に西日本で初の林業大学校として、全国の林業大学校の先駆けとして開校し、これまで多くの林業プレーヤーを誕生させています。
本講座は大変嬉しいことに、3月までに計5回の開催を予定しており、森林組合連合会や林業会社の皆さまに受講いただいております。受講者の中には林業大学校を卒業し、京都府内の民間企業に就職、現在は素材生産業に従事する21歳の方もいました。若手ながらも現場を担当した上で、経営を学び自社の事業に活かしたいということで受講されており、他にも受講者の皆さまは熱意があり、いつも以上に盛り上がる講演となりました。
今回は第1回としてマーケティングの基礎、そもそも経営とは何かをお伝えしました。
やりたい理念ととりたい利益
講演の際にいつも導入部分では、価値観(自分軸と時間軸)、情熱方程式、理念と利益のお話しをしますが、今回理念と利益については、素材生産に関わる受講者が多かったため、森づくりに関する理念と利益についていくつかの例をご紹介しました。その1つに吉野林業の祖であり山林王とも呼ばれる土倉庄三郎の経営方針である「利益の3分の1は国に、3分の1は教育に、3分の1は事業に分配していた」という事例をご紹介しました。
素晴らしい理念を掲げても利益が伴わない場合は持続的な経営は実現しません。
逆に利益を生み出していても、理念がない場合は事業の目的を失い、これもまた持続的な経営は実現しません。また、利益=悪と認識する方もいますが、正しくは理念なき利益=悪となります。
つまり、生み出した利益を何に使うか明確に定義することが重要であり、しっかりと定義されていることで理念と利益を両立することが可能となります。
基本の3つのマーケティングフレーム
理念と利益をはじめ、林業の市場規模、顧客とは何か、マーケティングとは何かを受講者の皆様にお伝えした後は、基本的なマーケティングフレーム「3C 」、「消費の3要素」、「地と図の関係(ライフサイクル)」のレクチャーをしました。
特に今回は3Cのフレームをじっくりと説明しました。3CはCompany(自社)、Competitor(競合)、Customer(顧客)の視点で顧客の求める他社に無い自社の強みを整理するためのフレームです。
競合=敵とマイナスイメージを持つ方も多いかと思います。確かに競合は自社の顧客を奪っていく存在ではありますが、自社にないサービスを参考にできる、自社の危機感につなげてモチベーションを高めるきっかけとなる点でプラス発想することもできます。
また、競合といっても、隣接する企業、同商圏の企業、全国の同業者、全国の異業者といったように立地や規模、業種によって様々です。本当に戦うべき相手は誰かを見定めることが重要であることを3Cのフレームからお伝えしました。
次回(第2回)からは実践的な内容へ
今回は基本となるマーケティングフレームや、そもそも経営とは何か、マーケティングとは何かを中心にお話をしました。次回以降は、具体的な目標設計や顧客定義の実践方法のレクチャー、ワークショップやディスカッションの時間を設けながら受講者の皆さまにとって今後の経営のヒント、実利に繋がる情報が得られるよう内容を深めていきます。
次回以降も本ブログや弊社フェイスブックページにて報告をしてまいりますので、引き続き更新を楽しみにお待ちください。
受講者の声
・以前別の講演で、理念と利益の話などを聞いたことがあるが改めて聞くことで忘れていたことを思い出し今の自身の考え方を整理できました。また、新たな事例も知り、何歳になっても基礎練習(トレーニング)が重要であるという学びとなりました。
・販売先だけが顧客ではなく、仕入先も大切な顧客であることを考えさせられた。原木販売を行っているが、仕入あっての販売、両者の顧客を掴んでいきたいと思います。次回の講義も楽しみにしています。
・ディスカッション形式で受講者が自身の言葉を形にする時間がある内容が良く、意見を発言する大切さを学びました。また、競合の存在はマイナス面ではなく、自社の強みや協業の方法を探るヒントとなるプラス面もあることを知ることができました。
終わりに
新しい年が始まったばかりですが、ありがたいことに既に全国各地で講演のご依頼をいただいております。講演のご依頼やご相談等ありましたらお気軽にご連絡ください。また、これまでの各地での講演については以下のURLからご覧いただけますので是非ご覧ください。
https://chiikino.jp/blog/?page_id=193