居酒屋やレストランでのこと。特に終盤では、少し酔い覚ましに一杯のお水が欲しくなりませんか?そんな時に、「お水下さ~い」と出されるお水は大抵決まって、どの店舗でも見る同じようなコップに、何のおもてなし気分も無いような水が出てくることがあるものです。もっと酷い時には、水道水そのままの塩素臭いお水が出てくることもありますね。しかしこの日、私が足を運んだお店(西中島の某居酒屋)は、違いました。飲み物の平均価格は400円~500円前後で、平均客単価3500円程度と、少し高単価の居酒屋でした。そこで「お水くださ~い」といって出てきたお水に、私たちは、目を丸くしました。出されたお水は、カクテルグラスに、お店独自で製造された氷が入り、且つ、素敵なコースターを用意し直して、提供されたのです。

 

「わぁ」

 

と声を揃えた我々はその時、この言葉を思い出しました。それは、佐藤芳直さんの著書「100年企業 経営者の条件」にも記載される「下限価格商品に企業の魂が宿る」という一言です。最も安い価格商品にこそ、企業のこだわりをだせ!という意味が込められています。末端の最低価格ですら、こんな素晴らしい価値を提供できるのか、と消費者に、認識させれば、より高価な商品には、もっとレベルの高い価値があるのだろうと期待させることができる。ファンを増やせる段階的構図としての入り口の質。安いからといって、質を落とすのではなく、「入り口商品」であるからこそ「企業の魂を込めるべき」という意味が込められています。

 

サービス会社、営業会社でいえば、新入社員が下限商品だとも言います。「新入社員です」というバッチを付けて品質の低さを敢えて認めさせてもらうのではなく、新入社員がこのレベルかと、人材育成をするべきです。

 

例えば、メルセデスベンツは「最低単価のAクラスから最高単価のSクラスまで、ドアの取っ手を握った瞬間、ベンツだとわかるのです。」と、そこに一過性の基準が定められています。また例えば、トヨタのカローラを思い、そこから、100万円で、この車なのか?と思えば、「クラウン」「セルシオ」のレベルを想起し、憧れに繋がります。著書の中で佐藤さんは、日本酒の失敗についても述べておられます。日本酒の世界では、 高級志向が強まりすぎて「入り口商品」と「高級商品」との差を広げすぎ、入り口商品の妥協により、落ち、朽ちていったのだと佐藤さんは書いておられます。何も、昨今の焼酎ブームに押されたのではなく、原因は、日本酒側にもあるということ。この日の本日の体験は、非常に納得のいくものでした。レストランや居酒屋のお水やお通しは、価格がないという点で商品ではないかもしれませんが、立派な商品です下限価格商品の典型的な例であるのではないでしょうか。

 

人づくり、モノづくり、下限商品に魂を。

(地域再生・森林再生コンサルタント古川大輔日記  2004.11.26より編集)

 

 


 

代表取締役 | 代表コンサルタント 古川 大輔  Daisuke Furukawa

twitter: @daisukefurukawa

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地域と森林林業専門コンサルタントとして全国の産地を飛び回ること十数年。会社のミッションは、森林や林業、山村の問題解決ではなく「価値創造」です。そんな志を共有できるお客様・そして未来のビジネスパートナーとの更なる出会いを目指して、古川の考えや、先輩方から教わった学びを言葉にお届けします。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 10月 27, 2017 Under ちいきのコラム
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