今年度第3回の国産材ビジネスセミナーを開催しました。
テーマは 「林業ガールズトーク!~女性目線をいかしたマーケティング&女性活躍のリアル~」 と題し、
女性社員・学生、女性を雇用する経営者の方を主な対象としましたが、
行政や地域のコーディネーターの立場から、 女性の活躍をサポートされている男性の皆様にも広くご参加いただきました。
【第一講座】林業女子白&林業女子マーケティング 株式会社古川ちいきの総合研究所 岩井より
「林業女子」と聞いて、みなさんはどんな女性、あるいはどんな仕事を思い浮かべますか?
林業界では、さまざまなスタイルで笑顔ではたらく女性が近年注目されていますが、
男女の得意をそれぞれ活かした仕事や経営ができれば、
もっと日本の林業が面白くなるのではないでしょうか。
今回は大きく2つ、
①女子目線のマーケティング
②林業女子のハッピーキャリア
をテーマに、弊社岩井がメイン講師を務めさせていただきました。
まずは、「林業女子白書~林業女子のこれまでと現状~」と題し、統計データを基に、林業に従事する女性の数や職種の推移を整理。
さらに、林研グループから林業女子までの、林業界や山村における女性のネットワークの変遷を追うことで、
林業や地域を支える女性の役割の変化について、ご紹介させていただきました。
大きく分けると、「林業女子」の役割や立場は、以下のように変化してきたのではないでしょうか。
第1世代:家族としての女性
山村の暮らしの中で林業が当たり前にあり、家族や夫婦で仕事してきた。女性の地位向上などを目指して女性林研に代表されるグループを結成。地域の輪を大切に、女同士でわいわいと活動するのが好き。
第2世代:職業人としての女性
職業人として男性社会に飛び込んでいった。Iターン者、女性公務員。職人気質で、発信とか表に出るのは苦手、というタイプも。
第3世代:翻訳者としての女性
女性を受け入れる土台ができた林業界へ自然体で入っていく。理念を持ちながら女性の楽しみ、都会の感覚もバランスよく大事にしながら山と都市を結ぶような、ソフトの仕事、異業種に従事することも多い。
このように、林業女子会の発起人でもあり、
これまで様々なネットワークの女性とお会いしてきた岩井の視点から、まとめさせていただきました。
さらに、一口に林業女子といっても、現場作業に限らず多様な関わり方があるものでしょう。
弊社ではこれについて、男女関わらず「経営を支える3種類の人材」としてご紹介しています。
あなたは会社の中で、あるいは業界の中で、どの役割を担っておられますjか?
また、これからどんなバランスで3つの仕事をしていきたいですか?
弊社のクライアントやさまざまな場所で活躍する
林業女子のキャリア事例をご紹介し、キャリアを考えるヒントを紐解きました。
ある林業会社では、数年前に新しく女性を採用されましたが、
「例え、男性社員と比べて体力的に劣るため現場作業が60点だとしても、
プラス40点を事務や総務力で活躍してもらえれば、100点満点」
という考え方で採用されています。
このように、弊社がお付き合いさせていただいている林業木材業では、
作る人、売る人、支える人の役割を固定せず、その人の個性に応じてバランスをとるなど、
さまざまなキャリアプランを描いている企業があります。
この3つの視点と「キャリアプラン」について、
雇用する側もされる側も意識することで、性別を含む個人差や個性に合ったチームワークが
林業界でも発揮できると考えています。
さらに第一講座の後半では、
「売る人」や「支える人」としての林業女子の活躍に生かしていただければと、
情報発信や顧客づくりに係るマーケティングフレーム、事例をご紹介させていただきました。
【ゲスト講座】林業女子のハッピーキャリア
株式会社はぴきゃり 代表取締役 金澤 悦子 氏より
平成27年8月28日、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律「女性活躍推進法」が国会で成立したことはご存知でしょうか?
女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表や、女性の職業選択に資する情報の公表が事業主に義務付けられ、
女性が個性と能力を発揮し働ける社会の実現に向けた法整備が進められていることは確かです。
このように、女性が活躍できる社会の実現という理念は理解しつつも、
出産、育児といったライフステージによる働き方が変化することや、そもそも体力が求められる林業界の特徴もあり、
経営者にとって悩みごとの多いテーマでもある、女性の雇用問題ではありますが、
働く女性1万人以上に取材を続け、人気雑誌へ女性のキャリアに関するコラムを投稿し、
また、林野庁においての女性活躍をテーマにした講演実績も持つ、
(株)はぴきゃり 代表取締役の金澤悦子氏をゲストにお招きし、
「林業女子のハッピーキャリア」をお話しいただきました。
冒頭から、上記のような法整備が進み、女性活躍に向けた機運が高まっている一方で、
経営者が何よりも知りたいのは、「女を採用すると、儲かるのか?」ということ。
この挑戦的な問いかけから、講座が始まりました。
金澤氏の答えは、「儲かります!!」。
その理由を5つの切り口から、企業にとって女性を雇用する強みとしてご紹介されました。
話の全容は、オリジナルメソッドにより年間300人以上のキャリア相談に応じておられる金澤氏の著書などから、
豊富な事例を交えてお聞きいただければと思いますが、ブログでは一部をご紹介します。
回答①:女性を採用すると、ビジネス開拓に効く!
太古の昔から、集落の中で共同作業を行ってきた女性は、男性よりも比較的に「共感力」が豊かであると言われています。
某大手旅行会社において、トップ営業の成績を持つ女性は、その営業スタイルを「憑依型」と評されるそうです。
お客様との会話を通じて、「あなたには絶対、この場所がオススメです!この場所で、〇〇のお店にいって、××でお茶をして~・・・
きっとあなたのイメージ通りの旅をお楽しみいただけます!!」と提案すると、
「どうしてそんなに私の気持ちが分かるんですか!?」と驚かれ、まるで憑依したかのように、
顧客の潜在的なニーズに共感し、最適な提案によって実績を残しているというエピソードをご紹介されました。
すなわち、消費者は必ずしも、自身のニーズに気付き具体的な言葉で表現できるものではない中で、
女性の共感力は、「ビジネスのチャンス=ニーズへ気付く力」として、企業にとっての強みとなるエピソードの一つでした。
回答②:女性を採用すると、人材育成に効く!
女性を雇用するときに直面する、ハード面の課題。
特に林業界では、トイレや更衣室の整備といった課題に面することが多いかもしれません。
ここで、「ブロークンウィンドウズ現象(割れ窓理論)」というものをご存知でしょうか?
これは、アメリカの犯罪学者ジェームズ・ウィルソンとジョージ・ケリングが発案した理論で、
建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、
やがて他の窓もまもなく全て壊されるという考えに基づくものです。
かつて非常に治安の悪かったニューヨークの街で、知事の政策の下で地下鉄の落書きを徹底的に消すことで、
地下鉄内での犯罪率が減少した実験結果が出ています。
職場においても同様に、皆にとって快適な環境が整備されキープされているということは、
会社の士気やマナーを高めるということ。女性が働きやすい職場環境は、働く皆にとっても快適ということです。
続けて、ソフト面の課題について。
女性は男性と比べても、結婚、出産、育児といったライフステージによる働き方の変化が大きい点は、
経営者にとって女性雇用の一つのリスクであるという考え方もあります。
しかしながら、長時間労働に対応しにくいといったリスクは、女性だけの問題でしょうか?
超高齢化社会に向かう日本ですが、一方で成年男性の未婚率の上昇も同時に問題視されています。
すなわち、介護問題とは、もはや女性のみの問題ではなくなるのです。
長時間労働の一択のみではない、ライフステージに応じた多様な働き方を提供できる組織。
そんな女性にとって働きやすい環境は、男性にとっても、さらに働きやすい企業であり、
このような組織体制を作ることが、長期的な視点から、人材育成に効くと解説いただきました。
これは林業界にも同じく当てはまることです。
さらに、「『5つの謎』を理解すれば、女性のマネジメントはうまくいく」として、
女性ならではの考え方の特徴を分析し、経営者としてどのように接することで、
組織の中でのコミュニケーションがスムーズにできるのか、エピソードを交えてお話いただきました。
会場からは、思わず笑い声が上がるほど、共感の声で溢れる内容となりました。
講座の後半には、「統計心理学i-color」を使ったオリジナルメソッドにより、
その人のタイプに応じた価値観を生かしたキャリア形成について、ご提言いただきました。
講師の金澤氏がキュレーターを務めるWEBサイト「はぴきゃりアカデミー」もご参考ください。
http://happycareer.jp
【まとめ講座】 株式会社古川ちいきの総合研究所 代表取締役 古川 より
ゲストの金澤様のお話を受けて、弊社代表 古川より、
「林業界の経営者として何をすべきか」とお話させていただきました。
林業界において、女性を雇用する時に直面する代表例として、例えば現場の安全性やトイレの快適性といった問題がありますが、
この場合、効率的な重機を導入したり、トイレを整備するなど、ハード面の充実によって、「問題対処」が可能となります。
しかしながら、これらの事象に対してハード面の整備に留まらず、ソフト面までサポートし根本的な「問題解決」を図ることで、
女性の働きやすい会社から⇒男性にとっても働きやすい会社へ。
この問題解決は、結果的に、
会社の経営ビジョンと顧客創造における、マーケティング戦略の実行性に繋がるべきテーマでもあるということ。
このようなメッセージをお伝えし、今回のまとめとさせていただきました。
女性が活躍する組織を考えることは、女性の為だけではなく、それは男性の為にもなる。
そして社員の為だけではない。強いては、会社のため、お客様のためになるということです。
これからも女性に限らず、林業木材業界のキャリア育成のテーマを扱うセミナーも継続していきたいと思います。
【お客様の声】
~アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。~
・組織の中で、女性としての役割を理解、整理できました。女性だから・・・といわれるのが少々苦痛でしたが、強みがたくさんあると分かり、笑顔で頑張れるよう参考にしていきたいです!(林業関係A様)
・面白い内容で、さらに男性の立場からも聞いてみたい内容でした。参加者も色々な経歴で林業界に入っている人が多く、もっと多くの人の経験談を聞いてみたいと思いました。(コンサルタントB様)
・「女性の5つの謎」と題して、女性の考え方を紹介された話が参考になりました。また、男性女性と区別なく、共感できる点も多々ありました。職場や家庭でのコミュニケーションに役立ちます。(行政関係C様)
・とても参考になる話で、女性のみならず、男性にも聞いてほしい内容でした。仕事におけるチームプレイや人材育成について、さらに詳しく聞きたいと思います。(林業会社D様)
・林業は総合産業だと思っています。山をトータルで生かすことができたら、もっと多くの人がハッピーなキャリアを持てると思っています。そんな展開にこそ、女性の力を生かしたいですね。(林業会社E様)
・とても楽しく講義を受けることができました。仕事で「女性や若者の視点を生かして」と度々言われますが、それが何なのか分からず悩んでいたので、ヒントをいただけた気がします。ありがとうございました。これからの仕事にも役立てていきたいと思います。(製材メーカーF様)
・女性という切り口のみならず、その中でも役割の変遷を示していかれた点が参考になりました。世代間の連携が取れるとさらに良いですね。次は、女性上司とのコミュニケーションについても、話をうかがいたいです。林業と女性をテーマにしたセミナーを今後も続けてほしいです。(シンクタンク関係 G様)
・i-color診断は、目からウロコでした。また、印象的なキャッチフレーズにも共感しました。林業女子をテーマに様々なお話を聞き、自分自身の役割を再確認することができました。女性の特質を知ることもでき、楽しい話をありがとうございました。また参加させていただきます。(行政関係H様)
・女性の視点を知ることができ、今後のコミュニケーションの参考となりました。また、マーケティングフレームの紹介では、自分が所属する地域の立ち位置を客観的にみることができ、ハッとさせられました。(行政関係I様)
★次回予告★
第4回 2017年1月21日(土)14:00~18:00
「利益を生み出すビジネスモデルを作ろう!~千円の柱を10万円で売る方法~」
【ゲスト講演】
㈱山共 代表取締役 田口 房国 氏
「カントリージェントルマンたれ!地域と生きる木材ビジネスはこんなに面白い」
https://chiikino.jp/blog/?page_id=190
★詳細・お申込は、後日ホームページからご案内申し上げます。
みなさまのご参加をお待ちしています!