7月度経営実践研究会の翌日は、中源㈱様主催の、
北山林業の伝統的伐採技法「本仕込み」の見学会へ。

研究会メンバーに加え、OBメンバー、一般参加合せて12名で参りました。

 

まず最初に、北山丸太が実際に使われている「㈲松文商店」様のショールームへお邪魔しました。

意外と知らない、床の間の意味、適材適所・バランスを考慮しての
素材の使い分けなどを学ばせていただきました。

 

材木屋としてはよだれが垂れそうな(?)美しい銘木の数々で目をこやした後は、

いざ、北山林業のメッカと言われる、中川地区を訪れました。

 

樹齢400年ともいわれる、巨大な「台杉」

この、ひとつの株からいくつもの幹を伸ばす仕立て方こそが、北山林業独特の技術です。

株の上の幹を択伐をすることで、継続的に収穫が得られるようにと考え出された技法ですが、

2年に一度の枝打ちなど、小まめな手入れと技術を必要とします。

収穫された素材は、丸いままタルキなどに用いられます。

 

 

こちらは、集落の中にある中川八幡宮のご神木。

こちらも樹齢400年を超えているそうです。

北山でメジャーな品種「シロスギ」の母樹であり、DNAとしての、北山林業のアイデンティティです。
これだけの樹齢になっても、真っ直ぐで真円に近い幹を持つのは、
さすが、通直・完満・真円を特徴とする北山杉のお母さんです。

 

 

集落を散策した後は、京都北山丸太生産協同組合様にお世話になり、
北山杉の特徴などをレクチャーいただきました。

 

お昼ご飯を済ませた後は、いよいよ本仕込みの現場へ!

 

土場から歩くこと約10分・・・

 

山の中に、白く光る木肌を発見!!

なんと、地上10m以上の高さに、職人さんの姿!

伐採した木を一本の木に立てかけ、「ヤリ」を組んでいます。
さらに立てかけた木の皮を、木べらを使って一本ずつ、剥いていきます。

木を登るのに使う道具は、縄と木の棒だけ・・・

 

 

これこそが、真夏に行われる北山の伝統的な伐採方法「本仕込み」。

水圧バーカーなどがなかった時代、人の手で杉の皮を剥きやすいのが真夏のこの時期。
また、表面の細胞がやわらかい時期に伐採することで、冬季に伐採したものに比べ、干割れが少なくなります。

葉を付けたまま天日に干すことで、葉と幹表面の両方から乾燥を進められることも、
乾燥機の無かった時代に、できるだけ山で軽くして人力で運ぶための工夫です。

自然の力をうまく利用した、非常に合理的な方法ですね。

 

 

とはいえ、丸太産業の不振や職人の高齢化などから、
この技法を行える職人集団も北山でただ一組となりました。

樹上で作業する、極めて危険な作業。
息がぴったりと合う、「組」にしかできない技です。

 

最後は、中源様の倉庫にて、丸太を磨く体験。

丸太を出荷する前の、最後の仕上げです。

現在は水圧などで磨かれていますが、この地域にある「菩提の滝」の滝壺の砂で、昔は女性たちの手により磨かれていたそうです。

この砂は、上流から川の流れで運ばれてくる際に角が取れ、丸くなっているため、
丸太に傷がつきにくいそうです。

日本の林業の中でも、かなり特殊といえる北山林業。

木材業界にいても、なかなか触れることが少なくなってきましたが、
今回はその育林、伐採の現場、そして製品、空間へとなる過程を見学することができ、
木材人として知っておくべき、知識教養、そして学びへと昇華できたのではないでしょうか。

今後もこのような機会をつくっていきたいと思いますので、ご期待ください。

Posted by admin on 土曜日 8月 3, 2013 Under pick up, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告
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