京都市北部山間地域まちづくりビジョン策定事業、
先月から三学区それぞれで、地域のみなさまに対する事業説明会を開催しました。
いずれも夜の寒い時間帯に、休校となった小学校や、自治会館で開催しましたが、
全住民300人弱のうち50名以上の方にご参加をいただいた学区もあり、
機運の高まり、みなさまの熱意を感じました。
事業説明とともに、弊社の古川からは「地域づくり5つのポイント~各地の先進事例を踏まえて~」
というタイトルで、まちづくりを考える際に必要の5つの視点と、
ヒントになる事例をご紹介させていただきました。
・地域の価値とは何か。
・自分の生死とは何か。
そんな話題を
1.自分の地域の価値を探そう。あなたの日常と非日常、誇りは何ですか?【自分軸】
2.自分と地域の、むかし、と、未来を考えよう。 【時間軸】
3.夢を描こう、イメージをみんなで共有しよう 【ビジョン、戦略】
4.地域づくりの3つの段階:共に体験→対座し話す→動き稼ぐ 【協業と体験→理念と利益→事業と雇用】
5.幸せって何ですか? 定住人口と交流人口について【どう生きて、どう死ぬか】
という視点で、
クイズ&アンケート同時並行方式で、講演をさせていただきました。
質問項目の
「地域の好きなところはどこですか?」「残したいものは何ですか?」
という問いに対しては、
「自然や、静かな環境、きれいな水が好き。四季の変化が美しい。」
「やっぱり、気心知れた仲間がいること。」
「天皇家とも縁の深い、歴史ある建物や地域の伝統行事を大事にしたい」
といったお答えをいただきました。
あらためて考えてみると、人、資源、立地、 それぞれに地域のよい所が見えてきます。
また逆に「地域でいま、困っていることは何ですか?」ときくと、
ある地域では、
「老後のことが心配だ」
という方がおられました。
お年を聞いてみると、なんと89歳!!
え~!っと会場は笑いの渦に巻き込まれました。
まだまだ老後と思わず、現役で 活躍しておられる元気なお父さんに、思わず握手を求めてしまいました。
山村地域では、単に若者世代を呼び込み産業を興そうとするのではなく、
いまここにいる、健康で元気な65歳以上の暮らし方を考え、
自然とともに生きながら、「年金+α(副収入)」という暮らし方をする、という方向性も考えることで、
まちづくりのビジョンが、より明確なイメージにもなってきます。
「俺は85歳まで、高野槇の収穫をするぞ~」
とおっしゃった、高野山のあ70歳の方を思い出しました。
アンケートの中では「今日は、未来に対して、元気をもらった!」
というご感想を頂いたのですが、
こちらの方こそ、いつも山村のみなさまに元気をいただいています。
ところで、
「過疎地域」「限界集落」という言葉があります。
総務省定める過疎法の「過疎地域」、
日本の市町村の、もう50%が過疎地域になっているのです。
そこに住む人口は、6%ほどです。
東京でさえも、20年30年後には大過疎地域になるわけで、
ある意味現在の過疎地域は、時代を先取りしている最先端なのです。
そして「限界集落」の定義とは、65歳以上が50%以上いる地域です。
ですが、
限界集落から本当に消滅集落(人口ゼロ)になっている数は、極めて少ないのが実際のところです。
「限界集落」という名前を付けて危機感をあおる方法もありますが、
ある意味楽観的に、刹那的ポジティブに考えましょう、とご提案をしました。
人口についても、鎌倉時代には日本人は680万人しかいなかったといわれ、
人口が大幅に増加したのはここ50年、100年の話、
大量生産・大量消費の時代というのは、ここ数十年のことでしかなかったのです。
北山杉600年の歴史は、その激動の中で続いてきました。
そういった時間感覚を持ったうえで、「本当に地域に残したいもの、守りたいもの」ということを
50年や100年単位で考えていくことも、お話しさせて頂きました。
最後の意見交換の時間にも、いろいろなご意見が出ました。
「限界集落といわれるが、そういうレッテルを貼られると逆に、どうしたらいいかわからなくなる」
誰かがつくったモノサシではなく、自分たちのモノサシで幸せをはかること。
まさにそれが必要であると感じました。
またある学区では、会場にいた方のほとんどが50代以上であった中、
大学でまちづくりに関する勉強をし、今回の説明会のチラシを見て興味があって参加したという、
20代学生の若者も参加してくれました。
来年からは、まちづくりに関わる仕事に就くということです。
まちづくりに関心がある若者が都市部でも増える中、
実際に地域に住み、自分の地域づくりに関わっていく若者の存在。
とても可能性を感じた出会いでした。
これからアンケートや、さらに部会(座談会)と続きますが、
まちづくりや自分の生き方、幸せについて、ちょっと考えてみるきっかけとして、
多くの地域の方に関心を持っていただき、気軽に参加していただけるように進めて参りたいと思います。