去る2017年1月17日(日)に開催した、
2017年経営実践研究会年末特別フォーラム&大望年会は、
たくさんのお客様にご来場いただき、話題続々。
大盛況のうちに終了いたしました。

年明けとなってしまいましたが、
本ブログにて、開催の様子を報告させていただきます。

 

最近のトピックス紹介

 

序盤には、今年度プロジェクトとして
ご支援させていただいている産地から、
近況情報をお伝えしました。

・北山丸太の販路拡大業務
・一般社団法人ソマミチ
・ウッディーラー豊田

いずれにおいても、
実利の営業と思われにくい、山側からの発信が、
川下の顧客(商流)を動かすキーを握っています。

「コミュニティ=森へ集える場」と
「ペルソナ=木のある暮らしの実践者」をつくり、
山側からの発信を共に行いませんか?

2017年3月29日に淀屋橋で開催した
木のある暮らし展」のような活動を
今年もパワーアップしたいと考えていますので、ご注目ください!

 

古川が斬る!ここ10年間の地域と企業経営

「理念なき利益は犯罪であり、
利益なき理念は寝言である」を座右の銘に、
林業木材業特化型のコンサルティングに携わり約10年。

弊社代表・古川がこれまでのコンサルティング経験を基に、
「ちいきのメソッド経営力9フレーム」を用いながら、
”企業価値を高める「経営の秘訣」”について
基調講演を務めました。

 

参加者の皆さまには、経営力9フレームについても、
テキストで詳細をご紹介していますので、
振返りとして資料をご覧ください。

そして、講座を通じて古川が伝えたかったのは、

「地方創生とは行政がトップダウンで作るものではなく、
皆さまのような中小企業の方々が
個々の地域に根差して実践していくものでは?」

という問いかけです。

 

一般的に、中小企業には、
大手がやらないことをやろう!という差別化意識が根強いですが、
このような発想ではやはり、2番手、3番手の印象が否めません。

大手では実現できないから、
中小である自分達が実践して、細々と生き残ろう。
このような考え方で、世の流れを創造できますか?

今こそ、地域から、地域経営から、
世の流れを変えたい。

 

自社、他社、顧客という3Cの視点を持って、
・自社にできて
・顧客が求めていて
・競合にできない
といった「強み」を探し続けていく。
そこから「夢」を実現させる。

 

夢とは何か。
地域経済やエネルギーの自立、ここでしかできない地域全体の夢。
この「暮らし方×働き方」を描くこと。
地域や経営ビジョンの礎となるのは、
経営者やそこで働く社員の”マイビジョン”ではないでしょうか。
業界ビジョンを問う前に、あなたのマイビジョンは何ですか?

 

産地巡礼2017秋、総集編

 

続いてのコーナーでは、
株式会社山共 代表取締役 田口房国代表にご登壇いただき、
2017年秋に開催・産地巡礼のトークショー総集編版を行いました。

田口さんが目指す”カントリージェントルマン”という生き方や、
経営者マインドについて、お話いただきました。

産地巡礼の開催ブログも、併せてご覧ください。

●伊勢神宮・式年遷宮を巡る「木曽ヒノキ備林」編

産地巡礼2017年秋 ~伊勢神宮・式年遷宮を巡る「木曽ヒノキ備林」編~

●日本一美しい村でみた、工場編

産地巡礼2017年秋 ~日本一美しい村でみた、工場編~

●この山で一番自由な奴が林業王だ!!山共と田口社長のキャリア編

産地巡礼2017年秋 ~この山で一番自由な奴が林業王だ!!山共と田口社長のキャリア編~

 

FSC森林認証の近況

 

つづいて
「脱・補助金、いま求められる国産材新ビジネスの作りカタ講座」
と題したリレートークでは、4名のゲスト講師にご登壇いただきました。

まずは、アミタ株式会社ワークデザイングループ
サステナビリティ認証チーム 小川 直也さんから、
FSC®認証制度の近況についてお話いただきました。

1.登録件数の状況
2.製紙業界の動向
3.オリンピック動向

と3つの近況紹介を通じて、小川さんからのメッセージは、
「日本は、ルールを作れば、キッチリ守る国!
しかし、ルールそのものにグレーゾーンが多いのでは・・・?」という問いかけでした。

森林資源を扱い事業を営む中で、
世界基準のルールに対して、どう対応しますか?
その前に顧客へ説明できる、
自社の資源利用に係る理念とルールはありますか?

 

地域経営を担う皆さまが、
森林認証分野の博士になる必要はありません。
認証分野の最新動向については、
小川さんのような専門家から教わりながら、
自社の経営の付加価値を高めるチャンスとしていただければ幸いです。

併せてこちらのコラムもご覧ください。

【ちいきのコラム】森林認証 必要あるの?の答え

【ちいきのコラム】森林認証 必要あるの?の答え

 

森林資源量について改めて考える

 

さて、リレートークの2人目は、

公益財団法人 自然エネルギー財団 上級研究員の
相川 高信さんにご登壇いただきました。

こちらの講演では、
「2015年パリ協定の採択から、
世の中の流れが大きく変化している。」と、
エネルギー利用に係る世界の動向や
ドイツにおけるエネルギー政策についてご紹介させていただきました。

「森林大国」とも称される日本ですが、
国内の森林資源活用状況をみても、
森林資源に恵まれた国と言えるのでしょうか。

日本の場合、森林面積と比べて人口が多いので、
人口当たりに森林面積を換算すると、
ヨーロッパ各国と比べて小さくなります。
人口一人当たりの森林面積が少なく、
木質バイオマスも頭打ち状態。
真の森林大国と言える状況でしょうか?

「①リソースフルネスの概念を持とう!」

日本は森林というリソースに満ち溢れていることを認識し、
活かす方法を考えること。
地方創生や自立を考慮すると、
地方こそ”うちの地域には、こんなに資源が溢れている!”と
感じられることが大切。

「②出発点として、戦後を忘れない。」

伐採しすぎた歴史の事実は確かにあった。
焼野原になった戦後の山々に植林し、蓄積されたのが、
今ある森林資源。

あくまでも持続可能な資源を扱うのは
「人間」であることを前提に、出発点として戦後を忘れない。

 

講演を通じて相川さんからは、この2つのメッセージを頂きました。

 

キーワードは、As a tax player!

 

リレートークの3人目は、
株式会社トライミライ 三好琢さん。

 

「経営者に必要なのは利益、
学者に必要なのは理想、
政治に必要なのは誇り。
私は政治の世界からやってきたので、
誇りを大切にしています。

仕事は、縦割りを理解することが専門。
また、政治の言葉が分かるので、
政治家と皆さんを繋げるのも僕の仕事です! 」

という自己紹介の下、政治家の仕事と、
民間の経営者に求める役割についてお話いただきました。

 

アメリカでは、”納税者として言わせろ”という意を込めて、
「As a tax payer!」 というフレーズが用いられるそうです。

 

経営者の仕事は利益を上げること。
政治の仕事は、稼がれたお金を使うこと。吸い上げて使う仕事。

この仕事の“違い” を再認識した上で、
集められたお金(=税金)の使われ方をチェックしていますか?

 

1)経営者は利益を上げよ!
2)そして、政治に知らしめろ!
3)さらに、行政の代わりに考えろ!

As a tax player!~納税者として声を上げよ!~

三好さんからの講演では、
地域から経営者が集まった今回のセミナーを通じて、
このようなメッセージをいただきました。

 

ここがヘンだよ林野行政&業界、あと人材

 

リレートークの最後は、
総合地球環境学研究所 FEASTプロジェクト
上級研究員 田村典江さんにご登壇いただきました。

田村さんのトークは、
昨年度の国産材ビジネスセミナーでも大好評でしたので、
この続編をお話しいただきました!

 

まず、森林・林業・木材業界と政策(林野庁)のヘンなところは、
①現場と政策の距離が近すぎる
②行政の悪口を言うワリに、過信しがち!?

との所感の下で、
林野庁とのプロジェクトを各種経験された田村さんから、
林野政策の流れや、支援のメインターゲットを
図式によって、分かりやすく、そして面白くご紹介させていただきました。

 

そんな田村さんからの問いかけは、
「専門技術者はどこにいる(べき)なのか?」ということ。

地方分権の下で、財源としての森林環境税が設置されます。
ここにきて、専門技術者は、どこにいるべきでしょうか?
-木を育てる、管理する専門家
-木を伐る、売る専門家
-空間としての森林を管理する専門家…etc

行財政改革の動向の下で、
市町村行政の人員は削減され、既存の業務に手一杯な場合も
少なくないと言います。

今回のフォーラムに参加するような事業者がコアとなり、
経営者のプロとして、市町村に意見してほしい、とメッセージをいただきました。

 

フォーラム企画を通じて、古川が伝えたかったこと。

 

今回の特別フォーラムを通じて、
主宰者の古川が伝えたかったことは、

1.コアを持て!

2.領域をずらせ!

3.独自のライフスタイルを伝えよう!

という3つです。そして、

①個:コアを高め、経営者の実力アップのための研究機関
②面:学び合う仲間たちが広がり、政策提言するロビーング機関
③個の強さ、面の魅力、独自のライフスタイルを実践している人達を発信するメディア機関

この3ステップを経て、
Clubプレミアム国産材の経営者、業界コンサルタントが共に、
新しい「木のある暮らしの世界観」を創り、届けたいと構想中です。

まずは参加者の皆さまに新構想をお届けできた、
2017年末の特別フォーラム&大望年会。

 

そして年が明け、新しい動向にもご注目ください!
まずはご参加&ご登壇いただきました皆さまに、
心より御礼申し上げます。

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 木曜日 1月 4, 2018 Under pick up, すべての記事, 未分類, 講演&研修 報告

2017年もあと数日という時期になりましたが、みなさまにとって今年はどのような1年だったでしょうか。毎年「日経トレンディ」が発表している、ヒット商品ランキングの公開に合わせ、弊社が独断と偏見で、今年も林業・木材業界のトレンドニュースを発表いたします!

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昨年(2016年度)のランキングを思い出したいという方は

以下URLからご覧ください。昨年は、1位は、ポケモンGO⇒隈研吾でしたね。

https://chiikino.jp/blog/?m=201612

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まずは、2017年の「日経トレンディ」が発表したヒット商品はこちら!

 

1位 Nintendo Switch

2位 明治ザ・チョコレート

3位 クラウドファンディング

4位 ミールキット

5位 ビットコイン

6位 クラフトボス

7位 リンクルショット メディカルセラム

8位 でか焼鳥

9位 anello(アネロ)

10位 ハンドスピナー

 

いくつかは購入されたものあるのでしょうか?世間のマーケット情報に詳しく、時流に乗られているみなさんは全てご存知のことと思います。ちなみに、12月17日(日)の経営実践研究会(年末フォーラム)で発表したとき、参加者の中ではこの中で4つ購入したという方が一番多かった購入(体験)者でした。

ちなみに昨年の1位は「ポケモンGO」、今年は「Nintendo Switch」と任天堂様関連の商品が2年連続1位となったことが話題となりました。

 

 

では、お待たせいたしました、

林業・木材業界のヒット商品ランキングの発表です!

 

第10位:ハンドスピナー ⇒ プラントハンター

(画像引用元:http://from-sora.com/)

 

日経ヒット商品のほうで10位となったハンドスピナー。くるくる廻すだけというおもちゃ。しかし、何故か気持ちがいい~!楽しい~!と、人気ユーチューバーの商品紹介動画をきっかけに広がりました。

 

今回、10位のハンドスピナーに対して、林業・木材業界からは、カタカナの類似から、ここ最近のクリスマスツリープロジェクトで注目が急上昇している「プラントハンター」を10位とランクインさせていただきました。

 

林業・木材業に関わる仕事は様々ありますが、プラントハンターという仕事(人物)は知らなかったという方もいるのではないでしょうか。主に17世紀から20世紀の欧州で盛んであった職業であり、食料・香料・薬・繊維等に利用される有用植物や、観賞用植物の新種を求め世界中を探索する人を指します。

 

プラントハンターの活動が注目されることで森林、植物への関わり方の多様性、また自然との直接的な関わりを生業とすることへの奥深さを考えさせられるきっかけとなったのではないでしょうか。

 

なお、話題となったのは、このプロジェクトに対してや、プラントハンターの西畠 清順さんに対しての意見がSNS上に炎上したということです。今年、朝倉市や日田市など九州北部での大豪雨で山林崩壊が広がりました。人工林諸悪の根源説とか、表層崩壊と深層崩壊どっち説とか、専門家以外の情報発信が多数とひろがりました。今回の件でもそうですが、

・SNSは誰もが発言権を獲得できる諸刃の剣であり、必ず賛否両論が生まれるもの。

・二次情報(SNS)を鵜呑みにしない。

・一次情報を自分で見て、自分の意見をきちんと持たれたい。

・専門家というポジションなのが、自由人なのか、発言(権)に責任を持たれたい。

 

弊社の12月経営実践研究会(年末フォーラム)では、ハンドスピナーがyoutubeで広がったことも含め、プラントハンターからの学びについては、SNSとは何か、情報発信とは何か、真実(科学的根拠)は何か、それらをどう考え、自分はどう行動するかという結びを得ました。

(参考)

http://www.soratree.jp/message.html

めざせ!世界一のクリスマスツリー あすなろの木について寄せられるご意見等について ~清順より大切なメッセージ~

 

 

第9位:anello(アネロ)⇒Montbell(モンベル)

(画像引用元:https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1132140)

 

第9位は、女性のターゲットとして、機能性とデザイン性が重視されたガマ型リュックを展開されたanello(アネロ)。これに対しては、ファッション業界繋がりで、ついにあのメーカーが林業へ参入!?ということで、9位を「Montbell(モンベル)」とさせていただきました。モンベルは日本発のアウトドアメーカーとして有名ですが、なんと、ロガーパンツなどの林業ウェアが今年、発売されました。他にも農業、漁業のウェアも発売しており、一次産業をサポートする姿勢を強めています。「日本の第一次産業を元気にしたい。そんな思いから誕生したモンベルのフィールドウェアに新商品が加わりました。」とWEBサイトにあります。

 

従前から、八戸森林組合など、先進的な林業服の開発やデザイン展開、ショップ展開をされていますが、これからは異業種の衣料メーカーからも林業ウェアが広がり、より快適な作業が出来る将来に期待もたれます。また、女性にうけるデザイン性、機能性というのはあらゆる業界においても重要なテーマとされています。

 

第8位:でか焼き鳥⇒日本一でかい花脊の三本杉

(画像引用元:http://dobanzy.com/aruku.html)

 

みなさんヒット商品8位の「でか焼き鳥」はコンビニで食べましたか?大きいだけでなく美味しいですよね!さて、その「でかい」といえば、新たに日本一高い木として林野庁より認定された「花脊の三本杉(京都)」でしょう。これまで日本一高い木とされてきた愛知県新城市の「傘杉」(59.57m)を上回る62.3mと判明されました!

 

ちなみに世界一高い木はアメリカカリフォルニア州のセコイアの木で115.55mとのこと。世界を見ると上には上がいることを思い知らされますね。

 

ただ、発見と言っても、普段あたり前に見ているものが、メディア注目を集めて改めて日本一だったということ(価値)に気付くことも少なくない事例では?という投げかけができます。

 

また今年1月に就任したアメリカ大統領。そのドナルド・J・トランプ氏の著書「お金の作り方は億万長者に聞け!」のある部分から代表の古川が記憶に残った部分を引用しますと、「成功が一夜にしてもたらされるものだと、思いがちなのは、それまで無名だった人が突然、有名になるのをテレビや新聞(いまはインターネット)でみるからだ。しかし、数百年育ってきたセコイアの木を考えてみるといい。テレビのクルーがある日、その木を番組で取り上げることにしたからといって、それまでその木が存在していなかったわけではない。」と、このあと、スポーツ選手や音楽家を例に、不断の努力、基礎練習、その大切さをトランプ氏は述べています。トランプ氏が、木の話をしていたというのも驚きですが、やはり経営で大事な視点というのは、お金持ちになるかならぬかということはあくまで結果論だということも大きな学びになります。

 

改めて、「でかい」という事実から、①何かで日本一(地域一番)になること ②発見されるネタはまだあること ③不断の積み重ねが大事。ということを、第8位から学びました。ぜひ、花脊(京都府)の日本一の木に行ってみましょう。

 

第7位:リンクルショットメディカルセラム⇒セルロースナノファイバー

(画像引用元:http://www.nipponpapergroup.com/research/organize/cnf/)

 

苦節15年の開発を経て、日本で初めてのシワを改善する薬用化粧品であるリンクルショットメディカルセラムに対しては、業界からは「セルロースナノファイバー」を上げたいと思います。

 

夢の新素材がここでランクインです。セルロースナノファイバーは木材の主成分であるセルロースをナノレベルまで分解し作られた素材で、現在は製紙会社を中心に商品開発が進められています。おむつ、ボールペンのインク増粘剤、食品添加剤までと用途の可能性は大きく、様々な素材に代替してこれからも市場を伸ばしていくことが予想されます。2017年は新商品の発売も多くありました。世界の潮流である脱炭素社会に向け、様々な産業に変革が必要でありますが、経済産業省は「平成 25 年度製造基盤技術実態等調査(製紙産業の将来展望と課題に関する調査)」において、CNF の市場規模目標を年間 1 兆円としています。各メーカーからの新商品に期待が持てます。

 

第6位:クラフトボス⇒クラフトウッド・メーカーウッド

 

クラフトボス、人気商品でしたね。ヒットポイントは以下3つと考察します。

https://www.suntory.co.jp/softdrink/craftboss/

 

1. 冷めても美味しいというこだわり品質(製造のこだわり)
2. セルフコントラスト(2対比較の販売)と新たなパッケージデザイン
3. ターゲット設定として、働く男イメージからオフィスで働く若い新しい層を作ったこと。

 

そんなクラフトボスに対しては、クラフト繋がりで、ウッディーラー豊田の2つのブランド、「クラフトウッド・メーカーウッド」の創設を6位としてランクイン。木材の流通、産地ブランドは立地・規模に応じて形成されるものでもあります。ウッディーラー豊田は、クラフト系統とメーカーウッド系統で、求める品質、量が異なるので、2つのブランドを発足させました。

http://woodealer.jp/

また、全国で杉と桧のクラフト系の新商品が続々と生まれており、先日に発表されたウッドデザイン賞2017でも多くの杉と桧のオシャレなクラフト系の商品が受賞されています。

特に、奈良県は吉野の川上村の木工作家、平井健太氏は、吉野杉の特徴を活かし新たな曲げ技術を駆使した和モダンチェアを商品開発し、国際家具デザインフェア旭川2017にて、ブロンズリーフ賞、ウッドデザイン賞でも林野庁長官賞を受賞しました。注目です!

https://www.studiojig.com/

 

第5位:ビットコイン⇒森林環境税

 

通貨の常識を変えつつあり今後も注目のビットコインに対しては、国がかかわるお金の話題ということで「森林環境税」です。税金は、空想のお金かリアルなのか、仮想通貨はどこへ?

既に、都道府県別ごとの税制として導入されている森林環境税(森林整備に係る税の総称とする)ですが、2024年からは国税としても徴収される予定となっています。税金の二重取りになるのではとか、どのような分配をするのか、実際にどう使うのか、友好的に使える地域はあるのかと様々な問題が提示されている中、約600億円の税収がどのように使われていくか、対象となる予定の市町村自体が常にどのようなビジョンを描いているかが肝要であり、また我々のような事業者側(民間企業)からも大きく提案(事業ビジョン⇒地域ビジョン)を挙げていく必要があります。

本件については、12月経営実践研究会(年末フォーラム)にて、4名のコンサルタントが集まり、ディスカッションを深めましたのでまた別途報告いたします。

 

第4位:ミールキット⇒モクタンカン/ツギテプロジェクト

(画像引用元: http://moktankan.com/)

ミールキットはご存知ですか?おいしい料理の完成写真があり、食材はカット済、料理済のものがキット化されていて、すぐ選んでネットで注文できる!というオイシックスさん等が展開されている食材宅配サービスです。我々の業界でも、①完成する建築イメージを訴求し、②部材と素材は加工化が進んでいて、③すぐ選べて買えるかどうかというのは、建築空間(木材利用の促進)でも重要なポイントです。

ということで、この4位のミールキットに対しては、気軽で簡単に利用できるキット化商品という観点から「モクタンカン」と「ツギテプロジェクト」を選ばさせていただきました。モクタンカンはΦ48.6の木単管とクランプのシンプルな組み合わせで家具等を制作することができます。

 

ツギテプロジェクトは、西粟倉村に本拠点を構えるようびのプロジェクトです。1種類の継ぎ手から設計された新しい拠点づくりを進めています。

 

公共木材利用促進法が制定されてから時間がたちますが、最近の中大規模の建築物では、あたらしいトラス構法を導入した木質化等が発展しており、キット化する建築は今後も伸びる見込みです。香川県の六車工務店さんは「森ではたらく!(学芸出版社)」にも、著者として書かれていますが、若杉軸組工法という方法を確立し、大きな梁桁を持ち要らず、戦後植林された小さな木(柱用材の間伐材)から正角のみで住宅を建築できる構法を展開されています。キット化というシンプルさとは若干にズレましたが、今後は、わかりやすく、選べる規格化こそが国産材マーケット開拓のキーとなってくるでしょう。

 

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モクタンカンWEBサイト↓

http://moktankan.com/

ツギテプロジェクトWEBサイト↓

http://tsugite.youbi.me/

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第3位:クラウドファンディング⇒(業界内プロジェクト)

3位のクラウドファンディングに対しては、林業・木材業界も同じく「クラウドファンディング」から選びました。業界内でも様々なプロジェクトがクラウドファンディングにより資金を集め実効性を高めてきました。

その中でも、「ばんえい競馬の引退馬を林業で再雇用!」(ソマミチプロジェクト)、「神戸の舟工房を継承した六甲山の木でモノづくり拠点整備」(六甲山プロジェクト)が注目されました。

クラウドファンディングをはじめ資金調達の方法は他にもありますが、幅広く実行手段を知ったうえで、何が適切であるかを選択してプロジェクトを実施するべきという意味も込めて3位にランクインです。

 

第2位:明治ザ・チョコレート⇒木のある暮らし展

明治ザ・チョコレートは買われた方も多いでしょう。とてもオシャレなパッケージですが、会社上層部が、こんなチョコレートっぽくないデザインでは売れない!といったものの、若い社員のオシで大ヒットといった事例でも有名です。これに対しては、産地の魅力を引きだしながら個性を活かした統一感あるPRという点で「木のある暮らし展」です。

・明治ザチョコレートは、斬新なパッケージデザインだけでなく産地が見え、デザイン性が高いことが売り

・店舗でも、産地の分かるカカオ豆を使う、チョコレートバー等も最近は増えている。

・「Bean to BAR」の情報が充実。

http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/bean-to-bar/

 

・旅する日本の森と産地をテーマに開催した「木のある暮らし展」のコンセプト。

 

Clubプレミアム国産材の主催で3月29日に開催した「旅する日本の森と産地」をテーマとしたライフスタイル展示会でしたが、多くの来場者、複数のメディアにも取材いただき多くの出会いある1日となりました。

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「木のある暮らし展」開催結果(ショートムービー)はこちらから

https://chiikino.jp/blog/?p=7107

報告ブログはこちら。

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第1位:任天堂Switch.スウィッチ ⇒スギッチ

(画像引用元:http://j-town.net/tokyo/news/localnews/236422.html?p=all)

 

栄えある第1位は、Nintendo Switch.スウィッチ..スイッチ…ス〇ッチということで、「スギッチ」です!弊社メディアパートナー岩井有加が一オシの推薦。毎度、一位は駄洒落しかなくすみません。

今年の引退といえば安室奈美恵さんも寂しいニュースでありますが、この秋田県公式マスコットキャラクターで「TVチャンピオンゆるキャラ日本一決定戦」の優勝経験もあるスギッチの引退が決まり、業界内(秋田県内)は震撼したことは記憶に新しいのではないでしょうか。(詳しくは、スギッチ 引退 で検索くださいませ。)

なお、スギッチは秋田杉をモチーフにされた愛くるしいシルエットが特徴的です。スギッチに限らずゆるキャラの浸透度は大きく都道府県の代表格としての幅の広がりがあれば大きなPR効果が期待できます。みなさまの地域ではどのようなゆるキャラが人気でしょうか。キャラクターを活用して上手く業界をPRすることも戦略の1つですので、是非注目いただきたいところでもあります。

 

 

今年は以上のランキングとなりました!

あくまでも弊社の独断と偏見であることをご承知ください。

みなさまも是非、ご自身のヒット商品ランキングを作り2017年を振り返ってみてはいかがでしょうか。

それでは、また来年の発表をお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 木曜日 12月 28, 2017 Under pick up, すべての記事

 

 

「この山で一番自由な奴が林業王だ!!」

 

こ、このキャッチフレーズは・・・??
有名な漫画のセリフが林業版にアレンジされています。
このようなユニークなオリジナルポスターを作って、現在も求人募集を継続中の株式会社山共

現在、14名の社員が働いておられます。(うち2名はアルバイト期間中)
さらに、林業部門を運営する山共フォレストには5名が所属。
株式会社山共と株式会社山共フォレストを合わせて、19名の社員が所属し、
平均年齢38歳と、若いパワーが活躍される企業様です。

 

今回の産地巡礼では、田口社長による講演コーナーを通じて、
人材募集とキャリア育成について、教えていただきました。

 

 

変えていないのは、「木を扱う仕事」ということ。

現在、代表取締役を務める田口房国さんが
地元・東白川村に戻り、家業に入ったのは、
東京での大学生生活を終えた1999年でした。

 

現在、「山共=東濃スギ」と国産材を主に販売する山共ですが、
1999年当時の主力製品は、構造用ベイマツ。
近隣では、「ベイマツの山共」と呼ばれる会社でした。

 

家業経営者が集まる場で、
度々話題に出されるのが、先代からの守破離。
父親世代の経営から、守るところ、変えるべきところは何か、
今回の産地巡礼においても、同じような質問が交わされました。

 

そこで田口社長からの回答は、
「(経営では)変えられるところは、全て変えて来た!」
と。ただし、唯一変えていないところは何かと、改めてお聞きすると、

「木材を取扱って事業すること。
それだけが、先代の頃から、変えていない。」というものでした。

その答えの中には、
品質・納期・価格や人事考課制度の見える化、
経営方針そのものの転換など、変革を重ねてこられた田口社長のキャリアがうかがえます。

 

 

2011年~ 会社の旗を掲げる「理念」づくり

 

 

山共には、理念に共感し「この会社に入りたい」と
熱意を持った優秀な社員の方々が集まっていますが、
いずれも、ファーストコンタクトは会社のホームページから。

きっかけは対顧客のために刷新されたホームページですが、
そのターゲットはお客様に限りません。

 

 

マーケティングには、
・お客様
・投資家
・優秀な人材
と「3つの顧客」がいると言われますが、
ホームページに掲載されている企業理念や代表の想いが共感を得て、
その人柄と社風の下に、村内に限らず、地域外からも人材が集まっています。

 

例えば、人口約2000人の東白川村で、山共が20人雇用の企業とすれば、
村民のうち100人に一人は、山共の社員という計算になります。
つまり、企業の発展 ≒ 地域の発展。

単に事業の継続のみならず、地域雇用の中核を担う中小企業こそ、
「この地域で暮らしながら働きたい。」と理念の旗を掲げる必要性と
その影響力を感じるエピソードでした。

 

 

2017年~ 人材評価制度の体系化

 

今回、産地巡礼での視察の機会にご紹介いただいたのは、
最近、体系化されたばかりという、人材評価制度について。

田口社長が行ったのは、
・評価項目を社内公開すること
・定期的な個別面談を行うこと
・社員の給与を底上げすること   の3つでした。

 

賞与ではなく、給与の底上げを図った理由を聞くと、
「近年の経営状況をみると、ここで底上げできると判断したため。」

 

「会社として次のフェーズに進むために、
社員一人一人へ求めるレベルを上げたいと思っている。
そのためにはまず、会社として給料を上げることで、経営者の姿勢を示したかった。」
という2つの理由をお聞かせいただきました。

 

 

吉野林業全書を監修し、全国各地に植林指導、
林業普及を行った林業家の土倉庄三郎(1840年~1917年)は、
「利益は3等分し、国、教育、事業の為に1/3ずつ還元する」
といったポリシーを残しています。

彼のお金の使い方によって守られたものは、森林資源に留まらず、
近代日本の教育など、無形資産としても継承されています。

 

たまには皆でカレーを食べたり、子供を皆で見守ったり、
「家業」時代から培われた人間関係の風土を残しつつ、
「企業」としての成長を遂げる理由は、人材の評価制度と共に、
その根底を支える“会社のお金の使い方”にも秘訣があるのではないでしょうか。

 

 

田口社長の経営者マインドとは?

 

 

大学卒業後、すぐに家業へ戻り、
代替わりを機に、都市圏への新たな販路を次々に獲得し、
地域雇用を支えるトップランナーの一人として走り続けると共に、
地歌舞伎や消防団など、地域で暮らす一員としての役割も果たす、田口社長。

 

常に経営への変化を取り入れておられ、
林業木材業界では稀有な存在として語られる場面もあります。
しかしながらご本人に対して、経営者のマインドを尋ねると、
「自分にできることは、誰にでもできると思っています。」といった
意外な回答が返ってきました。

 

 

同時に、
「フロンティアとして、常に新しきを切り拓く役割に責任を持っている。
だからこそ、作った道に続く部分に関しては、信頼する社員に任せられるし、
それが、社員が働くやりがいになってくれると嬉しい。」

 

 

「景気が悪い、外材が悪いと文句ばかり言う人が多すぎる点に憤りを抱き続けていた。
その憤りを否定せず突き通すためには、全て自己責任でやっていくこと。
頼まれごとは、試されごとと思って、
“ここで躊躇って満足だろうか?”と自問自答しながら、
頼まれた立場を引き受けるようにしています。」
と、その心境をお聞かせいただきました。

 

 

また、田口社長はこのような視察を受け入れ、人前で講演を務めることに対し、
「人から見られている意識を持つことで、
常に変化・成長する覚悟を持てている。」と話して下さいます。

 

これまで10つの産地を訪れてきた、産地巡礼(旧 現地研修会)。
その地域ごとに、田口社長のような、
中小企業と地域の発展を担うキーパーソンに出会いながら、
学びをいただき、続けてくることが出来ました。

 

一つの節目となる開催10回目を経て、
弊社としても、その学びを体系化して、新たなサービスとして、
地域で事業を展開する経営者の方々と共に、地域の価値創造を図って参ります。

まずは、今回視察を受け入れて下さった先々の皆さまと共に、
参加者の方々にも、心より御礼申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 木曜日 12月 28, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

 

 

この度、福井県に初めて、
高野山で育まれた木でできた「高野霊木の机」が届きました。
お施主様の「住まいの夢」をカタチにする応接スペースが、
さらに木の温もりに包まれた空間となりました。

地域産材である京若狭材を基軸に、
全国のプレミアム産地材も上手くブレンドしながら、
木のある暮らしを提案する、福井高浜の平田木材店さま。

事務所の扉を開けると、
高野杉(机)と京若狭材(壁のサンプル)から、
木の心地よい香りが迎えてくれました。
きっと、お客様との会話の始まりになりますね。

 

Posted by wpmaster on 金曜日 12月 22, 2017 Under pick up, すべての記事, ちいきのgraffiti~写真集~

 

2009年の岐阜県恵那市(第一回)を皮切りに、

記念すべき10回目を迎えた、産地巡礼(旧 現地研修会)。

プレミアム産地と出会い、知り、学ぶ旅。

2017年秋は、木曽ヒノキ備林の見学に続いて、

「日本一美しい村」に選出される岐阜県東白川村を訪れました。

 

霧雨が降る天気の中、

杉檜の森はまるで白いベールに覆われたようで、

幻想的な風景が広がっていました。

 

 

 

山間には、お茶畑も目立ちます。

ここは、約600年前、大沢村蟠龍寺の住職が

宇治から茶の実を持ち返り、茶の栽培を広めたと伝承される、

ひがし白川茶の産地でもあるのです。

 

 

視覚的にも静寂を感じる道中。

左右をお茶畑に囲まれ、その奥に東濃桧、杉の山が連なる。

国道41号線をまっすぐ進んだ先に、

いきいきと働く“仕事人の活気”に満ちた工場が現れました。

「山と共に、あしたをつくる。」株式会社山共です。

 

工場の外にはスタッフの車が均整に並び、

フォークリフトが滑らかな動きで地域材(東濃桧、長良杉等)を運んでいます。

そして中に入ると、事務所の皆さまが、

温かい笑顔で迎え入れて下さいました。

 

 

 

会社をご案内して下さったのは、

株式会社山共の田口房国社長。

当社の会社概要は、ご覧の通りです。

 

社名        株式会社 山共

所在地    岐阜県加茂郡東白川村越原9 76 番地10

TEL        0574-78-2516

FAX        0574-78-2236

代表者    代表取締役 田口房国

社員 14人(うち2名はアルバイト期間中)

創業        1955年12月

HP           http://www.yamakyo.com/

 

 

 

オフィス、最初に目に留まるテーブルは??

 

 

「こちらは、うち(山共)の材で作ってもらったテーブルです。」

事務所に入ってまず案内して下さったのは、打合せスペースにある木製テーブル。

近くの木工屋さんで制作販売されている商品だそうですが、

独自の加工技術によって、木材特有の「反り」や「曲がり」が発生しにくい製品です。

 

山共は原則として木材の「部材屋さん」です。

最終製品を作るメーカーに対して、素材を納めるお仕事。

しかしながら、田口社長を始めスタッフの皆さまは、

“どのような最終製品として使われるか”を意識して部材を製造されています。

 

事務所でお客様を迎えるテーブルも、

自社製品の最終形態を示す一つの象徴品ということ。

きちんと自社の最終商品にコミットしていること。

一つのアイテムからも、

お客様の先にいる、お客様(最終顧客)に対する責任とプライドを感じるのです。

 

一年の計は元旦にあり!?

 

 

さらに、壁にはびっしりと、習字の色紙が貼られています。

新年、社員全員で「一年間の決意」を書初めにしたため、

事務所の壁面に貼りだしているのです。

田口社長の文字は「終わらない挑戦」。

皆さん、見事に違う言葉が書いてあります。

隣を見ながら書初めするんでしょうか??気になってきました・・・

“一年の計は元旦にあり”とは言いますが、継続が要です。

宣言して貼っておいて、見られる意識を持つこと。

どの会社や家庭でも、すぐに真似できる習慣ですね!

 

弊社代表 古川が山共様のブランディングプロジェクトに通い始めたのは、

今から6年前のこと。当時(2011年1月)の色紙も残して下さっていました。

そこには、「共に走る」の文字。

日焼けした色紙に、月日の流れを感じますね。

 

 

 

山共流 福利厚生

 

 

事務所の中をさらに進むと、

予定表のホワイトボードには、「カレー」の文字。

 

 

 

そう、山共では、隔週土曜日はカレーの日。

田口社長のお母さま手作りのカレーを皆で食べながら、

最近のできごとなど雑談するそうです。

社員とのコミュニケーションづくりを大切にしたいという社長の想いもあり、

長年、継続されています。

 

 

事務所机の隣には、なぜか滑り台が置かれています。

急きょ、事務を手伝うことになった女性が子育て中で、

当時9カ月のお子さんを連れて働くようになり、

徐々に子供用アイテムが増えていったのだそうです。

 

ちなみに、「保育園落ちた日本死ね」のフレーズが流行した2016年。

田口社長がSNSに、このように投稿されていました。

 

~~~

【2016年4月1日の投稿】

「保育園落ちた、日本死ね」というのが最近流行っていましたが、

私としては「口が悪いなぁ」くらいにしか思っていなかったのですが、

ふと、うちの会社の事務所には小さい女の子がいることを思い出しました。

急遽事務員が必要になり、

知り合いだった女性に声をかけて来てもらうことにしたんですが、

その時に当時まだ9ヶ月だったTちゃんも一緒に来ました。

まだ乳飲み子でしたし、這い這いし始めた頃でしたね。

事務所の中にはおもちゃとか、柵?とか、誰が持ってきたのか滑り台までできて、

さながら託児所のようになっていきました。

 

初めて歩いた時や少しずつ言葉を喋るようになったりだとか、

休憩後にお片づけを手伝ってくれる姿は、

私も含め社員の癒しにもなっていると思います。

そういえば私も小さな頃、事務所や工場の中で遊んでいたなぁと思い出しました。

最初は戸惑いの見られた社員たちも、「ま、いいんじゃない」みたいな感じなって、

今では「いないと寂しい」という感じです。

(最近は2歳になって、自分でタブレットを操作してyoutubeを

見ているのが驚きですが笑)

 

こんなことが普通の会社で出来るとも思いませんが、

「保育園落ちた、日本死ね」という言葉の響きの中には、

保育園受かった→勝者

保育園落ちた→敗者

0か100、みたいなギスギスした感じがあって、

こういう「ま、いいんじゃない?」的なゆるさが失われつつある、

今の社会の雰囲気を感じてしまいますね。

 

~~~

 

 

 

ここが、山共フォレストの陣地!!

 

 

さて、産地巡礼(現地研修会)に話題を戻します。

製材業として昭和30年に創業された株式会社山共。

そして平成29年の今年には、林業部門のグループ会社として「株式山共フォレスト」が設立されました。

こちらは、山共フォレストの事務所です。

 

ちょうど現場から戻ってこられた副社長の榊間さんが、丁寧に案内して下さいました。

山共フォレストでは、

雨の日は事務仕事や製材部のサポートをすることで、天候に応じた不定休でなく、

できるだけ休日を統一するような働き方を選択されています。

 

ちなみに事務所は元木工所だった場所を月額レンタル中。

建屋には年期が入っていますが、屋内は気持ちよく整理整頓が行き届いています。

 

 

5Sとはいうものの、簡単にはできません。

道具の場所も、現場に行く前の確認事項リストもあって、一目瞭然。

道具を大事に扱うのは勿論のこと、

若い人や、来て新しい人も働きやすい環境づくりのためにも、

整理整頓から始めるべき、と話しておられました。

書類を仕舞うケースにも全てラベリングしてあって、

探し物をする時間も短縮でき、ビジネスとしての林業の効率性と安全性を日々、改善されている様子もうかがえました。

 

ついに、製材工場へ

 

 

そして、ついに製材工場へ。

工場内にストックしてある原木は、市場から仕入れたもの、自社林から山共フォレストが出材したものの両方で賄われています。

また、FSC®製品も製造しているため、これらは工程の中で非FSC®材と混在しないよう仕分けされています。そして原木は製材品、バイオマス燃料用、割箸用材、バーク、自社の燃料まで、余すことなくすべて加工してカスケード利用しています。

 

 

工場に入って驚いたのは、まずは機械の稼働率です。

訪問した際は特に繁忙期だったとのことで、全ての機械がフル稼働している状態でした。

 

お忙しいにも関わらず、

スタッフの皆さまは、爽やかな笑顔で視察組を迎え入れて下さいました。

そして、製材工場の中もやはり整理整頓されています。

 

 

 

工場の中にストックされていた美しいスギ材。

こちらは、とある社寺の垂木用材として納材されるそうです。

この製品にもエピソードがありました。

別のメーカーに発注していた顧客が、思う製品を入手できず、

「なんとか間に合わせてもらえないか?」と相談されたため、

なんとか調整して用意した注文材。

 

「『他に頼んでいたんだけどダメで、助けてくれませんか?』という連絡が多くて、

だったら最初から頼んでよ、と思いつつ(笑)、基本的には断らず、すべて対応をしています。

 

若い頃は、地域の中で誰よりも仕事をするぞという気持ちでやってきたけど、

最近は、人(顧客、地域の方)に喜んでもらうことが一番嬉しく、

それが自分の喜びにもなっているような気持ちかな。」

 

“仕方なく買ってもらうのが、とてもイヤ!”と話す田口社長らしいお言葉ですが、

 

「“困った時の山共さん”ってポジションが出来つつある。」

 

と地域信頼を得る企業の強みを垣間見ることができました。

 

 

 

工場見学を経て、午後の講座は、

村内にある「神土高齢者交流サロン」で行われました。

平成27年度の公共事業によって、

岐阜県産材(桧、杉)を40㎥使って作られた施設です。(平成28年3月完成)。

 

 

 

建物内には、カフェルーム、和室、交流ルーム(多目的スペース)があり、

また文庫貸し出しスペースや「ぎふ木育おもちゃ」のアイテムも充実していました。

浴室なども兼ね備え、いざというときの一時避難場所の機能も兼ね備えた施設です。

薪ストーブの前でいただく珈琲が、ご馳走ですね。

 

 

ここでは、「人材育成」や「離職率」についても真剣な議論が交わされることとなりました。

副社長2名体制や評価指標の公開、給与の底上げなど、

山共で今年から導入された仕組みの話もオープンに教えて下さいました。

 

中小規模経営であれ、「企業」として仕組み立てる面と、

たまには皆でカレーを食べたり、子供を皆で見守ったり、

「家業」時代から残る社員同士の関わり合いの両方が織り交ざる、

これからの時代を作る「地域企業」の素敵な社風に触れることが出来ました。

 

 

会社信頼を築く土台

 

田口社長に案内いただき、社員の方々にもご挨拶いただいた、工場見学。

『困った時の山共!』という会社信頼(ブランド)の神髄は、

 

①収益性を最大限に高めるカスケード利用

②高付加商材からチップまでの1品1品の製品管理

③担当責任制の人材配置と適性オペレーション

④誰もが分かりやすい整理整頓

⑤明るい挨拶から成る工場の雰囲気

というように、

経営者と職員との信頼を基にした製材工場の中の随所にありました。

 

さて今回は、「日本一美しい村でみた、工場編」と題して、株式会社山共様の事務所と工場についてご紹介させていただきましたが、産地巡礼ブログの最後には、「この山で一番自由な奴が林業王だ!!山共と田口社長のキャリア編」をお送りします。

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 12月 11, 2017 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 講演&研修 報告

 

 

ここは、岐阜県中津川市(旧加子母村、旧付知町のあたり)。
国道256号から、車で約15分、「これより 国有林」と書かれた看板を抜けて、
幾度も門戸の施錠を解いてもらい進んだ先に、木曽ヒノキ備林がありました。

 

伊勢神宮の式年遷宮を始めとした、日本を代表する文化的な木造建築物への用材供給のために管理されている森林です。

今回の産地巡礼では、木曽ヒノキ備林を管理する、
東濃森林管理署の森林整備官・伊藤さんに
森をご案内いただきました。

 

 

 

 

木曽ヒノキ備林の概要

 

まず、木曽ヒノキ備林の概要は、こちらの通り。

標高:約1,000m ※見学地の場合

面積:730ha

蓄積量:32万㎥(3㎥/本と計算して、ヒノキ10万本分)

主要樹種構成:ヒノキ76%、サワラ23%

平均樹齢:300~400年

 

730haは、例えば東京ドーム155個分の広さ。
といっても想像が難しいですね・・・

平均樹齢300~400年ですが、
中には二代目大桧と命名されて象徴とされているような
千年生近いヒノキも存在しています。

 

 

 

 

木曽五木と“あさひねこ”

 

木曽地方を代表する樹木は、
「木曽五木」の名の通り、5つの樹木。
こちらは“あさひねこ”と覚えてください。

あ:アスナロ
さ:サワラ
ひ:ヒノキ
ね:ネズコ
こ:コウヤマキ

 

どうして木曽地方には、
ヒノキを中心とした特定の樹種が残っているのでしょうか?

それは、1624年(寛永元年)、
尾張藩による禁伐統制から始まった森林保護施策に
起因しています。

 

古くから森と共に育まれた日本人の歴史。
日本史の教科書で覚えたような城郭の造成、政治の流れは、
各地の森林の姿に刻まれています。
歴史ある林業地を巡る醍醐味は、
日本の歴史を身近に感じられるところにもありました。

 

そして、森の姿からみた日本の歴史として、
今回は木曽地方の森林と管理の背景を辿ります。
木曽地方は、戦国時代には、豊臣秀吉の直轄領でした。
しかし戦国時代が終わり、戦火を受けた家屋等々の修復を目的に、
江戸時代初期には、全国の山々が伐りつくされて
禿山となってしまいました。

木曽においても同様に山林資源の枯渇が懸念され、
その頃木曽地方を管理する尾張藩は、1624年(寛永元年)に
留山制度を交付することになりました。

 

この留山制度によって、「木一本、首一つ」と呼ばれるほど、
無許可で木曽の木々を伐採することは、重罪に課せられたのです。

禁伐の対象となった樹種は、
前述の「木曽五木=アスナロ、サワラ、ヒノキ、ネズコ、コウヤマキ」。

江戸時代の森林保護施策によって、
木曽地方には地域を代表する5つの樹々の資源に恵まれています。

ちなみにこちらは、木曽ヒノキの枝葉です。
木曽の森林を訪れる際には、「木曽五木」を見つけてみませんか?

 

 

 

 

式年遷宮と管理主体の推移

 

木曽ヒノキ備林を語るに欠かせないのが、伊勢神宮の式年遷宮。
20年に一度と周期を定めて社殿を更新し、新たな社殿に神体を移す儀式です。
そして神宮備林とは、伊勢神宮の式年遷宮に必要な用材を供給するために
管理される森林を指し示します。

 

 

ここで、式年遷宮と共に歩んできた木曽ヒノキ備林について、
これらの管理主体に関する歴史を辿ります。

明治に入り、尾張藩領だった山は「官林」に、
そして1889年(明治22年)、裏木曽の一帯は「御料林(宮内庁管轄)」となりました。

1906年(明治39年)から1915年(大正4年)にかけて、
御料林内に神宮備林を設定することになり
「出(いで)ノ(の)小路(こうじ)(地名)」の山一帯は
「出(いで)ノ(の)小路(こうじ)神宮備林」として神宮備林に指定されました。

 

 

しかしながら、戦後1947年(昭和22年)には林政統一によって、
全国の御料林は国有林に指定されます。
続く1977年(昭和52年)には、特定の宗教のために用いる山林から、
日本全体の文化的木造建築物への木材供給や学術研究を
目的とする備林に指定されました。

 

 

このような推移を経て、現在では国有林として
東濃森林管理署によって木曽ヒノキ備林が管理されており、
昭和以降、姫路城「昭和の大修理」のほか、
歴史的木造建造物の修復などに木材が供給されています。

 

 

 

 

 

 

1年、20年、数百年単位の森林づくりビジョン

 

12月頃から積雪する木曽ヒノキ備林は、
冬季は立ち入りを封鎖されています。
見学を申し入れた際に、
「積雪の季節までにお越しください」と教えて下さいました。
当然ながら、樹齢数百年の樹々がそびえる森においても、
その年ごとの四季を迎えていて、
また樹には新しい年輪が刻まれます。
1年間の四季に応じて、必要な施業が行われます。

 

 

一方で、四季に留まらず中長期の
時間軸を感じられることも、老舗の林業地ならでは。
とある林分では、総立てが施された伐採木の姿が見えました。

 

 

 

鳥総立て(とぶさだて)とは、伐採した杉の切り株の上に、枝葉を立てて、
木こりが神様に「この木を頂戴しました」と
御礼を伝える歴史の古い儀式の事で、
万葉集にも鳥総立てに関する和歌が詠まれています。
今回見ることができた、
まだ朽ちていないこちらの鳥総立ての姿とは、
先日2017年10月30日に執り行われた
「斧入れ式」の跡だったのです。

 

また、式年遷宮用材は、
室町時代から伝わる伐採方法「三ッ緒伐り」で伐採されるため、
3か所のツルが出た切り株が特徴的です。

 

 

これには、
①伐倒方法を定めやすい
②芯抜けしにくい
という特徴があり、単に懐古主義という訳ではなく、
丁寧で確実な伐採を行うために理にかなった伐採方法なのです。

このような切り株が朽ちない状態で残っているということは、
要するに、次の式年遷宮に向けた伐採が
先月から始まったということ。

 

1回の式年遷宮に用いられるヒノキ用材は、
実は、約8,000本にものぼります。
無論、8,000本の全てを
木曽ヒノキ備林から供給するわけではありません。
式年遷宮に用いる木材のうち、
約10%が木曽ヒノキ備林から納められます。
とは言え、樹齢300年超の樹木が、
20年に1度、一定量必要となるため、計画的な伐採でないと、資源が枯渇します。
一度にすべての用材を揃えることは出来ないので、
式年遷宮が終了した4年後には、
次の遷宮に向けた計画的な伐採が始まるのです。

 

 

森林管理官・伊藤さんのお話を聞きながら、
まっすぐ高く佇む樹々を見つめていると、
この森林を守ろうと保護施策が定められた江戸時代には、
どんな景色が広がっていたのだろう?と
想像の中でタイムトリップするような気分になりました。

木曽ヒノキ備林の中には、
・1624年 尾張藩による禁伐統制を皮切りに、数百年単位で守られた資源
・20年に1度の単位で行われる計画的な伐採と森林管理の仕組み
・1年間の四季に応じて、森林管理の土台となる施業 がありました。

 

 

今回は、日本三大美林のひとつ木曽ヒノキの産地を巡りましたが、
木曽地方の他にも、日本には歴史の古い林業地が各地に地域名を冠したブランドとして残っています。

それぞれに、その地域の森林資源を残し活かそうとした歴史があり、
そこには後世に残そうとしてきた「人」の想いと施業の「コンセプト」をもとに、長期施業のビジョンがあり、
現代にも美しい森林の景色として、根付いているのです。

 

 

 

このように森と木を切り口に日本の産地を巡る旅に、ご一緒してみませんか?

今回は、式年遷宮に纏わるエリアを巡った、
産地巡礼の森林ツアー編をお届けしました。

続いては、「日本一美しい村でみた、工場編」をお送りします。

 

 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 11月 29, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

 

 

2017年11月11日、愛媛県松山市郊外にあるショッピングモール「エミフルMASAKI」にて、「えひめ山の日の集い」が開催されました。そして当イベント内の企画「木づかいトークショー」に、モデル兼アロマインストラクターの原裕美子さんと共に、弊社代表の古川が登壇させていただきました。トークショーはまず、FM愛媛のアナウンサー森下加奈代さんによる司会のもと、全国の森のこと、愛媛の地域の魅力、愛媛の山林・林業の特徴、木づかいの意味について古川の解説から始まりました。

 

愛媛県のミカンと林業

 

「木を伐るのは悪いこと?」と言われる疑問に対しては、一重に”市民の意識”と総称しても、意識に差があることを説明した上で、愛媛ならではと「みかん」と「林業」を題材に間引きと間伐の説明を行い、木を植えて、育て、使う事が森を守る(作る)ことという循環についてお話させていただきました。当日スタッフの方々が着用された法被も、配布されたノベルティも、会場はみきゃんさん(愛媛県の公式キャラクター)に包まれていました!

 

 

 

 

モデル兼アロマインストラクターを生業にする原裕美子さんからは、”美容と健康”の視点から、アロマについて親しみやすくご紹介されました。そんなアロマで関連し、古川からは、アロマの原料として紹介された「クロモジ」を中心に、森と木の恵みである地域資源の利用について紹介し、アロマと森についてのトークが進みます。「森ではたらく!~27人の27の仕事~」のフプの森(北海道下川町)の事を紹介ししつつ、話題提供をさせていただきました。

 

アロマ・コスメ×森の恵み
⇒健康美のあるライフスタイル×地域活性(地方創生)

 

 

森を守り、木を伐り、枝葉を利用しよう!また、森の恵みは一杯ある、それらを利用して健康美を!と、まさに、これからが楽しみな世界であり、話題に花が咲きました。また、後半の「アロマワークショップ」では、原裕美子さんの明るく軽快なトークとともに、可愛くて香り豊かなバスソルトを作るコーナーが催されました。愛媛の木として「青みかん」「ヒノキ」「クロモジ」を利用したバスソルトを作りつつ、古川も参加。健康美とライフスタイル、森の恵みの面白さについて知るいい機会となり、エミフルの会場の皆様とともに、楽しい時間となりました。

 

 

 

 

改めて、このような機会をいただいきました、愛媛県・愛媛の森林基金、並びに武田林業さまに、心より御礼申し上げます。また、会場でトークショーをご覧いただいた参加者の方々も、ありがとうございました。全国の森林との接点がある弊社としては、新しい森との関わり方を模索していきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

ご紹介

原 裕美子さん
FashionModel/AEAJ AromaInstructor
(公社)日本アロマ環境協会アロマインストラクター
アロマで手作りコスメWS『Vivalivアロマ部』主催者
http://vivaliv.jp/
http://www.foliomodels.jp/portfolio/yumiko-hara/

イベントチラシ

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 11月 13, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

 

それは、東京駅前、日本生命丸の内ビルの一階フロント。ヒノキ丸太によるオブジェが煌々とライトアップされ、ついつい見いってしまいました。

 

 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 11月 8, 2017 Under pick up, すべての記事, ちいきのgraffiti~写真集~