~今月のMENU~

【1】各社報告・新規参加者のご紹介

【2】今月のマーケティング講座:「商流の作り方」

【3】ゲスト講演 :「観光・まちづくりを見据えた古民家リノベーション」

【4】まとめ講座 :Clubプレミアム国産材とオウンドメディア

 


 

 

■各社報告・新規参加者のご紹介

まずは、毎月恒例・各社の近況報告から始まりました。

今回は、はるばる九州地方から新規の参加者様にお越しいただき、

その地方ならではの木材乾燥方法等について、解説いただきました。

 

また、冒頭には話題提供ということで、

弊社古川より、戦後の拡大造林期における、植林の様子を記録したビデオを上映しました。

経営実践研究会のメンバーには、先代からの家業を継承された経営者も多くおられます。

 

「戦後の拡大造林について、先代、先々代達から話には聞いたことがあるが、実際の映像で見ると、“そんな時代があったのか”と、より臨場感を持てた。

日頃、自分たちが製材している木も、種から一本ずつ育てられたということ。

ビデオの中には、その地域の育林に貢献した偉人の名前が出てきたが、

自分の地域にも同じく、小学校に本が並べられるくらい、語り継がれる人物がいる。そのことを思い出しました。」

との感想がありました。

 

 

“造林にまつわる自分の地域の偉人を思い出しました”という一言のように、
地域ならではの歴史、人、文化のストーリーまでもが付加価値となり、この地域の商品を使いたいという消費者に響きます。

 

今回の映像を一つのきっかけに、自社が扱う地域材、さらに、自社ならではの会社の歴史を再発掘することで、
商品に対する物語性の付加価値を見出す、きっかけにしていただければ幸いです。

 

 

■今月のマーケティング講座:「商流の作り方」

続いては、今月のマーケティング講座のコーナーへ。
先月6月度の研究会で、まとめ講座として扱った「商流の作り方」。
(先月の様子は、こちらのブログの最後をご覧ください。https://chiikino.jp/blog/?p=5819 )

 

多様化する、製材メーカーから工務店への商流を整理し、

改めて、価格決定・販売方法・商圏の切り口から、今後の顧客創造のポイントを探ること。

 

そのために、研究会参加メンバーの各社から、
過去と現在、そして未来に目指す商流、すなわち、

「商品」と「販路」の内訳の変化について、円グラフに書き出して、提出いただきました。

 

その各社の商流の変化を辿りながら、ディスカッションしました。

 

川上~川中~川下まで、幅広いメンバーが集まる当研究会ではありますが、
ある製材メーカーの経営者様のお言葉を借りますと、

「価格決定権を持たない製材所に、
ただただ丸太を送り込むだけでは、林業は決して再興できない。」

 

時流の変化に応じて、いかに顧客創造を行っていくか、選ばれる工務店とは何か、住宅10ニーズの具体事例を交えつつ、

改めて顧客創造の必要性についてレクチャーさせていただきました。

 

 

 

■ゲスト講演 :「観光・まちづくりを見据えた古民家リノベーション」

当研究会では、毎月に異業種からの講師をお招きし、ゲスト講座を行うこととなり、
今回のゲストは、㈱庵プロデュース代表取締役の梶浦秀樹様にお越しいただきました。

 

㈱庵プロデュース代表取締役 梶浦 秀樹 氏

 

神奈川県生まれ、東京育ちの梶浦様ですが、
「美しい日本の暮らしを伝えたい」理念のもと、

日本各地で古民家リノベーションを等通じた観光まちづくり事業に取り組んでおられます。

 

特に多くのファンを集めているのは、京都で京町家をリノベーションし、1棟貸しの宿泊サービスを行う、「京町家ステイ」の取組みです。

各地での活動は「暮らすように旅する日本」のコンセプトの元、
歴史、伝統、文化、知性、感性、体験、自然、癒し、等々・・・

 

観光客が、その地域ならではの「本物」に出会える旅を実現するために、
地域に通い、地域の方々と、地域外の専門家を繋ぎつつ育てる、伴走型支援を実施されています。

 

梶浦氏より、数々のキーワードをいただいたゲスト講座ですが、

本ブログでは、その中から、ポイントを2つに絞ってご紹介します。

 

①“日本ならではの文化”は、地方にこそ残っている
まず初めに、「なぜ地方の観光まちづくりの問題解決が必要なのか」。
国内の人口減少が進み、日本経済全体が縮小している現代において、地方の経済規模を維持するためには、
インバウンド需要や観光収入を伸ばすことも効果的です。

 

しかし、大都市圏の観光は、海外からも一定の注目度を集めているものの、

古き良き景観が守られていない、日本らしい観光体験がない、といった課題を抱えています。

 

一方で、日本の地方に行くと、

日本ならではの文化とは、京都にしか残っていないという訳ではなく、

古い町並み、お茶やお囃子、祭り等の文化が、昔ながらの形で残っています。

しかしながら、そんな地方へ観光に行くと、

・お茶を飲む場所もない
・地域ならではの食が味わえない
・人がいない
・観光に係る情報がない

 

このような、観光まちづくりが進んでいない地方ならではの問題の数々に出会うことでしょう。

 

本物志向の観光客による、日本全体のインバウンド需要を開拓するためにも、

地方の観光まちづくり問題の解決こそ、いまや日本全体の課題であると、問題提起されました。

 

実際に京都町家ステイを訪れる顧客のうち、約6割が海外からの観光客であり、
長期休暇を利用して、連泊される方が多いそうです。

 

②”来てほしい顧客”に向けた発信を

地方での観光まちづくりにおいてへ、

 

「空き家があるから、とりあえず改修しよう」「誰でも良いから、とにかく来てもらおう」

 

といった形でスタートする事例も少なくありませんが、

「とりあえず」では、決して成功に繋がらず、そこにはマーケティング視点が重要とのことです。

 

リノベーションの企画段階から、「どんな顧客に来てほしいか」ターゲットを絞り、
顧客目線での改修や、情報発信、サービスの提供と

内容を充実させていくことが必須であり、

 

特に地方の観光まちづくりでは、まず「心が豊かで、懐の豊かな顧客層」をターゲットにすべきと話されました。

 

ハイクラスな顧客層を呼び込むことで、地域にお金が落ち、

またその周辺に、さらにカフェやゲストハウスなど手頃な観光スポット、ビジネスが生まれることで

観光産業ができていきます。

 

~~~

地方における観光事業を行うにあたっては、

元々、少ない住民と交流人口によって守られてきた地方の街並みや文化が、
進め方によっては、ほとんどお金も落ちないままに、ただ荒らされてしまう可能性もあり得ます。

 

だからこそ、

・上質なモノを評価する感性
・対価を支払える財力
・同じような富裕層のネットワーク

 

を持った、「心が豊かで、懐の豊かな顧客層」に来てもらい、
地方の文化を守りつつ、質の高い観光まちづくりを進める必要があるとお話しいただきました。

 

さて、今回のゲスト講演をいただいた、梶浦氏が手掛ける、
庵プロデュースの取組み事例は、以下のWEBサイトをご覧ください。
http://www.iori-produce.com

 

■まとめ講座 Clubプレミアム国産材のオウンドメディア
「あの庵プロデュースの宿だから、泊まってみよう」
「京都の宿が良かったから、今度は長崎に泊まりに行ってみよう!」

と言われる、庵プロデュース様の会社信頼という視点も学びとなりました。

 

これは、林業木材業においても大いに共通するテーマであり、
「あの、こだわりの製材メーカーがオススメする工務店だから、見てみよう」
「うわさの林業会社も認める森林ツアーだから、今度行ってみよう!」

 

という顧客導線も可能性があります。

日頃は、素材づくり、モノづくりの裏方である林業木材業界であっても、
自ら情報発信を行うことで、会社信頼を高め、自社の顧客に対する後方支援が可能となります。

 

つきましては、今後のClubプレミアム国産材では、
林業や木材に特化したテーマのオウンドメディアを、

Clubプレミアム国産材メンバーが共同で進める独自媒体として企画しています。

 

すでにメンバーとして参加いただいている皆さまは、もちろんのこと、

全国の産地と共に、Clubプレミアム国産材として情報発信に取り組みたい新規メンバーも募集しています。

 

ご興味のある方、ご参加されたい方は、お気軽にお問い合わせください。

 

Posted by wpmaster on 金曜日 7月 29, 2016 Under pick up, すべての記事, 未分類, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

 

岐阜県で200年続く林家さんの山を案内していただきました。

先代が2世代、3世代後を想って育てられた、場所ごとにコンセプトのある森。

 

そんな林業視察の中で出会った、静かに流れる滝とエメラルドグリーンの淵。
実は岐阜県の名水50選に指定されている名所でもあります。

 

この滝には、その昔、藤原高光が鬼退治をした際に使用した矢を納めたという伝説があり、
矢納ヶ渕(やとがふち)との地名が付けられています。

 

ほとりには矢納ヶ渕神社があり、
観瀑台からは、渕の底を眺めることができました。
暑さ厳しい季節となりますが、
各地の源流を巡り、その地の歴史や森づくりに目を向ける旅はいかがでしょうか?

Posted by wpmaster on 金曜日 7月 8, 2016 Under pick up, すべての記事, ちいきのgraffiti~写真集~, 未分類

 

 

今年4月、アジア初となるビーチの国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得した、高浜・若狭和田海水浴場。

ブルーフラッグとは、

1)水質
2)環境マネジメント
3)環境教育
4)安全とサービス

 

の4つのカテゴリに基づく33の基準を満たしたビーチ・マリーナに与えられる、国際環境認証であり、

「ビーチ、マリーナの所在する周辺地域の持続可能な発展を促進すること。」

とう理念が掲げられています。

 

その美しい砂浜に、この夏は新しい景色が広がりました。

 

 

波打ち際まで続くのは、杉板を敷いたウッドロード。
一枚ずつ丁寧に面取り加工が施されています。

 

この杉の道があることで、身体が不自由な方も、専用の車いすに乗って波打ち際で海を楽しむことができるようになりました。

また、杉板の上は熱くなりにくいため、真夏日の砂浜でも安心して裸足で歩くことができます。

 

 

 

 

もうすぐ夏本番。ウッドロードが笑顔で賑わう日も間近ですね。

 

Posted by wpmaster on 水曜日 6月 29, 2016 Under pick up, すべての記事, ちいきのgraffiti~写真集~, 未分類

2014年8月から行っている、名古屋での林業に特化した経営実践研究会。

今年度も開講いたしました。

弊社では、林業に限らず異業種の方も参加している「国産材ビジネスセミナー」(東京)、
製材、流通、工務店の経営者を中心に行う「経営実践研究会(国産材ビジネススクール)」(大阪)を主宰しており、

名古屋では、林業経営に特化して、非公開で開講しております。

 

そして今回は、

【1】各社報告

【2】広葉樹林業と人材育成

【3】林業事業体チェックシート!

【4】林業バリューチェーンと林道

【5】台湾林業紹介

の内容で開催いたしました。

 

========

【1】各社報告

========

まず初めに各社から近況報告を行いました。

新入社員の紹介、補助金や今年度の施業計画、事業を行う上での資金確保や広葉樹の更新施業などに関する話題から、

森林組合との信頼関係構築や、設計士と直接相談しながら住宅建設を行う計画など、異業パートナーとの付き合い方についても話題が挙がりました。

それぞれに、素材生産のみならず、業態を超えて幅広くトータル林業を実践されている企業が一堂に会しています。

 

また、2014年の初回からご参加いただいている

A社代表からは、先日、香港で行った英語でのプレゼンテーションを披露される場面もありました。

国産材を国内のみならず、海外にPRする動きへと一歩前進し、

「メンバーが日々成長していることを実感し、刺激にもなった」

というお声もありました。

 

================

【2】広葉樹林業と人材育成

================

 

次に、研究会前日に弊社一同が訪問したB社について、その施業方法と人材育成について議論となりました。

 

訪問では、広葉樹施業の皆伐施業地、択伐施業地を見せていただき、樹性の違い、

森林の成長バランスに配慮しながらも、市場ニーズに応じて残す樹木を選んで施業する現場、

作業道1つとっても現場の作業員の通勤の便まで考えられている現場などを拝見しました。

また、社有林内のトチやケヤキの巨木といった素晴らしい木々や森を見せていただいた様子も研究会で紹介させていただきました。

 

また人材育成については、

B社の代表から、自社の人材育成手法についてのご紹介がありました。

 

素材生産班の給与体系は、単なる出来高制ではなく

・自分で植えた木は自分が世話をしていくという担当制にしている

・徹底的に施業地を確保し、仕事量を確保している

・自立、自発性を重んじ、裁量を現場に多く託している

・業務提携を行っている木工品ブランドのパンフレットには、現場の従業員を出し、現場が主役であることを主張している

 

といった

コーチング、マネージング、アドバイザリー

の要素が詰まった人材育成手法を紹介していただきました。

 

 

 

================

【3】林業事業体チェックシート!

================

まず弊社より「選ばれる林業会社」に必要な力、すなわち

①施業力:技術力、資格力、施業マナー力

②仕入力:計画立案力、コミュニケーション力

③販売力:選木力、営業力、輸送力

それに加え

④経営統括力

 

である。というレクチャーを行った上で、

 

皆様に上記の能力を数値化するべく

弊社が用意した「経営力チェックリスト」に記入していただきました。

記入結果は、研究会中に集計し、レーダーグラフを作成。

研究会の終盤で共有しました。

 

集計結果を皆様に見せると、

「手裏剣のような形をしているね。」

「C林業は施業マナー高い!さすが!うちはマナー悪いな。」

「全体的に前回より低い値になっている、自己評価が厳しくなったからかな。」

「ウィークポイントを改善してバランスの良い事業体になりたい。」

 

など、自社、他社のグラフを見比べて強み感想を共有されておりました。

 

選ばれる林業会社になるため、どのように経営の舵を切っていこうか、

と考えるとき、経営力の「見える化」が重要となります。

また、同じ指標で定点観測して経営力の変化を知るための有効なツールにもなるでしょう。

 

このチェックシートは、研究会の恒例として続け、ブラッシュアップしていく所存です。

 

==================

【4】林業バリューチェーンと林道

==================

続いてゲスト講師のD氏から、林業の基盤整備と経営に関する視点で

話題提供をしていただきました。

 

林道、林業専用道、林業作業道の規定といった基本的な事項から始まり、

崩れ落ちる作業道も多いという現実を写真により見せていただき、

基盤としての重要性についてレクチャーいただきました。

 

林道とは、林業における

①森づくりと商品作り

②環境保全と配慮

③安全対策

④顧客ニーズへの対応

⑤社会認知

 

の土台となっている、つまり林道の「付加価値」という切り口でまとめていただきました。

 

その後のディスカッションでは、

そもそも林道や作業道は素材生産のためだけではなく、

人命救急の対応や安全管理をするため、

通勤の快適さや現場の見廻りのしやすさの向上のためなど、

林道の多面的機能を掘り下げることができました。

 

 

林道をつくる土木業者との関わり方や、林道維持の責任管理は誰にあるのかなど、

ディスカッションの話題は多岐にわたりました。

収益性を前提としながらも、それだけではない公共の福祉、個人の幸せを合わせた

「夢」のために存在すると考えたいところです。

 

~~~~~~~~

最後に、弊社社員の視察報告として、

台湾林業についてのレポートも行いました。

今後の研究会でも、改めて広い視野で、日本の林業についてディスカションし、

実践につなげて参りたいと思います。

 

★次回は7月9日(土)に名古屋駅前で開催予定です。

ご興味のある林業経営者の方は、詳細についてはお問い合わせください。

 

Posted by wpmaster on 土曜日 5月 7, 2016 Under — 産地ブランド・選ばれる林業会社, pick up, すべての記事, セミナー報告, 未分類