西日本では、紅葉が見ごろを迎え、立冬も過ぎ朝夕の冷え込みが厳しくなってきた11月18日(日)、大台町林業総合センター研修室にて、みえ森林・林業アカデミー第1回公開講座が開催されました。

(みえ森林・林業アカデミーFacebookページ:https://www.facebook.com/miemorimanabi/photos/a.260213024750158/344476132990513/?type=3&theater

みえ森林・林業アカデミー(三重県林業大学校)の来年4月からの開校を記念して、新たに始まる講座の一部を体験していただく機会として、誰でも参加可能の公開講座ということで、記念すべく第一回に、講師、全体コーディネーターとして弊社代表古川が登壇しました。また、他にも、宮川森林組合 林業振興課 中須真史 様、トヨタ自動車(株)社会貢献推進部社会貢献プログラム室  國友淳子 様、ノースジャパン素材流通協同組合 営業企画部 次長 八柳芳昭 様が講師として集まり、各講師の講演と参加者の質疑応答を交えたクロストークを行いました。なお、森林組合職員、素材生産業者、行政、その他含め約30名の方のご参加がありました。

今回のテーマは、「森林資源の新たな活用」。多様化する世の中の需要や、改めて見出される隠れた需要への対応がビジネスチャンスへとつながる中で、これまでとは違った新たな視点による森林資源の活用について考えました。

 

 

林業、地域、企業、自分を変える

林業の定義(領域)は、自分たちで決めよう。「日本の林業どうあるべきか」ではなく、「自分たちがどうありたいか」が重要であるというお話をさせていただきました。

「林業を変える」「地域を変える」というビジョンはもちろんありつつ、実際は、自分が作りたいもの、サービスを届けたい人に送るという「経営力」が重要であります。

そこで、一人、一企業だけで行うだけではなく、地域で関わり合う全員でチームとして動く必要が出てきます。自分の分野は、素材業だから、流通だから、加工メーカーだからと視野を狭めるのではなく、最終顧客に商品を届けるチームとしてブランドを確立していくことも1つの方法です。

また、ブランド=ビジュアル(見た目)ではないというお話もさせて頂き、林業のブランドを作るというのは、その土地、地域ごとの気候風土や樹種・品種、施業方法、時間軸(歴史)に基づいて、立地(商圏)・規模(物流)を考えて作り上げていくべきものであり、他地域の実際の経験してきた事例も一部紹介させていただきました。

 

収益機会のBefore⇒Future

素材生産業者の方は、丸太を原木市場に出すのかは仕事かもしれません。しかし、もっと森を楽しむ仕事はあるのではないでしょうか。

かつて(before)は、山には桜や紅葉、名所の借景などの文化・景観的要素、ハイキングやキャンプといった自然環境を活かしたアクティビティがありました。ただ、木材といっても、原木から構造用材になる以外に、今後(after)は、内装材、家具・小物(ノベルティ)、シロップや精油など様々な商品、森林空間の体験では、森林セラピーや森林浴などへとマーケット(顧客層)の展開、拡大すべくニーズが高くなっています。

全国では新しい森林の収益モデルが数多く生まれ始めています。森林には、林業におけるA材品質を高めることが重要(前提)としても、単に丸太を生産するだけではない、「自分の好き」から利益を生み出す可能性が秘められているのです。トヨタ自動車様(フォレストチャレンジ)、ノースジャパン素材流通協同組合様(薪ビジネス)、宮川森林組合様(アロマ、燻製チーズ)の新しい事例を踏まえ、

 

1)ニーズを聞いて、自らマーケットを作り、変革し動くこと

2)世間のニュース、流行、時流を捉えて、アンテナを張ること

 

をポイントとして、お伝えさせていただきました。なおクロストークでは、担い手の課題がでましたが、林業が、いつごろの原木単価に戻れば、補助金なく経営が出来るのかというのをまず計算し経営努力を日々行いつつ、そのうえで、林業だけで稼ぐというのでなく、自分自身が森ではたらく!楽しさを、色々な趣味をしていくことが大事ということも話題が広がりました。

講演後に、改めて、弊社としてまとめますと、

 

●野性(情理)をもって森と共に「多趣味」で仕事をする

●知性(合理)でもって経営を強く「多収益」を得る

 

そのための林業のプロたちだけではない、新たなマーケットは結果うまれてくるもので、まずは森に対して「交流人口」「参加人口」を増やそう!と、著書「森ではたらく!27人の27の仕事」を紹介しつつ、現在、全国で増加している林業大学校の中で、来年度の「みえ森林・林業アカデミー」の講座に期待すべくことをお伝えさせていただきました。

参加者の声

【県職員:Y様】

マーケティングの中身について、本講義の方で是非伺いたいと思いました。特に、マーケティング1.0~3.0を事業体にどう理解、実践してもらうかについて、掘り下げてみたいところです。また、県としても「定時、定量、定質」をキーワードに事業展開しようとする中で、QCDを林業でどのように実践していくかについても大変興味があります。

 

【市職員:U様】

トータル林業について、吉野林業などの全国の事例も参考になりました。市としては、尾鷲ヒノキの販路拡大をしたいが、構造材は頭打ちであるため、差別化された内装材に目を向けるべきか、木工製品なども含めて、具体的な事業に対する詳細をもっと知りたくなりました。

 

【公益社団法人職員:S様】

林業の顧客は誰なのか、今まで思っていた以上に様々な人が森を愉しむことが出来ても良いのではないかという視点が自分が関わる事業の参考になりました。あらゆる世代や地域を対象に、森や林業に親しみを持ってもらえる活動(森林環境教育や木育)を推進していきたいと思います。

 

 

さいごに

林業×地域×マーケティング×リクルートに係るご相談・講演依頼等は、お問合せフォームからお受けしています。ご希望の時期や内容について、お問合せフォームからご連絡いただければ幸いです。

過去の講演実績は以下のURLからご覧いただけますので、併せてご参考ください。

https://chiikino.jp/blog/?page_id=193

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 11月 19, 2018 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

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