日本を代表する特産の百合と言えば、「ササユリ」。地域によっては、ヤマユリと呼ばれることもあるそうです。かつては、人の手が入る里山に自生し、5月下旬~6月にたくさんの花を咲かせて山を彩る植物でした。しかしながら、人の手が入る里山が減少し、また近年では鹿の食害も相まって、希少な山野草となりつつあります。
ここは、奈良県桜井市にある大神神社。神社のある三輪山周辺にも、かつて自生するササユリの花がたくさん見られ、古事記にも、ササユリが咲き誇る美しい場所でのエピソードが登場します。さらに、毎年6月17日、奈良市内の率川神社で開催される三枝祭では、酒壺や酒樽を大神神社のある三輪山のササユリで飾り、巫女はササユリを手に神楽を舞う儀式が続けられています。すなわち、大神神社にとってのご神花としても愛されるササユリ。
大神神社では平成5年、ササユリ復活に向けて、大神神社豊年講の方々(篤農家の集まり)を主体にした「笹百合奉仕団」が結成され、ササユリの保護と育成活動を今なお続けておられます。そして、開花時期になると、ささゆり園が一般公開され、近隣地域から集められた色とりどりのお花を見ることができるのです。
ご神木やご神花と共に巡る、日本の神社。地域の神話や歴史に触れることができますね。