2015年9月14日、兵庫県県民会館にて行われた「災害に強い森づくり推進大会」にて、
代表・古川が基調講演を務めさせていただきました。
兵庫県では平成18年度より、県民緑税(森林税)制度を導入し、災害に強い森づくりを目指した森林整備事業等に取り組まれていますが、
今回の大会では、兵庫県及び県内の森林組合から、活動実績報告と科学的データに基づいた検証結果が発表されました。
また、災害に強い森づくりの事業の活動を通じて、森林そのものが整備されただけでなく、
「どこに危険木(倒木のおそれ)があるか共有された」「道具の使い方、技術継承の機会になった」等と、
” 森と人の関わり”が取り戻されることで、目には見えない副次的効果が得られたとの報告もありました。
各活動事例の発表を受けて、弊社古川からは、生態系の多様性の為にはある程度の自然災害を是とする中程度攪乱説や、農業土木の大切さとして信玄堤を例にしつつ、「災害と共に森で生きる(暮らす)知恵ある人づくり」という視点が肝要として、著書「森ではたらく!」や「弊社の支援事例」を紹介しながらお話させていただきました。
行政職の皆さまが多く参加されていた今回は、「人づくり」を基軸にして地域の森林・林業ビジョンの策定においても加えていただきたい、経営マーケティングの要素を解説いたしました。
理念の達成のために掲げるビジョンであっても、マーケットボリューム(市場規模)、シェア、売上目標といった、経営的視点、さらに企業で言うと、粗利率、労働分配率、雇用数、目標年収、といった数字的目標を定め、利益を生み出して理念を達成するプロセスが必須です。 「理念なき利益は犯罪であり、利益なき理念は寝言である」ということです。
「これからの林業は、自伐、バイオマス、CLTである」といった見解がありますが、一方で「立地・規模・暖簾・商品・集客・アフター」等の要素を分析し、経営へ落とし込むことで、「多様性ある林業」が確立されることではないでしょうか。個々の企業が顧客を定義し、「顧客に求められる林業」を確立させることが、肝要でありましょう。
例えば、育林だけ、伐採だけ、セールスだけでない、
全プレーヤーがチームで戦う「トータル林業、フリースタイル林業」を目指されたいところです。
最後、講演にてお伝えした、林業の四則演算をご紹介します。
【林業四則演算】
Ⅰ.林業+α
林業(素材業)単体だけではなく、
顧客が喜ぶ、付加価値(潜在的ニーズ)をどう加えていくか。
Ⅱ.林業×β
林業という業種にこだわらず、
小売業、サービス業的な展開をし、
水平連携、垂直連携を掛け算できるかどうか。
Ⅲ.林業÷γ
経営力ということで分解できるかどうか。
商品(施業)力、集客力、営業力、組織力
そのなかで競合他社と比較し何を強化すべきか。
Ⅳ.林業-δ
どうしても取り除かなければならない
昔の商慣習や古い精神風土!
林業の四則演算をクリアして、利益を生み出し、理念に向けて利益を投資し、次の10年を戦う素地づくりへ。
弊社では、これを目指される企業の支援をさせていただいています。
アンケートでは、「林業を見る視点が変わりました」とのご感想をいただきました。地域の林業をリデザインし、「災害と共に森で生きる(暮らす)、知恵ある人づくり」へ。今回の講演が一助となれば幸いです。
最後になりましたが、大会運営に携わられたスタッフの皆さま、
各地から足をお運びいただいた出席者の皆さまに厚く御礼申し上げます。