2014年度の最終回!

東京国産材ビジネスセミナー(第5回)を、12月13日(土)に開催しました。

研修風景

 

今回のテーマは「バイオマスギャザリング&総まとめ

午前の部(オプション)&セミナー前半は、

低質材・端材・未利用残材の有効利用として、化石燃料の代替物として注目されている

木質バイオマスについて、第一線で活躍している方々にご講演いただきました。

講義の後半は「総まとめ講座」
林業・木材業の法務契約、
林業バリューチェーン、事業体経営における決算書分析、
そして、事業戦略の作り方についてまとめました。

 

■■午前の部~バイオマスボイラー現地見学~■■

午前中のオプション研修会は「公園における剪定枝活用の取り組み」。

東京湾に面する大井ふ頭中央海浜公園にて、
公園の管理会社である株式会社日比谷アメニスの大西竹志氏から、
剪定枝を利用した木質バイオマスエネルギー活用事例を紹介していただきました。

現地研修

 

こちらの公園では、園内で発生する年間100t以上の剪定枝をチップに加工し、

公園内に設置した「ソーラードライシステム」で乾燥

「ボイラーコンテナ」にて燃焼し、施設棟で利用する温水と冷暖房の熱源を供給しています。

講義室にてシステムの概要について説明の後、
実際にソーラードライシステムとボイラーコンテナを見学させていただきました。

ソーラードライシステム

 

ボイラーコンテナ

 

木質バイオマスときけば「大規模な発電施設」を連想しがちですが、

・「熱」を利用することでバイオマスエネルギーを効率的に利用
・ 熱需要に見合った「小型ボイラー」の導入

によって、
設備の導入費用と維持管理費用を削減、燃料の安定供給も可能となり、
無理のない事業計画になっているそうです。

今後も都市の街路樹や、公園からの大量の剪定枝が発生すると予測され、

都市における木質バイオマス利用事例として注目されます。

街路樹

 

剪定枝

 

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■■午後の部~バイオマスギャザリング&国産材ビジネス総まとめ~■■

午後からは場所を三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱本社ビルへ移し、
国産材ビジネスセミナー最終講義スタート!

 

●第1部「バイオマス“ギャザリング”

5名の講師をお招きし、バイオマス利用の最新情報をレクチャーしていただきました。

 

1.いまさら聞けない電力とは?熱量とは?木質バイオマスの入門講座

講義の最初は、木質バイオマスエネルギー利用推進協議会の川越裕之氏より、
なぜいま木質バイオマス事業が注目されているのか、その経緯と、
特徴・利用方法、現状についてのアウトラインを紹介していただきました。

川越裕之氏

 

2.現場&コンサルティング事例の紹介と今後の方向性

続いて、木質バイオマスエネルギー利用の最前線で活躍する3名の方から、
それぞれの取り組み事例について紹介していただきました。

①製材工場端材のバイオマス利用

株式会社森のエネルギー研究所の池谷智晶氏からは、

製材所におけるカスケード利用を促進する木質バイオマスエネルギー利用事例とその可能性についてご講演頂きました。

池谷智晶氏

 

②バイオマスコジェネの実践と今後

株式会社バイオマスアグリゲーションの久木裕氏からは、
バイオマスを利用した発電と熱供給を同時に行う「コジェネ(コジェネレーションシステム)」について、
ドイツの先進技術を紹介しながら、熱利用の重要性についてレクチャーしていただきました。

久木裕氏

 

③公園施設のバイオマスボイラー利用

午前の部をご案内いただいた、株式会社日比谷アメニスの大西竹志氏より、
海外の剪定枝利用事例も引き合いに出しながら、
改めて都市部での木質バイオマス利用の展望についてお話いただきました。

大西竹志氏

 

3.バイオマスまとめ講座&トークセッション

バイオマスギャザリング、最終章は、
三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱の相川高信氏より、
まとめ講座:木質バイオマスの原理・原則

木質バイオマスの特性を踏まえた事業計画の重要性とそのポイントの総まとめです。

全講師と参加者による質疑応答とディスカッションでは、
バイオマスの現状に迫る質問が飛び交いました。

・ 海外で主流の小型バイオマスボイラーの国内導入が進まない要因は?
・今後のバイオマス発電施設の施設数の推移は?
・製材所のバイオマス利用の需給バランスは?
日本の木質バイオマス事業はまだ発達途上の最中、
FIT制度等により大きなうねりが押し寄せています。

今後は先行事例に学びながら、
新しいビジネスモデル に積極的にトライしていくことが求められています。

相川高信氏

 

●第2部「バイオマスクレームトラブルの原因と防止する力 ~事後対応より事前に備える考え方~」(小林洋光)

小林洋光氏

 

小林からは、バイオマス事業への応用も含めた法務レクチャーです。

・なぜクレームトラブルが起きるのか、「瑕疵」とは何か
・バイオマス関連ビジネスで想定されるトラブルとは?
・トラブル回避方法(書面化の重要性)

木質バイオマスボイラーを扱う事業者には、
専門知識のない顧客への説明責任が重くのしかかります。
丁寧な説明、契約の明確化が重要であるということは、あらゆる業種でも共通事項です。
林業・木材業の幅は広がりつつありますが、商取引の基本としてこの原則は徹底すべきポイントです。

 

●第3部「国産材ビジネスセミナー総まとめ①:林業バリューチェーン」(古川大輔)

古川大輔

 

今、林業・木材業界で求められている「新しい市場の開拓、顧客創出」。

その糸口として、2つのテーマについてレクチャーしました。

①林業、木材業における水平&垂直連携による地域連携林業ビジネスの理論と実践
②営業力向上!研究データと国産材ビジネスを結ぶデータ利用

 

●第4部「国産材ビジネスセミナー総まとめ②:経営マーケティング総集編」(古川大輔)

セミナー最終回の今回は、経営の基本に立ち返ったテーマ

・経営の基礎である決算書の分析
・安定経営を目指す!これからの国産材ビジネスの組み立て方

なぜ売上ではなく粗利管理が大切なのか?
給料とは何か?経営者の腕の見せ所とは?

さらに、古川編著「森ではたらく! 27人の27の仕事」(学芸出版社)を事例に、
複数の事業を組み合わせることが、企業の安定に繋がることをレクチャー。
最後に「国産材ビジネスセミナー 主導権の持てるビジネスに必要な7要素」として、
2014年度国産材ビジネスセミナーの総まとめといたしました。

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今回のセミナーのテーマであるバイオマスは、
木材のカスケード利用を推進する手段でもありますが、
「木材流通への影響」、「既存の木材利用業者の影響」等…
いくつかの課題も、今回のセミナーを通して見えてきました。

参加者の皆様それぞれの立場で、木質バイオマスの適正利用に向けて、
今日の学びを「自分ごと化」していただければ幸いです。

講義風景

 

以下にセミナー後の参加者の皆様からのアンケートを一部掲載させていただきます。

=== 参加者アンケートより ===

■ 公務員 A様

木質バイオマス、海外との比較の話し等、自分は根本的なことは知らなかったのだと気付きかされました。マーケティングの講座では自分の中の概念が組み換わる話がたくさんあり、刺激的でした。情報、知識以外にも考える機会を得られました。数回ではありましたが、セミナーに参加できてよかったです。普段とは違う目線で、「林業」というものを考えることができました。

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■ 学生 B様

バイオマスについて幅広い話を聞くことができました。発電所の計画だけで稼働していない事例が多いという話しを聞き、世間で言われていることを鵜呑みにしてはいけないと感じました。大学で出合う方々は「昔はよかった」といいますが、今の話を聞く機会がなく、林業で初めて「お金」の話を聞けたことは大きな収穫です。

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■ 木材業 C様

バイオマス利用の先進事例・技術を取り入れることができない日本という国が悲しい。バイオマス発電の真実を見つめながら、当社に最適なバイオマス利用を図りたいです。

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■ 建築業 D様

法律に関する固い話をやわらかくお話ししていただき、分かりやすかった。

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■ 林業 E様

起業して成功するまでの正しい努力の仕方・方法、マーケティングポイント講座が印象に残った。林業ビジネスの可能性にはどのようなものがあるのか(個人、行政、森林組合…)自分の有効活用含め、考えていきたい。今後もセミナーを続けてほしいです。

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■ 会社員 F様

実際に運用されているチップボイラーを見学できたのは興味深かったです。周辺施設との連携はぜひ進めていただきたいです。木質バイオマスの最新事情が良く分かり、大変参考になりました。身近な発電所は大規模ですが5,000kw/hがやっと。大規模発電所ではなく、林業者や山主も巻き込んで、持続可能なモデルケースを作る必要性を強く感じ、自分も協力していきたいと思います。

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■ 林業 G様

世間的に「エネルギー問題=電力」という考え方になっているという話を聞き、熱利用の実例が身近な所に作り、世間に浸透させていく必要を感じました。今日の講義を受けて、刺激事業を実際に提案・実行していきたいと思います。事業提案と実行ができたら、大阪の経営実践研究会にも参加したいと思います。

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■ 公務員 H様

「無期限の暫定的状況はやめよう」という考えにとても共感しました。自由経費の創出を実行し、研修、営業等に投資していきたいと思います。

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■ 学生 I様

1年を通して参加し、本当に色々なことを学ぶことができました。学校で知ることの出来なかったことを知り、参加した意味があったと思います。これから社会人になるうえで色々なことを参考にし、自分の目指すものを追求していきたいです。今後ともよろしくお願いします。

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■ フリーランス J様

ボイラー見学と説明が分かりやすく、初心者でも理解できました。バイオマスの良い面だけでなく、問題点も隠さず説明してくれたので、ありがたかったです。バリューチェーンの講義は今回一番楽しみにしていた講座で、古川氏のぶれない理念が印象的でした。林業への愛が伝わってきました。

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■ 林業 K様

特に印象的だったのが「自分でデータを取る」ことの説得力。林業の中でも生産性やバイオマス関連の事等、自分で調べてみようと思います。今後の実践課題としたいと思います。

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■ 建築業 L様

林業・木材業の連携について、自分たち建築設計業界から何かできることはないか検討していきたい。これまで林業にほとんど関係のない業界で緊張していたが、実際に聞けて良かったことがあった。このセミナーをきっかけに、林業について考えて行きたい。

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■ 木材業 M様

バイオマスエネルギー以外の製品にも目線を広げることができ、本当に多くの可能性を感じた。興奮しました!

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■ 木材業 N様

法律のことについての導入が分かりやすく、林業だけでなく、どのように落としこむか考えることができ、非常に勉強になりました。全体を通して、1企業として、業界として、やるべきことが見いだせました。今まで実務ばかりで発想が貧困になっていましたが、発見が多くポジティブな教えをもらいました。本当にありがとうございました。

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■ コンサルタント O様

参加者の人が真剣に聴講されていて、関心の高さを感じました。水平・垂直連携の一つとして、このような場は有意義なものと思います。

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2014年度の国産材ビジネスセミナーは、今回が最終回となります。
参加していただいた皆様、講師の皆様、誠にありがとうございました。

来年度も東京にて国産材ビジネスセミナーを開催する予定です。
日本の林業・木材業・バイオマスに関心のある、ご新規・リピーターの皆様のご参加お待ちしております。

また、林業・木材業に従事する方で、

「もっとビジネスのディープでリアルなディスカッションがしたい!」という方は、

大阪にて開催中の「経営実践研究会 国産材ビジネススクール」へお越しください。
(詳細はこちら https://chiikino.jp/blog/?page_id=42 )

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★書籍のご案内★

今回のセミナーで紹介のあった書籍(3冊)好評販売中です。

バイオマスはどうやったら成功するのか?林業という生き方とは?いま林業で起きてるムーブメントは?

少しでも気になった方は、ぜひご覧ください。

 

書籍紹介

 

●【木質バイオマス事業 林業地域が成功する条件とは何か 】
著:相川高信 (全国林業改良普及協会)

相川高信氏がつい先日出版された、林業側の視点でバイオマス事業を論じた本です。
燃料材供給、発電、熱供給の地域ビジネスの計画・運営の鍵はこの本の中に!

(全国林業普及協会HP http://www.ringyou.or.jp/publish/detail_1258.html

 

●【森ではたらく! 27人の27の仕事】
編著:山崎亮、古川大輔 (学芸出版社)

林業を軸にした事業展開/ライフスタイルのヒントに!

(学芸出版社HP http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1339-9.htm

 

●【林業男子 いまの森、100年先の森】
著:山崎真由子 (山と渓谷社)

日本全国で「いまの森、100年先の森」のために動き出した人々へのインタビュー本!
弊社古川と岩井の経歴・活動内容も紹介していただいています。

(山と渓谷社HP http://www.yamakei.co.jp/products/2814310330.html

Posted by admin on 土曜日 12月 13, 2014 Under pick up, お知らせ, すべての記事, セミナー報告, 国産材ビジネスセミナー(東京)


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