先月5月14日、定員を上回るご来場者数で大盛況となりました、
「森ではたらく!」出版記念イベント第1弾@東京に引き続き、関西でもイベントを開催致しました。
今回の会場は、大阪心斎橋スタンダードブックストアカフェにて、
会場の入口には嬉しいことにイベント開始を待つ来場者の方々の行列が出来ていました。
そして、今回も定員の60名を上回る100名近い方々にご来場いただき満席となった中、
登壇者の皆様がご入場。
今回のイベントには、本書の著者の中から、
「森に集う人」編者でありコミュニティデザイナーの山崎亮さん、
「森を興す人」編者・森林再生コンサルタント・古川大輔、
「森を運ぶ人」材木屋さん3代目の熊谷有記さん
この3名が登壇してイベントが始まり、まずは出版社から、この本が作られたきっかけが紹介されました。
この春に映画「WOOD JOB!」が公開され、普段森とは関わりなく暮らしている街の人からも、
森へ関心が寄せられる大きなきっかけが出来ました。
この機会に”リアルWOOD JOB!”な世界観をお伝えし、
街で暮らす人にも森を近くに感じて頂ければという思いの下、この本が出版される事となりました。
本書には27人の著者が自らの言葉で書いた、十人十色のリアルな世界が凝縮されていますが、
この出版イベントの機会に、登壇者3名からその一部をご紹介。
という訳で、登壇者による自己紹介、
トップバッターは香川県の材木屋、山一木材3代目、熊谷有記さんからスタート。
山一木材2代目のお父様、そして創業者である初代のお祖父様についてご紹介され、
代々引き継いできた材木屋さんのこだわりについて話して下さいました。
フォークリフトを乗りこなすお祖父様の姿や、様々な木材が並ぶ材木屋さんの敷地内の写真等
は、街で暮らす来場者の方々には馴染みがなく新鮮な光景だったのではないでしょうか。
熊谷さんが三代目を務める材木屋さん、山一木材では、
工場の横の森でカフェ、日用品店、ギャラリーを営んでおられます。
「木と暮らすこと、伝えたい」というコンセプトのとおり、”KITOKURAS“と名付けられた空間で、
カフェやギャラリーを営まれ、
また、季節ごとに開催される「HONMAMONマルシェ」では、
お店を訪れた人が木のある空間を肌で感じて楽しめる場を作っておられます。
「多少曲がっている野菜でも美味しく食べられるのと同じで、木材にも多少の節や曲がりがあったとしても、
強度的には十分安全に使えるというレベルのものを提供しています。それを自然素材の味わいとして
楽しんで頂けたらと思います。」
と、誰もの生活に馴染みある食や野菜に例えてご紹介いただきました。
女性目線で森や木と関わる仕事について描いておられる熊谷さん、
詳しくは本書をお読み頂ければと思います。
熊谷さんから1/27の森と暮らしについてお話いただいた後は、
全国の森を飛び回る森林再生コンサルタント、弊社・古川大輔にバトンタッチ。
年間約200日近くの出張を通じて出会った全国の林業産地を会場のみなさまにご紹介致しました。
高野山、富士駿河、信州松本、兵庫播州、伊賀上野、吉野川上、
三重熊野、東白川村、土佐嶺北、京都北山、岡山西粟倉、石見出雲、筑後川流域など・・・
弊社ではCLUB プレミアム国産材など、林業の各産地のみなさまとご一緒に、
木材とその産地の風土の魅力までをご案内しています。
「ワインや焼酎に産地があり、銘柄があるように、木材にも産地ごとに物語と作り手がいて、
多種多様な味わいがあります。その中から自分の気に入った木材を選んで
暮らしに取り入れる喜び・楽しみを、都会の方にも味わってほしい。」
世代を越えて守り育てられた森の風景や、現場作業での逞しく響く音などが伝わるよう
動画を使いつつ、このようなメッセージをお伝えしました。
来場者の皆様、行ってみたくなる森を見つけていただけましたか?
最後は、コミュニティデザイナー・studio-Lの山崎氏へバトンタッチ。
森林の面積も、その森ごとの物語にも恵まれている日本ですが、街で暮らす人にとっては
何だか遠い存在になってしまっている森の世界。コミュニティデザインを通じて仕組みを整え、
街の人と山村で暮らす人が共に森と関われる活動づくりを実践している山崎さんです。
街の人が週末を利用して森や木工の世界を楽しめる仕組みを作られた
「穂積製材所プロジェクト」についてのお話。
三重県の御夫婦で営まれる製材所を舞台に、
そこに都会の人、若者など外の人が関わり、
コミュニティデザインの力で仕組みをつくり、みんなが集える森づくりを実現されたプロジェクト。
本書の中では、山崎さんご自身も街から森に集った一員としての感想も描かれています。
また、当日はイベントの来場者の中から、山崎さんが代表を務めるsudio-Lのメンバーである
神庭慎次さんが急きょご登壇されました。街の人が森づくりを実践できる仕組みを整えておられる事例として、
大阪は泉佐野丘陵緑地の公園作りについてお話いただきました。
こんな風に、ご自身の森をすでに持っている方が急きょご登壇してお話して下さるのも
森ではたらく!出版イベント面白さの一つとなっています。
各々の活動紹介の次は、登壇者によるトークディスカッション。
・女性が森ではたらく事の魅力
・森ではたらく人々の格好良さが持つパワー
・活動に楽しさ、ワクワク感を付加するデザインについて
・子供に誇れる仕事、次世代に引き継ぐ暮らしについて 等など、
他にも次々にテーマが飛び出し盛り上がり、飛び入りゲストも登壇されました。
奈良県の代々続く林業産地にて活躍されている、林業家の久住一友さんが、
子供向けに企画されたイベントについてお話下さいました。
日々現場仕事に奮闘されながらも、それにとどまらず
「子供達に誇れる仕事をして、それを伝えていこう」というコンセプトを持って
開催されたこのイベント。
会場の皆様にも「魅せる林業」を実践されている世界をご紹介頂きました。
また、「森を鳴らす人」として本書の著者の一員でもあるカホンプロジェクトの山崎正夫さんが、
急きょ、カホンを生演奏して下さる場面もありました。
今やカホンプロジェクトの活動は全国に輪を広げていますが、その中で全国の森に共通する問題についても会場の皆様にお伝えして下さいました。
イベントの最後には会場から、
「映画や本の世界から森に興味を持ったのですが、
実際に自分が行ってみる森はどうやって見つければ良いのでしょうか?」
との質問が上がりました。
それに対して編著を務めた古川からは、
「今回の著者を27人に絞るが本当に悩ましく、28人目、29人目…と、
ご自分の森を見つけて暮らしを営んでおられる人々が全国におられます。
美しい森の風景にはその下に、森を守り育てている人がいます。
この本に登壇する27人に27通りの森があり、それぞれの暮らし方をお持ちです。
本を通じてその人生を覗き、また実際に森を訪れて人に会いにいくなかで、
みなさまがご自分の森を見つけるきっかけを作って欲しい。」
とお答えしました。
すでに本書をお読み下さった方は、もう行ってみたい森を見つけられたでしょうか?
生活に取り入れられそうな森の暮らしが見つかりましたか?
今回のイベントを通じて初めて森ではたらく世界を知ったという方は、
森と共に暮らす「人」の気配も見つけていただけたでしょうか。
森ではたらく人々の世界を、本書を通じて覗くことで、
街ではたらく人にとっては「非日常」の世界を味わっていただき、
街ではたらく日常がさらに豊かになるきっかけとしていただければ幸いです。
今回イベントを開催させていただいた心斎橋スタンダードブックストアカフェでは、
「森のブックフェア」のコーナーを設置していただいております。
本書の27人の著者がオススメする書籍も推薦コメントと共に並んでいますので、
ぜひ書店に立ち寄り、本書と併せてお読みいただければと思います。
弊社からはこれからも、全国のリアルWOOD JOB!な世界を飛び回り、
街で暮らす皆様の下に、全国の産地の木材の魅力と物語をお伝えして参りたいと思います!
最後になりましたが、学芸出版社をはじめスタッフの皆様、ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。