2月度の経営実践研究会は、特別企画としてメンバーの製材工場視察を行い、

製材における付加価値化やオペレーション管理についての徹底討論となりました。

 

場所は三重県熊野市。

大阪or名古屋から車で約3時間の立地にあります。

 

立地条件としては不利な中、どのようにして高い価値を生み出しているのか?

その秘訣を探りに、N社を訪れました。

このN社の特徴は3つ。

①構造材から内装材まで何でもつくる

②すべての工程を自社一貫生産

③徹底した品質管理と研究開発

 

というスタイルです。

 

商品を自ら企画し、乾燥や微細な加工、塗装を含めた最終製品まで仕上げることで、
利益を生み出しています。

各地から集まったメンバー(製材、工務店)により、
実際に工場を視察すると、

「言うは易し行うは難し」であり、

経営戦略を現実に形にするには、
それを現場の戦術戦闘レベルまで落とし込み、
的確なマネジメントや品質管理の徹底、地道な改善が必要であると
改めてわかります。

 

仕入れ

製材

乾燥

仕上加工

在庫管理

配送

 

のそれぞれに工夫があり、

 

また、

その前のスタート地点となる、商品開発。

そして、定期的なデータ蓄積とPDCA。

 

そのすべてにヒントがあり、
今回は企業秘密ともいうべく工程を余すところなく解説いただきました。

 

視察の後は、メンバーそれぞれが、自社の「付加価値化」の取り組みについて発表し、

ディスカッションを行いました。

 

特に話題になったのは、
N社オリジナルの品質・製造管理システムについてでしたが、

議論の中で、さらに大切になるのは、

システムをつくった後にそれを活かしきれる、
「人づくり」であるとの意見が多くありました。

 

ここでN社が取り組んでいるのが、

システムやマニュアルをトップダウンで導入するのではなく、

社員一人ひとりが自分事として理解し、定着させるための、
ボトムアップの議論と、人事評価制度の改善でした。

~~~

夜はN社が納材したホテルにて宿泊し、
納材後まで見ることができました。

 

今回は、通常の座学勉強会から形式を変えた特別企画でしたが、
今後もこのような機会を作って参りたいと思います。

 

改めて、学びとは何か。

「素直、勉強好き、プラス発想」のスタンスを持って臨み、

自分事として貪欲にヒントを取り入れること。

そして実行して初めて、価値があります。

 

① まず、勉強の機会に参加する人

②そこから自分事としてヒントを得る人

③実際にやる人!

 

それぞれが、5人に1人しかやらないとしたら。

①~③を実行するだけで、100人に1人の経営者になれるかもしれません。

 

今回の学びをより深め、昇華しやすくすべく、
弊社でテキストにまとめあげてメンバーにご提供する予定です。

 

今後も、100人に1人の経営者をつくる、
そんな研究会にして参りたいと思います。

 

次回以降も、ご期待ください!

~~~

■次回(3月度)のお知らせ■

3月度経営実践研究会[国産材ビジネススクール]

・日時:3月18日(金) 14:00~18:00

・場所:大阪市淀川区(詳細はお問い合わせください)

・テーマ
「意外と似ている!?製鉄業界と製材業界の比較!」

・受講料:21,600円(税込)

※初回無料体験は3社限定、受付中!

お気軽にお問い合わせください。

 

★経営実践研究会についての詳細はこちら ⇒ https://chiikino.jp/blog/?page_id=42

 

Posted by admin on 金曜日 2月 19, 2016 Under pick up, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

大寒波が近づく中、大阪で今年初となる研究会を開催しました。

~今回のMENU~

1)各社事業報告&プレゼンテーション
・みなさまから今月の振り返り

2)話題提供
・移住定住と地域おこし協力隊ブームの最新動向

3)テーマ講座
・林業バリューチェーン分析
・林業バリューチェーンにおける林道とその付加価値について
・事業連携の事例紹介

4)ゲスト講座&ディスカッション
「異業界は林業・木材業界をどう見ているか!?
~グリーンIT企業から見た国産材の可能性~」

 

■林業バリューチェーン分析

東京の国産材ビジネスセミナーでも好評だった、林業バリューチェーン分析。

よく異業界では「業界地図」なるものがあって、
業界全体の市場規模や、メインプレーヤーについて解説されていますが、

こと林業界や木材業界となると、
一般的な業界地図には載っていませんし(製紙と住宅を除く)

川上から川下まで、しっかりと整理された資料は、意外とないのが現状です。

 

そこで弊社では、林業、原木流通、加工(製材、合板、チップなど)、
製品流通、プレカット、建築と、

各段階の木材(商品)単価や市場規模を調査し、まとめました。

 

このうち「製材業」について、
この日の製材メンバーで、

「製品の付加価値とは何か?」という点について、

無節、上小、特一という一般的な品質等級に対し、
返品されない、クレームにならないための
品質基準と品質管理の精度を高めることや
顧客とのコミュニケーションの工夫についても議論し、

・全体の粗利率アップすること
・欠品対応に掛かる販管費を下げること

についても考察をいたしました。

 

まだまだ精査が必要な段階ではありますが、一覧を見るだけでも、

・林業(所有者)のプレーヤーの多さと市場規模の小ささ
・流通の不透明さ
・製材業の金額シェアの高さ

などがわかります。

 

ここから、自社のポジションはなにか、
各段階の今後の成功要因はなにか、を読み解いていきました。

 

今回、異業界からのゲストもお迎えしましたが、
木の値段?メインプレーヤーはだれ?と外から見れば謎だらけの林業界のデータは、

「非常に付加価値が高いデータだ」とお言葉をいただきました。

 

今後もより情報を精査し、何らかの形で公表したいと考えています。

 

 

■地方移住のトレンド

先日、1月17日(日)に東京ビッグサイトで開催された「移住交流&地域おこしフェア」に
弊社スタッフも行って参りました。

8,000名以上の来場者がおしかける中、
各地域のブースでは、趣向を凝らした展示や移住相談、セミナーなども展開され、
非常に熱気を 感じる一日でした。

 

何らかの制度を利用して、年間1万人が地方へ移住しているというデータもあり、
統計にカウントされない数字を含めれば、もっと多いでしょう。

多くの 人が地方へ行く動きは、今後も増えていきそうです。

 

移住の動きには、「I」「J」「U」ターンのバリエーションがあり、

またその動機もさまざまですが、

 

都会生まれ都会育ちで祖父母のすむ「田舎」もない、という若者がIターンする理由には、
やはり 都市部にはない、地域の魅力や発見、おどろきがあります。

(すでに「となりのトトロ」の世界が「懐かしい」ものではなく、まったくのファンタジーになりつつあります)

地域にとってみれば当たり前のこと、つまらないことも、
ソトモノから見れば驚きの連続である。

そのことに、改めて地域の人自身が気づくことが必要でしょう。

 

いっぽうで、

「豊かな自然があって、人がいい」

のは、どの地域も出しつくしたフレーズで、
もはや差別化できなくなってきました。

 

それを受けてか、
この移住交流フェアのブースでも見られるように、
どの地域もとにかくお土産に特産品プレゼント、名簿集め、人集め合戦の様相を呈しており、

確かに「誰でもいいから、人口を増やしたら勝ち!」という部分もありますが、
すこし方向性が違ってきています。

 

本質的に大切なことは、

移住した人も地元の人も、そこで幸せに暮らし、根を下ろしていけるような地域になる事でしょう。

 

そのためにも、お土産合戦ではなく、
本当に移住者のことを思った受け入れ態勢ができるか、

また、地域としては どんな人に来てほしいのか?どんな地域をつくりたいのか?

というメッセージこそ明確にするべきでしょう。

 

「人の奪い合いではなく、関係人口を増やすことが大事だろう」

という論調も増えてきています。

 

今後も、弊社も関わる地域でこれを実践しながら、

地域と移住者の両方が幸せになる方法を模索していきたいと思います。

 

~~~

 

このように研究会では、林業木材業界のビジネスから、地域づくりに関する話題まで、

毎回豊富なテーマでお届けしています。

参加者同士がテーマを持ち寄って、自ら作り上げていくスタイルです。

 

ご興味のある方、参加されたい方は、お気軽にお問い合わせください。

*初参加の方は無料体験実施中!

 

~今後のスケジュール~

2月19日(金)

3月18日(金)

※いずれも関西地方のミニ現地研修を予定しています。参加人数が限定される場合があります。詳細はお問い合わせください。

 

Posted by admin on 土曜日 1月 23, 2016 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

 

11月度の現地研修会を終えて、
2015年総まとめ、12月度経営実践研究会in大阪を開催いたしました。

■12月度のメニュー

1)各社報告&自己紹介

2)話題提供
・2015年の木材トレンド探る
~ジャパンホーム&ビルディングショー、グッドデザイン賞、ウッドデザイン賞~
・現地研修会より、岩手県岩泉町の広葉樹林業
・林業界における女性の活躍

3)2015年林業木材業10大ニュース

 

この中から、今月のハイライトをご紹介いたします。

 

【1】受賞作色々…選ばれるブランド商品の要素とは?

2015年の木材トレンド探る ~ジャパンホーム&ビルディングショー、グッドデザイン賞、ウッドデザイン賞~ 

 

1957年に創設され、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みを持つ「グッドデザイン賞」。

歴史があり、認知度も高いこの賞ですが、
木造建築や木工品でも、数々の作品が受賞してきました。

*グッドデザイン賞公式ホームページはこちら*
http://www.g-mark.org/

近年の受賞作品を見ると、

木材産地とつながった顔が見える建築や、
木製学習机をとおした環境教育、
コミュニティのつながりを意識したアパートなど、

形や色だけの「デザイン」 ではなく、
社会的意義やその背景にあるストーリーまで

「モノ」に加えて「コト」が重視されていることがわかります。

 

 

さて、2015年から新たにスタートした「ウッドデザイン賞(新・木づかい顕彰)」はご存知でしょうか?

林業木材分野に特化した、製品や取り組みを表彰するアワードです。

*ウッドデザイン賞公式ホームページはこちら*
https://www.wooddesign.jp/

 

弊社のクライアントも多く受賞を果たしました。

このウッドデザイン賞の特徴も、

・暮らしを豊かにする
・人を健やかにする、
・社会を豊かにする

という3つの視点から、
デザインのみならず背景にある仕組みまでもが優れた
製品や取り組みを表彰している点です。

 

グッドデザイン賞、ウッドデザイン賞の取り組みを見ると、
今後もますます、「モノからコトへ」を重視する傾向は強くなりそうです。

 

一方で、製造業における”顧客に選ばれる商品”の基本要素とは、

なんといっても「必要性、欲求性、物語性」であり、
QCD(品質、価格、納期)の確立されたビジネスモデルであることは、
最低限の条件といえます。

これはBtoB、BtoCを問いません。

 

つまり、

品質、価格、納期の基本要素が満たされてはじめて、
「ウッドデザイン賞受賞」「グッドデザイン賞受賞」

などの表彰が、付加価値になるということです。

また、もしもこの賞が普及して、受賞している商品があふれて当たり前になったとき、

例えば「FSC®認証材使用」といったエコラベルや第三者認証も、
マーケットから選ばれる差別化要素となるでしょう。

選ばれるブランドの差別化要素とは?

常に一歩先まで予想しておきたいポイントですね。

 

【2】2015年、林業木材業界10大ニュース!? 

弊社から、今年の10大ニュースを発表!

①ハウスメーカーが国産材を使い始めた!(タマホーム国産材CM)
②「丸太を買った女」ニュースの反響つづく
③産地共催交流セミナー2015開催
④ウッドデザイン賞2015
⑤バイオマス発電続々設立!
⑥各地で地域商社、地域拠点うまれる
⑦SNSの弊害?山林資源情報はどこまでopenにすべきか
⑧移住の流れとIターン人材の増加
⑨木材業の海外進出はいかに!?
⑩・・・・?

このようなトピックをお伝えしました。

常に情報を掴み、トレンドに乗りながらも、
自社にとって変えないもの、変えるべきものを見極め進むこと。

この鉄則はいつも変わりません。

 

さて、みなさまの2015年はどんな年だったでしょうか?
10番目はぜひ、あなたのニュースを書き込んでください。

 

 

研究会終了後は、忘年会を開催し、メンバーどうし交流を深めました。

来年も毎月開催していきますので、ご期待ください!

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★告知★ 今後の経営実践研究会スケジュール

1月度 ・・・ 1月23日(土)
2月度・・・2月19日(金)

■会場:大阪市内(予定)

■講師:古川大輔 ほかゲスト講師

■料金:各回20,000円(税別)

※初回無料体験実施中!お気軽にお問い合わせください。

↓↓詳細はこちら

https://chiikino.jp/blog/?page_id=42

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Posted by admin on 金曜日 12月 18, 2015 Under pick up, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

広葉樹の森を巡る現地研修会、2日目の様子をお伝えします。

 

【1日目:24日(火)】

■オーダーメイドの集成材メーカー

最初に訪れたのは、町内で集成材製造を手掛ける日本木材工業様。
国産材、輸入材を含め多くの樹種を取り扱い、
オーダーメイド、小ロット受注生産で造作材を製造しています。

製品にする前には、職人による材料の見極めが欠かせません。

フィンガージョイントで接着していきます。

手作業による、小回りの利く工場をいかして、
こんなチャレンジも。

近年は地域材の需要も高まっているそうで、
これから国産広葉樹をいかした製品づくりにも期待が高まります。

 

■FSCの北の砦、製紙用チップ工場

次に、町内で生産される広葉樹の90%以上を消費する、製紙用チップ製造工場、

新北菱林産株式会社(岩泉工場)へ。

視察している間にも、
次々に、トラックやフォワーダ(地元の人はTW(テーダブ)と呼んでいます)で
広葉樹原木が運び込まれてきました。

岩泉町産のFSC認証原木を使用しているため、
出荷されたチップは、最終的にFSCミックス製品として、
ティッシュペーパーや印画紙などになります。

チップ⇒パルプ⇒紙へと。

この丸太一本から、ノート約1冊ができます。

FSC認証のティッシュ、箱の裏には岩泉町の地図も!

「岩泉町の木からできたティッシュと知ったら、大切に使う!」
参加者のみなさまも、普段使っている紙の源流を知り、感銘を受けていました。

地域の林業を支える大口需要としての
製紙業の重要性を再認識しました。

 

■FSCの北の砦、製紙用チップ工場

岩泉町内最後の視察先は、
製材、パレット加工、おが粉、堆肥製造までを手掛けるトーア木材株式会社様。

針葉樹のみならず、冷凍庫でも割れにくい広葉樹パレットも製造。

きのこ栽培の菌床用のおが粉は、育てるきのこの種類に応じて、
広葉樹の中でも細かく樹種が分けられています。

さらにはニーズに応じて、おが粉の目の細かさも数種類あります。

 

針葉樹、広葉樹ともに、木を最後までいかしきり、

多岐にわたるニーズに応え、商品を生み出す。

 

西日本などで一般的な製材所とは異なる、きめ細やかさに、
参加者の皆様も驚いていました。

 

■驚くべき多様性、広葉樹の原木市場

矢巾町へ移動し、最後の視察先は、
盛岡木材流通センターです。

東北地方では、針葉樹は大型工場への直送化が進むいっぽう、
広葉樹は多様なニーズがあり、入札で取引されています。

全国でも有数の広葉樹の市場。

ちょうど市日の前ということで、非常に多くの原木が集まっていました。

ほかの市場ではなかなかお目にかかれない樹種に、

参加者は興味津々で、用途や価格について質問していました。

 

一口に「林業」や「木材」といっても、日本国内でも多様性があり、
奥深い世界であることを実感します。

また隣接するアカマツの市場も見学。

「南部赤松」といわれ、日本有数の地松のブランド産地ならではの、
貴重なアカマツの原木を見ることができました。

 

今回は、広葉樹をテーマに二日間の研修を行いました。

現在の人工林資源や政策から、どうしても針葉樹にばかり目が向きがちな日本の林業界ですが、
広葉樹資源も着実に育ちつつある中、

今後、環境に配慮した森づくりや、海外との資源獲得競争、そして木材産業としての差別化を考えれば、
「日本林業の未来」としての広葉樹資源に視野を広げ、育林や生産体制の整備に取り組むことは、
将来の林業の発展にかかせないものでしょう。

 

今後も弊社では、林業木材業に対する視野を広げ、可能性をさぐる研修会を開催して参ります。

明日のビジネスと、明日の森づくりのために、学びを実践に変えながら、邁進して参りましょう!

 

最後に、お世話になりました岩泉町の皆様、盛岡木材流通センター様、参加者の皆様に、

感謝の念を述べ、締めくくらせていただきます。

 

誠にありがとうございました!

Posted by admin on 火曜日 11月 24, 2015 Under pick up, すべての記事, 国産材ビジネスセミナー(東京), 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

今年で7回目となりました、

経営実践研究会×国産材ビジネスセミナー 合同現地研修会。

11/23-24の二日間、今回は「広葉樹林業」をテーマに、岩手県を巡りました。

 

■岩手県の林業

岩手県の素材生産量は、

北海道、宮崎県につづく全国3位(1,370 千㎥(H26))であり、

アカマツの生産量は全国1位(191千㎥)

カラマツは第2位(322千㎥)

広葉樹第2位(280千㎥)

を誇っています。

 

ボリュームとしても多く、
また全国的に生産量の少ない樹種を多く産出しているのが特徴です。

 

■岩泉町

日本三大鍾乳洞である「龍泉洞」や、酪農で知られる岩手県岩泉町。

森林率93%を誇り、そのうち60%以上が広葉樹に覆われて、製紙用チップを中心に広葉樹の素材生産が盛んにおこなわれています。

その森林で、2003年にFSC(R)森林認証(グループ認証)を取得し、
現在、森林認証と広葉樹をいかした、新たな地域木材ブランドの構築に取り組んでいます。

 

町のシンボルマウンテンは、「宇霊羅(ウレイラ)山」。

アイヌ語で 「霧のかかる峰」という意味で、
そびえたつ岩肌と、たなびく雲が神秘的な光景です。

 

今回の研修会では、総勢24名のメンバーで、

この岩泉町および広葉樹の取り扱いが豊富な、
盛岡木材流通センター(岩手県森林組合連合会)を訪ねました。

その様子をお伝えします!

 

【1日目:23日(月祝)】

■60年生カラマツ林&広葉樹林

盛岡駅からバスで移動すること1時間半、
岩泉町の小川地区にある、カラマツ&広葉樹施業をされている、
南澤氏(林業会社経営)の森林へ。

冬になり、カラマツも広葉樹もすっかり葉を落としていましたが、
すっと伸びる樹形がよくわかります。

 

「自分は72歳、このカラマツ林は60歳、干支が同じです」

という南澤氏が手をかけて育成されてきたカラマツ林は、
樹高35mにまで成長しました。

順調に生育した理由の一つが、周囲の広葉樹林。

これが防風林の役目も果たしています。

 

広葉樹は植林はせず萌芽更新を利用しながら除伐を行い、
目的とする樹種を残して育てるという施業を行われています。

林床では以前、葉わさびの栽培をしたこともあり、
どこからか種が運ばれてきた、クワの木などが見られました。

(クマの糞から芽生えたのかもしれません?)

 

明るい広葉樹林やカラマツ林の空間を
多面的に活用した林業の可能性を、垣間見ました。

「目標は、100年生のカラマツに育て上げること。
需要は変わっていくので、市場も見ながら、お金に変えていきたい」

 

補助金や政策に寄らない、
コンセプトを貫く林業経営の在り方に、ヒントがあります。

 

■龍泉洞とFSC認証材

ここで観光タイム。
岩泉町に来てかかせないスポットが、日本三大鍾乳洞の龍泉洞です。

あの、宇霊羅山のふもとにあります。

 

実は、この龍泉洞の床板は町内で生産された
FSC認証カラマツが使用されています。

よく見るとあちこちに、FSCマークが・・・!

 

地域の観光産業をも支える、
林業・木材産業の存在感を感じていただけたでしょうか。

入り口の看板でもFSCをアピール。

 

参加メンバーで、記念撮影!

 

■岩泉の森づくり100年ビジョン

タウンメッセージに「森と水のシンフォニー」を掲げる岩泉町。

岩泉町役場林業水産室の今村氏より、町として取り組んでいる森づくりのビジョン、
そして計画中の地域木材商社についての構想をお聞かせいただきました。

 

森の恵みをモチーフにしたシンボルマークを掲げ、
広葉樹施業の研究と実践、
需要と生産のマッチングに取り組まれています。

参考URL http://iwaizumi-forest.jp/

今回の研修は、岩泉町役場様の全面的なご協力で開催されました。
引き続き、役場の皆様にもご同行いただきました。

 

■FSC認証取得の地域工務店

次に訪れたのは、東北では初めて、
建設業としてFSC(COC)認証を取得した、
株式会社西倉工務店です。

認証材をはじめ、地元の木材にこだわって施工されてきました。
倉庫には、近隣で生産された杉やカラマツ、
土台にはクリなど、適材適所に利用されています。

建築のみならず、多種多様に活用できるのが、木材の面白さです。

枝を利用したノベルティなど、
木をいかしきる、そして楽しさを伝える取り組みを拝見しました。
震災復興で人手も材料も足りない状況とのことですが、
地域に技術があり、地域で木材が手に入ることの重要性を改めて感じました。

 

■300年生きる家具を

次に、おもに岩手県産の広葉樹を使って
家具製造を行っている、岩泉純木家具有限会社を訪問しました。

製材業から創業されたという工房では、
一つ一つ、職人の手で作られる家具の製造行程を見学しました。

樹種により異なる特性を熟知し、
お客様のライフスタイルや嗜好に合わせて、
適した樹種や加工を提案されています。

工房に掲げられた経営理念に基づき、
木の命をいかすものづくり。
若手の職人も育成されています。

新調したばかりという作業服には、
岩泉の森のシンボルマークが。

これからは、町内の広葉樹をつかった家具づくりにも
積極的に取り組まれていきます。

 

■講演会:岩泉の明日の林業をつくる会

岩泉町内の林業木材業関係者でつくる
「岩泉の明日の林業をつくる会」との合同勉強会を開催し、
研修参加者と合せて総勢60名以上の参加となりました。

はじめに、基調講演として株式会社ワイス・ワイス代表取締役の佐藤岳利さまに
ワイス・ワイスの取り組みについてご紹介をいただきました。

今回、佐藤氏には特別ゲストとして、
社員様とともに、二日間の研修会にご参加を頂きました。

現在、国産材や顔の見える木材での家具を数多く手掛けられている佐藤氏は、
実は7年前にも岩泉町のFSC認証林を訪れていました。

岩泉町が新たな挑戦を始めたタイミングでの、再会という形となりました。

 

岩泉町を訪問した2008年以前にも、家具や店舗空間を手掛けられてきた佐藤氏。
しかしその背景にある違法伐採や木材加工の労働環境を目の当たりにし、
これからの方向性を模索している中での、岩泉町との出会いでした。

その年を境に、顔の見える木材と作り手に特化した商品開発、
製造工程や素材仕入れの切り替えに取り組んでこられました。

結果として、生産者、販売者、顧客との良好な関係が生まれ、
利益率も高まっていった実績をご紹介いただきました。

これからの時代の
顔が見える製造、流通の可能性を大いに感じるご講演でした。

 

次に、岩泉町の森林認証取得をサポートされた
アミタ株式会社の小川直也氏より、FSC認証とは何か、
改めて基礎知識についてレクチャーを頂きました。

戦前までは、地元の木を調達して建築や燃料に使うのが当たり前でした。
しかし木材流通が発達するにつれて、調達の利便性は向上したものの、
トレーサビリティが脆弱になってきたという背景があります。

どこから来た木なのか、誰が加工した木なのかが分かれば、
ユーザーは愛着を持って大切に使う。

誰が使う製品なのか分かれば、作り手も想いを込めて作る。

その顔が見える流通が難しくなった現在において、
FSC認証をはじめとする森林認証は、
トレーサビリティを証明し、流通をつなげるひとつのツールにもなりうる。

森林の適正な管理のみならず、
流通をつなぐ効果や可能性についてご教授頂きました。

 

■懇親会

この現地研修会は、
開催地の林業木材業を肌で感じ、
新たな知識や経営のヒントを得るのみならず、

現地の方々や参加者どうしの交流も、大きな魅力の一つです。

 

勉強会の後は、恒例の懇親会。
こちらも出席率が高く、60名あまりの大宴会となりました。

地域の特産品である岩泉ヨーグルト等も堪能しながら、
参加者のスピーチが続き、大いに交流を深めました。

初日から密度の高い研修となった研修会in岩手。
2日目につづく・・・

 

Posted by admin on 月曜日 11月 23, 2015 Under pick up, すべての記事, 国産材ビジネスセミナー(東京), 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

 

経営実践研究会[大阪]×国産材ビジネスセミナー[東京]
合同現地研修会2015 開催決定!!

※定員に達しましたので、募集を締め切りました。ありがとうございました。

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2015年11月23日(月祝)-24日(火)IN 岩手県
“日本林業の未来がここにある”
針葉樹だけじゃない、「広葉樹林業」を見に行こう!!

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毎年恒例の現地研修会、第6回となる今年は初の東北、岩手県に決定!
将来の日本林業のスタンダードとなり得るか?
今回のテーマは「広葉樹林業」。

国内でも数少ない広葉樹林業、そしてFSC森林認証を活かした
森づくりに取り組む、岩手県岩泉町を中心に訪ねます。

川上から川下まで、多様な主体により展開される「トータル林業」とは?

 

■視察先
①岩手県岩泉町
・岩泉町の森林100年ビジョン
・針葉樹、広葉樹がおりなす風景
・広葉樹が集まる、製紙用チップ工場
・木を活かしきる、パレットからおが粉まで
・多種多様な樹種を扱う、集成材メーカー
・FSC認証取得の地域工務店
・東京でも人気、木をいかす家具工房

*現地プレーヤーとの交流会、勉強会あり!
*日本三大鍾乳洞の「龍泉洞」、絶品ヨーグルトもあります

②岩手県盛岡市
・盛岡木材流通センター
豊富な広葉樹取扱い量を誇る原木市場へ!

 

■日程(予定、訪問先の状況により変更の可能性あり)

【11月23日(月祝)】

9:30いわて花巻空港  または 10:00盛岡駅 集合

岩泉町内カラマツ人工林 視察

龍泉洞観光

岩泉町役場・森づくりビジョンの説明

㈱西倉工務店 視察

岩泉純木家具㈲ 視察

町内事業者と合同勉強会 *町外家具メーカーのゲスト講演予定

懇親会

宿泊(ホテル龍泉洞愛山)

 

【24日(火)】

08:00 出発

日本木材工業 視察

新北菱林産㈱ 視察

㈱トーア木材 視察

昼食

(移動)

盛岡木材流通センター 視察

17:30盛岡駅 または18:00いわて花巻空港  解散

※集合・解散場所等は、ご希望に応じて調整いたします

 

■費用

受講料 21,600円(税込)
※交通費、宿泊、飲食費等の実費は別途ご負担ください。

■定員 20名(先着順)

■お申込み
1)お名前
2)ご所属
3)携帯電話番号
4)メールアドレス
5)現地までの交通手段(予定)

を明記のうえ、info@chiikino.jpまでお送りください。

※定員に達しましたので、募集を締め切りました。ありがとうございました。

※申し込み〆切: 11月2日(月)
※定員を超える場合、経営実践研究会および国産材ビジネスセミナーの受講生を優先的に受付します。ご了承ください。

※航空券等、集合場所までの移動チケットは、ご自身でご手配ください。

 

参考:

◎行き
(航空機)
7:35 名古屋小牧 ⇒ 8:45 いわて花巻 FDA351便
7:55 大阪伊丹 ⇒ 9:20 いわて花巻 JAL2181便

(電車)

7:36 東京 ⇒ 09:52 盛岡 はやぶさ3号
6:04 東京 ⇒ 09:19 盛岡 やまびこ41号

◎帰り
(航空機)
18:45 いわて花巻 ⇒ 20:20 大阪伊丹 JAL2190便
18:50 いわて花巻 ⇒ 20:15 名古屋小牧 FDA358便

(電車)
17:50 盛岡 ⇒ 20:04 東京 はやぶさ28号
18:15 盛岡 ⇒ 20:32 東京 はやぶさ30号

 

★参考リンク
・岩泉町 http://www.town.iwaizumi.iwate.jp/
・IWAIZUMI forest http://iwaizumi-forest.jp/
・龍泉洞 http://www.iwate-ryusendo.jp/

 

 

※過去の現地研修のレポートはこちらから
・2014年 九州筑後川流域・日田地域 https://chiikino.jp/?p=3508
・2013年 飛騨高山 https://chiikino.jp/?p=2161
・2012年 四国林業遍路14箇所巡り https://chiikino.jp/?p=948

Posted by admin on 月曜日 11月 2, 2015 Under — セミナー、研修、講演のお知らせ, pick up, お知らせ, すべての記事, 国産材ビジネスセミナー(東京), 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

 

10月度の経営実践研究会 in 大阪を、開催いたしました。

 

■10月度のメニュー

1)「温故創新型の建物と街並み再生へのチャレンジ」
ローカル回帰、地方創生、リノベブームを分析&ディスカッション

★ゲスト講座★
株式会社キノマチ不動産 代表取締役 藤村直樹氏

2)WEB(インターネット)をもっと活かせ!
企画、制作、更新のポイント

3)話題提供
・マルシェ系イベント企画のポイント
→集客&企画から、受注に繋げる導線まで

・若手林業ビジネスサミット2015 in京都
→若手はいま何を考えていて、何をチャレンジしているのか。

 

4)本日のまとめ講座
税制変更に備えよう!若い世代への住宅(住まいと暮らし)に税制上の提案を

 

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●「温故創新型の建物と街並み再生へのチャレンジ」
 ローカル回帰、地方創生、リノベブームを分析&ディスカッション

★ゲスト講座★ 
株式会社キノマチ不動産 代表取締役 藤村直樹氏

株式会社キノマチ不動産代表・藤村氏をゲストにお招きし、
木を活かした施工事例についてご紹介いただきつつ、昨今のリノベブームについて分析いただきました。

空き家率13.5%時代を迎えた社会的意義、
またリノベーションは新築より安いといったニーズから、

空き家をいかしたリノベーションはトレンドになっています。

 

しかし、一方で、
「改修してまで住む価値のある家なのか?」
「そもそも昔の家は大きすぎる」

という課題と向き合いながら取り組まなければなりません。

 

そこで、キノマチ不動産が力を入れているのが「平屋」の中古住宅リノベーション。

耐震などの問題もクリアしやすく、
また「小さくても自分らしい家でくらしたい」という顧客層から、じわじわと人気が出ています。

 

中古住宅を買ってリノベしたい人を「一次取得層」と呼びますが、
その

ニーズ(適切なサイズにダウンサイジングしたい)と

ウォンツ(小さくても自分らしく、住宅ローンに縛られたくない、土地に縛られたくない)

それぞれに対して、どのようなアプローチが出来るか、

リノベーションブームの今後の展開を分析いただきました。

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●税制変更に備えよう!若い世代への住宅(住まいと暮らし)に税制上の提案を

2015年1月1日より、相続税制度が変更となり、
富裕層だけでなく、首都圏に一戸建て住宅を持っている一般人も含め、大半が対象となる制度が導入されています。

そもそも日本の世帯は、アッパーマス層(純金融資産3,000万円以上5,000万円未満)を含む、
富裕層の比率が多い分布となっていますが、

その層に最も必要とされる住宅(住まいと暮らし)の提案とは何でしょうか?

 

「ライフスタイル重視の減築住宅」に加え、生きたお金の使い方として、
住まいに関わるプロとして、我々が提案できるものは何か、

話題提供&研究会のまとめとさせていただきました。

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さて、11月度は通常の大阪経営実践研究会はお休みとなり、
年に一度の現地研修会を開催します!!

★11月度現地研修会11/23-24★

詳細はこちら→https://chiikino.jp/?p=4629

国内でも数少ない広葉樹林業、そしてFSC®森林認証を活かした
森づくりに取り組む、岩手県岩泉町を中心に訪ねます。

次回の経営実践研究会は、12月18日(金)。
初めての方の無料体験も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

★12月度研究会★

■日時: 12月18日(金)14-18時

■会場:大阪市内ほか

■講師:古川大輔 ほかゲスト講師

■料金:各回20,000円(税別)

※初回無料体験実施中!お気軽にお問い合わせください。

 

Posted by admin on 金曜日 10月 23, 2015 Under pick up, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

 

 

第4回産地共催交流セミナー(7/31-8/1)の出展を終え、振り返りを兼ねて

8月度の経営実践研究会 in 大阪を、開催いたしました。

 

■8月度のメニュー

1)選ばれる工務店とは何か?~住宅10ニーズ×国産材~

2)産地共催交流セミナー振り返り

3)clubプレミアム国産材の「物流」と「工務店連携」

4)集客&営業トークのポイント

5)日本林業&製材のリアル!~地域性、時代性から、地域ブランドを分析~

 

この中から、今月のハイライトをご紹介いたします。

 

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【1】選ばれる工務店とは何か?~住宅10ニーズ×国産材~

家づくりにおいて、施主がもとめるポイント(ニーズ)とは何でしょうか?

「駅から徒歩10分が良い!」「あの学校に子供を通わせられる学区内に住みたい!」
「第一に安心安全!」「保障やアフターフォローも気になる!」「この営業マンのオススメなら、間違いない!」

などなど・・・

建物そのものデザインや間取り以外にも、住まい・暮らしに係る多様なニーズがあり、優先順位は人それぞれです。
そのなかでどの部分を自社の強みとするのか、
また顧客ニーズを満たす営業&展開とはいかに?

①住宅10「ニーズ」
②顧客の「ポテンシャル」
③家づくりの「タイミング」

この3要素を考慮することで、
「お施主様へのメリット」が伝わる提案が可能となります。

では、工務店施主ニーズを満たすための支援として、
国産材メーカー、産地ができることとはいかに?

メーカーと工務店が同じ席に集う、
川上~川下一気通貫マーケティング研究会の場をいかし、
今後の連携や展開について、ディスカッションしました。

 

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【2】 日本林業&製材のリアル!~地域性、時代性から、地域ブランドを分析~

 

 

世界と日本、天然林と人工林、時代や地域で異なる、森林の樹種構成や用途の割合、
産地の知名度、製材工場の数や分布など・・・

林業、木材業の地域ブランドを知る上で、いくつの切り口があるでしょうか。

今回の研究会では、統計グラフを元に、
日本国内の林業産地の特色を、クイズ形式でご紹介しました。

著名な老舗林業産地が、ブランド産地といわれる所以は何か、それは、

「天井板といえば、秋田杉」
「樽丸と言えば、吉野杉」
「床柱と言えば、北山杉」

 

というように、

「使い方」があってこそ、
はじめて素材価値としてのブランド産地へ発展してきたことが分かります。

川上からも「使い方」を提案し、「代表的使用事例」を確立させることで、
自らの産地をブランディング出来るということです。

今回は、定量化できる資源量や生産量、気象条件といった数字に加え
そこにしかない歴史、物語、人など・・・

比較の切り口を見つけることで、
それぞれの産地の特徴を見出すことができ、自社の差別化に繋がります。

ただの国産材では終わらない、国産材第二世代として、
あなたの産地ブランドは、次はどこへ展開しますか?

 

次回の大阪経営実践研究会では、
あらためて産地ブランドの表現方法についてレクチャーをいたします。

初めての方の無料体験も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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★告知★

9月度 ・・・ 9月26日(土)
10月度 ・・・ 10月23日(金)
11月度 ・・・ 11月23-24日(月-火)【現地研修】
12月度 ・・・ 12月18日(金)

■会場:大阪市内ほか

■講師:古川大輔 ほかゲスト講師

■料金:各回20,000円(税別)

 

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Posted by admin on 金曜日 8月 21, 2015 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)