報告書を書きあげている時、ふと“自分は単なる自己満足な評論家になっていないか”と振り返る瞬間がありました。そんな話で言えば、1年半ほど前に「病的に自分が好きな人(榎本博明:幻冬舎)」という書籍が注目を集めましたね。私は常々、「人生とは発言権獲得ゲームである」と言っています。いわゆる実力者とどうやったら話ができるのか、認めてもらえるか。有名なもので言えば、豊臣秀吉が主君の信長のわらじを温めていた逸話。また、今や世界的指揮者として活躍する小澤征爾でも、欧州で修業した頃は無名の下積み時代を経験したと言います。また、武道や職人の世界には「守破離」という言葉があり、まず守るべき型を学び、次に型を破ってみて、最後に離れてから我流を築く考え方もあります。本書で指摘されるのは、最近はSNS等により発言権(と言うより発言の場)がドンドンと増えていて、自分が大好き過ぎる若者が増えているという社会現象について、確かに頷ける内容でした。

 

~~~書籍より一部引用~~~

「かつてなら実績や能力から評価して“論じる資格がない”ということで相手にされなかったような素人でも、専門家気取りで上から目線の論評をすることができる。〈略〉このような発信権を手にしたことで、現代人の『自分大好き』度合いは、自己効力感という形でみるみる肥大化していく。この万能感の幻想が、傍若無人の態度を助長する。『自分大好き』の度合が肥大化しすぎて見失われがちなのが、相手の立場に立つという姿勢である」

作家や野球選手がどのような苦労を経て、いまその瞬間を迎えたのか、他人の事情や気持ちは関係ないのです。

~~~

 

と、このような書籍を読むことで、「人生は、単なる発言権獲得ゲーム」ではなく、もっともっと前提に大事なことが3つある」と気付きました。

 

発言権獲得ゲームの前に大事なこと

 

①本当の意味で、相手の気持ちを同等の視点で感じられること。
②本当の意味で、実力者と同等の努力を積み重ねること。
③本当の意味で、陳腐な発言権より、同等の行動を実際にすること。

痛い目に合わなければ気付かない。人の“振り見て我が振り直せ”とはこういうことかもしれません。どうも最近の若いモンは・・では片付けられない模様です。前職時代に、先輩から色々と教えていただいた、「素直」とは何か。「力相応一番主義」とは何か。まず、否定するのではなく「素直」にやってみること。自分の実力に合わせた一番を築くことです。
たとえば、

1)私の解釈が未熟かもしれませんが、教えていただけますか?
2)教えて頂ける範囲でよいのですが、教えていただけますか?

ただ質問をする時にも、「心の持ち方」と「伝え方」が試されるのです。そして、自分が意見を言う前の2つの心意気と伝え方。自分より目上の人や経験がある人には、一旦認め、自分を卑下し、相手を尊重し、

1)なるほど貴方の言うことは、●●の視点で理解できます
2)私の意見は偏見で特殊解かもしれません

と伝えられる場合もあります。古い事例ですが、日本代表サッカーにおいて、中田英寿選手とトルシエ監督との間を通訳したダバディ氏も、上記のような解決方法で通訳ならぬコーディネートをしたとご自身が話されています。いま、色々な人に対して意見が言いやすくなったからこそ、もう一度「じゃぁ自分は何をしてきたのか」。今一度、自分自身を引き締めて、多くのよき人に出会い、未来に繋がるアクションをしていきたいところです。

(地域再生・森林再生コンサルタント古川大輔日記 2016.03.28より編集)

 

 

 


 

代表取締役 | 代表コンサルタント 古川 大輔  Daisuke Furukawa

twitter: @daisukefurukawa

blog: 地域再生・森林再生コンサルタント日記

新潟県生れ、東京都町田市育ち。大学院時代、全国の農山村地域を巡り、研究の道を捨て博士課程中退。㈱船井総合研究所主任、㈱アミタ持続可能経済研究所客員主任研究員、㈱トビムシを経て独立し、㈱古川ちいきの総合研究所を設立。船井総研時代に「地域ブランド創造チーム」設立。以後、地域ブランド創造を切り口に、地域再生、森林再生に携わる。㈱トビムシでは、ニシアワー(森の学校)設立前支援、高野山・高野霊木プロデュース、経営実践研究会の実施等を行い、全国の林業木材業・地域づくりに関わる支援実績、講演多数。奈良県川上村観光PRかみせ大使、高野山金剛峯寺境内案内人。

 


 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 10月 11, 2017 Under ちいきのコラム, 未分類

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