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6年ぶり、13回目の現地視察会
9/19(土)・20(日)森林ビジネス研究会@紀伊田辺を開催しました。
コロナ禍を挟んで実に6年ぶり、第13回目の現地視察会。

これまで「経営」をテーマにしてきたところからさらに展開し、「山主」が森林をどう生かし、ビジネスに転化し、地域そして「イエ」との関係を再構築するか、そして人生をどう構築していくかを、実践の現場と当事者からの生の声から学ぶ機会となりました。
普段は都市で暮らし、働いているが、実は地方に相続した山林があり、何かしたいが何をすればいいかわからない。
そういう人は少なくありません。
人口減少や山林所有者の地域外居住が進むなか、「地域に住んでいないから山に関われない」ではなく、離れて暮らしているからこそできる森林との関わり方、地域との新しい関係性があるのではないか。
埼玉と和歌山の二拠点居住実践者であり、弊社研究会にも長くご参加くださっている千品喜嗣さんから、今回はそんな問いへのヒントを学ぶ現地視察会でした。
<千品さん活動の様子(SNS)>
<SNS>
Facebook https://www.facebook.com/yoshitsugu.chishina
Instagram https://www.instagram.com/chishina_sanrinsya/
千品山での現地体験
最初に向かったのは、田辺市中辺路にある千品さんのフィールド、通称「千品山」です。
千品さんは、関東の都市部で仕事をしながら、両親の故郷にある山林との関わりを長らく検討されてきました。
コロナ禍を機に、二拠点居住をスタート、クラウドファンディングで資金調達し、道づくりを手掛けるところから始まった、千品さんの取り組み。
あれから5年余りが経った現在、道や森林の整備も進み、理念共感した地域の仲間たちのチーム「YAMABEERING」のフィールドとして、多様な人が森に関わることができる場所になっています。
暮らしをゼロから創造していく体験の場。
YAMABEERINGでは、千品山を山主の意思によって開かれた「シェアフォレスト」と位置づけています。

クラウドファンディングをきっかけに今も延伸されている道を歩き、様々な取り組みのリアルを伺います。
森林浴、林業、スポーツ、ものづくり、教育、企業研修、アート…林道をかなり上がった先にある、お世辞にも行きやすいとは言い難い立地でありながら、実際にこのように拓いていくと、呼応するようにさまざまなニーズが掘り起こされていきました。



木材を生産することだけが森林の価値ではありません。
千品さんたちがしようとしていることは、人の、生命の根源にも関わることであり、だからこそ多くの人たちが呼応して活動がどんどん展開しているのでしょう。
これからの「森林ビジネス」に、いや「ビジネス」に必要なのは、この根源に立ち返ることなのかもしれません。
千品さんの取り組みは、SNSでの発信やご本人から色んな機会で発表もされてきましたが、やはり百聞は一見に如かず、実際に森を歩いてみると、画面越しでは見えてこない学びが多くあったようです。

都市の山主(管理者)が、山との関係性を再構築するビジネス方法
午後は田辺市の市街地に場所を移し、研究会本編へ。
千品さんと、二拠点居住実践中の当社高田より、各地域での取組報告。
古川からはレクチャーおよび全体まとめをさせていただきました。
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山との関係を再構築するWHY・WHAT・HOW(千品喜嗣氏)
千品さんからは、二地域居住と地域/山林での活動をするにあたっての経験談と気付きの共有。
なぜ、今こうして田辺の山林との関わりを再構築しようとしているのか。
どうやって、二拠点居住、山林に取り掛かり、何をしてきたのか。
自身が生まれてからこれまでの経歴から始まり、「千品家」の歴史まで遡りながら深掘りし、山での様々な取り組みの解説、そしてこの活動の根幹となる考え方などについてお話いただきました。

都市と地域(森林)を接続する「実装方法」(高田)
続いて、当社・高田からも二拠点居住について情報提供。
活用している総務省「地域活性化起業人」制度の解説から、深浦町の概要と特徴、深浦町林業振興ビジョンと実現支援に向けての取り組み、二拠点居住のリアルについてお話させていただきました。

青森でも空港から二時間半かかる地域と、大阪との二拠点居住。
地域の文化の興味深さを始め、二拠点居住の楽しさと大変さ、そして任期の間にやるべくことと、任期後も長く関わり続けるための展望。
故郷が隣町とはいえ、ルーツのない地域での暮らし、町役場との複業的な業務形態、制度活用の実際など、質問も多く飛び交いました。
「住民になる/ならない」だけでは捉えられない、地域との新しい関わり方。
森林政策と移住定住、関係人口を横断して考える必要性についても議論が広がりました。
古川レクチャー/まとめ講座
二人の報告を踏まえ、古川よりレクチャーおよびまとめ講座をお話させていただきました。

森林ビジョンといえど、それは地域づくり、人づくり、暮らしづくりと関わるべきもの。
「20年×3サイクルで人生を考える」
そして人の一生と関わるものであり、地域と関わる人生フェーズについてのヒントとしても提示させていただきました。
今回も盛り盛りな古川講座でしたが、皆さんそれぞれの立ち位置から刺さるものがあったようです。
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高野山寺領森林組合 西田安則様から聞く、森づくりの精神

古川からの森林ビジョンとゾーニングの重要性の話の中では、高野山寺領森林組合の西田安則さんにもお話をいただきました。
西田さんと古川は、20年のお付き合いになります。出会った当時、高野山真言宗総本山金剛峯寺(山林部)の所有する森林ゾーニングとその管理方針、木材の販路開拓等についてご支援させていただいていました(むしろ学ばせて頂いた)。古川は、山林部の森づくりに関する考え(ビジョンとその哲学)が頭ではわかっていたものの、20年を経た今、育林・施業・管理されて変化した高野山の「森」を目の当たりにして、その意味を心から理解し、体得したと感じています。
年月を重ねれば重ねるほど、森林・林業の世界におけるビジョンとゾーニングの必要性を理解でき、その長い時間軸での展開にはロマンがある。それを多くの仲間と分かち合いたいと思い、今回ご参加くださっていた西田さんから補足をいただく時間を設けました。
<西田さんガイドの高野山森林セラピーツアーの様子>

<今はセラピーロードになっている、18年前の間伐地>

西田さんはご自身の仕事について伝えるとき、「今風に言えば『森林デザイナー』かな」とおっしゃることがあります。しかし森のデザインに対する実践を繰り返してこられた西田さんは、「デザイナー」という単語の意味するところだけでなく、森林の知の蔵といえる人であり、山に向き合ってきた当事者でもあり、その背中はひとことでは表せません。
そんな西田さんより、高野山の5つのゾーニングの意味、その実態、高野山の森林で取り組んできたことと、これからの森づくりのチャレンジについて、丁寧に補足解説をいただきました。短い時間でしたが、皆さん興味津々。西田さんのお話には、森林への愛、生き物への愛、いのちへの愛が溢れていました。
また、高野山寺領森林組合が開催している森林セラピーツアーは非常に人気を博しています。古川も高野山アテンドの一環で西田さんに森林ガイドを依頼することがあり、先日もご案内いただいたのですが、森林の過去と未来の話、巨木の存在からコケや昆虫、菌類などの分解者についてまでと、広く幅広いお話は、参加者から大好評でした。
また、「高野六木(こうやりくぼく)」の森づくりに対する研究心、また「高野六木」を愉しむ「高野六木缶」の商品化、その根底に弘法大師の言葉「共利群生(きょうりぐんじょう)」という、生きとしし生けるものがみな一緒にいきていくという精神があるということについてもお話いただき、まさに滋味の詰まったひとときとなりました。
【注:古川著書「森林ビジネス」p277~『高野山の森の保護と活用』もご参照ください】

懇親会も紀伊田辺らしく!
研究会終了後は、紀伊田辺駅前の昭和の味わい残る「味光路」へ。
本編で話しきれなかったことや、それぞれの取り組み、これからやってみたいことなど、話題は尽きません。
研究会での学びをきっかけに参加者同士がつながり、新しい仕事やプロジェクトが生まれていくことも、森林ビジネス研究会の大切な目的の一つです。
現地を一緒に歩き、同じ景色を見たあとの懇親会だからこそ、いつもの研究会とはまた違った交流の時間となりました。

(田辺の海の幸も絶品でした!)
「知の巨人」南方熊楠から、「ネイチャーポジティブ」など学ぶ
2日目は田辺市から白浜町の南方熊楠記念館へ。

南方熊楠は、粘菌をはじめとする生物研究、民俗学、宗教、歴史など、さまざまな領域を横断した博物学者。
「知の巨人」と言われるだけの好奇心と探求心、そして捉われない発想と行動、破天荒っぷりに、縛られず自らの根源に沿って生きるパワーまでもらった気がします。
粘菌も面白い…!
今回は館長様に解説いただきながら館内を見学しましたが、淡々とシンプルな説明ながらも滲み出る熊楠への愛と好奇心をくすぐる語り口からも、多くを学ばせていただきました。

記念館をひととおり巡ったら、最後は周辺のフィールドワークへ。
専門ガイドの方から、周辺の自然についてジオパーク視点メインでの解説をしていただき、記念館での学びの裾野が広がりました。
時間が限られた中で(1時間半)駆け足の案内だったとのことなので、まだまだ学べることがたくさんありそうです。
記念館もフィールドワークも、何度も訪れたいという声が多数でした。


計画的偶発性、井の頭理論。行動しよう!
盛りだくさん、密度の高い2日間でした。
最後に、古川より以下の言葉をお送りしたいと思います。
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改めて、
森林・林業にはロマンがあると言える。
山三分と毎年3%の利益を生み出す投資活動と意識はしつつも、
20年後、30年後に、おおいなる変化が楽しめる、醍醐味がある。
ただ、おおよその作業仮説をもって、動かないと何も起こりえない。
井の頭線理論でも、ただただ無断な出会いを繰り返してしまう。
ぜひ、ビジョンをもってして、作業仮説を基に、たくさん動いて、
関わりを増やし、人脈の掛け算をしていきましょう。
みな一緒に自分の地で、実践していきましょう!
よろしくお願いします!
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千品喜嗣様、YAMABEERING(NPO法人つれもてねっと南紀熊野)に関わる皆様、地元の皆様、南方熊楠記念館の皆様、そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
今後も森林ビジネス研究会では、森林・林業という枠を越えながら、地域で実際に起きている現場へ足を運び、見て、聞いて、考える機会をつくってまいります。
参加者の声(一部抜粋)
- とても有意義なものだった。まず熱心な山主に出会うことがあまりなく、自らに拠点居住で森林にアプローチする方と直接お話しできる機会があったこと、その現地視察、古川さんの貴重なお話どれも今の自分に必要な情報であった。また、一緒に参加した方々との交流も興味深く、異業種を知るべきだと感じた。ヒーローズジャーニーでいう、個の熟成に特化している生活だが、面に移行することを考慮できるいい機会であり、面への移行の仕方のヒントにもなった。あとは、トータル林業及びヒーローズジャーニー、移住定住ニーズなどフレームを取得でき、非常にいい情報を得ることができた。
- トータルまちづくり構想を語るうえで、林業と○○が重要だと感じた。この○○について掘り下げる勉強会もありかと思った。実際、南紀ウェルネスツーリズムさんの話は興味深く、例として観光サイドの話を聞くことも面白いと思う。また、トータルまちづくり構想を深堀りする中で、地域総体として最も進んでいる地域(評価の仕方は難しいが)の視察をしたいと思った。この評価の仕方も賛否あると思うが、評価軸を設定して取り組めば、地域総体のPDCAが回せるのではないか(これが総合計画の本来の役割だが、できていない市町村多いと考える)と感じた。
(行政職員/国・市町村)
- フィールドワーク・座学ともに非常に充実した内容で、多くの気付きと学びに満ちた時間となりました。座学にとどまらず、参加者の方々と共に、ヤマビリングの拠点である千品山や番所山に入り、現地の様子に直接触れていただけたことは大変有意義でした。特に印象深かったのは、古川さんと千品さんの出会いから現在に至る実践の歴史と文脈を深掘りできた点です。描かれたロードマップにおける「現在のリアルな立ち位置」のお話や、古川さん独自のフレームワークを通した視点は非常に解像度が高く、思考が大きく深まりました。また、行政職員や森林組合、企業など多様な立場の参加者同士による質疑応答や議論によって、テーマが多角的に深まっていくプロセス自体にも大きな学びがありました。
- 林業とまちづくりを「ワンチーム」として統合的に捉える視点は、私にとって非常に新鮮な気づきとなりました。これまで「林業」「木材利用」「行政のまちづくり」と分断されて取り組まれがちだった領域を、一つのチームとして捉え直す視点を今後の活動でも強く意識したいと感じています。そして、それらの領域を領域横断的に繋ぎ合わせていくことこそ、私のようなデザイナーの担うべき重要な役割(使命)であると再認識いたしました。デザインに「広義のデザイン」と「狭義のデザイン」が存在するように、林業や地域課題においても同様の視点が必要なのだと納得しました。
- また、「移住定住10ニーズ」のフレームワークも大変示唆に富むものでした。行政の施策は情報発信やPR合戦に偏りがちですが、住まう人の真のニーズを汲み取ることや、自分ごとの目線に立った設計が不足している場面も少なくないと日々感じます。今後はこのフレームを活用し、紀州材を生かした家づくりや空き家活用といったテーマについて、自分なりの視点でさらに思考を深めていきたいと考えています。
(グラフィックデザイナー)
- 森林ビジョンの存在について、担当者も教科書があることで引継ぎした後もそのまま使えるし、将来像が定まっているため、住民への説明も難しくない。そしてビジョンに必要な要素として将来性(補助金がもらえるからではなくこういった森にしていきたいという方向性)、そしてぶれない軸に再現性。それに加えて各ビジョンや状況に応じた修正性も必要。ビジョンを作るうえで必要なことは林業の専門家ではなく、動き回ることのできる行動力のある人。こういったことは初めて知ったので内容に引き込まれました。
- とても勉強になる一日でした。特に講義の時間は参加者それぞれの立場から見る森林がよくわかる話し方や内容だったと感じ、どの内容も聞いていて面白かったです。私も普段大学で林学および林産学について学んでいますが、大学では学べないような実学を知ることができました。特に将来的に森林経営をしたいと考えているため、トータル林業の考え方や千品さんがこれまで取り組まれてきた活動の紹介などは自分事として話をとらえようとしました。また、講演後の懇親会では自身の今後について改めて考え直す良い経験になりました。参加させていただきありがとうございました。満足度:満点
(大学院生)
- 「森林サービス産業」や「森業」として森林の空間利用への何度目かの関心が高まっている中で、イノベーションの現実を実地と座学で学べて大変有益でした。
- 「移住者が自然資本を使いたくても使えない現実に思うところがあった」 自然資源へのアクセス(権利、物理的)は今後の課題だと改めて思いました。
(研究者)
- 所有者の立場から見て、森林の活用方法として理想的だと思った。自伐したいという小規模所有者が多いが、森林整備、素材生産だけだと経済規模も小さい。千品氏のように、地元の人達に色々活用してもらう、外から地元に来てもらうきっかけにする、という活用ができれば、経済面、地域振興面でも効果が大きく、なにより自身も楽しいと思う。非常に参考になる事例でした。
- 研修内容だけでなく、「森林林業に想いを持っている人に会える」のも、この研究会のいいところだと思います。
(行政職員/都道府県)
- 計画的偶発性のフレーズがとてつもなく分かりやすくて面白く、早速手帳にメモしました。古川さんの熱い気持ちが伝わってきて、改めて林業の仕事を考えるきっかけになりましたし、さらに林業だけでなく繋がりを増やしていくこと、もっと広義での森林や林業への視点を持っていきたいと思いました。目から鱗の話が多かったです。そして大阪の峠も行って見たいと思いました。ありがとうございます。
(森林組合職員)
12/26(土)望年会&研究会 ぜひご参加ください!
【年末回】
12/26(土)13:00~18:00@新大阪(予定)
毎年恒例の森林ビジネス研究会&望年会!!
ご新規様参加も毎年何名もいらっしゃいますので、お気軽にご参加ください。
開催詳細が決まりましたら、改めてこちらのブログでお知らせいたします。
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昨年開催の様子
https://chiikino.jp/chiikino-blog/20251220/
※今年は午前中の部(出版記念セミナー)について現在予定しておりません。
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森林ビジネス研究会は、森林・林業・木材業界の方はもちろん、地域ビジネス、地域づくり、異業種の方にもご参加いただいています。
今後も、森林・地域・経営を行き来しながら、新しいビジネスの可能性を皆さまと一緒に探ってまいります。









