能登の大地震、航空機事故と波乱の正月でスタートを迎えた2024年。他にも豪雨や南海トラフ地震臨時情報の初発表といった出来事から、改めて自然災害の怖さと備えの重要さを感じられた方も多い1年だったかもしれません。とはいえ、暗い話題だけではなく、ロンドン五輪では、海外開催の夏季五輪における最多メダル獲得、メジャーリーグでの大谷翔平選手の活躍など、明るい出来事も印象に残る1年でしたね。
そして、この記事をご覧の皆さんは来たる2025年も駆け抜けるべく、
1年の振り返りと新年の目標設定はされる頃ではないでしょうか。
そんな時期にぴったりの話題として、
「2024年林業・木材業界ヒット商品ランキング」を発表します!
弊社では、2016年から、毎年「日経トレンディ」が発表している、ヒット商品ランキングに照らし合わせて林業・木材業のヒット商品ランキングを独断と偏見でまとめ発表しており、毎年恒例となりつつあります。
2024年のランキング紹介をご覧いただく前に、昨年のランキングをみたいという方は
→こちら←からどうぞ!
さて、お待たせしました。今年も日経トレンディヒット商品ランキングと併せて、「勝手に森林・林業界ヒット商品ランキング」も公開です!
まずは、日経トレンディ発表の2024年ヒット商品ランキングは、こちら!
1位 新NISA&「オルカン」投資
2位 大谷翔平売れ
3位 Vポイント
4位 「リードルショット」シリーズ
5位 名探偵コナン 100万ドルの五稜星
6位 キリンビール晴れ風
7位 スイカビール
8位 シンカトリ
9位 TEMU
10位 メルカリ ハロ
詳細は以下リンク(日経XTRENDのWEB)よりご覧いただけます。
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00918/00001/
さて、お待たせしました!
林業・木材業界のヒット商品2024トップ10はこちら!
第10位 RINDO
(写真:RINDO WEBページより※一部表記加工)
まず、第10位の「メルカリハロ」に対して、人材マッチングのサービス繋がりで林業・木材業界からは、「RINDO」。
林業特化型の求人サービスが2024年1月に開始。「インターネット上に人と森を繋ぐ道“林道(りんどう)”を整備したい」という創業者の想いと共に、未経験者・女性でも挑戦可能な仕事、自分に合わせた働き方が見つかるということで、注目を集めています。
参考:日経ヒット商品ランキング10位 メルカリハロ
(引用:日経XTRENDホームページより)
第9位 eTREE
(写真:eTREE WEBページより※一部表記加工)
第9位 「TEMU」に対して、林業・木材業界からは「eTREE」。
2018年のリリースから6年。今では、単に製材品(木製品)を検索できるだけにあらず。「木材補助金ポータル」「地域材ポータル」ページ等の内容が充実し、検索性も上がったことで手軽に木製品に関わる情報を探す時にまず見るサイトとしても定着しつつあります。
参考:日経ヒット商品ランキング9位 TEMU
(引用:日経XTRENDホームページより)
第8位 樵木林業
(写真:㈱四国の右下木の会社 WEBより)
第8位 「シンカトリ」に対して、火も電気も使わない単純明快さに古さと新しさを感じられるということで、林業・木材業界からも、古くて新しい林業のカタチを感じさせられた「樵木林業」がランクイン!
徳島県美波町で実践され、江戸時代から伝わる循環型林業で山を管理しながら生産される木材から備長炭を生産。他にも体験プログラムなどを通して森林関係人口の創出を目指しています。環境省が主催する「グッドライフアワード」では環境大臣賞を受賞しました。
参考:日経ヒット商品ランキング8位 シンカトリ
(引用:日経XTRENDホームページより)
第7位 トリュフ栽培
(引用:Science Portal WEB記事より)
第7位「スイカゲーム」が見た目のゆるさの割に戦略性が高い果物(植物)を育てる落ちゲーであるのに対し、林業界からは、栽培の難易度が高い採取ゲー!?である「トリュフ栽培」がランクイン。
国内初の人工栽培を成功させた岐阜県(森林総合研究所との共同研究)に続き、山梨県でも成功事例が報告され、一気に業界の注目を集めました。これまでも自然発生した国産トリュフは流通していましたが、少量不安定な供給であったため、数年後には安定供給&新たな収益事業としても期待されています。
また、本ランキングの発表の直前には、弊社ともお繋がりのあるシシガミカンパニー(岐阜県東白川村、代表:田口房国 氏)が新規事業として国産トリュフの人工栽培に挑戦するというプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000140863.html)も発表されています。今後の展開が楽しみですね!
参考:日経ヒット商品ランキング7位 スイカゲーム
(引用:日経XTRENDホームページより)
第6位 QINO SODA
(写真:QINO SODAオンラインショップより)
第6位 「キリンビール晴れ風」に対して、林業界からも新しい飲料として「QINO SODA」。
業界としてはここ数年、クラフトジンや醸造酒で自然原料として山の素材が注目されていますが、ノンアルコールドリンクでも登場しました。クロモジの蒸留水を使ったさわやかなソーダで、くつろぎと気分転換。ふるさと納税や能登復興支援(寄付)にも積極的に参加しており、ランクイン。
参考:日経ヒット商品ランキング6位 キリンビール 晴れ風
(引用:日経XTRENDホームページより)
第5位 森林管理デジタル 造林の効率化
(引用:ソフトバンクニュース記事より)
第5位 「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」に対して、北海道が舞台である繋がりから、「森林管理デジタル 造林の効率化(オプトマイゼーション)」と題して下川町×ソフトバンクの取組がランクイン。
造林効率化の共同研究協定を締結されました。他地域×他企業の事例ではありますが、脱炭素の動きとしてカーボンオフセットの取引・協定も増えており、これまでの企業の森とは別のカタチでの、異業種とのチームプレイが各地で増加傾向にあります。
参考:日経ヒット商品ランキング5位 名探偵コナン 100万ドルの五稜星
(引用:日経XTRENDホームページより)
第4位 「バンブーシュート」シリーズ
(写真:延岡メンマWEBサイトより)
第4位 「リードルショット」シリーズに対しては、「バンブーシュート」(森をそだてる メンマ)シリーズ。
バンブーシュート(たけのこ)の活用で山肌をタンオーバー!?ということで、森の厄介者とされている竹林整備を収益化につなげる発想で「延岡メンマ」が規模拡大。全国で協定を結び、町田市など各地でシリーズ化が進んでいます。これから、国産メンマブームが発生の予感。
参考:日経ヒット商品ランキング4位 「リードルショット」シリーズ
(引用:日経XTRENDホームページより)
さて、ここからはいよいよ上位3位の発表です!!!
第3位 YAMAP流域地図/YAMAPエポスカード
(写真:YAMAP WEBサイトより)
第3位 「Vポイント」に対しては、「YAMAP流域地図/YAMAPエポスカード」がランクイン!
Vポイントは、Tポイントとの「統合」で新たなポイント経済圏が誕生したことに対して、登山情報プラットフォームYAMAPは流域地図・ハザードマップが「統合」し規模拡大、単なる山登りアプリからの進化を遂げました。データがビジュアル化されていない水域の情報がわかりやすく閲覧しやすい点が評価され、グッドデザイン賞2024の金賞も受賞しました。最近ではYAMAPエポスカードも登場し、利用額の0.1%分が「日本山岳歩道協会」に寄付され、山岳保全活動に活用される仕組み化もされています。
参考:日経ヒット商品ランキング3位 Vポイント
(引用:日経XTRENDホームページより)
第2位 30by30
(引用:環境省WEBサイト[左]、亀山市WEBサイト[右]より)
第2位 大谷翔平売れに対して、林業・木材業界からは50-50ならぬ、「30by30」。
「生物多様性」、「脱炭素」が全産業で注目されている中、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)ゴールに向けた動きが強まっています。環境省は、民間の取組によって生物多様性の保存が図られている区域を「自然共生サイト」として認定し、達成を目指しており、弊社の関わりのある地域でも続々と認定サイトが増えています。その中の1つである三重県亀山市でも「亀山里山公園」が自然共生サイトに認定されている他、同市では「かめやま生物多様性共生区域」を独自に設定し、市民や市民団体、農林業者や地元企業などが自発的に生物多様性保全に取り組む活動を評価し、認定することで、社会貢献活動を行っていることを対外的に示す取り組みも進められています。
参考:日経ヒット商品ランキング2位 大谷翔平売れ
(引用:日経XTRENDホームページより)
第1位 新施策・「森林環境税」投資
さて、新NISA&「オルカン」投資に対して、
林業・木材業界の栄えある第1位は、新施策・「森林環境税」投資です。
今年度から森林環境税の徴収が開始され、さらに国民から活用方法について注視されている森林環境譲与税。各自治体が未来に向けた投資ともいえる森林整備を進める中、兵庫県佐用町では住民の「福祉」の向上のための未来への投資として、環境譲与税と町単の予算を組み、積極的に私有林の買取・寄付受付を行い町有林を増やしています。令和4年に買取を開始した当時には73haのみだった町有林が、令和6年12月現在では1,653haにまで拡大しており、着実に施策が進んでいます。また、町有林の活用の一部として早生樹(ユーカリ)育成とも併せて各種メディアに取り上げられたことで注目が集まり、ロールモデルの1つとして全国からの視察も増えている状況です。
参考:日経ヒット商品ランキング1位 新NISA&「オルカン」投資
(引用:日経XTRENDホームページより)
さて、全てのランキングをまとめたのがこちら。
以上、2024年の林業・木材業ヒット商品ランキングトップ10でした。
業界の皆さん、いかがでしたしょうか?
知っているものばかりでしたか?
残念ながらトップ10には入らなかったものの、他にも沢山のヒット商品があり、番外編も多かったのですが、今回はここまで。
業界としては、例年より大きな動きは少なかったように思える1年ではありましたが、各地域の特色を活かした施策や取り組みがされているところとされていないところが明確に分かれ始めた年ともいえるのではないかと思います。2025年はデジタル、カーボンクレジット、生物多様性、森林所有、担い手育成・確保という大きな時流となるキーワードの中で、各地で尖った取り組みが突出して見えてくるような予感がします。
さて、来年は何がヒットするのでしょうか。
今回のランキングを肴に、是非皆さんもそれぞれ1年間何があったか振り返りながら、これからの未来を見据えた時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
それでは、2025年の発表もお楽しみにお待ちください!!!