令和7年7月31日、みえ森林・林業アカデミーにて「林業マーケティング 概論と実践」講座を実施しました

みえ林大の講座の様子

三重県の林業人材育成拠点「みえ森林・林業アカデミー」にて、弊社代表・古川大輔が「林業マーケティング 概論と実践」に関するテーマで講座を行いました。本講座は、林業や木材流通、製材、建築など多様な分野から集まった受講生が、自社や自身の強みを見直し、将来の顧客づくり・売上向上・人材定着につなげるための“実践型マーケティング”を学ぶ場です。なお2020年から毎年お呼びいただいており、今年で6回目の講座となります。それでは、当日の様子を一部ご紹介します。


■まずは、林業マーケティングの前に ― 「自分を売る」・「価値観」の再確認

冒頭ではマーケティングの前に、まずは「自分を売る」ということで、受講生それぞれが1分間自己紹介に挑戦していただきました。古川からは、1分間スピーチを効果的に行う4つの構成(注意喚起/事業概要/選ばれる理由/行動喚起)を提示。
これにより受講生同士が、「誰に向けて何をしているのか」「なぜこの仕事をしているのか」を言語化していただきました。参加者の皆さん同士で、意外な一面や情熱に触れられる時間にもなったのではないでしょうか。

また、価値観の整理では「情熱方程式(好き×憤り)」や「理念と利益のバランス」を紹介。自分の原体験や偏りを認識し、長期的な動機づけにつなげることの重要性をお伝えしました。


■ 具体事例とフレームワークで学ぶ“売れる仕組み”

みえ林大での、ワークの様子

講義の中心では、全国の事例やワークを交えながら、主に5つのフレームをお伝えしました。

  • 5フォース分析:自社を取り巻く脅威を「競合」「買い手」「売り手」「代替品」「新規参入」の視点から整理

  • 3C分析(Company/Customer/Competitor):売り物と売り方、どちらが自社の強みかを見極める

  • 消費の3要素(必要性・欲求性・物語性)と補完材・代替材

  • ライフサイクルと“地と図”の関係:主役と背景の転換を意識した商品・サービスの位置づけ

  • B2B法人営業方程式:品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)に加え、物語性や約束を守る信頼性をどう組み込むか

などを体系的に解説しました。ホットドッククイズや巨大シイタケ販売のワークでは、参加者が「自分は売り物重視型か売り方重視型か」を実感し、マーケティング戦略の立て方に活かせるヒントを得ていただきました。


■ 理念と利益の両立

林業は「育てる時代」と言われつつも、同時に「使ってもらうための時代」でもあります。古川は「理念発信が顧客形成や人材定着につながり、正しいマーケティングがよき利益を生む」と強調。売上やシェアを作るためには、理念型・利益型の両輪が必要であることを、実際のクライアント事例(営業支援で売上1億円増/社員数3倍など)を交えて紹介しました。


■ 同日、古川の講座の後には赤堀楠雄氏の講座も実施

午後には、赤堀楠雄氏による「森林技術者に求められる姿勢と視点」の講座が行われました。
赤堀氏は、自らの林業現場での経験と全国の自伐林家の事例を交えながら、
「植えて育てた世代への感謝なくして林業は成り立たない」こと、
「答えは山にある」という現場観察の重要性を力強く語りました。

  • 愛媛・天竜・伊那など各地の林家の言葉から学ぶ、山と向き合う覚悟

  • 松茸山づくりに挑む人々の地道な作業と長期的視野

  • 制度や規格に縛られず、現場に最適な“性能規定”で山をつくる技術者像

受講者からは「林業が持つ文化的・社会的価値を再認識できた」「現場での判断力を磨くヒントを得た」といった感想が多く寄せられ、午前のマーケティング講座とあわせて、理念・利益・技術をつなぐ充実した一日となりました。


■ 受講者の声(アンケートより抜粋)

みえ林大のエントランス

講座後のアンケートでは、多くの前向きな感想をいただきました。

  • 「マーケティングを“顧客製造部門”と捉える視点が新鮮だった。理念と利益のつながりがよく理解できた」

  • 「事例が豊富で、自分の会社の強みを考えるヒントになった」

  • 「売り方と売り物のどちらに注力すべきか、自社を客観的に見られるようになった」

  • 「林業に限らず、あらゆる業種で通用するマーケティングの基本を学べた」

  • 「すぐに現場で実践したい内容ばかりだった。特に消費の三要素は社内共有したい」


■ 講座を終えて

みえ林大の外観今回の講座を通じて、受講生の皆さんはマーケティングを単なる販促技術ではなく、「理念と利益を循環させる仕組み」として捉え直しながら、自社・自身の事業でも使えるフレームワークも学んでいただけたことと思います。さらに赤堀氏の講義を通じ、技術者としての姿勢と森との向き合い方も学び、現場と市場の両輪で林業を発展させる視点を持ち帰ることができたのではないでしょうか。

本講座で得た知識と気づきが、各現場や地域での新たな挑戦に結びつき、持続可能な森林・林業の未来を切り開く力になることを願っています。

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