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【開催報告】鳥取県「都市山村連携による地方創生 ~全国の事例と市町村の自治体マーケティング~」

令和8年3月10日(火)、鳥取県内市町村の林務担当者様向けに開催された「森林環境譲与税を活用した都市山村連携の取組に係る研修会」の中で、「都市山村連携による地方創生 ~全国の事例と市町村の自治体マーケティング~」をテーマに古川が講演をさせていただきました。

事業の目的

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(鳥取県様の事業趣旨より)
限られた財源で森林整備を進めるために、都市部に譲与された森林環境譲与税を山村部へ誘導することが必要である。
先行事例では、すでに連携関係にある(姉妹都市や隣接自治体等)都市部からの誘導が多くを占めており、都市部との交流が無い市町村は関係の構築が課題となる。
本研修では、都市山村連携の先行事例を紹介するとともに、自治体間の連携を生み出すためのノウハウや魅力発信の方法について学ぶことで、県内市町村と都市部自治体との交流・連携を通じた地域の活性化及び森林整備の促進を図る。
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当日は県内市町村はじめとした計15名の皆様にご参加いただきました。


都市山村連携の事例報告

まずは、鳥取県内で先行して都市と連携している2市町から事例の報告が行われました。

鳥取県倉吉市×千葉県松戸市

倉吉市の担当者様からは、千葉県松戸市との連携事例が紹介されました。

両市の関係は、二十世紀梨の苗木が松戸市から倉吉市へ持ち込まれた歴史に遡り、もともと交流の土壌があったことが、今回の連携の起点となっています。

松戸市は人口50万人を超える都市であり、森林面積は限られる一方で、森林環境譲与税の配分は比較的大きい。しかし、その使途については模索している状況でした。また、ゼロカーボンへの取り組みを進めたいという意向もありました。

こうした背景のもと、「森林整備の実施に係る協定」を締結。具体的には、倉吉市内の市行造林における間伐(約270万円)や交流事業(約30万円)を実施し、間伐によるカーボンクレジットの創出にもつなげています。

特徴的なのは、この取り組みが単なる財源移転にとどまらず、交流の再活性化や都市部でのプロモーションにも波及している点です。松戸市内では倉吉市のPRが行われ、イベントで両地域が連携してブース出展するなど、新たな関係性が生まれています。

鳥取県智頭町×東京都千代田区

鳥取県智頭町の担当者様からは、東京都千代田区との連携事例が紹介されました。

森林面積が93%を占める智頭町は、長伐期施業による「慶長杉」に代表される良質材の産地であり、その林業景観は国の重要文化的景観にも選定されています。

一方、千代田区は森林を持たず、CO₂排出への対応や森林環境譲与税の活用に課題を抱えていました。

両者は以前から、町産材の提供(神田駅周辺や東京ビエンナーレ等)を通じた関係性があり、さらに職員同士のつながりもあったことから、連携協定の締結に至りました。

特徴的なのは、CO₂吸収量の扱いです。Jクレジットではなく、町独自の認証制度を用い、広報的な価値も含めて活用しています(令和6年度実績:約50トン認証)。

ここからさらに様々な展開をされていくそうです。

また、智頭町様は東京都港区とも連携をされており、積極的な姿勢が印象的でした。

実際に都市連携を実現している近くの自治体の事例に皆様興味津々、具体的ないきさつやノウハウなど、質疑応答が多く交わされました。

 


古川講演「都市山村連携による地方創生 ~全国の事例と市町村の自治体マーケティング~」

第一部 市町村の林務行政の理想と現実

2市町からの事例を踏まえた上で、講演ではまず、市町村の林務行政の現状を「理想」と「現実」という視点から整理しました。

市町村の林務業務は、森林整備にとどまらず、資源管理、産業振興、地域づくりといった複数の役割を担っています。本来は高い専門性が求められる分野であり、その位置づけは林野庁設置法などからも読み取ることができます。

しかし現実には、限られた人員・予算の中で多様な業務を担っており、「専門性を活かす」以前に業務を回すことで精一杯という状況も少なくありません。

そんな中で、「正解」を探してしまいがちなのですが、実は足りないのは「ビジョン」と「マーケット」です。

創造していくための視点や考え方を、最新データや分析フレーム、弊社事例を交えながら解説しました。

・森林・林業の「理念」とは?

・林業の市場規模

・イノベーター理論

・ダイナマイトクイズ

・情熱方程式

・森林計画と森林ビジョン

・森林ビジョンと実装事例

・地域の事例

結局は「どういう顧客に出会いたいのか」「自分たちの森(地域)の未来をどう描きたいのか」

それぞれが自分たちオリジナルの「こたえ」を設計し、実行していきましょう、というお話をさせていただきました。


第二部 自治体マーケティング

後半は、「自治体マーケティング」をテーマにお話ししました。

なぜマーケティングなのか?

先行事例は「すでに繋がりがあった自治体」「地域内、流域」の連携がほとんどの中、新たな連携を創造するには「この地域と繋がりたい!」を設計する必要があり、それにはマーケティングの視点が大事だからです。

「この地域と繋がりたい!」というのは、つまり「自分(地域)がどんなオリジナリティを持ち、どのような強みがあるのか」を明確にすること。それは、「どうなりたいか」「どういう将来像を描いているか」ということにも通じます。

つまり「ビジョン」です。

また、「この地域と繋がりたい!」という「都市部自治体」と出会うにはどうすればいいか?ということも大事になってきます。

こちらは「マーケット」ですね。

結局は、「ビジョン」と「マーケット」が大事なのです。

・ホットドッグクイズ

・3C

・消費の3要素

・地と図の関係

・トータル林業まちづくり構想

たとえば3C(Customer・Company・Competitor)の視点で言えば、「都市は何を求めているのか」「自地域の強みは何か」「他地域との違いは何か」を整理することが不可欠です。

また、自分たちの取り組みは、時流の中で初期なのか、終盤なのかで、戦略も大きく変わってきます。

しかし結局は、「自分たちの森林とは?」「自分たちは何なのか?」ということに帰結します。

それは「ノウハウ」ではなく「自分(地域)がどう在るか」ということでもあります。

「やり方」より、まず「在り方」というのは、当社が大事にしている考え方の1つです。

「こういうお客様(自治体)と出会いたい」というターゲットを設定し、「自地域(森林)の独自性、強み等を言語化し整理する」ために、マーケティングが必要という話を、先行事例から見出したルール化とともに解説させていただきました。


さいごに

都市山村連携の事例は、「もともとの関係性」や「地域・流域」を起点にしながらも、それを意図的に組み立て、発展させていることがほとんどです。

では、関係性がない地域はどうするのか。

その問いに対する一つの答えが、マーケティングという視点であり、「ビジョン」と「マーケット」です。

しかし、ビジョンを設計したあとに「アクション」していくことが何よりも大事です。

古川からは最後に以下のメッセージをお伝えしました。

ビジョンを見せる、発信する。
見込み顧客自治体を設定し、マーケットシェア、反響率を考え、仕掛けていく。

待っていても何もやって来ない!
見込み顧客になにをどうやって発信していくか。

自分でこたえを決める。
自分で期限を決める。

今自分ができることが何かを考えて、どんなアクションを起こしていくかが大事です。

皆さん、動いていきましょう!

「明日からできる4つのアクション」を提示し、「このうち1個はしましょう!」と、締めくくらせていただきました。

地域(材)ブランディングなどもそうですが、ノウハウは参考にしつつも、やはり大事なのは「自分たちが何者なのか」を繋がりたい相手に伝わるようにすること。

それには、結局「自分(地域)に向き合う」しかありません。

今回の講演が、皆様が地域に改めて向き合う1つの視点となりましたら幸いです。


参加者の声

  • 田舎にとって、都市部連携、クレジット系(生物多様性、Jクレジット)の急務であるためその考え方の再確認ができ、とても参考になりました。
  • ある自治体が普通だと思っていることでも、他の地域絡から見たら魅力になりうる可能性を秘めているという視点をいただきました。
  • 他の自治体と差別化を図るためには、強みを見つけて、ストーリー性を持たせて、とにかく発信することが大切ということ、森林、林業の枠組みに囚われないことを学びました。
  • とても濃密な3時間でした!今後の町づくりの参考にします!
  • 行動あるのみ、と思うのですが二の足を踏み時間ばかりが過ぎていっています。ですので、定期的に行動しなさいと聞くと大変ありがたく感じています。

このような自治体様向けの講座をはじめ、森林ビジネス講座、起業セミナー、ビジネスパーソン向けの勉強会、ビジネス初心者から経営者向けの研修など、教育機関様や企業様、自治体様で数多く実施し、ご好評いただいております。

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