あるIターン起業経営者の言葉
それは、ある地域で人材育成についてディスカッションした際の出来事でした。「“これをやりたい!!”と、強く志望動機をアピールして入社してきた子が意外と残らなくて、入社(移住)当初は強い意志表示をしなかった子の方が、意外と長く残ったりしていますからね。それは仕事を続けている間に“何でも良いから、ここでの暮らしと縁を大事にしてこれからも働いていたい”というタイプの社員たちだったりするんです。」と、この地域へIターン起業したAさんが話す言葉が、その場にいた参加者の心を掴んで、私の記憶にも焼き付いていました。
季節が移って、この日は別の地域でのIターン者に向けた、起業支援アドバイス訪問。弊社代表の古川がアドバイザリー面談を行う時、私はアシスタントとして同席しています。面談を行う方の大半は、各々に「この事業をやりたい!」と意思を持って移住している方々です。一方で、意思表示の強さにはもちろん個人差があります。夢を描きながらも、実際に移住し活動してみると、やはり「思っていた環境と違う!」という理想と現実の差異が徐々に明らかになってきますが、そんなお悩み相談に応じていた時、ふと、先のAさんに教えて下さった言葉が想起されました。移住当初こそ、口数の少なかったBさん。しかし移住してから起きる予想外の事態にも柔軟に対応して、一歩ずつ次の事業へと小さな活動を積み重ね、毎回新しい提案を持って来られるのです。第一印象の落ち着きはそのままに、着実に歩みを進めておられる姿は、やはり逞しいのです。
求められること×やりたいことのハザマ
1)できること
2)やりたいこと
3)求められていること
これら3つの輪が重なる部分で仕事を作りなさいという考え方について、
初めて教わった時に、なるほど・・・と納得したことを覚えています。
一方で、私は自分の”要領の悪さ”を自覚しています。
新しいことを始める時は、たいてい周囲から遅れをとって、
できない状態から始まる実体験の方が多かったように思います。
そのため、今できるか・できないかは、
新しいことを始める時の優先順位で下位になります。
続けていれば、大抵のことは、気付けば出来るようになっているからです。(たぶん)
まして、今の間から1)できること を判断軸の一つに入れてしまうと、
選択肢が非常に限られてしまうので、
当面1)の判断軸は、そっと頭の片隅に仕舞っておくことにしました。
そこで
2)やりたいこと
3)求められていること について考えると、
色々な地域に出張させてもらっている私ですが、やりたいことだけで食べている人ばかりいるよ!そんな人たちだけで出来た地域には、未だ出会いません。消去法的な理由で移住や転職を繰り返したところで、理想郷にはたどり着けないのかもしれません。しかしながら、「求められていること」×「自分がやりたいこと」の狭間に役割を見出して、いきいきと働く、格好良い仕事人の方々にはたくさん出会わせていただきました。
そして、そういう人が、一番折れない。
そんな内容の社内日報を送ったところ、先輩から返信をもらいました。「やりたいことのために、やりたくないことが我慢できない。それって本当は、大してやりたいことじゃないのかもね~。」と。先輩が妥協も挫折もしない秘訣は「これか!」と。
一言に”強さ”といっても種類は様々です。鋼鉄のように硬い強さもありますが、それは予想外の力が加わると意外と脆いのかもしれない。「求められていること」×「自分がやりたいこと」の狭間で、柔軟に応じること。柔軟故に、簡単には折れない。そんな木材のような粘り強さを(?)狙っていこうと思うのでした。
【アシスタント/マーケティング主査 | 老籾千央 】
古川ちいきの総合研究所、入社三年目。アシスタントとして、代表古川と共にお客様のプロジェクトをお手伝いしています。本コラムでは、「アシスタント老籾が仕事の中で学んだこと」を通じて、“ちいきのメソッド(弊社がセミナー・研究会でお話するマーケティングフレーム)”をお届けします。コンサルティング会社が日々どんな仕事をしているのか!?と私たちの日々をご覧ください!