名古屋にて、これまで非公開で重ねてきた林業経営者によるディスカッション型の研究会。
今後は広く参加者を募集し、開催することとなりました。

 

本日は、

 

●人材採用と育成

●所有と管理の在り方

●林業会社の商圏設定とミッション

 

をテーマに議論いたしました。

 

特に人材採用については、どの事業体も

今後はWEB等による理念反響型の情報発信と、

学校機関の研修やインターン等を通しての採用にシフトしていく模様です。

 

「林業をやりたい」

ではなく

「この会社ではたらきたい」

 

と言われるような魅力的な企業になるためには?

その差別化戦略についても議論しました。

 

 

一口に林業会社といっても、スタイルは様々。

参加しているメンバーは、型に捉われ過ぎないフリースタイル林業を実践しています。

 

・Iターン者による林業サービス業ベンチャー

・製材と林業を持つホールディングス会社
・90年を超える美林を持つ15代続く林業家
・林業から木工まで行う森林組合発ベンチャー
・広葉樹施業と販路開拓に挑戦する林業会社
・都市型林業を実践するアーバンフォレスター
・森林信託から施業、製材で地域材住宅を手掛ける工務店
・独自の伐採手法を開発した現場のプロフェッショナル
・若者が多く集まる老舗の製材林業会社
・役場と連携し百年の森づくりをめざす森林組合

 

日本一面白い林業経営者が集まる研究会です!

 

同じようでそれぞれに異なる立ち位置、
また東海や関西などエリアによる事情も異なる中で
みずからを客観視しながらディスカッションができるのが特徴です。

 

「この研究会に来るとニュートラルになれる」

というお声もありました。

 

次回の開催が決定し次第、参加者募集のご案内いたします。

ご期待ください。

Posted by wpmaster on 土曜日 1月 28, 2017 Under — 産地ブランド・選ばれる林業会社, 【名古屋】林業経営実践研究会, pick up, すべての記事, セミナー報告, 講演&研修 報告

 

 

1月13日は、滋賀県高島市にて、
講演「日本の森を活かす挑戦~国産材から新商品&シゴトをつくろう!~」の講師を務めさせていただきました。
当講座は、平成28年度厚生労働省委託事業「林産加工新商品開発セミナー」の一環で開催されました。

 

講座のテーマは、
「林業/製材業は儲からないんじゃないんです。経営のやり方が、わからないだけなんです!
~ビジネスが大っ嫌いな方が、経営が好きになるセミナ~」と題し、
林業、製材業、建設業、木材流通業、商社、まちづくり関係、デザイン関係の方々まで幅広く
約20名の方々にお集まりいただきました。
★高島地域雇用創造協議会さまのWEBはこちら↓↓
http://www.takashima-shigoto.jp/h28_forest05/

 

講座では、
① 3割の事業者が知っているギョーカイの基本講座
② 2割の事業者が知っているマーケティングの3要素
③ 1割の事業者が知っている最新国産材ビジネス 10 事例

とテーマを作り、弊社の事例を交えて、林業とマーケティングについてお話させていただきました。

 

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今回の講座には、森林組合で林業に携わる方もあれば、異業種のため林業への接点は少ないものの、

地域資源を活かしたシゴトに関心があり参加して下さった方もあり、
林業に対するイメージについては多様で、林業・木材業の知識についてもバラつきがありました。

 

そのため、まずは「統計で見る、日本林業のウソとホント」と題し、マクロの視点から紹介した上で、
ご自身の事業領域の事として、自分事化するために、

 

●あなたの知っている「〇〇杉」を産地が思いつく限り書き出してみてください

●国産材の良さのPRポイントを思いつく限り発表してください

と2つのクイズを出題しました。

 

このようなPRポイントは、

・異素材と木材

・外国産材と国産材

・他産地と地域産材

・近くのメーカーと自社の木材

・隣の山とこの山の木材 等々・・・
比較することで、PRポイントすなわち「強み」が明らかになるものです。

 

本ブログをご覧いただいている皆様は、「国産材のPRポイント」をいくつ書き出すことができましたか?

なお、営業トークで”比較”を使われる際には、隣のA社を批判しないことも大切ですね。

 

一方では、
「隣のA社はこのような点が欠点ですが、当社の場合は~」と紹介する会社。

 

もう一方では、
「隣のA社もこのような点を使っておられ人気ですね!
但し当社では、××の点にこだわっているため、このような方法を用いています」と紹介する会社。

 

あなたは、どちらの営業マンの話を詳しく聞きたいと思いますか?
どちらの方が、信頼を置けると感じられるでしょうか。

 

人間関係と同じく、他人の悪口よりも、良いところを見つけつつ、
しっかりと自社をPRできる営業トークを目指したいですね。

 

講演の途中では、弊社の老籾より、住宅関係者に向けた情報誌からピックアップし、
人材募集と顧客獲得で伸びている工務店における取組みをご紹介しました。

 

 

1)まず社員自身が地域での暮らしを楽しむ
⇒自宅をDIYしたり、地域行事に参加し、理想的な暮らし方で社員の定着化に繋がる
⇒社員の周りに地域コミュニティが育まれる

 

2)実践に基づいた暮らしのアドバイスが信頼を結ぶ
⇒地域内で顔を合わせるため、ニーズがある人から相談を受けやすくなる

 

3)将来的に社員と顧客の獲得に繋がる
⇒「××さんのようなはたらき方をしたい」という社員候補、
「せっかく家を建てるなら、リフォームするなら、顔見知りの××さんに頼もう」という顧客の獲得に繋がる。

 

 

新規での顧客獲得にのみならず、企業間における人材の獲得競争は、今後さらに加速すると言われる中、
私生活においても家づくりが好きで、実践して楽しむ社員の働き方は、
人材の募集や定着化、さらには将来的な顧客獲得にも繋がるということ。このテーマについて、事例を交えてご紹介しました。

 

このような内容は、工務店に限らず他の職業においても共通するポイントですね。
林業であれば、チェンソーで木材生産に従事することに限らず、
狩猟をしたり、キノコや山菜を採って旬を味わうなど、その地域での仕事ならではのライフスタイルに憧れて、
森ではたらくIターン者が集う地域が生まれています。

 

なぜ森ではたらくライフスタイルを選んだのか?
森ではたらく27人の27通りの仕事を紹介した書籍も合わせてご覧いただければ幸いです。

★書籍「森ではたらく!27人の27の仕事」の販売ページへ↓↓
https://www.amazon.co.jp/%E6%A3%AE%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%9F%E3%82%89%E3%81%8F-27%E4%BA%BA%E3%81%AE27%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B-%E5%8F%A4%E5%B7%9D-%E5%A4%A7%E8%BC%94/dp/476151339X

 

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その後も講演では、
全国の林業(木材)がいかに多様であるか、
例えば品種、環境、育て方によって、老舗の林業地域がなぜ有名になったのかを解き、
これからの国産材は、トータル林業、フリースタイル林業へと移行していきましょうと、
事例を交えて多数お伝えしました。

 

やはり、
林業者が丸太しかみていない、
製材所が木取りしかみていない、
工務店が部材としてしかみていない、ということは時代錯誤であり、
木材を持続可能な資源として、山をどう見て、木をどう活かすかを考えること。

 

 

そのために、山林に入り、立ち木を見て、葉や木の皮に触れる原体験を持つこと。
そして、原木、製品、設計から空間づくりという一連の流れを知ることで、新しく面白い世界が開かれるということ。
ほんの少し、隣の人がやっている仕事を知ることで、
地域で面白いトータル林業のチームが作られていくということを全国での事例を交えてご紹介しました。

 

高島市では、安曇川流域と共に育まれた林業の歴史を聞きました。
この講演をきっかけに、チームで連携し、地域の歴史を紐解くところから始まり、
古くて新しい木材産地として、高島ならではのトータル林業、フリースタイル林業が発展されることを願っております。

 

 

最後に、講演へお越しいただいた皆さまへ心より御礼申し上げます。

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 1月 20, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

1月7日(土)、キャンパスプラザ京都にて第6回シンポジウム「ライフ・アンド・フォレスト」が開催されました。

主催NPOの理事も務める弊社の岩井が、企画から、広報、当日コーディネーターとして参加いたしました。

2014年の第3回から数えて4年連続のコーディネートとなります。

 

★当日の様子はfacebookライブ配信から動画でご覧になれます。

前編 https://www.facebook.com/292740190784275/videos/1333819246676359/

後編 https://www.facebook.com/292740190784275/videos/1333916133333337/

 

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◆第6回「ライフ・アンド・フォレスト」◆

テーマ:広葉樹のある暮らし~森のデザイン、木のデザイン~

講演
・「広葉樹のものづくり」有賀建具店    有賀 恵一 氏
・「広葉樹の森づくり」 有限会社根尾開発 小澤 建司 氏
・「広葉樹のエネルギー」株式会社Hibana  松田 直子 氏

【日時】2017年1月7日(土)13:30~17:00

【場所】キャンパスプラザ京都4階 第3講義室

【主催】NPO法人才の木、NPO法人京都・森と住まい百年の会

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会場はほぼ満員。年始にもかかわらず100名以上の方が来場し、関心の高さをうかがわせました。

 

日本の林業と言えば針葉樹造林が主体であり、国内での広葉樹需要は輸入材に頼っているのが現状ですが、

今回は「広葉樹」にスポットを当て、広葉樹の面白さと課題、「森のデザイン」と「木のデザイン」のあり方について議論を深め、これからの日本の林業の新たな可能性を探りました。

 

まず最初に、三名のゲストの講演についてお伝えしていきます。

 

【1】「広葉樹のものづくり」 有賀建具店 有賀恵一氏

まずは、広葉樹のものづくりとして有賀建具店の有賀恵一氏がご登壇。

長野県伊那市から朝一番で車を出して京都入りしていただき、会場のあちこちに素敵な家具、サンプル木材を展示していただきました。

 

60種類以上の針葉樹や広葉樹を扱い、建具、キッチン、家具等を製作している有賀氏。

完全受注で作られる家具は唯一無二です。

 

端材を燃料とする、ペチカのある工房で。若手を含めた5名の職人から1つひとつの作品は作られています。

父代から続く建具職人の道を継いだ有賀氏は、初めは単一樹種で建具を仕上げるよう教え込まれましたが、1人のお客さまの

「失敗しても良いから様々な樹種でドアを作ってほしい!」という言葉から、多樹種の広葉樹を使った作品を手掛けるようになりました。

 

素材の調達は、チップ工場の丸太をはじめ、埋もれ木や工事現場の除伐材、素材生産者から直接購入、原木市場と

多様な調達先から「職人に見放された木」を集めておられます。

木材の乾燥は天然乾燥にこだわり、雨ざらしにして、木材内部の”アク”を抜くことで製材した時に美しい色が出るということも教えていただきました。

お客さまの要望を伺った上で、最終的な製品の樹種の並べ方は職人に任されており、職人によって風合いが異なる製品が生まれます。

しかしながら、塗装なしで自然の木の色をそのまま使用した製品は、どのような並びでも違和感なく仕上がるそうです。

 

お話の最後には日本の木の楽しみ方を教えていただきました。

「色、重さ、手触り、香り、味」が有賀氏の考える木の見分け方であり楽しみ方。

例えば、サクラなどのバラ科の樹種は良い香りがするいっぽう、ニセアカシヤやキハダはあまり良い香りがしない、

製材時に口に入るおが粉の味も、樹種によって違うなど、

五感を使った仕事の様子を語っていただきました。

 

多様な木を使ったドア。着色は一切しておらず、自然の色を活かした、落ち着きがありながら個性的なドアです。

 

椅子の素材はなんとキリ。タンスに使われる場面はあれど、椅子に使った事例はほとんど見かけません。

非常に軽くて丈夫なので、力の弱い方でも扱いやすい家具になるとのことです。

 

様々な樹種を組みわ合せた、カラフルな「いろいろタンス」。樹種の組み合わせは様々。

(弊社も当日1つ購入させていただき、オフィスに新しい木材のお仲間が加わりました。)

「トチの引き出しに○○入ってるから~」といった会話が想像できますね。樹種判別能力も高まる効果も期待できます。

 

 

 

【2】「広葉樹の森づくり」 (有)根尾開発 小澤建司氏

 

続いて岐阜県本巣市から、広葉樹の森づくりについて(有)根尾開発の小澤建司氏からのご講演です。

(小澤氏は、弊社主催の「林業経営実践研究会」in名古屋 のメンバーでもあります)

 

まず冒頭に、林業をやっていくには”歴史”が重要であり、次世代に繋げられるように魅力ある山づくりを目指しているというお話がありました。

そのために小澤氏の後継者として男の子2人は必要だと思っていたところ、いつのまにか5人のお子さんに恵まれたという自己紹介が、参加者の笑いを誘い会場はなごやかムードに。

 

ご長男は、なんと5歳からユンボ運転の練習中で、課題を与えて見守り、

「自分で考えて成長する」機会を大事にしているとのことでした。

 

そんな小澤氏の会社での人材育成指針もユニークです。

 

①完全出来高制の造林

造林部は、地拵えから伐採までを、植栽した人が担当となり管理、その出来高によって給与が決まるというものです。

枝打ち作業等も、各々がより効率的に現場を管理できるよう工夫するとのことでした。

 

②架線集材の復活

会社設立以来行っていなかった架線集材に平成25年から挑戦。

65歳のベテラン親方から39歳の若手社員が技術を後継し、その後は毎年架線集材を行う現場を計画し、素材生産を行っています。

先人の技術を途絶えさせてはいけないという小澤氏の考えもうかがわれます。

 

事務部、素材生産部、造林部、造園部、土木部がある(有)根尾開発では、

地域に貢献するさまざまな事業への「チャレンジ」の精神も大事にしています。

(Neo Woodsの積み木)

 

その1つの活動に「Neo Woods」プロジェクトがあります。

木材生産を(有)根尾開発、製材・乾燥を(株)カネモク、製造・販売・普及をオークヴィレッジ(株)が行う三者協定の広葉樹活用連携プロジェクトです。

これまで使われていなかった「規格外広葉樹」を活用し、根尾のブランドで木製品を送り出しています。

素材生産をする者が、自分達で育て伐採した木がどのような形に生まれ変わったかを、最後まで見届けることが何よりも重要であるとおっしゃっていました。

 

(有)根尾開発の広葉樹施業は択伐と皆伐の2種類。

3,000haの社有林の内、2,000haを占める広葉樹林を現場の状況や、需要先ニーズに合わせて施業を使い分けています。

また、一度手を加えた森は、どれくらいの大きさ、樹種の木がどれだけあるか、というデータを蓄積し、注文があった場合にすぐに伐り出せる「在庫化」を進めています。

 

最後に、今後は人材育成、販路開拓、地域連携により力を入れ、丁寧な仕事をして、次世代に繋がる山を作るとのビジョンを示し、

「お話だけでは伝わりにくい事も多いので、是非根尾の森を見に来てください、案内します!」という言葉で締められました。

 

 

【3】「広葉樹のエネルギー」 (株)Hibana 松田直子氏

 

最後に、(株)Hibanaの松田直子氏。

木質バイオマスに関する調査、普及啓発、薪炭や木製品の販売、ペレットストーブやボイラー等の導入支援、商品開発など、多岐にわたる事業を手掛けています。

京都市の寺町二条にある「京都ペレット町家ヒノコ」を拠点に、木と火のあるくらしを発信しています。

 

松田氏は、大学時代にアジア各国を訪問した際に、自分が日本の森のことを知らないこと気が付き、修士論文では木質バイオマスの地域利用をテーマとしたことが現在の事業に繋がっています。

 

講演の冒頭には、まず会場の皆さんに質問を。

「木の物を持ち歩いていますか?」

「木の家具を使っていますか?」

「では、薪などの木質燃料を使っていますか?」

 

 

木の物を持ち歩いている人はさすが、ライフ・アンド・フォレストということもあり参加者の大多数を占めていましたが、

薪などのエネルギー利用を日常的にしている人は意外にも少ないことに気が付かされます。

 

そして、針葉樹人工林の間伐遅れという問題に対して、

広葉樹はガスや石油へのエネルギー転換により里山が手入れされない課題を抱えていることに触れ、

火のある暮らしや小さな脱プラスチック運動をすすめるHibanaの活動をご紹介いただきました。

 

①薪、②ペレット、③炭、④チップ、という4大木質エネルギーの中から、特に身近に使いやすい①~③の燃料について、

ストーブの仕組みや燃料の特性について、わかりやすくご解説いただき、

 

さらに、「火」には単に照明や暖房の機能だけではなく、

人が集まる場を創造し、火を囲み考え議論する環境が新しい発見を生み出すという効果についても解説いただきました。

 

2000年以降、ペレットストーブやペレット製造の国産化が進み、各地域ごとに事業者が「ご当地型エネルギー」の商品展開しているお話は興味深く、

「街中でもこれだけ木質の燃料は使えるのだ、ということを感じてほしい」という松田氏の言葉には、

京都の街で事業を展開し、自身も火や木のある暮らしを実践し、ライフワークとしているからこそ伝わる熱がありました。

 

 

【4】パネルディスカッション

 

第二部は、まず初めに針葉樹と広葉樹の違いについて、樹木細胞学の視点から、

京都大学大学院の高部圭司教授からご解説いただき、その後にパネルディスカッションに移りました。

 

参加者から集めた質問票と、コーディネーターからの質問にパネラーが答える形式でパネルディスカッションは進行しました。

一部をご紹介します。

 

質問①:「一番好きな木は?」

有賀氏:みんな好きだが、色の濃い木「ホンウルシ」、「チャンチン」、「オニグルミ」などが好き。また、針葉樹よりも手がかかるからこそ、広葉樹が好き。

小澤氏:紅葉の色が美しい「カエデ」が好きです。長男の名前も「楓」にしました。ちなみにスラムダンク世代には馴染みがあると思います。

松田氏:「どんぐり」がなる木と、私の名字にもある「マツ」が好きです。どんぐりと松ぼっくりはシルエットが可愛いく、またエネルギーの視点から見て松ぼっくりは着火剤としても使えます。

 

質問②:「皆さんが思う、針葉樹と広葉樹の違いは?」

松田氏:広葉樹は多様性がある。国内でも、海外でも種類が多く、色も多様。エネルギーの視点では、針葉樹は火の着きが良いがすぐ燃え尽きる。広葉樹は火の持ちが良い特徴があります。

小澤氏:(森づくりの視点から見ると)針葉樹は人工林が多く、最後に伐採するまでずっと手をかけなくてはいけない。広葉樹(天然林)はある程度人の手を加えることも必要であるが、自然に成長する力が強い。また、広葉樹は樹種による値段の違いが大きく、変動もあり、博打的なところがあり、伐採の方法も多様で施業が確立していないという難しさがありますね。

有賀氏:まず一番に重さが違います。そして、広葉樹は狂いが大きく手がかかり、針葉樹はあまり狂わない。広葉樹は手がかかるがやはり好きです。

 

質問③「有賀氏に質問。山まで原木仕入に行くことは多いのか?」

有賀氏:山を見て買うことはほとんどしないが、山を見に行くこと自体はあります。行くとしたら近くの山です。銘木等にこだわらないので、とにかく山から木を出しましょう、なるべく多く使いましょう、という視点で原木は選んで購入しています。

 

質問④「小澤氏に質問。広葉樹の育成について、どのような樹種をどれくらいまで育てるのか?」

小澤氏:まず広葉樹の施業は、今のところ確立したものは一つもありません。行政や研究所に聞いても分からないので手探りです。作業班には針葉樹も広葉樹も、最初は悪いものから順番に伐るように伝えています。しかし、中には良い材も伐り出して、バランスを合わせています。また、できるだけ真っ直ぐに育つように択伐しています。木と木の間の距離を年ごとに変えながら成長の様子を見て、データを蓄積している状態。H25年に整備した場所は、注文があった際にすぐ伐採できるように、樹種と胸高直径、材積量を把握しています。

 

質問⑤「小澤氏に質問。現在日本は海外旅行者が増えているが、森林に招待して日本の林業を知ってもらい、海外に販路を広げるようなビジネスプランを考えていたりするか?」

小澤氏:今のところは考えていません。地元のことを優先して考えています。風土的に根尾と海外が合うかが分からないので、海外への販路よりも地元に素材は販売するようにしています。虫やカビの対策をするためにも、伐採したらすぐ加工が出来るよう、岐阜県内で何とかしたいと考えています。

 

質問⑥「木のある暮らしとして、どのような状態が理想的で心地よいと考えるか?」

有賀氏:意識しないである事が最も良い事、手で触れることが大事だと考えます。

小澤氏:有賀さんと似ていますが、身近にある事が最も良い。青山スパイラルでNeo Woodsの展示を行った際に見学に行きましたが、東京では土に触る機会はありません。現在、実は東京おもちゃ美術館との企画を進めていますが、おもちゃ美術館では生きている木に触ることはできません。自然の中で自分で工夫して遊ぶということが大事だと考えます。

松田氏:お二方と同じで身近で使うという状態がもっとも理想的だと思います。しかし、周りでペレットストーブ等を使用している方は少ないので、木のある暮らしは運動だと思っています。脱プラ、脱石油製品の運動であり、石油系由来のものを木に変えていくことが重要だと考えます。

 

質問⑦「松田氏に質問。エンドユーザーにエネルギーについて伝える際に気をつけている点は?」

松田氏:まずは、見えるということが一番大事です。実物に加えて、紙媒体、インターネットを使って情報発信します。また、小遣い稼ぎができるという切り口で関わる人を増やしていくことが重要で、そうすれば広がっていきます。ペレットの場合、流通が課題になります。使い続ける、消費するものなので、流通コストをどう下げるかが課題の1つとなっています。

 

質問⑧「有賀氏と小澤氏に質問。若い後継者がいるとのことでしたが、職人やその道のプロになるために必要なセンスやスキルはありますか?」

有賀氏:必要なセンスはありません。大体どういった人でも出来ます。しかし、作り手が「この木は狂うからだめだ」と決めつけて使わない材を選ぶ職人が多い中、使い手に多少の伸び縮みがある事を承知していただいくと充分使える木材がある事を理解し、考える職人を増やさなくてはいけません。現在5人の職人がいて、今まで独立したのは8人、そのうち女性は2人です。独立したみなさんは仕事があるようでお手伝いを依頼すると断られることもあります(笑)。

小澤氏:基本的に、山に興味がある人ではないといけないと思います。自社の魅力を発信し、興味がある人に来てもらわなければ技術力が付くまでに時間がかかります。最後は楽しく仕事が出来るような仕組みが出来れば活性化になります。素直な子が良いですね、現在社員募集中です。

 

質問⑨「素材生産側、木材加工側にそれぞれ期待することは?」

松田氏:「森のデザイン」である山側に期待することは、人材をどう育てるかに尽きると思います。みんなで参加できる企画を増やして、山に興味を持ってもらう人を増やすことが我々の仕事ですね。

有賀氏:小澤氏にやってもらいたいことは、真っ直ぐな木を育てていただきたい。曲がっている木はやはり使いづらい。山の状況もあり、難しい事ではあるが、是非頑張っていただきたいです。

小澤氏:急峻で雪が多い地域は真っ直ぐ広葉樹を育てることは難しいが、早めに手をかけて育てていくので、有賀氏にも、広葉樹に期待していただきたい。加工側の人には、山に来てもらって、立木の状況から見ていただき、この1本をどうしたいかというような愛着を大事にしてもらいたいです。市場ではなく、山から搬出される場を見ていただき、木そのものだけではない、雰囲気も大事にしてもらいたいですね。

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会場からの質問も多く、熱気のあるシンポジウムとなりました。

 

今回はメインテーマを「広葉樹のある暮らし」としながら、

サブタイトルである森のデザイン(施業、森林経営)、そして木のデザイン(利用、加工)について議論を深めました。

 

気候に恵まれ、多種多様な樹木が生育する日本の森林のポテンシャルを感じるとともに、

その価値を享受し大いに活かすためには、

 

●素材からエネルギーまでのカスケード利用

●適材適所での活用

 

をポイントにしながら、暮らしをつくること、

それが当たり前の存在になることが、地域文化ひいては日本の木材文化を作って行くことだと感じられました。

 

これまで未知であった広葉樹利用にも果敢に「チャレンジ」すること、

そして日本の森林のグランドデザインを、川上~川下が共に描いていくことに、大きな可能性を感じます。

 

そのために今後も、人が集い、お互いに理解を深めて議論する場を創出して参りたいと思います。

 

 

今回のシンポジウム開催に当たっては、ご登壇いただいた皆様、関係者・運営スタッフの皆様、そしてご来場者の皆様に心より感謝申し上げます。

今後もご期待ください。

 

Posted by wpmaster on 土曜日 1月 7, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

2016年最後となる、12月度経営実践研究会を開催しました。

今回は今年の総決算ということで、

静岡から島根まで、各地からClubプレミアム国産材のメンバーをはじめ、

林業、製材業、木材流通業、工務店の経営者が勢ぞろいしました。

 

~今月のMENU~

【1】各社報告&ディスカッション~2016年10大ニュース~

【2】ゲスト講座:プロダクトデザインと展示会デザイン

【3】Clubプレミアム国産材 企画会議「国産材フェスティバル2017」について

【4】2016年ヒット商品ランキング


 

【1】各社報告&ディスカッション~2016年10大ニュース~

今回は各社から、それぞれ10分間で今年の10大ニュースのプレゼンテーションを行いました。

 

・社内業務のクラウど化や多種多様な商品開発に取り組んだA社

・森林信託から地域商社まで次々と事業展開を行った工務店B社

・事業整理で経営基盤を固めながら地域連携で販路拡大したC社

・チェーン飲食店との連携で全国に納材を広げた流通店D社

・事業継承として新会社設立の準備を進める工務店E社

 

など、それぞれに激動の1年間をふりかえりました。

8年前には、純粋なる製材業経営の研究会であったこの会も、

メンバーの増加や各社の事業展開により、幅広いテーマを扱うようになりました。

 

ただの材木屋ではない、ライフスタイル提案や地域づくりまでてがける

プレミアムな経営を実践中です!


 

【2】ゲスト講座:プロダクトデザインと展示会デザイン

【3】Clubプレミアム国産材 企画会議「国産材フェスティバル2017」について

 

Clubプレミアム国産材の新企画「国産材フェスティバル(仮)」に向けて、

ゲスト講演でも、プロダクトデザイナーS氏をお招きし、ブースデザインについてレクチャーをいただきました。

 

プロダクトを手掛けるのみならず、その「世界観」をもデザインするためには、

商品ロゴや広報ツール、ブースまでの統一感を持ったデザインが欠かせません。

 

S氏のアドバイスを受けながら、企画会議を行いました。

「ワインのような林業産地」の新たな表現に、ご期待ください!

 

その後、忘年会で交流を深め、来年の抱負を語り合いました。

熱い経営者が集まる本研究会では、2017年も参加者を募集中です。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

 


 

 

★予告! 3月29日(水) 国産材フェスティバルin大阪 開催!★

Clubプレミアム国産材の新企画を準備中。

9つの産地から製材メーカーが一堂に会し、新商品発表、そして木のある暮らしの提案を行います。

詳細後日、こうご期待。

 

 

Posted by wpmaster on 金曜日 12月 23, 2016 Under pick up, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

 

川上村商工会主催による、
『「儲かる仕組み」を一緒に考えませんか?楽しく学べる!経営セミナー』。

 

以前にも第1回の様子をご紹介しましたが、
全3回のセミナー開催に加え、限定10社についての事業計画作成をお手伝いさせていただきましたので、ダイジェストで内容をご報告申し上げます。

 

川上村商工会 経営セミナー 地域ビジネス

 

■セミナー第1回(10/20)「川上村内需要動向アンケート調査の結果発表」

 

こちらの内容は、以前にも弊社ブログで詳しくご紹介させていただきました。
★第1回の開催ブログは、こちら↓↓
https://chiikino.jp/blog/?p=6387

村内で住民の方、観光客の方々それぞれに実施したアンケート調査結果を用いて、
「村内の商品、施設、名勝等の地域内、地域外の認知度は、どれくらいか」
「地域のどのようなコンテンツが、観光客の支持を獲得しているか」
「ニーズを生かして、どのような売り物、売り方を提案するか」

 

このような内容について、
マーケティングの手法を解説しながらご紹介させていただきました。

 

 

■セミナー第2回(10/27)「過去・現在を知る。事業計画作成のために!経営分析セミナー」

第2回からは、事業計画の作成に向けて、
自社の経営を客観的に分析する内容でのセミナーを行いました。

主なメニューはこちら。
・理念と利益は?(何のために事業をするのか)
・あなたにとって、はたらく喜びは?
・自社の強みの見つけ方
・売り上げ管理の方法(経営にまつわる5つの利益)
・事業経費の使い方
・貸借対照表の読み方
・損益分岐点の見つけ方
夢や目標を描き事業を進めるにあたって、
計画を立ててマネジメントすること、

また、数字を知ることは、避けて通れないものの一つです。

 

しかしながら、
「不確定事項が多く計画の立て方が分からない」
「数字が苦手で、決算書は会計士さんに任せているから何をみて良いか分からない」といった
悩みを抱える経営者も少なくありません。
”経営の過去・現在を知る”をテーマとした第2回の講座では、
なぜ事業計画が必要とされるのか目的を確認し、
経営にまつわるいくつかの数字に関して、身近な商品を事例に説明させていただきました。

 

川上村商工会経営セミナー

 

 

 

■セミナー第3回(11/9)「未来を考える。事業計画作成セミナー」

講義形式での最終回となる第3回は、ゲスト講師をお招きして開催しました。
ゲストには中嶌大会計事務所より、
中嶌大所長、非営利法人支援部 松村祥成部長 のお二人にお越しいただきました。
中嶌所長は、会計士であったお父様が、吉野地方の事業主と縁があり、
ご自身も子供の頃は、よく川上村で遊んだ思い出をお持ちということで、
ご自身の事務所を立ち上げた今でも、川上村の事業団体をご支援されています。

★中嶌大会計事務所のホームページはこちら↓↓
http://www.hero-nakajima.com/ 

川上村商工会経営セミナー

【写真】中嶌大会計事務所 中嶌大所長

 

 

中嶌所長からは、経営における数字管理の重要性をお話いただいた後、
以下のような内容について、ご紹介いただきました。

・株式会社、社団法人、NPO法人の特徴と違い
・起業すること、事業者になる意義とは?
・ビジネスの維持発展のための要因
・会計の目的

さらにセミナー後半からは、非営利法人支援部の松村祥成部長へバトンタッチ。
平成29年1月から領収書等の保管方法が転換される等の変化がありますが、
時流に適した会計について、たくさんの事例をご紹介いただきました。

 

川上村商工会経営セミナー

【写真】中嶌大会計事務所 非営利法人支援部 松村祥成部長

 

 

会計の世界においても、かつては一枚ずつ手書き伝票を入力して処理していた時代があり、
そこへコンピュータの技術が導入されたことを皮切りに、会計士の仕事も時代と共に変化されてきました。

これらの変遷を踏まえ、
新しい会計サービスの特徴についてご紹介いただく内容は新鮮で、
受講者からは「さっそく紹介いただいた無料サービスに登録してみました」といったような反響がありました。
最後には中嶌所長から
「経営には”ロケット理論=途中に色々なトラブルがあっても、
目標を掲げていれば軌道修正しながら到達できる”という考え方がある。
最初にしっかりと数字の伴う事業計画を立てて事業を始められたい。」と激励いただき、
第3回のセミナーを終了しました。

 

 

■限定10社様対象「事業計画作成支援」

全3回のセミナーを終えて、いよいよ事業計画の作成へ。

商工会事務所へ希望のあった事業主様にお集まりいただき、
各社のヒアリングを通じて、事業計画の作成に取り組みました。
これまでの講義を通じて、
自社の強みの見つけ方や、事業経費の使い方についてご紹介してきましたが、
これらの内容についてのワークシートをお渡しして、各社の事業計画を作るためのヒアリングを行いました。

 

中には、
「経理を担当していて、会社の数字のことは分かるけれども、
そもそもウチの理念って何だろう?」という方もおられました。

 

これを機に、自社の理念やビジョンについて、
共に経営するチームの皆様で話し合っていただければ幸いです。
なお、参加者の皆様にご記入いただいたワークシートを基に、
弊社で内容を精査し、事業計画シートとして、ご提供させていただきます。

各社の特徴を見て、じっくり検討いただきたい数字や事業に関するコメントを添えていますので、年末年始にもお時間を取って、ご覧くださいませ。

 

前回のブログでもお伝えしましたとおり、
弊社では自治体や商工会と共に、地域の小規模事業者の経営や地域おこし協力隊の起業支援を行っています。

地域や企業の現状分析と戦略策定から、広報ツール策定等の定着支援まで、
これからも、伴走型での支援を続けてまいります。

 

Posted by wpmaster on 火曜日 12月 6, 2016 Under pick up, すべての記事, 未分類, 講演&研修 報告

 

経営実践研究会×国産材ビジネスセミナーで実施する合同現地研修会。

8回目となる今年は、プレミアム産地を巡る「産地巡礼」として、

より産地の風土を感じられるプログラムでお贈りしました。

 

===現地研修会過去の開催地域===

=== === ===

 

11/22-23の二日間、今回は「出雲・石見の旅~神話と地松の風景に出会う~」をテーマに、

島根県の松江市~大田市を巡りました。

 

■島根県の林業

島根県の素材生産量は、全国18位(H26年・361千㎥)で中位ですが、

「あかまつ・くろまつ」生産量は全国6位(H26年・37千㎥)を誇ります。

西日本は松枯れの被害が大きい中、数少ない貴重な「地松」産地の1つになっています。

 

 

参加者は総勢17名。

Clubプレミアム国産材のメンバーである竹下木材有限会社竹下哲史氏のご引率の元、

神話・縁結びの地である出雲、銀山で栄えた石見の地を巡りました。

 

また、今回は竹下木材様の取材を兼ねており、撮影スタッフも同行する今までにない形での実施となりました。

それでは2日間の様子をご紹介します。

 

 

【1日目:22日(火)】

 

■八重垣神社

まず初めに向かったのは、縁結びのパワースポットとして知られる八重垣神社。

竹下木材様の納材事例でもあります。

 

 

まずは立派な鳥居が出迎えてくれます。

 

 

鳥居をくぐると正面には本殿が。大社造りで荘厳な雰囲気、大きなしめ縄も目を引きます。

 

 

しかし、今回のメインは竹下木材様の納材事例であるこちらの社務所。

 

 

梁桁、細部の造作まで全てが美しく、地松ならではの赤身と木目が一層美しさを引き立てています。

 

 

境内には、スギの樹幹からマツが生え、共生している珍しい木も。

マツの生命力を感じるとともに、接ぎ木をしたわけではなく自然に起きた現象ということで、縁結びのご利益を感じます。

 

 

境内の奥には「鏡の池」と呼ばれる池があり、

おみくじになっている用紙を浮かべ、その上に硬貨を置き、

紙が沈むまでの時間でご縁の早さや遠さを占います。

 

占い用紙には1枚1枚違う言葉と吉方位が記されています。

 

 

参加者のみなさんもチャレンジ。占いの行方を見守ります。

早く沈んだり、なかなか沈まなかったり・・・

良く当たると噂の占いは、旅の楽しみの一つとなりました。

 

 

■正林寺

 

次に訪れたのは、八重垣神社近くの、曹洞宗正林寺。

こちらは本堂に竹下木材様の地松が使われております。

 

 

山陰地方では、社寺建築の横架材にふんだんに地松を使う文化があり〼。

八重垣神社の社務所外観の、地松の赤身の色の変化も美しいものでしたが、

内装で白壁と合わせて見るとまた一段と色が際立ち、素材力を十分に引き出した居心地の良い空間でした。

 

 

■神魂神社

 

 

次なる御縁結びスポットとして、正林寺からほど近い神魂神社へ。神に魂と書いて「かもす」と読みます。

 通称“大庭のお宮さん”の名で親しまれている古社です。「大庭」というのは地名であり、神様の祭りごとをする場所のことを指します。

 

 

神社建築も見もので、こちらは長さ、幅共に不揃いなこけら板を上手く合わせて屋根が出来ています。

大きな建造物を見る時はどうしても細部を見逃しですが、細部にこそ職人の技と手間を垣間見ることができますね。

 


■竹下木材有限会社 工場見学

 


 

続いて、今回の巡礼のメインである竹下木材有限会社様の工場見学です。

「中国山地から選りすぐりの木を」をメッセージに、地松を中心に地域の木材を製材されています。

 

納材事例を見た後の、さかのぼっての工場見学。

あの美しい地松材はどのように挽かれているのかと、皆さん興味津々です。

 

 

ちょうど、地松の大径木が挽かれている最中でした。

丸太に鋸が入れられ、一枚一枚どのような表面がでてくるのか、

何度見てもどきどきする瞬間です。

 

 

工場の中には女性職員の姿も。

構造材を取った後の側板を、さらに内装材等に使えるかどうか、ここで見極め仕分けされます。

この大切な工程は、やはり人の目と手が欠かせないそうです。

 

大きな板を抱えたり、チェーンソーを慣れた手つきで扱う場面もあり思わず見とれてしまいました。

てきぱきと現場で働くベテラン林業女子、かっこ良いですね!!!

 

 

モルダーやエンドマチャーを完備し、希少な地松フローリングも製造されています。

厳しくより分けられた素材から、美しい板目が生み出されます。

白っぽい印象ですが、豊富な樹液が艶となり、経年変化により趣のある色と表情へと変わっていきます。

 

また、材が取れない樹皮部分や木端は、乾燥機のための木屑焚きボイラー機の燃料として利用しているため、

丸太を余すところなく活用しているのも竹下木材様の1つの特徴といえます。

 

 

最後に、工場近くの木材市場を案内していただきました。

竹下木材様の使用する原木の半分以上は、こちらの市場で仕入れているとのこと。

地元の林業会社と連携しながら、地松材の安定的な供給に取り組まれています。

 

地松に特化した製材所は日本全国見て回っても珍しく、

地松ならではの加工や乾燥の工夫、ご苦労などをお聞きしながら、

大変貴重な現場を見させていただきました。

 

 

 

■石見銀山 宿泊(地松を使った和風旅館「ゆずりは」)

 

 

日も落ちたところで、世界遺産・石見銀山の大森町にある宿「ゆずりは」に到着。

 

 

こちらも竹下木材様の納材事例となっており、

ホールには迫力ある梁が見えます。

 

 

宿到着後、三瓶自然館サヒメルの学芸員・中村唯史氏から、石見銀山の成り立ちや地質について講義をしていただきました。

石見銀山は1500年代から採掘が開始され、安土桃山、戦国時代には銀山を巡る争いがあり、治める大名が幾度も変わってきた歴史を持ちます。

 

また石見銀山には、当時の技術に適した採掘現場の環境があり、

①掘りやすい②やわらかい③くずれにくい

という3点、そして脈(層)としてではなく、地質内に散りばめられたような形で銀鉱石が含有しているからこそ

採掘技術の進展が浅かった当時では世界一の採掘量を誇ったことなどを教えていただきました。

 

 

そして、ゆずりはを施工した山下棟梁からもご挨拶をいただきました。

世界遺産の町・石見銀山では、古民家の再生や街並みに合った建築技術と意匠性が求められ、

昔からの建築文化を継承し、地松を使った建築が多く手掛けられています。

 

このように、地域の木、技術もまた、世界に誇る景観の一翼を担っていることを肌で感じることができました。

 

 

 

参加者で懇親会のスタート。各地から集まった木材のプロフェッショナル達と、異業種も含めた交流ができるのも、この研修の魅力です。

 

地元食材をふんだんに使い、1品ごとに丁寧に味付けされた料理は全てが絶品。みなさんおいしいと舌鼓。

地の料理とお酒で大満足でした。

 

 

夕飯の後は、伝統芸能「石見神楽」を鑑賞。

地元の神楽チームにより、この日のために特別公演していただきました。

 

30以上の演目の中から2つを演じていただきました。

おめでたい席で舞われる「恵比寿」のコミカルな演舞が笑いを誘い、

スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治する「大蛇」の演目では予想以上の迫力に一同大興奮。

 

演者は若い世代が多く、中には3歳から練習している人もいるそうで、演目も時代ごとに大衆が親しみやすいようにアレンジを加えているとのこと。

世代を超えて長く愛される伝統芸能に心打たれるひと時を過ごし、1日目は終了です。

 

【2日目:23日(水祝)】

■石見銀山世界遺産センター

 

 

2日目のスタートは、石見銀山世界遺産センター。

こちらも、地松がふんだんに使われた木造建築です。

 

 

石見銀山は2007年に、銀山に関わる景勝を合わせて世界遺産登録されました。日本での取得は14番目となります。

こちらのセンターでは時代ごとの精錬方法や商流の変遷を解説していただき、

実物の銀小判を見たりと、石見銀山の歴史を深く学ぶ機会となりました。

 

 

■石見銀山街並み散策

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午前中いっぱいをかけて、石見銀山の街並み散策。

昨晩は暗闇の中でしたが、一夜明けてみると歴史ある街並み。赤い石州瓦に染まる町が印象的でした。

 

 

石見銀山の最盛期に最も有力な商家であった熊谷家住宅を見学。こちらも竹下木材様の納材事例です。

450坪という広大な敷地に建てられた住宅は、迷子になるふど大きく、応接間等の各部屋が復元されています。

 

 

家も大きければ、台所も大きい。地松の梁が際立つ台所で集合写真を撮影。

まるで大家族の食卓風景の一部を切り抜いたかのよう。

せっせとこの場で働く女中がいて、かまどからご飯が炊きあがり湯気が上がる風景が今にも見えてきそうな空間でした。

 

その他、美しく復元・新築された、数々の建築を見学しました。

そのどれもが、地松をふんだんに使う山陰の建築文化を継承したものでした。

 

■三瓶山小豆原埋没林

 

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最後に訪れたのは、石見銀山から車で40分ほどの三瓶山小豆原埋没林。

 

この埋没林は、約4,000年前の三瓶山の噴火により地中に埋もれたまま保存された太古の森で、

田畑の開発の際にひょっこりと幹の上部が出て来たことから調査が行われ、

地中を掘る特殊な形での展示・保存がなされるに至りました。

 

上の写真だけだとそれほど大きな木には見えず、ジオラマのように見えますが、近づいてみるとご覧の通り。

 

 

人が写ると一目瞭然ですね。まるで自分が小人になったかのような感覚になります。

 

直径が2メートル、樹高が推定30メートルに及ぶスギの大木、これが4,000年前には周辺一帯に生えていたと予想されています。

埋没林が立木の状態でここまで綺麗に保存されているのは、世界で唯一だそうで、大変貴重な資料となっています。

林業はは3世代かかる長い時間が必要な生業と言われますが、

人の営みをはるかに超える大きな時間軸とロマンに圧倒されました。

 

「神有月」に神々の集まる島根県、縁結びの土地での素晴らしい出会い、

そして山陰の歴史と地松に触れる貴重な旅となりました。

 

 

===次回予告===

今年度は、産地巡礼は第2回を予定しています。

次回は奈良県吉野郡川上村を中心とした吉野林業を巡る旅。

日程等の詳細は後日公開。今回来られなかったという方も是非、ご参加ください。

こうご期待に!

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Posted by wpmaster on 水曜日 11月 23, 2016 Under すべての記事, 国産材ビジネスセミナー(東京), 未分類, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

国産材ビジネスセミナー

 

今年度第3回の国産材ビジネスセミナーを開催しました。

テーマは 「林業ガールズトーク!~女性目線をいかしたマーケティング&女性活躍のリアル~」 と題し、

女性社員・学生、女性を雇用する経営者の方を主な対象としましたが、

行政や地域のコーディネーターの立場から、 女性の活躍をサポートされている男性の皆様にも広くご参加いただきました。

 


 

【第一講座】林業女子白&林業女子マーケティング 株式会社古川ちいきの総合研究所 岩井より

第3回国産材ビジネスセミナー

「林業女子」と聞いて、みなさんはどんな女性、あるいはどんな仕事を思い浮かべますか?

 

林業界では、さまざまなスタイルで笑顔ではたらく女性が近年注目されていますが、
男女の得意をそれぞれ活かした仕事や経営ができれば、

もっと日本の林業が面白くなるのではないでしょうか。

 

今回は大きく2つ、

 

①女子目線のマーケティング

②林業女子のハッピーキャリア

 

をテーマに、弊社岩井がメイン講師を務めさせていただきました。

まずは、「林業女子白書~林業女子のこれまでと現状~」と題し、統計データを基に、林業に従事する女性の数や職種の推移を整理。
さらに、林研グループから林業女子までの、林業界や山村における女性のネットワークの変遷を追うことで、

林業や地域を支える女性の役割の変化について、ご紹介させていただきました。

 

大きく分けると、「林業女子」の役割や立場は、以下のように変化してきたのではないでしょうか。

 

第1世代:家族としての女性
山村の暮らしの中で林業が当たり前にあり、家族や夫婦で仕事してきた。女性の地位向上などを目指して女性林研に代表されるグループを結成。地域の輪を大切に、女同士でわいわいと活動するのが好き。

 

第2世代:職業人としての女性
職業人として男性社会に飛び込んでいった。Iターン者、女性公務員。職人気質で、発信とか表に出るのは苦手、というタイプも。

第3世代:翻訳者としての女性
女性を受け入れる土台ができた林業界へ自然体で入っていく。理念を持ちながら女性の楽しみ、都会の感覚もバランスよく大事にしながら山と都市を結ぶような、ソフトの仕事、異業種に従事することも多い。

 

このように、林業女子会の発起人でもあり、

これまで様々なネットワークの女性とお会いしてきた岩井の視点から、まとめさせていただきました。

 

さらに、一口に林業女子といっても、現場作業に限らず多様な関わり方があるものでしょう。
弊社ではこれについて、男女関わらず「経営を支える3種類の人材」としてご紹介しています。
第3回国産材ビジネスセミナー

 

あなたは会社の中で、あるいは業界の中で、どの役割を担っておられますjか?

また、これからどんなバランスで3つの仕事をしていきたいですか?

 

弊社のクライアントやさまざまな場所で活躍する

林業女子のキャリア事例をご紹介し、キャリアを考えるヒントを紐解きました。

 

 

ある林業会社では、数年前に新しく女性を採用されましたが、

「例え、男性社員と比べて体力的に劣るため現場作業が60点だとしても、
プラス40点を事務や総務力で活躍してもらえれば、100点満点」

という考え方で採用されています。

 

このように、弊社がお付き合いさせていただいている林業木材業では、
作る人、売る人、支える人の役割を固定せず、その人の個性に応じてバランスをとるなど、

さまざまなキャリアプランを描いている企業があります。

 

この3つの視点と「キャリアプラン」について、

雇用する側もされる側も意識することで、性別を含む個人差や個性に合ったチームワークが

林業界でも発揮できると考えています。

 

さらに第一講座の後半では、

「売る人」や「支える人」としての林業女子の活躍に生かしていただければと、
情報発信や顧客づくりに係るマーケティングフレーム、事例をご紹介させていただきました。


【ゲスト講座】林業女子のハッピーキャリア

株式会社はぴきゃり 代表取締役 金澤 悦子 氏より

国産材ビジネスセミナー

平成27年8月28日、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律「女性活躍推進法」が国会で成立したことはご存知でしょうか?

女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表や、女性の職業選択に資する情報の公表が事業主に義務付けられ、
女性が個性と能力を発揮し働ける社会の実現に向けた法整備が進められていることは確かです。

 

このように、女性が活躍できる社会の実現という理念は理解しつつも、
出産、育児といったライフステージによる働き方が変化することや、そもそも体力が求められる林業界の特徴もあり、
経営者にとって悩みごとの多いテーマでもある、女性の雇用問題ではありますが、

 

働く女性1万人以上に取材を続け、人気雑誌へ女性のキャリアに関するコラムを投稿し、
また、林野庁においての女性活躍をテーマにした講演実績も持つ、
(株)はぴきゃり 代表取締役の金澤悦子氏をゲストにお招きし、

「林業女子のハッピーキャリア」をお話しいただきました。

 

冒頭から、上記のような法整備が進み、女性活躍に向けた機運が高まっている一方で、

経営者が何よりも知りたいのは、「女を採用すると、儲かるのか?」ということ。

この挑戦的な問いかけから、講座が始まりました。

 

金澤氏の答えは、「儲かります!!」。

 

その理由を5つの切り口から、企業にとって女性を雇用する強みとしてご紹介されました。

 

話の全容は、オリジナルメソッドにより年間300人以上のキャリア相談に応じておられる金澤氏の著書などから、

豊富な事例を交えてお聞きいただければと思いますが、ブログでは一部をご紹介します。

 

回答①:女性を採用すると、ビジネス開拓に効く!
太古の昔から、集落の中で共同作業を行ってきた女性は、男性よりも比較的に「共感力」が豊かであると言われています。

 

某大手旅行会社において、トップ営業の成績を持つ女性は、その営業スタイルを「憑依型」と評されるそうです。

 

お客様との会話を通じて、「あなたには絶対、この場所がオススメです!この場所で、〇〇のお店にいって、××でお茶をして~・・・

きっとあなたのイメージ通りの旅をお楽しみいただけます!!」と提案すると、
「どうしてそんなに私の気持ちが分かるんですか!?」と驚かれ、まるで憑依したかのように、
顧客の潜在的なニーズに共感し、最適な提案によって実績を残しているというエピソードをご紹介されました。

 

すなわち、消費者は必ずしも、自身のニーズに気付き具体的な言葉で表現できるものではない中で、

女性の共感力は、「ビジネスのチャンス=ニーズへ気付く力」として、企業にとっての強みとなるエピソードの一つでした。

 

回答②:女性を採用すると、人材育成に効く!

女性を雇用するときに直面する、ハード面の課題。
特に林業界では、トイレや更衣室の整備といった課題に面することが多いかもしれません。

 

ここで、「ブロークンウィンドウズ現象(割れ窓理論)」というものをご存知でしょうか?

これは、アメリカの犯罪学者ジェームズ・ウィルソンとジョージ・ケリングが発案した理論で、
建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、
やがて他の窓もまもなく全て壊されるという考えに基づくものです。

かつて非常に治安の悪かったニューヨークの街で、知事の政策の下で地下鉄の落書きを徹底的に消すことで、

地下鉄内での犯罪率が減少した実験結果が出ています。

 

職場においても同様に、皆にとって快適な環境が整備されキープされているということは、
会社の士気やマナーを高めるということ。女性が働きやすい職場環境は、働く皆にとっても快適ということです。

 

続けて、ソフト面の課題について。
女性は男性と比べても、結婚、出産、育児といったライフステージによる働き方の変化が大きい点は、
経営者にとって女性雇用の一つのリスクであるという考え方もあります。

 

しかしながら、長時間労働に対応しにくいといったリスクは、女性だけの問題でしょうか?

超高齢化社会に向かう日本ですが、一方で成年男性の未婚率の上昇も同時に問題視されています。
すなわち、介護問題とは、もはや女性のみの問題ではなくなるのです。

 

長時間労働の一択のみではない、ライフステージに応じた多様な働き方を提供できる組織。
そんな女性にとって働きやすい環境は、男性にとっても、さらに働きやすい企業であり、
このような組織体制を作ることが、長期的な視点から、人材育成に効くと解説いただきました。

 

これは林業界にも同じく当てはまることです。

 

 

さらに、「『5つの謎』を理解すれば、女性のマネジメントはうまくいく」として、
女性ならではの考え方の特徴を分析し、経営者としてどのように接することで、

組織の中でのコミュニケーションがスムーズにできるのか、エピソードを交えてお話いただきました。

会場からは、思わず笑い声が上がるほど、共感の声で溢れる内容となりました。

 

講座の後半には、「統計心理学i-color」を使ったオリジナルメソッドにより、
その人のタイプに応じた価値観を生かしたキャリア形成について、ご提言いただきました。
講師の金澤氏がキュレーターを務めるWEBサイト「はぴきゃりアカデミー」もご参考ください。
http://happycareer.jp

 


【まとめ講座】 株式会社古川ちいきの総合研究所 代表取締役 古川 より

国産材ビジネスセミナー

ゲストの金澤様のお話を受けて、弊社代表 古川より、

「林業界の経営者として何をすべきか」とお話させていただきました。
林業界において、女性を雇用する時に直面する代表例として、例えば現場の安全性やトイレの快適性といった問題がありますが、

 

この場合、効率的な重機を導入したり、トイレを整備するなど、ハード面の充実によって、「問題対処」が可能となります。

しかしながら、これらの事象に対してハード面の整備に留まらず、ソフト面までサポートし根本的な「問題解決」を図ることで、
女性の働きやすい会社から⇒男性にとっても働きやすい会社へ。

 

この問題解決は、結果的に、
会社の経営ビジョンと顧客創造における、マーケティング戦略の実行性に繋がるべきテーマでもあるということ。
このようなメッセージをお伝えし、今回のまとめとさせていただきました。

 

女性が活躍する組織を考えることは、女性の為だけではなく、それは男性の為にもなる。

そして社員の為だけではない。強いては、会社のため、お客様のためになるということです。

 

これからも女性に限らず、林業木材業界のキャリア育成のテーマを扱うセミナーも継続していきたいと思います。



【お客様の声】
~アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。~

 

・組織の中で、女性としての役割を理解、整理できました。女性だから・・・といわれるのが少々苦痛でしたが、強みがたくさんあると分かり、笑顔で頑張れるよう参考にしていきたいです!(林業関係A様)

 

・面白い内容で、さらに男性の立場からも聞いてみたい内容でした。参加者も色々な経歴で林業界に入っている人が多く、もっと多くの人の経験談を聞いてみたいと思いました。(コンサルタントB様)

 

・「女性の5つの謎」と題して、女性の考え方を紹介された話が参考になりました。また、男性女性と区別なく、共感できる点も多々ありました。職場や家庭でのコミュニケーションに役立ちます。(行政関係C様)

 

・とても参考になる話で、女性のみならず、男性にも聞いてほしい内容でした。仕事におけるチームプレイや人材育成について、さらに詳しく聞きたいと思います。(林業会社D様)

 

・林業は総合産業だと思っています。山をトータルで生かすことができたら、もっと多くの人がハッピーなキャリアを持てると思っています。そんな展開にこそ、女性の力を生かしたいですね。(林業会社E様)

 

・とても楽しく講義を受けることができました。仕事で「女性や若者の視点を生かして」と度々言われますが、それが何なのか分からず悩んでいたので、ヒントをいただけた気がします。ありがとうございました。これからの仕事にも役立てていきたいと思います。(製材メーカーF様)

 

・女性という切り口のみならず、その中でも役割の変遷を示していかれた点が参考になりました。世代間の連携が取れるとさらに良いですね。次は、女性上司とのコミュニケーションについても、話をうかがいたいです。林業と女性をテーマにしたセミナーを今後も続けてほしいです。(シンクタンク関係 G様)

 

・i-color診断は、目からウロコでした。また、印象的なキャッチフレーズにも共感しました。林業女子をテーマに様々なお話を聞き、自分自身の役割を再確認することができました。女性の特質を知ることもでき、楽しい話をありがとうございました。また参加させていただきます。(行政関係H様)

 

・女性の視点を知ることができ、今後のコミュニケーションの参考となりました。また、マーケティングフレームの紹介では、自分が所属する地域の立ち位置を客観的にみることができ、ハッとさせられました。(行政関係I様)

 


★次回予告★

第4回 2017年1月21日(土)14:00~18:00
「利益を生み出すビジネスモデルを作ろう!~千円の柱を10万円で売る方法~」

 

【ゲスト講演】
㈱山共 代表取締役 田口 房国 氏
「カントリージェントルマンたれ!地域と生きる木材ビジネスはこんなに面白い」

 https://chiikino.jp/blog/?page_id=190

 

★詳細・お申込は、後日ホームページからご案内申し上げます。

みなさまのご参加をお待ちしています!

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まちもくひろしま

 

10月30日は広島県北広島町にて、「中国山地(北広島町)の木をプレミアム化するマーケティング講座&ワークショップ」のファシリテーターを務めさせていただきました。
広島県木造住宅生産体制強化推進協議会事業の一環で企画された当講座は、今回を持って最終回となりました。

今回の講座テーマは、「北広島町にとっての地域材プレミアム化の目的と方法を描く~自社の関わり方と今後のアクション~」と掲げ、建築設計士、大工の方々を中心に約20名の参加者様にお集まりいただきました。
★これまでの講座&ワークショップ様子は、こちらのブログをご覧ください。
【第1回】https://chiikino.jp/blog/?p=5858
【第2回】https://chiikino.jp/blog/?p=6160

 

地域材のプレミアム化を目指すワークショップ

 

今回の講座は、このようなメニューでお話しさせていただきました。

■講演のMENU
① 前回の振り返り
② 地域材を定義し、プレミアム化とは何かを考えよう【ワークショップ】
③ 4つの事業計画から、今後のアクションを描こう【ワークショップ】
④ チームとして自分の役割を考えよう
・プロからボランティアへの多様な関係性
・今後のスケジュール設計

===============================
■地域材を定義し、プレミアム化とは何かを考えよう
===============================

「地場産材のプレミアム化を目指すこと」を目的に掲げる当講座ではありますが、
そもそも”地域材” ”地場産材”の定義とは、何でしょうか?

都道府県といったエリアに応じて補助金が施行されているのが
県産材といった地域材に関する一つの定義です。

とはいえ、資源の生産量から質まで様々な地域において、
量・素材品質のみではない、その地域ならではの付加価値化に向けた定義を
見出さなくてはなりません。

● 北広島町の地域材には、どのような特徴があるか。
● 特徴を生かしプレミアム化するために、何が必要か。

 

北広島から出材される資源は品質・加工を問わず全てブランド化させるのではなく、
1)北広島町地域に特化したプレミアム化

2)広島~島根といった広域での中国山地のブランド化

3)外材に対して、国産材という差別化

と分けた中で、素材品質、加工品質、営業品質を担保し、

”ターゲットに応じたブランド構築を目指すこと”をテーマに、ワークショップを行いました。

 

1)~3)のブランド化についてピラミッド図を書いてのワークショップ。
チームによって切り口の異なる答えが発表され、特色に富んだディスカッションとなりました。

 

まちもくひろしま ワークショップ

 

【Aチームの答え】 ポイントは、”資源”にあり!

「他人のアイデアをもらいに来ようと思っていましたが、やはり自分がやらねばと思いました。」と感想を述べられたのは、芸北地域で林業・畜産業・レストラン業を営む男性・Mさん。

・八幡高原では、標高1,000mのヒノキ人工林があり、高密度の素材で特徴的
・あのお寺が管理する松林では、色艶が良く腐りにくい”寺領松”の材がとれると有名

と、地域の山の資源について紹介されました。

同じチームには、プロダクトデザインや建築設計に関わるプロが集まり、
この素材へ特徴的な乾燥・輸送を施して高付加価値化するアイデアが起こされました。

 

まちもくひろしま ワークショップ

 

【Bチームの答え】 ポイントは、”伝統商品との繋がり”にあり!

このチームでは、
宮島杓文字、府中家具、けん玉、福山の琴、芸北地域の太鼓、仏壇等、
改めて地場産材を使って象徴的な商品を作るべきといったアイデアが出されました。
日本三景宮島で、もみじ饅頭と並ぶ人気のお土産『杓文字(しゃもじ)』。
この杓文字は、元々は戸河内(とごうち)の素材を使って生産されていたそうです。

このように林業産地の歴史とは、象徴的な商品と共に歩んできたとも言えます。
・樽丸(樽桶をつくるパーツ) と 吉野杉
・こけら板(屋根葺をつくる板材) と 天竜杉
・天井板と秋田杉

同じく北広島町においても、今一度伝統工芸品をリデザインし、
産地と共にPRしたいといったアイデアが掲げられました。

 
まちもくひろしま ワークショップ

 

【Cチームの答え】 ポイントは、”資源量調査と人材育成”にあり!

そもそも、北広島町の山々には、どのような資源が育っているのか。
どれくらいのペースで出荷すれば、安定的に必要な資源量を確保できるのか。
出荷された資源は、どのようなルートで差配すれば、最も効率的に活用できるのか。

 

まずは行政が一体となり、資源量を調査すること。
さらに、効率的に資源を差配するフォレストマネージャーを育てること。
そして、出荷された木を料理する、ウッドクリエーターが活躍すること。

このような体制づくりに関する意見を投じられました。

 

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今回をもってすべての講座を修了した当事業ではございますが、
最後のワークショップでは、集まったアイデアを中心として事業化に向けたディスカッションを行うことができました。

改めて参加者の皆さまに、心より御礼申し上げます。

ぜひともこういった勉強会が継続し、今後は事業発展につながりますよう、期待しております。

Posted by wpmaster on 火曜日 11月 1, 2016 Under pick up, すべての記事, 未分類, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告