7月18日(火)、岐阜県立森林文化アカデミーにて、「岐阜県地域森林管理士養成研修」の講師を担当させていただきました。
午前、午後合わせて6時間という長時間の講演を行うのは初めてでしたが、民間事業体で活躍されている研修生5名の他、県職員を中心とし、森林文化アカデミーの学生や林業事業体の経営者等35名の聴講者にご参加いただきました。
「岐阜県地域森林管理士」とは?
岐阜県は今年度から「岐阜県地域森林監理士」制度を設け、今回のような講演形式の研修、実技を合わせたカリキュラムを実施し、修了者は別途行う認定試験の一次試験を免除されます。試験に合格すると、岐阜県地域森林監理士に認定され、市町村の整備計画の策定や、一定地域の森林管理を実施していく、いわば岐阜(地域特化)版フォレスターとなることができます。
現在、林野庁では国税として森林環境税を導入する検討が現在されていますが、この動きにいち早く岐阜県は動き出しています。もし、今後国税としての森林環境税を導入された場合、現在都道府県単位で導入している森林環境税との二重課税となるため、都道府県の森林環境税制度を撤廃して国税に一元化されることも考えられます。岐阜県地域森林管理士を養成することで、国の政策に対応すると共に、市町村単位での森林管理体制を強化していくことに繋がるということです。
「岐阜県地域森林監理士」とは?(岐阜県発表資料より)==========
市町村森林整備計画の策定、伐採届出制度、公有林管理等に加え、森林法改正に
よる林地台帳整備や100年先の森林の姿を見据えた森林づくり(森林配置計画
の市町村森林整備計画への反映)など、森林や所有者に最も身近な市町村の役割
の重要性が増しているところですが、財源不足や異動により専門人材が確保され
ていないのが現状です。このため、地域における森林の管理及び経営に必要な専
門的知識を有する人材として「地域森林監理士」を育成し、その人材が市町村林
務行政の支援や民有林経営への助言などを行う体制を整備するものです。
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講座内容を一部ご紹介
|第1講座:「林業ビジネスとは何か。」
・林業のマーケット(市場規模)
・ビジョンと戦略
・マーケティングの3つのエッセンス
を中心にお話しました。マーケティングの3つのエッセンスは「3C」、「消費の3要素」、「ライフサイクル~地と図の関係~」をご紹介し、クイズ形式として参加者の皆さんに回答をいただきましたが、今までの講演では聞かないようなユニークな回答が続出。特に研修生の皆様は、マーケティングの本質をつかんだ秀逸な回答が多いことに驚かされました。
|第2講座:「林業は自由だ。」
伝統林業地での山守の声や現在の取組、全国の製材業者が連携し国産材PRを行っている事例、地域内の垂直連携による製品開発と販路開拓の事例など、弊社が関わってきたプロジェクトを動画を中心にご紹介しました。1つの「チーム」づくり、そこからの原木~製品、消費者のライフスタイルまで入り込んだ商品やサービスの企画と規格の創造の重要性を知っていただけたと思います。
|第3講座:「経営力を高める。」
・理念と利益
・会計管理について
・バリューチェーン、サプライチェーン
といった話題を中心に、ビジョン(理念)の重要性と戦略策定や財務戦略に関する実践論をお伝えしました。まずは、見込顧客をリストアップすることから始める重要性をお分かりいただけたと思います。
最後に当日岐阜までの移動で弊社代表古川が作成した「古川が考える30のフォレスターチェック」を特別に公開。古川が約10年間コンサル業を行ってきた中での、林業・製材現場の安全性を考えさせられた実体験や全国の業界経営者との出会いを踏まえてリストアップしました。素材生産だけではない、加工、ライフスタイルまで含めたトータル林業、フリースタイル林業の体現を目指した30の項目となっています。
講座終了後も、チェックリストに係る内容のご質問をいただいたり、講座内の質疑応答においても参加者の皆様は積極的で、岐阜県の林業への熱い想いを知ることのできる講座となりました。
参加者の声
<林業会社A様>
林業仲間を作ることの重要性を学びました。今後、地域内でパートナーをつくり、6次産業化を目指す体制を作るヒントとなりました。古川ちいきの総合研究所が名古屋で開催している研究会に参加していますが、普段の研究会では聞けない内容もあり、自社の事業の参考になる話が多かったことも印象的です。
<建設資材販売、建設会社B様>
マーケティングのお話全般が参考になりました。自分でもマーケティング、また財務について学ぶ必要があると感じました。熱のある話を聞くことができ、改めて自分も頑張りたいと思いました。まずは、今回の講座の内容を自分の立場に落とし込んで何が出来るか検討します。
<森林文化アカデミー学生C様>
同じスギでも地域によって、特徴、商品になるまでのストーリーが異なる事がわかる、全国の事例紹介が参考になりました。私は将来森と人を繋ぐ仕事をしたいと思っていますが、今回学んだように、地域の特色やストーリーを掴んだ仕事をできるようになりたいと思いました。
<市役所職員D様>
地域でのチーム作り、理念と利益のバランスのお話が印象的でした。前年度まで別の担当課で飛騨の木材利用よりのプロジェクトに携わっていましたが、今年度からは林業畑で山側に利益還元を出来る仕組みづくりを考えています。もともと林業の専門ではないため、全ての内容が参考になりました。また、講演に来ていただければ幸いです。
<県職員E様>
今まで、対林野庁と県庁向きの仕事のウエイトが多く、顧客へのウエイトが少な買ったことを改めて認識しました。現在補助金関連の業務をしているが、それ以外のサポートも今以上にできるようになればと思いました。行政マンには耳の痛い内容もありましたが、新鮮で興味深いものでした。地域ネットワークにもっと入り込み、関わりを深めていけるよう動きたいと思います。
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