「この山で一番自由な奴が林業王だ!!」

 

こ、このキャッチフレーズは・・・??
有名な漫画のセリフが林業版にアレンジされています。
このようなユニークなオリジナルポスターを作って、現在も求人募集を継続中の株式会社山共

現在、14名の社員が働いておられます。(うち2名はアルバイト期間中)
さらに、林業部門を運営する山共フォレストには5名が所属。
株式会社山共と株式会社山共フォレストを合わせて、19名の社員が所属し、
平均年齢38歳と、若いパワーが活躍される企業様です。

 

今回の産地巡礼では、田口社長による講演コーナーを通じて、
人材募集とキャリア育成について、教えていただきました。

 

 

変えていないのは、「木を扱う仕事」ということ。

現在、代表取締役を務める田口房国さんが
地元・東白川村に戻り、家業に入ったのは、
東京での大学生生活を終えた1999年でした。

 

現在、「山共=東濃スギ」と国産材を主に販売する山共ですが、
1999年当時の主力製品は、構造用ベイマツ。
近隣では、「ベイマツの山共」と呼ばれる会社でした。

 

家業経営者が集まる場で、
度々話題に出されるのが、先代からの守破離。
父親世代の経営から、守るところ、変えるべきところは何か、
今回の産地巡礼においても、同じような質問が交わされました。

 

そこで田口社長からの回答は、
「(経営では)変えられるところは、全て変えて来た!」
と。ただし、唯一変えていないところは何かと、改めてお聞きすると、

「木材を取扱って事業すること。
それだけが、先代の頃から、変えていない。」というものでした。

その答えの中には、
品質・納期・価格や人事考課制度の見える化、
経営方針そのものの転換など、変革を重ねてこられた田口社長のキャリアがうかがえます。

 

 

2011年~ 会社の旗を掲げる「理念」づくり

 

 

山共には、理念に共感し「この会社に入りたい」と
熱意を持った優秀な社員の方々が集まっていますが、
いずれも、ファーストコンタクトは会社のホームページから。

きっかけは対顧客のために刷新されたホームページですが、
そのターゲットはお客様に限りません。

 

 

マーケティングには、
・お客様
・投資家
・優秀な人材
と「3つの顧客」がいると言われますが、
ホームページに掲載されている企業理念や代表の想いが共感を得て、
その人柄と社風の下に、村内に限らず、地域外からも人材が集まっています。

 

例えば、人口約2000人の東白川村で、山共が20人雇用の企業とすれば、
村民のうち100人に一人は、山共の社員という計算になります。
つまり、企業の発展 ≒ 地域の発展。

単に事業の継続のみならず、地域雇用の中核を担う中小企業こそ、
「この地域で暮らしながら働きたい。」と理念の旗を掲げる必要性と
その影響力を感じるエピソードでした。

 

 

2017年~ 人材評価制度の体系化

 

今回、産地巡礼での視察の機会にご紹介いただいたのは、
最近、体系化されたばかりという、人材評価制度について。

田口社長が行ったのは、
・評価項目を社内公開すること
・定期的な個別面談を行うこと
・社員の給与を底上げすること   の3つでした。

 

賞与ではなく、給与の底上げを図った理由を聞くと、
「近年の経営状況をみると、ここで底上げできると判断したため。」

 

「会社として次のフェーズに進むために、
社員一人一人へ求めるレベルを上げたいと思っている。
そのためにはまず、会社として給料を上げることで、経営者の姿勢を示したかった。」
という2つの理由をお聞かせいただきました。

 

 

吉野林業全書を監修し、全国各地に植林指導、
林業普及を行った林業家の土倉庄三郎(1840年~1917年)は、
「利益は3等分し、国、教育、事業の為に1/3ずつ還元する」
といったポリシーを残しています。

彼のお金の使い方によって守られたものは、森林資源に留まらず、
近代日本の教育など、無形資産としても継承されています。

 

たまには皆でカレーを食べたり、子供を皆で見守ったり、
「家業」時代から培われた人間関係の風土を残しつつ、
「企業」としての成長を遂げる理由は、人材の評価制度と共に、
その根底を支える“会社のお金の使い方”にも秘訣があるのではないでしょうか。

 

 

田口社長の経営者マインドとは?

 

 

大学卒業後、すぐに家業へ戻り、
代替わりを機に、都市圏への新たな販路を次々に獲得し、
地域雇用を支えるトップランナーの一人として走り続けると共に、
地歌舞伎や消防団など、地域で暮らす一員としての役割も果たす、田口社長。

 

常に経営への変化を取り入れておられ、
林業木材業界では稀有な存在として語られる場面もあります。
しかしながらご本人に対して、経営者のマインドを尋ねると、
「自分にできることは、誰にでもできると思っています。」といった
意外な回答が返ってきました。

 

 

同時に、
「フロンティアとして、常に新しきを切り拓く役割に責任を持っている。
だからこそ、作った道に続く部分に関しては、信頼する社員に任せられるし、
それが、社員が働くやりがいになってくれると嬉しい。」

 

 

「景気が悪い、外材が悪いと文句ばかり言う人が多すぎる点に憤りを抱き続けていた。
その憤りを否定せず突き通すためには、全て自己責任でやっていくこと。
頼まれごとは、試されごとと思って、
“ここで躊躇って満足だろうか?”と自問自答しながら、
頼まれた立場を引き受けるようにしています。」
と、その心境をお聞かせいただきました。

 

 

また、田口社長はこのような視察を受け入れ、人前で講演を務めることに対し、
「人から見られている意識を持つことで、
常に変化・成長する覚悟を持てている。」と話して下さいます。

 

これまで10つの産地を訪れてきた、産地巡礼(旧 現地研修会)。
その地域ごとに、田口社長のような、
中小企業と地域の発展を担うキーパーソンに出会いながら、
学びをいただき、続けてくることが出来ました。

 

一つの節目となる開催10回目を経て、
弊社としても、その学びを体系化して、新たなサービスとして、
地域で事業を展開する経営者の方々と共に、地域の価値創造を図って参ります。

まずは、今回視察を受け入れて下さった先々の皆さまと共に、
参加者の方々にも、心より御礼申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 木曜日 12月 28, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

 

寒波が寄し押せて寒さ染みる12月12日(火)、兵庫県土地改良会館にて開催された「ひょうご木の匠の会・県産木材供給促進協議会合同セミナー」にて弊社代表古川が講師を務めました。

師走のお忙しい時期の中、会場には兵庫県内の工務店、林業大学校の学生、行政の方、約60名にご参加いただきました。

 

 

 

ライフスタイル(時間)を売る

今回は、県産材利用を推進する工務店様のご参加が多かったため、マーケティング寄りの内容をメインにお話させていただきました。

その前談として、施主はどういったポイントを重視して住宅を購入するのか、「住宅10ニーズ」をご説明しました。他の講演でも取り上げる内容ですが、まず会場の皆さんにクイズとして聞いてみるといつもユニークな回答を頂きます。弊社の講演、セミナーでは必ず要所にクイズを盛り込んだ参加型としています。

 

住宅のニーズを押さえたうえで、家を家(モノ)として売るのではなく、誰とどういった時間、ライフスタイルを作れるかが需要であること、具体的には様々なファンづくり(顧客接点の創造)こと、ファンづくりのためのツアーの4つのテーマをご紹介しました。マーケットシェアだけをみるのではなく、顧客の時間シェアをいかに増やすかが重要なポイントであることをお伝えいたしました。

 

 

マーケティングレクチャー

工務店の皆様にも知ってもらいたい最近の業界ニュースとして、森林環境税の現状と、新たな制度の導入について、木にこだわりを持つ工務店だからこそ、林業界の最新情報を知り、上手な制度活用をしていただければとのことでご紹介しました。

マーケティングについて講演では、基本的なフレームの「3C」、「消費の3要素」、「ライフサイクル(地と図の関係)」3つをレクチャーしています。3Cのフレームについては、ちいきのコラムでも紹介しておりますのでお時間がある方は以下URLより、ご覧ください。

https://chiikino.jp/blog/?p=7763

 

そもそも、「地域材ブランド化」とは何かという点では、単に県産材にロゴマークを付けるのではないこと、工務店側から自社が使用する木材の特徴を定義を明確にし施主に伝えることも立派な地域材ブランド化です。弊社が関わる具体的な事例としては高野山の高野霊木、信州落葉松のプロジェクトや、京都北山杉の空間提案、Clubプレミアム国産材の活動をご紹介しました。

その他にも重要なこととして社員の皆様のライフスタイルや、社内空間(モデルルーム)の設置について、さらに重要なこととしては、工務店は工務店としてだけではなく、林業、製材(木材加工)、家具・インテリアとの連携し、規格と企画を定めることをお伝えしました。

 

プレミアム工務店10の条件

最後に、プレミアム工務店10の条件を特別公開いたしました。1つだけ紹介しますと、講演の冒頭にお話しした「住宅10ニーズ」を知り、その中で自社の強みを3つ言えること。

プレミアム工務店10の条件とは、長年全国の経営者様と出会い、成功している工務店様の共通点をまとめた10項目になります。

昨年の5月に開催した国産材2.0のセミナーのDVDにはその他の項目も全て収録されています。

弊社WEBページで販売中ですのでご興味ある方は下のリンクより、ご覧ください。

https://chiikino.jp/?page_id=5945

 

お客様の声

・大変興味深くタメになる講演でした。弊社の経営を考えながら拝聴しておりましたが、しっかりと考えなければと思う内容ばかりでした。また、会社のことのみならず、自身の生き方についても考える良い機会となりました。(工務店A様)

 

・「住宅10ニーズ」に何が入るか、参加者に質問した回答の中に「兵庫県産材」が出てこなかったことに気がつき、ハッとさせられました。顧客へのアプローチの方法にヒントになる講演でもあり、今後は自社のブランディング、特にHPのリニューアルを進めていきたいと考えています。(工務店B様)

 

・情熱=好き×憤り、まず、何か一つでも好きなものを見つけようと思います。他にも胸に刺さる言葉がありました。林業をもっと好きになれたら、勉強にも身が入りそうです。(学生A様)

 

 

最後に、弊社では、今回のようなセミナーの他に、地域企業向けのセミナーや社内向け、お取引様向けの講演会、大学講義など、内容もご要望に合わせた講演をさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

過去の講演は以下のURLよりご覧ください。

https://chiikino.jp/blog/?page_id=193

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 12月 13, 2017 Under すべての記事, セミナー報告, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

 

2009年の岐阜県恵那市(第一回)を皮切りに、

記念すべき10回目を迎えた、産地巡礼(旧 現地研修会)。

プレミアム産地と出会い、知り、学ぶ旅。

2017年秋は、木曽ヒノキ備林の見学に続いて、

「日本一美しい村」に選出される岐阜県東白川村を訪れました。

 

霧雨が降る天気の中、

杉檜の森はまるで白いベールに覆われたようで、

幻想的な風景が広がっていました。

 

 

 

山間には、お茶畑も目立ちます。

ここは、約600年前、大沢村蟠龍寺の住職が

宇治から茶の実を持ち返り、茶の栽培を広めたと伝承される、

ひがし白川茶の産地でもあるのです。

 

 

視覚的にも静寂を感じる道中。

左右をお茶畑に囲まれ、その奥に東濃桧、杉の山が連なる。

国道41号線をまっすぐ進んだ先に、

いきいきと働く“仕事人の活気”に満ちた工場が現れました。

「山と共に、あしたをつくる。」株式会社山共です。

 

工場の外にはスタッフの車が均整に並び、

フォークリフトが滑らかな動きで地域材(東濃桧、長良杉等)を運んでいます。

そして中に入ると、事務所の皆さまが、

温かい笑顔で迎え入れて下さいました。

 

 

 

会社をご案内して下さったのは、

株式会社山共の田口房国社長。

当社の会社概要は、ご覧の通りです。

 

社名        株式会社 山共

所在地    岐阜県加茂郡東白川村越原9 76 番地10

TEL        0574-78-2516

FAX        0574-78-2236

代表者    代表取締役 田口房国

社員 14人(うち2名はアルバイト期間中)

創業        1955年12月

HP           http://www.yamakyo.com/

 

 

 

オフィス、最初に目に留まるテーブルは??

 

 

「こちらは、うち(山共)の材で作ってもらったテーブルです。」

事務所に入ってまず案内して下さったのは、打合せスペースにある木製テーブル。

近くの木工屋さんで制作販売されている商品だそうですが、

独自の加工技術によって、木材特有の「反り」や「曲がり」が発生しにくい製品です。

 

山共は原則として木材の「部材屋さん」です。

最終製品を作るメーカーに対して、素材を納めるお仕事。

しかしながら、田口社長を始めスタッフの皆さまは、

“どのような最終製品として使われるか”を意識して部材を製造されています。

 

事務所でお客様を迎えるテーブルも、

自社製品の最終形態を示す一つの象徴品ということ。

きちんと自社の最終商品にコミットしていること。

一つのアイテムからも、

お客様の先にいる、お客様(最終顧客)に対する責任とプライドを感じるのです。

 

一年の計は元旦にあり!?

 

 

さらに、壁にはびっしりと、習字の色紙が貼られています。

新年、社員全員で「一年間の決意」を書初めにしたため、

事務所の壁面に貼りだしているのです。

田口社長の文字は「終わらない挑戦」。

皆さん、見事に違う言葉が書いてあります。

隣を見ながら書初めするんでしょうか??気になってきました・・・

“一年の計は元旦にあり”とは言いますが、継続が要です。

宣言して貼っておいて、見られる意識を持つこと。

どの会社や家庭でも、すぐに真似できる習慣ですね!

 

弊社代表 古川が山共様のブランディングプロジェクトに通い始めたのは、

今から6年前のこと。当時(2011年1月)の色紙も残して下さっていました。

そこには、「共に走る」の文字。

日焼けした色紙に、月日の流れを感じますね。

 

 

 

山共流 福利厚生

 

 

事務所の中をさらに進むと、

予定表のホワイトボードには、「カレー」の文字。

 

 

 

そう、山共では、隔週土曜日はカレーの日。

田口社長のお母さま手作りのカレーを皆で食べながら、

最近のできごとなど雑談するそうです。

社員とのコミュニケーションづくりを大切にしたいという社長の想いもあり、

長年、継続されています。

 

 

事務所机の隣には、なぜか滑り台が置かれています。

急きょ、事務を手伝うことになった女性が子育て中で、

当時9カ月のお子さんを連れて働くようになり、

徐々に子供用アイテムが増えていったのだそうです。

 

ちなみに、「保育園落ちた日本死ね」のフレーズが流行した2016年。

田口社長がSNSに、このように投稿されていました。

 

~~~

【2016年4月1日の投稿】

「保育園落ちた、日本死ね」というのが最近流行っていましたが、

私としては「口が悪いなぁ」くらいにしか思っていなかったのですが、

ふと、うちの会社の事務所には小さい女の子がいることを思い出しました。

急遽事務員が必要になり、

知り合いだった女性に声をかけて来てもらうことにしたんですが、

その時に当時まだ9ヶ月だったTちゃんも一緒に来ました。

まだ乳飲み子でしたし、這い這いし始めた頃でしたね。

事務所の中にはおもちゃとか、柵?とか、誰が持ってきたのか滑り台までできて、

さながら託児所のようになっていきました。

 

初めて歩いた時や少しずつ言葉を喋るようになったりだとか、

休憩後にお片づけを手伝ってくれる姿は、

私も含め社員の癒しにもなっていると思います。

そういえば私も小さな頃、事務所や工場の中で遊んでいたなぁと思い出しました。

最初は戸惑いの見られた社員たちも、「ま、いいんじゃない」みたいな感じなって、

今では「いないと寂しい」という感じです。

(最近は2歳になって、自分でタブレットを操作してyoutubeを

見ているのが驚きですが笑)

 

こんなことが普通の会社で出来るとも思いませんが、

「保育園落ちた、日本死ね」という言葉の響きの中には、

保育園受かった→勝者

保育園落ちた→敗者

0か100、みたいなギスギスした感じがあって、

こういう「ま、いいんじゃない?」的なゆるさが失われつつある、

今の社会の雰囲気を感じてしまいますね。

 

~~~

 

 

 

ここが、山共フォレストの陣地!!

 

 

さて、産地巡礼(現地研修会)に話題を戻します。

製材業として昭和30年に創業された株式会社山共。

そして平成29年の今年には、林業部門のグループ会社として「株式山共フォレスト」が設立されました。

こちらは、山共フォレストの事務所です。

 

ちょうど現場から戻ってこられた副社長の榊間さんが、丁寧に案内して下さいました。

山共フォレストでは、

雨の日は事務仕事や製材部のサポートをすることで、天候に応じた不定休でなく、

できるだけ休日を統一するような働き方を選択されています。

 

ちなみに事務所は元木工所だった場所を月額レンタル中。

建屋には年期が入っていますが、屋内は気持ちよく整理整頓が行き届いています。

 

 

5Sとはいうものの、簡単にはできません。

道具の場所も、現場に行く前の確認事項リストもあって、一目瞭然。

道具を大事に扱うのは勿論のこと、

若い人や、来て新しい人も働きやすい環境づくりのためにも、

整理整頓から始めるべき、と話しておられました。

書類を仕舞うケースにも全てラベリングしてあって、

探し物をする時間も短縮でき、ビジネスとしての林業の効率性と安全性を日々、改善されている様子もうかがえました。

 

ついに、製材工場へ

 

 

そして、ついに製材工場へ。

工場内にストックしてある原木は、市場から仕入れたもの、自社林から山共フォレストが出材したものの両方で賄われています。

また、FSC®製品も製造しているため、これらは工程の中で非FSC®材と混在しないよう仕分けされています。そして原木は製材品、バイオマス燃料用、割箸用材、バーク、自社の燃料まで、余すことなくすべて加工してカスケード利用しています。

 

 

工場に入って驚いたのは、まずは機械の稼働率です。

訪問した際は特に繁忙期だったとのことで、全ての機械がフル稼働している状態でした。

 

お忙しいにも関わらず、

スタッフの皆さまは、爽やかな笑顔で視察組を迎え入れて下さいました。

そして、製材工場の中もやはり整理整頓されています。

 

 

 

工場の中にストックされていた美しいスギ材。

こちらは、とある社寺の垂木用材として納材されるそうです。

この製品にもエピソードがありました。

別のメーカーに発注していた顧客が、思う製品を入手できず、

「なんとか間に合わせてもらえないか?」と相談されたため、

なんとか調整して用意した注文材。

 

「『他に頼んでいたんだけどダメで、助けてくれませんか?』という連絡が多くて、

だったら最初から頼んでよ、と思いつつ(笑)、基本的には断らず、すべて対応をしています。

 

若い頃は、地域の中で誰よりも仕事をするぞという気持ちでやってきたけど、

最近は、人(顧客、地域の方)に喜んでもらうことが一番嬉しく、

それが自分の喜びにもなっているような気持ちかな。」

 

“仕方なく買ってもらうのが、とてもイヤ!”と話す田口社長らしいお言葉ですが、

 

「“困った時の山共さん”ってポジションが出来つつある。」

 

と地域信頼を得る企業の強みを垣間見ることができました。

 

 

 

工場見学を経て、午後の講座は、

村内にある「神土高齢者交流サロン」で行われました。

平成27年度の公共事業によって、

岐阜県産材(桧、杉)を40㎥使って作られた施設です。(平成28年3月完成)。

 

 

 

建物内には、カフェルーム、和室、交流ルーム(多目的スペース)があり、

また文庫貸し出しスペースや「ぎふ木育おもちゃ」のアイテムも充実していました。

浴室なども兼ね備え、いざというときの一時避難場所の機能も兼ね備えた施設です。

薪ストーブの前でいただく珈琲が、ご馳走ですね。

 

 

ここでは、「人材育成」や「離職率」についても真剣な議論が交わされることとなりました。

副社長2名体制や評価指標の公開、給与の底上げなど、

山共で今年から導入された仕組みの話もオープンに教えて下さいました。

 

中小規模経営であれ、「企業」として仕組み立てる面と、

たまには皆でカレーを食べたり、子供を皆で見守ったり、

「家業」時代から残る社員同士の関わり合いの両方が織り交ざる、

これからの時代を作る「地域企業」の素敵な社風に触れることが出来ました。

 

 

会社信頼を築く土台

 

田口社長に案内いただき、社員の方々にもご挨拶いただいた、工場見学。

『困った時の山共!』という会社信頼(ブランド)の神髄は、

 

①収益性を最大限に高めるカスケード利用

②高付加商材からチップまでの1品1品の製品管理

③担当責任制の人材配置と適性オペレーション

④誰もが分かりやすい整理整頓

⑤明るい挨拶から成る工場の雰囲気

というように、

経営者と職員との信頼を基にした製材工場の中の随所にありました。

 

さて今回は、「日本一美しい村でみた、工場編」と題して、株式会社山共様の事務所と工場についてご紹介させていただきましたが、産地巡礼ブログの最後には、「この山で一番自由な奴が林業王だ!!山共と田口社長のキャリア編」をお送りします。

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 12月 11, 2017 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 講演&研修 報告

 

 

ここは、岐阜県中津川市(旧加子母村、旧付知町のあたり)。
国道256号から、車で約15分、「これより 国有林」と書かれた看板を抜けて、
幾度も門戸の施錠を解いてもらい進んだ先に、木曽ヒノキ備林がありました。

 

伊勢神宮の式年遷宮を始めとした、日本を代表する文化的な木造建築物への用材供給のために管理されている森林です。

今回の産地巡礼では、木曽ヒノキ備林を管理する、
東濃森林管理署の森林整備官・伊藤さんに
森をご案内いただきました。

 

 

 

 

木曽ヒノキ備林の概要

 

まず、木曽ヒノキ備林の概要は、こちらの通り。

標高:約1,000m ※見学地の場合

面積:730ha

蓄積量:32万㎥(3㎥/本と計算して、ヒノキ10万本分)

主要樹種構成:ヒノキ76%、サワラ23%

平均樹齢:300~400年

 

730haは、例えば東京ドーム155個分の広さ。
といっても想像が難しいですね・・・

平均樹齢300~400年ですが、
中には二代目大桧と命名されて象徴とされているような
千年生近いヒノキも存在しています。

 

 

 

 

木曽五木と“あさひねこ”

 

木曽地方を代表する樹木は、
「木曽五木」の名の通り、5つの樹木。
こちらは“あさひねこ”と覚えてください。

あ:アスナロ
さ:サワラ
ひ:ヒノキ
ね:ネズコ
こ:コウヤマキ

 

どうして木曽地方には、
ヒノキを中心とした特定の樹種が残っているのでしょうか?

それは、1624年(寛永元年)、
尾張藩による禁伐統制から始まった森林保護施策に
起因しています。

 

古くから森と共に育まれた日本人の歴史。
日本史の教科書で覚えたような城郭の造成、政治の流れは、
各地の森林の姿に刻まれています。
歴史ある林業地を巡る醍醐味は、
日本の歴史を身近に感じられるところにもありました。

 

そして、森の姿からみた日本の歴史として、
今回は木曽地方の森林と管理の背景を辿ります。
木曽地方は、戦国時代には、豊臣秀吉の直轄領でした。
しかし戦国時代が終わり、戦火を受けた家屋等々の修復を目的に、
江戸時代初期には、全国の山々が伐りつくされて
禿山となってしまいました。

木曽においても同様に山林資源の枯渇が懸念され、
その頃木曽地方を管理する尾張藩は、1624年(寛永元年)に
留山制度を交付することになりました。

 

この留山制度によって、「木一本、首一つ」と呼ばれるほど、
無許可で木曽の木々を伐採することは、重罪に課せられたのです。

禁伐の対象となった樹種は、
前述の「木曽五木=アスナロ、サワラ、ヒノキ、ネズコ、コウヤマキ」。

江戸時代の森林保護施策によって、
木曽地方には地域を代表する5つの樹々の資源に恵まれています。

ちなみにこちらは、木曽ヒノキの枝葉です。
木曽の森林を訪れる際には、「木曽五木」を見つけてみませんか?

 

 

 

 

式年遷宮と管理主体の推移

 

木曽ヒノキ備林を語るに欠かせないのが、伊勢神宮の式年遷宮。
20年に一度と周期を定めて社殿を更新し、新たな社殿に神体を移す儀式です。
そして神宮備林とは、伊勢神宮の式年遷宮に必要な用材を供給するために
管理される森林を指し示します。

 

 

ここで、式年遷宮と共に歩んできた木曽ヒノキ備林について、
これらの管理主体に関する歴史を辿ります。

明治に入り、尾張藩領だった山は「官林」に、
そして1889年(明治22年)、裏木曽の一帯は「御料林(宮内庁管轄)」となりました。

1906年(明治39年)から1915年(大正4年)にかけて、
御料林内に神宮備林を設定することになり
「出(いで)ノ(の)小路(こうじ)(地名)」の山一帯は
「出(いで)ノ(の)小路(こうじ)神宮備林」として神宮備林に指定されました。

 

 

しかしながら、戦後1947年(昭和22年)には林政統一によって、
全国の御料林は国有林に指定されます。
続く1977年(昭和52年)には、特定の宗教のために用いる山林から、
日本全体の文化的木造建築物への木材供給や学術研究を
目的とする備林に指定されました。

 

 

このような推移を経て、現在では国有林として
東濃森林管理署によって木曽ヒノキ備林が管理されており、
昭和以降、姫路城「昭和の大修理」のほか、
歴史的木造建造物の修復などに木材が供給されています。

 

 

 

 

 

 

1年、20年、数百年単位の森林づくりビジョン

 

12月頃から積雪する木曽ヒノキ備林は、
冬季は立ち入りを封鎖されています。
見学を申し入れた際に、
「積雪の季節までにお越しください」と教えて下さいました。
当然ながら、樹齢数百年の樹々がそびえる森においても、
その年ごとの四季を迎えていて、
また樹には新しい年輪が刻まれます。
1年間の四季に応じて、必要な施業が行われます。

 

 

一方で、四季に留まらず中長期の
時間軸を感じられることも、老舗の林業地ならでは。
とある林分では、総立てが施された伐採木の姿が見えました。

 

 

 

鳥総立て(とぶさだて)とは、伐採した杉の切り株の上に、枝葉を立てて、
木こりが神様に「この木を頂戴しました」と
御礼を伝える歴史の古い儀式の事で、
万葉集にも鳥総立てに関する和歌が詠まれています。
今回見ることができた、
まだ朽ちていないこちらの鳥総立ての姿とは、
先日2017年10月30日に執り行われた
「斧入れ式」の跡だったのです。

 

また、式年遷宮用材は、
室町時代から伝わる伐採方法「三ッ緒伐り」で伐採されるため、
3か所のツルが出た切り株が特徴的です。

 

 

これには、
①伐倒方法を定めやすい
②芯抜けしにくい
という特徴があり、単に懐古主義という訳ではなく、
丁寧で確実な伐採を行うために理にかなった伐採方法なのです。

このような切り株が朽ちない状態で残っているということは、
要するに、次の式年遷宮に向けた伐採が
先月から始まったということ。

 

1回の式年遷宮に用いられるヒノキ用材は、
実は、約8,000本にものぼります。
無論、8,000本の全てを
木曽ヒノキ備林から供給するわけではありません。
式年遷宮に用いる木材のうち、
約10%が木曽ヒノキ備林から納められます。
とは言え、樹齢300年超の樹木が、
20年に1度、一定量必要となるため、計画的な伐採でないと、資源が枯渇します。
一度にすべての用材を揃えることは出来ないので、
式年遷宮が終了した4年後には、
次の遷宮に向けた計画的な伐採が始まるのです。

 

 

森林管理官・伊藤さんのお話を聞きながら、
まっすぐ高く佇む樹々を見つめていると、
この森林を守ろうと保護施策が定められた江戸時代には、
どんな景色が広がっていたのだろう?と
想像の中でタイムトリップするような気分になりました。

木曽ヒノキ備林の中には、
・1624年 尾張藩による禁伐統制を皮切りに、数百年単位で守られた資源
・20年に1度の単位で行われる計画的な伐採と森林管理の仕組み
・1年間の四季に応じて、森林管理の土台となる施業 がありました。

 

 

今回は、日本三大美林のひとつ木曽ヒノキの産地を巡りましたが、
木曽地方の他にも、日本には歴史の古い林業地が各地に地域名を冠したブランドとして残っています。

それぞれに、その地域の森林資源を残し活かそうとした歴史があり、
そこには後世に残そうとしてきた「人」の想いと施業の「コンセプト」をもとに、長期施業のビジョンがあり、
現代にも美しい森林の景色として、根付いているのです。

 

 

 

このように森と木を切り口に日本の産地を巡る旅に、ご一緒してみませんか?

今回は、式年遷宮に纏わるエリアを巡った、
産地巡礼の森林ツアー編をお届けしました。

続いては、「日本一美しい村でみた、工場編」をお送りします。

 

 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 11月 29, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

 

 

2017年11月11日、愛媛県松山市郊外にあるショッピングモール「エミフルMASAKI」にて、「えひめ山の日の集い」が開催されました。そして当イベント内の企画「木づかいトークショー」に、モデル兼アロマインストラクターの原裕美子さんと共に、弊社代表の古川が登壇させていただきました。トークショーはまず、FM愛媛のアナウンサー森下加奈代さんによる司会のもと、全国の森のこと、愛媛の地域の魅力、愛媛の山林・林業の特徴、木づかいの意味について古川の解説から始まりました。

 

愛媛県のミカンと林業

 

「木を伐るのは悪いこと?」と言われる疑問に対しては、一重に”市民の意識”と総称しても、意識に差があることを説明した上で、愛媛ならではと「みかん」と「林業」を題材に間引きと間伐の説明を行い、木を植えて、育て、使う事が森を守る(作る)ことという循環についてお話させていただきました。当日スタッフの方々が着用された法被も、配布されたノベルティも、会場はみきゃんさん(愛媛県の公式キャラクター)に包まれていました!

 

 

 

 

モデル兼アロマインストラクターを生業にする原裕美子さんからは、”美容と健康”の視点から、アロマについて親しみやすくご紹介されました。そんなアロマで関連し、古川からは、アロマの原料として紹介された「クロモジ」を中心に、森と木の恵みである地域資源の利用について紹介し、アロマと森についてのトークが進みます。「森ではたらく!~27人の27の仕事~」のフプの森(北海道下川町)の事を紹介ししつつ、話題提供をさせていただきました。

 

アロマ・コスメ×森の恵み
⇒健康美のあるライフスタイル×地域活性(地方創生)

 

 

森を守り、木を伐り、枝葉を利用しよう!また、森の恵みは一杯ある、それらを利用して健康美を!と、まさに、これからが楽しみな世界であり、話題に花が咲きました。また、後半の「アロマワークショップ」では、原裕美子さんの明るく軽快なトークとともに、可愛くて香り豊かなバスソルトを作るコーナーが催されました。愛媛の木として「青みかん」「ヒノキ」「クロモジ」を利用したバスソルトを作りつつ、古川も参加。健康美とライフスタイル、森の恵みの面白さについて知るいい機会となり、エミフルの会場の皆様とともに、楽しい時間となりました。

 

 

 

 

改めて、このような機会をいただいきました、愛媛県・愛媛の森林基金、並びに武田林業さまに、心より御礼申し上げます。また、会場でトークショーをご覧いただいた参加者の方々も、ありがとうございました。全国の森林との接点がある弊社としては、新しい森との関わり方を模索していきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

ご紹介

原 裕美子さん
FashionModel/AEAJ AromaInstructor
(公社)日本アロマ環境協会アロマインストラクター
アロマで手作りコスメWS『Vivalivアロマ部』主催者
http://vivaliv.jp/
http://www.foliomodels.jp/portfolio/yumiko-hara/

イベントチラシ

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 11月 13, 2017 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

 

 

2017年10月21日、東京都内で開催された、東京第42回育樹祭プレイベント「国民参加の森林(もり)づくり」シンポジウムに、弊社代表古川がパネリストとして登壇させていただきました。

 

 

 

会場には、林業・木材業関係者、そして森林ボランティアに参加する市民の方々を中心に、約200人が集まりました。「いま“市民”は森林の何に注目しているか!?」と詳しい開催レポーティングは、今週末28日(土)の大阪経営実践研究会で、古川よりお話させていただきます。

【H29年度第3回 大阪経営実践研究会】のご案内(10/28)

 

 

さて今回は、木にまつわるエピソードについて、特に古川の印象に残っているエピソードを一つ。基調講演を務められた、山田五郎さん(編集者・評論家)が「自然と共にいきる木との関係性」について紹介される中で、教えていただきました。

 

 

 

経度の発見と木の関係

 

 

突然ですが、「経度の発見」という言葉をご存知ですか?それは「古川も、世界史の授業で習った記憶がない」とても興味深い内容でした。例えば南北(緯度)の関係は太陽を調べることで分かっていましたが、東西の動きを知ることが当時の大きな命題でした。コロンブスは、アメリカをインドと認識して西インド諸島、インディアン等々と名付けたことも、経度が分からなかったゆえ、と言われます。そのような情勢の中、経度(東西)を知る方法は、現在でいう30億円相当の懸賞金を掲げて集められました。そして考えられた方法は2つ。

 

1)何かの星に着目する

2)時差に注目する(狂わない時計を持っていけば、南中時の時刻差で経度が分かる)

 

というものでした。

 

それでも、ホイヘンス(オランダ)が作ったヒゲゼンマイ時計では、1日およそ10分の誤差が生じるため、正確な時刻計測による経度の発見には至りませんでした。さらにイギリスでは、ニュートンが委員長を務める「経度委員会」が発足されました。しかし、その後暫くの間も、経度の正確な測定方法は発見されません。しかし、漸くここで、経度の発見と木の関係に繋がります。1736年、大工のジョンハリソンが「俺らの時計を使ったらどうだ?」と提案します。それが、木の歯車時計だったのです。それは放射状に木を組んで作られた時計でした。

 

木材ならではの

1)温度変化しないこと

2)錆びないこと

3)軽いこと

という特長が生かされたジョンハリソン大工の時計によって、正確な時間を計測でき、これによって経度の発見に至ったのです。ちなみにこの方法は貴族の中で円滑に認められず、賞金が出るまで20年も掛ったという後日談も教えていただきました。

 

 

「木の文化というのは、自然の文化(人間の営み)であり、相反するものの、共存である。」

 

「人間が、自然の欠点を補って文化となっていく。」

 

 

基調講演の最後、山田五郎さんは、このようにお話されました。林業に携わる方々から見ると、「自然こそが人間の欠点を補ってくれている」と補完関係を述べられるかもしれません。しかしながら、一方で、人間こそが、自然に唯一、大きな手を加えられる生き物であるという視点であれば、文化を生み出すのは我々自身であると気付かされる講演でした。「経度の発見」と木の文化。他にもクリスマスや欧米のお祭りにおける、木との関係。ヨーロッパの文化を対象に、旅するように木のお話を教えていただきました。国民参加の森林づくりシンポジウム。最も聴衆の注目を集めたテーマは何だったでしょうか?詳しくは、10月28日(土)大阪経営実践研究会in新大阪でもお話しいたします。

 

★開催のご案内はこちら

【H29年度第3回 大阪経営実践研究会】のご案内(10/28)

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 10月 24, 2017 Under pick up, お知らせ, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

 

 

9月10日(日)、豊田市中央図書館で開催された「ウッディーラー豊田 地域材利用セミナー(都市木出張セミナー)」にてウッディーラー豊田会長樋口氏と共に弊社代表古川が講演、ワークショップの全体総括をさせていただきました。当日は、当初の予想を超える約50名の方にご参加いただきました。(ウッディーラー豊田については、WEBサイトをご覧ください。http://woodealer.jp/

 

 

「全国の地域材ブランド化事例」ご紹介

 

愛知県と豊田市の共催により開催された本セミナーでは、愛知県林務課から県産材利用の取組、豊田市森林課からは地域材利用の取組の説明があり、樋口氏からは今年5月に誕生した、新団体「ウッディーラー豊田」の紹介と今後の方針を説明いただきました。弊社からは「全国の地域材ブランド化事例」をご紹介させていただきました。

(ウッディーラー豊田の誕生については、弊社の過去のブログでもご紹介しております。https://chiikino.jp/blog/?p=7390

 

今回は、まず「ブランドとは何か」ということでブランドの語源や成り立ち、そして「見た目」だけではなく、圧倒的な商品力(サービス)があってこそブランドと言えることをお伝えしました。事例としては、弊社のブランディング事例でもある信州カラマツ、高野霊木の紹介、岩泉の取組をご紹介しました。

素材力は気候風土、樹種や品種、施業方法などにより高まっていきますが、ブランドは素材力に加え、加工力、営業力の総和であること、また資源量を把握したうえで出口(マーケット)とリンクさせるコーディネーターが必要であり、豊田でそのコーディネートを担うのがウッディーラー豊田であることを、事例を交えながらお話させていただきました。

 

 

「ウッディーラー豊田への関わり方」ワークショップ

 

セミナー後半には、「ウッディーラー豊田への関わり方」として、参加者の皆様と一緒にワークショップを実施しました。ウッディーラー豊田の2つのブランドである「CRAFT WOOD」、「MAKER WOOD」の視点のもと、多くのアイデア、要望、期待の言葉を頂きました。

・ウッディーラー豊田と製品開発を進めたい。

・施主と森をつなぐツアーを実施したい。

・住宅のウッドデッキや公共建築では特に学校に地域材利用が出来るのでは。

と具体的なアイデアやウッディーラー豊田との関わり方を示す参加者も多く、今後の活動のヒントを得られた有意義なワークショップとなりました。

 

 

おわりに

現在、森林所有者、森林組合、木材加工会社、商社、工務店・設計、行政職員、デザイナー、他にも、カメラマンやデザイナーといった異業種の方や一般の方まで広い分野から会員が集まっているウッディーラー豊田ですが、今後も会員の募集を続け、今回のようなセミナーや会員限定の勉強会なども企画していくということですので、ご興味のある方は、ウッディーラー豊田のWEBサイトをご覧いただき、お問合せや入会申込の検討をご検討いただければ幸いです。

(詳しくはウッディーラー豊田WEBサイトをご覧ください。:http://woodealer.jp/

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 日曜日 9月 10, 2017 Under セミナー報告, 講演&研修 報告

 

島根県奥出雲町にて、第2回起業アドバイザリーのため訪問させていただきました。この地域では、16名の地域おこし協力隊が活動中ですが、その中から卒業後に起業を目指す方々6名に対し、弊社代表の古川が起業アドバイザリーを務めさせていただいております。今回は、2カ月前からの進捗を報告いただき、新たなビジネスモデルの構築と、さらなる付加価値化のヒントを提供しながら、今後のビジョンと課題を共有しました。

 

ミニセミナーを開催

 

 

今回はまず、地域おこし協力隊員と、行政で協力隊担当の職員の方々を対象に、「地方創生×ローカルベンチャー~地域を熱くし、事業を厚くするチャレンジ~」と題したミニセミナーを開催しました。

 

◆ 講演のメニュ

【1】“協力隊”制度の活かし方 移住・交流から起業まで

・行政に必要なマーケティング発想

・任期中にやっておいたほうが良いこと

【2】地域で起業するということ
・地域ビジネスの定義は何?

・シェアビジネス、持続可能ビジネスのウソとホント

・暮らし方と儲け方の両立ポイント

・起業の意味、経営の意味とは何か

・お金より大事なこと

 

 

オススメ書籍の一文を紹介しながら進んだ講演ですが、参加された協力隊の方々からは、「他社との差別化を考えていく上で大変参考になりました。売りモノ・売りカタの戦略を立てていきたいと思います。」「理念重視のボランティア活動⇔利益重視の事業の狭間でどこのポジションを目指すか、上がり下がりある波を越えていくこと。自分のやりたかったことに、改めて気付きました。」「新しい気付きもありますが、忘れていたことや、ずっと気になっていたことをふと思い出す時間になりました。」といった感想をいただきました。

 

 

奥出雲町内を散策

 

 

アドバイザリー終了後は、本業務をコーディネートいただいている宍戸さん(一般社団法人スクナヒコナ 副理事)に、奥出雲町内をご案内いただきました。名勝・鬼の舌震の近くでお蕎麦をいただいた後は、出雲・鉄山御三家の一つ、絲原家(松江藩元鉄師頭取)の記念館を訪ねました。踏鞴(たたら)製鉄の成り立ちや道具の解説、それを統括してきた絲原家の歴史や骨董品の展示を通じて、奥出雲で技術継承されてきた、製鉄の歴史を学びました。16代続く名家の歴史を知ると、「たたら製鉄」という産業を基盤に家を興しながら、時代に応じて次のビジネスを展開し、地域の資源利用と雇用の拠点を作ってこられたことが分かります。

 

そして、たたら製鉄からは、持続可能な自然資源利用を学ぶことができます。製鉄には燃料となる薪資源が不可欠ですが、世界の大規模鉱山を見ると、精錬等への熱エネルギー利用のため周辺の山林を一気に伐採し、荒野となってしまった地域がほとんどです。しかし奥出雲のたたら製鉄では、30年単位での計画的な輪伐によって、持続可能な資源利用と製鉄が行われてきたため、現在でも豊かな山村風景が広がっています。土砂を流して砂鉄を採った斜面は、その後棚田に整えて活かし、荒廃しないペースで伐採した木は薪として精錬に使い、それによって出来た鉄製品は、地域資源として地域外へ出していくことで、外貨と外交を獲得してきたということですね。住まいと仕事の場が一体となった、絲原家製鉄所の絵図を見るとは、その地域にある資源を持続的に活かし、生業を持ったコミュニティの姿がありました。

 

 

 

 

なお、林業では「山の神」を祀るのと同じく、製鉄、鍛治にも守護神「金屋子(かなやご)」がお祀りされていました。ちなみに、金屋子神の御神木は、桂の木だそうですよ!祠を見守るように、青々とした桂の木が植えられていました。出雲方面へお出掛けの際には、一尺一寸角(33㎝)のケヤキの大黒柱で建てられた本宅、美しい庭園、散策エリア等、林業や植物、建築がお好きな方には、見どころ満載な絲原記念館へぜひ。

 

 

 

次回

 

第3回は9月頃の訪問を予定していますす。次回も経営アドバイスの個別面談を行うと共に、公開型ミニセミナー第2回を開催する予定ですので、協力隊の皆さまはもちろんのこと、奥出雲町(行政)の方々もお誘い合わせの上、ご参加いただければ幸いです。

 

それでは、引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 7月 25, 2017 Under — ちいきの地域, pick up, すべての記事, 講演&研修 報告