2月度の経営実践研究会は、特別企画としてメンバーの製材工場視察を行い、

製材における付加価値化やオペレーション管理についての徹底討論となりました。

 

場所は三重県熊野市。

大阪or名古屋から車で約3時間の立地にあります。

 

立地条件としては不利な中、どのようにして高い価値を生み出しているのか?

その秘訣を探りに、N社を訪れました。

このN社の特徴は3つ。

①構造材から内装材まで何でもつくる

②すべての工程を自社一貫生産

③徹底した品質管理と研究開発

 

というスタイルです。

 

商品を自ら企画し、乾燥や微細な加工、塗装を含めた最終製品まで仕上げることで、
利益を生み出しています。

各地から集まったメンバー(製材、工務店)により、
実際に工場を視察すると、

「言うは易し行うは難し」であり、

経営戦略を現実に形にするには、
それを現場の戦術戦闘レベルまで落とし込み、
的確なマネジメントや品質管理の徹底、地道な改善が必要であると
改めてわかります。

 

仕入れ

製材

乾燥

仕上加工

在庫管理

配送

 

のそれぞれに工夫があり、

 

また、

その前のスタート地点となる、商品開発。

そして、定期的なデータ蓄積とPDCA。

 

そのすべてにヒントがあり、
今回は企業秘密ともいうべく工程を余すところなく解説いただきました。

 

視察の後は、メンバーそれぞれが、自社の「付加価値化」の取り組みについて発表し、

ディスカッションを行いました。

 

特に話題になったのは、
N社オリジナルの品質・製造管理システムについてでしたが、

議論の中で、さらに大切になるのは、

システムをつくった後にそれを活かしきれる、
「人づくり」であるとの意見が多くありました。

 

ここでN社が取り組んでいるのが、

システムやマニュアルをトップダウンで導入するのではなく、

社員一人ひとりが自分事として理解し、定着させるための、
ボトムアップの議論と、人事評価制度の改善でした。

~~~

夜はN社が納材したホテルにて宿泊し、
納材後まで見ることができました。

 

今回は、通常の座学勉強会から形式を変えた特別企画でしたが、
今後もこのような機会を作って参りたいと思います。

 

改めて、学びとは何か。

「素直、勉強好き、プラス発想」のスタンスを持って臨み、

自分事として貪欲にヒントを取り入れること。

そして実行して初めて、価値があります。

 

① まず、勉強の機会に参加する人

②そこから自分事としてヒントを得る人

③実際にやる人!

 

それぞれが、5人に1人しかやらないとしたら。

①~③を実行するだけで、100人に1人の経営者になれるかもしれません。

 

今回の学びをより深め、昇華しやすくすべく、
弊社でテキストにまとめあげてメンバーにご提供する予定です。

 

今後も、100人に1人の経営者をつくる、
そんな研究会にして参りたいと思います。

 

次回以降も、ご期待ください!

~~~

■次回(3月度)のお知らせ■

3月度経営実践研究会[国産材ビジネススクール]

・日時:3月18日(金) 14:00~18:00

・場所:大阪市淀川区(詳細はお問い合わせください)

・テーマ
「意外と似ている!?製鉄業界と製材業界の比較!」

・受講料:21,600円(税込)

※初回無料体験は3社限定、受付中!

お気軽にお問い合わせください。

 

★経営実践研究会についての詳細はこちら ⇒ https://chiikino.jp/blog/?page_id=42

 

Posted by admin on 金曜日 2月 19, 2016 Under pick up, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

 

1月24日(日)は公益社団法人広島県建築士会主催、
1月30日(日)は公益社団法人滋賀県建築士会主催のセミナーにて、 講演を務めさせていただきました。

両講演とも40~50人の建築士会の会員さまにご参加いただき、
・理念と利益 ・マーケティングコンセプト
・3C 分析
・市場規模とは何か
・消費の三要素
・地と図の関係 等フレームを元に事例を紹介し、
身近な商品から木材、木材産地のブランディングについて、 ご紹介させていただきました。

また、今回は設計や工務店関係の皆さまを対象にした講演ということで、
「林業と木材のトータルデザイン」をテーマに林業産地の取り組みについて、
弊社が支援させていただいている地域を中心に、 多数ご紹介させていただきました。

 

 

例えば、奈良県川上村では、 村と林業木材団体が共同で「吉野かわかみ社中」を発足させ、
川上産材の需要供給の安定、人材の確保と後継者育成を目指し、
川上産吉野材の一貫供給体制と情報拠点の構築に取り組んでいるところです。

お施主様や設計士、工務店様向けの伐採ツアー等のイベントを実施し、
素材づくりから体験する 家づくりを提供しています。

中でも社中で企画しているマグロ解体ショーならぬ、原木解体ショーの写真には、
家づくりに携わる建築士の皆さまから、好評をいただきました。

 

 

地域が変わって信州松本では、
素材生産~製材メーカー~設計士~家具小物までそれぞれのプロが集まり、
ソマミチ」というチームを発足させ活動中です。 こちらも林業ツアーを開催し、
特に湘南エリアの都会からのお施主様を山にご案内して、 信州地域で豊富にある落葉松(カラマツ)の資源を活かす活動を行っています。

チームの理念は「木を使う社会の仕組みをつくる。」
ソマミチとは、杣の道(杣=かつての山仕事をする人の呼び方)から来ていて、
山と人の関係性を象徴する言葉として、ソマミチというチーム名で活動しています。

 

他にも、
・三重熊野の野地木材工業株式会社
・出雲石見の竹下木材有限会社
岡山県西粟倉村の株式会社西粟倉・森の学校
・兵庫播州の木原木材店
・富士山麓の影山木材株式会社
高野山(高野山寺領森林組合)・・・
日本の地域を伝え、国産材を使った製品づくりに取り組む製材メーカーの特徴をご紹介し、
それぞれの地域でどのような川上~川下連携が行われているのか、解説させていただきました。

 

 

2014年には、これらの各社がジャパンホーム&ビルディングショーへ「club プレミアム国産材」として共同出展しています。

今回の講演では、当日の様子を写真や動画を使ってご紹介させていただきました。
このように林業~製材メーカーの事例をご紹介した後は、 自社の経営に活かしていただくために、「住宅10ニーズ」をご紹介。
「家づくりにおいて、お施主様が重視されるポイントは何ですか?」と、ワークショップ形式で改めて考えます。

やはり立地、資金計画、住宅設備諸々・・・と優先順位が付く中で、
国産材や素材にこだわるお施主様は、ほんの一握りではありますが、
そのようなお施主様に対して素材や地域の魅力を提案し、 大手ハウスメーカーよりも、選ばれる地域工務店になるには?

また弊社が支援させていただいている地域や、 それらと連携して工務店支援を行う木材流通店を事例にご紹介させていただきました。

マーケティングから林業、産地連携、家づくりまで、内容盛りだくさんの講座ではありましたが、
「動画やワークショップ等、飽きずに楽しく参加できました」とご好評をいただきました。

参加者様アンケートから一部、コメントをご紹介します。

A様「分かっているつもりでも、住宅10ニーズの重要性を再認識しました」
B様「ひとり親方的に経営しているので、経営マーケティングの話が大変参考になりました」
C様「今までにない、明るい林業の話題が聞けました」
D様「ご紹介された商品の詳細な規格を知りたいです!」

~ ~ ~

今回の講演をきっかけに、 さらに広島県や滋賀県でも、川上との連携を増やし、
トータル林業の実践地域と協業が進み、 新たな住まいの「企画」と新たな「規格」木材による事業が展開されることを期待する次第です。

講演にご参加いただいた受講者さま、 企画運営を担当いただいた関係者の皆さまへ心から御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

Posted by admin on 土曜日 1月 30, 2016 Under pick up, すべての記事, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

 

 

昨年度から弊社が運営させていただいている、
川上村主催・商工事業者等活性化支援事業「 川上村ならではの地域ビジネス実践塾」。

 

今年度は2015年度10月から開始し、これまでに全4回の講座を開催してまいりました。

・自分でつくる!チラシ作成講座
・私もできる!インターネット活用講座
・口下手でもやれる!営業交渉講座
・成功から学ぶ!現地視察ツアー

 

そして今回は、今年度の最終回!!
村内を中心に、周辺市町村からも商工業者様にお集りいただき、
マッチング交流会を開催いたしましたので、当日の様子をご紹介いたします。

当日は吹雪の中でありましたが、
川上村のみならず、遠くは吉野町、王寺町、高野町からもお集まりいただきました。
お越しいただいた皆様、天候の悪い中ご参加いただきまして、誠にありがとうございました。

 

ということで、お集りいただいた皆様へまずは自己紹介タイムから!

 

「今日は自分の作っている作品を持ってきました!」

「出身は川上村外ですが、親元のルーツが川上村で何度も遊びに来ていました。
川上村の木材を使った商品を作っていることもあるので、これからもよろしくお願いします」

「村外に住んでいますが、川上村の山林施業にも来ています。
新しい活動にも取り組みたいところなので、ご意見お聞かせください!」

「いつもお世話になっています。
川上村の地域おこし協力隊として活動しています。
最近は、新しくこんな活動をしています!」等など・・・

スクリーンに会社WEBサイトを投影したり、チラシを見せながら、一人3分程度のスピーチをいただきました。

 

夕方6時から開始した交流会、そろそろお腹も空く頃・・・
川上村の喫茶店・Seasonにて、サンドイッチ&軽食セットをご用意いただきました!
軽食とお菓子&コーヒーをつまみつつ、ここからは立食交流タイム♪

 

自由に席を移動して、名刺交換をしたり、持ち寄った作品を紹介していただいたり、

初対面の方もありましたが、和気あいあいとした雰囲気でお話が進みます。

「え!この商品のラベル変わったんや!知らんかった~」
「こんなにエエもん作ってるんやねぇ」

と、顔を合わせて話してみると、近くの村民同士でも意外と知らない新情報があるものです。

また、林業木材業に携わる人が多い川上村では、
山守、山主直営の施業班、独立した事業者、製材所と
同業界にいながら形態の違うプレーヤーである方々から、
業界や仕事、将来について熱く議論が交わされる場面もありました。

終盤にはまとめ講座として、 古川が川上村へ通うようになった原体験や、
事業の理念と利益について、お話させていただきました。

~~~

参加者様からは、
「交流を通じて自分の言葉で話すことで、アウトプットが生まれます。
だから、何をすべきか、頭の中が整理されて良い機会になりました。」

「普段はPTAや消防団等、地域の役回りでの接点ばかりの方々と、
おなじ事業者として交流できたのは新鮮でした。」 という感想をいただきました。

最後には、「私は最近、こんな漫画にハマっています!内容が面白いだけでなく、
少ない表現で洗練して情報を届けるとは何か、モノを売る人間として、非常に学びの多い漫画です。
是非、皆さんも読んでみてください!」と、情報提供もありました。

例えばモノづくり、営業、組織を支えるということ等…
業種が違っても、事業運営に係る共通テーマは多々あるものです。

今後も弊社では、川上村や商工会、地域の事業者様と共に、
このような勉強交流会を開催し、川上村ならではの地域ビジネスをご支援させていただければ幸いです。

 

天候の悪い中、ご参加いただいた皆様、改めて心より御礼申し上げます。

 

Posted by admin on 火曜日 1月 26, 2016 Under — ちいきの地域, pick up, すべての記事, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

 

国産材ビジネスセミナーin東京、ついに2015年度最終回!!
第5回目を開催し、今年度のカリキュラムを終了いたしました。

最終回は、今までご紹介してきた内容を凝縮しつつ、
「林業バリューチェーン」をテーマに開講しました。

 

【話題提供】新春年賀状からみる、年賀状デザインのポイント

まずは新年一回目ということで、年賀状をテーマにご紹介。

弊社にいただいた年賀状を参考に分析して、
「年賀状デザインのポイント」をご紹介しました。

年賀状作成のアプリやソフトが普及し、誰もがきれいに年賀状を作れるようになった今、
数ある年賀状の中で、もらった人の心を掴む、
他社との差別化に効果的なポイントとは何でしょうか?

それは、

1)会社ブランドの統一性
⇒ロゴマーク、コーポレートカラーが使われ、一目でその会社だとわかる

2)営業的な要素
⇒最近の商品や事業内容、トピックスがわかる

3)目を引く親近感
⇒手書きコメント、社員の顔が見える

 

いただいた年賀状を参考にこれらのポイントをご紹介しました。

年賀状の利用枚数はピークの2003年から徐々に減少していますが、
他の人(会社)が出さないからこそ、
年に一度の、顧客やパートナー企業とのコミュニケーション機会として、
年賀状をしっかりにご活用いただきたいところです。

さて、ここからセミナー本編へ。

 

【1】バリューチェーン分析から林業界を見る!

 

まず始めに「バリューチェーン」とは、原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでの企業活動を、
一連の価値(Value)の連鎖(Chain)としてとらえる考え方のことを言います。
今回のセミナーでは、林業~製材~建築業のバリューチェーンを分解し、弊社岩井から解説いたしました。

例えば、「林業」を例に挙げると、
地拵え、植林、下刈り、除伐、間伐、枝打ち・・・と、
チェーンを分解できます。

その中で、ボトルネックになっている部分、利益を生み出している段階を見極めて
戦略をたてることができます。

 

また これを、業界全体に当てはめて

林業→製材→加工→建築・・・

などの流通段階を一連のチェーンと考えると(バリューシステム)

 

改めて、山で育てた木が使われるまでに、

・多く時間とコストが掛かっていること
・BtoB、BtoC、BtoBtoCと様々な業種が携わっていること
・プロ~兼業~ボランティアまで、携わる人の裾野が広いこと

などが分かり、林業木材業全体のバランスを俯瞰することができます。

またこのバリューチェーン分析の必要性について、異業種の事例を見てみると、

「サプライヤーの育成」と「流通改革」

がカギといわれています。

 

例えば、世界最大の食品・飲料会社であり、日本でもおなじみの「ネスレ」。

ネスレでは、オーガニックで安心安全なコーヒー豆の商品化に向けて、
コーヒー豆の栽培に携わる従事者の生産能力アップと、労働環境の改善が
課題となりました。

そこで、
・サプライヤーである農家の生産性を高めること
・農家の労働状況を改善し、従事者数を増やすこと

これらに取組むことで、バリューチェーン全体を改善し、
オーガニックコーヒーの商品化を実現しています。

林業木材業界においても同じく、

・製材業が林業事業体と連携して、優良材の安定供給体制を構築
・原木市場が林業事業体に造材指導をして、ニーズにあった原木供給を目指す

といった「サプライヤーの育成」を通じて、
木材の付加価値、企業の付加価値を高めている事例が多々あります。

受講者からは、

「木材は1世代で商品にならない素材だが、先祖が世話をしてくれた分まで、
育林コストとして計算すべきか?どの範囲までバリューチェーンに含めるのか」

といった質問もあり、大いに関心をもっていただけるテーマとなりました。

 

 

【2】林業木材業の地域連携事例紹介

 

林業バリューチェーンの考え方に基づき、第二講座では、
古川より日本各地の事業連携の事例をご紹介しました。

弊社がコンサルティングさせていただいた地域において、

・属人的な連携
・仕組みの連携
・組織の連携
・ソフトな実務連携
・ハードな経営連携 等…

多種多様な連携の形がありますが、これらを一挙ご紹介いたしました。

どの地域連携においても、

・共通の規格を定め、個々のレベルを高める
・役割分担を明確にする(例えば、ものづくり、営業、総務を分担する)

このようなルールが最低限必要であります。

地域での連携とは、仕事の奪い合いをするのではなく、
「ここはプロに任せよう」と、責任の明確化と役割分担を行った上で、チーム全体の力を高めていることが分かります。

また、弊社が事務局を務めるclubプレミアム国産材は、
遠くの同業種が集まった産地連携の一つです。

弊社では今後もセミナーや研究会を通じて、
商圏の被らないメンバー同士だからこそ可能な
情報交換や連携のご支援をさせていただければ幸いです。

 

【ゲスト講座】意外と似ている? PC業界と林材業 ~低成長時代のビジネスモデル~

 

さて、今回は(株)トビムシ取締役の小林洋光氏にゲスト講座をいただきました。

小林氏は、森林・林業を通じて地域活性化を支援する㈱トビムシ取締役を務める一方で、
外資系パソコンメーカーのレノボ・ジャパン㈱法務部を経験され、
法務の面から、日本の地域や林業を繋ぐ活動をされています。

そんな小林氏から、まずは法務関係のトレンドをご紹介。
2015年3月31日に「民法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、
同日中に通常国会へ提出されましたが、

今後の民法改正にあたって、住宅の欠陥トラブルはどのような影響を受けるのでしょうか?

バリューチェーンを考えれば、
確実に木材、林業界へも影響をおよびす住宅クレーム。
工務店業界のみならず、林業界も今から理解しておきたいポイントについて、話題提供をいただきました。

 

次に、今回のメインテーマへ。
異業種であるパソコン業界から見た林材業といった切り口で、お話しいただきました。

まず、一見すると似て非なるパソコンと林材業ですが、
「生活の大半を共にするモノ」という点では、共通しています。

また、市況においても、

・建築の新築着工棟数、市場規模 → 減少
・パソコンの出荷実績、平均単価 → 減少

という、いずれも右肩下がりの低成長時代のマーケット環境という点で、
類似する部分が大いにあるということです。

そのような環境下で、パソコン業界においては、「自社のバリューとは何か?」をとことん考え、
デザインの訴求、用途に適した機能性の訴求、技術革新、
競合他社や競合商品との差別化を徹底して考えています。

そのような中で、異業種に携わる小林氏からみた林材業界には、
掘り起こされていない価値伝えるべき埋蔵情報の宝庫であり、
さらに、伝えたことが情報ではなく、伝わったことが情報となる時代であると、メッセージをいただきました。

豊かな地域性と年月を背負って育まれた木材は、希少性の価値ある商品であり
さらに快適性能や健康性能を科学的根拠で伝えたり、
異業種の販売方法や保険サービスを取り入れて伝えられたいと、ご提案いただきました。

 

 

【まとめ講座】明日からできる!事業計画の立て方

 

今回のセミナーでは、バリューチェーンの観点から、多種多様な連携についての話題をご紹介しました。
一方で、連携によって地域全体の力を高めるには、
そもそもに地域に強い企業があり、経営者がいることが要であります。

強い経営を目指すために必要な、事業計画の立て方とは?
弊社古川がコンサルティングでお伝えしている要素を5つに絞って解説しました。

また、林業、製材業、木材流通業の黒字企業の業界平均データを用い、
粗利率や営業利益、経常利益とは何か?
経営の基本となる考え方をレクチャーいたしました。

経営を考えるにあたり最も重要となるのは、「時間対粗利」であり、
右から左へモノを流通させるのではなく、「付加価値」を高めて仕事をつくること、
さらに、時間に対してどれだけ有効な粗利を生み出せるかということです。

最後にこのようなメッセージをお伝えして、2015年度国産材ビジネスセミナー最終回を終了いたしました。
2015年度は、全5回のメニューを開催いたしましたが、いかがでしたでしょうか?

 

最後に、受講者様の声をご紹介します。
アンケートにご協力いただいた皆様、貴重な声をありがとうございます。

来年度の開催 については、こちらのブログにてご紹介させていただきます。ご期待ください!

 

★★★お客様の声★★★

■木材業 I様
初めて参加させていただきましたが、大変興味深いお話ばかりで面白かったです。自分が林業という業界について知らないことが多いことを改めて実感しました。また、PC業界の対年度成長率が約-40%という事実には驚きました。やはり異業種から見る林業という視点は、林業に携わっている人にとっては、とても斬新であると思います。このような視点の話をもっと聞いてみたいと思いました。

 

■公務員 S様
顧客設定とコンセプトが大切という点が印象に残りました。本日のセミナーを聞いて、自治体(村)をどうしたいのか、目標(ビジョン)を立てるべきと思いました。また、ゲスト講座を聞いて、より木材業界は生活との密着を考えること、営業と技術者の考え方のズレをすり合わせることが必要だと思いました。今後のセミナーでも、事例紹介を聞いてみたいです。

 

■公務員 I様
行政という立場にいて、果たして何をすべきなのかを考えるきっかけになりました。山林面積の多い自治体において、資源を有効活用できていない点があります。地域の木材関連業者と共に真剣に考える場を設けるために、今後もご協力いただきたいです。

 

■バイオマスエネルギー関係 K様
利益を何に使うかを考えることが大切という言葉が印象に残りました。地域で連携をとることが各企業にとって、業界にとっても良い効果を生み出すということが分かりました。地域の状況を全員が把握し、問題を解決するために何をすべきかを、全員で考えること、その時に、きちんと数字から分析していくことが重要だと思いました。また、林業は他業種の視点を持ち取り入れていく事が重要と実感しました。

 

■学生 T様
日本的な協力と、欧米的な協力(連携)の違いについてのテーマが面白かった。経営に係る利益には5種類あること、戦略、戦術、戦闘の違いが分かったこと、事業計画を立てるにあたって、事業内容を4つに分けて組み立てること、バリューチェーンと、まとめ講座を通じて全体的に繋がりを持って理解できました。伝えたことが情報ではなく、伝わったことが情報となる時代であるというところに、森林・林業の伸びしろがあると強く感じます。異業種に認められるバリューとは何かという考え方が必要であり、魅力になると感じました。

 

■林業 S様
近くの異業種、遠くの同業種と接点を持つことが重要であるとのメッセージが印象に残りました。事業計画の立て方のポイントを聞いて、自分の行っている事業で欠けている点が分かりました。今後、もう一度事業計画を見直していきたいと思います。

 

■木材業 H様
連携構築の在り方について、自分の地域を想像しながら聞くことができました。また、事業計画の立て方は、勉強になりました。ゲスト講座を聞き、異業種事例を聞くことで、森と材木のバリューを繋げていく事を積極的に考える重要性を感じました。

 

■製材木材業 U様
バリューチェーンという言葉の意味についてしっかりと説明を受け、自社を振り返った時に、改めて考えさせられる点があり、非常に勉強になりました。今回がセミナー初参加でしたが、製材業に携わりつつも、林業という仕事をあまり念頭に置いていなかったことが分かり、川上~川下までの一連の流れを理解する良い経験となりました。異業種からのゲスト講座も大変興味深かったです。今後も、国産材を使用し続け、また、エンドユーザーが求めているのか、色々な角度から分析して商品展開のヒントを教えてほしいです。

 

■学生 Y様
バリューチェーンや連携・協力のテーマは、会社を細かく分析する上で大変役立ちそうだと思いました。今後、就職し会社について分かった上で、より現実味を帯びて理解できる内容だと思います。事業計画については、自分の場合は人生計画に置き換えて考えてみようと思いました。利益率についての内容は、社会人になる前に知ることができて良かったです。復習して、理解を高めたいと思いました。ゲスト講座について、PC業界と木材業界の類似点があるという視点が面白かったです。木材業界が成長できる伸びしろが見えました。異業種では当然のことでありながら、木材業界が取組んでいない点に改めて気づき、もっと良さをアピールしていきたいと思いました。

 

■旅行業 O様
林業バリューチェーンの図式が分かりやすく、原木流通業の企画性を高める必要性についての話題も印象に残りました。林業木材業に関わる人やお金の規模感が掴めて分かりやすかったです。ゲスト講座では、「伝えたいことが情報ではなく、伝わったことが情報となる時代」という言葉に納得しました。今後も業界の最新情報を得るために参加させて下さい。

 

■まちづくり関係 M様
協力にあたって、役割と責任を明確にすることの必要性について、印象に残りました。セミナーを受講して、市場の概観が掴めたのが良かったです。もっと林業について知るコンテンツを色々と探ってみたいと思います。林業についてまだまだ知らないことばかりなので、今後も勉強していきたいです。ゲスト講座から「一次産業の中でも、林業ほど長期的な時間軸で続いてきたものはなく、貴い」という捉え方が新鮮でした。

 

■学生 W様
林業バリューチェーンを聞いて、林業から工務店業までの入り口と出口の窓口が広いことが分かりました。また、木材業の営業の大切さを知ったセミナーでした。林業の育林にあたって、過去の枝打ち回数まで把握して経営管理することも大切なのだと思いました。全国に様々な連携事例ができ始めているのだと知り情報盛りだくさんな内容で、とても勉強になりました。ゲスト講座でPC業界と林業と共通する点があるといった視点も新鮮でした。来て良かったです!ありがとうございました!

 

■学生 H様
初参加でしたが、林業の深さ、表面に出てこない部分を知りました。また、林業の将来性の分かる内容でした。

 

■デザイン業 S様
「情報力」と「行動力」で「交渉力」を高めるといったテーマが面白かったです。「負け残り」とも言われるような、衰退産業の中で残っている木材業者の経営力についての話題も印象に残りました。事業計画の立て方については、そもそも事業を行う前に確認したい7つのことが紹介されました。自分自身が夢を見たいと思いながら、踏み込めない理由と共通する点がありましたが、「負け残り」という言葉の意味をポジティブに捉えて進めたらと思いました。ゲスト講座では、自己バリューと将来求められるバリューを徹底的に考えるということが勉強になりました。オススメ図書の紹介も嬉しかったです。今後は、事業計画の立て方について、さらに詳しく知りたいです。

 

■住宅業 K様
事例紹介で紹介された木製品の美しさに惚れ惚れしました。林業界のバリューチェーンを集約した資料をみて、改めて木に関わる業界が広範囲な一方で、どこも「全く問題なし!」と言い切れる業種はなくて、ますます自分のバリューをどこで発揮できるのか、考えさせられました。ゲスト講座では、PC業界について知れたのが、とても面白かったです。林業界のことを知らなくて勉強中ですが、もっと視野を広げて、比較しつつ色々と見ることも重要だと思いました。

 

■製鉄業 H様
日本的協力と欧米的協力の違いについての解説が面白かったです。ビジョンの置き方で、敵が変わるマーケティング視点も印象に残りました。林業バリューチェーンの図式を見て、改めて川上への還元がなされていないことが確認できました。バリューチェーンの視点で、自らのストーリーも見直してみたいです。ゲスト講座についても、PCはじめICT業界の閉そく感について、改めて納得しました。ヒントになることが聞けました。

 

■エネルギー関係 H様
「理念なき利益は犯罪であり、利益なき理念は寝言である」という言葉が印象的でした。まずは行動!ということで今回参加しましたが、業界の事を色々と知ることができ、大変勉強になりました。異業種からみた林業の分析も面白かったです。

 

■林業 T様
今回は総まとめの回ということで、かなり多くの事例を詰め込んで得ることが出来ました。ゲスト講座では、林業木材業のバリュー(強み)を異業種からも認めてもらえるプレゼンで参考になりました。転職後も参加したいと思います!

 

■公務員 S様
偶発的に発生した利益で喜んでいてはダメで、計画を立てて、それ以上を達成した時に喜ぶことが重要と勉強になりました。5つの利益についての解説は、復習したいと思います。

 

■学生 H様
林業木材業だけでなく、どこでも使える知識として、利益や事業計画の立て方についてのテーマが勉強になりました。今まで、当事者意識というものがなく、生きてきました。今思えば、夢中になれるものを探して移り住んできたのかもしれません。これから社会を知り、新しい風にコテンパンにされても、夢中になれるものを探して動いていきたいし、動き続けます。お世話になりました。ありがとうございました。

 

Posted by admin on 土曜日 1月 16, 2016 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 国産材ビジネスセミナー(東京), 講演&研修 報告

広葉樹の森を巡る現地研修会、2日目の様子をお伝えします。

 

【1日目:24日(火)】

■オーダーメイドの集成材メーカー

最初に訪れたのは、町内で集成材製造を手掛ける日本木材工業様。
国産材、輸入材を含め多くの樹種を取り扱い、
オーダーメイド、小ロット受注生産で造作材を製造しています。

製品にする前には、職人による材料の見極めが欠かせません。

フィンガージョイントで接着していきます。

手作業による、小回りの利く工場をいかして、
こんなチャレンジも。

近年は地域材の需要も高まっているそうで、
これから国産広葉樹をいかした製品づくりにも期待が高まります。

 

■FSCの北の砦、製紙用チップ工場

次に、町内で生産される広葉樹の90%以上を消費する、製紙用チップ製造工場、

新北菱林産株式会社(岩泉工場)へ。

視察している間にも、
次々に、トラックやフォワーダ(地元の人はTW(テーダブ)と呼んでいます)で
広葉樹原木が運び込まれてきました。

岩泉町産のFSC認証原木を使用しているため、
出荷されたチップは、最終的にFSCミックス製品として、
ティッシュペーパーや印画紙などになります。

チップ⇒パルプ⇒紙へと。

この丸太一本から、ノート約1冊ができます。

FSC認証のティッシュ、箱の裏には岩泉町の地図も!

「岩泉町の木からできたティッシュと知ったら、大切に使う!」
参加者のみなさまも、普段使っている紙の源流を知り、感銘を受けていました。

地域の林業を支える大口需要としての
製紙業の重要性を再認識しました。

 

■FSCの北の砦、製紙用チップ工場

岩泉町内最後の視察先は、
製材、パレット加工、おが粉、堆肥製造までを手掛けるトーア木材株式会社様。

針葉樹のみならず、冷凍庫でも割れにくい広葉樹パレットも製造。

きのこ栽培の菌床用のおが粉は、育てるきのこの種類に応じて、
広葉樹の中でも細かく樹種が分けられています。

さらにはニーズに応じて、おが粉の目の細かさも数種類あります。

 

針葉樹、広葉樹ともに、木を最後までいかしきり、

多岐にわたるニーズに応え、商品を生み出す。

 

西日本などで一般的な製材所とは異なる、きめ細やかさに、
参加者の皆様も驚いていました。

 

■驚くべき多様性、広葉樹の原木市場

矢巾町へ移動し、最後の視察先は、
盛岡木材流通センターです。

東北地方では、針葉樹は大型工場への直送化が進むいっぽう、
広葉樹は多様なニーズがあり、入札で取引されています。

全国でも有数の広葉樹の市場。

ちょうど市日の前ということで、非常に多くの原木が集まっていました。

ほかの市場ではなかなかお目にかかれない樹種に、

参加者は興味津々で、用途や価格について質問していました。

 

一口に「林業」や「木材」といっても、日本国内でも多様性があり、
奥深い世界であることを実感します。

また隣接するアカマツの市場も見学。

「南部赤松」といわれ、日本有数の地松のブランド産地ならではの、
貴重なアカマツの原木を見ることができました。

 

今回は、広葉樹をテーマに二日間の研修を行いました。

現在の人工林資源や政策から、どうしても針葉樹にばかり目が向きがちな日本の林業界ですが、
広葉樹資源も着実に育ちつつある中、

今後、環境に配慮した森づくりや、海外との資源獲得競争、そして木材産業としての差別化を考えれば、
「日本林業の未来」としての広葉樹資源に視野を広げ、育林や生産体制の整備に取り組むことは、
将来の林業の発展にかかせないものでしょう。

 

今後も弊社では、林業木材業に対する視野を広げ、可能性をさぐる研修会を開催して参ります。

明日のビジネスと、明日の森づくりのために、学びを実践に変えながら、邁進して参りましょう!

 

最後に、お世話になりました岩泉町の皆様、盛岡木材流通センター様、参加者の皆様に、

感謝の念を述べ、締めくくらせていただきます。

 

誠にありがとうございました!

Posted by admin on 火曜日 11月 24, 2015 Under pick up, すべての記事, 国産材ビジネスセミナー(東京), 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

今年で7回目となりました、

経営実践研究会×国産材ビジネスセミナー 合同現地研修会。

11/23-24の二日間、今回は「広葉樹林業」をテーマに、岩手県を巡りました。

 

■岩手県の林業

岩手県の素材生産量は、

北海道、宮崎県につづく全国3位(1,370 千㎥(H26))であり、

アカマツの生産量は全国1位(191千㎥)

カラマツは第2位(322千㎥)

広葉樹第2位(280千㎥)

を誇っています。

 

ボリュームとしても多く、
また全国的に生産量の少ない樹種を多く産出しているのが特徴です。

 

■岩泉町

日本三大鍾乳洞である「龍泉洞」や、酪農で知られる岩手県岩泉町。

森林率93%を誇り、そのうち60%以上が広葉樹に覆われて、製紙用チップを中心に広葉樹の素材生産が盛んにおこなわれています。

その森林で、2003年にFSC(R)森林認証(グループ認証)を取得し、
現在、森林認証と広葉樹をいかした、新たな地域木材ブランドの構築に取り組んでいます。

 

町のシンボルマウンテンは、「宇霊羅(ウレイラ)山」。

アイヌ語で 「霧のかかる峰」という意味で、
そびえたつ岩肌と、たなびく雲が神秘的な光景です。

 

今回の研修会では、総勢24名のメンバーで、

この岩泉町および広葉樹の取り扱いが豊富な、
盛岡木材流通センター(岩手県森林組合連合会)を訪ねました。

その様子をお伝えします!

 

【1日目:23日(月祝)】

■60年生カラマツ林&広葉樹林

盛岡駅からバスで移動すること1時間半、
岩泉町の小川地区にある、カラマツ&広葉樹施業をされている、
南澤氏(林業会社経営)の森林へ。

冬になり、カラマツも広葉樹もすっかり葉を落としていましたが、
すっと伸びる樹形がよくわかります。

 

「自分は72歳、このカラマツ林は60歳、干支が同じです」

という南澤氏が手をかけて育成されてきたカラマツ林は、
樹高35mにまで成長しました。

順調に生育した理由の一つが、周囲の広葉樹林。

これが防風林の役目も果たしています。

 

広葉樹は植林はせず萌芽更新を利用しながら除伐を行い、
目的とする樹種を残して育てるという施業を行われています。

林床では以前、葉わさびの栽培をしたこともあり、
どこからか種が運ばれてきた、クワの木などが見られました。

(クマの糞から芽生えたのかもしれません?)

 

明るい広葉樹林やカラマツ林の空間を
多面的に活用した林業の可能性を、垣間見ました。

「目標は、100年生のカラマツに育て上げること。
需要は変わっていくので、市場も見ながら、お金に変えていきたい」

 

補助金や政策に寄らない、
コンセプトを貫く林業経営の在り方に、ヒントがあります。

 

■龍泉洞とFSC認証材

ここで観光タイム。
岩泉町に来てかかせないスポットが、日本三大鍾乳洞の龍泉洞です。

あの、宇霊羅山のふもとにあります。

 

実は、この龍泉洞の床板は町内で生産された
FSC認証カラマツが使用されています。

よく見るとあちこちに、FSCマークが・・・!

 

地域の観光産業をも支える、
林業・木材産業の存在感を感じていただけたでしょうか。

入り口の看板でもFSCをアピール。

 

参加メンバーで、記念撮影!

 

■岩泉の森づくり100年ビジョン

タウンメッセージに「森と水のシンフォニー」を掲げる岩泉町。

岩泉町役場林業水産室の今村氏より、町として取り組んでいる森づくりのビジョン、
そして計画中の地域木材商社についての構想をお聞かせいただきました。

 

森の恵みをモチーフにしたシンボルマークを掲げ、
広葉樹施業の研究と実践、
需要と生産のマッチングに取り組まれています。

参考URL http://iwaizumi-forest.jp/

今回の研修は、岩泉町役場様の全面的なご協力で開催されました。
引き続き、役場の皆様にもご同行いただきました。

 

■FSC認証取得の地域工務店

次に訪れたのは、東北では初めて、
建設業としてFSC(COC)認証を取得した、
株式会社西倉工務店です。

認証材をはじめ、地元の木材にこだわって施工されてきました。
倉庫には、近隣で生産された杉やカラマツ、
土台にはクリなど、適材適所に利用されています。

建築のみならず、多種多様に活用できるのが、木材の面白さです。

枝を利用したノベルティなど、
木をいかしきる、そして楽しさを伝える取り組みを拝見しました。
震災復興で人手も材料も足りない状況とのことですが、
地域に技術があり、地域で木材が手に入ることの重要性を改めて感じました。

 

■300年生きる家具を

次に、おもに岩手県産の広葉樹を使って
家具製造を行っている、岩泉純木家具有限会社を訪問しました。

製材業から創業されたという工房では、
一つ一つ、職人の手で作られる家具の製造行程を見学しました。

樹種により異なる特性を熟知し、
お客様のライフスタイルや嗜好に合わせて、
適した樹種や加工を提案されています。

工房に掲げられた経営理念に基づき、
木の命をいかすものづくり。
若手の職人も育成されています。

新調したばかりという作業服には、
岩泉の森のシンボルマークが。

これからは、町内の広葉樹をつかった家具づくりにも
積極的に取り組まれていきます。

 

■講演会:岩泉の明日の林業をつくる会

岩泉町内の林業木材業関係者でつくる
「岩泉の明日の林業をつくる会」との合同勉強会を開催し、
研修参加者と合せて総勢60名以上の参加となりました。

はじめに、基調講演として株式会社ワイス・ワイス代表取締役の佐藤岳利さまに
ワイス・ワイスの取り組みについてご紹介をいただきました。

今回、佐藤氏には特別ゲストとして、
社員様とともに、二日間の研修会にご参加を頂きました。

現在、国産材や顔の見える木材での家具を数多く手掛けられている佐藤氏は、
実は7年前にも岩泉町のFSC認証林を訪れていました。

岩泉町が新たな挑戦を始めたタイミングでの、再会という形となりました。

 

岩泉町を訪問した2008年以前にも、家具や店舗空間を手掛けられてきた佐藤氏。
しかしその背景にある違法伐採や木材加工の労働環境を目の当たりにし、
これからの方向性を模索している中での、岩泉町との出会いでした。

その年を境に、顔の見える木材と作り手に特化した商品開発、
製造工程や素材仕入れの切り替えに取り組んでこられました。

結果として、生産者、販売者、顧客との良好な関係が生まれ、
利益率も高まっていった実績をご紹介いただきました。

これからの時代の
顔が見える製造、流通の可能性を大いに感じるご講演でした。

 

次に、岩泉町の森林認証取得をサポートされた
アミタ株式会社の小川直也氏より、FSC認証とは何か、
改めて基礎知識についてレクチャーを頂きました。

戦前までは、地元の木を調達して建築や燃料に使うのが当たり前でした。
しかし木材流通が発達するにつれて、調達の利便性は向上したものの、
トレーサビリティが脆弱になってきたという背景があります。

どこから来た木なのか、誰が加工した木なのかが分かれば、
ユーザーは愛着を持って大切に使う。

誰が使う製品なのか分かれば、作り手も想いを込めて作る。

その顔が見える流通が難しくなった現在において、
FSC認証をはじめとする森林認証は、
トレーサビリティを証明し、流通をつなげるひとつのツールにもなりうる。

森林の適正な管理のみならず、
流通をつなぐ効果や可能性についてご教授頂きました。

 

■懇親会

この現地研修会は、
開催地の林業木材業を肌で感じ、
新たな知識や経営のヒントを得るのみならず、

現地の方々や参加者どうしの交流も、大きな魅力の一つです。

 

勉強会の後は、恒例の懇親会。
こちらも出席率が高く、60名あまりの大宴会となりました。

地域の特産品である岩泉ヨーグルト等も堪能しながら、
参加者のスピーチが続き、大いに交流を深めました。

初日から密度の高い研修となった研修会in岩手。
2日目につづく・・・

 

Posted by admin on 月曜日 11月 23, 2015 Under pick up, すべての記事, 国産材ビジネスセミナー(東京), 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪), 講演&研修 報告

(画像は林業スクールwebより転載)

本日(10月25日)は、岩手県の釜石地方森林組合にて、
釜石・大槌バークレイズ林業スクールのオープン講座で講演させて頂きました。

http://kamamorikumi.jp/education/ (参考)

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの相川氏からのご紹介でご縁を頂きました。

 

強風のため伊丹空港まで引き返す可能背があるという飛行機へ搭乗。

揺れがひどい中、なんとかいわて花巻空港に無事につき、
そこから自動車で約2時間、途中、遠野市を経由して、釜石へ。

震災後4年、復興に向けて動き出しているとはいえ、まだそのあとが残る町の様子を見ながら、
新たな場所に移転した、釜石地方森林組合の庁舎に到着しました。

 

今回の題名は、

「森ではたらく!そのマーケティング理論と実践」
~全国の事例大公開&参加型ワークショップ~

と題しまして、
2講座に分けて行いました。

 

森林組合職員や山林所有者、素材生産業者、行政、ボランティア活動で森林に関わる人、まったく異業種の方など、非常に多様な顔ぶれの受講生の皆様とともに、4時間の研修となりました。

 

(第一講座の様子)

前半の第一講座は、
古川より、いつも全国でお話をさせて頂いている

1) 林業の原点
2) 情熱方程式
3) 理念と利益
4) 林業の市場規模
5) 消費の3要素
6) 3C(自社、競合、市場)

という概念を、
具体的なクイズを交えてお伝えしつつ、

岩井より、
弊社による全国のコンサルティング事例をお話しさせて頂きました。

(ワークショップの様子)

第二講座は、
4班に分かれての参加型ワークショップです。

前半でレクチャーしたいくつかのフレームを実際に使いながら、
「これがやりたい」というビジネスアイデアを持つ方をリーダーに、
その位置づけや方向性を整理し、まとめあげました。

 

Aグループは、
「私はボランティア活動をしているが、プロと一般市民の間にいるポジションの中で、
それぞれどのような役割をして、どういう技術(サービス)を付ければいいかを知りたい」

という声があがり、森林・林業に関わる、
プロ(専業)、アマ(副業)、アルバイト、ボランティア、一般市民における
各層別のアプローチについてディスカッション。

林業にかかわる様々なステージを生み出し、さらにそれぞれが連携してくことの必要性を発見しました。

(Aグループのアウトプット)

Bグループは、
「地域の美しい地域を残したい、森を伝え守りたい」
という理念を実現するために、エコツーリズムの利益(コンテンツ)づくりに挑戦。
「消費の3要素(必要性、欲求性、物語性)」に基づいて考え、
顧客単価を高めていくアイデアを出し合いました。

(Bグループの発表)

 

Cグループは、

「森林や自然環境をいかして、一般的な教育とは違う、森のようちえんをやってみたい」
という提案から、「3C(自社、競合、顧客)」のフレームを使って、
そのサービスは普通の義務教育や塾とどう違うのか、顧客となるのはどのような人か?を分析。

結論として、「顧客」でありながら、「競合」にもなりうるのは保護者であり、
保護者の理解や協力を得ることで、「自社」の仲間にもなっていくという、
教育ならではの課題や可能性が浮かび上がってきました。

(Cグループのアウトプット)

 

Dグループは
森に関わるNPOの持続性がテーマで、
こちらも3Cのフレームを用いて、
自社の商品、競合、顧客を、「既存と新規」に分けて、可能性を探りました。

(Dグループの発表)

 

このワークショップを通して、

1)ビジネスフレームを覚えるだけでなく、実践におおいに生かしていただきたいこと

2)所属や職業を超えたディスカション、交流により新たなアイデアが生まれること

 

この2つをお伝えできれば幸いです。

 

終了後、議論やアイデア出しにとどまらず、次の「実行」ステップへ進みたい!
というご意見も頂戴しました。

 

今回の経験をおおいに活用していただき、受講者の皆様のビジネスが発展していくことを、期待いたします。

我々も多くの学び、気づきを得た研修となりました。
関係者の皆様、誠にありがとうございました。

若い人材が多く、意欲的に活動を展開されている釜石地方森林組合様。
また必ず、釜石を訪れたいと思います。

 

Posted by admin on 日曜日 10月 25, 2015 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 講演・研修、コーディネーター, 講演&研修 報告

 

毎年恒例の、大阪大学「ソーシャルデザイン講座」で一講座を担当させていただきました。
※去年の講義ブログはこちら↓↓
 https://chiikino.jp/?p=1620

平成生まれの学生たちを前に、古川がお話しさせていただいたのは、
「自分をリデザインする」というタイトルで、
これからの進路や「はたらく」を考える際のヒントになればと話題提供をしました。
この講義のタイトルでもある「ソーシャル」とは何でしょうか?

弊社としても、とても大事にしている「理念と利益」のテーマになぞらえれば、

利益重視の「ヒルズ族」的な人達、
理念が何より大事な「エコロジスト」、
その先にある、
「理念と利益の両立」を実現する仕事を、
ソーシャルビジネスとかソーシャルデザインと(一般的に)いいます。

(ロハスが流行した時のソトコト編集長による4類型、あなたはどこ?どこに向かう?)

 

 

 

環境と経済を両立させる生業であるべき林業は、
ある意味で昔からのソーシャルビジネスであった。
山村での暮らしそのものがそれであった。

現代の企業がこぞってCSRをアピールしているとき、
林業には発信力が足りない、そして商品を売る力が足りない。

そこで、いかに顧客をつくっていくかという視点で
行っている弊社の事業についてもご紹介しました。

 

 

例えばこちらは、岩手県岩泉町にて、
FSC®国際森林認証による“めぐみの森”のコンセプト発信を目的にしたプロジェクトです。

ここ岩泉町は、日本で13番目に森林認証を取得し、10年が経過した地域でありますが、
その後の認証林拡大、需要拡大が進んでいない状況にありました。

プロジェクトを通じて、
①地域内事業者参加のワークショップ
②ブランドロゴ構築
③認証林拡大へ山主提案 とアプローチする中で、

岩泉町FSC®認証を表す共通のブランドロゴの完成し、
活動を通じて、地域内コミュニケーションが活発になり、今後は外部人材の投入に向けての展開へ機運が高まりつつあります。

 

このように、弊社では、

1)ビジョン(理念)をつくる

2)コンテンツ(利益)をつくる

3)組織を変える(動かせるor一緒に動く)

と、支援させていただいています。

他に地域の民間企業のコンサルティング事例もご紹介させていただきましたが、
弊社が実践するソーシャルビジネスから、何かヒントは見つかりましたか?

また情報氾濫社会の中で、普段から、ネット等の2次情報を鵜呑みにしていませんか?
自分で、足を運んで、行動してみませんかと伝え、最後に、講義のまとめでお話した、

「自分をリデザインする7つのこと」をご紹介します。

①自分の理念と利益は何か?
②情熱方程式の「好き」と「憤り」はあるか?
③行きたいところ、会いたい人、旅をする
④1冊は難しい本にチャレンジする(オススメ図書は峠)
⑤シンポジウムやセミナーに出てみよう
⑥アウトプット(デジカメ、文章化、ルール化しよう)
⑦7つめは、・・・・・・・・・[あえて割愛]

 

という事で、この後も昨年同様に、10名程の学生を交えて臨時のお食事会へ。
音楽を通じて海外と接点を持ち、アクティブに活動する学生から、自分の田舎(出身地)と日本各地でソーシャルデザインに取り組む田舎の両方を見つめて、「自分も何かやってみたい!」とアンテナを張っている学生まで、今年も大いに刺激をいただく場でありました。

最後に、受講の感想アンケートの中から一つをご紹介します。

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■法学部国際公共政策学科 A様

私は小学3年生のとき、新聞社主催の植林プロジェクトに参加しました。その活動は、記念品として渡されたスコップと軍手を使って、苗木を植える活動でした。しかし、植えた後、どのくらい育ったかなど見学する機会がなく、植えるだけの自己満足になってしまいました。そこで私が重要だと思うのは、持続性です、木に関心を持ってくれた消費者が、一時的な興味によって飽きてしまうのでは、意味がないと思います。世代間で継いでいる林業の方だけでなく、消費者も世代を超えて祖父→父→子に繋げる方法を探すべきと思いました。

■外国語学部 B様
漠然としたままの「将来起業したい」という夢が、このままではいけないなという意味で、少し遠ざかったような気がしています。一方で、まだまだ学んだり、経験を重ねることが必要だと思い知らされました。何よりも、人とのつながりが大切なのだなあと感じました。本日はありがとうございました。講義で、阪大の校舎内の木のことを教えてくれたので、改めて、木々を見て、帰りたいと思います。

■基礎工学部 C様
お金を大事にしつつ、お客、環境のことも大事に行動し決定する難しさを感じました。いずれは企業に就職するのでしょうが、その時に企業が行う事業の市場規模を考え、消費者の欲求性にいかに応え、顧客を増やしつつ、環境などにも配慮しなければならないと思うと、頭がおかしくなりそうです。事業次第では、流行り廃りを考えたり、他の事業との連携、周りとの立ち位置の関係を考える必要があると思うと…。講義、ありがとうございました。

■外国語学部 C様
自分の興味あることに対して、行動してみるべき、インターンに参加して実体験をするべきであり、やりたいと思いました。このような機会を持って、色んな人の考えを聞くことで、新たな考え方を得られたリ、刺激を受けたりできることはすごく有り難いです。

■外国語学部 D様
林業を通して、自分の将来をどうデザインするか、経営の仕組みなど、多岐に渡る分野について講義していただき、あまり経営に興味のなかった私ですが、興味深く拝聴することが出来ました。また、自分の将来を考える時に、「理念と利益」というキーワードをいただいて、ぼんやりと考えていた人生設計図をもう一度見直し、ブラッシュアップする必要があると感じました。理念だけ追求していましたが、利益が出る過程を考えていくようにすることが重要であると思いました。

■外国語学部 E様
私は正直、経営をやりたいと思った事がなく、経済に関して勉強するのは今日が初めてでした。しかし、古川さんのお話から、生活に隠された経済の仕組みを知り、面白さを感じました。また、林業の時間間隔(時間軸)や活性化の方法など、新しい分野の知識を増やすこともできました。これからの大学生活で様々な分野の知識を養い、自らの理念をデザインしていこうと思いました。

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この他にも、たくさん頂いたアンケートに感謝とお礼を申し上げます。
また色々と機会があれば、よろしくお願い申し上げます。
大阪大学の講義を聞いた学生のみならず、インターンに興味がある方は、遠慮なくご連絡ください。
→こちらメールにて。
info◎chiikino.jp
(◎を@に変えて、古川ちいきの総合研究所 インターン希望 と件名に記入頂き、ご連絡ください。)

Posted by admin on 土曜日 10月 10, 2015 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告