毎月大阪で開催している、経営実践研究会。

今月も関東から四国、山陰、
林業家から製材、流通、工務店業の経営者が集まり、
「遠くの同志」とディスカションとなりました。

今回のテーマは

●運送、配達オペレーションのノウハウ
●原木を買って一人で製材してみたら・・・ ~製材の楽しさと現実~
● JAS認定の取得について

 

 

参加者の一人の方に、奈良県から電車を乗り継いでお持ちいただいた「吉野杉」。

先日、あるwebニュースで大きく取り上げられたもので、

一人の女性が原木市場で丸太を買い付け、
自ら製材を手配し、自宅で天然乾燥し、
最終的には家具や小物、割り箸をつくるというプロジェクトを進めています。

これは、木材に対する理解を深めるための
PRも兼ねた試みですが、

ニュース掲載以降、SNSでのシェア数は2万件を超え、
多くの問い合わせがあったそうです。

 

この取り組みから見えてきたことは、

★原木や木材のビジネスモデル、マーケットに対する認知度・理解度の低さ(建築士や関連業種から)

★あらためて製材というものの「面白さ」

 

です。

例として、ニュースに掲載された単価を見て、

製品を購入した経験がる事業者などから、

「なんでニュースに載っていた原木価格は安いのに、製品価格が高いんだ」

といった問い合わせがあったということです。

 

製材品の原価には、

・原木原価(単価)

・製造原価(加工にかかる動力費、経費)

・運賃

 

が含まれ、さらに、

製品の使い方提案や情報提供など、眼に見えにくい付加価値を提供しているのですが、

はたして木材業の価値はどこにあるのか、改めて定義をし、見える化すること、

顧客である建築業や施主とのコミュニケーションの必要性を痛感する事例でした。

 

 

また、一本の原木から、

家具用材、桶や樽用材、割り箸用材といった「木取り」をあれこれ考え、

一つ一つの加工流通を追っていき、最終製品を作り上げるという取り組みは、

純粋に「楽しい」「面白い」ものです。

 

製材所経営者のコメントの中では、

「やっぱり、製材というのは、本来面白いものだ。

ただ、その面白さにとらわれ過ぎると、商売ができない」

というジレンマも。

 

一本の原木を自分で買って、製材して、初めて見えてくるもの。

●歩留りとビジネス性(収益性)、

●製材単価(原価)とオープン性(非公開性)

●地域との信頼関係の構築と、PR効果との背反性

 

などについても、

製材という仕事の奥深さと、ビジネスにおける特殊性をふまえたディスカションが繰り広げられました。

 

 

その他、ディスカションでは、

原木・半製品・製品の運送に関して、

●運賃の請求における設定と交渉方法、

●検収作業のノウハウ

●特殊材の取り扱いについて

メンバーが日頃の経験を持ち寄り、ヒントを探りました。

 

またJAS規格の動向について、全国の事例を知るとともに、

「一度取得したが、辞めてしまった」

という生の声から、その理由・課題について議論しました。

 

 

~~~

次回の研究会は、2月27日(金)14:00~18:00です。

■テーマ(予定)

(ゲスト講座)
・地域材を軸とした工務店グループ連携のビジョン

(ディスカション)
・製材機械オペレーションの改善

(話題提供)
・外部人材活用による地域活性化の成功要因
・市町村森林整備計画の実態
・木質バイオマス発電の地域ファイナンスとリスク評価

 

限定3社まで、無料体験も受け付けております。

ご興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。

 

☎06-7878-6376

または「お問合せフォーム」まで。

 

 

 

Posted by admin on 金曜日 1月 23, 2015 Under pick up, すべての記事, セミナー報告, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

森林セラピー、森のようちえん、木育。

森のちからを借りて、人が「生きる力」を取り戻すという試み、
その根源は同じだと教えていただいたシンポジウムでした。

 

昨年に引き続き、企画とコーディネーターを務めさせていただきました

シンポジウム「ライフ・アンド・フォレスト」を、キャンパスプラザ京都にて開催いたしました。

100名程の方にご来場いただき、3人のすてきなゲストの方々のご講演、
そしてパネルディスカッションと続きました

 

●森林セラピスト
 小野なぎさ さん

「森ではたらく!」にもご登場いただいた小野さんからは、

森林セラピーの科学的効果に加え、その本質的な意義についてご紹介いただきました。

 

都会人にとって、感覚を開放できる、非日常空間である森林という場を借りて、

「森に何かをしてもらう」のではなく、
みずからの感覚、五感をつかい、自分と向き合う試みです。

 

●京都・八瀬森のようちえん どろんこ園
代表  石川麻衣子 さん

 

京都市内で自主保育として活動されている「森のようちえん」で

子どもたちが森の中で元気よく、たくましく成長していく様子を

 

臨場感あふれる写真と、感動をさそう動画でご紹介いただきました。

会場からは、「感動して涙が出た」というお声も聞かれました。

 

●一般社団法人 木づかいビジネス協議会
 代表理事 多田知子 さん

 

木のおもちゃや木材に触れることを通して
人の主体性や感覚をよびさまし、empowermentを試みる「木育」について、

自らチェンソーを使っての森林整備や、ビジネスにも取り組まれる多田様の
多彩なご活動を通した独自の視点で解説いただきました。

 

パネルディスカッションでは、

京都大学農学研究科森林科学専攻の高部教授から、

木材の科学的性質をご解説いただいた後、

 

私 岩井の進行で、

主に3つのテーマについて議論しました。

 

①木材生産や環境だけでない、森や木のちからとはどんなものか

②そのちからを活かすのに必要な視点や実践の工夫

③森から知る、現代のくらしを豊かにするためのヒント

 

 

①では、懐が深い、五感を刺激する森という空間の特徴や

やはりマイルドに五感を刺激し、扱いやすいという木材の性質を含めた

「森のちから」を、改めて解きほぐしました。

 

森はいいよ、木はいいよ、と言うとき、

なぜいいのか?を、林業界もしっかりと理解しているとは言えない部分に、

すっと腑に落ちる答えをいただいたように思います。

 

 

③の、豊かに生きるヒントというテーマでは、

講演の中でも度々きかれた

「生きる力」とは何かについて、議論をしました。

 

「感じる」力、「自分で判断してやってみる」力、

人間が生まれもっているその”生きる力”。

森や木をつかって、少しだけ手助けをして、その力をはたらかせること。

あとは徹底的に「見守る」姿勢が、3つの取組に共通する特徴でした。

 

”自分でできた”という経験が、「自己肯定感」につながっていくといいます。

 

また、②の実践におけるポイントについては

それぞれの方の

 

・原体験

・プロフェッショナリティ(知識、技術)

・日々の実働(地域との地道なコミュニケーション等)

 

どれが欠けても、このすばらしい取り組みは実現できないものであると感じました。

 

 

今回ご紹介いただいた「森林セラピー」「森のようちえん」「木育」は、

森にまつわる取り組みとしては、新しく生まれた言葉ではありますが、
林業や木材業、すべての「しごと」に通ずる、多くのヒントをいただきました。 

また、どれもが、日々の暮らしの中で少しでもそのエッセンスを取り入れたい、
「私もやってみたい」と感じる取り組みでした。

 

進行をしながら。森の可能性をおおいに感じる、刺激的な時間でした。

 すてきな講師の皆様、ご来場の皆様、本当にすばらしい一日を、ありがとうございました!

 

今後も、このシンポジウムシリーズでは、
森とくらしの関係性を読み解き、可能性を発掘し続けたいと思います。 

 

(コーディネーター 岩井)

 

Posted by admin on 土曜日 1月 10, 2015 Under pick up, すべての記事, 講演&研修 報告

 

― 生活(くらし)の中から、日本の森林・林業を考えるシンポジウム ―
今年も開催決定!

弊社・岩井がコーディネーターを務めますシンポジウムが1/10(土)京都で開催されます。
どなたもお気軽にご参加ください。

 

■テーマ
「癒す、育む、森のちから」

森林セラピー、森のようちえん、木育など、森の力を借りながら人の成長や健康をめざす取組について、各地でご活躍の方に事例紹介をいただき、多様な森とのかかわりについて考えます。パネルディスカッションを通して来場者とともに議論を深め、森林や教育・健康に関心を持つ人の交流を深めます。

■ゲスト
・小野なぎさ氏(森林セラピスト)

・石川麻衣子氏(京都・八瀬森のようちえん どろんこ園 代表)

・多田知子氏(一般社団法人木づかいビジネス協議会 代表理事)

■コーディネーター
高部圭司(京都大学大学院農学研究科教授・認定NPO法人才の木 理事)
岩井有加(NPO法人京都・森と住まい百年の会 理事・㈱古川ちいきの総合研究所)

■日時
2015年1月10日(土)
13:30~17:00(13:00開場)

13:00 開場
13:30 開会
13:40 第一部:事例報告(小野氏、石川氏、多田氏)
16:10 第二部:パネルディスカッション

■場所
キャンパスプラザ京都第2講義室
[京都市下京区西洞院通塩小路下ル]

■参加無料
■申込不要

■主催
認定NPO法人才の木
NPO法人 京都・森と住まい百年の会

Posted by admin on 土曜日 1月 10, 2015 Under pick up, お知らせ, すべての記事

 

木質バイオマス施設に掲げられた国旗。

森への熱は世界共通!

技術は国際商品ですね。

Posted by admin on 金曜日 1月 9, 2015 Under すべての記事, ちいきのgraffiti~写真集~

平成27年1月9日(金)、
本日は愛媛大学樽味キャンパス、森林資源学専門教育コースの学生を対象に弊社古川が
新年最初の講師をさせて頂きました。

愛媛大学樽味キャンパス正門
愛媛大学では、林業の実践で役立つ人材を育てるべく、森林資源学専門教育コースを設置し、
理論の学習だけでなく、実践を通して幅広く深く、
森林についての学を深める場を提供しています。

 

古川は定期的に愛媛大学にてゲスト講師を努めており、
今回は、幼少の頃から森に馴染みがありこの学部に進んだ学生や沖縄など遠方より進学
した学生など20名以上の大学・大学院生にご参加頂きました。

 

講義は、日本三大美林は、人工美林といった日本の林業におけるポピュラーな話題提供からはじまり、
地域再生についてマーケティングや経済指標・経営的な視点からお伝えする内容となりました。
また、林業における経営力とは何か?を問う中で、国産材のブランド化に必要な7要素などを用いて、
現状の林業の課題や脆弱性を提示しました。

 

そして、複数の事例を交えながら、
各地域でいかに商品・サービスに付加価値を加えながら経営をするかといった事を紹介し、
最後には学生に向けて今後の林業や学生自身の将来についての
考え方や行動指針となるようなことを伝えさせていただきました。

テーマは「林業による地域再生」〜森ではたらく!暮らしと経営のプロデュース論〜として、
1,データと現場でみる林業・木材業界の理想と現実
– そもそも林業とは何か、そもそも林業の「担い手」とは何か
2,林業における経営力とは何か
– 地域資源(国産材)マーケティングの基本と実践
〜理念と利益、マーケティングのエッセンス、国産材ビジネス ブランド化7つのポイント〜
3,「森ではたらく!27人の27の仕事」(学芸出版社)から学ぶ若者のビジネスの5つのポイント
について、多くの事例を交えながらお話しました。

講演の最初は、日本三大美林は?日本三大人工美林とは?などのクイズを通して、
ディスカッション形式で進行していきます。
中でも、「好きな樹種とは?」の質問に対して、シロモジ、アオキといった
森林資源学部コースの学生ならでは?のユニークな回答も。

 

講義では、市場規模でみる林業、工務店やハウスメーカーの販売戦略としての
大量消費型や付加価値型といった分類など、学生にとっては日頃馴染みのない内容
ではあるものの、森林資源×マーケティングといった切り口は非常に新鮮であったようで、
熱心に耳を傾けて頂きました。

 

 

講義中の様子
いつも質問させていただくのですが、「理念なき利益は犯罪であり、利益なき理念は犯罪である」と
お伝えする中で、「理念と利益どちらを重視するか?」という質問に対しては、
8割の学生が理念を重視すると回答しました。

 

この質問に対する回答は聴講者や大学により比率が変わるのですが、
そのまま理念を大切に抱きながら、マーケティングノウハウなども身につけ、
理念と利益の両立をして頂きたいと思います。

その他、弊社がこれまでに”プロデュース”してきた事例を紹介し、森林資源をどう育て、
次の世代へつなげているのか。どのようにマーケティング要素を加味して、
ビジネスとして成立させているのか。
大学の座学を実践で活かすためのヒントとなるべく情報を紹介しました。

 

最後には、今後の進路を考える学生に、
森林に関わるさまざまな仕事や生き方があることを知っていただくためにも、
古川著書「森ではたらく!27人の27の仕事」を用いて、
普段の生活では知ることのできない、森林に関わるリアルな暮らしとビジネスを紹介。
27人の生き方から見えてくる、マーケティングだけではない視点、
生きていく上で大事にして頂きたい情熱方程式、自分を成長させる「旅・人と会う・読書」の必要性、
SMARTの法則などをお伝えしました。

 

森林に関する知識以上に、
今後の学生生活、将来はたらく上で役に立つヒントではないでしょうか。

 

参考図書として紹介された「森ではたらく!27人の27の仕事」と「林業男子」
素晴らしい学生のみなさんと出会う機会を頂いた愛媛大学の皆様に改めて感謝致します。
最後に、講義を受講された学生からのコメントを一部ご紹介させていただきます。
——–
学生からのコメント
——–

■Aさん
・地域から出て、初めてその地域のことがわかる。→地元のために何をすべきかが考えられる。
・お客が自分に何を求めているのか。自分にしかないものとは。
地元、地域のために必要なことを知り、をれを実践していきたい。

■Bさん

森林資源学コースにいながら、まだまだ森林について知らないことがたくさんあるこ
と
を改めて実感しました。
マーケティングの知識や林業の経営の仕方など学ぶことが
でき良かったです。
理念よりも利益か、利益よりも理念かとても難しいですが、
さらに深く考えていくと自分の卒論の研究などでも活かせそうです。

■Cさん

利益と理念、夢と現実についての話がとても興味深かったです。
マーケティングや活性化についての話も興味深く、自分も将来力になれればと
思いました。

■Dさん

今までは正直、講義を聞いても林家さんのお話を聞いても、これからの林業や林政に
あまり期待を持つことが出来ませんでした。
しかし、今回お話を聞いて全国各地で
いろいろな立場の方が努力されていて、
私も少しでも林業を盛り上げていけたらなと
感じております。
また「森ではたらく!」読ませていただきました。
私の地元、広島でも林業女子会できないかな、森林の面白さを他のコースの人にも
伝えられないかな、と沢山やってみたい!と感じることがありました。

■Eさん

今まで直接見学してきた工場や木材を取り扱う会社の動画を拝見してとても
感慨深かったです。
将来林業関係の仕事に就くかは分かりませんが、面白い講義だと思いました。

■Fさん

本講演では、木材の理念と利益のベクトルの話や、マーケティングについてなど、
林業における経営力の話が非常に興味深い内容で今までの自分には無い
考え方を学べ、
良い刺激になりました。
私はまだ将来の夢や明確な目標を模索している段階ではありますが、
本講演のおかげで、視野も広まり、将来のヒントになりました。

Posted by admin on 金曜日 1月 9, 2015 Under pick up, お知らせ, すべての記事, セミナー報告, 講演&研修 報告
  • 1ページ
  • 1