四国の真ん中、高知県本山町にて、

森林・林業ビジョン「土佐本山コンパクトフォレスト構想」を策定しました。

 

 

弊社は、策定に関する業務全般をご支援させていただき、1年の検討期間という短い時間ではありましたが、森林・林業に関わる事業体の皆様、観光協会に商工会、高校生までを加えた14名の策定委員と役場の担当職員の方々と共に、真剣かつ楽しく議論を交わし、時には会議室から飛び出して林業現場の空気感を共有しながら、計7回の委員会を経て、密度の濃いビジョンを作り上げることができました。
本山町には、四国一の大きさを誇る吉野川が、南北に伸びる町の中央を東西に流れ、上流には四国の水がめとも呼ばれる早明浦ダムがそびえ、町内には透明度が高く鮮やかなブルーが美しい支流も存在します。

また、吉野川沿いに施設や行政機能等が集約されておりとてもコンパクトで、国道や高速道路も充実し交通の便も良いのが1つの特徴です。

マチの周辺に目を向けると、吉野川北岸には全国でもここでしか見ることのできない貴重な天然のヒノキ群落が残っており、木材生産に適した人工林が多く育っています。

南岸には日本の原風景を感じさせる美しい棚田が広がり、その周囲にも豊富な森林資源が存在します。

 

このような個性的な特徴を洗い出し、さらに委員の皆様がそれぞれ抱く想いや課題を掘り出し、こうなっていたいという50年後の未来の山や町の姿、今自分たちが達成したいこと、やらなくてはいけないことを拾い上げ濃縮したのがこのビジョンになります。

ビジョンの冊子で表紙に描かれているシンボルマークも、前職ではデザイン業をし、退職後に本山町に移住をして林業をされている方に作っていただきました。
町の特徴と森林の多様なあり方(ビジョンで定めた7つの森)がぎゅっと一つにまとまったマークが出来たことで、委員の中の一体感が一層高まりました。

 

また、ビジョンを策定する前までの最近数年間の本山町の様子を振り返ってみても、美しい棚田を活かしたブランド構築を着々と進めていたり、機能が整ったアウトドア活動拠点ができたり、バイオマス発電と発電時に発生する熱を活用したハウス栽培施設が稼働したりと既に多くの情報、人、物が動いていました。

その上で、今回ビジョンを策定したことで関係者の役割が明確になり、各々が主体的に進める事の選択と集中がしやすい土台が出来たことで、より一層、目標達成に向けた動きが加速化することが見込めます。

コンパクトなマチと7つに色分けされた森を拓き、理念に共感する仲間を増やしながら、多様性と可能性が広がっていく今後のチーム本山に、是非注目ください。

(以下、本山町ホームページリンクより本文をご覧いただけます)
https://www.town.motoyama.kochi.jp/soshikikarasagasu/machizukurisuishinka/5/1063.html

 

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なお、
追記となりますが、
森林環境税が、2024年度から国民1人ひとりが年額1,000円徴収されていきます。以降はこれまでにも増して、市町村ごとに住民や企業に対する森林・林業に関する事業の明瞭な説明と、期限と具体的なゴールを定めたビジョンの必要性が高まります。

「森林環境税の使い方がわからない」の前に、どうありたいか、どうなりたいか。地域の方々と行政とが一緒になって討論していく。

またビジョンも策定をして終わりではなく、関係者が主体性を持って動かしていけるビジョンにしていかねばなりません。

私たちは、調査ヒアリング→委員会運営→仮説設計→ビジョン策定をするのみではなく、その後の活動まで伴走させていただき、その土地ならではの地域づくりを増やせるスタイルで業務を遂行するポリシーがあります。

ビジョンを策定したいが具体的にどう作ったらよいのか、また作った後の実行にどう移せばよいのかが分からない、森林環境譲与税(森林環境税)の運用や地域住民への浸透、啓蒙を合わせた計画を立てたいが、
マンパワーが足りないという地域の皆様は、是非一度弊社までご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 月曜日 4月 25, 2022 Under pick up, お知らせ, すべての記事, プロジェクト活動記

冬の到来を実感する12月5日(土)、令和2年度第3回 大阪経営実践研究会を開催しました。

新型コロナウイルス感染者増加により大阪府より外出自粛要請が発出された2日後。消毒・換気・ソーシャルディスタンス・マスクorフェイスシールド着用など感染防止対策を徹底した会場にて開催、かつ初のオンライン併催となりました。

 

まずは、参加者の皆さんからの1分間スピーチからスタート。
皆さん苦戦されながらの自己紹介⇒1分間の構成とその効果について古川の解説、という無茶振りからの学びを皮切りに始まった今回の研究会も、内容が盛りだくさん。

以下、概要をご報告いたします。

 

2020年林業・木材業界ヒット商品ランキング!【古川ちいきの総研選定】

年末恒例、毎年ご好評いただいている日経ヒット商品ランキングの解説と、古川総研独断と偏見による林業・木材業界ヒットランキング。

2020年はやはりコロナ禍の影響が色濃いランキング。林業・木材業界ヒットランキングでも「地域材の飛沫防止パネル」「キャンプブーム」「森林レンタル事業」などが取り上げられ、「こんな時世だからこそ」森林・林業・木材の可能性を感じられるランキングとなりました。弊社ならではの切り口によるランキング、時流を学んでいただくとともに、参加者の皆さまの笑い声が響く楽しいひとときでした。

⇒2020年林業・木材業界ヒット商品ランキング!【古川ちいきの総研選定】ブログはこちら

 

 

ゲストスピーチ

ゲストスピーカー2名より発表いただきました。

 

某大手企業のインハウスデザイナー様:

日本のインテリアリテラシーを上げるというコンセプトから、林業との出会い、北欧インテリアとの掛け算の可能性、古川総研との京都北山・吉野川上村プロジェクトについてご報告。彼は今後の古川総研にとってなくてはならないビジネスパートナーでもあります。今後さらに、企業社内のみでなく社外リソース(人財)とどのようにプロジェクトを創造していくか、そのような関係性が重要になってきます。我々の新たなチャレンジについては追って発信してまいりますので、どうぞご期待ください!

 

学生インターン:

大阪生まれのシティボーイながらも、都会や電子機器にまみれた生活に違和感を持つ関西の大学生より、今後の道を探るために出発した54日間の北海道チャリ旅の報告。古川レクチャーによって見出した旅の学び、古川のつながりで出会った北海道のある林業人へのシンパシーも語ってくれました。

古川行きつけのX JAPANファンが集まるbarのマスターから「林業に興味のある学生が来ている」と連絡があり休日の古川が駆けつけて出会いました。天運と地運。行動が運を上げることを古川から聞き、そして実行にすぐ移している頼もしい学生からの報告に、「どうやったらこんな若者が育つんだ」と参加者からの声が多く聞かれました。

⇒天運と地運については、こちらの古川ブログをご参照ください。

 

古川講座 「2030年⇒そして、2040年へ ~コロナに負けない、強く、美しい未来へ~」

今回も熱量多め、予定時間超過気味の古川講座(笑)。

東京町田で生まれ育ち、20年前に川上村に出会い、これまでに見出した5つの価値観が現在も古川の根幹となっています。根源を知ること、日常と非日常、都会と田舎。地域・林業からの学びから、森林に関わる仕事の責務とは何かと問い、市場規模、マーケティング。今だからこそ、林業と地域が見直される機会だということ、そこにはやはりマーケティング視点、経営視点は外せないということ。また、人材育成の視点として、この5つの価値観の衝撃をもっと若い人に経験させ、そして「ビジネス基本を鍛え」そして、地方へ羽ばたいてほしいという想いもお伝えしました。古川の原点、そこから経営・地域づくり・人づくりの考え方を改めてお話しした講座でした。

 

現地視察会@高知本山の振り返りと「2030年曼荼羅目標シート」

令和2年10月3日(土)~5日(月)に開催した現地視察会@高知本山(詳細はこちらのブログをご参照ください)。古川による学びの振り返りと、現地視察会参加者の宿題であった「2030年曼荼羅目標シート」発表をしました。

「曼荼羅目標シート」とは、大谷翔平選手が目標を実現するために描いた「マンダラチャート」を参考に、古川がアレンジしブラッシュアップした林業木材業向け目標達成フレーム。

(参考:外部サイト)目標達成シートを造ろう~大谷翔平選手も描いたマンダラチャート~

 

当社の目指すビジネスフレーム最終形態である「林業まちづくり構想(トータル林業)」、そこへ向かうための地域の名士へのヒーローズジャーニー、それを2030年、2040年へと共に戦い、共に日本の地域をカッコよく、ローカルで暮らしグローバルと繋がる人生、そして誰からも憧れられる林業、木材業の世界が広がって行くために。古川のまとめ考察と想いをお話しさせていただき、それを実現するには目標をSMART化(参考:外部サイト「SMARTの法則」)することが重要で、そのために「曼荼羅目標シート」で目標の「トータルでの見える化」が必要であったことをお伝えしました。

シートを提出した人から積極的な目標とともに「このシートを地元で見せて話すことで、実現に向けて動き始めている」「ほぼ達成の見込みがついた」のコメントがあるなど、他の参加者にとっても良い刺激になる熱いひとときとなりました。

 

2040年に向けての資産形成 ~税金対策より大切な未来投資とは何か~

経営者はもちろん、すべての人にとってこの社会で生きていくうえではずせない「お金」のこと。
プロのファイナンシャルアドバイザーである株式会社KYURH代表取締役 村上達郎氏をお招きし、お金の基本や資産形成についての勉強をしました。お金の価値、為替のこと、資産形成、欧米と比較した日本人のマネーリテラシーの低さ、日本と世界の状況・・わかっているようでわかっていないお金、投資、資産運用。ご自身のご経験や事例も多く取り入れながらのわかりやすく刺さるレクチャーに、参加者の皆さんは納得と興味津々の表情。「もっと知りたい!」という声が多かったため、希望者向けに後日詳細レクチャーをオンライン開催することになりました。異業種からのゲスト講座も特徴的なこの経営実践研究会。まさに「経営」を「実践」するための多角的な情報が得られます。今後も同業種異業種問わず、有効な講座を開催していく予定です。

 

参加者の声(一部抜粋)

【C様】

地域の仕事では、事業計画からではなく、自分のできること起点で広げて行き、その中でのつながりから事業を作り出すイメージの輪郭がはっきりわかってきました。

 

【I様】

「目標を達成するには何が必要なのか。」

これを曼荼羅シートに当てはめて書いて可視化することで、より目標を失わずに行動ができると思いました。

実際、参加者何人かの振り返りで「曼荼羅シートかまあることで行動規範が定まり、目標実現、あるいはそれに近づいている」と仰っていましたし、その効果は絶大みたいですね。

ただ、定期的にチェックしているからこそ効果があるのであって、書くだけなら誰でも出来ますよね。古川さんが仰っていた通り、トイレに貼ったりしたり日常で常にチェックが出来るような環境設計や仕組みづくりが必要なのだと思います。

 

【T様】

久しぶりの研究会楽しかったです。木材関係だけでなくプロダクトデザイン、WEBデザイン、金融など様々なプロが集まると、私のようながっつり林業・木材関係ではない業種の 人間にとっては大変ありがたいです。 何より各プロの方は古川さんのビジネスパートナーの方であるという安心感はかなり大きいです。

 

【W様】(初参加)

古川さんは全国津々浦々、林業地やその現状・課題を知っているし、情報が集まっているということが強みなんだなぁとあらためて感じました。

1側面や自社だけでは見えないことを知っているし、みなさんもそこを信頼しているのでしょう。(コンサルとしての知識量や分析のためのメソッドがたくさんあるということも当然ながら)

 

最後に

このように、概要だけでもなかなかの分量、人口密度は低くとも内容の密度は高い研究会でした。

講師も、古川はじめ、インハウスデザイナー、ファイナンシャルアドバイザー、学生インターンまでそれぞれの専門分野から多彩な内容。

林業・木材だけでなく、異業種、お金、経営・・今回も多岐にわたり充実した研究会になったのではないかと自負しております。

 

次回第4回は令和3年2月の土曜日を予定しています。

詳細は決まり次第このホームページ内「大阪・経営実践研究会[国産材ビジネススクール]」にてお知らせいたします。

次回もオンライン併催予定です。内容もお楽しみに!

 

Posted by wpmaster on 水曜日 12月 9, 2020 Under pick up, お知らせ, すべての記事, 未分類, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

 

【『令和元年度 森林・林業白書』に掲載されました】
 
毎年、林野庁より発行される森林・林業白書。
 
1年間の日本での森林・林業の動向が1冊にまとまっており、森林・林業に関わる人、興味がある人であれば、ご存じの白書でありますが、政策動向や各種情報が網羅され、図表も事例も分かりやすいため、是非多くの方に一読すべく良書としてお勧めしたいものです。
 
”そしてなんと、大変光栄なことに令和元年度版(最新版)の白書に、当社が紹介さました。
 
「特集 持続可能な開発目標(SDGs(エスディージーズ))に貢献する森林・林業・木材産業」の「第2節 多様化する森林との関わり」部分にて、林業コンサルタントとしてご紹介いただいています。

https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r1hakusyo/zenbun.html

上記リンク先の林野庁WEBページから、本文をご覧いただけます。

また、7月22日には書籍版が出版される予定ですので、是非こちらもお手にとってみてください。

 

【掲載部分抜粋

“(林業コンサルタント)

森林資源が充実し伐採量が増加する一方、高齢化により熟練の林業従事者が退職していく中で、経営を効率化し生産性を上げることは重要であり、自社の強みを活かし、この観点からコンサルティングのニーズを開拓している企業もある。

住友林業株式会社は、自ら手掛ける森林経営で 培った経験とノウハウを活用し、市町村や民間企業 に対して、ICTの導入支援や森林整備計画の作成、地域材のサプライチェーン構築等のコンサルティングを行っている。林業・木材産業に特化したコンサルタント企業も活動しており、例えば株式会社古川ちいきの総合研究所は、立地・規模・ブランドの視点で地域資源を分析し、市町村の林業を活かしたビジョンの策定、林業・木材産業に関わる企業(事業体)の経営力の向上、人材育成、採用・定着、商品開発、独自販路の開拓等の支援をしている。”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 火曜日 7月 7, 2020 Under — メディア掲載, pick up, お知らせ, すべての記事

 

令和2年2月22日(土)、今年度第4回の大阪経営実践研究会を開催しました。

今回は、弊社代表 古川が専門誌「都市問題」2月号寄稿した記念のセミナー&ワークショップとして急遽開催することとなり、8名の参加者にご参加いただきました。

今回のメニュー

1.各社報告

2.情報提供

・林業ニュースまとめ

・全国の最新情報

3.古川講座

「都市問題(2月号)」~森林で業を為す~

・寄稿で、書きたかった背景と未来。

4. ワークショップ

・たった1つの質問でわかる働き方改革の本質へ

・ディスカッション

5.まとめ

 

それでは、当日の内容を一部ご紹介します。

 

森林で業を為せるか?見えてくる未来。

弊社古川が、公益財団法人後藤安田記念東京都市研究所様より「森林で「業」を為す可能性」というお題をいただき、専門誌「都市問題」2月号に拙文を寄稿させていただきました。

月刊誌 都市問題(外部サイト)

https://www.timr.or.jp/cgi-bin/toshi_db.cgi?mode=saisin&fbclid=IwAR2wvpOhWLySU3tlZ-uGXffTP5ROPpbhUIMCeLGTlIvDbQ7TBkFDMxRW1Xs

先述のとおり、今回のセミナーは寄稿記念であるとともに、寄稿文では書ききれなかった「背景」と「未来」というプラスαもお伝えするものとなりました。

 

セミナーでは、古川が20年の経験の中で組み立てた仮説一万字の寄稿文をベースに、森林で業を為すための背景のうち「6つの視点」に絞って解説したうえで、それらから見出した「7つの成功要因」「3つのテーマ」を寄稿文プラスαの未来として提示させていただきました。

 

【6つの視点】

 1.林業ロマンを活かす使命感

長い時間軸と多くの人の手間ひまと愛情がかけてこられた林業。静岡の天竜林業の歴史を伝える動画「昭和31年 山は生きている https://www.youtube.com/watch?v=JS-8oWTH9lA&fbclid=IwAR3C4Lulvbn1rexspPaPtKCc1q39olNRMN8oVAtoaOIn-xTerMt1LyUpim0」を、天竜林業地との関わりも思い入れも深い古川よりご紹介させていただきました。

「林業の時間軸への敬意を持つと、まだまだひよっこの自分」「100年の木はいくらお金を積んでもすぐつくれない。」

林業に関わる中で強く感じたロマンと重み。「ロマンを活かさないといけない」「林業は、業として為さなければならない」

この使命感は、古川の原動力の1つです。

 

2.様々な「森林」を語れるか。行ったことがあるか?

古川は、林業の聖地 奈良吉野での原体験をスタートに、天竜、尾鷲といった日本三大人口美林をはじめ、全国各地でお仕事をさせていただき、様々な森林と林業を見てきました。その中で、本当に多種多様な林業のかたちがあることを学び、体感しています。「自らがフィールドとしている地域のことだけでなく、他の地域と森林・林業を歴史も含め学び、自分たちの地域の特徴を知ることがいかに大切か。」ということをお伝えしました。

 

3.林業の「カ・レ・シ」

林業の特異性として、古川が見出した3つのキーワードの頭文字が「カ・レ・シ」。これらは欠点かプラスか?逆手にとってビジネスにしよう!というお話しをさせていただきました。

 

4.原体験の必要性

古川には、2つの原体験があります。

1つは、出身地である東京都町田市でクワガタを採って遊んだ思い出の裏山が、開発で破壊されたこと。

もう1つは、奈良県川上村に「地域づくりインターン」で行ったこと。(どの自治体に応募するかを鉛筆転がしで決めたという運命、林業との出会い)

古川の情熱(好き×憤り)は、これらの原体験がベースになっており、「林業にはマーケティングの必要だ!」と自分の体験で実感したことが、今の仕事につながっています。

 

5.森林で業を為すための 2つの「軸」を見る。2つの「先」を見る。

森林で業を為すためには「2つの軸=理念と利益」、「2つの先=ビジョン(将来)とマーケット(顧客)」を見ることが肝要です。「林業の理念ってなんだ?」「林業が生み出す利益とは?」「暗い話にばかり目を向けるのではなく、顧客に向き合いマーケットを拓いて、将来をつくりだすビジョンを!」ということを、フレームと事例からお話しさせていただきました。

 

6.トータル林業のススメ

「林業」というと、どのような仕事を想像しますか?「木を伐ること、原木丸太を搬出して売ること=素材生産」「木を植え、育てること(植林、育林)」このようなところでしょうか。しかし実際、「林業」と名が付く事業者は「製材業」「建材販売」「工務店業」「森林サービス業」など、様々な業態を有します。その上で「規模によって戦略が異なること」「素材品質によって、競合設定と流通設計が異なること」を前置きし、これからの林業には2つの重要ポイントがあることをお話ししました。

 

①狭義の林業から広義の林業へ

素材生産業など従来言われている「林業」を「狭義の林業」と位置づけ、「素材生産」「植林・育林」に留まらない「業と為す」ための価値創造を「広義の林業」と捉えました。古川共著「森ではたらく!27人の27の仕事」でご紹介している事例はまさに「広義の林業」です。この「広義の林業」とは、林業に「タテの広がり」を持つこと、ともいえます。

「森ではたらく!27人の27の仕事」(外部サイト)

http://book.gakugei-pub.co.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1339-9.htm

 

②「業と為す」ためのマーケティング1.0~4.0

「顧客と向き合いマーケットを拓く」重要性については先述しましたが、その視点をマーケティング発展プロセスで考えることが重要である、ということをお話ししました。「マーケティング1.0(素材、製品)」から始まり、消費財(2.0)、空間、ライフスタイル・コミュニティの創造(3.0)まで拓くことが、今後「業と為す」ために重要な林業の「ヨコの広がり」です。さらには、サッカーの英雄ヨハン・クライフの提唱する「トータル・フットボール」をヒントに、林業関係人口を8つに分類しました(マーケティング4.0)。どの関わり方であっても、「所有からシェアへ」「地域社会へ利益と理念を還流」「自己実現をサポート」をキーワードに自分事化していくことが、これからの林業を、地域をつくっていくうえで外せないポイントです。

 

これら「タテ」「ヨコ」の広がりを持ち、さらに林業関係人口の多様性から「自分事化」することが、古川の提唱する「トータル林業」による「林業まちづくり構想」です。

セミナーではフレームで図式化したうえで解説したため、参加者により納得感を持っていただけたようです。

 

【7つの成功要因と3つのテーマ】

以上、6つの重要な視点をお話ししたうえで、これからの「林業6次産業化&地方創生」ビジョンとして、寄稿文には記載していない「7つの成功要因」と「3つのテーマ」を新たに提案しました。「何かすればうまくいく」というのではなく、結局はトータルな要素・視点での戦略が必要になります。

またさらなるプラスαとして、林業と日本の近代史についても軽く触れ、SDGsの流れについても地域の林業会社が如何に「あてはめて」考えられるか、そして同発信するかが重要だということもお伝えしました。これらについては今後の研究会で深掘りしていきます。ご期待ください。

参加者の皆様は、それぞれ地域で様々に森林に関わっている方々です。本セミナーでお伝えしたことが、これからの皆様の「森林で業を為す」力になれば幸いです。

 

 

その他

今回の研究会では、「都市問題」寄稿文セミナーのほか、「たった1つの質問からわかる働き方改革の本質へ(たった1つの質問からわかる人材採用定着の本質)」ワークショップのほか、林業ニュースのまとめと解説、弊社が関わる全国の最新情報のご紹介などもいたしました。

業界情報だけでなく、マーケティング・異業種との掛け算からも情報提供できるのが弊社の特徴です。古川ちいきの総合研究所では、森林・林業・木材業×異業種のプロジェクトも現在進行中。とても面白いことになっています。これからも、全国事例だけでなく、実践に基づく新たな情報をお伝えしてまいります。

 

参加者の声(一部抜粋)

【K様】

弊社の「当面の経営課題」とも被る内容が多く、参考になりました。地域創生とまでは言いませんが「地域に生かされる会社」を目指したいと思いました。トータル林業の「タテ」と「ヨコ」を意識して「林業まちづくり」、次なる取り組みに挑んでいきたいと思います。

 

【K様】

森林の多面的機能と林業が生み出している生産額の差の大きさに驚いた。一方で、林業に携わる方々が多面的機能にさらに目を向けると事業の可能性が広がるのではないかと思った。そのような視点が「トータル林業」にはあるのだと思う。マーケティング3.0、4.0によるトータル林業もとても共感した。大企業でないからこそストーリーを一貫して製品サービスを提供できる強みが林業にはあるだろう。

 

【O様】

マーケティング1.0の「QCD(品質、価格、納期)」が、基本・土台として大事だということを改めて感じた。1.0という基本を大事にしながら、3.0、4.0にまでビジネス、まちづくりを広げていけるように取り組んでいきたい。

 

【S様】

次の道に進む前に、古川さんの話が聞けて気がひきしまった。セミナーでは特に「自分事化」が響いた。自分の中で改めて林業を「自分事化」して次に進みたい。そして、顧客の自分事化もつくりだせるような仕事をしていこうと思う。

 

【T様】

自分事化は大事だと思う。事例について参考になったので、これからどのようにビジネスにつなげていくかということを自分事として理解を落とし込みながら実践していきたい。

 

さいごに

今年度最後の研究会が終了しました。

次回は令和2年度第1回として、4月11日(土)~13日(月)に高知本山での現地研修を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催延期させていただくこととなりました。

参加者の皆様だけでなくそのご家族、そして、受け入れ先だけでなく移動中も含む地域の皆様の安全を第一に考えたことによるものです。参加者の皆様にたくさんのものを得ていただきたいと、現地の方々と鋭意準備を進めてまいりましたため、残念ではございますが、人命が最優先です。

皆様も、私たちも、無事にこの非常事態を乗り切りましょう。

事態が収束し、改めて開催が決定しましたらご案内させていただきますので、それまでお元気でお待ちください。

 

Posted by wpmaster on 月曜日 2月 24, 2020 Under pick up, お知らせ, すべての記事, 未分類, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

12月21日(土)、元号改正により新しい時代を迎えた令和元年も早くも終わりに差し掛かる師走の末、

今年度第3回の大阪経営実践研究会を開催しました。

今回は、12名の参加者と1名のゲスト講師にお越しいただき、

今年の振り返りと来年の抱負を皆さんにお話いただくなど、年末らしいコンテンツを交えながらお届けしました。

 

 

今回のメニュー

1.各社報告

2.情報提供

・林業ニュースまとめ

・初参加者紹介

3.ちいきの総研講座~林業活性化最前線~

・関係人口創出拡大とは

・森林への期待とは「副業、複業、コミュニティ、マーケティング4.0」

4.ゲスト講座(京都大学森里海連環学教育研究ユニット 特定准教授 清水夏樹 様より)

・台湾(国際シンポジウム:2019山村緑色経済検討会)&グリーンツーリズムについて

・農山村活性化の芸術的テーマ、大学の目指す地域連携の実態と課題とは?

5.2019年の振り返りと2020年の抱負

・参加者による発表

・2019年ヒット商品ランキング

・2020年予測と抱負、今後の予定

 

それでは、当日の内容を一部ご紹介します。

 

 

関係人口創出拡大とは?森林への期待とは?

 

弊社代表古川より、AIDMA理論と移住定住方程式(交流人口)と見込み顧客(マーケティング戦略)の点から、
中小企業の目下のテーマである、募集・採用・定着への導線づくりをお話しました。

一昨年ごろからよく目にするようになった「関係人口」、この定義を皆さんご存じでしょうか?

総務省のポータルサイト(https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/)を見ると

『移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと』

とあります。

「人口」をテーマとした行政の言葉のイメージがありますが、単に人口としてみるのではなく、人の行き来である「交流」の中で起きる具体的アクション(観光、特産品購入、ふるさと納税、対話、頻繁に通う、ボランティア)による多様な接点の中に、民間企業の経営において人材採用・育成・定着のヒントが含まれています。そこで、注目するのがマーケティングフレームのAIDMAやAISASとなります。

交流人口といっても、まだその地域のことを知ったばかりの人もいれば、既に地域内で行動を起こしている人もいるはずです。どのような属性、段階の人口が多いのかを把握し、何を目的に人口を増やすのかを定める自治体、そして地域に根差す企業は学生との接点、インターン制度の在り方、研究者との連携、また地域での暮らし方の喜びとは何かというところを追求していくことで、採用のあり方、社員教育のあり方が見えてくるのです。

人材が足りないという企業様は是非、自社だけではなく地域という枠で血縁ではない地縁が増えていく関係性と仕組みを見ていただければと思います。

 

今回は、12月初週に訪問した台湾でのシンポジウムについてもご紹介したのですが、台湾のほうでも、日本の施策に倣い、「地方創生」「6次産業化」という政策キーワードから、
グリーンツーリズムへの力を入れているということでした。また古川と今回ゲストの清水様が見てきた林業・製材会社では、マーケティング機能もしっかり持っており、営業力の強化もできている中で、彼らが日本から学ぼう!という姿勢が見られ非常に紳士的でありました。今後は、台日交流を経て、お互いの長所を活かした、事業交流ができるとも考えています。

 

 

ゲスト講座~学術論文の評価が変わる!それは、会社の評価の変化へ!?~

今回は、京都大学森里海連環学教育研究ユニット 特定准教授清水夏樹様にゲストにお越しいただき、

農山村活性化の学術的テーマ、大学の目指す地域連携の実態と課題についてお話をいただきました。

普段、企業経営ではなかなかお話を聞くことが出来ない学術の世界ですが、特に興味深かったのが

「インパクトファクターから、オルトメトリクスへ。」というキーワードでした。

 

まず「インパクトファクター (impact factor、IF) 」は、「自然科学・社会科学分野の学術雑誌を対象として、その雑誌の影響度、引用された頻度を測る指標である。」(Wikipediaより)、

「オルトメトリクス(英: altmetrics)」とは、「学術論文の影響度を評価する指標のこと。学術雑誌の影響度を示すインパクトファクター (IF) や、研究者個人の被引用数を示す指数などでは定量化しにくい観点から学術研究を評価するために2009年から2010年頃に提唱されるようになった考え方、およびそれに基づく代替的な指標の総称。」(Wikipediaより)とあります。

 

これまでは、研究=既往の研究を重要視しているイメージが強くありましたが、現在では世間での評価、SNS等での広がりなどを指標とするオルトメトリクスが、指標になりつつあるということですね。

ビジネスにおいても、誰から評価されるべきか!?といことを考えると一般的には「顧客」が大きい存在かもしれませんが、広い意味での顧客ととらえれば「社会(地域の人たち)」の評価が、地域の実績、信頼、そこからの口コミに繋がり、起点として自らの情報発信からの反響といったことが、極めて重要になっているということとも捉えられると思います。

 

日々のオペレーション(接客、運営、営業対応)の良さが、SNSで広がる昨今、改めて、社員ひとりひとりの行動から、個人評価から会社評価、地域への評価へというところ、評判というところに、企業の魂を持っていくべきではと考えさせられた次第です。

 

また、清水様のお話の終わりの方では、「是非、企業は研究者をもっと使ってください」とお話をされていました。

木材業界では木材強度の計算で工学とのかかわりは強いかもしれませんが、是非これを機に社会学との連携、学術を活かした戦略も考えていきたいところですね。

 

 

2019年の振り返り、2020年の抱負

皆様にとって、2019年はどのような年でしたでしょうか?また2020年の抱負は既に立てられましたか?

本研究会では毎回、参加者の皆様から近況報告をいただいているのですが、今回は振り返りと抱負を併せて発表いただきました。

皆様のお話を伺っていると、2020年の抱負については主力事業の課題修正のお話をされている人もいましたが、特に多かったのは主力事業に加え補助(副業)事業への注力、

採用や社員教育といった基盤整備についての抱負が多いように思います。また、研究会メンバー同士で連携した仕入れ販売やイベント実施についても触れていただく方もいました。

 

また、「自社」(内部環境を)を徹底的に分析改善することも需要ですが、流行(外部環境)にも敏感にアンテナを立て、事業の参考にすることも重要です。ということで弊社では今年も日経トレンディが選ぶヒット商品ランキング2019(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00242/00002/)に合わせて森林・林業ヒット商品ランキング2019を発表しました。毎年楽しみにしているという方も出てきたこのランキング、参加者の皆さまも楽しみながら2019年の振り返りをしていただけたのではないでしょうか。

弊社ではこれからも異業種視点も含めた森林・林業の最新情報を発信していきますので、お楽しみにお待ちください。

 

 

参加者の声(一部抜粋)

【T様】

内容が盛りだくさんでした。今回の参加を金い、弊社でも中・長期の経営計画を考え始めたいと思いました。またグリーンツーリズムのお話については、「功罪あるが森林で一番人が動くのがツーリズム。」「農村という言葉があるが農村の明確な定義はない。」「研究者の評価軸が変化してきている」という点が印象に残りました。地域との関わりはこれから強めていきたいと思いました。

 

【M様】

今回も本当に勉強になりました。年末年始の事業計画作成のイイネタを仕入れられました。交流人口から移住定住人口への動きは、会社でいうリクルートの流れと同じという視点はなるほどなと思いました。移住(就職)した後に、以下に定住、永住(離職しない)する地域(会社)にするか。福祉の充実(福利厚生、給与面)なども重要ですが、住みやすさ(働きやすさ)全体をいかに感じられるまち(会社)にするかが大事ですね。社内で具体的な改善対応を考えていきたいと思います。

 

 

さいごに

今年最後の研究会が終了しました。

次回第4回は2月22日(土)を予定しています。

さらに先にはなりますが、4月11日(土)~13日(月)に高知県本山町にて現地研修会を開催予定です。市町村規模に合わせた林業とまちづくり、新たに出来たモンベルアウトドアヴィレッジにも注目の回となりますので、是非ご予定を空けていただければ幸いです。

詳細は後日、ご案内させていただきますのでお楽しみにお待ちください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 土曜日 12月 21, 2019 Under pick up, お知らせ, すべての記事, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

夏の名残と秋の空気の混在が心地よい10月26日(土)、新大阪にて今年度第2回目の大阪経営実践研究会を開催しました。

 

今回は兵庫、大阪、広島、高知、岐阜、愛知、長野、福岡の8府県から9名の方にご参加いただきました。

森林環境税や全国の最新情報の提供から、「なぜ、地域材か(総集編)」「まちづくりと林業、食と農と観光への事業連携」の2つのテーマを軸とした構成の研究会となりました。

 

今回のメニュー

【1】参加者近況報告

 

【2】ちいきの総研より情報提供

・某都道府県の林業事業体の経営力アンケートより

・森林環境税、山林所有者への意向調査から

・「顔の見える木材での快適空間づくり事業」から最新情報

 

【3】テーマ①「なぜ、地域材か。(総集編)」

・古川による「地域材利用の意義」フレームワーク化と解説

 

【4】テーマ②「まちづくりと林業、食と農と観光への事業連携」

  1. 一般社団法人ソマミチ トークイベントを終えて

 

  1. ゲスト講座

「食と酒からみた、まちづくり、~もう一度「農林漁」をつなぎましょう~」

 

【5】ディスカッション

 

 

【6】まとめ(古川)

 

 

手前味噌ではありますが、いつもに増して刺激的かつ有機的な情報とディスカッションの詰まった研究会になりました。

 

今回も一部抜粋して、当日の内容をご紹介します。

 

 

テーマ①「なぜ、地域材か(総集編)」

前回の研究会で参加者から問題提起されたこのテーマ。

 

「地域材を使うことの意義は何か?どのように説明したら良いか?」

「使い手、エンドユーザーが地域材を選択するために必要な要素とは?」

 

前回研究会では、全国から参加の皆様より、自らの実績や経験を踏まえたコメントを多くいただき、白熱したディスカッションが繰り広げられました。

 

そんな前回のディスカッションと、今までお仕事させていただいてきた全国の事例、自らのマーケティングメソッドなどから複合的に考察し、今回古川が「地域材利用の意義」についてフレームワーク化、解説をさせていただきました。

 

キーワードは

「環境、SDGs」

「国土保全」

「地域経済」

「雇用」

「水源、流域」

「マテリアル」

「PEST分析」

「マーケティングメソッド(古川オリジナルメソッド)」

「顔の見える関係」

「トータル林業」

「事例」

「カッコよさ、感覚に訴える」

 

これらを図解した一大フレームが出来上がり、参加者からも「よく分かった」の声をいただくことができました。

 

「なぜ、地域材か」というテーマについては、これで完結ではなく、このフレームワークを活用しながら今後も議論を深めていきます。

「どんなフレームワークか気になる!」という方は、是非研究会にご参加ください!

そんな想いのあなたとも、議論を交え、地域材の可能性を広げていきたいと思っております。

 

テーマ②「まちづくりと林業、食と農と観光への事業連携」

1.一般社団法人ソマミチ トークイベントを終えて

古川がサポーティングコーチとして理事を務める、長野県松本市の一般社団法人ソマミチ。

ソマミチウェブサイト https://www.somamichi.com/

 

一般社団法人設立2年の節目に、トークイベントを開催したことは、このブログでもご紹介したところです。

ちいきのブログ(令和元年10月23日)

https://chiikino.jp/blog/?p=10212

 

今回の研究会には、ソマミチ代表の原 薫様のご参加があったこともあり、古川とこのトークイベントを終えての所感と、ソマミチの活動の意義などについてご紹介いただきました。

 

ソマミチは、木を使う社会の仕組みをつくることを目指し、「山が基準」をキーワードに活動するチーム。林業、製材、設計、家具木工・指物師、建築まちづくりディレクターなど、多彩なメンバーで構成されています。多彩であるがゆえに、チームとして協業しながらも、それぞれの専門分野での活動が主になることで、全体としてのソマミチを伝えるのが難しくなってしまっていることが一つの課題でした。

 

そこで開催されたこのトークイベント。

山での体験イベントから建築、木工まで多様なソマミチメンバーの活動をトータルでご紹介することで「ソマミチとはどんなチームなのか」「何を目指しているのか」ということを伝えられたことは、大きな成果の1つであったといえます。

 

今まで「名前は聞いたことあって、森や木のことで何か良いことをしているようだけど、よくわからないから」と参画するまでに至らない人たちが多かった中、トークイベント後に「ソマミチがどんな想いで、どんな取り組みをしているか、全体像が見えた。ぜひ、参画したい!」という入会希望の反響がいくつもあり、単なる「打ち上げ花火」的なイベントに終わらず、さらなる広がりに繋げることができました。

 

また、ソマミチのこれからの活動の方向性についても参加者から質問があり、「山と食文化」「感動をベースに」「遊び場からビジネスへの導線」「国交省制度の活用」など、ソマミチだけでなく、各参加者の事業にも参考になる情報と議論を交わすことができました。

 

2.ゲスト講座「食と酒からみた、まちづくり ~もう一度「農林漁」をつなぎましょう~」農業と漁業と林業のいい関係づくり 地域経済をうまく回すには

 

百貨店の鮮魚コーナー勤務からまちづくり、IT企業、輸入商を経て、現在は食と農のマーケティングからまちづくりまで、自治体の仕事、大学講師など幅広く担う、まさに専門家かつ複業家の片桐 新之介様よりご講義をいただきました。

 

専門性と外部視点の客観性の両立。

掛け算による独自性の創出。「シナジーキャリア」

 

「ハモの骨きりが出来るマーケターは自分くらいではないか」という多才な片桐様。

多様な実績のうち、いくつかの事例を交えながらお話を繰り広げられました。

 

「もう一度、農林漁業をつなぐ」

「6次産業化の商品づくりにおいて大事な7つのこと」

「ユーザーエクスペリエンス」

「人を巻き込むことで、売れる仕組みが自ずとつくられていく」

「これからの新しい循環」

「コミュニティが支援する農林漁業」

「環境の自分事化」

 

刺激的かつユニークでありながら、まちづくり、マーケティングをはじめ、複業家ならではのスキルを活かしたビジネスづくり。

また、農林漁業を俯瞰した視点と、現場の人たちと協業し意思疎通してきたからこその温度感のある取り組みは、林業・木材業に携わる我々にとっても、大いなるヒントとなりました。

 

片桐様の手がける今後のビジネスについてもオフレコで教えていただきましたが、こちらもなんとも興味深い!!このような情報を得ることができるのも、研究会の醍醐味ですね。

 

隣接異業種、リアルなビジネス実践からのヒント、それだけではなく、片桐様の柔軟な発想からも、得るもの多きゲスト講座でした。

参加者の皆さまにも大変ご満足いただけたようです。

 

ちいきの総研よりまとめ

今回の研究会では「なぜ、地域材か。(総集編)」として、「地域材利用の意義」について再度テーマとし、ディスカッションした内容とこれまでの知見から、フレームにまとめさせていただきました。ですが、ここで終了ではありません。このフレームを使い、自らにとっての地域材利用の意義について、定期的に考察することが重要です。参加者の方からも「その時々の状況で、学ぶこと、見出すことは違ってくる」というコメントもありました。研究会では、「なぜ、地域材か。」を永久的なテーマとして、継続的に追いかけていきます。

 

また、今回のもう一つのキーワード「複業」。

弊社が実施した某都道府県の林業事業体経営力調査から「林業以外のサブビジネスを持っていること」と「増収増益」の相関性が見えてきました。また、ゲスト講師の片桐様のお話でも「複業」による「シナジーキャリア」の形成というお話が出てきました。この「複業」こそ今後のビジネス展開において重要な要素であり、これからのプロフェッショナル像といえるでしょう。それは、地域において自らが「ペルソナ」(消費者のモデル的存在)となるとともに、「プロデューサー」(事業者のモデル的存在)にもなるということであります。ソマミチの多彩なメンバーも、地域の「ペルソナ」であり「プロデューサー」であるからこそ、理念が反響してファンが増え、活動もビジネスも広がっていく。

この「複業」についても重要な視点として位置づけ、今後も深堀りをしていきます。

 

 

参加者の声

【U様(国産材建具メーカー)】

久しぶりに参加しましたが、各地での国産材の活路の見出し方を学べ、方法、手段、観点の違いを感じることができ、非常に勉強になりました。改めて「地域材とは」ということを考え直すきっかけとなり、なぜ必要なのかをより地方(地元)自治体に伝えていくことで、まちづくりの流れが変化していくことを強く感じました。

 

【S様(都市計画系コンサルタント)】

まちと自然の関わり、都市空間と林業の関わりは、地方都市でこそ進めていくべき取り組みだと思います。都市計画でも10~20年の視点はあります。今はタクティカルアーバニズムという言葉で、暫時的、戦略的に進める重要性が言われることが多いですが、森林資源の持続性と時間軸で考える超長期的(都市計画的には)な視点は斬新でした。

 

【I様(工務店)】

各種ディスカッション&レク、楽しかったです。なぜ、どう地域材を使うのか、フレームワークで理解できました。片桐さんの取り組みについて、経済性も含む持続性の担保は色々な課題があるとは思いますが、尖った企画でより良くなるといいなと感じました。パワフルな取り組みが参考になりました。

 

さいごに

令和に入って第2回目の研究会。

いつも以上に濃く、ビジネスのヒント、原動力になる内容であったのではないかと自負しております。

この勢いのまま、これからも走り続けたいと思います。

 

次回の研究会は12月21日(土)に開催予定です。

 

詳細が決まりましたら、弊社ブログ、SNS、メールにてご案内させていただきます。次回も多くの方にご参加いただけることを楽しみにしております。

 

今回は参加できなかった方、初めて研究会を知った方も、参加をご検討いただけますと幸いです。

 

研究会内容の詳細は、以下のURL(大阪・経営実践研究会紹介ページ)からご覧ください!

https://chiikino.jp/blog/?page_id=187

 

Posted by wpmaster on 水曜日 11月 20, 2019 Under pick up, お知らせ, すべての記事, セミナー報告, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)

 

 

数日でぐっと秋を感じさせる涼しさになり、晴れ間から差し込む陽の光の温かさが心地よい、10月23日(水)。

長野県松本市は信毎メディアガーデン1階ホールにて、

一般社団法人ソマミチのトークイベント

「松本で生きる。松本をつくる。~山と暮らす、その誇り。~」を開催しました。

 

 

 

 

各地から100名以上の来場者とカラマツで彩る会場

当日は、地元松本の方だけではなく、関東圏など広くから120名程の方にご来場いただきました。

事前にご予約いただいた方、既にソマミチ会員になっていただいている方はソマミチ手袋の特典付き。

今後も森林、屋外イベントがありますので、その際には皆さんと一緒にこの手袋を付けて作業したいですね。

(早速、本ブログ最後に、ツアーのお知らせもあるので是非チェックしてください。)

 

 

また、当日の会場にはソマミチメンバーの活動を代表する製品やパネルの展示を行っていました。

 

↑ソマミチの理念、メンバー、活動風景、施工事例等をまとめたパネル

 

 

↑グリーンウッドワークの作品

 

 

↑カラマツT&Tパネルの壁材

 

 

↑松本市産アカマツのヘリンボーンの床・壁材

 

 

↑アトリエm4の前田大作さんが手掛ける家具

 

実は、今回の展示の他にも、信毎メディアガーデンの1階フロア内に普段から設置している什器は、ソマミチの提案でカラマツが使われているんです。

 

 

11名によるトークリレー

それでは、当日のトークの様子を少しだけ、ご紹介。

トークイベントの内容の詳細はソマミチのFacebookページにて、当日のライブ映像が観れますので興味がある方は下記リンクからご覧ください。

https://www.facebook.com/somamichi/videos/2474706712759381/

 

 

まず、冒頭に弊社古川より、イベントタイトルにもある「松本に生きる、その誇り」をテーマにお話をしました。三つの「ガク都」(「岳都」「楽都」「学都」)で生きる、その誇りとは何か、らしさとはなにか。参加者の皆さまにも考えていただくオープニングトークとなりました。

 

 

 

企業組合山仕事創造舎の香山さんからは地理的条件から松本の自然、カラマの利用の歴史などをお話しいただきました。日本の中でもカラマツは北海道、岩手、長野を中心に分布しており、特に長野県の気候は良質なカラマツが育つ環境にあり、昔は電柱用として育てられてきたカラマツは、現在は一部建築材にも使えるまで育っていることがよく分かるお話でした。

 

 

林友ハウス工業株式会社の竹腰さまからは、ソマミチT&Tパネルを開発するまでの経緯やメリットをお話しいただきました。カラーバリエーション豊富なT&Tパネルですが、カラマツは国産材の中でも塗料の色ノリが良いというメリットを活かして誕生しています。

 

 

アトリエm4の前田さまからは、ご自身が制作される家具のお話や工房、市内の店舗内装のデザインのお話をしていただきました。なんと、自邸兼工房も全てカラマツで建築されており、家具から建築まで、幅広いカラマツ利用が強く印象に残るお話でした。

 

 

山の辺建築設計事務所 の宮坂さまからは、南相木村営住宅など最近の松本周辺での施工事例をご紹介いただきました。前田さんのカラマツ家具を展示した内覧会の様子などもご紹介いただき、顔の見える関係でのカラマツの活用、暮らし提案の姿が、会場の皆様には見えたのではないでしょうか。

 

 

♯classicの山本さんからは、神奈川の湘南エリアでの施工事例を元に、湘南での暮らし、家づくりにおいて潮風にも強く、デザイン性にも優れたカラマツの外壁材がお施主様の一つの選択肢として選ばれていることを紹介いただきました。海が無い長野の木が、サーフィンなどマリンスポーツも盛んで普段の暮らしでも海と近い湘南の暮らしに溶け込んでいる様子からカラマツの可能性を感じていただけたのではないでしょうか。

 

 

設計事務所ランドシャフトの堀越さんからは、ソマミチのこれまでのツアーやイベントの様子をご紹介いただきました。なぜ、ソマミチがイベントを行うのか、イベントを通して何を伝えたいたいか、会場の皆さんに知っていただけたのではないでしょうか。

 

 

 

ソマミチの理事メンバーの他にも、
ソマミチ理事のお施主さんで実際に、カラマツを店舗などで利用されている
明神館(松本市内にある温泉宿)の斎藤さん、
村山人形店(会場近くにある人形店)の村山さんからは、
ご自身の事業の内容に合わせ、どのような経緯でカラマツを使うに至ったか、
実際にカラマツを使った内装や什器の色合いや経年変化の良さなどをお話しいただきました

 

 

 

最後には、代表の原さんから、

「本日、皆さんのクロストークで紹介した内容は、ほとんどが松本の風景です。
ここにあるもので、このようなマチづくり、地域づくりが出来る。
これは日本だからこそ可能であり、しかしながら木を伐ることが自然破壊と言われることもありますが、
適切な自然の利活用は、災害なども軽減します。
大難を小難に、小難を無難に、無難を無事に生きることが可能な日本だからこそ、
皆さんと沢山の自然資源を利活用していきたい、世界に発信できる松本をこれから作っていきたいと思います。」

という素晴らしい締めのお言葉で今回のイベントはクローズしました。

 

 

参加者の声

・近頃のソマミチのイベント、パンフレットなどの内容があか抜けていて、実に好ましく思っています。

 

・ソマミチを通して松本の里山や松本の暮らしをもっと好きになりたい。自分と木の利用についてどんなことが出来るか考えたい。

 

・カラマツは有効活用しにくい木材と思っていたのですが、活用方法の多様性が有り驚いています。

 

・「ソマミチ」という名前からワクワクする言葉で情報発信しているな、と思っていました。チーム活動の内容が、新しい時代を感じさせるカタチで、これからの動きもとても興味あります。今日はありがとうございました。

 

・どの取り組みも魅力的でした。プロの集団かつ、各々の仕事が活かされていて相乗効果になっている面白さを感じられました。

 

・長野県外に住んでいた際に、山林、製材、建築をトータルサポートしている会社に勤めていました。そこで地産地消の家づくりをする想いに共感し、木の地産地消、国産材のことをみんなにもっと知ってもらいたい、触れてほしい、そして次世代にも木を繋げていきたいという想いがあります。わけあって現在は自然豊かな松本に移住してきたのですが、木に対する自身の想いをどういう風に表現すればいいのか、伝えていけばいいのか、自身が出来る事は何かなど、ぐるぐると考えている状況です。自身と同じような想いの人が集まるソマミチさんと今後繋がり、想いを共感し動けたら嬉しいです。ソマミチタウン、作っていきたいです。

 

 

 

さいごに(次回ツアーのお知らせ)

【↓お申込みフォームはこちら↓】

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSduLhWbP8GEj3NUY4BjV7zvIAyT_6WQ-l2hwXVD7Znd89l0kQ/viewform

 

詳細は、ソマミチのFacebookページにて掲載しますので、

Facebookページもチェック&フォローをお願いします。

【↓ソマミチFacebookページ(イベントページ)はこちら↓】

https://www.facebook.com/events/436422813737044/

 

 

それでは、また信州松本にて、皆様とお会いできること、

一緒に松本の風景を作っていけることを楽しみにしています。

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 水曜日 10月 23, 2019 Under — ちいきの地域, pick up, お知らせ, すべての記事

 

秋雨前線近づく8月24日(土)、

新大阪にて今年度初めての大阪経営実践研究会を開催しました。

今回は兵庫、京都、大阪、滋賀、福井、岐阜、愛知の7府県から13名の方にご参加いただいただき、公共建築の地域材利用や住宅リテラシーなどをはじめとしたテーマで開催しました。

 

 

今回のメニュー

【1】ちいきの総研より情報提供

・販促EXPO、100年古民家プレミアム納材

・A材利用の新ビジネス&販路拡大(林野庁補助事業)

・市町村森林経営管理、林業事業体の経営力調査事業 ほか

 

【2】参加者近況報告

 

【3】林業マーケティング講座

・森林/林業統計から学ぶ国産材ビジネスのミカタ

 

【4】ゲスト講座・参加者プレゼン/ディスカッション

・参加者プレゼン①:「理念策定/事業概要デザイン」

・参加者プレゼン②:「公共建築木材等への木材利用促進勉強会を経て」

・ゲスト講座①:「日本の住宅リテラシーとは」

・ディスカッション:「木材の良さ」とは何かとその伝え方

 

【5】古川ちいきの総研講座

・インターン5か月の学び

・ちいきのメソッド基礎フレームと新たなミッション

 

【6】まとめ

・改めてSDGsって何?東京五輪、大阪万博後、2030年に向けて我々がやるべくこと。

 

いつもの研究会よりも多めの内容となりました。

今回も一部抜粋して、当日の内容をご紹介します。

 

 

林業マーケティング講座

弊社高田より、「森林/林業統計から学ぶ国産材ビジネスのミカタ」をテーマにお話させていただきました。

いきなりですが、皆さんは以下の問いに答えられますか?

・林業の市場規模はどれくらい?

・自身が住む都道府県の素材生産量はどれくらい?

・生産された木材はどのような用途でどれくらい使われている?

・「林業は儲からない」はよく聞く言葉だけど、本当?どれくらい儲かっていないの?

 

いずれの問いも林業、木材業に携わる方であれば最低限知っておきたいことではないでしょうか。なぜなら、自分が仕事で戦うフィールドの大きさの目安となるからです。誰と、何で戦うのか?見失わないためにも最低限の数字(統計)は知っておきたいところです。ということで今回は基本的な統計資料を基に、今回参加者の皆様の地域に合わせた分析した結果をお伝えしました。

 

具体的な数字は今回は省略しますが、ポイントとしては3つあります。

1.体積(㎥)よりも金額(円)ベースでみる事

<体積よりも売上、売上よりも粗利が経営において重要なためです>

2.林業の市場規模を見る時は一次産業におけるポジションで印象に残す

<同じ一次産業のくくりでも、規模感は都道府県によって全く違う>

3.用途別素材生産量で地域の需要を知る

<用途別素材生産量を見ると影響力のあるプレーヤーが見えてくる>

 

今後、弊社で統計に関するまとめは定期的に発信していく予定ですが、自身で調べる際には6月に政府が出す統計が多いことやお勧めする民間企業がまとめるユニークな統計についてもお話しました。是非、統計の見方を知り、数字を味方に経営に生かしていただきたいところです。

 

 

ゲスト講座

某住設メーカーのプロダクト設計担当者にご参加いただき、「日本の住宅リテラシー」をテーマにお話しいただきました。
まず、導入としてバブル崩壊前後のインテリア消費者の性質について教えていただきました。バブル崩壊前は「こだわりよりも便利さ(決まったモノをまとめ買い)」を重視する傾向が強く、バブル崩壊後は大きく3つのパターンに消費者は分かれていきます。

Aパターン:必要最小限、実用性重視(全体の70%程度)

Bパターン:関心は高いが手ごろな価格帯が多い(25%)

Cパターン:気に入ったものを追求する、高くても時間がかかっても良い(5%)

 

Aパターンが多い=市場が大きいからこそ、大企業の営業のほとんどがターゲットとしてきたが、昨今はB,Cパターンの人が増えてきているのではないかと言います。

SNSでの拡散力が上がるにつれて、憧れる暮らし、ライフスタイルを真似する消費者が増えたことも後押ししていると考えられます。

 

大企業は大企業、中小企業は中小企業の役割があるものの、

いずれにしても今後はモノを売るのではなく暮らしを売る方向によりシフトしていくのではないでしょうか。

 

 

ディスカッション

参加者プレゼンの中で行政職員向けの勉強会を実施した話の流れから出てきた「木の良さ、地域材が良いということはどのように伝えれば良いか」という点について参加者同士で意見を出し合いました。

・そもそもすべてのモノを木にする必要はない、ということが前提。

(それぞれの産地の名産、特色を生かし公共施設を作ればよい)

 

・とはいえ、令和時代に入りますます、建築業界は鉄骨造よりも木造がカッコよいでしょ?という価値観が強くなるのではないか。

 

・行政へは地域経済(地元民間企業)への効果を示したいと考える

(地域内の加工場を経由して材料提供する、など)

(GDPへの効果を示せれば行政担当は納得する場合が多い)

 

・先行事例を見て、うちの自治体でも同じようなモノを作りたい、となることが多い

(行政自体には木を使いたいという考えはない場合がほとんど、実際プロポーザルなどでは100点満点の内、地元木材の利用は10点以下程度)

(山がある自治体と、山が無い自治体によって対応は異なる)

 

・木とそれ以外の素材で出来た建築を見せ、どれが良いか地元住民にアンケートを取り1つの参考資料としてはどうか

 

と様々な意見が出てきました。今回だけでは明確な答えまでは詰められなかったものの、木材利用(建築)に係る共通課題と、課題解決に向けて1つの答えを見出す必要性の高さを共有することが出来ました。今後の研究会の重要テーマとして企画に盛り込んでいきます。

 

 

ちいきの総研よりまとめ

SDGs、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標でありますが、この「持続可能な開発」について林業、木材業では何が考えられるでしょうか。環境配慮の面で考えると「木材の方が石油由来の材料が環境に良い」というイメージは多くの方が持っていると思いますが、果たして、どうして木材を使うことが良いのか、についてこれ以上の説明は無いよなというところまで詰められているでしょうか?

また森林林業、木材業界への影響が大きい、建築業界を見ると、10~20年後を目途に空き家率30%へと増え、住宅着工戸数は50万戸へと縮小する予想があります。この現実を目の前にして「持続可能性」についてどのような答えがみいだせるでしょうか?

木材活用について、マーケットインに寄りすぎず、かといってプロダクトアウトに寄りすぎないまとめも必要でしょう。今回出た課題やテーマについては、本研究会で今後追求していく内容としていきます。

 

 

参加者の声

【F様(木材流通)】

初めての参加でしたが、大変良かったです。公共建築をはじめ、地域産材の利用促進に関して「木は良いよ」という点をどう説明するかについては、木材業界全体の悩みだと思いました。また、木材の良さについてのまとめをこれから本研究会で作ることになることについて、まさにあれば良いと思っていたものですので、期待しています。

 

【K様(住設メーカー)】

日本の各地域には、顧客と共に創り上げていくような美しいサービスが沢山あることを知りました。大企業のやってきた、大量生産大量消費モデルがもはや成立しないのは間違いないが、地域の小さなスケールだけですべてが回るわけでもない。うまいバランスを探ることを目指したい。

 

【T様(木工機械流通)】

自社の事業に落とし込めるヒントを多くいただきました。消費の3要素のうち、物語性+欲求性で売り出していく手法に新しさを感じ、消費者にはおおよそ3層のパターンがあることも学べました。何より、顧客への啓もう、信頼獲得、教育が重要であり、サービスや商品も売って終わりではなくアップデートし続けることが重要だということが分かりました。

 

 

さいごに

今年度最初の研究会が終わりました。

翌日から2日間は本研究会にもご参加いただいている、

有限会社平田木材店様の本社がある福井県高浜町を視察しました。

視察の様子は以下のURLよりご覧ください。

https://chiikino.jp/blog/?p=10170

 

 

また、次回の研究会は10月26日(土)に開催予定です。

詳細が決まりましたら、弊社ブログ、SNS、メールにご案内させていただきます。次回も多くの方にご参加いただけること、楽しみにしております。

今回は参加できなかった方、初めて研究会を知った方も、参加をご検討いただけますと幸いです。

研究会内容の詳細は、以下のURL(大阪・経営実践研究会紹介ページ)からご覧ください!

https://chiikino.jp/blog/?page_id=187

 

 

 

 

 

 

 

 

Posted by wpmaster on 土曜日 8月 24, 2019 Under pick up, お知らせ, すべての記事, セミナー報告, 経営実践研究会[国産材ビジネススクール](大阪)